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#navi(ゼロの赤ずきん)
ラ・ロシェールに到着した一行は、その町で一番上等な宿『女神の杵』亭に身を寄せている。
貴族を客として対象にしているためか、内装から外見まで何もかもが、豪華なつくりであった。
一度、桟橋へ行って船の運航状況を聞きに行っていたワルドがそこに合流した。
ワルドは皆の前に来ると、困ったように言った。
「どうやら、アルビオンに渡る船は明後日にならないと、でないそうだ」
「まいったわね……本当なら今すぐにでも行きたいのに」
ルイズは口を尖らせている。
「こればっかりは仕方がないことだ、ルイズ。アルビオンが最もラ・ロシェールに近づくのが明後日なのだから」
うーん、とルイズは唸っている。まだ何か方法があるのではないか、と模索しているかのようにも見えた。
そんなルイズを見たワルドは気遣うような口調で言った。
「ともかく、ルイズ。今日は走り通しで疲れただろう。休めるときに休むのもまた務めだ。
さて、そうと決まったならば今日はもう寝よう。部屋を取った」
ワルドは部屋の鍵束をじゃらりと懐から出し、これ見よがしに一同に見せ、机の上へ置いた。
「キュルケとタバサとバレッタは相部屋だ。そしてギーシュは……すまないが一人だ」
ギーシュはちょっとだけほっとした。
「僕とルイズは同室だ」
キュルケはぎょっとした。それを見たワルドは説明した。
「僕はルイズの婚約者だからな、当然というわけだ」
「なあに、婚約者だったの?これまた、ルイズも隅に置けないわね」
先ほど見たときからいい男だとは思っていたが、その前に色々とごたごたがあったせいでアプローチをかける暇もなければ、
そんな気分にもなれなかったキュルケであった。それに婚約者がいると聞けば、相手への興味は失せる。
「そんなんじゃ……。それにダメよ、私たち結婚してるわけじゃないわ」
ルイズの反論に対し、ワルドは首を振ってルイズの目を見据えて何かを言おうとした。
しかし、バレッタが強引に間に割り込んで机の上に置いてあった鍵束を丸ごとひったくって言った。
「そうよ。ダメよワルド様?お遊びがジョーズなのはいいけどぉ、あんまり冗談が過ぎると嫌われちゃうんだかね?」
少し、ムッとした表情になったワルド。
「……冗談?」
バレッタは疑念に満ちた顔をしたワルドを放っておいたまま、鍵束を高々と掲げてから喋り始めた。
「ハーイ!じゃあっ、わたしがワルド様の代わりに部屋割りを教えるからね?」
ワルドは突然意味がわからぬこと言い始めたバレッタを止めようとするが、バレッタはお構いなしに進めた。
「キュルケおねえちゃんとタバサちゃんは相部屋で、モチロンのことルイズおねぇちゃんとわたしが相部屋っ♪
そして、最後にワルド様とギーシュおにぃちゃんはぁ……」
立てた親指で、とある方向を指した。皆がその先にあるものを目線で追った。
バレッタが指し示すに先にあったのは……この宿の出口であった。バレッタは爽快な笑顔で言ってのけた。
「……男二人は外っ!残りはダミーってことで使うからっ。ね?これで誰も文句ないよねっ?」
そこに居合わせていた全員が口をポカンとあけ、唖然としている。
肩落としたギーシュは、どうやっても取りつく島がないことはわかっているので、観念していた。
だが、ワルドは納得できなかった。納得できるはずがなかった。
いくらなんでも馬鹿げている、そう問い詰めようとした瞬間、絶妙のタイミングでバレッタは出鼻を挫く。
「だってー。敵が町に潜伏して狙ってるってわかってるのに、こーんなイッチバン目立つところを宿に選んだワルドさまだもの。
モ・チ・ロ・ン!……自分が寝ないで見張りをして、わたしたちを……いーえ、ルイズおねぇちゃんを守るんだもんね?
まさか、部屋に敵の侵入したとき倒せばいいなんていう無責任なこと考えてるはずないだろうしぃー。
万が一の危険性も考慮しないでルイズおねぇちゃんを守るなんていうセリフをワルドさまが言うわけないよねぇー?」
回りくどく、ワザとらしく嫌みのように一々ルイズのことを引き合いに出してくるのが狡猾で悪趣味極まりなかった。
婚約者としてルイズから悪い印象を得たくないワルドにはこれ以上ない攻め手であった。
反論することはできなかった。ワルドは奥歯を噛みしめ、悔しそうに言う。
「ぐっ……そ、そうだな……外だ、僕は外だな。り、了解した。
なぁに!ネズミ一匹たりとも見逃さないさ、みんな安心して寝てくれたまえ」
その言葉には明らかに憤りの念が混じっていた。
バレッタは、毛ほど気にせぬ態度でさらに言った。
「さすがに、一人じゃあカワイソーだからっ。オマケにギーシュおにぃちゃんをつけてあげたわけ。やさしーでしょっ?
夜通し寒空の下で、失敗しないオンナの子の口説き方とか相談しあったらどーう?」
その場に石像のように固まったワルド。そしてその額の血管が盛り上がる様が、くっきりと見て取れた。
強く巻き込んだ指が掌に突き刺さり震えている。
「……すごいわねぇ。なんでまあ、あれだけ人を怒らせるのが上手いのかしら?標的にされたらたまったもんじゃないわね」
素直に感心したのか、少しどこか嬉しそうにキュルケはそう言った。
今の今まで黙って本を読んでいたタバサが、パタンを本を閉じて言った。
「……関わらないのが一番」
「プ、はっはっは!その通りね、あなたやっぱりいいわね、タバサ」
コロコロと実に楽しげにキュルケは笑ってみせた。
それとは対照的にルイズは頭を抱えていた。
「なんかどんどん、面倒事が増えてる気がする……」
皆が割り当てられた部屋に行こうと席を立った時。ワルドは誰にも気づかれぬようにルイズに耳打ちした。
「後で大事な話がある。二人きりで話がしたい」
ルイズ泊まる部屋は豪華そのものであった。
おそらくこの『女神の杵』の中でも一番の部屋であろうことは間違いなかった。
ワルドがルイズと相部屋で過ごすために選んだ部屋なのだから、ワルドは不憫としか言いようがない。
部屋に取り付けられた窓を開け放ち、窓枠に肘を置き夜空に散りばめられた星々を、
ルイズはどこか憂いに満ちたような表情でボンヤリと眺めていた。
扉が叩かれる音がした。誰かと聞くと返答があった。ワルドであった。
「ギーシュに少しの間見張りは任せておいた。なに大丈夫さ。君を守るぼくはここにいるしね。
バレッタの姿が見えないみたいだが……どこに行ったんだい?」
「酒場に行って飲んでくるですって」
ワルドは肩をすくめ、やれやれと言った。
そして、部屋に招き入れられたワルドは、窓の外に視線を向けている、どこか儚げにも思えるようなルイズを見ると、
ワルドは相手への気遣いを前面に押し出したような、丁寧で柔和な口調で話始めた。
「そう思いつめてはいけないよ、ルイズ。僕たちもどうだい?こっちにきて、一杯やらないか?」
そう言ったワルドはマントを翻し、格好がつくように椅子に座ると、
宿屋側が用意したであろうテーブルの上のワイン瓶に手をかけた。
しかし、持ち上げた瞬間あることに気がついた。栓が抜けているどころか、中身が一滴も残っていない。
ルイズは申し訳なさそうにワルドに言った。
「そこにあるのは、バレッタがラッパ飲みして、その場で飲み干した分なの」
一瞬固まったワルドは、空のワイン瓶を置き、さも何事もなかったように振る舞った。だが、内心は煮えくりかえっている。
空のワイン瓶を床に叩きつけて割ってやりたい衝動に駆られる、しかし持前の強い自制心でなんとか踏みとどまる。
どうにも先ほどから、ルイズにいいところを見せられないのが気に食わないようだった。
その原因は言わずもがなだった。
ワルドは、気を取り直して窓の傍にいるルイズに近づいた。
「……ところで姫殿下から預かった手紙は、ちゃんと持っているかい?」
「ええ」
ルイズはポケットの上から、アンリエッタから預かった手紙を抑えた。
ふと、アンリエッタがこの手紙を書いていた時の表情を思い出す。
あの表情――特に最後の一文を書き添える時のアンリエッタのあの表情は、並々ならぬ想いが感じられた。
ルイズも手紙の内容を薄々……いや、大体の予想はついていた。そうであるに違いないとも思っている。
「任務のことが心配なのかい?大丈夫きっとうまくいく、なにせ、僕がついているんだから」
「ええ……そうね。あなたがいれば、きっと大丈夫よね。あなたは昔からとても頼もしかったもの」
その言葉には少しではあったが、皮肉ったような調子が含まれていた。
それは、今のルイズの心境を表していた。
ラ・ロシェールに到着する前に、アルビオンの貴族派から仕向けられたと思われる傭兵一団による襲撃にあった際のことだ。
あの時、バレッタは、敵を打倒し、ワルドは敵の攻撃からルイズを守り、ギーシュは指示に従いワルキューレを動かした。
それらを目にしていたルイズは、自分が何もできなかった、そして守られていただけであると解した。
先ほどから、冴えない顔をしていたのは自分の無力を嘆いていたからであった。
自分でなんとかするっていっておいて、これだもの。笑いものよね……。
ルイズの心情を読み取ったのワルドは、下手に慰めるのは逆効果だと考え、話を変えた。
「……さっき言ったことだが、大事な話があるんだ。……僕は君にこれ以上ないほど魅力を感じているんだ」
「じ、冗談でしょ?私なんか、魔法もろくに使えないような駄目メイジなのよ?それのどこに……」
「あまり卑屈になってはいけないよ。それにね、君は失敗ばかりしていたけど、誰にもないオーラを放っていた。
それこそが君の魅力だ。いいかい?それは、君が他人にはない特別な力を持ってるからさ。
僕だって並みのメイジじゃない。だからわかるのさ」
「まさか」
「まさかじゃない。例えば、そう、君の使い魔のバレッタだ。
傭兵に襲われたとき、彼女が敵に向かって駆けだしただろう?あのとき左手に浮かび上がったルーン……。
あれはただのルーンじゃない。伝説の使い魔『ガンダールヴ』の印さ」
「伝説?……ガンダールヴ?」
「そうさ。『ガンダールヴ』。始祖ブリミルが用いたという、伝説の使い魔。
つまりはだ。その誰もが持てるわけではない使い魔を喚び出した君は、それだけ力を持ったメイジなんだよ。
そう、きっと君は始祖ブリミルのような偉大なメイジになるだろう。
そして、歴史に名を残し後世の人々にいたるまで賛美を受けることになるに違いない。僕はそう予感している」
『ガンダールヴ』の話をし始めてから、ルイズに変化が見られた。
拳を口に当て考えるような素振りをしているかと思うと、段々背を丸め、終いには顔を伏せてしまっていた。
そして、何故か肩を震わせていた。何かをこらえているようなそんな感じであった。
「……っフフ」
「……?どうしたんだいルイズ?」
ルイズは突然ケラケラと声を上げて笑い始めた。先ほどの浮かない表情はキレイに消え去っていた。
「……ご、ごめんなさい。私おかしくて……。でもあいつが伝説だなんて聞いたら笑わずにはいられないわよ。
でもそうでしょ?イイ意味の『伝説』で人々に語り継がれるのは、総じて英雄かなんかじゃないの?
でも、バレッタはそんなんじゃないわ。もっと即物的で、欲に忠実で、狡猾で、あくどくて、残酷で、
お金のためなら何でもする人間よ……むしろ悪魔っていったほうがぴったり。
じゃあ、それを使い魔として喚び出した私は魔王かしら?フフっ、どうであれ褒められるようなものじゃないわ」
ルイズはワルドが冗談を言っているものだと思っていた。
まさか、本当であるとは露とも考えていない。
なぜなら、ルイズは、ワルドの言うような力が自分にあれば、
ここまでバレッタに苦しめられることはなかったはずだと思っているからだった。
しかし、気分は明るくなった。何を悩んでいたんだろう、という気すらした。
自分にまだ力がないのは、すでにわかっていたはず。そのことを思い出した。
未だにルイズは、肩を震わせて笑い声を出すのをこらえていた。
「冗談じゃないんだルイズ。君の本当の力も、……そして僕が感じている君の魅力も。
証拠といってはなんだが、今僕の気持ちを言葉で伝えよう……」
ワルドは、ルイズの目をまっすぐに見つめたまま、二人の間の距離を詰めた。
ルイズの手を両手で包むように握ると、熱っぽい口調でワルドは話した。
「この任務が終わったら、僕と結婚しよう」
「え……」
「僕は魔法衛士隊隊長で終わるつもりはない。いずれは国を……、
このハルケギニアをを動かすような貴族になりたいと思ってる。だからルイズ……」
ルイズは驚いた顔をしている。それは、いきなりのプロポーズが原因であるとワルドは思っていた。
事実それはまちがいではなかったが、ワルドの思い描いているようなものではなかった。
ルイズの顔からは、気恥かしさや結婚に対する迷いなどは感じられない。
ただただ、信じられないものを見たような、そんな表情をしていた。
「ルイズ?」
名前を呼びかけられたルイズは、やっとのことで言葉を口にした。
だが、それはワルドが期待したようなものではなかった。
「正気なの?ワルド」
「……え?」
ワルドは、まるでプロポーズ自体が忌まわしいもののように言ってのけたルイズに対しショックを受けていた。
崖から突き落とされたような表情をしているワルドを見たルイズは、
ワルドの言ってることが大真面目であることに気が付き、慌てたように言葉を付け足した。
「ゴメンなさいっ!違うの!あのね、私はこの旅の、この任務での自分に課せられた使命を全うすることだけに、
考えを置いてるの……でね、てっきりワルドもそうだと思ってたの」
自分を信じて託してくれたアンリエッタのため、国のため、
そして、バレッタを好き勝手にさせないため、それらが今のルイズの行動原理だった。
悩んでいる暇はない、今自分の出来ることをしなければならない。
強い使命感を帯びているルイズには、恋愛のことは頭の片隅にも存在しなかった。
正確にいえば、考えている暇がないと言ったほうが正しい。
そして、先ほどワルドのガンダールヴの話を聞き、
自分の無力について嘆いていたことの無意味さを再認識したことも理由にある。
自分に力がなければ、それすらも利用して策を考え出せばいい。
そう、破壊の杖が盗まれた騒動の後で、そう答えを出したじゃないの。
やるだけ試行錯誤をして、やってのけるのよ。そうよ、絶対バレッタには負けられない。
「私は、今抱えてる問題で手いっぱいなの。自分のやらなければならないことを成し遂げるまでは、
とても結婚なんて考えられないわ。ゴメンなさい、ワルド」
ルイズの言葉を無言で聞いていたワルドは突然床に膝をついた。
まるで、王族に対する礼の如く振る舞い、ワルドはかしこまった態度で言った。
「僕が間違っていた。君の言う通りだ。僕は、軍人として、自らに与えられた責務を一番に考えなければならないのに、
君にそれを教えられるまで、忘れてしまっていた。この通りだ、どうか許してほしい」
深々と頭を下げ続けるワルドに対し、戸惑いを隠せないルイズは、立ちあがる様に促すが、ワルドは頑なに拒んだ。
「ワルド!そんなつもりでいったわけじゃあないのよ。そうよ、別にあなたを責めるつもりで……」
「……言い訳はするつもりはない。だけど、知っておいてもらいたい。
僕は、自分の気持ちがどうしても抑えられなかったんだ。どうしても、僕の想いを君に伝えたかった。
そう、この想いは決して冗談でもなければ、嘘でもない。僕の心の奥底からの声なんだ。」
ルイズは、信じられない、といった表情で跪くワルドを見ていた。
「それに、君の言葉で僕は君がますます好きになった。使命感に溢れ、芯が強く……魅力的だ。
任務は忘れない、だがとてもじゃないが君のことも諦められそうにもない……。
結婚のことは、心の片隅でもいい、本気で考えている人間がいることを知っておいて欲しい。
僕は、君が必要なんだ……!」
異性からこうやって熱烈までのアプローチを受けたことがないルイズは困惑した。
どう返答していいのかすらわからない。それどころか、ワルドに対する自分の気持ちすらまったくわからない。
ワルドは凛々しくて、ずっと憧れてて、バレッタと違って凄く優しい。
なんで、バレッタと比較してるのかしら?バレッタは結婚とは全く関係ないじゃない、いえ違うかしら、
そうよ、結婚なんて、バレッタが現れてせいで思い浮かべることすらできなかったんだわ。
「ワルド……」
自分の思いのたけを喋りきったワルドは、ルイズの疲労を考慮し、今夜はもう寝るように促した。
部屋の扉の取っ手に手をかけたワルドはルイズに背を向けたまま呟くように言った。
「急がないよ。僕は」
そう言うとワルドは部屋から出て行った。
ワルドが出ていくのと入れ替わりで、窓から来訪者が現れた。
床に降り立つ音でルイズは、その存在に気が付き、顔を向ける。その姿をみとめたルイズが言った。
「盗み聞きしてたわね……バレッタ」
「いーじゃない、別にお金みたいに減るわけじゃあないんだし、でもよくもまあ、あんなくっさいこと言えるわねぇー」
バレッタは実にふざけた態度で、先ほどの真剣なワルドの真似をした。
「『僕は、君が必要なんだ!』……くっさーい!!くっさー!!笑えるわねっ」
ルイズはバレッタのからかいの言葉を無視した。話乗ったらさらに言われるだけであったからだ。
「で、あんたは飲みにいってたんじゃないの?」
「ん、……まあ今から行くわよ」
「あんたこそ、よくもまあ、こんな時に酒場に飲みにいくなんてことするわね」
バレッタは肩をすくめて、わかってないなぁ、と言ってるような仕草をすると、呆れたように言った。
「陽動よ。私が単独行動をすれば、敵さんは十中八九こっちに来るわ。こんないたいけな少女だものほっとくわけないでしょ?」
「そうなの!?……だったら、だったら私も連れてって!」
「えぇえ゛ー、勘弁してほしーなぁ」
「あんたが離れてるときに、私が襲われたりするほうがめんどうじゃない?」
別にバレッタを頼るつもりで言ったわけではなかったが、一種の方便であった。
ルイズのこの行動は、自分も何かの役に立ちたいという気持ちが後押しをしているものだった。
バレッタは感心したのかどうかはわからないが、眉が上にあがっていた。顎に手を当てて何か考える素振りをしている。
「それもそーねぇ、でも連れてくのはめんでーしぃ、じゃあっこういうことにしようかしらっ。うん、我ながらグッドアイデアっ♪」
バレッタは、軽快な足音をたてながらルイズに歩み寄った。
どこまでも澄んだ笑顔をしていた。ルイズは危機感を感じた。こんな顔をしてるときは間違いなく何かを企んでいる。
「ちょ、ちょっと待ちなさい!!あんた私になにをするつもり!?ていうか、その手に持った縄はなに!?
どこからだしたのよ!?なんで持ち歩いてるのよ!?や、やめなさい!お願いだから……!」
悲鳴は出せなかった。杖を抜く暇もないのも当然。これ以上ないほどの手際の良さでルイズは緊縛された。
必死でもがくがどうにもならない。バレッタは何事もなかったように朗らかに言った。
「さてと、今日はもうひとつ仕事をしないとねっ♪」
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