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「PSYFER THE BLAZE-04」(2008/02/28 (木) 16:23:20) の最新版変更点
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微熱の熱情
キュルケの恋の炎が不意に激しく燃えた。
決闘で、ヴィリエを完膚無きにまで黒コゲにした修太に惚れたのだ。
「あんな芸当ができるなんて……。フレイムが凝視するのも当然ね。どんな風に頂こうかしら?」
惚れたら子供にも手を出すのがツェルプストー家の人間の習性です。
「……」
修太を堕とす方法を考える友人に、タバサは無言で呆れ果てていた。
医務室では、水魔法と秘薬による懸命の治療が修太に行われていた。
が、出血が激しかっただけでなく、エア・カッターで受けた傷も深かったため、容態は危険なままであった。
勢いでルイズの後を追い、医務室にまでついて来たモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシも水系統ということで治療を手伝わされた。
「全く、こんな小さい子に決闘を挑んだ挙句、大怪我を負わせるなんて……。ヴィリエの奴、正気じゃないわ」
意識が朦朧とし、まだ死相が残っている修太を見て、愚痴るモンモン。
一方、別のベッドにいるヴィリエは、後から運ばれてきたにもかかわらず、すぐに回復したためルイズに顔を滅多打ちにされて昏睡状態に陥っていた。
ルイズは修太の手を握り締め、今にも泣きそうな顔をしている。
「この、馬鹿犬……。こんなに小さいのに、私一人のために……」
ルイズの嗚咽が響く中、コルベールもモンモンも無言で見ることしか出来なかった。
数時間後、やっと容態が安定して動けるようになった修太を抱きかかえ、ルイズは医務室を後にし、コルベールの研究室へと向かった。
修太が着ていたものは、ルイズのパンツ以外ズタボロになっていたため、修太はルイズのマントを羽織らされていた。
「後日改めて来ても良いと思うのですが……」
「あの時のミスタの顔が頭の中に残っていましたから……」
コルベールの研究室。
室内にはルイズと修太、そして部屋の主であるコルベールの3人しかいない。
「私とシュータを呼んだのは、シュータのルーンと関係が?」
「正解です。このページを見てください」
コルベールが静かに手渡した本を見たルイズは、硬直した。
虚無の使い魔の名前とルーンが記されたページの、最後の一人のルーンの形状を、修太の胸に刻まれたものと全く形状のそれを見て、ルイズは口を開いた。
「最後の四人目? シュータが?」
「その通り。そして四人目になった者たちにはある共通点があったとされています」
少し間を置いてからコルベールは続けた。
「四番手になる者、共通点有りや。それは「サイファー」と呼ばれる者である事に候」
「……!!」
「今のは、この本に記されていた一文です。ミス・ヴァリエール、シュータ君、このことは絶対の口外しないでください」
それから数分間話し込み、ルイズと修太はコルベールの研究室を後にした。
昼間の騒ぎで午後の授業には出なかったルイズは、修太を連れていったん寮へ戻る途中で、メイドに声をかけられた。
「ミス・ヴァリエール」
「シエスタ、どうしたの?」
「実は料理長から伝言を頼まれて……」
伝言の内容は、使い魔(修太)と一緒に厨房に来て欲しい、というものであった。
「何の用かしら?」
首をかしげるルイズに、メイドは今度は修太のことを尋ねた。
「ミス・ヴァリエール、ひょっとしてその子が使い魔ですか?」
「そうよ」
この子がメイジを打ち負かしたの?
微妙に失礼な事を考えながら、メイドは修太に顔を近づけた。
「私はシエスタ。あなたのお名前は?」
「シュータ・ホムラ」
「シュータちゃんっていうんだ」
思わず頬が緩んだシエスタだったが、ルイズのどす黒い視線に気付き、少し後ずさってからこういった。
「まだ仕事があるので、これで失礼します」
お辞儀をして駆け足でその場を去ったシエスタを、ルイズは(修太を抱きかかえたまま)睨み続けていた。
「もっと慎み深い子だと思ったんだけど」
「ルイズ姉ちゃん、怖い……」
厨房に来たルイズと修太は、テーブルに置かれた数々の料理を見て思わず固まった。
「えらく豪勢ね……」
「おお、来たか、『我らの獣』よ」
ルイズたちの姿を確認した大柄な筋肉質の男が話しかけた。
「我らの獣よ、そのちっこいのがあんたの使い魔かい?」
「そうよ。ところで料理長、テーブルに並んでいる料理は何?」
「あんたたちの晩飯に決まってるじゃないか。いやあ、他の連中から、ちっこいのが呪文も使わずに貴族のガキを黒コゲにしたって聞いて嬉しくなってな。ついつい頑張り過ぎたぜ」
満面の笑みでそう言いながら、料理長はシュータの顔を見た。
「俺はこの学院の厨房の料理長で、名前はマルトーだ。よろしくな、『我らの焔』」
「うん」
「料理長、一応言っとくけど、この子の名前はシュータ・ホムラだから、忘れないでよ」
「了解、とりあえず覚えておくぜ」
「あと、この子の着替え、見繕ってくれる?」
かくして、修太はメイドたちによって使用人宿舎へと連れて行かれた。
使用人宿舎の一室。
数人のメイドたちが修太の新しい服を見繕っていた。
「ねえねえ」
「何?」
「料理長さんってどうしてルイズ姉ちゃんのことを『我らの獣』って呼んでたの?」
「去年の事よ。シエスタに難癖つけた奴と決闘する事になってね。相手が出したゴーレムを逆に鈍器代わりにして滅多打ちにした挙句、耳を食い千切ったのよ」
「……」
「料理長って貴族嫌いだけど、シエスタのためにそこまでしたミス・ヴァリエールの事はすっかり気に入ってね、その時の猛獣振りからミス・ヴァリエールのことを『我らの獣』って呼ぶようになったのよ」
「……凄いね」
「……今はだいぶ大人しくなってるけど、入学してから数ヶ月間はそりゃもう毎日のようにケンカしては相手に大怪我を負わせていたわ」
ルイズの武勇伝を聞かされ、少し固まった修太であった。
「ズボンはないの?」
「無いわよ」
「スカートが長い奴の方が良いな」
「却下」
メイドたちが用意した服は、どれも際どい物ばかりであった。
数分後、スカートの丈がやたら短いワンピースを着せられた修太が厨房に戻ってきた際、ルイズはよだれが垂れるのを必死で我慢した。
数時間後。
夕食を終え、夜空に浮かぶ双月を見ながら涼んでいた修太は、女子寮の入り口から顔を出したルイズに「そろそろ寝るわよ~」と言われ、駆け足で女子寮へと戻っていった。
「?」
何故か廊下にいたフレイムを見て、修太が首をかしげた直後、フレイムが猛スピードで接近してきた。
そして、修太を捕獲したフレイムはそのままキュルケの部屋に滑り込んだ。
「いらっしゃい、シュータ」
混乱する修太に、キュルケは艶やかな声で話しかけた。
「キュルケ姉ちゃん……!?」
「あら、いつの間に私の名前を覚えてくれたの?」
「今朝、ルイズ姉ちゃんが言ってたのを、聞いてたから……」
「そう。嬉しいわ。ところでシュータ、何故自分がこの部屋に連れて来られたか分かる?」
「分かんない」
「……当然ね」
キュルケが部屋の明かりをつけるのと同時に、月明りで薄っすらとしか見えなかった彼女の姿がある程度はっきりと見えるようになった。
キュルケは物凄く際どい下着を着けており、それを見た修太は赤面した。
「そ、そそ、その格好……」
「決闘の時、ヴィリエを完膚無きにまで打ち負かしたキミの姿、カッコ良かったわ。それを見てキミに恋しちゃったの」
修太を抱き上げ、顔を近づけながらキュルケは更に囁き掛けた。
「教えてあげるわ、手取り足取り♪」
「何を!?」
「とってもイイこと」
そう言って、キュルケは修太をベッドに押し倒し、彼がはいているルイズのパンツに手を掛けようとした。
が、物凄い勢いでドアが開き、近くにいたフレイムが切なげな悲鳴を上げながら蹴飛ばされた。
フレイムを蹴飛ばして入ってきたのは、ルイズであった。
「キュールーケー!」
「ルイズじゃない。全く、無粋なんだから」
「あんた何やってんのよー!!」
「何って、見れば分かるでしょ」
この一言で、更に激昂したルイズは決断した。
「遺言はそれだけ?」
直後、ルイズの雄叫びと、何かを床に叩きつけるような轟音が寮全体に響き渡った。
キュルケを袋叩きにし、修太を救出したルイズはそのまま自室に戻った。
「油断も隙もあったモンじゃないわね……」
こうして夜は更けていった。
虚無の曜日。
地球で言う日曜日である。
その日のトリスタニアの裏通りで、ルイズと修太はその男と出会った。
次回、「四人目と左手」
「左手」との遭遇は何を意味するのか。
修太が食べるはしばみ草のサラダは、苦い。
#navi(PSYFER THE BLAZE)
微熱の熱情
キュルケの恋の炎が不意に激しく燃えた。
決闘で、ヴィリエを完膚無きにまで黒コゲにした修太に惚れたのだ。
「あんな芸当ができるなんて……。フレイムが凝視するのも当然ね。どんな風に頂こうかしら?」
惚れたら子供にも手を出すのがツェルプストー家の人間の習性です。
「……」
修太を堕とす方法を考える友人に、タバサは無言で呆れ果てていた。
医務室では、水魔法と秘薬による懸命の治療が修太に行われていた。
が、出血が激しかっただけでなく、エア・カッターで受けた傷も深かったため、容態は危険なままであった。
勢いでルイズの後を追い、医務室にまでついて来たモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシも水系統ということで治療を手伝わされた。
「全く、こんな小さい子に決闘を挑んだ挙句、大怪我を負わせるなんて……。ヴィリエの奴、正気じゃないわ」
意識が朦朧とし、まだ死相が残っている修太を見て、愚痴るモンモン。
一方、別のベッドにいるヴィリエは、後から運ばれてきたにもかかわらず、すぐに回復したためルイズに顔を滅多打ちにされて昏睡状態に陥っていた。
ルイズは修太の手を握り締め、今にも泣きそうな顔をしている。
「この、馬鹿犬……。こんなに小さいのに、私一人のために……」
ルイズの嗚咽が響く中、コルベールもモンモンも無言で見ることしか出来なかった。
数時間後、やっと容態が安定して動けるようになった修太を抱きかかえ、ルイズは医務室を後にし、コルベールの研究室へと向かった。
修太が着ていたものは、ルイズのパンツ以外ズタボロになっていたため、修太はルイズのマントを羽織らされていた。
「後日改めて来ても良いと思うのですが……」
「あの時のミスタの顔が頭の中に残っていましたから……」
コルベールの研究室。
室内にはルイズと修太、そして部屋の主であるコルベールの3人しかいない。
「私とシュータを呼んだのは、シュータのルーンと関係が?」
「正解です。このページを見てください」
コルベールが静かに手渡した本を見たルイズは、硬直した。
虚無の使い魔の名前とルーンが記されたページの、最後の一人のルーンの形状を、修太の胸に刻まれたものと全く形状のそれを見て、ルイズは口を開いた。
「最後の四人目? シュータが?」
「その通り。そして四人目になった者たちにはある共通点があったとされています」
少し間を置いてからコルベールは続けた。
「四番手になる者、共通点有りや。それは「サイファー」と呼ばれる者である事に候」
「……!!」
「今のは、この本に記されていた一文です。ミス・ヴァリエール、シュータ君、このことは絶対の口外しないでください」
それから数分間話し込み、ルイズと修太はコルベールの研究室を後にした。
昼間の騒ぎで午後の授業には出なかったルイズは、修太を連れていったん寮へ戻る途中で、メイドに声をかけられた。
「ミス・ヴァリエール」
「シエスタ、どうしたの?」
「実は料理長から伝言を頼まれて……」
伝言の内容は、使い魔(修太)と一緒に厨房に来て欲しい、というものであった。
「何の用かしら?」
首をかしげるルイズに、メイドは今度は修太のことを尋ねた。
「ミス・ヴァリエール、ひょっとしてその子が使い魔ですか?」
「そうよ」
この子がメイジを打ち負かしたの?
微妙に失礼な事を考えながら、メイドは修太に顔を近づけた。
「私はシエスタ。あなたのお名前は?」
「シュータ・ホムラ」
「シュータちゃんっていうんだ」
思わず頬が緩んだシエスタだったが、ルイズのどす黒い視線に気付き、少し後ずさってからこういった。
「まだ仕事があるので、これで失礼します」
お辞儀をして駆け足でその場を去ったシエスタを、ルイズは(修太を抱きかかえたまま)睨み続けていた。
「もっと慎み深い子だと思ったんだけど」
「ルイズ姉ちゃん、怖い……」
厨房に来たルイズと修太は、テーブルに置かれた数々の料理を見て思わず固まった。
「えらく豪勢ね……」
「おお、来たか、『我らの獣』よ」
ルイズたちの姿を確認した大柄な筋肉質の男が話しかけた。
「我らの獣よ、そのちっこいのがあんたの使い魔かい?」
「そうよ。ところで料理長、テーブルに並んでいる料理は何?」
「あんたたちの晩飯に決まってるじゃないか。いやあ、他の連中から、ちっこいのが呪文も使わずに貴族のガキを黒コゲにしたって聞いて嬉しくなってな。ついつい頑張り過ぎたぜ」
満面の笑みでそう言いながら、料理長はシュータの顔を見た。
「俺はこの学院の厨房の料理長で、名前はマルトーだ。よろしくな、『我らの焔』」
「うん」
「料理長、一応言っとくけど、この子の名前はシュータ・ホムラだから、忘れないでよ」
「了解、とりあえず覚えておくぜ」
「あと、この子の着替え、見繕ってくれる?」
かくして、修太はメイドたちによって使用人宿舎へと連れて行かれた。
使用人宿舎の一室。
数人のメイドたちが修太の新しい服を見繕っていた。
「ねえねえ」
「何?」
「料理長さんってどうしてルイズ姉ちゃんのことを『我らの獣』って呼んでたの?」
「去年の事よ。シエスタに難癖つけた奴と決闘する事になってね。相手が出したゴーレムを逆に鈍器代わりにして滅多打ちにした挙句、耳を食い千切ったのよ」
「……」
「料理長って貴族嫌いだけど、シエスタのためにそこまでしたミス・ヴァリエールの事はすっかり気に入ってね、その時の猛獣振りからミス・ヴァリエールのことを『我らの獣』って呼ぶようになったのよ」
「……凄いね」
「……今はだいぶ大人しくなってるけど、入学してから数ヶ月間はそりゃもう毎日のようにケンカしては相手に大怪我を負わせていたわ」
ルイズの武勇伝を聞かされ、少し固まった修太であった。
「ズボンはないの?」
「無いわよ」
「スカートが長い奴の方が良いな」
「却下」
メイドたちが用意した服は、どれも際どい物ばかりであった。
数分後、スカートの丈がやたら短いワンピースを着せられた修太が厨房に戻ってきた際、ルイズはよだれが垂れるのを必死で我慢した。
数時間後。
夕食を終え、夜空に浮かぶ双月を見ながら涼んでいた修太は、女子寮の入り口から顔を出したルイズに「そろそろ寝るわよ~」と言われ、駆け足で女子寮へと戻っていった。
「?」
何故か廊下にいたフレイムを見て、修太が首をかしげた直後、フレイムが猛スピードで接近してきた。
そして、修太を捕獲したフレイムはそのままキュルケの部屋に滑り込んだ。
「いらっしゃい、シュータ」
混乱する修太に、キュルケは艶やかな声で話しかけた。
「キュルケ姉ちゃん……!?」
「あら、いつの間に私の名前を覚えてくれたの?」
「今朝、ルイズ姉ちゃんが言ってたのを、聞いてたから……」
「そう。嬉しいわ。ところでシュータ、何故自分がこの部屋に連れて来られたか分かる?」
「分かんない」
「……当然ね」
キュルケが部屋の明かりをつけるのと同時に、月明りで薄っすらとしか見えなかった彼女の姿がある程度はっきりと見えるようになった。
キュルケは物凄く際どい下着を着けており、それを見た修太は赤面した。
「そ、そそ、その格好……」
「決闘の時、ヴィリエを完膚無きにまで打ち負かしたキミの姿、カッコ良かったわ。それを見てキミに恋しちゃったの」
修太を抱き上げ、顔を近づけながらキュルケは更に囁き掛けた。
「教えてあげるわ、手取り足取り♪」
「何を!?」
「とってもイイこと」
そう言って、キュルケは修太をベッドに押し倒し、彼がはいているルイズのパンツに手を掛けようとした。
が、物凄い勢いでドアが開き、近くにいたフレイムが切なげな悲鳴を上げながら蹴飛ばされた。
フレイムを蹴飛ばして入ってきたのは、ルイズであった。
「キュールーケー!」
「ルイズじゃない。全く、無粋なんだから」
「あんた何やってんのよー!!」
「何って、見れば分かるでしょ」
この一言で、更に激昂したルイズは決断した。
「遺言はそれだけ?」
直後、ルイズの雄叫びと、何かを床に叩きつけるような轟音が寮全体に響き渡った。
キュルケを袋叩きにし、修太を救出したルイズはそのまま自室に戻った。
「油断も隙もあったモンじゃないわね……」
こうして夜は更けていった。
虚無の曜日。
地球で言う日曜日である。
その日のトリスタニアの裏通りで、ルイズと修太はその男と出会った。
次回、「四人目と左手」
「左手」との遭遇は何を意味するのか。
修太が食べるはしばみ草のサラダは、苦い。
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