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さて、不審者を捕まえて汚名返上しようと決意したルイズなわけだが、
翌朝いきなりもう一つ頭を悩ませる事情を抱えることになってしまった。
すなわち、最初の授業前に発表された【使い魔の品評会】である。
毎年恒例行事なのにこれを忘れていたというのは正直イタい。
しかも今年はアンリエッタ王女殿下がご覧になるというでは無いか。
幼少のみぎりに遊び相手を務めたアンリエッタとは互いに数少ない友達だ。
その目の前で平民を、それもこのカズマを使い魔にしたことをさらすということになる。
かといってお披露目できないとなると、使い魔の召喚もできなかったのかと思われる。
正直、頭を抱えるほか無い。
というわけでその日の最後の授業のあと、いろんな意味で不本意ながらカズマに話しかけることにする。
「ねえカズマ、朝先生が言ったこと覚えてる?」
「んあ?」
やる気のない返事だが、教室から出ようとするところで振り向いてどうにか引止めに成功。
ちなみに、いつもカズマとつるんでいる連中もそっちの対策なのか今日は手を振って去ったようだ。
「まいいわ。部屋まで戻って話すから」
「へいへい」
「返事は一回!」
「知らん」
「で、さっきの話だけど」
ベッドに腰掛けるルイズと、床に胡坐を組んで『何の話だっけ?』という顔をするカズマ。
自分に関わりのあることだと理解していないのかとちょっぴり情けなくなった。
「あのねぇ。朝授業の前に先生が言った事よ。【使い魔の品評会】!」
「そんなことか」
心底興味ない返事である。
「わかってる? アンタは私の使い魔なんだから一緒に出るのよ」
「あぁ? 聞いてねぇぞそんなの」
『あ、頭痛い』まさか本気で頭を抱えることになるとは。
「ちょっと考えたらわかるでしょ。アンタが認めようが認めまいがアンタは私の使い魔なの。
つまり私はアンタをお披露目しなきゃならないってワケ」
「オレには関係ねぇ」
「無いわけないでしょ。私が使ったサモン・サーヴァントの魔法でアンタが召喚された事実は曲がらない。
だからアンタが私の使い魔なの。なにがなんでも出てもらうからね」
「めんどくせぇ」
聞く気がないのか床に寝っころがる。
「めんどくさかろうが関係ないわ。私だってアンタをお披露目するのはイヤよ。
アンタがただの平民じゃないアルター使いとやらで、いくら強くても、
どうせまた平民を召喚しただのなんだの言われるコトぐらいわかってるもの」
「だったら「それでもね、やらなきゃいけないの。私は貴族なんだから」
『姫様から逃げるなんてマネできない』自らに言い聞かせるようにそう言うルイズを、
起き上がって正面から見据えるカズマ。
『なんだか初めてみたいな気がするわね、お互いの顔をちゃんと見るのって』
微妙に場違いなことを思い浮かべるルイズ。
二人してにらみ合うかのように固まることしばし、根負けしたのか、
先に目をそらしたのはルイズの方であった。ついでに言うと頬が少々赤い。
「…なによ」
「…なんにもやんねーぞ」
諦めたようにそう言うとカズマも目をそらした。
「とりあえずはそれでいいわ。ホントはなにか芸の一つでもやらせなきゃいけないんだけど…」
さすがにとてつもなく怖い目で見られたのでそこで言葉を濁す。
「と、とにかく。品評会に出てくれればいいわ。それ以上は妥協するから」
そういえばもう夕食の時間だ。話は打ち切り、とばかりに部屋を出ようとしたら声をかけられた。
「今夜も散歩するんだったら飯の後しばらく寝てろ。起こしてやる」
バレていたらしい。
「大きなお世話よっ!」
先ほどよりさらに赤い顔でルイズはそう怒鳴った。
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さて、不審者を捕まえて汚名返上しようと決意したルイズなわけだが、
翌朝いきなりもう一つ頭を悩ませる事情を抱えることになってしまった。
すなわち、最初の授業前に発表された【使い魔の品評会】である。
毎年恒例行事なのにこれを忘れていたというのは正直イタい。
しかも今年はアンリエッタ王女殿下がご覧になるというでは無いか。
幼少のみぎりに遊び相手を務めたアンリエッタとは互いに数少ない友達だ。
その目の前で平民を、それもこのカズマを使い魔にしたことをさらすということになる。
かといってお披露目できないとなると、使い魔の召喚もできなかったのかと思われる。
正直、頭を抱えるほか無い。
というわけでその日の最後の授業のあと、いろんな意味で不本意ながらカズマに話しかけることにする。
「ねえカズマ、朝先生が言ったこと覚えてる?」
「んあ?」
やる気のない返事だが、教室から出ようとするところで振り向いてどうにか引止めに成功。
ちなみに、いつもカズマとつるんでいる連中もそっちの対策なのか今日は手を振って去ったようだ。
「まいいわ。部屋まで戻って話すから」
「へいへい」
「返事は一回!」
「知らん」
「で、さっきの話だけど」
ベッドに腰掛けるルイズと、床に胡坐を組んで『何の話だっけ?』という顔をするカズマ。
自分に関わりのあることだと理解していないのかとちょっぴり情けなくなった。
「あのねぇ。朝授業の前に先生が言った事よ。【使い魔の品評会】!」
「そんなことか」
心底興味ない返事である。
「わかってる? アンタは私の使い魔なんだから一緒に出るのよ」
「あぁ? 聞いてねぇぞそんなの」
『あ、頭痛い』まさか本気で頭を抱えることになるとは。
「ちょっと考えたらわかるでしょ。アンタが認めようが認めまいがアンタは私の使い魔なの。
つまり私はアンタをお披露目しなきゃならないってワケ」
「オレには関係ねぇ」
「無いわけないでしょ。私が使ったサモン・サーヴァントの魔法でアンタが召喚された事実は曲がらない。
だからアンタが私の使い魔なの。なにがなんでも出てもらうからね」
「めんどくせぇ」
聞く気がないのか床に寝っころがる。
「めんどくさかろうが関係ないわ。私だってアンタをお披露目するのはイヤよ。
アンタがただの平民じゃないアルター使いとやらで、いくら強くても、
どうせまた平民を召喚しただのなんだの言われるコトぐらいわかってるもの」
「だったら「それでもね、やらなきゃいけないの。私は貴族なんだから」
『姫様から逃げるなんてマネできない』自らに言い聞かせるようにそう言うルイズを、
起き上がって正面から見据えるカズマ。
『なんだか初めてみたいな気がするわね、お互いの顔をちゃんと見るのって』
微妙に場違いなことを思い浮かべるルイズ。
二人してにらみ合うかのように固まることしばし、根負けしたのか、
先に目をそらしたのはルイズの方であった。ついでに言うと頬が少々赤い。
「…なによ」
「…なんにもやんねーぞ」
諦めたようにそう言うとカズマも目をそらした。
「とりあえずはそれでいいわ。ホントはなにか芸の一つでもやらせなきゃいけないんだけど…」
さすがにとてつもなく怖い目で見られたのでそこで言葉を濁す。
「と、とにかく。品評会に出てくれればいいわ。それ以上は妥協するから」
そういえばもう夕食の時間だ。話は打ち切り、とばかりに部屋を出ようとしたら声をかけられた。
「今夜も散歩するんだったら飯の後しばらく寝てろ。起こしてやる」
バレていたらしい。
「大きなお世話よっ!」
先ほどよりさらに赤い顔でルイズはそう怒鳴った。
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