「伝説の少年」(2008/02/08 (金) 13:00:12) の最新版変更点
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「僕の、勝ちだ」
少年はワルドに左手のデルフリンガーを突きつけた。
「ふ、ふふ、見事だ。まさか、平民の持つ銃ごときに倒されようとはな。遍在を全て一瞬
で撃ち抜くとは、見事としか言いようがない」
ワルドは少年の右手を見る。その手に握られていたのは、銃だ。
「ハルケギニアのフリント・ロック銃じゃないんだ。コルベール先生に作ってもらった、
僕の世界の銃。リボルバーさ」
少年が掲げる右手には、なるほど銃が握られている。だがそれは、パーカッションロッ
ク式リボルバーだ。
ニューカッスル城の教会で、少年は見事ワルドに勝利したのだ。
「凄い・・・まさか、あんたがそんなに凄いヤツだったなんて・・・」
ルイズは驚きと感激を隠せない。
それもそうだろう。彼は、どう見てもただの、いや人並み以下の少年なのだから。
背は低い、顔はイマイチ、貧相で頭も悪そう。性格もダメダメの泣き虫。召喚したその
日からしばらく、ずっと泣きわめいて助けを求め続けていたのだから。
さすがのルイズも呆れかえって、もはや彼に何の期待もしなかった。その主人と使い魔
の哀れさと情けなさは、クラスメートもからかうのが気の毒になるほどだった。
召喚された次の日、ギーシュに言いがかりをかけられたら、即座に土下座して謝り倒し
許してもらったくらいだ。
だが、しばらくして彼は、泣くのをやめた。
少しずつ、本当に少しずつだが、新しい生活に溶け込もうとし始めた。
確かに根性無しの泣き虫だったが、それでも少年は必死に頑張った。
元々がダメダメなヤツだったので歩みは遅い。それでも彼なりに少しずつ前に進んだ。
武器屋で偶然手にしたインテリジェンスソードを友とした。
彼の世界の武器である、新型の銃をコルベールに作ってもらった。
ハルケギニアの知識を身につけ、どうにかルイズの共が出来るくらいにはなった。
そう、ルイズも少年自身も思っていた。
だが結果はどうだ?
彼はニューカッスル城の教会で、ルイズの危機を救ったのだ。
ルイズを害しようとしたワルドを倒したのだ。ワルドの遍在4体、その全てを一瞬で。
彼が銃を抜いた瞬間を、ワルドすら見切れなかった。
少年は、普段からは信じられない凛々しさでワルドを見下ろす。
「連射出来るだけじゃないよ。弾丸の形もドングリ型にしてもらったし、銃身の中には溝
も掘ってもらった。威力も命中精度も、ハルケギニアの骨董品とは桁違いだ」
「見事だ。私の負けだ・・・殺せ」
だが少年は、銃も剣も下ろした。
「無理だ。弾切れなんだ。剣も全然使えないから、君を殺せない。この場は引き分けにし
て欲しい」
「そうか、ここはその言葉に甘えよう。さらばだ!」
ワルドは風の如く、教会を後にした。
「これで良かったのか?ホントは、弾丸が一発残ってたろうに」
デルフリンガーの言葉に、少年はしっかりと頷く。
「きっと、あの人とはいつか手を取り合えると思うんだ。さぁ、ルイズさん。帰ろう」
少年はルイズの手を取り、アルビオンを後にした。
ルイズは知らなかった。この少年が、貧相極まりない彼が、地球では高名なスナイパー
である事を。無敵のガンマンである事を。
あらゆる困難に立ち向かう勇気と、たゆまぬ努力を併せ持つ、真の勇者である事を。
彼の永久に続く冒険は、まだ始まったばかり―――
劇場版野比のび太を召喚
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