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「GTA:LCS-0 20」(2008/02/03 (日) 12:07:29) の最新版変更点
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4人が散々油を絞られている最中に俺は食事を済ますと、澄んだ闇夜が包む学院内を散策していた。取り合えず今日は喰っちゃ寝の一日に
なっちまうからな。
「こんばんわ、トニーさん」
聞き覚えのある声がする方に向くと、シエスタが石段に腰を下ろしている。この娘も気晴らしの散策だろうか。
「よう、シエスタ」
この娘は丁寧に挨拶を返してくる。全く、ここの連中に見習わせたいものだな。
「それにしても、昨日と今日の事で叱責が有ったとか無かったとか聞きましたけど?」
「はははは……そりゃ貴族の連中だ、付き添いの俺までそんな事されちゃたまらん」
ルイズ・タバサ・キュルケ・ギーシュが一同に揃って説教と言うのは珍しいらしく、内容の詳細は漏れてはいないものの笑い話のネタには
されており、こうやって平民でも声を上げて笑ってしまうようなものだという。ああ、詳細知ったらきっと『引く』だろうよ。
「ふふふ……そう言えば、トニーさんはどちらの出身なんですか?」
会話が一段落すると、シエスタは自分からこんな事を尋ねてきた。前にも一度こんな事を聞いてきて、答える気にはならなかったが、今回は
どう言う訳かすらすらと答えてしまった。気分的なものだろう。
「アメリカ合衆国の『リバティーシティ』って場所だが、この世界とは違う。多分異世界の住人だよ、俺は」
煙草に火をつけながら俺はこう答えた。多分間違ってはいないのだろう。だが、この言葉の後のシエスタの言葉は続かなかった。それどころか、
「あの……トニーさん、ありがとうございます」
「んん?」
行き成り礼まで言ってきた。
「行き成り何だ?俺は礼を言われる事はしていないぜ」
「いえ、何が起こってもめげずに、平民なのに貴族に立ち向かったり、そんなトニーさんに一杯勇気をいただきました」
礼の意味を聞くと、とても礼を言われる物ではない。
「トニーさんのお陰で、これからも頑張れます」
この言葉が大きく引っ掛かる。どうして引っ掛かるのかは詳細は分からないが、何か引っ掛かる。物凄く悪い意味合いで。
「おやすみなさい」
「……おやすみ」
俺は見逃さなかった、この娘の寂しそうな横顔を。
何ともしっくりと行かない挨拶をすると、俺は何をするのでもなく隠れ家(ルイズの部屋)に足が向いていた。そろそろ、油絞りも済んだ頃
だろうよ。
「……」
だが、何と言うか、帰路の途上にはやっぱりと言うか、子供が着けるにはちと早い気もするランジェリーに身を包んだキュルケが手薬煉引いて
待っていた。
「……キュルケ……何と言うか、すげぇ格好だなオイ」
「貴方を待っていたの、トニー」
この女の辞書には、疲労と言う言葉は存在していないらしい。ルイズ・タバサ・キュルケ・ギーシュは揃って説教されていたと思うのだが、
やはり子供は元気なものだ。
「おめぇも好きだねぇ」
半ば呆れが入った言葉と共に言うと、かなり年齢不相応な笑みを浮かべてこう言ってきた。
「ふふ、今日はトニーにあげたい物があるのよ……この間買ってきた金の剣なのだけど、どうせ私じゃ使わないから」
「いらねぇよ」
元々、あの煌びやかな剣は出所も存在も気に入らなかったし、剣を振り回す前に、ピストルの引き金を引いる方が早いかも知れん。第一、
実戦に耐えられるのかも正直微妙だしな。
「あら、御不満かしら?」
「元々剣を振り回す文化で生きていた訳じゃないしな」
ルイズが絡んだ厄介事にはしたくなかったので、当り障りの無い言葉を選んでその場を切り抜けようとする。だが、
「なら折角私の部屋の前を通り掛ったのだから、お茶の一杯位は召し上がっていってよ」
「……仕様が無い、御馳走になろう」
多分暫くこの世界に留まる事と、ルイズと付き合っていくと当然何かと世話になるかもしれないと言う事を考えると、無下に断わる事もできず
茶の一杯位なら付き合っても罰も当たらないだろう。
だが、この考えが甘かった。キュルケは性的な意味で俺を落とそうと本気で狙ってやがる。
「このトルマリンリングなんて、どうかしら?」
「……」
確かに茶は出て来た、かなりの上物が。多分、リバティーシティでもこれだけの上物の紅茶は手に入るまい。そう思えるほどの紅茶が出て来た
までは良かったのだが、此処からがキュルケの策だった。
「いや、ただ茶に誘われてきたのに、そんな上等な宝物受け取れるわけが無いだろ」
「別にそうは思わないけどねぇ」
一緒に向かい合って茶を御馳走になったまでは良かったのだが、キュルケは自分の宝箱とも思える小さい箱からこれでもかと、宝物と言っても
差し障りの無い金・貴金属・豪華な細工物を出して俺に勧めてくるのだ。
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