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「ゼロの因果導体-01」(2008/01/08 (火) 06:17:25) の最新版変更点
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「あんた誰?」
「え?」
目の前にいきなりピンク色の髪の少女が現れた。
自分は今し方ベータに自分の搭乗していた戦術機を粉砕され死んだはずだった。
しかし今は緑の草原に石造りの大きな城が見える。
欧州的な建築物だが欧州はベータの侵攻によって最後まで生き残っていたイギリスも破壊されているはずだ。
さらに自分の周りには某ポッター家のハリーくんの冒険を描いた小説の世界のような格好をした少年少女たち。
まったく理解できない状況である。
自分はついさっきまで最前線で戦っていたはず、それが今ではどこか分からないところに居る上、訳も分からない連中に囲まれている。
死ぬ直前の幻覚でも見ているのかもと頬を抓ってみるとずきりと痛みを感じた、紛れも無くこれは現実だろう。
「ちょっと! 黙ってないで答えなさいよ!」
自分の体を見てみると99式衛士強化装備ではなく何故か国連軍の群青色の戦闘服姿。
ヘルメット、防弾チョッキ、自動小銃、さらにピストルや手榴弾までも装備してある、傍にはご丁寧に背嚢まで用意されている。
「えーマジ平民!?」
「キッモーイ!」
「平民の召喚が許されるのはゼロのルイズまでだよねー!」
「キャハハハハハハ!」
失礼な連中だが無視して背嚢を背負う。
「私を無視するなー!!」
ピストルをホルダーから抜き、マガジンをセットして構えた。
「おいっ! ここはいったい何所だ!?」
さっきの少女にピストルを向ける。
「ちょ…ちょっと! あんたいったい何を……」
「ここは何所だと聞いているッ!」
少女が言い終わらないうちに足元にピストルを一発撃った。
周りの連中の笑い声が止まり、恐怖心の混じったざわめきへと変わる。
「こっ…、ここはトリステイン! トリステイン王国のトリステイン魔法学院よ!」
トリステイン王国? 魔法学校? こいつは人を馬鹿にしているのか? それとも頭がイッちゃっているのか?
さらに少女の足元にピストルを一発撃つ。
「ふざけるのもいい加減にしろッ! 本当のことを言えッ! さもなくば……ッ!」
「ほ、本当よ!」
少女は涙目になって言った。しかし魔法だの何だのと言う事を信じるわけがない。
「これが最後だ! 次に嘘を吐けば本当に……」
言い終わらないうちに地面から足が離れるのを感じそのまま地面に思い切り叩きつけられ、そこで意識が途切れた。
※ ※ ※
「タバサ……、アンタもたまには大胆なことやるわねぇ……」
キュルケは驚いたように言った。
「大丈夫……死んでない……」
「いや、そういうことじゃなくて……」
ルイズは体から力が抜けその場にへたり込んだ、何しろ召還した男がいきなり自分に発砲したのだ。
立ち上がり恐る恐る自分が呼び出した男に近づいた、どうやら気絶しているようだ。
それにしてもこの男、変わった身なりをしている。
いったい何所から来たのだろうか、しかし平民を使い魔にするというのは……
「コルベール先生。召喚のやり直しを……」
「だめです、ミス・ヴァリエール」
「で、でも平民の上、いきなり銃を撃つような奴とは……」
「残念ながら一度呼び出した『使い魔』は変更することはできない。何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だからだ。いきなり銃を発砲する輩でも、彼を使い魔にするしかない」
ルイズは泣きそうになった。何しろ自分に向けていきなり発砲するような奴を使い魔にしなくてはならないのだ。
「ううう……。感謝しなさいよ、貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから。」
※ ※ ※
『ね…、…ル…ちゃ…、起……よ!』
煩いなぁ、純夏は……。もう少し寝せてくれてもいいだろ……。
『学…に遅……ちゃ…よ! ……って…!』
あともう少しだけ……もう少しだけ……。
「起きろって言ってるでしょう!! この馬鹿ぁー!!」
足に強烈な痛みが走った。
「痛ぇな……誰だよ……」
目を開けると誰かが仁王立ちしていた。
「おお、目覚めたようですね。」
目を覚ますと椅子に座らされていた、しかも手足を縛られて。目の前にはさっきの少女。そして向こうの机にはさっきの禿げたおっさんと俺の装備一式が机の上に置いてあった。
「俺をどうする気だ? 拷問でもして機密条項を吐かせようってか? 残念だが俺はそんな大層な身分じゃないぜ」
「そんなこと誰がするものですか!? アンタ、名前は?」
「は?」
「な・ま・え・は!?」
「人に名前を聞くときはまず自分から名乗るもんだぞ」
「平民の癖に生意気ね……、私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」
「俺は国連軍横浜基地所属、A-01連隊隷下第9中隊隊長のタケル・シロガネ大尉だ」
任官からもう4年。俺は少し前に大尉にまで昇進していた。
「コクレングン? ヨコハマ? 何それ? それにあんた将校ってことは貴族なの? そうは見えないわね」
「そんなことはどうでもいい。もう一度さっきの質問をする、ここはいったい何所だ!? それと何故俺をこんな所に連れてきた!?」
「だからトリステイン魔法学院よ! それとあんたは私に使い魔として召喚されたの!」
「ハア? 魔法? そんなの今時誰が信じるってかってーの、バーカ!」
少女にまた無言で思い切り足を蹴飛ばされる。
「痛ってぇなあ…、そんなに信じさせたいならその魔法とやらをやって見せろよ」
無論出来る訳が無いだろう、常識で考えて。
しかし自分の予想を超えたことが目の前で起こった。
壁際にあった花瓶に少女が杖を向け、何かを唱えると爆発したからだ。
「あああ……、ミス・ヴァリエール何と言う事を……、あれは……良い物だったのに!!」
「す…、すみませんコルベール先生。ちゃんと弁償しますんで……」
目の前の光景に呆気に取られていた。
火薬を使ったようには思えない。火薬を使えば硫黄なり硝煙なりの匂いで分かる、しかしそんな匂いはしない。
ふと窓の外に目をやるとさらに信じられないものを目のあたりにした。
これを見なかったら彼女の言ったことなど信じなかったろう。
「―――月が……、二つ……、あるだって……?」
自分が元居た世界にも、飛ばされた世界にも月は一つしかなかった。なのにここは月は二つある。
「マ…、マジで……?」
ようやく理解できた。
――――――自分は『また』違う世界へと飛ばされてしまった。――――――
そう、『また』なのである。
前は『ベータ』とか言う分けの分からない地球外生命体によって滅びかけた世界、今度は魔法の世界。
一度ならず二度までも違う世界に飛ばされたのである。
もう笑うしかない、神様というものが居たとしたらいったい自分に何をやらせたいのだろうか。
いや、ただ嫌がらせをしたいだけなのかもしれない。
どうせ一度は失った命だ、この嫌がらせにとことん付き合ってやろう。
「面白い、その使い魔とかいうの、やってやろうじゃねぇか!」
「フンッ! 私はアンタを使い魔にするのは嫌だけど、留年はもっと嫌だから我慢してあげるだけよ!」
「それよりいい加減縄を解いてくれ。痛くてたまらないんだけど」
「いいけどもういきなり銃を撃ったりしないわよね?」
「神に誓ってもうしない」
※ ※ ※
「ったく、痕になっちまってる……。あれ? 何だこれ?」
左手を見てみると何か変な文字のようなものが刻まれていた。
「ふむ、珍しいルーンだな」
禿げたおっさんが左手の甲を覗き込む。
「少し見せてくれないか?」
「まあ、いいですけど…」
そう言うと手の甲の文字を書き写し始めた。
「なあ、これはいったい何なんだ?」
ルイズという少女に聞く。
「ルーンよ。それが使い魔である証」
「で? 何か役に立つのか?」
「何の効果があるかは私にも分からないわよ」
じっとルイズの目を見る。
「な、何よ!? じっと見つめたりして!?」
「いや、相手を1度だけ自由に操れたりするかなと思って……」
「ギ○スじゃないわよ!!」
何故ルイズが王の力を知っているかは皆様のご想像にお任せする。
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