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#navi(ゼロのアトリエ)
「あさー、あさだよー。」
誰かの声がする。誰だっけ?
まあいいや、もう少し寝ていよう…そう思って体を丸めようとした瞬間、毛布が剥ぎ取られる。
「お目覚めですね? ご主人様!」
そう言ったヴィオラートの笑顔には、ルイズ自身の言った事は絶対に守らせる!という 凄みがあった。
ゼロのアトリエ ~ハルケギニアの錬金術師4~
「ああ、ヴィオラート…そうね。昨日、召喚したんだっけ…」
ルイズはのそのそと起き出して、ヴィオラートに命じる。
「服。」
ヴィオラートは一瞬怪訝な顔をするが、すぐに納得したのかルイズの服一式を用意する。
「着せて。」
今度はあっさりと、ルイズの着替えを手伝うヴィオラート。
しかし、ルイズはなんとなく居心地悪さを感じ始めていた。
(何なの、この…私をイツクシムような、ヤサシサあふれる視線は…)
なんで着替えぐらいでこんな気持ちにならなければならないのか。
(ひょっとして、私をかわいそうな子扱いしてるんじゃないでしょうね!)
苛立ちをおぼえて振り向いたその先には、しかし、
「ん?」
ヴィオラートの、人懐っこい微笑があるだけで。
「な、何よ。さあ、着替え終わったらさっさと行くわ。朝食よ。」
ばつが悪くなったルイズは、正体不明の何かから逃げるように扉を開けた。
「あら。おはよう、ルイズ。」
嫌なやつに会った。ルイズが扉を開けたちょうどその時、同じように扉を開けて燃えるような赤い髪の女の子が姿をあらわしたのだ。
「…おはよう。キュルケ」
義務的に挨拶を返す。
魔法が使えて、あらゆる意味の色気にあふれ、そして何より、おちちが…おちちが大きい。
その存在全てがルイズの感情を逆撫でする、まさに不倶戴天の仇敵であった。
「あなたの使い魔って、それ?」
彼女は小馬鹿にした口調で、ヴィオラートを指差す。
「そうよ。」
「あっはっは! ホントに人間なのね! すごいじゃない! 流石はゼロのルイズ!」
「うるさいわね」
「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って一発でね?」
「あっそ」
「どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわよね~。フレイム!」
キュルケがそう呼びかけると、キュルケの部屋からのっそりと、オレンジ色の大きなトカゲが現れた。
「ああっ、サラマンダー! 大丈夫なの?」
ヴィオラートは驚いて、距離をとりつつ秘密バッグの口に手をかける。
「平気よ。あたしが命令しない限り、襲ったりしないから。それより見て、この尻尾。素晴らしいと思わない?」
たしかにすごい。ルイズから見ても素晴らしいと思う。正直羨ましかった。
しかし、まさにそこがルイズの癇に障る。自分が不甲斐ないからキュルケなんかを調子に乗らせる。
「へえ~、こんなのも使い魔になるんだー。触ってもいいかな?」
ヴィオラートがしきりに関心を示しているのも気に入らない。何だというのだ。
キュルケなんか…ツェルプストーなんかに愛想をふりまかなくてもいいのに!
「あなた、お名前は何とおっしゃるの?」
「あたしはヴィオラート。」
「ヴィオラート。いい名前ね。あたしはキュルケ。微熱のキュルケ。」
キュルケはそこで一旦区切ると、ルイズにあてつけるように胸を張り、ルイズに向かって艶かしい視線を送る。
「ささやかに燃える情熱は微熱。でも、世の男性はそれでいちころなのですわ。あなたと違ってね?」
キュルケは視線をヴィオラートの胸に移動させ、その後視線をルイズの胸に固定し、嘲るような笑みを浮かべる。
「じゃ、失礼?」
そのまま、キュルケはさっそうと歩いていく。歩く姿でさえ何だか様になっていた。
「くやしー! 何なのあの女! 自分がサラマンダーを召喚できたからって! ああもう!」
やり場のない憤りを抱えたまま、ルイズはちらりとヴィオラートの胸をチェックする。
(使い魔のくせに、つつつ使い魔のくせに! この学院じゃキュ、キュルケの次に大きいんじゃないの? 腹立つわ!)
キュルケが胸山脈なら、ヴィオラートは胸連峰。私はせいぜい河岸段丘、河岸段丘のルイズ。はは。
「ルイズちゃん?」
様子のおかしいルイズを心配したのか、ヴィオラートがひざを屈めてルイズを覗き込む。
ヴィオラートの顔と一緒に胸部もルイズの視界に入ってくることになり、ルイズは理不尽な怒りを覚えることとなる。
「だ、だいたいあんたが!」
「え? あたしが?」
言葉に詰まる。ヴィオラートは何も悪くないのだ。それどころか、今の今まで胸を意識せずにいられたのは、ヴィオラートの気遣いによるところ大であろう。何を責めるというのだ。
自分にとって最高の使い魔であるとルイズ自身がそう思っているのに、何が悪いと言えばいいのだろう。
「…河岸段丘…」
「え?」
思わず口をついて出た言葉は、ヴィオラートに悩みを打ち明けたいという依頼心のあらわれであろうか。
「な、何でもないわ! さっさと行くわよ!」
照れ隠しなのか、廊下をまさにのし歩くルイズの後姿を見つつ、ヴィオラートはルイズの発した言葉の意味を勘案しつづけるのだった。
「…河岸段丘?」
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