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「超魔王(?)使い魔-9」(2007/07/14 (土) 21:56:52) の最新版変更点
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ふう。一時はどうなるかと思ったが無事に脱出できたな。あのマルトーとかいう料理人、なかなかの腕前だった。
あとあのシエスタとかいうメイド…あいつには気を付けよう。いろいろと危ない気がするからな。
「…どこ行ってたのよ」
「さあな。どこでもよいだろう」
バカ正直に言ってまた厄介な目にあうのは御免だからな。ここは適当にながすことにする。
「まあいいわ。今から授業だから」
「そうか。ではオレは部屋に戻って寝ることに…ぐえっ」
部屋に戻ろうとしたらマフラーを引っ張られた。く、首が…絞ま…
「あ・ん・た・も・来・る・の!使い魔なんだから当たり前でしょ!」
「わ、分かったから、は、離せ、ぐるじ…」
やっと離した。し、死ぬかと思った…
「何をするのだ貴様!危うく死ぬところだったぞ!」
「何か文句でもあんの?」
「ないとでも思っているのか!?」
「…ご主人さまに対する口の聞き方ってもんが分かってないみたいね。もう一回絞めてあげましょうか?」
「や、やめんか馬鹿者!授業に行くんだろうが!さっさと行くぞ!」
「ご主人さまに命令とはいい度胸じゃない…何様のつもりよ!」
ぎゃーぎゃー言い合っているうちに教室についたらしい。人間が大勢いた。オレ達が入った途端にシン、と静まり返る。
そして少しすると今度はひそひそと小声で話し始めた。なにやらゼロのルイズがどうのと言っている。
ゼロ。おそらくこいつの二つ名だろう。意味は分からないがあいつらの言い方からしていい意味ではないのだろう。
…気にいらんな。何か言いたいなら堂々と正面から言えばいいものを。
しかしゼロとは何なんだろうか。想像がつかん。しかたないのでコイツに聞くとするか。
「おい、あいつらが言っているゼロとはどういう意味だ?」
「ッ!うるさいっ!どうでもいいでしょ!」
…やはりいい意味ではないようだな。これ以上深く追求するとまた殴られそうだしやめておこう。
椅子に座ろうとしたら蹴り飛ばされた。使い魔は床なんだそうだ。反抗したら無視された。ムカつく。
まわりを見渡してみるといろいろな魔物がいた。魔界にいた魔物に似ているものもいたがどこかが違う。
悪魔も天使もいないのに魔物はいる。よく分からない世界だ。
そんなことを考えていると何やらババアがでてきた。おそらくあれが教師だろう。
「皆さん、春の使い魔召喚は成功したようですね」
そういいながら教室を見渡す。オレを見たところで少し驚いたような顔をした。
「おやおや、ミス・ヴァリエール。ずいぶんと変わった使い魔を召喚したのですね」
そういうと何人かがくすくすと笑う。
「ゼロのルイズ!召喚に失敗したからって平民の子供なんか連れてくるなよ!」がらがら声のデブがそういうとまわりの奴らがどっと笑った。
「うるさいわね!失敗なんかしてないわよ!ただコイツが勝手に来ちゃっただけよ!」
「お前が勝手に喚んだんだろうが!」
「アンタは黙ってなさい!私だって好きで喚んだワケじゃないわよ!本当ならもっと強くてカッコイイのがでてくるはずだったのに…
それをアンタが邪魔したんでしょ!」
「なんでオレ様が貴様なんぞの邪魔をわざわざせねばならんのだ!」
「おいおい、使い魔のせいにするなよゼロのルイズ。召喚できただけでも奇跡なんだからな!」
「うるさいわね!かぜっぴきのマリコルヌは喋らないで!耳障りなのよ!」
「なんだと!俺はかぜっぴきじゃない!風上のマリコルヌだ!」
「オレ様を無視するな!」
三つ巴で罵り合っているとやっと教師が止めに入ってきた
「静かに!静かになさい!…まったく。お友達同士でゼロだのかぜっぴきだのと言ってはいけません。
それと、ミス・ヴァリエール。使い魔とは仲良くなさい。これから一生をともにすることになるのですから」
「…はい」
やはり教師には逆らえないらしい。コイツがおとなしく引っ込むのならオレもこれ以上続ける意味がない。
「先生、僕のかぜっぴきはただの中傷ですがルイズのゼロは事実です」
この言葉に何人かがまた笑う。
…どうやらデブは引っ込む気がないらしい。第二ラウンドか?
…第二ラウンドは始まらなかった。あのシュヴルーズとかいう教師がデブと笑ったやつらの口を赤土の粘土で閉じたからだ。
予想はついていたがこの世界の魔法は魔界や天界のものとは大きく異なるらしい。
詠唱に悪魔言語も天使言語も使われていないのがその証拠だ。
すでに始まっている授業の内容から分かったことが二つある。
この世界の魔法は火、水、土、風、虚無の五つの系統からなるということ。
ただしそのなかでも虚無は使い手が失われてすでに久しくほぼ伝説となっていること。
あとはドットやラインなどという単語が出ていたがこれについてはよくわからないのでコイツに聞くことにする。
「おい、ドットとかラインというのはいったい何なのだ?」
「そんなことも知らないの?まあいいわ。教えてあげる。簡単に言えば強さのランクのことよ。
ドット、ライン、トライアングル、スクウェアの順に強くなるの。
系統を足せる数でクラスが決まるの。一つならドット、四つならスクウェアね」
自慢げに言ってくるのにはムカッときたが説明は分かりやすかった。だが長話をしていたのがまずかったのだろう。
「ミス・ヴァリエール!たしかに仲良くなさいとは言いましたが授業中にとは言っていませんよ?」
注意されてしまった。
「も、申し訳ありません、ミス・シュヴルーズ」
アンタのせいよ!と言いたげな目でこっちを睨んでくる。知らんぷり知らんぷり。
「丁度いいですわ。ミス・ヴァリエールには前にでてきて錬金をやってもらいましょう」
その発言に教室がどよめく。
「ミス・シュヴルーズ。やめた方がいいと思います」
あいつは朝のむちむち女か。たしか…キュルケ、だったか。
「あら、どうしてですか?」
「危険です」
その言葉がカンに触ったのか隣から明らかな不機嫌オーラが出始めた。
「やります。やらせてください」
…黒いオーラが出ているのは気のせいだと思いたい。
「ルイズ、やめ…何でもないです」
一睨みでキュルケを黙らせている。しかしまわりのやつらは何をそんなに怯えているのだろう。錬金をすることに何か関係があるのだろうか。
アイツが教卓に向かったことで空いた席に座る。戻ってきたらまた立つことになるだろうが今のうちなら別にかまわないだろう。
アイツを止めようと多くの生徒が必死で叫んでいるがその度に凄まれて黙らされている。
諦めた生徒はなぜか机の下に潜り込んでいる。
「おい、なぜ机の下なんかに潜り込んでいるのだ?」
「お前、ルイズの使い魔のくせに知らないのか?悪いことは言わないからお前も隠れた方がいいぞ」
?…よく分からない。やっと座れたのに何で自分から立たねばならんのだ。
「忠告はしたからな。どうなっても恨むなよ」
アイツが小石に向かって杖を振る。その瞬間、
ドカァーーーン!!
小石が爆発した。
しかも大爆発。破片が飛んでくるがなんとか伏せてかわす。
爆発に驚いた魔物どもが暴れはじめ、生徒達は生徒達で怪我人がでたりして大騒ぎだ。こういうのを阿鼻叫喚というのだろう。
そんな中この災害の元凶はちょっと埃をかぶっただけのようだ。これはすごい。素直に感心した。
そして元凶が口を開く。
「ちょっと失敗したみたいね」
「何がちょっとだ!このゼロめ!」「魔法成功率ゼロのくせになんで錬金なんかするのよ!」「だからやめろって言ったのに!」
口々に文句を言う。そして文句を言ったやつが左から順に吹っ飛ばされていく。…容赦なさすぎだろう。
あのあと意識のある人間がもといた数の半分以下になったあたりで気絶していたシュヴルーズが起きて暴れているアイツを止めた。
…そしてオレ達は今その後片付けをさせられている。当然といえば当然だ。コイツがやるのはな。だが…
「何でオレ様までやらねばならんのだ!」
「使い魔なんだから当たり前でしょ。主人の不始末は使い魔の不始末でもあるの。口を動かす暇があるなら働きなさい」
「なら貴様もやれ!さっきからそこに突っ立ってるだけではないか!」
「あら、失礼ね。ちゃんと机拭いてるじゃない」
「一つの机をいつまで拭いてるつもりだ!」
「私は几帳面なのよ。とにかくさっさとやりなさい」…これ以上は言っても無駄か。だがそれよりも気になることが一つある。
「…何でこいつがここにいるんだ」
「え?私ですか?いえいえ、気にしないでください。うふふふふ…」
なぜかシエスタもいるのだ。こっちはちゃんと働いているのでまあ役には立っている。…時折妙な視線をこっちに向けるのを除けば、だが。
「さすがに二人じゃこれを片付けるのは無理だろうからって先生が手伝いを何人か呼んでもかまわないって言ったのよ。
それでそれを聞いてたこのこが手伝いたいって言ってきたからね。人手が多いに越したことはないでしょ?」
…ならお前も働けよ。ていうかこいつ話聞いてたってまさか尾けてたんじゃないだろうな?
「あ、それじゃあ私バケツの水替えてきますね」
そういってシエスタが教室から出ていく。…こっちを見ながら。ええい、無視だ無視!
それよりも…
「魔法成功率ゼロ。だからゼロのルイズか。」
ピクっと反応する。
ニヤニヤ笑いながらさらに追撃をかける。
「いやいや、大した威力だなあ?錬金というのは爆発させる、という意味なのかあ?」
肩が震えている。クックックッ…今までの恨みを晴らしてやる!
「今まで偉そうにしていたくせにマトモな魔法の一つも使えないのか?とんだ魔法使いもいたものだなぁ?」
そろそろ爆発するころか?と思っていたら、予想外のことが起こった。コイツは…ルイズは泣いていた。
「うっ…くっ…うるっ…さい!私、だっ…私だって!好きで失敗してるんじゃないわよ!」
そのまま走り去ってしまった。
クソッ…まさか泣きだすとは…
「あの、どうしたんですか?ミス・ヴァリエールはその…泣いてらっしゃったようですが」
「知らん!」
オレ様が悪い…のか?いや、オレは悪魔だぞ?悪いことをして何が悪い!…ええい、意味が分からん!
悩んでいるとくすくすと笑い声が聞こえてきた。
「何がおかしい!」
「いえ、すみません。ですがあの、悩んでいるくらいなら何か行動を起こすのも悪くないですよ?」
どうやら顔に出ていたらしい。
「別に、悩んでなどおらん!」
「ふふっ、じゃあそういうことにしておきます。…でも、泣いている女の子を慰めるのは男の子の義務ですよ?
自分で泣かせたのならなおさらです」
…フンッ
………
「おい」
「はい、何でしょう?」
「…少し、用事ができた」
「はい」
「だからあとは…っておい!何を笑っているのだ!」
「いえいえ、笑ってなどおりませんよ。ふふっあとは任せてください。しっかりと片付けておきますから」
「…フンッもうよい!」
「いってらっしゃい」
ルイズめ…オレ様に恥をかかせおって!
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