「ゼロガー1-15」(2007/09/28 (金) 22:36:35) の最新版変更点
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#openclose(show=ゼロガーその1){視界一杯に広がる青空
(ここは何処だ?)
それは自分に何が起きたのか確かめるため冷静に記憶を遡る
(我はいつものように双葉のコークスクリュードロップキックを受けて吹っ飛んだ
その時光り輝く鏡のような物が現れて…)
そこまで思い出したところでよく通る少女の声に注意を向ける
頭髪の淋しい中年男性に向かって「何かの間違い」とか「やり直させて」とか言っているピンクの髪の少女
「取り込み中失礼する、少々尋ねたいことがあるのだが…」
「な、何よアンタ!?!」
跳び上がって驚いたあと露骨に警戒の表情を浮かべる少女
まあ無理もあるまい
さっきまで草原に転がっていた石像がいきなり自分の傍に瞬間移動したうえ口をきいたのだ
「人にものを尋ねるときは自分から」と言いたいところだがここは相手の警戒を解くのが先だと判断する
「我の名はガーゴイル、吉永家の門番なり」
}
#openclose(show=ゼロガーその2){
「二度あることは三度あると言いますが…」
「本当にお主までやって来るとはな」
「ルルル」
なんやかんやでほぼ原作通りの展開を省略し(ry
皆が寝静まった夜の宿舎の屋上でガーゴイルは「仲間達」と情報の交換をしていた
一番最初にキュルケに召喚されたのがケルプ
二番手がギーシュに召喚されたオシリス
デュラハンはタバサに召喚され
最後がガーゴイルという訳である
「それにしても我々四人(?)が揃って異世界に召喚されるとはどんな偶然が作用したのか…」
「理由なら色々考えられるぞ、原作が同じ出版社から出てるとかアニメの脚本家が同じとか」
「ルルル、メタナ発言禁止」
「さしあたって今後の行動の方針だが…」
「それは今更ですな」
彼ら錬金術によって生み出された人工生命の使命は等しく「人の幸せを守ること」である
異世界であろうと使い魔の身であろうとやる事が変わる訳ではない
元の世界に返る方法が見つかるまではこちらの世界で出来ることをやろう
そう決意する四人(?)であった
}
#openclose(show=ゼロガーその3){
「何だ何だ!?」
「ギーシュが“自分の使い魔”と決闘だってよ!!」
もうすっかりお馴染みとなった恒例のイベント
今回ギーシュの相手を務めるのはギーシュ自身が召喚したオシリスである
事の起こりは昼休み
自室で明らかに複数の女性向けとわかる香水を用意していたギーシュを見て「二股イクナイ」
と諭すオシリスに「主人に説教するとは何事か!?!」とギーシュが逆切れ
オシリスも売られた喧嘩を断るような性格ではなく気が付いたらヴェストリの広場でギーシュと対峙していた
自分の使い魔と決闘したところで勝っても負けても恥をかくのはギーシュなのだが
興奮したギーシュは生意気な使い魔を力で屈服させることしか頭に無い
(自分は阿呆な主人に当るのが宿命(さだめ)なのだろうか?)
“るーるるー”と竹本泉調で心の中で涙するオシリスに向かってすっかりヤラレメカ(?)
が定着したワルキューレが迫る
さっさと片付けようと青銅のゴーレムに向かって伸ばされた触手を
ザシュッ!!
ワルキューレの剣が断ち切った
}
#openclose(show=ゼロガーその4){
「いやいやあっさり片付くかと思いましたが…」
「なかなかやるではないか」
「ルルル」
ガーゴイル、ケルプ、デュラハンその他大勢が見物する中
ギーシュとオシリスの対決は白熱した一進一退を繰り返す見応えのあるものになっていた
オシリスが繰り出す触手の連撃をワルキューレの剣が受け流し、撥ね退け、切り落とす
だが斬られた端から瞬時に再生する触手に阻まれオシリスに近づくことが出来ない
真剣な顔で杖を構えゴーレムのコントロールに集中するギーシュの姿を見て好戦的な笑みを浮かべるオシリス
自分の主人が只の阿呆ではなくそれなりの実力の持ち主であることが判ったのはオシリスにとっても嬉しい誤算であった
魔力の有無は持って生まれた資質だが効率よく使いこなすために必要なのはあくまで本人の修練である
そして軍人の家系に生まれ肉体的にも精神的にもタフな家庭環境で育ったギーシュはアレな性格は別にして
ことゴーレムの操縦にかけてはすでに達人級の腕前に達していた
休み無く攻め立てる二本の触手を巧みに捌きながらじりじりと距離を詰めるワルキューレを突き放そうと束ねた触手で大振りの一撃を繰り出すオシリス
ワルキューレは破城槌に等しい一撃を跳躍して躱すと同時に剣を奔らせる
ガッ!!
咄嗟に上体を反らせたオシリスを掠めた剣先は胸元を覆っていた装甲を剥がし
Fカップはあろうかというオシリスの生乳が大勢のギャラリーの前に“ブルン”と晒される
}
#openclose(show=ゼロガーその5){
その瞬間広場は水を打ったような静けさに包まれた
人々は片言も発する事無く
両手で胸を隠して蹲り
目に涙を浮かべてプルプルと震えるオシリスを凝視している
「ぶっ…ぶっ……」
「いかん!」
「無礼者ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
オシリスがキレた
オシリスの周囲の地面が地雷が爆発したかのように弾け
鎌首をもたげた触手の群れが全方位に向かって光線を乱射する
「ぶるぅぅぅぅああああああああああっ!!」
最大出力で障壁を張り巡らしギャラリーへの被害を防ぐガーゴイル
上空に舞い上がったケルプとデュラハンがオシリスに向かって光弾を放つ
轟音とともにオシリスの上半身が吹っ飛んだ
「落ち着きましたか?」
「ふう、妾としたことがつい我を忘れてしもうた…」
ビデオの早送りのようにあっという間に生え変わったオシリスの上半身が
何事もなかったかのように言う
無限の再生能力を持つオシリスにとっては大樹の葉の一枚が落ちたほどのことでもない
「ところでギーシュはどうなったのじゃ?」
「あの状態のまま放置しておけば速やかに窒息死するであろう」
自らの鼻血で作った血溜りにうつ伏せに倒れていた
}
#openclose(show=ゼロガーその6){
「知らない天井だ…」
「何を言うておる、お主の部屋じゃろうが」
ギーシュは自分の部屋のベッドの上で意識を取り戻した
「ずっとついててくれたのか?」
「一応お主の使い魔じゃからな」
露骨にイヤそうな顔をするオシリス
「済まなかった」
上体を起こしたギーシュは頭を下げた
「今度の事で僕は自分の未熟さを思い知ったよ」
普段のおちゃらけた態度を払拭したギーシュはオシリスでさえ思わず見惚れるほどいい男だった
「僕は一から自分を鍛えなおすことにしたよ、是非君にも協力してもらいたい」
ベッドから降り立ち強い意志の力を感じさせる瞳でオシリスを見つめるギーシュ
「う、うむ。わ、妾に出来ることなら…」
オシリスはめがっさ動揺している
「自分の使い魔の胸を直視したくらいで鼻血を噴いているようでは『全ての女性を幸福にする』
という僕の理想には届かない」
「おい…」
「まずは身近な弱点を克服することから始めよう」
「ちょっと待て!」
ギーシュは大真面目な表情でオシリスの両肩に手を置いた
「さあ、君のその胸でおもいきり“パフパフ”を…」
「この痴れ者があーっ!!!」
怒りの触手がギーシュを締め上げる
砲丸投げの要領で振り回し充分に遠心力が乗ったところで窓に向かって投擲
ガラスの破片を振り撒いて空中に飛び出したギーシュは曲射弾道を描いて校舎を飛び越え
学院裏手の土手に頭から着弾する
飛距離:97.34メイル
室伏広治もびっくりだ
}
#openclose(show=ゼロガーその7){
「次に『あの作品のキャラがルイズに召喚されました』スレにおけるフーケの死亡率が非常に高いことから木村亜希子ファンクラブは
スレ主に対して『フーケ保護条例』の制定を求める意見書を…」
時々ナゾな電波を拾うモバイルフォンのニュース放送を止めたオシリスは黙々とトレーニングを続けるギーシュを見て目を細めた
「なかなか頑張っているではないか」
「阿呆は阿呆なりに期するものがあるのであろうよ」
いつの間にか隣りに現れたガーゴイルにまんざらでもなさそうに答える
実際その日は虚無の曜日だというのに陽が昇る前に起床したギーシュは「魔術の鍛錬は精神力の鍛錬、精神を鍛えるには肉体を鍛えるのが一番」
とどこぞのサイコダイバーのようなセリフを吐いて石を詰めたザックを背負ってロードワークをこなし今は腕立て伏せと腹筋とスクワットを
短い休憩を挟みながら何セットも繰り返している
「むっ」突然緊迫した声を出すガーゴイル
「どうしたのじゃ?」
「どうやらルイズが目覚めるようだ、我が控えておらぬとまた機嫌を損ねる」
「お主がおらぬほうが色々な意味で平和だと思うが?」
ガーゴイルの正論ではあるがいちいちルイズのコンプレックスを逆撫でする「助言」にブチ切れたルイズが
ところかまわず失敗魔法を炸裂させる一連の流れはすでに日常のひとコマになりつつある
ガーゴイルがアドバイスを控えれば大半の被害は回避可能なのだが超合金の意志を持つ門番型自動石像がそんな「弱い考え」をよしとするはずもなく
「だが断る」と言い捨ててルイズのもとへと転移する
「難儀な奴よのう」
そう呟いたオシリスが別な意味で難儀な性格の自分の主人に目を移すとなにやらギーシュは中国拳法とモダンバレエを
ミックスしドイツ表現主義で味付けしたような奇怪な動きで全身をクネクネさせている
セクシーコマンドー?
アバンギャルドな演舞を続けるギーシュを一人残して森に分け入るオシリス
学院を見下ろす丘のうえにやって来ると周囲に人気が無いことを確認しやおらギーシュの動きを真似てリズムをとり始める
「む、これはなかなか…」けっこう楽しいらしく次第にヒートアップしていくオシリス
緑の髪が宙を舞い釣鐘型に張り出した見事なバストがたっぷんたっぷんと(ry
「誰じゃ!」ダンスに熱中していたオシリスが背後で急速に高まった魔力の気配に気付いたときには遅かった
フラッシュライトに似た青白い閃光が収まったあとには氷の彫像と化したオシリスが朝日を浴びて宝石のように輝いていた
}
#openclose(show=ゼロガーその8){
「そういえばギーシュは何処行ったのかしら?」
その日は学園祭の初日でありスペシャルゲストのアンリエッタ王女を迎えるため生徒職員一同が正装で校庭に集まっている
「おそらくはまだオシリスを捜しているのだろう」
「オシリスってあのいけ好かない植物女?」
雑草のくせに何よあの胸はと険のある表情でブツブツと呟くルイズ、大変分かりやすい
「で、そのオシリスが遂にギーシュに愛想尽かして出ていったって訳?」
「いや、それは無いな。あ奴は口では色々言っているが内心ではギーシュを仕えるに値する人物と認めている」
「じゃあ何でいなくなったのよ?」
「不明だ、我やケルプ、デュラハンらも時間の許す限り探索を続けているのだが…」
「ふーん、それにしてもあのギーシュが王女様にお目にかかる機会をふいにして使い魔探しを優先させるなんてねぇ」
「ルイズは我が消えたらどうする?」
「当然、アンタみたいに口の減らない犬っころはお払い箱よ!」
「うむ、了解した。感謝する」
「はあ?何言ってんのよ?」
「ケルプに聞いたのだがツンデレの本心は常に言葉とは真逆のところにあるそうだ、つまりルイズの本心は…」
「うるさい!うるさい!!うるさい!!!」
杖を振り上げ呪文を詠唱しようとするルイズの口に赤土が張り付いた
「ミス・ヴァリエール、王女様のお出ましですよ」
おお、ミス・シュヴルーズがルイズに一矢を報いた
全校生徒と教職員が整列して待ち構える正門の彼方から
パパラパーパララ!
高らかに鳴り響くトランペット
「む…」
ズンズンダン!ズンズンズダンダン!
周囲を圧するスネアドラムの重低音
「まさか……」
脂汗を流すガーゴイルの視線の先に光り輝く黄金のキャデラックのオープンカーが姿を現す
後部座席には金色のスーツを着たリーゼントに囲まれ引き攣った笑顔を浮かべたアンリエッタ王女がいた
}
#openclose(show=ゼロガーその9){
学園祭は盛況のうちに二日目を迎えていた
ガーゴイルとケルプの光線芸合戦がエスカレートして殺人光線の撃ち合いになったり
模擬店のメイド喫茶で売り上げNo.1に輝いたタバサに大差をつけられて二位に甘んじたキュルケが「このロリコンどもめ!」
とブチ切れたりしたがおおむね世界は平和だった
ある一箇所を除いて
学院の敷地内でもあまり人気の無い裏庭の一角にある桜の古木
その下で告白したカップルは必ず結ばれるという所謂【伝説の桜の木】の下でミス・ロングヴィルはマリコルヌに言い寄られていた
(勘弁してよ…)
テンパった表情で生まれる前から好きでしたなどと喚き続けているマリコルヌを見ていると思わずシャイニングウイザード
をブチ込みたくなってくる
意志の力を総動員して営業スマイルを浮かべるとロングヴィルは内心の怒りを押し殺し可能な限り穏やかな声で語りかけた
「気持ちは嬉しいけどマルコメ君…」
「マルコメ言うなーっ!」
ジャンプ一番セミの脱皮のごとく空中で脱衣しハート柄のブリーフ一丁でミス・ロングヴィルに踊りかかるマルコメ
「ぬう、あれはまさしく伝説の奥義“ルパンダイヴ”!」
「知っておるのか雷d(ry
「ラアラアラアッ!キャオッ!!」
榎調査隊を襲う山岳民族のような奇声をあげて飛び込んでくるマルコメを流水の足捌きで躱しつつひょいと両手を添える
運動エネルギーのベクトルを操作され風車のように回転して頭から大地に叩きつけられるマルコメ
強過ぎるぞ達人っ!!
「ちょっとやり過ぎたかしら…」
地面に大の字に横たわりピクリともしないマルコメを抱きかかえるロングヴィル
突然地面が盛り上がり大蛇のようにうねる桜の根が二人を空中へ跳ね上げる
咄嗟にフライの呪文を唱えて距離を取ったロングヴィルが見守るなか伝説の桜の木はビキビキと異音を発しながら恐るべき速度で成長していく
校舎一つを丸ごと覆いつくせるサイズに枝を伸ばした満開の桜の花の中から全身を桜色に染めた巨大オシリスがむくりと身を起こした
}
#openclose(show=ゼロガーその10){
「こりゃまた随分とグレイトなイベントだな、でもチェリーボーイにゃちょいと刺激が強すぎるぜ」
校舎よりもなお高くそびえ立つ巨大オシリスを見てちょっぴり頬を染めながら言い放つゴールデンボーイズのリーダー
意図的なものなのかそれとも偶然か腰から下が桜の木と融合したオシリスは胸元から下腹部にかけてを覆う樹皮状の
生体装甲が欠落した状態-つまり【全裸】-だった
腰を抜かしたりハアハアしたり黒ミサを始めたりと色々カオスなギャラリーを尻目に美しい裸身を晒したオシリスが
谷間に大の大人を楽々挟めるんじゃないかという超乳を揺らし蛸が陸上を移動するように地面から引き抜いた根を
のたくらせて前進を開始すると巨大オシリスの前に整列し拳を打ち振って「おっぱい!おっぱい!」を連呼していた
一団が巨根(笑)に薙ぎ払われて宙を舞う
最前列にオールド・オスマンがいたようだがきっと気のせいだ
「ここは僕の出番だな…」
阿鼻叫喚の大混乱の中ひとりの男が立ち上がる
その名はギーシュ
「ふんっ!」
マントに服に靴まで脱ぎ捨てブーメランパンツ一丁になったギーシュは一斉に注がれるイタい視線をものともせずに
ボディービルダーのごとくマッスル・ポーズを決めていく
そして充分に気を練り魔力を高めたギーシュは鍵となる呪文を叫ぶ
「あるてぃめっと・むーっ!」
叫ぶ
「むーーっ!!」
叫ぶ
「むーーーっ!!!」
ドキュラキュラキュラキュバババババババッ!!
一瞬にして青銅に変えられたギーシュの足元の地面が渦を巻き天に向かって伸びてゆく
巨大オシリスに匹敵するサイズのそれは次第に形を整えていきパンツ一丁のマッチョ(略してパンチョ)な戦士の姿を取る
古代ギリシャ風の兜を被り右手に剣を持ったその姿はまさしくコロムビア映画「アルゴ探検隊の大冒険」(1963)に
登場した青銅の巨人タロス
}
#openclose(show=ゼロガーその11){
「オシリィィィィィィスッ!何て嬉しい…いや、破廉恥な格好をしているんだ!
これはもう月に代わってお仕置きだな!」
全裸の巨大植物美女と対峙するパンチョな青銅の巨人
相当にカオスな状況下自信満々のギーシュはタロスを前進させようとして…
「むう、何も見えん…」
ズコーッ!!とコケる一同
説明しよう!ギーシュが錬金したタロスは術者が内部から操る方式なのだが
お馬鹿なギーシュは覗き穴を作り忘れていたのだ(ナレーション:富山敬)
棒立ちのタロスにオシリスの触手が伸びる
触手がタロスの左足の踵に付いていた栓を抜くとピンク色の液体が流れ出し
全身がひび割れてあっさり崩壊するタロス
「弱点も映画と同じですか…」
週末は「ジャックと悪魔の国」や「原始怪獣ドラゴドン」といった懐かしの
B級モンスター映画のDVD鑑賞が隠れた趣味のミスタ・コルベールだった
「しょうがないわねー…」
真打ち登場
ミス・ロングヴィルのゴーレムが巨大オシリスの前に立ちはだかる
ちなみにミス・ロングヴィルが某キ■キ■踊りのコスチューム姿なのは只のサービスだ
「我らも行くぞ」
「心得ました」
ガーゴイルとケルプも牽制の光線を放つが
巨大化して防御力もUPしたオシリスには効果が薄い
オシリスもビオランテのように牙の並んだ口のある根の先端からピンク色の光線を放ち
四つ巴の戦いは尚も混迷の度合いを深めていく
そして学院中の目が怪獣大決戦に集まっている間に
「な…んで……?」
信じられないといった表情でデュラハンに担がれたルイズと
自分の鳩尾にめり込んだ杖を交互に見るキュルケ
床に転がったキュルケが意識を失う前に見たものは全てを拒絶したタバサの背中だった
}
#openclose(show=ゼロガーその12){
トリステイン王国領空内奥深くに密かに侵入したガリア王国空中戦艦アドミラル・グラーフ・シュペーはCAP
(戦闘空中哨戒)のための竜騎士を四方に飛ばしつつ発達した積乱雲の中に身を潜めていた
「来ました!十時の方向、本艦と同高度です」
見張りの指し示した方角に望遠鏡を向け、雲の切れ間に二人の少女を乗せた自動人形を認めた
ラングスドルフ艦長は英国の名優ピーター・カッシングによく似た風貌に微笑みを浮かべ副官のレンツ中佐に声をかけた
「流石は北花壇騎士、時間厳守だな」
それはひどく温かみに欠けた、今まさにスイッチを押そうとする死刑執行官が電気椅子に座らせた囚人に向ける類の笑みだった
左肩にタバサを乗せ、右腕に意識を失ったルイズを抱えた首無し騎士が接近すると空中戦艦の艦首と艦尾に配された
12インチ連装砲塔と船首楼と船尾楼のスポンソンから突き出した4インチ単装砲、そして露天甲板に設置された
対空用の2ポンド多連装砲が一斉に砲口を向けてくる
「そのまま行って…」
およそ感情というものを感じさせないタバサの声に促され、信号台から手旗信号を送る水平の誘導で後部デッキに着艦する
デュラハン
「ここで待ってて…」
「ルル、一人デ大丈夫カ?」
タバサの命令に応じたデュラハンの声に周りの水兵達が驚きの表情を見せる
魔法科学の発達したハルケギニアでも自律行動可能なゴーレムは充分に規格外の存在なのだ
「彼は問題ない…」
言外にデュラハンに余計な手出しはするなという含みを持たせたタバサは続いてルイズを運ぶ水兵に向かって
「丁重に扱って…」と声をかける
艦尾区画の個室に運び込まれたルイズは薬でも使われたのか昏々と眠り続けている
ベッドに仰向けに横たわったルイズの豊かに盛り上がった胸-一寸待っていただきたい、我々は知っている。
ルイズの胸が限りなく平坦に近いことを-がモゾモゾと動き出し、ブラウスの襟から鉢植えサイズのオシリスが顔を出した
}
#openclose(show=ゼロガーその13){
「では、任務の成功を祝して乾杯」
ワインを注いだグラスを右手に掲げニヤリと笑うヘルシング教授、もといラングスドルフ艦長
アドミラル・グラーフ・シュペーの艦長室でラングスドルフ艦長とタバサは差し向かいで
テーブルについていた
ちなみに艦長はタバサのように発育不良で無愛想な美少女がストライクゾーンど真ん中だった
(ナレーション:シャーク子安)
「貴官にはすみやかにトリステイン魔法学院に戻り引き続きわが方の工作員として活動してもらう」
頭の中で早速タバサを裸にし始めながら慇懃に命令を伝えるペド
「それは無理…」
タバサの返答を聞いた艦長は底冷えのする笑みを浮かべたまま片方の眉を吊り上げてみせた
「無理、とは?」
服を貫通して素肌を舐めるような変態の視線を完璧に無視して氷のような声が答える
「ルイズを攫うところを見られた…」
大仰に両手を広げ天を仰ぐモフ・ターキン、もといラングスドルフ艦長
「ほう、目撃者を生かしておいたのですか!このような不始末を本国に報告しない訳には
まいりませんなあ」
そのうえ好みの美少女を精神的にいたぶるのが大好きだった(ナレーション:シャーk(ry
ラングスドルフの言葉に唇を噛み締めるタバサ
そんなタバサの表情を見てサディスティックな快感に浸るロリコン
だがラングスドルフの至福の時間は伝令の叫びによって中断された
「艦長、至急ブリッジへ!」
発令所にあがったラングスドルフ艦長は目を疑った
アドミラル・グラーフ・シュペーの鼻先を抑える形で右舷斜め前方から接近してくる
トリステイン王国軽巡洋艦エイジャックスとエクゼター
そしてもう一隻
アルビオン王国軽巡洋艦カンバーランドが退路を断つかのようにシュペー号の艦尾方向に
回り込もうとしている
「待ち伏せです、地表ぎりぎりに滞空してこちらの探知を逃れ一気に上昇してきました」
報告する副長も緊張の色を隠せない
「どういうこと…」
タバサの問いに混乱のあまり意味不明な内容を口走る艦長
「こ、これは孔明の罠だ!」
}
#openclose(show=ゼロガーその14){
ラングスドルフ艦長がパニクっていたころ船室でも異変が起こっていた
見張りの目の前で鉄製の扉が飴のように溶け崩れ幽鬼のように現れたピンク色の影
「するってえとなんですかい、お前さんがたはあっしをお斬りになるおつもりで?」
酒を飲みすぎたような塩辛い声と白目を剥いた表情
「座頭市物語」の勝新太郎のノリで銃を構える見張りに向かってフラフラと近づいていくルイズ
「答えは聞いて無い!」
日曜朝八時の番組みたいなセリフを叫びつつ突き出した右手の人差し指から紫色の光線が放たれる
「むう、あれはまさしく魔貫光殺砲!」
「知っているのか雷d(ry
実をいうとルイズを操っているのはミニオシリスだったりする
タバサの襲撃を受けたオシリスは全身が凍りつく前に根の一部を切り離し地中に逃れていたのだ
そして今、オシリス2号(仮称)は服の中から触手を伸ばしルイズの手足を動かして大脱走を敢行中なのである
「ス~イス~イス~ダララッタスラスラスイスイス~イ♪」
往年の無責任男を髣髴とさせる華麗なステップで艦内を練り歩くルイズ
やたらハイテンションなのはオシリス2号(仮称)に一服盛られているからである
さすがに眠ったままのルイズを動かすのは手間なので気付けに体内で生成した万能薬(パナケア)を飲ませたのだが
残念ながらオシリスの万能薬は不完全であり他の薬品と混じるとどんな作用を及ぼすか分からない
今回の場合、先に睡眠薬を飲まされていたルイズはアッパー系のドラッグをキメたような症状を見せていた
いうなればヒロポンを打って酸素マスク無しで高度六千メートルまで上昇した零戦乗りの心境である(どんな例えだ?)
酔拳かウォシャウスキー兄弟かという動きで水兵の銃弾を避けながらイカゲル星人のごとく両手から放つ光線
-実際には袖に隠れたオシリス2号(仮称)の触手から放たれているのだが-で艦内を破壊していくルイズ
しかもなまじ可愛い顔に壊れた笑みを貼り付けているのが非常にコワイ
遂に甲板に飛び出したルイズは艦首に仁王立ちすると「タイタニック」のあのポーズを決めて叫んだ
「世界を革命する力をーっ!!」
どっとはらい
}
#openclose(show=ゼロガーその15){
オシリス2号に操られたルイズの活躍でアドミラル・グラーフ・シュペーの拿捕はわりと
あっさり成功した
腋の下とスカートの裾から触手を伸ばして暴れまわるルイズの姿をエクゼターの艦上から
目にしたワルド子爵が
「彼女の属性は“触手”じゃないはずなんだが…」
と呟いたのは余談
舞台は再びトリステイン魔法学院
校庭では巨大オシリスとミス・ロングビルのゴーレムがクロスカウンターを決めたポーズ
で巨大なオブジェと化している
西日の差し込む取調室でタバサはワルド子爵の事情聴取を受けていた
ちなみにシュペー号追跡に参加したトリステイン・アルビオン連合軍の大部分はレコンキ
スタのメンバーであり
絶妙のタイミングで待ち伏せが成功したのもシュペー号の乗組員にレコンキスタのシンパ
がいたからなのだがそれはガーゴイル達の知るところではない
現在のところタバサはひたすら沈黙を守っている
だがワルド子爵には奥の手があった
「まあこれでも喰って一息つけ」
シエスタが運んできたのは炊きたての白米を盛った丼
そして白米の上には衣をつけて揚げた豚肉が乗っていた
「ぬう、あれはまさしく伝説の料理カツドゥーン…」
何故か取り調べを見物していたマルトー親方が宮■あ■らタッチで呻く
「知っておるのかマルトー!?」
あーっ!モンモンが虎○化してるーっ!!
「うむ、取調べ中にカツドゥーンを食した容疑者はどんなに口の固いものでも洗いざらい
ゲロしてしまうといわれておる…」
民×書房か?×明書房なのか!?!
目の前に置かれたカツドゥーンからじりじりと距離を取るタバサ
戦士の勘がアレはヤバいと告げていた
だがワルドは生まれ付いてのドS
必死に抵抗するタバサの華奢な体を押さえつけると固く閉じられた口に無理矢理カツ丼を
捻じ込む
そんな光景をのほほんと見守るガーゴイルとケルプ
「まあタバサ嬢を尋問するまでもなく首無し騎士が全部話してくれたのだが」
「これはこれで良いものですな」
まさに外道
}
#openclose(show=ゼロガーその1){視界一杯に広がる青空
(ここは何処だ?)
それは自分に何が起きたのか確かめるため冷静に記憶を遡る
(我はいつものように双葉のコークスクリュードロップキックを受けて吹っ飛んだ
その時光り輝く鏡のような物が現れて…)
そこまで思い出したところでよく通る少女の声に注意を向ける
頭髪の淋しい中年男性に向かって「何かの間違い」とか「やり直させて」とか言っているピンクの髪の少女
「取り込み中失礼する、少々尋ねたいことがあるのだが…」
「な、何よアンタ!?!」
跳び上がって驚いたあと露骨に警戒の表情を浮かべる少女
まあ無理もあるまい
さっきまで草原に転がっていた石像がいきなり自分の傍に瞬間移動したうえ口をきいたのだ
「人にものを尋ねるときは自分から」と言いたいところだがここは相手の警戒を解くのが先だと判断する
「我の名はガーゴイル、吉永家の門番なり」
ゼロガーその2
「二度あることは三度あると言いますが…」
「本当にお主までやって来るとはな」
「ルルル」
なんやかんやでほぼ原作通りの展開を省略し(ry
皆が寝静まった夜の宿舎の屋上でガーゴイルは「仲間達」と情報の交換をしていた
一番最初にキュルケに召喚されたのがケルプ
二番手がギーシュに召喚されたオシリス
デュラハンはタバサに召喚され
最後がガーゴイルという訳である
「それにしても我々四人(?)が揃って異世界に召喚されるとはどんな偶然が作用したのか…」
「理由なら色々考えられるぞ、原作が同じ出版社から出てるとかアニメの脚本家が同じとか」
「ルルル、メタナ発言禁止」
「さしあたって今後の行動の方針だが…」
「それは今更ですな」
彼ら錬金術によって生み出された人工生命の使命は等しく「人の幸せを守ること」である
異世界であろうと使い魔の身であろうとやる事が変わる訳ではない
元の世界に返る方法が見つかるまではこちらの世界で出来ることをやろう
そう決意する四人(?)であった
ゼロガーその3
「何だ何だ!?」
「ギーシュが“自分の使い魔”と決闘だってよ!!」
もうすっかりお馴染みとなった恒例のイベント
今回ギーシュの相手を務めるのはギーシュ自身が召喚したオシリスである
事の起こりは昼休み
自室で明らかに複数の女性向けとわかる香水を用意していたギーシュを見て「二股イクナイ」
と諭すオシリスに「主人に説教するとは何事か!?!」とギーシュが逆切れ
オシリスも売られた喧嘩を断るような性格ではなく気が付いたらヴェストリの広場でギーシュと対峙していた
自分の使い魔と決闘したところで勝っても負けても恥をかくのはギーシュなのだが
興奮したギーシュは生意気な使い魔を力で屈服させることしか頭に無い
(自分は阿呆な主人に当るのが宿命(さだめ)なのだろうか?)
“るーるるー”と竹本泉調で心の中で涙するオシリスに向かってすっかりヤラレメカ(?)
が定着したワルキューレが迫る
さっさと片付けようと青銅のゴーレムに向かって伸ばされた触手を
ザシュッ!!
ワルキューレの剣が断ち切った
ゼロガーその4)
「いやいやあっさり片付くかと思いましたが…」
「なかなかやるではないか」
「ルルル」
ガーゴイル、ケルプ、デュラハンその他大勢が見物する中
ギーシュとオシリスの対決は白熱した一進一退を繰り返す見応えのあるものになっていた
オシリスが繰り出す触手の連撃をワルキューレの剣が受け流し、撥ね退け、切り落とす
だが斬られた端から瞬時に再生する触手に阻まれオシリスに近づくことが出来ない
真剣な顔で杖を構えゴーレムのコントロールに集中するギーシュの姿を見て好戦的な笑みを浮かべるオシリス
自分の主人が只の阿呆ではなくそれなりの実力の持ち主であることが判ったのはオシリスにとっても嬉しい誤算であった
魔力の有無は持って生まれた資質だが効率よく使いこなすために必要なのはあくまで本人の修練である
そして軍人の家系に生まれ肉体的にも精神的にもタフな家庭環境で育ったギーシュはアレな性格は別にして
ことゴーレムの操縦にかけてはすでに達人級の腕前に達していた
休み無く攻め立てる二本の触手を巧みに捌きながらじりじりと距離を詰めるワルキューレを突き放そうと束ねた触手で大振りの一撃を繰り出すオシリス
ワルキューレは破城槌に等しい一撃を跳躍して躱すと同時に剣を奔らせる
ガッ!!
咄嗟に上体を反らせたオシリスを掠めた剣先は胸元を覆っていた装甲を剥がし
Fカップはあろうかというオシリスの生乳が大勢のギャラリーの前に“ブルン”と晒される
ゼロガーその5
その瞬間広場は水を打ったような静けさに包まれた
人々は片言も発する事無く
両手で胸を隠して蹲り
目に涙を浮かべてプルプルと震えるオシリスを凝視している
「ぶっ…ぶっ……」
「いかん!」
「無礼者ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
オシリスがキレた
オシリスの周囲の地面が地雷が爆発したかのように弾け
鎌首をもたげた触手の群れが全方位に向かって光線を乱射する
「ぶるぅぅぅぅああああああああああっ!!」
最大出力で障壁を張り巡らしギャラリーへの被害を防ぐガーゴイル
上空に舞い上がったケルプとデュラハンがオシリスに向かって光弾を放つ
轟音とともにオシリスの上半身が吹っ飛んだ
「落ち着きましたか?」
「ふう、妾としたことがつい我を忘れてしもうた…」
ビデオの早送りのようにあっという間に生え変わったオシリスの上半身が
何事もなかったかのように言う
無限の再生能力を持つオシリスにとっては大樹の葉の一枚が落ちたほどのことでもない
「ところでギーシュはどうなったのじゃ?」
「あの状態のまま放置しておけば速やかに窒息死するであろう」
自らの鼻血で作った血溜りにうつ伏せに倒れていた
ゼロガーその6
「知らない天井だ…」
「何を言うておる、お主の部屋じゃろうが」
ギーシュは自分の部屋のベッドの上で意識を取り戻した
「ずっとついててくれたのか?」
「一応お主の使い魔じゃからな」
露骨にイヤそうな顔をするオシリス
「済まなかった」
上体を起こしたギーシュは頭を下げた
「今度の事で僕は自分の未熟さを思い知ったよ」
普段のおちゃらけた態度を払拭したギーシュはオシリスでさえ思わず見惚れるほどいい男だった
「僕は一から自分を鍛えなおすことにしたよ、是非君にも協力してもらいたい」
ベッドから降り立ち強い意志の力を感じさせる瞳でオシリスを見つめるギーシュ
「う、うむ。わ、妾に出来ることなら…」
オシリスはめがっさ動揺している
「自分の使い魔の胸を直視したくらいで鼻血を噴いているようでは『全ての女性を幸福にする』
という僕の理想には届かない」
「おい…」
「まずは身近な弱点を克服することから始めよう」
「ちょっと待て!」
ギーシュは大真面目な表情でオシリスの両肩に手を置いた
「さあ、君のその胸でおもいきり“パフパフ”を…」
「この痴れ者があーっ!!!」
怒りの触手がギーシュを締め上げる
砲丸投げの要領で振り回し充分に遠心力が乗ったところで窓に向かって投擲
ガラスの破片を振り撒いて空中に飛び出したギーシュは曲射弾道を描いて校舎を飛び越え
学院裏手の土手に頭から着弾する
飛距離:97.34メイル
室伏広治もびっくりだ
ゼロガーその7
「次に『あの作品のキャラがルイズに召喚されました』スレにおけるフーケの死亡率が非常に高いことから木村亜希子ファンクラブは
スレ主に対して『フーケ保護条例』の制定を求める意見書を…」
時々ナゾな電波を拾うモバイルフォンのニュース放送を止めたオシリスは黙々とトレーニングを続けるギーシュを見て目を細めた
「なかなか頑張っているではないか」
「阿呆は阿呆なりに期するものがあるのであろうよ」
いつの間にか隣りに現れたガーゴイルにまんざらでもなさそうに答える
実際その日は虚無の曜日だというのに陽が昇る前に起床したギーシュは「魔術の鍛錬は精神力の鍛錬、精神を鍛えるには肉体を鍛えるのが一番」
とどこぞのサイコダイバーのようなセリフを吐いて石を詰めたザックを背負ってロードワークをこなし今は腕立て伏せと腹筋とスクワットを
短い休憩を挟みながら何セットも繰り返している
「むっ」突然緊迫した声を出すガーゴイル
「どうしたのじゃ?」
「どうやらルイズが目覚めるようだ、我が控えておらぬとまた機嫌を損ねる」
「お主がおらぬほうが色々な意味で平和だと思うが?」
ガーゴイルの正論ではあるがいちいちルイズのコンプレックスを逆撫でする「助言」にブチ切れたルイズが
ところかまわず失敗魔法を炸裂させる一連の流れはすでに日常のひとコマになりつつある
ガーゴイルがアドバイスを控えれば大半の被害は回避可能なのだが超合金の意志を持つ門番型自動石像がそんな「弱い考え」をよしとするはずもなく
「だが断る」と言い捨ててルイズのもとへと転移する
「難儀な奴よのう」
そう呟いたオシリスが別な意味で難儀な性格の自分の主人に目を移すとなにやらギーシュは中国拳法とモダンバレエを
ミックスしドイツ表現主義で味付けしたような奇怪な動きで全身をクネクネさせている
セクシーコマンドー?
アバンギャルドな演舞を続けるギーシュを一人残して森に分け入るオシリス
学院を見下ろす丘のうえにやって来ると周囲に人気が無いことを確認しやおらギーシュの動きを真似てリズムをとり始める
「む、これはなかなか…」けっこう楽しいらしく次第にヒートアップしていくオシリス
緑の髪が宙を舞い釣鐘型に張り出した見事なバストがたっぷんたっぷんと(ry
「誰じゃ!」ダンスに熱中していたオシリスが背後で急速に高まった魔力の気配に気付いたときには遅かった
フラッシュライトに似た青白い閃光が収まったあとには氷の彫像と化したオシリスが朝日を浴びて宝石のように輝いていた
ゼロガーその8
「そういえばギーシュは何処行ったのかしら?」
その日は学園祭の初日でありスペシャルゲストのアンリエッタ王女を迎えるため生徒職員一同が正装で校庭に集まっている
「おそらくはまだオシリスを捜しているのだろう」
「オシリスってあのいけ好かない植物女?」
雑草のくせに何よあの胸はと険のある表情でブツブツと呟くルイズ、大変分かりやすい
「で、そのオシリスが遂にギーシュに愛想尽かして出ていったって訳?」
「いや、それは無いな。あ奴は口では色々言っているが内心ではギーシュを仕えるに値する人物と認めている」
「じゃあ何でいなくなったのよ?」
「不明だ、我やケルプ、デュラハンらも時間の許す限り探索を続けているのだが…」
「ふーん、それにしてもあのギーシュが王女様にお目にかかる機会をふいにして使い魔探しを優先させるなんてねぇ」
「ルイズは我が消えたらどうする?」
「当然、アンタみたいに口の減らない犬っころはお払い箱よ!」
「うむ、了解した。感謝する」
「はあ?何言ってんのよ?」
「ケルプに聞いたのだがツンデレの本心は常に言葉とは真逆のところにあるそうだ、つまりルイズの本心は…」
「うるさい!うるさい!!うるさい!!!」
杖を振り上げ呪文を詠唱しようとするルイズの口に赤土が張り付いた
「ミス・ヴァリエール、王女様のお出ましですよ」
おお、ミス・シュヴルーズがルイズに一矢を報いた
全校生徒と教職員が整列して待ち構える正門の彼方から
パパラパーパララ!
高らかに鳴り響くトランペット
「む…」
ズンズンダン!ズンズンズダンダン!
周囲を圧するスネアドラムの重低音
「まさか……」
脂汗を流すガーゴイルの視線の先に光り輝く黄金のキャデラックのオープンカーが姿を現す
後部座席には金色のスーツを着たリーゼントに囲まれ引き攣った笑顔を浮かべたアンリエッタ王女がいた
ゼロガーその9
学園祭は盛況のうちに二日目を迎えていた
ガーゴイルとケルプの光線芸合戦がエスカレートして殺人光線の撃ち合いになったり
模擬店のメイド喫茶で売り上げNo.1に輝いたタバサに大差をつけられて二位に甘んじたキュルケが「このロリコンどもめ!」
とブチ切れたりしたがおおむね世界は平和だった
ある一箇所を除いて
学院の敷地内でもあまり人気の無い裏庭の一角にある桜の古木
その下で告白したカップルは必ず結ばれるという所謂【伝説の桜の木】の下でミス・ロングヴィルはマリコルヌに言い寄られていた
(勘弁してよ…)
テンパった表情で生まれる前から好きでしたなどと喚き続けているマリコルヌを見ていると思わずシャイニングウイザード
をブチ込みたくなってくる
意志の力を総動員して営業スマイルを浮かべるとロングヴィルは内心の怒りを押し殺し可能な限り穏やかな声で語りかけた
「気持ちは嬉しいけどマルコメ君…」
「マルコメ言うなーっ!」
ジャンプ一番セミの脱皮のごとく空中で脱衣しハート柄のブリーフ一丁でミス・ロングヴィルに踊りかかるマルコメ
「ぬう、あれはまさしく伝説の奥義“ルパンダイヴ”!」
「知っておるのか雷d(ry
「ラアラアラアッ!キャオッ!!」
榎調査隊を襲う山岳民族のような奇声をあげて飛び込んでくるマルコメを流水の足捌きで躱しつつひょいと両手を添える
運動エネルギーのベクトルを操作され風車のように回転して頭から大地に叩きつけられるマルコメ
強過ぎるぞ達人っ!!
「ちょっとやり過ぎたかしら…」
地面に大の字に横たわりピクリともしないマルコメを抱きかかえるロングヴィル
突然地面が盛り上がり大蛇のようにうねる桜の根が二人を空中へ跳ね上げる
咄嗟にフライの呪文を唱えて距離を取ったロングヴィルが見守るなか伝説の桜の木はビキビキと異音を発しながら恐るべき速度で成長していく
校舎一つを丸ごと覆いつくせるサイズに枝を伸ばした満開の桜の花の中から全身を桜色に染めた巨大オシリスがむくりと身を起こした
ゼロガーその10
「こりゃまた随分とグレイトなイベントだな、でもチェリーボーイにゃちょいと刺激が強すぎるぜ」
校舎よりもなお高くそびえ立つ巨大オシリスを見てちょっぴり頬を染めながら言い放つゴールデンボーイズのリーダー
意図的なものなのかそれとも偶然か腰から下が桜の木と融合したオシリスは胸元から下腹部にかけてを覆う樹皮状の
生体装甲が欠落した状態-つまり【全裸】-だった
腰を抜かしたりハアハアしたり黒ミサを始めたりと色々カオスなギャラリーを尻目に美しい裸身を晒したオシリスが
谷間に大の大人を楽々挟めるんじゃないかという超乳を揺らし蛸が陸上を移動するように地面から引き抜いた根を
のたくらせて前進を開始すると巨大オシリスの前に整列し拳を打ち振って「おっぱい!おっぱい!」を連呼していた
一団が巨根(笑)に薙ぎ払われて宙を舞う
最前列にオールド・オスマンがいたようだがきっと気のせいだ
「ここは僕の出番だな…」
阿鼻叫喚の大混乱の中ひとりの男が立ち上がる
その名はギーシュ
「ふんっ!」
マントに服に靴まで脱ぎ捨てブーメランパンツ一丁になったギーシュは一斉に注がれるイタい視線をものともせずに
ボディービルダーのごとくマッスル・ポーズを決めていく
そして充分に気を練り魔力を高めたギーシュは鍵となる呪文を叫ぶ
「あるてぃめっと・むーっ!」
叫ぶ
「むーーっ!!」
叫ぶ
「むーーーっ!!!」
ドキュラキュラキュラキュバババババババッ!!
一瞬にして青銅に変えられたギーシュの足元の地面が渦を巻き天に向かって伸びてゆく
巨大オシリスに匹敵するサイズのそれは次第に形を整えていきパンツ一丁のマッチョ(略してパンチョ)な戦士の姿を取る
古代ギリシャ風の兜を被り右手に剣を持ったその姿はまさしくコロムビア映画「アルゴ探検隊の大冒険」(1963)に
登場した青銅の巨人タロス
ゼロガーその11
「オシリィィィィィィスッ!何て嬉しい…いや、破廉恥な格好をしているんだ!
これはもう月に代わってお仕置きだな!」
全裸の巨大植物美女と対峙するパンチョな青銅の巨人
相当にカオスな状況下自信満々のギーシュはタロスを前進させようとして…
「むう、何も見えん…」
ズコーッ!!とコケる一同
説明しよう!ギーシュが錬金したタロスは術者が内部から操る方式なのだが
お馬鹿なギーシュは覗き穴を作り忘れていたのだ(ナレーション:富山敬)
棒立ちのタロスにオシリスの触手が伸びる
触手がタロスの左足の踵に付いていた栓を抜くとピンク色の液体が流れ出し
全身がひび割れてあっさり崩壊するタロス
「弱点も映画と同じですか…」
週末は「ジャックと悪魔の国」や「原始怪獣ドラゴドン」といった懐かしの
B級モンスター映画のDVD鑑賞が隠れた趣味のミスタ・コルベールだった
「しょうがないわねー…」
真打ち登場
ミス・ロングヴィルのゴーレムが巨大オシリスの前に立ちはだかる
ちなみにミス・ロングヴィルが某キ■キ■踊りのコスチューム姿なのは只のサービスだ
「我らも行くぞ」
「心得ました」
ガーゴイルとケルプも牽制の光線を放つが
巨大化して防御力もUPしたオシリスには効果が薄い
オシリスもビオランテのように牙の並んだ口のある根の先端からピンク色の光線を放ち
四つ巴の戦いは尚も混迷の度合いを深めていく
そして学院中の目が怪獣大決戦に集まっている間に
「な…んで……?」
信じられないといった表情でデュラハンに担がれたルイズと
自分の鳩尾にめり込んだ杖を交互に見るキュルケ
床に転がったキュルケが意識を失う前に見たものは全てを拒絶したタバサの背中だった
ゼロガーその12
トリステイン王国領空内奥深くに密かに侵入したガリア王国空中戦艦アドミラル・グラーフ・シュペーはCAP
(戦闘空中哨戒)のための竜騎士を四方に飛ばしつつ発達した積乱雲の中に身を潜めていた
「来ました!十時の方向、本艦と同高度です」
見張りの指し示した方角に望遠鏡を向け、雲の切れ間に二人の少女を乗せた自動人形を認めた
ラングスドルフ艦長は英国の名優ピーター・カッシングによく似た風貌に微笑みを浮かべ副官のレンツ中佐に声をかけた
「流石は北花壇騎士、時間厳守だな」
それはひどく温かみに欠けた、今まさにスイッチを押そうとする死刑執行官が電気椅子に座らせた囚人に向ける類の笑みだった
左肩にタバサを乗せ、右腕に意識を失ったルイズを抱えた首無し騎士が接近すると空中戦艦の艦首と艦尾に配された
12インチ連装砲塔と船首楼と船尾楼のスポンソンから突き出した4インチ単装砲、そして露天甲板に設置された
対空用の2ポンド多連装砲が一斉に砲口を向けてくる
「そのまま行って…」
およそ感情というものを感じさせないタバサの声に促され、信号台から手旗信号を送る水平の誘導で後部デッキに着艦する
デュラハン
「ここで待ってて…」
「ルル、一人デ大丈夫カ?」
タバサの命令に応じたデュラハンの声に周りの水兵達が驚きの表情を見せる
魔法科学の発達したハルケギニアでも自律行動可能なゴーレムは充分に規格外の存在なのだ
「彼は問題ない…」
言外にデュラハンに余計な手出しはするなという含みを持たせたタバサは続いてルイズを運ぶ水兵に向かって
「丁重に扱って…」と声をかける
艦尾区画の個室に運び込まれたルイズは薬でも使われたのか昏々と眠り続けている
ベッドに仰向けに横たわったルイズの豊かに盛り上がった胸-一寸待っていただきたい、我々は知っている。
ルイズの胸が限りなく平坦に近いことを-がモゾモゾと動き出し、ブラウスの襟から鉢植えサイズのオシリスが顔を出した
ゼロガーその13
「では、任務の成功を祝して乾杯」
ワインを注いだグラスを右手に掲げニヤリと笑うヘルシング教授、もといラングスドルフ艦長
アドミラル・グラーフ・シュペーの艦長室でラングスドルフ艦長とタバサは差し向かいで
テーブルについていた
ちなみに艦長はタバサのように発育不良で無愛想な美少女がストライクゾーンど真ん中だった
(ナレーション:シャーク子安)
「貴官にはすみやかにトリステイン魔法学院に戻り引き続きわが方の工作員として活動してもらう」
頭の中で早速タバサを裸にし始めながら慇懃に命令を伝えるペド
「それは無理…」
タバサの返答を聞いた艦長は底冷えのする笑みを浮かべたまま片方の眉を吊り上げてみせた
「無理、とは?」
服を貫通して素肌を舐めるような変態の視線を完璧に無視して氷のような声が答える
「ルイズを攫うところを見られた…」
大仰に両手を広げ天を仰ぐモフ・ターキン、もといラングスドルフ艦長
「ほう、目撃者を生かしておいたのですか!このような不始末を本国に報告しない訳には
まいりませんなあ」
そのうえ好みの美少女を精神的にいたぶるのが大好きだった(ナレーション:シャーk(ry
ラングスドルフの言葉に唇を噛み締めるタバサ
そんなタバサの表情を見てサディスティックな快感に浸るロリコン
だがラングスドルフの至福の時間は伝令の叫びによって中断された
「艦長、至急ブリッジへ!」
発令所にあがったラングスドルフ艦長は目を疑った
アドミラル・グラーフ・シュペーの鼻先を抑える形で右舷斜め前方から接近してくる
トリステイン王国軽巡洋艦エイジャックスとエクゼター
そしてもう一隻
アルビオン王国軽巡洋艦カンバーランドが退路を断つかのようにシュペー号の艦尾方向に
回り込もうとしている
「待ち伏せです、地表ぎりぎりに滞空してこちらの探知を逃れ一気に上昇してきました」
報告する副長も緊張の色を隠せない
「どういうこと…」
タバサの問いに混乱のあまり意味不明な内容を口走る艦長
「こ、これは孔明の罠だ!」
ゼロガーその14
ラングスドルフ艦長がパニクっていたころ船室でも異変が起こっていた
見張りの目の前で鉄製の扉が飴のように溶け崩れ幽鬼のように現れたピンク色の影
「するってえとなんですかい、お前さんがたはあっしをお斬りになるおつもりで?」
酒を飲みすぎたような塩辛い声と白目を剥いた表情
「座頭市物語」の勝新太郎のノリで銃を構える見張りに向かってフラフラと近づいていくルイズ
「答えは聞いて無い!」
日曜朝八時の番組みたいなセリフを叫びつつ突き出した右手の人差し指から紫色の光線が放たれる
「むう、あれはまさしく魔貫光殺砲!」
「知っているのか雷d(ry
実をいうとルイズを操っているのはミニオシリスだったりする
タバサの襲撃を受けたオシリスは全身が凍りつく前に根の一部を切り離し地中に逃れていたのだ
そして今、オシリス2号(仮称)は服の中から触手を伸ばしルイズの手足を動かして大脱走を敢行中なのである
「ス~イス~イス~ダララッタスラスラスイスイス~イ♪」
往年の無責任男を髣髴とさせる華麗なステップで艦内を練り歩くルイズ
やたらハイテンションなのはオシリス2号(仮称)に一服盛られているからである
さすがに眠ったままのルイズを動かすのは手間なので気付けに体内で生成した万能薬(パナケア)を飲ませたのだが
残念ながらオシリスの万能薬は不完全であり他の薬品と混じるとどんな作用を及ぼすか分からない
今回の場合、先に睡眠薬を飲まされていたルイズはアッパー系のドラッグをキメたような症状を見せていた
いうなればヒロポンを打って酸素マスク無しで高度六千メートルまで上昇した零戦乗りの心境である(どんな例えだ?)
酔拳かウォシャウスキー兄弟かという動きで水兵の銃弾を避けながらイカゲル星人のごとく両手から放つ光線
-実際には袖に隠れたオシリス2号(仮称)の触手から放たれているのだが-で艦内を破壊していくルイズ
しかもなまじ可愛い顔に壊れた笑みを貼り付けているのが非常にコワイ
遂に甲板に飛び出したルイズは艦首に仁王立ちすると「タイタニック」のあのポーズを決めて叫んだ
「世界を革命する力をーっ!!」
どっとはらい
ゼロガーその15
オシリス2号に操られたルイズの活躍でアドミラル・グラーフ・シュペーの拿捕はわりと
あっさり成功した
腋の下とスカートの裾から触手を伸ばして暴れまわるルイズの姿をエクゼターの艦上から
目にしたワルド子爵が
「彼女の属性は“触手”じゃないはずなんだが…」
と呟いたのは余談
舞台は再びトリステイン魔法学院
校庭では巨大オシリスとミス・ロングビルのゴーレムがクロスカウンターを決めたポーズ
で巨大なオブジェと化している
西日の差し込む取調室でタバサはワルド子爵の事情聴取を受けていた
ちなみにシュペー号追跡に参加したトリステイン・アルビオン連合軍の大部分はレコンキ
スタのメンバーであり
絶妙のタイミングで待ち伏せが成功したのもシュペー号の乗組員にレコンキスタのシンパ
がいたからなのだがそれはガーゴイル達の知るところではない
現在のところタバサはひたすら沈黙を守っている
だがワルド子爵には奥の手があった
「まあこれでも喰って一息つけ」
シエスタが運んできたのは炊きたての白米を盛った丼
そして白米の上には衣をつけて揚げた豚肉が乗っていた
「ぬう、あれはまさしく伝説の料理カツドゥーン…」
何故か取り調べを見物していたマルトー親方が宮■あ■らタッチで呻く
「知っておるのかマルトー!?」
あーっ!モンモンが虎○化してるーっ!!
「うむ、取調べ中にカツドゥーンを食した容疑者はどんなに口の固いものでも洗いざらい
ゲロしてしまうといわれておる…」
民×書房か?×明書房なのか!?!
目の前に置かれたカツドゥーンからじりじりと距離を取るタバサ
戦士の勘がアレはヤバいと告げていた
だがワルドは生まれ付いてのドS
必死に抵抗するタバサの華奢な体を押さえつけると固く閉じられた口に無理矢理カツ丼を
捻じ込む
そんな光景をのほほんと見守るガーゴイルとケルプ
「まあタバサ嬢を尋問するまでもなく首無し騎士が全部話してくれたのだが」
「これはこれで良いものですな」
まさに外道
}
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