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「Let's GO ! ZEROPANMAN!~The Reverse~」(2007/08/29 (水) 21:06:05) の最新版変更点
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戦火を前に、男は一人立っていた。
戦場を眺め、男は知らず笑みを漏らす。
男は出来損ない出会った。
男は失敗作であった。
男はつまはじき者であった。
男は何よりも、ふさわしくないものだった。
失敗作に呼び出されたそれは、男に天啓をもたらした。
それは男のそれからの生き方を決め、男の心を決めた。
お膳立ては終わった。
準備は完璧に近い。
己の名は歴史に残るだろう、『世界最悪の犯罪者』として。
体にフィットする紫がかった黒のスーツを身にまとい、その上から真っ黒な騎士鎧を身につける。
手に持った兜をしばし眺め、男は槍をその手に持った。
城下の町ではたくさんの尖兵たちが暴れている。
足だけで手の無いゴーレムがその巨大な足ですべてを踏み潰している。
おぞましい化け物たちがすべてをカビさせ、腐らせ、朽ちさせてゆく。
阿鼻叫喚の地獄の中、ただゆっくりと、美しい歌が聞こえた。
「来たか!」
You might have been on earth born because of what.
一体何のために、君は生まれたのだろう?
What do you do and do it live?
一体何をするために、君は生きているのだろう?
How sad it is that the answer is not found.
その答えが見つけられないなんて、なんて悲しいことだろう
ゴーレムが轟音を上げて崩壊する。怪物たちがまるで霞のように消し飛ばされていく。
Your mind blazes up hot and hot because it is alive hard.
今精一杯生きているからこそ、君の心は熱く熱く燃え上がる
With a smile toward the one person battlefield.
だからこそ君は、微笑んで独り戦場へ向かう
Only alive is pleasure.
そう、生きていられることこそが喜び
Even however much you suffer from wound of the mind
たとえその心の傷にどれだけ苦しんだとしても
重力に逆らうようにふわりと浮かび上がった人影が、一直線に彼のいるテラスへ向かってくる。
Ah ANPANMAN
ああ、アンパンマン
You are too gentle to keep fighting to defend everyone's dream.
君はあまりにも優しすぎる、皆の夢を守るため、独り戦い続けるなんて
それはヒーローの歌、それは英雄の歌。
かつての彼の力の主を幾度と無く撃退し、時には協力し、時には支えあい、時には笑いあった、本当の“セイギノミカタ”の歌。
ただ一人かつての力の主だけが理解し、たたえあい、憎みあった英雄の歌。
最後まで、たとえそれが敵であっても、ただただ微笑み続けた戦士の歌。
正しき主の力として再び顕現し、力はかつての好敵手に相対する。
ふわりとテラスに降り立つ、かつての英雄を模した兜をかぶった少女の姿。
「ああ、ようやく会えたね、私の対極にあるものよ」
男は歓喜に包まれていた。ようやく果たすことができる、この立てるべき歓喜の刻。
かつて無いほどの幸福に包まれながら、男は少女に語りかける。
「うれしいよ。あらゆるすべてにおいて逆しまでありながら、私たちは同じ根源を持っているのだから」
「……二代目としてあなたを止めにきたわ」
兜の目隠しを上げ、二代目たるルイズが男の目を見やる。
「ここであなたの野望は終わりよ、ガリア王ジョゼフ、いえ、かつての彼の者の力を手に入れし者よ」
その宣言こそ、男が心待ちにしていたもの。男に救いをもたらす一言。
「止められるのかね? 同じく世界に反逆する“虚無”の使い手よ。私は負けない。何があろうとも!」
「ならば止めるまで。私の力で、“彼”の力で!」
ルイズが目隠しを落とすのを見やり、ジョゼフは手に持つ兜をかぶる。
柄側にも切っ先の伸びた馬上槍を持ち軽く口笛を一吹き、壁を打ち抜いてきた漆黒の軍馬に飛び乗り、ジョゼフはルイズに相対する。
それはかつて、英雄を追い込んだ封じられし武装。
かつての力はそのままに、その力の主だけを代え、二つは再び相対する。
「さあ、私を止めて見せろ! 二代目“アンパンマン”!」
「望むところよ! 二代目“ばいきんまん”!」
世界を愛した虚無の担い手はその希望の光を手に握り締め、世界を憎んだ虚無の担い手はその絶望の闇を身にまとう。
かつての力はそのままに、想いを代えて相対する。
『Let's GO ! ZEROPANMAN!~The Reverse~』
ガリアの城のはるかかなた、誰もその名を知らぬ浮遊島に、ジョゼフが呼び出した山はあった。
ボロボロにさびた金属の建造物の中、その見た目と違いはるかに進んだ機械設備の中に彼女はいた。
真っ赤なドレスを身にまとったはかなげな様子の少女は、今日も一人その水槽の前にいる。
水槽の中には真っ黒な亜人が一人、傷だらけの体を管につなぎ、静かに回復を待っていた。
「もうすぐよ、もうすぐ。もうすぐあなたは目を覚ます」
少女は壊れた笑みで、周りに並ぶ水槽を見渡す。
黒い亜人の横に並ぶ水槽に、丸い頭の亜人が一人、楕円の頭の亜人が一人、四角い頭の亜人が一人。
奥まったカプセルの中、白い髭の老人と同じ服装の女性が、氷付けで眠っている。
「目が覚めたら何をする? おいしいものを食べましょう、きれいな服で着飾りましょう、いっぱいいっぱい、二人で遊ぶの」
少女は壊れた笑みのまま、愛おしそうに黒い亜人の浮かぶ水槽を撫でる。
「だから早く、早く起きてばいきんまん、また私たちと一緒に、アンパンマンたちと一緒に、“この世界で遊びましょう”」
ゴボリと、それに答えるように、黒の亜人が息を吐いた。
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