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スクライド・零 19
ロケットランチャーによって吹き飛ばされたゴーレムは、さすがにもう修復される
ことは無かった。
安堵やら達成感やら単純に威力に驚いたりで、ランチャーを肩に担いだまま放心している
ルイズであったが、地上におりたシルフィードから駆け寄ってきたキュルケに
抱きしめられ、ようやく『フーケのゴーレムを倒した』ということが実感できるように
なったようだ。
もっとも照れ隠しなのか、口から出るのは苦しいから放せとか、ツェルプストーの人間に
すごいと言われても嬉しくないなどといった憎まれ口である。当のキュルケ本人は
『ルイズが【破壊の杖】という“マジックアイテム”を使ってフーケのゴーレムを破壊した』
と思って単純に喜んでいるので聞いちゃいなかったりするのだが。
と、そこへ
「皆さんご無事ですか? なにやらとても大きな音がしましたが」
ガサゴソと草の音をさせながらミス・ロングビルが戻ってきた。
「ミス・ロングビル、森の中でフーケを見ませんでしたか?」
未だにルイズの頭を胸に抱えながらキュルケが問う。そのルイズはあきらめたのか
すっかりおとなしくなっている。顔色がやばくなってきているところを見ると、
ひょっとしたら窒息しているのかもしれない。
「いえ、幸いなことに逢いませんでしたけど、一体何事が?」
「ゴーレムだったか? アレが出たんだよ」
すっかり土の塊になってしまったゴーレムだったモノを示しながら、いけしゃあしゃあと
カズマが応じる。
「あなた方だけで倒したのですか? 30メイルほどもあると聞いていましたが」
「破壊の杖」
驚きの表情のロングビルだったが、タバサが淡々と答えるとその顔を笑みの形に変える。
そして、抱きつかれた際にルイズが取り落とした破壊の杖を拾うと、何も言わずに
スタスタと4人から距離をとり、ルイズがそうしたように破壊の杖を肩に担う。
「そう、ご苦労様」
眼鏡を外すとその笑みをニタリとしたモノに変えた。
さすがに怪しいと思ったか、キュルケもぐったりしたルイズをようやくその胸から放す。
「ミス・ロングビル?」
「あら、まだわかってなかったの? あのゴーレムを操っていたのは私」
いまだ微妙に目がうつろなルイズもその言葉を聞きロングビルの方を見る。
「そう、私が『土くれ』のフーケ。しかしさすがに『破壊の杖』と言うだけのことはあるわね。
私のゴーレムがすっかりバラバラじゃない。あぁ、使い方は見てたから。
今もあなた達を狙ってるからヘンなまねはしない方がいいわよ」
杖を振ろうとしたタバサを牽制しながら言うロングビル、いやフーケ。
「どうして?」
ようやく復活してきたルイズが弱々しく問う。
「そうね、説明されなきゃ死にきれないでしょうから教えてあげる。あ、その前に杖を
投げ捨てなさい。そっちの使い魔くんは…、腕を切り落とすくらいしなきゃ
ダメなのかしらねぇ?」
妙に楽しそうに言うフーケに対して、ニヤリと笑いながら
「テメーにできるか?」
と返すカズマ。フーケはぺろりと舌なめずりすると
「いいねぇそういうの。でもま、お嬢ちゃん達をほっとくのもかわいそうだし、
あんたもこの杖の威力にはかなわないでしょ?」
そう言ってカズマから視線を外すと、ルイズたちに向かって
「つまりね、この杖を盗み出したのはいいけど、使い方がわからなかったってことよ」
と続けてきた。
「使い方?」
「そう。振っても魔法をかけてもうんともすんとも言わないんだもの。
私には必要のないモノだったとしても、使い方がわからないんじゃ
高く売りつけることもできやしないじゃない」
それを聞いて苦々しい表情になるルイズ。
「それで、学院の者を連れてくれば、中にはわかる人間がいるかもしれないでしょう?
わかる人間に当たらなければゴーレムで踏みつぶして次をこさせればいいと思ってたけど、
まさか最初で、しかも学生ばかりなのにうまくいくとはね」
相反して今にも笑い出しそうなフーケ。
そしてまた、カズマも笑った顔を崩していない。
「さて、お譲ちゃんがたももう思い残すことは無いわよね?」
そういって改めて破壊の杖を担ぎなおすフーケと、それを見て体をビクッと震わせる
ルイズら3人。
「なかなかいい表情ね。それじゃぁ、さ よ う な ら」
カキッ
フーケの肩の上でトリガーの音がむなしく響き、思わず目を閉じていた3人も
何も起こらないので恐る恐る目を開けた。
焦って何度もトリガーを押すフーケの姿に、とうとうカズマが耐え切れなくなり
声を上げて笑い出す。
「何を笑って…」
「そういえば知らねぇんだったな。そいつは単発式だ」
カズマの言葉に全員が顔に疑問を浮かべる。
「つまり、使い捨てってこった」
そう言い捨てると、フーケに杖を抜く隙すら与えず一瞬で間合いを詰めて
拳を鳩尾にめり込ませた。
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スクライド・零 19
ロケットランチャーによって吹き飛ばされたゴーレムは、さすがにもう修復される
ことは無かった。
安堵やら達成感やら単純に威力に驚いたりで、ランチャーを肩に担いだまま放心している
ルイズであったが、地上におりたシルフィードから駆け寄ってきたキュルケに
抱きしめられ、ようやく『フーケのゴーレムを倒した』ということが実感できるように
なったようだ。
もっとも照れ隠しなのか、口から出るのは苦しいから放せとか、ツェルプストーの人間に
すごいと言われても嬉しくないなどといった憎まれ口である。当のキュルケ本人は
『ルイズが【破壊の杖】という“マジックアイテム”を使ってフーケのゴーレムを破壊した』
と思って単純に喜んでいるので聞いちゃいなかったりするのだが。
と、そこへ
「皆さんご無事ですか? なにやらとても大きな音がしましたが」
ガサゴソと草の音をさせながらミス・ロングビルが戻ってきた。
「ミス・ロングビル、森の中でフーケを見ませんでしたか?」
未だにルイズの頭を胸に抱えながらキュルケが問う。そのルイズはあきらめたのか
すっかりおとなしくなっている。顔色がやばくなってきているところを見ると、
ひょっとしたら窒息しているのかもしれない。
「いえ、幸いなことに逢いませんでしたけど、一体何事が?」
「ゴーレムだったか? アレが出たんだよ」
すっかり土の塊になってしまったゴーレムだったモノを示しながら、いけしゃあしゃあと
カズマが応じる。
「あなた方だけで倒したのですか? 30メイルほどもあると聞いていましたが」
「破壊の杖」
驚きの表情のロングビルだったが、タバサが淡々と答えるとその顔を笑みの形に変える。
そして、抱きつかれた際にルイズが取り落とした破壊の杖を拾うと、何も言わずに
スタスタと4人から距離をとり、ルイズがそうしたように破壊の杖を肩に担う。
「そう、ご苦労様」
眼鏡を外すとその笑みをニタリとしたモノに変えた。
さすがに怪しいと思ったか、キュルケもぐったりしたルイズをようやくその胸から放す。
「ミス・ロングビル?」
「あら、まだわかってなかったの? あのゴーレムを操っていたのは私」
いまだ微妙に目がうつろなルイズもその言葉を聞きロングビルの方を見る。
「そう、私が『土くれ』のフーケ。しかしさすがに『破壊の杖』と言うだけのことはあるわね。
私のゴーレムがすっかりバラバラじゃない。あぁ、使い方は見てたから。
今もあなた達を狙ってるからヘンなまねはしない方がいいわよ」
杖を振ろうとしたタバサを牽制しながら言うロングビル、いやフーケ。
「どうして?」
ようやく復活してきたルイズが弱々しく問う。
「そうね、説明されなきゃ死にきれないでしょうから教えてあげる。あ、その前に杖を
投げ捨てなさい。そっちの使い魔くんは…、腕を切り落とすくらいしなきゃ
ダメなのかしらねぇ?」
妙に楽しそうに言うフーケに対して、ニヤリと笑いながら
「テメーにできるか?」
と返すカズマ。フーケはぺろりと舌なめずりすると
「いいねぇそういうの。でもま、お嬢ちゃん達をほっとくのもかわいそうだし、
あんたもこの杖の威力にはかなわないでしょ?」
そう言ってカズマから視線を外すと、ルイズたちに向かって
「つまりね、この杖を盗み出したのはいいけど、使い方がわからなかったってことよ」
と続けてきた。
「使い方?」
「そう。振っても魔法をかけてもうんともすんとも言わないんだもの。
私には必要のないモノだったとしても、使い方がわからないんじゃ
高く売りつけることもできやしないじゃない」
それを聞いて苦々しい表情になるルイズ。
「それで、学院の者を連れてくれば、中にはわかる人間がいるかもしれないでしょう?
わかる人間に当たらなければゴーレムで踏みつぶして次をこさせればいいと思ってたけど、
まさか最初で、しかも学生ばかりなのにうまくいくとはね」
相反して今にも笑い出しそうなフーケ。
そしてまた、カズマも笑った顔を崩していない。
「さて、お譲ちゃんがたももう思い残すことは無いわよね?」
そういって改めて破壊の杖を担ぎなおすフーケと、それを見て体をビクッと震わせる
ルイズら3人。
「なかなかいい表情ね。それじゃぁ、さ よ う な ら」
カキッ
フーケの肩の上でトリガーの音がむなしく響き、思わず目を閉じていた3人も
何も起こらないので恐る恐る目を開けた。
焦って何度もトリガーを押すフーケの姿に、とうとうカズマが耐え切れなくなり
声を上げて笑い出す。
「何を笑って…」
「そういえば知らねぇんだったな。そいつは単発式だ」
カズマの言葉に全員が顔に疑問を浮かべる。
「つまり、使い捨てってこった」
そう言い捨てると、フーケに杖を抜く隙すら与えず一瞬で間合いを詰めて
拳を鳩尾にめり込ませた。
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