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「マジシャン ザ ルイズ 3章 (2)」(2008/09/04 (木) 19:16:02) の最新版変更点
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マジシャン ザ ルイズ (2)心の傷
神聖アルビオン共和国皇帝クロムウェルの秘書ミス・シェフィールド。
彼女は今、一人女豹のように森を疾走している。
背後からは執拗な追跡者の影が迫る。
そういう意味では、今の彼女は女豹というよりは、狩人に追い立てられる兎そのものだ。
―はははは、どこへ行ったのかなミス・シェフィールド―
森の奥から楽しい追いかけっこに興じる子供のような、楽しそうな声。
どうやら彼女が先頃放ったガーゴイルは既に倒されたらしい。
ミス・シェフィールドはガリア国王ジョゼフがレコン・キスタに送り込んだ間諜である。
いや、間諜という表現では適正ではない。
彼女こそ裏からクロムウェルを操り、強いてはレコン・キスタがアルビオン王国を打倒するという演目を用意した立役者であった。
ウェールズ王子が討たれ、無事アルビオンが貴族派の手で制圧されたのが暫く前のこと。
それまでは、何もかもが順調であった。
しかし、その思惑に異変が生じ始めたのが数日前のこと。
まずは、自分同様に、ガリア王国から送り込まれた他の工作員達との連絡が途絶したことが発端であった。
直ちにクロムウェルにこの件を問いただすべく面会を求めたが、これも断られた。
この時、この国を脱出していれば……彼女はそう後悔してやまない。
だが彼女は健気にも、狂い始めた歯車を元に戻そうと躍起になってしまった。
あらゆる手段、あらゆる情報網から、今アルビオンで何が起こっているのかを把握しようと勤めた。
そして知ってしまった、城に巣食っている、幽鬼の如き一団を。
その中には、シェフィールドの手駒であったはずのクロムウェルの姿も含まれていた。
不幸なことに、不用意なことに、彼女は更に一歩足を進めてしまった。
彼らを統べるものの存在を知ってしまった。
彼女の虚無の使い魔としての能力を持ってしても、理解の外にある存在のことを。
即座に城から脱出したシェフィールド。
しかし、すでに何もかも全てが遅すぎた。
彼女の脱走後、すぐに追跡を開始した『彼』。
「みいつけた」
そして、今に至る。
彼女の目の前にいる男、ジャン・ジャック・ド・ワルド。
「折角君とそのご主人を招待する為に宴の準備をしていたというのに、逃げ出すなんてあんまりじゃないか」
久しぶりに出会った親愛なる友人に語りかけるような、穏やかな笑顔。
「ひっ…!」
シェフィールドは今来た道を取って返して走り始めた。
そして、その前方、木の陰から現れる男、ワルド。
「酷いなぁ、人を見て逃げ出そうとするなんて」
背後には先ほどのワルド。
道を外れて草むらの中に逃げ込もうとする。
草むらの先に、白い影―――ワルド。
「どうしたんだい?幽霊でも見たような顔をして」
「いや、いやあっ!」
三人のワルド、逃げ道は無いかと周囲を見回すシェフィールド。
草木の影から、池の中から、木の上に、空中に、
ワルド、ワルド、ワルド、ワルド。
風の遍在?
ありえない、例えスクウェアメイジだとしても、こんな数の遍在はありえない!
では幻術?それも無い、彼は確かにそこにいる。
シェフィールドの額のルーン文字が輝きだす。
目の前の存在を理解しようとする、目の前の存在から逃げる術を探そうとする。
しかし、彼女の持つミョズニトニルンの能力は『彼』を知る力を有していない。
―追いかけっこは満足したかい?―
こだまする様に、四方から響くワルドの声。
―君は予想以上に早く、知りすぎたんだ―
シェフィールドの歯が恐怖でガチガチと打ちならされる。
―それじゃあ―
君の頭の中を見せてもらおうかな
「いやあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
ニューカッスルの城が落城してから二ヶ月が経過した頃、ルイズはトリステイン王宮に来るようにとの命令をうけた。
アンリエッタは、ウェールズ皇太子が亡くなられたことを酷く悲しみ、それ以来、度々体調を崩すようになっていた。
公務の合間を縫っては泣き、床については泣き、遂には公務の最中に泣き出すに至って、マザリーニ枢機卿もいよいよアンリエッタが尋常の状態ではないことに気付き、一切の公務を取りやめ、王女を半ば城に閉じ込めるような形で休養を取らせたのであった。
「ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール。ただ今参上いたしました」
「お入りなさい」
ルイズがアンリエッタの私室に通されると、そこには床に伏せったアンリエッタの姿があった。
アルビオンへの旅が終わってから、ルイズがアンリエッタに会うのは、これが初めてである。
あの事件の後、すぐにでも風竜シルフィードに乗ってアンリエッタ王女に手紙を届けるつもりのルイズであったのだが、例の光の柱の影響か、アルビオンから脱出し、トリステイン領内に入った頃には高熱を出し、やがては昏睡状態に陥ってしまったのだ。
すぐさまトリステイン魔法学院へと戻ったキュルケ達は、ルイズをベットに放り込み、交代しながらの看病を続けた。
この間、ウルザがオスマンに事情を説明し、手紙と風のルビーがアンリエッタの手元に届くように手配したのであった。
久しぶりに見たアンリエッタは、以前の健康的で薔薇のような美しさはなりを潜め、かわりに儚げな白百合の美しさが漂っていた。
「姫さま………おやつれに、なられましたね」
「ああ、ルイズ。私の大切なお友達…こんな姿ですみません。何せ皆、わたくしをここから出させて下さらないのですもの」
この段に至り、ルイズもマザリーニ枢機卿の意図を理解した。
今のアンリエッタに必要なのは、おべっかを使う貴族でも、政治的判断を述べる政治家でも無い、彼女を真に理解する友人なのだと。
「ウェールズ皇太子の、お話をしてくださらないかしら」
「…分かりました」
ルイズは全てを話した。
ウェールズとの出会いから、私室でのやり取り、その夜の晩餐会、そして、礼拝堂でのワルドの裏切り。
すべては二ヵ月前の、過去の出来事。
しかし、アンリエッタ王女の中では未だに現在の出来事なのであろうことは、容易に察することができた。
「わたくしが…わたくしがウェールズさまを殺したようなもの。わたくしがあの時ワルドを選びさえしなければ…」
「いいえ、違います、姫さま。
ウェールズ皇太子は、例えあの場で殺されなくとも、きっと城に残ったに違いありません」
「なぜです!?なぜ!ウェールズさまは、亡命して下さらなかったのですか!?
ルイズ!あなたはどうして彼に亡命してくださるように説得してくださらなかったの!」
「姫さま……やはり、皇太子に亡命をお勧めになったのですね」
「ええ、そうよ、死んで欲しくなかった!愛していたのですもの!」
泣き崩れるアンリエッタ、その痛ましい姿にルイズも目線をそらす。
「姫さま、私も皇太子に亡命を勧めました。けれど、皇太子は私に、姫様が亡命など勧めていなかったと仰いました」
「なぜ!?どうしてです!私はちゃんと書きました、書きましたのよ!?」
「………」
半狂乱になりながら、ルイズの肩を掴むアンリエッタ。
その美しい爪が、ルイズの肌に食い込み血を滴らせる。
「ウェールズさまは、わたくしを愛しておられなかったの!?
わたくしよりも、名誉が大事だったの!?
答えて!?答えなさい!ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール!!」
ルイズは堪えるように唇を噛み、真正面からアンリエッタの瞳を見返した。
「姫さま、皇太子は姫さまと、このトリステインに迷惑をかけぬ様に、国に残られる覚悟をなされたのです。
決して、名誉を守るために残られようとした訳ではございません!」
思わず強く言い返され、呆然とするアンリエッタ。
「わたくしに、迷惑をかけない、ため………?」
「勇敢に戦い、勇敢に死んでいった、それだけを伝えて欲しいと、皇太子は仰られました」
それを聞き、アンリエッタはくしゃりを顔を歪め、ルイズの胸に顔を押し付ける。
「それでも…それでも生きて、欲しかった。生きて欲しかった!
生きていてさえすれば!わたくし、わたくし!国だって捨てられるつもりでしたのに!!」
泣き崩れるアンリエッタ、その嗚咽を聞きながらじっと目を閉じる。
そうして、決心がついたルイズは、アンリエッタの肩を掴み、力任せに引き離した。
「姫さま、ご無礼いたします」
そう言いながら深々と頭を下げる。
その次の瞬間、ぱんっという音が響き、アンリエッタの頬にルイズの強烈な張り手が見舞われた。
「姫さまっ!皇太子は、皇太子は!愛する者を守る為に戦ったのです!
それが王族の勤め、男の勤めだとして戦ったのです!
それを、姫様はどうして分かろうとしないのです!
皇太子は、立派に責任を果たしました!
その皇太子を、どうして姫さまが問うことが出来ましょう!
どうしてその強さを認めようと、しないのですか……っ!」
ただ呆けたようにルイズを見つめるアンリエッタ。
むしろ逆に泣き出してしまいそうな顔のルイズを見て、アンリエッタの心の中でも、一つの決着がついた気がした。
「私も……強く、なれるかしら」
「姫さまが、そう望むなら、きっと」
自嘲気味に呟くアンリエッタに、精一杯の力を込めながら、ルイズは返したのだった。
強さとは、心が流した涙の数で決まる
―――ギーシュ回顧録第四篇
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マジシャン ザ ルイズ (2)心の傷
神聖アルビオン共和国皇帝クロムウェルの秘書ミス・シェフィールド。
彼女は今、一人女豹のように森を疾走している。
背後からは執拗な追跡者の影が迫る。
そういう意味では、今の彼女は女豹というよりは、狩人に追い立てられる兎そのものだ。
―はははは、どこへ行ったのかなミス・シェフィールド―
森の奥から楽しい追いかけっこに興じる子供のような、楽しそうな声。
どうやら彼女が先頃放ったガーゴイルは既に倒されたらしい。
ミス・シェフィールドはガリア国王ジョゼフがレコン・キスタに送り込んだ間諜である。
いや、間諜という表現では適正ではない。
彼女こそ裏からクロムウェルを操り、延いてはレコン・キスタがアルビオン王国を打倒するという演目を用意した立役者であった。
ウェールズ王子が討たれ、無事アルビオンが貴族派の手で制圧されたのが暫く前のこと。
それまでは、何もかもが順調であった。
しかし、その思惑に異変が生じ始めたのが数日前のこと。
まずは、自分同様に、ガリア王国から送り込まれた他の工作員達との連絡が途絶したことが発端であった。
直ちにクロムウェルにこの件を問いただすべく面会を求めたが、これも断られた。
この時、この国を脱出していれば……彼女はそう後悔してやまない。
だが彼女は健気にも、狂い始めた歯車を元に戻そうと躍起になってしまった。
あらゆる手段、あらゆる情報網から、今アルビオンで何が起こっているのかを把握しようと努めた。
そして知ってしまった、城に巣食っている、幽鬼の如き一団を。
その中には、シェフィールドの手駒であったはずのクロムウェルの姿も含まれていた。
不幸なことに、不用意なことに、彼女は更に一歩足を進めてしまった。
彼らを統べるものの存在を知ってしまった。
彼女の虚無の使い魔としての能力を持ってしても、理解の外にある存在のことを。
即座に城から脱出したシェフィールド。
しかし、すでに何もかも全てが遅すぎた。
彼女の脱走後、すぐに追跡を開始した『彼』。
「みいつけた」
そして、今に至る。
彼女の目の前にいる男、ジャン・ジャック・ド・ワルド。
「折角君とそのご主人を招待する為に宴の準備をしていたというのに、逃げ出すなんてあんまりじゃないか」
久しぶりに出会った親愛なる友人に語りかけるような、穏やかな笑顔。
「ひっ…!」
シェフィールドは今来た道を取って返して走り始めた。
そして、その前方、木の陰から現れる男、ワルド。
「酷いなぁ、人を見て逃げ出そうとするなんて」
背後には先ほどのワルド。
道を外れて草むらの中に逃げ込もうとする。
草むらの先に、白い影―――ワルド。
「どうしたんだい?幽霊でも見たような顔をして」
「いや、いやあっ!」
三人のワルド、逃げ道は無いかと周囲を見回すシェフィールド。
草木の影から、池の中から、木の上に、空中に、
ワルド、ワルド、ワルド、ワルド。
風の遍在?
ありえない、例えスクウェアメイジだとしても、こんな数の遍在はありえない!
では幻術?それも無い、彼は確かにそこにいる。
シェフィールドの額のルーン文字が輝きだす。
目の前の存在を理解しようとする、目の前の存在から逃げる術を探そうとする。
しかし、彼女の持つミョズニトニルンの能力は『彼』を知る力を有していない。
―追いかけっこは満足したかい?―
こだまする様に、四方から響くワルドの声。
―君は予想以上に早く、知りすぎたんだ―
シェフィールドの歯が恐怖でガチガチと打ちならされる。
―それじゃあ―
君の頭の中を見せてもらおうかな
「いやあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
ニューカッスルの城が落城してから二ヶ月が経過した頃、ルイズはトリステイン王宮に来るようにとの命令をうけた。
アンリエッタは、ウェールズ皇太子が亡くなられたことを酷く悲しみ、それ以来、度々体調を崩すようになっていた。
公務の合間を縫っては泣き、床については泣き、遂には公務の最中に泣き出すに至って、マザリーニ枢機卿もいよいよアンリエッタが尋常の状態ではないことに気付き、一切の公務を取りやめ、王女を半ば城に閉じ込めるような形で休養を取らせたのであった。
「ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール。ただ今参上いたしました」
「お入りなさい」
ルイズがアンリエッタの私室に通されると、そこには床に伏せったアンリエッタの姿があった。
アルビオンへの旅が終わってから、ルイズがアンリエッタに会うのは、これが初めてである。
あの事件の後、すぐにでも風竜シルフィードに乗ってアンリエッタ王女に手紙を届けるつもりのルイズであったのだが、例の光の柱の影響か、アルビオンから脱出し、トリステイン領内に入った頃には高熱を出し、やがては昏睡状態に陥ってしまったのだ。
すぐさまトリステイン魔法学院へと戻ったキュルケ達は、ルイズをベットに放り込み、交代しながらの看病を続けた。
この間、ウルザがオスマンに事情を説明し、手紙と風のルビーがアンリエッタの手元に届くように手配したのであった。
久しぶりに見たアンリエッタは、以前の健康的で薔薇のような美しさはなりを潜め、かわりに儚げな白百合の美しさが漂っていた。
「姫さま………おやつれに、なられましたね」
「ああ、ルイズ。私の大切なお友達…こんな姿ですみません。何せ皆、わたくしをここから出させて下さらないのですもの」
この段に至り、ルイズもマザリーニ枢機卿の意図を理解した。
今のアンリエッタに必要なのは、おべっかを使う貴族でも、政治的判断を述べる政治家でも無い、彼女を真に理解する友人なのだと。
「ウェールズ皇太子の、お話をしてくださらないかしら」
「…分かりました」
ルイズは全てを話した。
ウェールズとの出会いから、私室でのやり取り、その夜の晩餐会、そして、礼拝堂でのワルドの裏切り。
すべては二ヵ月前の、過去の出来事。
しかし、アンリエッタ王女の中では未だに現在の出来事なのであろうことは、容易に察することができた。
「わたくしが…わたくしがウェールズさまを殺したようなもの。わたくしがあの時ワルドを選びさえしなければ…」
「いいえ、違います、姫さま。
ウェールズ皇太子は、例えあの場で殺されなくとも、きっと城に残ったに違いありません」
「なぜです!?なぜ!ウェールズさまは、亡命して下さらなかったのですか!?
ルイズ!あなたはどうして彼に亡命してくださるように説得してくださらなかったの!」
「姫さま……やはり、皇太子に亡命をお勧めになったのですね」
「ええ、そうよ、死んで欲しくなかった!愛していたのですもの!」
泣き崩れるアンリエッタ、その痛ましい姿にルイズも目線をそらす。
「姫さま、私も皇太子に亡命を勧めました。けれど、皇太子は私に、姫様が亡命など勧めていなかったと仰いました」
「なぜ!?どうしてです!私はちゃんと書きました、書きましたのよ!?」
「………」
半狂乱になりながら、ルイズの肩を掴むアンリエッタ。
その美しい爪が、ルイズの肌に食い込み血を滴らせる。
「ウェールズさまは、わたくしを愛しておられなかったの!?
わたくしよりも、名誉が大事だったの!?
答えて!?答えなさい!ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール!!」
ルイズは堪えるように唇を噛み、真正面からアンリエッタの瞳を見返した。
「姫さま、皇太子は姫さまと、このトリステインに迷惑をかけぬ様に、国に残られる覚悟をなされたのです。
決して、名誉を守るために残られようとした訳ではございません!」
思わず強く言い返され、呆然とするアンリエッタ。
「わたくしに、迷惑をかけない、ため………?」
「勇敢に戦い、勇敢に死んでいった、それだけを伝えて欲しいと、皇太子は仰られました」
それを聞き、アンリエッタはくしゃりを顔を歪め、ルイズの胸に顔を押し付ける。
「それでも…それでも生きて、欲しかった。生きて欲しかった!
生きていてさえすれば!わたくし、わたくし!国だって捨てられるつもりでしたのに!!」
泣き崩れるアンリエッタ、その嗚咽を聞きながらじっと目を閉じる。
そうして、決心がついたルイズは、アンリエッタの肩を掴み、力任せに引き離した。
「姫さま、ご無礼いたします」
そう言いながら深々と頭を下げる。
その次の瞬間、ぱんっという音が響き、アンリエッタの頬にルイズの強烈な張り手が見舞われた。
「姫さまっ!皇太子は、皇太子は!愛する者を守る為に戦ったのです!
それが王族の勤め、男の勤めだとして戦ったのです!
それを、姫様はどうして分かろうとしないのです!
皇太子は、立派に責任を果たしました!
その皇太子を、どうして姫さまが問うことが出来ましょう!
どうしてその強さを認めようと、しないのですか……っ!」
ただ呆けたようにルイズを見つめるアンリエッタ。
むしろ逆に泣き出してしまいそうな顔のルイズを見て、アンリエッタの心の中でも、一つの決着がついた気がした。
「私も……強く、なれるかしら」
「姫さまが、そう望むなら、きっと」
自嘲気味に呟くアンリエッタに、精一杯の力を込めながら、ルイズは返したのだった。
強さとは、心が流した涙の数で決まる
―――ギーシュ回顧録第四篇
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