濫読者の羅針盤 @ ウィキ
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nhoshi
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#025 The Detective's Pretty Neighbor / Nick Carter
探偵の美しき隣人 / ニック・カーター
- The detective's pretty neighbor
- The wounded hand
- The last drop of blood
- The serpent's tooth
- The shooting of Jack Barnes
- My gifted young friend, Mr. Gray
- By a single hair / 髪ひとすじ
- A speculation in libel
- The adventure of the jeweller's clerk
- The mystery of Mrs. Dickinson / ディキンスン夫人の謎,宝石を盗む淑女
- Who was the culprit?
パリス・ヒルトン...というネタはやめておく。
ニック・カーターはアメリカを代表する私立探偵である。初登場は1886年、複数の作家によって書き継がれ(いわゆるハウスネーム)、パルプ雑誌で確固たる地位を確立。なんせクイーンの定員では、「ニック・カーターもの」としか説明していないのだ。前出のディック・ドノヴァンも同じような扱いだが、活躍した期間、作品の数で圧倒している。
そのニック・カーターの最初の短編集が、"The Detective's Pretty Neighbor"である...ってほんとか? 1886年初登場から1899年の第一短編集までなんと13年の時が流れている。短編集出さなかったんですかね...本はたくさん出ているんですけど。
なお、入手は非常に困難。再版された記録も見当たらず、(1900年発行の"The Crime of the French cafe"は最近再版されたようですが。)7と10が邦訳された記録が残るのみ。10は光文社文庫版『クイーンの定員 1』と早川文庫『シャーロック・ホームズのライヴァルたち 3』、そしてHPB『名探偵登場 1』に収録されているが、どれも絶版。7もHMMに一度載ったきりなので、現在では読むのは困難だ。
10は割と面白いと思うが、ニック・カーター自身の印象はかなり薄い。7は未読。
ちなみにEQ誌の「クイーンの定員」では収録作は9編となっていて、4と6が除かれている。上に書いてあるのはworldcatの検索結果。
10は割と面白いと思うが、ニック・カーター自身の印象はかなり薄い。7は未読。
ちなみにEQ誌の「クイーンの定員」では収録作は9編となっていて、4と6が除かれている。上に書いてあるのはworldcatの検索結果。
「定員」をクイーンが最初に選出したのは1951年。このときニック・カーターは過去の人と見られていただろう。ラジオドラマが続いていたとはいえ、作品発表のピークは過ぎていたようだ。au:Nicholas Carter で wordlcat を検索すると、1940年代には3冊しかヒットしない。代表的な作者は Frederick Van Rensselaer Dey と言われてるのだが、この人が書いていたのも1913年まででしかない。
しかし実はこの後、ニック・カーターは劇的な復活を遂げる。1964年から始まるキル・マスターシリーズで、探偵から秘密機関AXE所属のスパイN3号に転身。殺人許可証を持ったスパイとして国際的な陰謀と美女(^^;を相手に活躍することになる。007を意識したものらしい。このキルマスターシリーズが260冊以上ある。
1990年まで100年以上も続いたニック・カーターの活躍は、今のところ小休止状態である。だがもちろん、新たな形で復活する可能性もないわけではない。
ニック・カーターをこれ以上追いかけるつもりはありませんが、調査の過程で一つ疑問が。ニック・カーターものを最初に書いたのはJohn Russell Coryellという人物。この人、ニック・カーターものを3作しか書かなかった、と言われている。海外のサイトを見てもそれっぽい説明があるのだが、worldcatで検索するとCoryellがNicholas Carterとして書いた(らしい)ものがかなりヒットする。ほんとに3作しかないのか?それとも3作以上あるなら、なぜそんな間違った情報が一般化しているのか?
まぁ興味のある人は、どうぞ。私は10を読んだだけでとりあえずいいや。
まぁ興味のある人は、どうぞ。私は10を読んだだけでとりあえずいいや。