濫読者の羅針盤 @ ウィキ
QQ027
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nhoshi
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#027 The Brotherhood of the Seven Kings / L.T.Meade & Robert Eustace
七王結社 / L.T.ミード&ロバート・ユースタス
- At the Edge of Crater
- The Winged Assassin
- The Swing of the Pendulum
- The Luck of Pitsey Hall
- Twenty Degrees
- The Star-Shaped Marks
- The Iron Circlet
- The Mystery of the Strong Room / 金庫室の怪
- The Bloodhound
- The Doom
七王結社を率いるマダム・コルチーは、ロンドン上流社会でその美貌と能力(医者、というよりカウンセリングか)で知られる有名人。そのマダムの正体を知り、陰で働く悪事を阻止せんと戦うのが科学者ノーマン・ヘッド。彼はかつてイタリアでマダムと知り合い、その魅力に惹かれて結社に属していた過去を持つ。ヘッドはある知人の少年を結社の魔の手から救おうと奔走し、
QQリストのこの時点で既にクレイ大佐、ランドルフ・メイスン、ラッフルズといった悪人が登場しているが、マダム・コルチーは彼らの上を行く。クレイ大佐はまぁ詐欺師、メイスンは法の抜け穴は使うが破ることはない狡猾な弁護士、ラッフルズは生活と冒険のために盗みを働くが、あくまで紳士なのでそれ以上のことはしない。だがマダム・コルチーは、目的を果たすためには殺人も厭わない。
"The brotherhood of the seven kings"は、1898年1月からストランド誌上にて連載された物語である。このタイプの「悪の結社の首魁」と言えば真っ先に名の挙がる ジェームズ・モリアーティ教授 は1893年12月に登場している。しかしモリアーティについては殆ど「悪の首魁」であるということしか描かれていない(そもそも描かれているのすら3回しかない)わけで、実際の活躍(?)が描かれたという意味ではマダム・コルチーの方がずっと派手だ。
クイーンの解説によると、L.T.Meadeはその後The Sorceress of the Strand (1903)という短編集で、コルチーを上回る犯罪者マダム・サラを登場させた、とある。なんでも最初の定員リストでは、コルチーではなくサラの方がエントリーされていたらしい。
Gutenbergでは原文が見つからなかったが、Gaslightにはあった。タイトルで検索すると他にもいくつか見つかります。前述した戦前の邦訳は杉村楚人冠の手によるもので、しかしこれは入手はほとんど不可能。絶版ながら早川文庫『シャーロック・ホームズのライヴァルたち 2』には「金庫室の怪」と題して8が収録されている。嬉しいことに、全編の邦訳をWEBで公開しているサイトがあります。私は結局そこで読みました。感謝。