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ダイヤモンドvsダイヤモンド◆KKid85tGwY


「…………おい、訳が分かんねーぞ……。ちょっと待てよ……今、頭の中整理してみっからよ~」

 人気の無い深夜の街中、リーゼントヘアに学ランと言う出で立ちの少年が一人ごちていた。
 少年の名は東方仗助。日本のM県S市杜王町に住むぶどうが丘高校の1年生である。
 仗助が住む杜王町にはある大きな特徴がある。それは『スタンド使い』の過密都市であると言うことだ。
 その中には欲望のために他者を傷つけるスタンド使いも存在する。
 そして仗助はそれらの悪しきスタンド使いから、街の人々を守るために戦ってきた。
 自身も強力なスタンド使いであり、そのジョースターの血統に受け継がれている正義の魂故に。
 仗助には様々なスタンド使いとの戦闘経験が有る。その中で常識を無視した奇妙な体験をしたことも、1度や2度では無い。
 だが、これほど異常な体験は初めてだ。
 大勢の人間と一緒に見覚えの無い場所に移動させられて、意味の分からない殺し合いをさせられる。
 その上いつの間にか、逆らえないように首輪まで嵌められていた。

「……この首輪も見たこともねー町並みもよー、スタンドや幻覚なんてもんじゃねー…………全部モノホンだ。
『グレート』。こいつは、とんでもなく厄介なことに巻き込まれちまったみてーだぜ……」

 状況から判断して、恐らく本当に殺し合いに参加させられたのだ。
 ここはその殺し合いのために用意された場所なのだろう。
 だからかなりの規模の市街地なのに、全く人の気配がしない
 紹介された参加者は50人か60人は居ただろうか。
 その中にはあの空条承太郎も居たような気がする。
 まだ年端もいかない子供も居た。
 それらの参加者達も皆、今の状況に困惑している仗助同様
 望んでもいないのに、無理やり
連行されたに違いない。
 そして殺し合い、ほとんどが死ぬことになる――。

 そこまで理解した瞬間、仗助のリーゼントに固められた髪が天を衝くように逆立った。
 怒りによって。本人の言葉を借りれば『プッツンした』と言われる状態である。
 そして仗助の身体から人間型のヴィジョンが姿を現す。
 『クレイジー・ダイヤモンド』。仗助のスタンドである。

「ドラララララララララララッ!!!」

 クレイジー・ダイヤモンドは拳を固め、足元のアスファルトで出来た道路に繰り出す。
 時速約300kmの速さで繰り出された拳は、いとも容易くアスファルトを破壊した。
 しかもそれは1発や2発に留まらない。
 数え切れないほどのパンチを息も付かせず連続で繰り出す、拳の『ラッシュ』。
 ラッシュによる破壊の規模はアスファルトに留まらず、近くにあった電柱やポストにまで及んだ。
 やがてクレイジー・ダイヤモンドのラッシュが収まると、周囲の景色はさながら惨状と言った体を為していた。
 アスファルトで固められていた道路は一面荒野と化し
 ポストは砕け散って中の郵便物が散乱し
 電柱は側面を大きく削り取られ、今にも倒れそうである。
 当の破壊を行った本人である仗助は、先ほどより落ち着いた様子で自分の髪を櫛で整える。

「フー……俺は別にきれちゃあいないぜ。チコッと頭に血がのぼっただけで冷静だ……。
その証拠に、ブチ壊した物もちゃんと直してるからな……」

 仗助の言葉が終わった途端、アスファルトの破片は宙を飛んで元に有った場所に嵌り
 ポストは郵便物を巻き込んで箱に戻り
 倒れかけていた電柱も、元の太さの戻り電線を支える機能を取り戻した。
 これがクレイジー・ダイヤモンドの能力。『破壊された物を直す』ことができる。
 もっとも道路は何故か波打っているし、ポストは球形だし、電柱は途中で捻じ曲がって円を描いていた。
 元通りに戻すだけではなく、変形して直すこともできるのだ。
 今のは狙って変形させたわけではないが。

「頭にのぼった血も降りたことだし、これでようやく考えに整理も付いた。
そして頭の血が降りても、俺の怒りはまだ冷めていねーぜ!
HorだのSetだの殺し合いだの関係ねー! この殺し合いを仕組んだ奴をブチのめすっ!!」

 仗助は愚鈍では無いが、あまり物事を複雑に考える人間ではない。
 そして、それ以上に正義感の強い人間である。
 だから仗助は単純に、そして自分の怒りに正直に決意する。
 この殺し合いを仕掛けた卑劣な主催者を倒す、と。

 決意も新たにした仗助は地面に座り込み、まだ確認していなかったバックパックを開ける。
 目的が定まったとは言え、具体的な方策がある訳ではない。
 そこでとりあえず、支給品の内容を確認することにしたのだ。

「やっぱり承太郎さんが居たよー! こんな所に知り合いが居るのを喜ぶのも不謹慎な話かもしんねーけどよー。
無敵の『スタープラチナ』を持つ承太郎さんなら、ホーレン草を食べたポパイより頼り甲斐があるぜーっ!!」

 名簿を確認すると、やはり空条承太郎の名前があった。
 仗助の甥に当たるが年上の人物。
 スピード、パワー、精密性を兼ね備え時を止められるスタンド『スタープラチナ』を持つ男。
 仗助にとっては最も頼りになる人物と言えよう。

「ほう、そいつは面白そうな話だな」

 不意に声が掛かる。
 まるで重く圧し掛かるような声が。
 仗助が顔を上げると、声の主と思しき人物を確認できた。
 いや、それは人間であるかどうかすら分からない。
 仗助より二回りも大きい全身が金属の鎧で覆われたその姿は、威圧感にあふれている。
 外見の厳しさからだけではなく、その存在そのものが放つ強烈な威圧感に。
 仗助はその姿を見るや否や、名簿をバックパックに仕舞い
 バックパックをそこに置いたまま、立ち上がって警戒態勢を取る。

「は、はじめまして。……いやぁ~、お互い大変っスね。妙なことに巻き込まれちゃって。
それで初対面の人に、いきなりこんなこと言うのも何ですけど……そこで止まってくれません?」

 出で立ちはさながら一昔前の不良と言った風情の仗助だが、彼は元来温厚で人との不要な衝突は避ける人間だ。
 だから警戒はすれど、話をする上では可能な限り穏当に運ぼうとする。
 『鎧』は先ほどから、何食わぬ調子で仗助に向かって歩を進めているが
 それでも仗助は、何とか穏便に立ち止まって貰うように説得の言葉を掛けた。
 しかし『鎧』の歩みは止まらない。

「いや、こんな状況じゃないっスか。初対面の人をいきなり疑いたくは無いんですけど
そうズカズカ近寄られると、こっちも怖いじゃないっスか。……マジ止まってくんねースか。
日本語分かりますよね? さっき、自分で喋ってたんだし……」

 重ねての制止の要求も無視して近付いてくる『鎧』に、仗助の直感が告げる。
 こいつは危険だと。
 仗助は直感力に優れる。
 虹村億泰のスタンド能力を知る前から、『ザ・ハンド』の右手の危険性を直感で見抜いた。
 鼠のスタンド『ラット』の針の危険性も直感で見抜いた。
 その直感が、最大級の警報を鳴らす。

「だからですねー……近寄るなっつってんだてめー!! それ以上近付くと、問答無用で攻撃するぞコラァー!!」

 激昂した仗助は、自分の右手――と重なるように発現させたクレイジー・ダイヤモンドの右手――で
 コンクリートの壁を殴って、その一部を崩す。
 それを見て『鎧』はやっと立ち止まり、口を利いた。

「クッククククク、何故それほどわたしを恐れる?」
「…………」
「わたしがまるで悪魔にでも見えるのか? 近付くだけで災厄をもたらされるような悪魔に?
だとすれば……………………正解だ!」
(! は、速い!)

 『鎧』は地を蹴り、タックルをするように仗助に飛び掛る。
 その速さは人間のそれを遥かに超えるもの。
 仗助はクレイジー・ダイヤモンドを、自分の前方に顕現して受け止めた。
 が、『鎧』の力を受け止めきれずスタンドごと吹き飛ばされた。
 仗助は数m道路を転がった後、『鎧』を睨みつけながら立ち上がる。

「……なんつう、グレートなパワーだ」
「何だあいつは!? どうやって突然現れた?」
「! てめー、クレイジー・ダイヤモンドが見えるってことはスタンド使いか!?」
「見える? なるほど、その口ぶりからしてそいつはおまえの能力で生み出した物か。
フッ。ただの人間だと思っていたが、少しは楽しめそうだな」

 『鎧』からの威圧感が更に増す。
 クレイジー・ダイヤモンドが見えたことで、仗助は一瞬『鎧』がスタンド使いだと推測した。
 しかし『鎧』の言動と気配から、仗助の直感が別の可能性を告げる。

「…………てめー、もしかして人間じゃねーっつうんじゃねーだろーな?」
「ククク、このわたしを矮小な人間ごときと一緒にするな。
わたしは超人。その中でも悪魔超人の頂点に立つ者、悪魔将軍だ!!」
「……『グレート』。マジで人間じゃねーのかよ…………」

 仗助の直感は当たった。
 悪魔将軍の言葉は嘘ではないだろう。
 超人と言う概念はよく分からないが、人間以上の能力を持っているのは間違いない。
 そして別の直感も当たっていたことになる。
 こいつは途轍もなく危険で、そして邪悪な存在だった。

「おまえにこのわたし……悪魔将軍と戦う栄誉を与えよう」
                      ..............
「超人の悪魔将軍ね、なるほど……………………そいつは良いことを聞いたぜ」

 今度は仗助から悪魔将軍に向かっていく。
 顕現したクレイジー・ダイヤモンドが、悪魔将軍にラッシュを仕掛けた。

「てめーが人間じゃねーってんならよォー……遠慮無くブチのめせるってことじゃねーかっ!!」

 数々のスタンド使いを倒して来た、クレイジー・ダイヤモンドのラッシュは
 1発1発が時速約300kmで打ち出される拳の、正に弾幕。
 しかし、それらは全て空を切るに終わる。
 悪魔将軍はクレイジー・ダイヤモンドの左側面に回り込んでいた。

「プラネットマンのスピード!!」

(こいつ、クレイジー・ダイヤモンドと同等かそれ以上のスピード!)

 そこから、クレイジー・ダイヤモンドは更に追撃する。
 クレイジー・ダイヤモンドは右拳をフック状に振るって、悪事魔将軍の顔に殴りかかった。
 しかし、岩をも砕くもクレイジー・ダイヤモンドのパンチは悪魔将軍に片手で受け止められる。
 そしてそのまま、右拳を握りこまれる。
 クレイジー・ダイヤモンドは力負けし、膝から崩れ落ちる。
 スタンドと連動している仗助も、痛みに呻きながら膝をついた。

「サンシャインのパワー!!」

(パワーじゃ完全に向こうが上か!)

 クレイジー・ダイヤモンドは悪魔将軍の足を掬い取るように、足下に横薙ぎの蹴りを放った。
 悪魔将軍は跳躍して回避。
 そしてまだ握っていたクレイジー・ダイヤモンドの右拳を両手で持ち、捻りを加える。
 クレイジー・ダイヤモンドは右腕から捻り上げられ、立ち上がる。
 悪魔将軍は、きれいに直立するクレイジー・ダイヤモンドの背後に着地。
 クレイジー・ダイヤモンドの両手足を、自分の両手足に絡め
 悪魔将軍はロメロ・スペシャルの体勢に、クレイジー・ダイヤモンドを持ち上げる。
 そのロメロ・スペシャルの体勢のまま、車輪状に転がった。

「ザ・ニンジャのテクニック」

(ど、どんだけ器用なんだおめーはよォーっ!)

 数m道路を転がった後、クレイジー・ダイヤモンドは路上駐車している乗用車に投げ飛ばされた。
 乗用車は側面からクレイジー・ダイヤモンドを叩きつけられ、部品を撒き散らし大破。
 仗助も連動して叩きつけられる。
 仗助は自分の肋骨が折れるのを感じ取りながら、口から血を流した。

「悪魔六騎士のパワーをすばらしい戦闘頭脳で統率する、完全無欠のキングオブデビル。それがこの悪魔将軍だ!」

(つ、強過ぎるぞこいつはよー……)

 悪魔将軍の戦闘能力は、仗助のこれまでの経験を絶するものだった。
 近距離パワー型のスタンドであるクレイジー・ダイヤモンドが、接近戦で圧倒されるほどに。
 戦闘能力ならばスタープラチナに匹敵するかもしれない。
 それでも、仗助の戦意は未だ折れてはいない。

(単純な強さならてめーが上でもよー……クレイジー・ダイヤモンドの能力は、まだ見せていねーぜ!)

 再び立ち上がったクレイジー・ダイヤモンドは、乗用車の屋根を引きちぎって
 悪魔将軍めがけ、投げ付けた。
 回転しながら飛んでくる屋根を、悪魔将軍は邪魔臭そうに片手で軽々と払い除けた。
 そこへ更に、車のボンネットが飛んで来る。
 それも悪魔将軍は軽く払い除ける。
 しかしタイヤ、ガラス、バンパーと車の部品が次々とクレイジー・ダイヤモンドに投げ付けられる。
 だが、その尽くが悪魔将軍に払い飛ばされていた。

「下らん。無駄な足掻きは止せ」

 引き千切られて、先の尖ったフレームが悪魔将軍の顔に投げ付けられる。
 悪魔将軍はそれを、頭を傾けただけで避けた。
 もはや仗助の周囲には、細かい物以外は車の部品は無くなっていた。
 悪魔将軍は、仗助へ詰め寄ろうとする。

「よーく避けたぜ、悪魔将軍よー。ところでてめー、さっき投げたフレームに俺のシャツの一部を巻きつけてたのに気付いたか?
高いシャツだから、破るのはさすがに勿体無いと持ったけどよ~。ま、別に良いか……すぐに直るんだからな。
クレイジー・ダイヤモンド!!」

 クレイジー・ダイヤモンドが胸元で破れた仗助のシャツに、拳で触る。
 その瞬間、クレイジー・ダイヤモンドの能力が発現。
 巻き付けられたシャツに引っ張られ、フレームが戻る。
 それはちょうどフレームと仗助の中間に位置する悪魔将軍の背中に目掛け、飛び掛る形になった。

 しかし悪魔将軍は後ろ手で、フレームを掴んで止めた。

「遠隔操作か? どうやったかは知らんが、意表を衝かれたぞ。だが、このわたしには背後であろうと死角は無い。
何故ならわたしの体は悪魔六騎士の集合体。つまりわたしのふたつの目の他に、12の目が存在するのだ」

 悪魔将軍は、6人の悪魔超人そのものを身体にしているも同然の存在である。
 だから視覚・嗅覚・聴覚も、通常の超人の7倍なのだ。
 しかも五体そのものとして融合しているのだから、視覚であろうと方向は関係ない。

「呆れたぜ。つくづく隙のねー野郎っスね、おめーはよー。けどよー、『そいつを掴んだ』ってことは……」

 仗助は懐に隠し持っていた車の部品、サイドミラーを取り出し
 それを空中に放って、クレイジー・ダイヤモンドで悪魔将軍へ向け殴り飛ばした。

「おめーの負けだぜ、悪魔将軍!!」

 殴り飛ばされたサイドミラーも、悪魔将軍にもう片方の手で受け止められる。
 すでにクレイジー・ダイヤモンドの能力が使われているサイドミラーを。
 つまり車が直るということ。
 先ほどの戦いで悪魔将軍の周囲には、車の部品が散乱していた。
 それらもクレイジー・ダイヤモンドの能力で、当然直っていく。
 悪魔将軍の四方八方から、車の部品が元の一個に直るべく殺到する。

(俺のクレイジー・ダイヤモンドのパワーとスピードは、直す能力でこそ真価を発揮する。
逃場はねー。てめーで散らかした車の部品に押し潰されちまいな!)

「硬度10 ダイヤモンド・パワー!」

 そう叫ぶと同時に、悪魔将軍の身体に宝石の輝きが宿る。
 殺到する車の部品は、悪魔将軍の五体に突き立った。
 しかし全身が車の部品で埋め尽くされても、悪魔将軍の身体には傷一つ付いていなかった。

「フッ、修復する能力と言うことか。しかしダイヤモンドの硬度を誇る私の身体を破壊するパワーは、無いようだな」
「……体がダイヤの硬さだとォー!? 俺のスタンドがクレイジー・ダイヤモンドだってのに対する皮肉かよォ~……」

 押し寄せる車の部品を物ともせず、悪魔将軍は前に進む。
 群がっていた部品は悪魔将軍の体表滑るようにして、その後ろに集まっていく。
 悪魔将軍が持っていたフレームとサイドミラーを後ろに放ると、背後で乗用車が完成した。
 悪魔将軍はすでに仗助の間近まで迫っていた。

「てめー、俺を舐めてるだろ悪魔将軍……。不用意に近付きやがって…………
そこはとっくにクレイジー・ダイヤモンドの射程内だぜっ!」

 クレイジー・ダイヤモンドが悪魔将軍の腹にパンチを打ち込んだ。
 途端、仗助の手に激痛が走る。
 手の甲に負傷が出来ている。
 見ればクレイジー・ダイヤモンドの拳にも傷が付いていた。
 しかし悪魔将軍の体には、傷一つ無い。
 悪魔将軍の肉体にクレイジー・ダイヤモンドの拳は負けていた。

(マジでダイヤの硬さかよォー…そんなもん、スタープラチナでもなけりゃぶっ壊せねーぞ)

 悪魔将軍はクレイジー・ダイヤモンドの脇から手を差し入れ、背後で手を組む。
 ダブルアームといわれる体勢。
 そこから悪魔将軍は自分の体を軸に、竜巻のごとくに回リはじめた。

 それはすぐにクレイジー・ダイヤモンドの身体が遠心力で水平になるほどの、強烈な回転(スピン)と化す。

「光栄に思え。人間が、わたしのフィニッシュホールドを喰らってあの世に行けることをな」

 遠心力を利用され、クレイジー・ダイヤモンドは天高く放り投げられる。
 悪魔将軍もそれを追うように跳躍。
 クレイジー・ダイヤモンドの顎に、悪魔将軍が圧し掛かるように折り畳んだ右の脛を当てる。

「地獄の断頭台!!」

 そのまま地面に落下。
 悪魔のギロチンはクレイジー・ダイヤモンドの首に下りた。
 クレイジー・ダイヤモンドも仗助も、地に倒れ伏した。


     ◇


 悪魔将軍には元より、この殺し合いにおけるグループ分け
 つまりHorもSetもIsiも、全く関係の無い話であった。
 悪魔将軍は通常の超人とは違う、それどころか悪魔超人の中でも特異な存在。
 その実体は、言わば悪の思念そのものと言った存在である。
 だから悪魔将軍が悪を為すこと、それは人間の暴力性や殺人衝動などの問題とは次元が違う。
 悪魔超人の中の悪魔超人である、キングオブデビルの存在理念(レゾンデートル)なのだ。
 しかも無始にして無終の存在である今の肉体が滅んでも、決して消滅することは無い。
 何度でも蘇ることができる。
 人間ならば自分がHorである可能性を考えれば、保身のために殺人を躊躇いもするだろう。
 しかし悪魔将軍にそんな躊躇は存在しない。
 人間が己の欲望のために悪を為すのとも、また次元が違う。
 悪魔将軍にとって、悪を為すために己の存在があるのだ。

 だから悪魔将軍はこの殺し合いも、喜びを持って迎えられた。
 無論、キングオブデビルたる自分に首輪を掛けた主催者を許すつもりなど無い。
 ことが終われば、必ず相応しい罰を与える。
 しかし殺し合い自体は楽しめそうに思える。
 恐らく殺し合いの参加者は、人間であろうと超人であろうと恐怖と混乱の中で醜く足掻き争うのだろう。
 ならば自分はそれを助長してやってもいい。
 己は殺しを楽しみ、興が乗れば恐怖と不和を広げ殺し合いを加速させる。
 悪魔が最も心地よい地獄を作り出すのだ。
 名簿に正義超人であるロビンマスクの名前があったが、あの程度が雑魚の存在など全く問題では無い。
 いや、あのアイドル超人を殺してやれば、より他の参加者に絶望を与えてやれるかもしれない。
 何れにしろ悪魔将軍が居るということは、他の殺し合いの参加者は全て彼の玩具でしかないのだ。
 それが悪魔将軍の殺し合いに対する認識であり方針であった。

 そして悪魔将軍が最初に発見したのが仗助である。
 悪魔には悪魔の直感がある。
 仗助を僅かにでも観察して、すぐにはっきりと分かったことが殺し合いの邪魔者であることだ。
 こいつは殺し合いを是としない、むしろ反目して止めようとする
 正義超人共と同じ種類の人間だと。
 ならば塵を片付ける。殺すまで。
 どうせ、ただの人間では楽しむ間もあるまい。
 そう高を括って仕掛けてみたが、仗助は未知の能力を有しており存外に手間取る。
 もっとも、人間如きが多少の力を持っていた所で悪魔将軍が脅かされるわけも無く
 地獄の断頭台を喰らわせて、確実なトドメを刺した。
 筈だったのだが――。

「まだ息があるな」

 仗助はまだかろうじて生きていた。
 意識は朦朧として指1本動かせないようだが、それでも生きているのだ。
 ただの人間が悪魔将軍の必殺技である地獄の断頭台を喰らって、生きているはずが無いのだが。
 その超人界でも最高峰にある戦闘頭脳で。悪魔将軍は原因を思案する。
 やがて何かに気付き悪魔将軍は、道路に転がるクレイジー・ダイヤモンドを蹴り飛ばす。
 その下ではアスファルトが、小石などの混ざった石油になっている。
 それで仗助が助かった理由が分かった。
 理由の1つ目。
 それは地獄の断頭台が決まる直前、クレイジー・ダイヤモンドが着地点に拳で触れ
 アスファルトを原材料まで戻して、僅かにでもクッションにしていたのだ。
 そして理由の2つ目。
 それはスタンドの方に技を掛けたため。
 悪魔将軍はスタンドを知らないが、クレイジー・ダイヤモンドと仗助の受けるダメージが連動しているのは分かっている。
 しかしクレイジー・ダイヤモンドは人間より、はるかに強靭な肉体を持っている。
 つまり、クレイジー・ダイヤモンドは仗助より耐久力が高いのだ。
 だから人間が同じ技を喰らえば確実に死ぬところを、スタンドで受けたから耐えられたのである。
 もっとも、地獄の断頭台を生き延びたからと言っても、ほんの僅かに死期が伸びただけに過ぎないが。

「フッ、ならば今度は人間の方に確実なトドメを刺してやろう」

 悪魔将軍は息も絶え絶え、意識も虚ろと言った様子の仗助のもとに行き
 技を掛けるべく、仗助の頭髪を乱暴に掴んで身体ごと引っ張り上げようとする。

「クク、妙な髪形だが掴むのには便利だな」

 僅かに仗助の瞳に光が戻るが、悪魔将軍は気にも留めない。
 そして掴んだ手の中で髪の毛が千切れ、仗助の頭を滑り落とす。

「フン、人間の髪は脆すぎる」

 次の瞬間、悪魔将軍の視界が回転した。
 不意の異常事態。悪魔将軍は六騎士の目も駆使して、状況を確認する。
 異常の原因が判明。
 それは悪魔将軍の身体が、空中を回転しながら飛んでいたのだ。
 空中で体勢を整え、からくも着地。
 その腹にクレイジー・ダイヤモンドの拳が入った。
 ダイヤモンドパワーのボディに凄まじい衝撃が走る。

(あいつの能力!? さっきのも、これに殴られたのか?)

 クレイジー・ダイヤモンドの背後では、仗助も立ち上がっていた。
 先ほどまで虫の息だったはずが、その瞳には意思の光が宿っていた。

 いや、それどころか全身から凄まじい怒気を放っている。

「てめー、今……………………俺の髪に何しやがったああああああああああっ!!!!!!」

 クレイジー・ダイヤモンドの拳が左胸に突き刺さり、ダイヤモンドパワーのボディが砕ける。
 今度は右胸に刺さり、ダイヤが弾けた。
 悪魔将軍の全身に次々とクレイジー・ダイヤモンドの拳が叩き込まれ
 その度にダイヤが砕け散っていく。

(バカな! さっきまでよりパンチが遥かに速くなっている! わたしが回避できないほどに!!
しかも超人界最高の硬度を誇る、わたしのダイヤモンドパワーのボディを破壊するほどのパワー!!)

「ドラララララララララララララララララッ!!!!!」

 クレイジー・ダイヤモンドの、ダイヤモンドを破壊する威力のラッシュ。
 それが悪魔将軍の身体を粉々にしていきながら吹き飛ばした。
 悪魔将軍はコンクリート壁に叩き付けられた。


     ◇


 東方仗助には、幼い頃から心の底に焼きついているヒーローが居る。
 まだ仗助が4歳の頃、高熱に倒れ生死の境をさまよい
 母親に病院に運ばれる途中、積雪に車のタイヤを取られて立ち往生したことがある。
 その時、居合わせた学ランを着たリーゼントヘアの男が自分の学ラン犠牲にして仗助を助けた。
 以来、その名前も知らない男が仗助のヒーローであり憧れであり生き方の手本となった。
 リーゼントの髪形も、その男に憧れて同じ物にしている。
 そしてその髪形を侮辱されることは、その男を侮辱されることと心の底で同じなのだ。
 その怒りは途轍もなく、少しけなされただけで鼻の形が変わる位の攻撃を加えるほど。
 リーゼントの髪形は、仗助の決して犯してはならない聖域なのだ。

 だから朧な意識の中でも、はっきりと捉えられた。
 悪魔将軍のヒーローを侮辱する言葉を。
 悪魔将軍の憧れを侮辱する行為を。

 怒りは仗助を覚醒に導いただけではなく、かつてない力を与えた。
 スピード・パワー共に悪魔将軍を凌駕する、クレイジー・ダイヤモンドのラッシュ。
 それが悪魔将軍の肉体を粉砕した。
 胸や腹には大きく穴が開き、肩や腰が削れている。
 破壊の痕は、悪魔将軍の鎧の中を露出していた。
 それは虚無。
 悪魔将軍の鎧の中は空洞になっていた。

「わたしのダイヤモンドパワーのボディを砕くとはな……。だが、わたしの身体は六騎士の集合体にすぎん。
だから、幾らでも再生できる」

 周囲に散乱していたダイヤが、悪魔将軍に戻っていく。
 それがパズルのように身体に嵌っていき
 悪魔将軍は再び、ダイヤモンドの輝きを持つ自分の身体を完全に取り戻した。
 それでも、まだ怒りの覚めやらぬ仗助は向かっていく。

「再生するってんならよー……もう一度ブッ壊して、今度は原型無いくれーグレートに変形させてやるぜぇー!!
俺のクレイジー・ダイヤモンドの能力でよォーっ!!!」

 再度クレイジー・ダイヤモンドのラッシュを放つ。
 その直前に、悪魔将軍は叫んでいた。

「超人硬度ゼロ スネーク・ボディ!!」

 クレイジー・ダイヤモンドの拳が悪魔将軍の胸に刺さり、歪ませる。
 クレイジー・ダイヤモンドの拳が悪魔将軍の腹に刺さり、背後まで威力が伝わっていく。
 悪魔将軍の身体を次々と変形させていく、クレイジー・ダイヤモンドのラッシュ。

 しかし悪魔将軍にダメージは無い。
 ラッシュの威力は全て、背後のコンクリート壁につき抜け
 コンクリート壁は全面粉々に壊された。
 先ほどまでダイヤの堅さだったのが嘘のように、軟体動物のごとく柔軟な悪魔将軍の身体。
 それがラッシュの威力を全て通過させてしまった。

「ククク。硬度ゼロ。故に打撃では絶対に破壊できん」
「硬度ゼロだ~!? だがよー……一箇所だけ堅さを保ってる場所があるぜ、悪魔将軍さんよォー」

 クレイジー・ダイヤモンドが、今度は悪魔将軍の顔を目掛けパンチを放つ。
 しかし悪魔将軍は頭を傾け、それを回避。
 そして拳が伸び切って無防備になったクレイジー・ダイヤモンドの頭を掴んだ。

「ご名答。おまえの見抜いた通りこの頭は軟体化できない、わたしの唯一の弱点だ。
だが、それゆえにそこへ来る攻撃だけは特別に警戒しているのだ。
いくらスピードが有っても、おまえのテレフォンパンチを喰らうほど愚鈍ではない。
見ての通り来ると分かっている攻撃なら、回避も反撃も容易い! 喰らえ、魔のショーグン・クロー!」

 悪魔将軍はクレイジー・ダイヤモンドの頭を掴む手に力を込めていった。
 しかし徐々に、クレイジー・ダイヤモンドの方が押し勝っていく。

「俺は今プッツン来てるからよ~…………てめーに力負けする訳ねーだろーがっ!!!」
「力はな。……だが、テクニックは怒りでどうにもなるまい!」

 突如、頭を抑えている悪魔将軍の手から力が抜けた。
 クレイジー・ダイヤモンドの押している力が相手を失くし、前につんのめった。

「わたしにはザ・ニンジャのテクニックも備わっているのだ! 地獄の超特急!!」

 悪魔将軍はクレイジー・ダイヤモンドの勢いを利用し、腰から背負い投げて道路に叩きつけた。
 クレイジー・ダイヤモンドは頭から落ちて、アスファルトを砕き
 仗助の頭から血が噴出した。

 全身から出血し幾つも骨が折れ、今や仗助は満身創痍の状態だ。
 死んでいてもおかしくない負傷。
 だが、強烈な怒りに支えられ仗助は未だ戦意を保ち立っている。
 その戦意に呼応し、クレイジー・ダイヤモンドもまた立ち上がる。
 追撃せんと、悪魔将軍はクレイジー・ダイヤモンドに右手を伸ばす。

「ドラララララララララララッ!!!」

 その右腕に向け、クレイジー・ダイヤモンドはラッシュを打つ。
 しかし、すでに悪魔将軍の右腕は軟体化していた。
 ラッシュの威力は全て無化される。

「なるほど硬度が0なら打撃は効かねーか……なら、斬撃はどうよ!!」

 クレイジー・ダイヤモンドの右手に、仗助の頭から流れ出た血液が溜まる。
 それをクレイジー・ダイヤモンドのパワーで極度に圧縮。
 刃物の薄さにまでなった血液を、悪魔将軍に向け投げ飛ばした。
 血液による水圧カッター。
 それは硬度0になっている悪魔将軍の右腕を大きく切り裂き
 それでも勢いは衰えず、悪魔将軍の首へと飛んで行く。
 しかし、水圧カッターではクレイジー・ダイヤモンドのパンチより速度に劣る。
 悪魔将軍は容易に回避した。
 そして悪魔将軍の右手は、クレイジー・ダイヤモンドの頭を掴む。

「無駄だ。おまえのスピードとパワーには意表を衝かれたが、そうと分かればどうとでも対処できる」
「対処できる? いいや、手遅れだな。てめーの右腕にはよォー……すでに傷が付いちまったからな!!」

 クレイジー・ダイヤモンドはいつの間にか持っていたコンクリート壁の破片を、悪魔将軍の右腕の傷に押し当て殴りつけた。
 やはり硬度0でダメージは無い。
 しかし、傷は治っていく。
 コンクリート壁の破片と同化しながら。

「…………!?」

 魔のショーグン・クローが右腕の異変に虚を衝かれ緩んだ隙に、クレイジー・ダイヤモンドの頭を引き離す。
 悪魔将軍と同化したコンクリート壁の破片は、道路に散乱していた他の破片と次々に融合していく。
 コンクリートが集まって悪魔将軍の右腕を覆う。それでも成長は止まらない。

 やがてそれは悪魔将軍の右腕を中心に、巨大な正方形の形作る。
 更にその下部の面は、破損していた道路のアスファルトとも融合。
 最終的に、道路から生えた悪魔将軍の身長ほどもある正方形のオブジェが出来上がった。
 そこから右腕を軟体化して抜くのは不可能。何しろ融合して、一体化しているのだから。

「味な真似を。だが、残った左腕と両脚で破壊すれば済むことだ」
「手遅れだっつってんだろ。もう俺は『この位置』まで来ちまったんだからよォー。
ここからだと、よーく見えるぜ。てめーの『後頭部』と『首輪』がな」

 仗助の声は悪魔将軍の背後からした。
 悪魔将軍がオブジェに気を取られているうちに、仗助はスタンドの脚力を利用して
 回り込んで、悪魔将軍の背後に立っていた。

「そんだけグレートに固定されたらよー、幾らてめーでも背後からの攻撃を避けることも防ぐことも出来ねーよな?
そして、てめーがどれだけ不死身でも……さすがに頭と首輪をブッ壊されたら死ぬよなぁー!!
でなきゃ、殺し合いにならねーんだからよォー!」

 右腕を固定されてはパワーもスピードもテクニックも、ほとんど発揮しようが無い。
 さすがに頭と首輪を軟体化で防御も出来まい。
 つまり今の仗助は必勝の態勢。
 その必勝の態勢から――。

「ドラララララララララララララララッ!!!!」

 クレイジー・ダイヤモンドで、悪魔将軍の頭部と首に目掛け渾身のラッシュを放った。
 ラッシュは砂の城を崩すがごとく、容易に破壊していく。
 コンクリート製のオブジェを。

「――――!!!?」

 悪魔将軍が居ない。
 悪魔将軍が消えて無くなっていたため、その向こうのオブジェを攻撃する形になったのだ。
 仗助は混乱、と言うより思考もままならなく呆然とする。

「たとえダイヤを……いや、この世の如何なる物質を砕く能力があろうと、わたしを倒すことはできん。
なぜならわたしは――悪そのものだからだ!」

 悪魔将軍の声。
 発生した方向は――直下。
 視線を下げる。

そこに悪魔将軍は居た。仗助の足下に。
 何故そんな所に?
 しかしその疑問は、すぐに解決した。
 悪魔将軍の左腕を見ると、そこからは剣が伸びている。
 そして右腕は、根元から綺麗に無くなっていた。

 悪魔将軍は自分の剣で、自分の右腕を切り落としたのだ。
 背後に居た仗助には、悪魔将軍の巨躯が邪魔をしてそれが見えなかった。
 そして軟体を利用し、素早く仗助の足下に滑り込む。
 仗助には完全に不意を衝かれた、しかも目で追い難い上下の動き。
 仗助にとっては必勝の態勢だったはずが
 悪魔将軍にとって、奇襲に最適の態勢だったのだ。

「悪は不朽! 悪は不滅! この世のいかなる能力でも、わたしを滅ぼすことはできんのだ!」

 クレイジー・ダイヤモンドが悪魔将軍に拳を打ち出す。
 しかし足下への攻撃と言うのは、実は極めて難しい。
 その拳が届く前に、悪魔将軍の剣が仗助の下腹を貫いた。

(な、なんつーグレートな野郎だ……。ま、まだ……切り札を残していたなんてよー…………)

 ジョースターの血統と正義を受け継ぐ、東方仗助。
 悪魔超人の首領、悪魔将軍。
 正義と悪の戦いは、悪の勝利で終わった。


     ◇


 悪魔将軍が左腕の損傷を再生し、自分が置いていたバックパックを拾いに行っているのを
 仗助は、道路に倒れたまま薄れゆく意識の中で眺めていた。
 もう自分には戦う力が一片も残っていない、それどころか命の灯火すら長くないのは分かっている。
 それが悔しいとは思わない。
 自分は全力を尽くして戦った。
 それでも悪魔将軍の底知れない強さには届かなかった。
 ならば、それを認めるしかない。
 自分が力尽きたことを。悪魔将軍の強さを。

 それでも心残りが無いわけではない。
 あの悪魔将軍は途轍もなく強く、そして途轍もなく危険だ。
 放置すれば、間違いなく犠牲者は出る。
 絶対に野放しには出来ない存在。
 しかし、自分の力は届かなかったのだ。

 悪魔将軍を倒す手段に1つだけ心当たりが有った。

 いや、倒す可能性のある人物に。
 しかしそれも、ここで息絶える仗助には関係ない物になってしまった。
 それが何より心残りなのだ。

「そう言えば、おまえは承太郎がどうとか言っていたな」

 悪魔将軍が仗助を見下ろし話し掛ける。
 仗助は無言で、視線だけを向けた。

「名簿にも空条承太郎とある。こいつのことだな? 話せ。こいつはどんな奴だ? おまえのような能力を持っているのか?」

 悪魔将軍が空条承太郎について聞いてきた。
 上等だ。と、仗助は思った。
 そんなに聞きたいなら聞かせてやる、と。

「……お、おめーは…………自分のことを悪そのものだとか……い、言ってやがったけどよー…………。
そ、それなら……おめーは……絶対に承太郎さんには……勝てねーぜ…………。
あ、あの人はよー…………お、おめーみたいな悪を必ず倒す……正義そのものだ……………………」

 悪魔将軍を倒す方法を、仗助は1つしか思い浮かばなかった。
 それは承太郎に倒してもらうこと。
 悪魔将軍は途轍もなく強い。仗助が及ばなかったほどに。
 しかし、あの承太郎なら
 最強のスタンド『スタープラチナ』を持ち、冷静で的確な判断力を備え
 何より、揺るがぬ正義の意思を持つ空条承太郎ならば倒すことも出来る。
 だから悪魔将軍が承太郎に興味が向くように挑発した。
 あわよくば、他の参加者より承太郎を優先して狙うように。

 身勝手なやり方だとは思う。
 自分の知り合いに危険人物を差し向けたのだ。
 しかし殺し合いの中で、弱者が悪魔将軍の被害にあうのを抑えるには
 それが最も効果的な方法なのだ。

「つまり空条承太郎はおまえと同じような能力を持ち、わたしに敵対するような人間なんだな」

 悪魔将軍はどこか楽しげな調子で言った。
 どうやら、挑発は成功したらしい。
 それを確認すると、仗助は今度こそ全ての力を使い果たし
 ゆっくりと目を閉じた。


     ◇


 力を使い果たしたように瞑目した仗助。
 しかしまだ微かに息があると見た悪魔将軍は、ある実験を思いついた。

 右腕から剣を伸ばし、それ仗助の首輪に差し込む。

 首輪は爆発。
 仗助の頭は転がっていった。
 これで首輪が本当に爆発するのと、生者の首輪が破損すると爆発するのは確認できた。
 別に首輪を調べて、具体的にどうしたいと言うのがある訳ではない。
 一応情報として、知っておきたいと思っただけだ。

 首輪が厄介だとは思う。
 悪魔将軍の軟体機能を使っても、頭の大きさより狭いものは通れない。
 つまり首輪は外せない。
 それに悪魔将軍は頭部が弱点だ。
 そのすぐ下にある首輪が爆発すれば死ぬ。
 首輪が無いなら無いで越したことはないのだ。

 それでも結局は、首輪があろうがあるまいがすることは変わらない。
 悪魔将軍は人々に恐怖を、苦痛を、死を、あらゆる災厄を与えるのみ。
 それが悪魔将軍の楽しみであり生き方であり存在理由なのだから。

 悪魔将軍は仗助の話に出てきた、承太郎について考える。
 仗助は明らかに、承太郎へ自分をぶつけようと挑発していた。
 そこから、承太郎は仗助以上の戦力を持つと推測できる。

(あの直す能力の男以上に、楽しめる相手と言うことか。面白い、あいつの挑発に乗ってやる。
まずは空条承太郎を捜し出して、殺してやる)

 そうすれば他の参加者にとって、より絶望的なゲームになるだろう。



 悪は恐れない。
 悪は迷わない。
 悪は躊躇わない。
 そして悪は何者よりも強い。
 最強の悪は殺し合いにおいても捕食者でしか無いのだ。


【東方仗助@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】

【I-8/市街地:深夜】
【悪魔将軍@キン肉マン】
 [属性]:Set(悪)
 [状態]:疲労(中)
 [装備]:なし
 [道具]:基本支給品×2、不明支給品2~6
 [思考・状況]
 基本行動方針:悪を為す
 1:空条承太郎を見つけ出して殺す
 2:殺し合いを楽しみ、それが終わった後は主催者を殺す


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実験開始 悪魔将軍 BATMAN:Tales of the Devil
実験開始 東方仗助 死亡








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