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マジシャン ザ ルイズ (7)破壊
「やっと見つけたわルイズ!!」
ルイズ達が部屋に戻り、暫く。
ルイズは勉強、ウルザはアーティファクト製作を再開していると、部屋にキュルケが飛び込んできた。
「おじさまを独り占めしてデートをしてると思ったら、今度はいつの間にか部屋に連れ込むって訳!?いつの間にそんな知識をつけたのよ!」
「ちょちょちょっ、待ちなさいキュルケ!あんた何言ってんの!?支離滅裂よ!」
「うるさいうるさーい!ネタは挙がってるのよ!おじさまにプレゼントをして気を引こうって魂胆なんでしょっ!」
「ち、違うわよ馬鹿!私はアブない奴に魔法を使わせるよりもまだ刃物持たせてた方が安全だと思っただけよ!その証拠に、ミスタ・ウルザとは私が許可しない限り魔法をむやみに使わないって約束したんだからっ!そうよね!?」
「その通りだ、ミス・ツェルプストー」
「そんな、おじさま………ツェルプストーなんて他人行儀ですわ。わたくしのことはキュ・ル・ケと及び下さいな」
「では今後はそうさせて貰おう、ミス・キュルケ」
「ほらっ!おじさまだってあんたみたいな幼女体型よりも、私みたいな我が儘ボディが好みだって仰ってるじゃない!」
「言ってないわよっ!」
「キュルケ………本題」
いつの間に入ってきたのか、青い髪の小柄な少女―タバサが座って本を読んでいた。
「そうだったわ!危うく忘れるところだったわ」
キュルケは背中にしょっていたものを両手に抱え、そのままウルザに差し出した。
「おじさま………わたくしからのプレゼント、受け取ってもらえますか?」
「ふむ、私にかね?どれ………」
ウルザががさごそと包装を解くと、そこには見覚えのある一振りの剣が。
「あ、あんたっ!この剣はっ!」
「ルイズはおじさまにみすぼらしい剣を贈ったそうじゃない?流石にそれよりはマシな剣だと思うのだけど、どうかしら?」
「だ、だ、だ、だだってっ!本人がそれが良いって言うんだもん!」
「おじさまのせいにするなんて、あなたって使い魔の主人失格ね」
「なななな、何言っちゃってんのよ!?ミスタ・ウルザ!このアホ女になんか言ってやんなさいよっ!」
「ありがとう、感謝するミス・キュルケ」
「そうじゃないでしょーーーーっ!!!」
結局、どちらの剣を貰うかをウルザが選ばなかった為、二人で勝負して、勝ったほうの剣をウルザが使うということになった。
宝物庫前。
そこには宝物庫に侵入しようとしている賊の姿が一つ。
「流石は学院本塔の壁じゃない、物理攻撃が弱点と分かっても、こんな分厚くっちゃちょっとやそっとの魔法じゃ、どうにも出来ないじゃないの」
賊が計画を練り直すべく立ち去ろうというときだった。
「いいっ!先に的を地面に落としたほうの勝ちよっ!」
「ゼロのルイズが大きな口を叩くじゃない」
「よりにもよって、宝物庫に吊るして、馬鹿なことを…」
二人の勝負の方法はいたって単純。
本塔の屋根からロープで吊るした的、これをロープを切って地面に落とした方が勝ちである。
しかし、二人が立っているのは的からは離れた場所。
この距離から決して太くは無いロープを撃ち抜くのは、そこそこの実力と集中力が要求される。
ちなみに、ウルザとタバサは二人の後ろで、ことの次第を見守っている。
「それじゃあ、私からいくわよっ!…ファイアーボールッ!」
火球が尾を引きながら本塔へ向かって飛んでいく。
シュボッ!
しかし残念ながらこれは失敗。
火球はロープにかする事も出来なかった。
「あーぁ、失敗かぁ、はい、次はあんたの番よ。精々頑張んなさい」
「わ、分かってるわよ!」
ルイズが瞳を閉じて集中する、火の玉を飛ばすイメージ。
「ファイアーボールッ!」
キュィィン、 ズバーン!
ルイズの魔法は失敗し、その爆発は本塔の壁に直撃した。
「流石ゼロのルイズね!」
「いいわ、次こそ当ててやるんだからね!早くやんなさいよ!」
「はいはい、……ファイアーボールッ!」
キュルケの二度目のファイアーボールはロープにかするかかすらないかのスレスレを飛び、未だ的は中空にあった。
「惜しいっ!でもコツは掴んだわ、次は絶対に当たるっ!さあ、あんたの番よ、ゼロのルイズ!」
キュルケはコツは掴んだと言った、そしてあの自信。
きっと次は当ててくるだろう。
となると、ルイズのチャンスはこれが最後である。
ルイズは集中する。
―火の玉を飛ばすイメージ。
―このままでは宿敵、ツェルプストーに敗れてしまう。
―あのキュルケに負ける、私のことをゼロ、ゼロと呼ぶあいつに。
―私はやっぱりゼロ?どこまで頑張ってもゼロ?
(駄目だ、集中できない!)
その時、構えた杖が震えていたルイズの手に、誰かの手が添えられる。
「ミスタ・ウルザ!手助けなんてフェアじゃありませんわっ!」
ウルザは視線を正面に向けたまま応える。
「しかしミス・キュルケ、君は先行だ。この位のハンデをあげても良いのではないかね?
それに私は手を添えて、ミス・ルイズの集中を手助けするだけだ。魔法を使うのはあくまでミス・ルイズだ」
「そういうことでしたら………」
ルイズの腕を掴む、ウルザからの囁き。
「さて、ミス・ルイズ。力を抜きなさい」
「は、はい」
「雑念を捨てたまえ、集中するのだ」
「はい…」
「そうだ、集中…集中…集中するのだ…」
手から伝わるウルザの体温、冷たい……
冷たいけれど、しっかりと自分を見ていてくれる、――実感。
「集中…集中…集中…」
ウルザの囁き、段々と意識がぼんやりとしてくる。
囁き声が、耳からではなく、内から響いてくる感覚。
まるで自分の中の自分に、直接語りかけられているような…
「そうだ、何もかもを忘れ…一つのことだけを考えるんだ…」
――――でも、私、ファイアーボールなんて成功したことが――――
「それは雑念だ、ファイアーボールなど、使わなくていい…ただ、君の中にあるものを表に出したまえ」
――――私の…中…――――
自分の中にある混沌が見えた。
絶えず形を変え、うねり続けるもの。
混ざり合い、一定しない、不定の力。
「そうだ、その中から…取り出すのだ、分離させるのだ、純粋なる力を」
混沌としたそれを凝固させる、そしてその中から、抽出・分離。
白と黒の
瞬間
ルイズの中で、何かが弾けた。
破壊/Destroy
「 !!」
ルイズが声ならぬ声をあげたかと思うと、閃光が放たれ、ロープ横の魔法学院本塔の壁に直撃した。
壁からは煙が上がり、パラパラと破片が落ちているようである。
「――――!っ!ハッ!ハアッ!わ、私、今…!」
今までの失敗魔法とは違う、確かな手応え。
「今!今っ!まほ、魔法をっ!」
背後の男が笑った気がした。
「やったーっ!私の勝ちねルイズっ!おじさまには私の剣を使ってもらうわよっ!」
もうゼロなんて呼ばせないわ!
―――虚無の魔道師 ルイズ
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マジシャン ザ ルイズ (7)破壊
「やっと見つけたわルイズ!!」
ルイズ達が部屋に戻り、暫く。
ルイズは勉強、ウルザはアーティファクト製作を再開していると、部屋にキュルケが飛び込んできた。
「おじさまを独り占めしてデートをしてると思ったら、今度はいつの間にか部屋に連れ込むって訳!?いつの間にそんな知識をつけたのよ!」
「ちょちょちょっ、待ちなさいキュルケ!あんた何言ってんの!?支離滅裂よ!」
「うるさいうるさーい!ネタは挙がってるのよ!おじさまにプレゼントをして気を引こうって魂胆なんでしょっ!」
「ち、違うわよ馬鹿!私はアブない奴に魔法を使わせるよりもまだ刃物持たせてた方が安全だと思っただけよ!その証拠に、ミスタ・ウルザとは私が許可しない限り魔法をむやみに使わないって約束したんだからっ!そうよね!?」
「その通りだ、ミス・ツェルプストー」
「そんな、おじさま………ツェルプストーなんて他人行儀ですわ。わたくしのことはキュ・ル・ケとお呼び下さいな」
「では今後はそうさせて貰おう、ミス・キュルケ」
「ほらっ!おじさまだってあんたみたいな幼女体型よりも、私みたいな我が儘ボディが好みだって仰ってるじゃない!」
「言ってないわよっ!」
「キュルケ………本題」
いつの間に入ってきたのか、青い髪の小柄な少女―タバサが座って本を読んでいた。
「そうだったわ!危うく忘れるところだったわ」
キュルケは背中にしょっていたものを両手に抱え、そのままウルザに差し出した。
「おじさま………わたくしからのプレゼント、受け取ってもらえますか?」
「ふむ、私にかね?どれ………」
ウルザががさごそと包装を解くと、そこには見覚えのある一振りの剣が。
「あ、あんたっ!この剣はっ!」
「ルイズはおじさまにみすぼらしい剣を贈ったそうじゃない?流石にそれよりはマシな剣だと思うのだけど、どうかしら?」
「だ、だ、だ、だだってっ!本人がそれが良いって言うんだもん!」
「おじさまのせいにするなんて、あなたって使い魔の主人失格ね」
「なななな、何言っちゃってんのよ!?ミスタ・ウルザ!このアホ女になんか言ってやんなさいよっ!」
「ありがとう、感謝するミス・キュルケ」
「そうじゃないでしょーーーーっ!!!」
結局、どちらの剣を貰うかをウルザが選ばなかった為、二人で勝負して、勝ったほうの剣をウルザが使うということになった。
宝物庫前。
そこには宝物庫に侵入しようとしている賊の姿が一つ。
「流石は学院本塔の壁じゃない、物理攻撃が弱点と分かっても、こんな分厚くっちゃちょっとやそっとの魔法じゃ、どうにも出来ないじゃないの」
賊が計画を練り直すべく立ち去ろうというときだった。
「いいっ!先に的を地面に落としたほうの勝ちよっ!」
「ゼロのルイズが大きな口を叩くじゃない」
「よりにもよって、宝物庫に吊るして、馬鹿なことを…」
二人の勝負の方法はいたって単純。
本塔の屋根からロープで吊るした的、これをロープを切って地面に落とした方が勝ちである。
しかし、二人が立っているのは的からは離れた場所。
この距離から決して太くは無いロープを撃ち抜くのは、そこそこの実力と集中力が要求される。
ちなみに、ウルザとタバサは二人の後ろで、ことの次第を見守っている。
「それじゃあ、私からいくわよっ!…ファイアーボールッ!」
火球が尾を引きながら本塔へ向かって飛んでいく。
シュボッ!
しかし残念ながらこれは失敗。
火球はロープにかする事も出来なかった。
「あーぁ、失敗かぁ、はい、次はあんたの番よ。精々頑張んなさい」
「わ、分かってるわよ!」
ルイズが瞳を閉じて集中する、火の玉を飛ばすイメージ。
「ファイアーボールッ!」
キュィィン、 ズバーン!
ルイズの魔法は失敗し、その爆発は本塔の壁に直撃した。
「流石ゼロのルイズね!」
「いいわ、次こそ当ててやるんだからね!早くやんなさいよ!」
「はいはい、……ファイアーボールッ!」
キュルケの二度目のファイアーボールはロープにかするかかすらないかのスレスレを飛び、未だ的は中空にあった。
「惜しいっ!でもコツは掴んだわ、次は絶対に当たるっ!さあ、あんたの番よ、ゼロのルイズ!」
キュルケはコツは掴んだと言った、そしてあの自信。
きっと次は当ててくるだろう。
となると、ルイズのチャンスはこれが最後である。
ルイズは集中する。
―火の玉を飛ばすイメージ。
―このままでは宿敵、ツェルプストーに敗れてしまう。
―あのキュルケに負ける、私のことをゼロ、ゼロと呼ぶあいつに。
―私はやっぱりゼロ?どこまで頑張ってもゼロ?
(駄目だ、集中できない!)
その時、構えた杖が震えていたルイズの手に、誰かの手が添えられる。
「ミスタ・ウルザ!手助けなんてフェアじゃありませんわっ!」
ウルザは視線を正面に向けたまま応える。
「しかしミス・キュルケ、君は先行だ。この位のハンデをあげても良いのではないかね?
それに私は手を添えて、ミス・ルイズの集中を手助けするだけだ。魔法を使うのはあくまでミス・ルイズだ」
「そういうことでしたら………」
ルイズの腕を掴む、ウルザからの囁き。
「さて、ミス・ルイズ。力を抜きなさい」
「は、はい」
「雑念を捨てたまえ、集中するのだ」
「はい…」
「そうだ、集中…集中…集中するのだ…」
手から伝わるウルザの体温、冷たい……
冷たいけれど、しっかりと自分を見ていてくれる、――実感。
「集中…集中…集中…」
ウルザの囁き、段々と意識がぼんやりとしてくる。
囁き声が、耳からではなく、内から響いてくる感覚。
まるで自分の中の自分に、直接語りかけられているような…
「そうだ、何もかもを忘れ…一つのことだけを考えるんだ…」
――――でも、私、ファイアーボールなんて成功したことが――――
「それは雑念だ、ファイアーボールなど、使わなくていい…ただ、君の中にあるものを表に出したまえ」
――――私の…中…――――
自分の中にある混沌が見えた。
絶えず形を変え、うねり続けるもの。
混ざり合い、一定しない、不定の力。
「そうだ、その中から…取り出すのだ、分離させるのだ、純粋なる力を」
混沌としたそれを凝固させる、そしてその中から、抽出・分離。
白と黒の
瞬間
ルイズの中で、何かが弾けた。
破壊/Destroy
「 !!」
ルイズが声ならぬ声をあげたかと思うと、閃光が放たれ、ロープ横の魔法学院本塔の壁に直撃した。
壁からは煙が上がり、パラパラと破片が落ちているようである。
「――――!っ!ハッ!ハアッ!わ、私、今…!」
今までの失敗魔法とは違う、確かな手応え。
「今!今っ!まほ、魔法をっ!」
背後の男が笑った気がした。
「やったーっ!私の勝ちねルイズっ!おじさまには私の剣を使ってもらうわよっ!」
もうゼロなんて呼ばせないわ!
―――虚無の魔道師 ルイズ
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