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「『右手』のガンダールヴ」(2009/07/12 (日) 09:09:00) の最新版変更点
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『右手』のガンダールヴ
「ルイズが平民を召喚したぞ!」
爆煙の中から現れたのは 少年だった。
白地に緑のラインが入ったシャツに 同じく白のデニムズボン。
年の頃は高校生くらいの デイパックを背負った少年。
疲れ果てたように 眠っていた。
彼が、『母親の顔と身体を乗っ取った怪物』と戦ったばかりだと知る者など 誰もいない。
そして 正確には『彼』ではなく、『彼ら』であることに気付く者も…
前例の無い「平民の召喚」であっても、学校のカリキュラムの一端である『召喚の儀式』を取りやめるわけにも行かず、
目覚めた少年の意思を無視する形で「コントラクト・サーヴァント」は続行された。
ルイズは呪文を唱えた。ここまではイイ。だが 契約を完成させるためには、相手に口付けをしなければならない。
出会ったばかりの少女にキスを迫られ、少年は近づくルイズの顔を押しのける。その際 右手が僅かに唇に触れた。
突然 右手の甲が輝き、そこにルーンが刻まれる。『契約』は成立した。
事情の全く判らない少年の方は当然として、ルイズも驚いていた。
(私… まだ『キス』してないのに!)
「コントラクト・サーヴァントは 一度で成功したようですね。」
ルイズと少年が密着していたため、担当の教師や他の生徒達からは キス出来た様に見えたらしい。
「ほう、これは珍しいルーンですね。ちょっと 書き写させてもらいますよ。」
珍しいことは間違いない。なにせ 伝説の使い魔『ガンダールヴ』のルーンなのだから。
この教師 コルベールは、後にルーンが何であるか突き止めた際に 首を捻ることになる。
(はて、ガンダールヴのルーンは、左手のハズでは…?)
その晩 ルイズは自室で 使い魔となった少年に、実に多くの事を説明せねばならなかった。
少年は、ハルケギニアにおける常識的な知識を ほとんど持ち合わせていなかったからだ。
説明に頻出する『魔法』と言う存在、そして 窓から見えた二つの月に、少年はここが『異世界』であることを理解した。
(父さんは きっと心配してるだろうなぁ。
でも、母さんの仇は討ったし、ここなら もう あのバケモノ達に関わらなくて済むだろうし…)
「ちょっと、アンタ ちゃんと聞いてるの?
そういえば、まだアンタの名前って 聞いてなかったわよね。」
「ん~、『シンイチ』でいいよ。
で、ルイズさん、だっけ?」
「シンイチ!
アンタは使い魔なんだから、私の事は『ご主人様』って呼びなさいって言ったでしょ!」
「それなんだけどね~。
貴女が契約した『使い魔』って、たぶんオレじゃないよ。」
「そんなはずないわ!ちゃんとルーンだって刻まれたし!」
そう言ってシンイチの右手を掴もうとしたルイズ。
だか、『右腕』は ありえない角度でグニャリと曲がり、ルイズの手をすり抜けた。
「なっ、ナニよこれ!?」
右腕は傍らの机の上まで伸びて、先端に粘土の様な塊が出来た。
塊から、申し訳程度の短い足が生えた。
頂点から ひょろりと伸びた触手が生え、触手の先にはギョロっとした目玉が出来た。
胴体には 不釣合いに大きな唇が現れた。
その「何か」を指差して、口をパクパクさせるルイズ。
二人?の視線が合った時 ソレは言った。
「やぁ 『ご主人様』。
私が 君の使い魔、『ミギー』だ。
シンイチ共々 宜しく頼む。」
残念ながら ミギーの挨拶は、気絶したルイズには届かなかった。
END
(『寄生獣』から ミギーとシンイチを召喚)
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