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使い魔大作戦! ハルケギニアレポート 3
その日、ルイズは機嫌が悪かった。
原因は言わずもがな、自分が呼び出してしまった使い魔のことでである。
彼女がサモンサーヴァントで平民を呼び出したことは学院内では周知の事実となり
行く先々で笑いの種にされているのである。
そしてついさっきも今、となりを歩く自分よりも数段、技術も身体つきも上の
クラスメイトにからわれていたところであった。
「あんまり怒らないでよぉ、ルイズぅ、ちょっとした挨拶じゃない」
「ずいぶん悪意のある挨拶もあったもんね、キュルケ?」
「あんまりイライラしてると、ますます胸がなくわるわよん?」
「なるか!大きなお世話よ!」
「小さい胸だけにねー」
「――――――っ!」
「・・・・・」
曰く愛情の裏返しな軽口をたたくキュルケに、きぃー!っと身体全体で怒りを表現するルイズ。
そんないつもの光景を横目にしつつ、二人から一歩下がった位置で、黙々と読書を続ける少女。
一見、何の変哲もない仲良しグループである。
ひとつ変わっているところがあるとすれば、その後ろにはトラほどの大きさの赤いトカゲに似た生物や
身の丈6メートルもあろうかという巨大な生物を従えているということぐらいだろうか
「ちょっと!タバサからもなんか言ってやってよ!」
不意にキュルケと言い合っていたルイズが後ろを向き、少女に声をかける
少女は本をとじすに顔だけルイズたちに向けて一言
「・・・・ケンカするほど、仲がいい」
「あら、タバサってばうまいこと言うわね~」
一気に先ほどまでの怒りが吹き飛んでしまうルイズであった。
事実、ルイズも本気で怒っているわけではなく、友人同士の軽い会話程度のものであった。
彼女が本気で怒れば、今頃例のなぜか爆発する魔法で、キュルケを吹き飛ばしていることであろう。
しばらく他愛のない話をしつつ歩いていると、後ろのタバサが急に歩を止める。
それに気付いた前の二人は、どうしたの?とでも言いたげに振り向くが、タバサは
ただ一点を見上げているだけで返事をしない。
そんなタバサに苦笑しつつ、しかたなくつられて彼女の視線の先を見上げる二人。
そこにはルイズの学生寮の窓から必死にシーツで作ったロープで脱走を試みる横島の姿があった。
―――さて、ここから時間は今朝に遡る
ルイズにたたき起こされる前にむっくりと上体を起こした横島は、早朝ということもあって、いまいち働かない頭をたたきながら
そろりそろりと窓まで近づき、そっと施錠をはずすと音がしないよう、慎重に窓を開けた。
そこから身を乗り出し、あたりを見回す。
当たり前だといえば当たり前なのだが、やはり衛兵が見張りをしていた。
一瞬ドキリとするが、向こうはこちらに気付く様子もなく、もう一人の衛兵と談笑していた。
横島は可能な限りその光景を目に焼き付けた、まだ陽の上がりきってない薄明るさで、わかり辛いところもあったが、それは昼間、ルイズが授業に出ているときにでも確認しておけばよい。
窓から身を引き、そのままゆっくりと閉じ、鍵をかけて、横島は何事もなかったかのようにいつもの定位置である床の寝床に横になった。
そう、彼は脱走を計画していた。
下僕のように虐げられ、雑用全般を押し付けられる奴隷生活。最低限の条件である
雨水をしのぐ場所はあるにしても、食事すら満足に与えられないこの環境。
そんな究極のタダ働き、文明社会から抜け出せない現代っ子である横島にとって耐えられるはずもなかった。
・・・・美神の事務所も労働条件としてはどっこいどっこいなのだが、彼の中で美神がいる、いないではその価値は天と地ほどの差があるのだ。
(とにかく、この地獄のような生活から抜け出すのが第一!・・・後は野となれ山となれ!
この作品のノリならかならず元の世界に帰れるはず!)
まったくもって無計画。しかし彼の心は数時間後つかめるであろうフリーダムに燃えていた。
場面戻って。
「ねぇ、ルイズ?あれって、あんたが呼び出した使い魔じゃ(ry」
「それ以上言わないで。頭が痛くて割れそうなの、今」
その光景はあまりにも滑稽だった。白昼堂々の脱走だなんて聞いたことがない。
しかも見てくださいといわんばかりの周りの人の多さ、ほかに方法なんていくらでもあるだろうに。
がっくりとうなだれるルイズをよそに、横島は意気揚々といった様子でシーツ製ロープ
をすべり、壁の凹凸に足をかけようとし、案の定失敗し地面と盛大にキスした。
「あ・・・あんのアホ犬ッ!今日という今日は・・・!」
横島の地面ダイブを合図に、なんとか復活したルイズが駆けだす。
周りを見ると、脱出劇のあまりの結果に、野次馬もかなり沸いてきたようであった。
「使い魔に脱走されるメイジなんてはじめて見たわ・・・ねぇタバサ?」
「・・・・ユニーク」
「あんたねぇ・・・!どこまで私に恥かかせれば気が済むのよっ?!」
「堪忍やぁ!しかたなかったんやー!だって!だって、ドアはばっちり鍵かかってたし、善は急げって言うじゃないっスかぁ!」
全身から血を流しつつ、泣きながら土下座する横島に、ルイズは心底脱力していた。
こいつを呼び出してから不幸の連続だ。
この件でまた自分は笑いものにされるであろうし、それ以前に自分のメイジとしての不甲斐さがどうしようもなく腹が立ち、頭の中がめちゃくちゃだ。
とりあえず、今この怒りは目の前のアホで発散するとして・・・
そこで思考停止し、おもむろに杖をとりだすルイズであったが――――
「まぁまぁ、ルイズ。相手はケガ人なんだし、その辺で許してあげれば?」
「・・・・全身打撲」
さすがに見かねたキュルケとタバサが助け舟を出しに来た。
周りにいたはずの野次馬はあまりのルイズの剣幕にビビり退散したようだ。
「それにしても驚いたわ、ホントに平民なのねぇ。はじめて見たときはどこの化け物かと思ったけど」
「・・・・こくこく」
召還の際の衝撃で血まみれでぶっ倒れただけでひどい言われようである。
が、しかし。今の横島にそのような言葉は届いていなかった!
なぜならば!
彼の全神経はキュルケに集中していたからである!
乳!
尻!
太股ーっ!
「生まれる前から愛してましたー!!」
「フレイム」
この間わずか1.27秒
「まったく!最低!アホだけならまだしも、急に女性に跳びかかるような変態エロ犬だったなんて!」
「あらぁん?でもルイズは今まで襲われなかったわけでしょ?他人の使い魔をも惑わす色気・・・やっぱり美しいって罪ね♪」
「―――っ!! あんたみたいなアバズレ、やっぱりそのまま襲われればよかったんだわ!」
「アバっ?! なんですって―――」
「・・・・・」
キュルケの使い魔であるサラマンダーのフレイムによって真っ黒こげにされた横島をよそに
先ほどの続きといわんばかりに言い合いを始める二人。
すごいよ、あんたたち
「きゅいきゅいきゅーい!」
一方横島は、フレイムとタバサの使い魔であるドラゴンのシルフィードになつかれていた。
魔物に好かれやすい体質は異世界でも健在のようである。
もっとも、今の横島は糸の切れた人形と同じであるのだが
シルフィードに咥えられ、おもちゃのようにぶんぶん上下左右に振られる横島。
牙が食い込んでるよ!すっごい食い込んでるよ!
「・・・・・」
風韻竜であるシルフィードが、自分以外の人間にここまで気を許すとはタバサも思っていなかったらしく
普段物静かな彼女も、周りから見てもわかるほど驚いていた。
「炎だ・・・・炎は生きている・・・・!俺は、俺は炎の眼を見たぞぉー!」
使い魔大作戦! ハルケギニアレポート 3
その日、ルイズは機嫌が悪かった。
原因は言わずもがな、自分が呼び出してしまった使い魔のことでである。
彼女がサモンサーヴァントで平民を呼び出したことは学院内では周知の事実となり
行く先々で笑いの種にされているのである。
そしてついさっきも今、となりを歩く自分よりも数段、技術も身体つきも上の
クラスメイトにからわれていたところであった。
「あんまり怒らないでよぉ、ルイズぅ、ちょっとした挨拶じゃない」
「ずいぶん悪意のある挨拶もあったもんね、キュルケ?」
「あんまりイライラしてると、ますます胸がなくわるわよん?」
「なるか!大きなお世話よ!」
「小さい胸だけにねー」
「――――――っ!」
「・・・・・」
曰く愛情の裏返しな軽口をたたくキュルケに、きぃー!っと身体全体で怒りを表現するルイズ。
そんないつもの光景を横目にしつつ、二人から一歩下がった位置で、黙々と読書を続ける少女。
一見、何の変哲もない仲良しグループである。
ひとつ変わっているところがあるとすれば、その後ろにはトラほどの大きさの赤いトカゲに似た生物や
身の丈6メートルもあろうかという巨大な生物を従えているということぐらいだろうか
「ちょっと!タバサからもなんか言ってやってよ!」
不意にキュルケと言い合っていたルイズが後ろを向き、少女に声をかける
少女は本をとじすに顔だけルイズたちに向けて一言
「・・・・ケンカするほど、仲がいい」
「あら、タバサってばうまいこと言うわね~」
一気に先ほどまでの怒りが吹き飛んでしまうルイズであった。
事実、ルイズも本気で怒っているわけではなく、友人同士の軽い会話程度のものであった。
彼女が本気で怒れば、今頃例のなぜか爆発する魔法で、キュルケを吹き飛ばしていることであろう。
しばらく他愛のない話をしつつ歩いていると、後ろのタバサが急に歩を止める。
それに気付いた前の二人は、どうしたの?とでも言いたげに振り向くが、タバサは
ただ一点を見上げているだけで返事をしない。
そんなタバサに苦笑しつつ、しかたなくつられて彼女の視線の先を見上げる二人。
そこにはルイズの学生寮の窓から必死にシーツで作ったロープで脱走を試みる横島の姿があった。
―――さて、ここから時間は今朝に遡る
ルイズにたたき起こされる前にむっくりと上体を起こした横島は、早朝ということもあって、いまいち働かない頭をたたきながら
そろりそろりと窓まで近づき、そっと施錠をはずすと音がしないよう、慎重に窓を開けた。
そこから身を乗り出し、あたりを見回す。
当たり前だといえば当たり前なのだが、やはり衛兵が見張りをしていた。
一瞬ドキリとするが、向こうはこちらに気付く様子もなく、もう一人の衛兵と談笑していた。
横島は可能な限りその光景を目に焼き付けた、まだ陽の上がりきってない薄明るさで、わかり辛いところもあったが、それは昼間、ルイズが授業に出ているときにでも確認しておけばよい。
窓から身を引き、そのままゆっくりと閉じ、鍵をかけて、横島は何事もなかったかのようにいつもの定位置である床の寝床に横になった。
そう、彼は脱走を計画していた。
下僕のように虐げられ、雑用全般を押し付けられる奴隷生活。最低限の条件である
雨水をしのぐ場所はあるにしても、食事すら満足に与えられないこの環境。
そんな究極のタダ働き、文明社会から抜け出せない現代っ子である横島にとって耐えられるはずもなかった。
・・・・美神の事務所も労働条件としてはどっこいどっこいなのだが、彼の中で美神がいる、いないではその価値は天と地ほどの差があるのだ。
(とにかく、この地獄のような生活から抜け出すのが第一!・・・後は野となれ山となれ!
この作品のノリならかならず元の世界に帰れるはず!)
まったくもって無計画。しかし彼の心は数時間後つかめるであろうフリーダムに燃えていた。
場面戻って。
「ねぇ、ルイズ?あれって、あんたが呼び出した使い魔じゃ(ry」
「それ以上言わないで。頭が痛くて割れそうなの、今」
その光景はあまりにも滑稽だった。白昼堂々の脱走だなんて聞いたことがない。
しかも見てくださいといわんばかりの周りの人の多さ、ほかに方法なんていくらでもあるだろうに。
がっくりとうなだれるルイズをよそに、横島は意気揚々といった様子でシーツ製ロープ
をすべり、壁の凹凸に足をかけようとし、案の定失敗し地面と盛大にキスした。
「あ・・・あんのアホ犬ッ!今日という今日は・・・!」
横島の地面ダイブを合図に、なんとか復活したルイズが駆けだす。
周りを見ると、脱出劇のあまりの結果に、野次馬もかなり沸いてきたようであった。
「使い魔に脱走されるメイジなんてはじめて見たわ・・・ねぇタバサ?」
「・・・・ユニーク」
「あんたねぇ・・・!どこまで私に恥かかせれば気が済むのよっ?!」
「堪忍やぁ!しかたなかったんやー!だって!だって、ドアはばっちり鍵かかってたし、善は急げって言うじゃないっスかぁ!」
全身から血を流しつつ、泣きながら土下座する横島に、ルイズは心底脱力していた。
こいつを呼び出してから不幸の連続だ。
この件でまた自分は笑いものにされるであろうし、それ以前に自分のメイジとしての不甲斐さがどうしようもなく腹が立ち、頭の中がめちゃくちゃだ。
とりあえず、今この怒りは目の前のアホで発散するとして・・・
そこで思考停止し、おもむろに杖をとりだすルイズであったが――――
「まぁまぁ、ルイズ。相手はケガ人なんだし、その辺で許してあげれば?」
「・・・・全身打撲」
さすがに見かねたキュルケとタバサが助け舟を出しに来た。
周りにいたはずの野次馬はあまりのルイズの剣幕にビビり退散したようだ。
「それにしても驚いたわ、ホントに平民なのねぇ。はじめて見たときはどこの化け物かと思ったけど」
「・・・・こくこく」
召喚の際の衝撃で血まみれでぶっ倒れただけでひどい言われようである。
が、しかし。今の横島にそのような言葉は届いていなかった!
なぜならば!
彼の全神経はキュルケに集中していたからである!
乳!
尻!
太股ーっ!
「生まれる前から愛してましたー!!」
「フレイム」
この間わずか1.27秒
「まったく!最低!アホだけならまだしも、急に女性に跳びかかるような変態エロ犬だったなんて!」
「あらぁん?でもルイズは今まで襲われなかったわけでしょ?他人の使い魔をも惑わす色気・・・やっぱり美しいって罪ね♪」
「―――っ!! あんたみたいなアバズレ、やっぱりそのまま襲われればよかったんだわ!」
「アバっ?! なんですって―――」
「・・・・・」
キュルケの使い魔であるサラマンダーのフレイムによって真っ黒こげにされた横島をよそに
先ほどの続きといわんばかりに言い合いを始める二人。
すごいよ、あんたたち
「きゅいきゅいきゅーい!」
一方横島は、フレイムとタバサの使い魔であるドラゴンのシルフィードになつかれていた。
魔物に好かれやすい体質は異世界でも健在のようである。
もっとも、今の横島は糸の切れた人形と同じであるのだが
シルフィードに咥えられ、おもちゃのようにぶんぶん上下左右に振られる横島。
牙が食い込んでるよ!すっごい食い込んでるよ!
「・・・・・」
風韻竜であるシルフィードが、自分以外の人間にここまで気を許すとはタバサも思っていなかったらしく
普段物静かな彼女も、周りから見てもわかるほど驚いていた。
「炎だ・・・・炎は生きている・・・・!俺は、俺は炎の眼を見たぞぉー!」
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