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#navi(ZERO-FACE)
ルイズは、呆然としていた。
幾度の、幾十度もの使い魔召喚の儀式の末に現れたものが・・・・・・・アレだったからだ。
一言で言うと 人間
二言で言うと 眼鏡をかけた人間
三言でいうと 眼鏡をかけて黒いコートを羽織った人間
何やら妙にゴツゴツした、鉄の筒らしきものを大量に詰め込んだ鞄を両手に持って、周囲を
オロオロと見回している。
しかしあの服はいったい何なのだろう。
襟元から覗くシャツは、どうやら最高級の絹で出来ているようだ。
ヴァリエール家の娘である自分すら、いや当主である父ですら恐らくは着た事が無さそうな質の絹だ。
ひょっとしたらどこかの王家の人間だろうか?
しかし杖を持っていない。
今気づいたが鞄に詰め込まれている筒はどうやら銃のようだ。
見た事の無い形をしているがまず間違い有るまい。
銃などという無意味で不細工な物を持っている以上貴族とか王族とかではありえない、
多分はぶりの良い傭兵団のボス・・・・・・の息子あたりだろう。
しかし、それにしてもビンボくさい。
あんなに良い生地のシャツを着てるのにビンボくさい。
武器を大量に抱えてるというのにビンボくさい。
よく見ると結構ハンサムな顔立ちなのにビンボくさい。
なぜにこれほどまでにビンボくさいのだろうか。
「はぁ・・・・・・」
やっぱコントラクト・サーヴァントをしなきゃいけないんだろうな。
嫌がっても「神聖な儀式だから」とかいって再召喚許してくれなさそうだし、このハゲは。
一方、彼は困惑していた。
娘に「新しい装備のデータ収集だから」とか言われて新しいコートを着させられた。
他にも山のようなてっぽうと弾丸の詰まった鞄を持たせられた所で、気が付いたらここにいた。
だが、しかしある程度は現状を理解していたといえる。
「空気が違う」
彼が直前までいた場所とは空気が根本から違う。
まるで車とかが全く走っていない地のように空気がきれいだし、地磁気も妙だ。
結論としては
「いわゆる異世界ってヤツかな」
来訪者の残した遺産か、それとも他の何かか。
憤怒の形相でこちらに近づいてくる、桃色の髪の少女が、現状を説明してくれる事を期待するしかあるまい。
やれやれ、また面倒くさい騒ぎに巻き込まれるのだろうな。
その表情に逆ギレを起こした愛娘を思い出しながら彼は、草刈鷲士は盛大なため息をついた。
「出席がそろそろヤバいんだけど」
麗しきヒロインであるはずなのに出番はともかく人気という点で今ひとつふたつみっつよっつ
盛大な疑問符がつく、などといわれるルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール はご立腹であった。
「あら、どうしたのかしら?ゼロのルイズ」
「アレよ」クックベリーパイをつつきながら、宿敵たるツェルプストーに指し示したのは彼女の使い魔。
今彼は、全く持って違和感無くウェイターとして給仕の仕事をしていた。
「アンタ使い魔働かせてるの?そんなにお金に困ってるなら一言言ってくれればいいのに」
「ンなわけあるかぁ!アイツが『何もしないって性に合わない』とかいって勝手にやってるのよ。
いつの間にやらコックだのメイドだのと仲良くなってるし」
「こんにちわ、キュルケさん」
「こんにちわ、シュー
キュルケは、自分に挨拶をしてきたヴァリエールの使い魔に視線をやって、凍りついた。
両手によっつずつ、頭にひとつ、両の肩にひとつずつケーキの皿をのせたまま、危なげ無く歩き
しかも器用に自分に向かって頭を下げたりしてるのだから。
そのまま、ひょいひょいと皿を放り投げ、そのまま皿は絶妙に生徒の眼前に着地する様は、見るものが見れば彼の力量が尋常ではない事が分かるだろう。
だがしかしこの場ではただの宴会芸程度にしか認識されていなかった。
「す・・・凄いわね」
「向こうでもこういったウェイターのバイトとかよくやってたんで、慣れてるんですよ」
論点が完全にずれている。
そんなほのぼのとした情景の食堂に、ガシャーンと皿が割れる音が響き渡る。
何事かと視線を向ければ、土のドットメイジたるギーシュ・ド・グラモンが二人の少女に詰め寄られていた。
「やっぱりそうだったんですね・・・ギーシュ先輩」
「どういうことなのよ!はっきりきっぱり言ってみなさい!」
やがて少女たちは不実な男を殴り飛ばすと、足音も荒く食堂を出て行った。
両の頬に真っ赤なもみじをつけたギーシュは、一人のメイドの胸倉をつかむ。
「君がもっと機転を利かせていれば彼女たちは傷つかずにすんだんだ!」
そのあまりにも頭の悪い理論を放っても置けず、止めようとしたルイズ。
しかしその前にギーシュの腕を掴んだ者がいた。
彼女の使い魔、シュージだ。
「何をやっているんだ君は!」
「平民風情が無れ「そんなことどうでも良い!君は急いで謝るんだ!」
「こ、このグラモン家の子息たる僕に謝れだと!」
「家も貴族も関係無い!君は急いで謝らなきゃいけないんだ!」
「ふざけるな!たかが平民風情が!
どうしてもこの僕を謝らせたいというなら決闘だ!
君が僕に勝てたら潔く謝るとしよう。
実力で謝らせてみたまえ」
「い、いけません」とかはわはわやってるメイドを捨て置いて盛り上がる二人の男。
「・・・・・・いいだろう」
「よし、裏庭に来たまえ」
スタスタと立ち去るギーシュ。
その後についていこうとするシュージの胸倉を、ルイズは掴みあげる。
「何考えてるのよアンタは!平民が貴族に勝てる訳無いじゃない!
今すぐギーシュに謝ってきなさいよ!」
「 それは出来ない。
彼は、謝らなければならないんだ。
プライドが邪魔をするというなら僕が謝らせてあげなきゃいけない。
他の誰でもない、彼自身のために」
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