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「虚無(ゼロ)からはじめる筋肉革命-00」(2008/02/27 (水) 19:16:46) の最新版変更点
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#navi(虚無(ゼロ)からはじめる筋肉革命)
「さて……こいつを掴んじまったらもう去らなくちゃいけねぇ」
「……え?」
自分のグラブに収まった白球を右手でつかむ。
「お別れだ、理樹」
理樹がほうけたような顔をして見つめ返してきた。
まぁ、それが普通の反応だろうな。
「……なにを言ってるの……真人?」
「えーとな、理樹」
もうあまり時間もないだろう。
俺は俺の伝えたいこと言うだけだ。
「おまえとルームメイトになれてよかった。長い時間、一緒に過ごせてよかった」
「ちょっと待ってよ、真人……どこかにいっちゃうの?」
「俺はお前と過ごせてよかったと思ってる」
いったん句切り、
「その……」
俺は普段あまり聞かないこと聞くのがどこか気恥ずかしく、自分の鼻を指でかいた。
「……理樹のほうはどうだった?」
「え?」
さっきまでの困惑した表情を残しながら、当たり前のように答える。
「そりゃもちろん……僕もだよ」
理樹が続ける。
「真人がルームメイトだから、こんなに寮生活が楽しかったんだ……真人じゃなかったらありえないよ、こんな楽しい生活……」
「そっか……」
理樹のそれを聞いて、安堵と共にもうひとつ湧き上がる感情があった。
「なんだろ……すげぇ嬉しいぜ」
「え……」
理樹がどこかいつもと雰囲気の違う俺を見て、不安げに尋ねる。
「ねぇ、どこにも行かないよね、真人は?」
俺は理樹の問いに答えず、
「こんな馬鹿と一緒に過ごしてくれて」
手元のボールを投げ返した。
目の前にいるはずの理樹がすでにぼんやりと目にぼやけて映り始める。
「ありがとな」
最後の言葉を言い終えると、理樹の姿が消えた。
いや、俺が消えたのか。
まわりには何もなかった。
かつて、恭介が率いてリトルバスターズの『波紋』を拡げあった空間。
今は『無』という空間しかなかった。
死んでいるのか生きているのかすらわからない。
ただ言えることは、自分はこれから間違いなく『死』をむかえるということだけ。
いくら筋肉に自信がある自分であっても、爆破、炎上するバスの中にいては助かる見込みはないだろう。
だから自分はここで『死』が訪れるのを待つしかないのだ。
「へっ。俺ともあろう者がガラになく辛気臭いことを考えちまったぜ」
強くなった理樹と鈴にもう心配することなど何もない。
恭介なら二人にきちんと今の状況を説明してくれるだろう。
「さてと……ん?」
何もなかったはずの空間に奇妙なモノが浮かんでいた。
「……なんだこりゃ?」
見ためはまるで光る鏡のようなもので、自分の背丈と大きさが変わらない楕円形をしていた。
その不思議なものにちょっと触ってみようかと手を入れたその瞬間、
「……!?」
突如体に電流が流れるかのような強烈な刺激。
まずいと思ってもすでに意識は鏡から発する光と共に真っ白く染まっていった。
#navi(虚無(ゼロ)からはじめる筋肉革命)
「さて……こいつを掴んじまったらもう去らなくちゃいけねぇ」
「……え?」
自分のグラブに収まった白球を右手でつかむ。
「お別れだ、理樹」
理樹がほうけたような顔をして見つめ返してきた。
まぁ、それが普通の反応だろうな。
「……なにを言ってるの……真人?」
「えーとな、理樹」
もうあまり時間もないだろう。
俺は俺の伝えたいこと言うだけだ。
「おまえとルームメイトになれてよかった。長い時間、一緒に過ごせてよかった」
「ちょっと待ってよ、真人……どこかにいっちゃうの?」
「俺はお前と過ごせてよかったと思ってる」
いったん句切り、
「その……」
俺は普段あまり聞かないこと聞くのがどこか気恥ずかしく、自分の鼻を指でかいた。
「……理樹のほうはどうだった?」
「え?」
さっきまでの困惑した表情を残しながら、当たり前のように答える。
「そりゃもちろん……僕もだよ」
理樹が続ける。
「真人がルームメイトだから、こんなに寮生活が楽しかったんだ……真人じゃなかったらありえないよ、こんな楽しい生活……」
「そっか……」
理樹のそれを聞いて、安堵と共にもうひとつ湧き上がる感情があった。
「なんだろ……すげぇ嬉しいぜ」
「え……」
理樹がどこかいつもと雰囲気の違う俺を見て、不安げに尋ねる。
「ねぇ、どこにも行かないよね、真人は?」
俺は理樹の問いに答えず、
「こんな馬鹿と一緒に過ごしてくれて」
手元のボールを投げ返した。
目の前にいるはずの理樹がすでにぼんやりと目にぼやけて映り始める。
「ありがとな」
最後の言葉を言い終えると、理樹の姿が消えた。
いや、俺が消えたのか。
まわりには何もなかった。
かつて、恭介が率いてリトルバスターズの『波紋』を拡げあった空間。
今は『無』という空間しかなかった。
死んでいるのか生きているのかすらわからない。
ただ言えることは、自分はこれから間違いなく『死』をむかえるということだけ。
いくら筋肉に自信がある自分であっても、爆破、炎上するバスの中にいては助かる見込みはないだろう。
だから自分はここで『死』が訪れるのを待つしかないのだ。
「へっ。俺ともあろう者がガラになく辛気臭いことを考えちまったぜ」
強くなった理樹と鈴にもう心配することなど何もない。
恭介なら二人にきちんと今の状況を説明してくれるだろう。
「さてと……ん?」
何もなかったはずの空間に奇妙なモノが浮かんでいた。
「……なんだこりゃ?」
見ためはまるで光る鏡のようなもので、自分の背丈と大きさが変わらない楕円形をしていた。
その不思議なものにちょっと触ってみようかと手を入れたその瞬間、
「……!?」
突如体に電流が流れるかのような強烈な刺激。
まずいと思ってもすでに意識は鏡から発する光と共に真っ白く染まっていった。
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