一方通行(今更年上好きとか言えねェよなァ・・・) 3スレ目


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過去ログ
あらすじ(若干のネタバレがあります)


一方通行は学園都市最強のロリコンというレッテルを貼られていたが、
実は彼、自分より年上の女が好きという性格であった。
女子大生くらい~80以上までというレベル5級のストライクゾーンを持つ彼は
偶然居合わせた御坂美琴と上条当麻と話し合い、誤解を解くに至った。


誤解を解いたは良いが、出会いが欲していた彼は『アイテム』と出会い、麦野沈利に惚れてしまった。
ニート状態から脱却するため学園都市最強の素性を隠し、めでたく下っ端雑用『ラビット』として暗部入りを果たす。
ちゃっかり美女4人と同棲を始め、時にぶつかりながら順調に仲間との絆を深めていった…

そんな中、愛する麦野の誕生日に『ピンセット』を守るという仕事が舞い込み…








一方「本番って俺はやった事もねェのを麦野さンに出来ンのか…?」

滝壺「大丈夫、私も…本番やったこと無い。…らびっとは本番を知らないの?」

一方(本番…つまり抱っこ…姫始めした状態から何かをするンだ……確か打ち止めが前に見てたドラマのシーンで

    結婚式のバージンロードを姫始めで歩いてたなァ…)

一方(…つまり、本番ってのは結婚…ないしそれに直結する『儀式』に近ェハズ……となるとアレしかねェ)

一方「つまり…本番ってのは……く、口と口をくっつける事だなァ!?」

絹旗(ラビットって純情ですからキスという言葉を女の子の前で言えないっぽいですね)

滝壺「ううん、それは貝合わせ」

一方(…?平安時代の遊びに儀式性が帯びたモンなのかァ…?)

絹旗(……滝壺のその知識は何処で仕入れてくるんでしょうかね)

一方「チッ…キリがねェ…その本番ってのはお前らと出来ねェのか?」

絹旗(がはっ…!これは危ない!下手したら超セクハラ物に…!)
 
滝壺「それは駄目なの」

一方「あァ?なンでだよ…減るもンじゃねェンだろ?」

絹旗(コレは滝壺から見たら性欲が有り余ってる典型的思春期の男子ですよね)

滝壺「らびっと…それは自分の一番大切な人にしかやっちゃいけない事なんだよ」

一方「!!」

滝壺「そういう事をしたいって気持ちが強いのは悪い事じゃないけれど…それを私が最初にやっていいの?」

絹旗(…お、思った以上に滝壺が教育者でした…)

一方「…そりゃァ出来ねェよな。悪ィな滝壺。お前も大切な人だが…麦野さンを裏切れねェ」

絹旗「やっと素直になりましたね」

一方「…!ち、違ェよ!誕生日だから主賓に花を持たせてやるって意味でだ!」

滝壺「らびっと。そういう事を言っちゃ駄目だよ?麦野と一つになるんだから素直にならなきゃ」

一方「ひ、一つゥ!?」

滝壺「うん。合体って言うくらいだから」

一方「オイ!俺はエイリアンじゃねェンだぞォ!!」

絹旗(…これ以上は超カオスになってしまいそうなのでそろそろ収拾つけますか)
 
絹旗「滝壺…ちょっと外へ…」

滝壺「…?」


~~~~5分後~~~~~


絹旗「…」

滝壺「…」

一方「で、本番って何なンだァ…?」

滝壺「…ごめん、らびっと忘れて」

一方「ハァ?」

絹旗「あー…ちょっと勘違いしたというか何と言うか…」

一方「そォか」

滝壺「らびっと」

一方「?」

滝壺「抱いて」

絹旗「ぶふぉっ!」

一方「あァ良いぜ…丁度姫始めの練習してェと思ってたンだ」

絹旗(…こっちの誤解も解かなければいけませんね)


・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
 
麦野「…さてと、随分暇なものね」

麦野「フレンダは巡回してるし…」

麦野「…」

麦野(今頃ラビット達は仲良くやってるのかしら)

麦野(…嫉妬かぁ)

麦野「…確かにラビットって妙な強かさがあるしなぁ…」

麦野「…」

麦野「(私が惚れた?)…ハハッまさかね」

麦野(なんかラビットって虐めて愉しいようなタイプとは違うのよねー)

麦野(…私はラビットに何を求めてるのかしらね)

麦野(能力が効かないのは…不思議と不愉快に思わないわね)

麦野(…何故か効かない事に納得してしまうっていうか…)

麦野「はぁ…殆ど病気ね。こんな日に侵入してきた馬鹿はぶち殺し確定ね」

麦野「……ふふっ、ラビットも心配性よね。私が危なくなるハズ無いっての」

麦野(…)
 
??「月が出てねぇな」

????「侵入するのは新月の方が良いって言うじゃない」

??「夜ですら明るい現代に何言ってんだよ」

????「まぁ光源が減るに越したことないんじゃない?」

??「まぁ俺が思ってるのは『月』が『ツキ』に転じて『ツキが無い』ってなる事だ」

????「…へぇ。あなたってそういうの気にするんだ。ロマンチストなのね」

??「そーでもねぇよ。月ってのは引力があるだろ?何かを引き付ける力が見えないってのは不安でな」

????「じゃあ今日はやめにして満月をねらう?」

??「いや、ツキが無ぇのは向こうだな。仕事は速い方が良いんだよ」

????(めんどくさい奴)

??「んじゃ、てめぇらは留守番だな」

????「本当にいいの?私が居なくて。相手はアイテム…原子崩しと能力追跡がいるのよ?」

??「ハッ…今回はてめぇが居ても足引っ張るだけだっつーの」

????「それじゃ、あなた一人でいいのね?」

??「いや、サポートとして2人ほど連れてくぜ」

????「じゃ、せいぜい『ツキ』に見放されないようにね」

??「ハッ、言ってくれるぜ」
 
フレンダ「…はー、いつ来るか解らない敵を待つってのも暇ねー」

フレンダ「あ、もしかしてこれって死亡フラグじゃない?」

フレンダ「…」

フレンダ「…まさか今回もレベル5級の侵入者とかじゃないわよね…」

フレンダ「拷問とかされたりしてー!ハハハ…」

フレンダ「…」

フレンダ「…一応コレは持っていこうっと」

フレンダ「それにしても暇ねー…」

フレンダ(…らびっと達は今頃コントやってるのかしらね)

フレンダ(とりあえず明日は絹旗と交代だからいいか)

フレンダ(あー明日が楽しみだなー…ってこれも死亡フラグか)

フレンダ(…麦野の誕生日どうすっかなー…)

フレンダ(…)

フレンダ(あれ?…私さっきから口に出す内容殆ど死亡フラグじゃね?)

フレンダ(…とりあえずモノローグ出さないようにしよう)

フレンダ(…)
 
一方「…よし、ここだ」パシ

絹旗「あー…また取られましたか」

滝壺「らびっとよく覚えてたね」

一方「神経衰弱なンて簡単だぜ?カード丸暗記で場所覚えるよりか絶対座標を作ってやって

    カードの数字を座標数と組み合わせればなんて事ねェ」

滝壺(らびっと…すごい…)

絹旗(…)サッ

一方「そンじゃ…ここだァ!」パシパシッ

絹旗「…あれ?外しましたね。自信満々だったのに超ダサイですねー」ニヤニヤ

一方「…あァ?(どォいう事だァ?)」

絹旗「…じゃあここと、ここ」パシパシ

絹旗「おー取れました。…ラビット残念でしたね。さっきのは一つとなりでしたよ」

滝壺「らびっとのお陰で取れたね」

一方「テメェ…汚ェぞ」

絹旗「おやおや、言いがかりはよして欲しいですね。この世には優れた能力を持つ者とそれを利用する者とで成り立ってるんですよ」

一方(…相変わらず体も器も小せェな)
 
 
ジリリリリリリリリリリリリリリリリ........!!!!!!!!!!!!!!!


麦野「!」

フレンダ「キタ、キタ、キタァ~!」

絹旗「侵入者ですね」

一方「あァ?」

滝壺「…」


pipipipipi......


麦野『みんな聞いてる?侵入者があったと報告を受けたわ。フレンダは迎撃姿勢をとって。

   絹旗、滝壺、ラビットは待機。アラートレベルは2を適用。侵入者は確認されてるだけで2人』

絹旗「わかりました」

麦野『私はここでピンセットの見張りを動けないから。フレンダ。やばくなったら信号を出しなさいよ』

フレンダ『はいはーい』

麦野『信号が出たら手ハズ通り滝壺を私の所まで連れて来るのよ。以上』


一方「…」

絹旗「2人ですか…随分無謀な輩ですね」

一方「…(何か引っかかるな…)」
 
一方「いや、無謀じゃねェ…むしろ自信だ。それに確認されてるだけで二人。もしかしたら波状攻撃の斥候かもしンねェ」

絹旗「…そこまで深く考える必要ありますか?」

一方「…あのピンセット…ありゃァ素粒子を掴める物だよなァ」

絹旗「ええ。そうですけど…それが?」

一方「普段の任務で守るブツは大抵学園都市や組織の機密に触れるモンだ…だがコイツはその事について事前説明が無ェ」

絹旗「…まあでも別に依頼を守るって事はいつも通りじゃないですか」

一方(いや、違ェ…暗部組織にすら抵触出来ねェ程の機密があるって事だ…あの大きさの箱の中に何が入ってるか知らねェ

    或いは本当に素粒子を掴めるってだけのモンなのかも知れねェが…)

一方(…恐らくアレは学園都市の機密どころじゃねェ…この学園都市の闇すら届かねェ部分……根底から揺るがす物)

一方(…だとしたら)ガタッ

絹旗「…?どうしました?」

一方「花摘みに行って来ンぜ」カツカツカツ

絹旗「って…今も使ってるんですかその言葉…」

滝壺(…らびっと?)

一方(恐らくレベル5クラスの奴…首謀者かどォかは知らねェがソイツが来る可能性は高い)
 



??「そんじゃ、お前らここで留守番な」

男1「…垣根さん、本当に一人で大丈夫ですか?」

男2「あの原子崩しが居るんですよ?」

垣根「ハッ!原子崩しなんざ敵にすらならねぇよ。問題は能力追跡の方だ」

男2「能力追跡…ですか」

垣根「あぁ…この任務はピンセットの強奪が第一だが能力追跡の情報収集、場合によっては殺害も考えてるな」

男1「ですが能力追跡ってデータ上なら俺達レベル0の方がいいんじゃないですか?」

垣根「あぁ。お前達が原子崩しに食われる覚悟があるならいいぜ?」

男1「…」

男2「ピンセットってかなり大型ですよ。持ち帰るのは…」

垣根「ま、俺の能力で何とかなんだろ。つー訳でお前達は車番兼通信役だな」

男2「…わかりました」

垣根「んじゃ行ってくるぜ……さて、派手にやるかぁ!!」
 
『侵入者確認。D区画中破。アラートレベル3に引き上げます。第4~第7シャッター展開します』

麦野「区画ブロックは?」

『K区画です。G区画にて火災発生!』

麦野「なるほどね…みんな聞いた?」

絹旗「了解です」

フレンダ「じゃ私は西側で待機でいいの?」

麦野「…そうなるわね」

一方(いや…コイツは陽動だァ…大~超能力者の侵入にしては小規模過ぎンぜ…)

麦野(恐らく…侵入者は侵入すらしていない)

一方(警備の目を掻い潜っての破壊活動をするなら姿を消せる能力者だが…それなら陽動をやる意味はねェ)

麦野(となると砲台…?私を力で制するつもりか…或いは)

一方(麦野さンが居る事を承知で乗り込ンでるハズ…なら)

麦野(アレは囮…注意をひきつけといてピンセットを奪取するつもりなんでしょうけど…そうはいかない)

一方(連中は…麦野さンが直接ピンセットの近衛をやってる事は知らねェはずだ)

麦野(つまり…ぶち殺し確定ね)

一方(…いや、当然麦野さンの対策を取ってるンだ…考えようによっちゃァ麦野さンが一番危ねェ)
 
 
一方(俺が一番先に考えたのはピンセットが狙われる理由が説明されなかった事…

    防御陣や篭城ってのは基本的にどンな敵にも備える為にあるが…敵の情報が有るに越した事はねェ)

一方(…敵の情報が有るか無ェかで篭城がどれ程辛ェか…この場合ピンセットの情報の如何によって

    敵の情報が粗方察しがつく…だがそれが無かった)

一方「説明は無ェ…だが『説明が無ェ』事そのものが今回のヤバさを説明に他ならねェ…そォだよなァ?」

男1「…てめぇは研究員じゃねぇな?アイテムってのは確か女だらけだっつってたが」

一方「…ただの雑用だぜ…テメェこそ研究員じゃねェよな?」

男1「けっ…おおよ。俺もてめぇと同じ雑用さ」チャキッ

一方「…雑用っつーのは随分物騒な物持ち歩くンだなァ?オイ」

男1「まぁな。それにお守をするにはあやす道具が無いとだろ?」

一方「クカカッ!違ェ無ェな!…そンで『アレ』もてめェのオモチャか何かか?」

男1「質問に答えてもらうぞ…どうしてあの火災陣が陽動だってわかったんだ?」

一方「さァてね。俺ァちっと花を摘みに行ってる途中だったンだぜ。コソコソしてるテメェ等と違って自由に歩けンだよ」

男1「(花を摘む…?)ほー。それでわざわざ来客用トイレから離れた発電機前に来たのか」

一方(今ので解った事は、コイツが陽動の下手人…。『アレ』という不明確な指示語に火災陣と答えた事でコイツだと解る

    更に発電機が見えない場所で発電機があるって言った事はかなり下準備をしてあンな…。

    それに俺の『テメェ等』という言葉に対して反応しねェ…つゥ事は侵入者は複数居ンな…)
 
一方(道具を使う辺り能力は0か低レベル…或いは火力の無い補助タイプってトコか)

男1「たいした奴だぜ…雑用でもここまで頭がまわるとはなぁ」

一方「褒めて頂いてありがとよォ!…下っ端がやる事ァ下準備、陽動、その後やる事は逃走経路の確保だよなァ?」

男1「…てめぇ…何者だ?…何故発電機を使って持ち出す事を知っている」

一方(ククク…テメェが教えてくれンだよ。俺はただ『下っ端がやる事』としか言ってねェ。

    事実、侵入で下っ端のやる事はその3つである事が多い…しかも俺は『逃げる』と言ったが、コイツは『持ち出す方法』だと

    見事に勘違いした…結果コイツは俺に情報をやる事になった…俺が知ってると思ったからだ)

一方(それに発電機…確かここの非常用電力は専用バッテリーと専用風力発電機で賄ってる…だから)

一方「…風力発電の…風だろ?」

男1「チッ…そこまで知られてるなら仕方ねぇな。ここで死ね」

一方「おいおい…せいぜい答え合わせぐらいさせてくれねェか?…気球か何かを飛ばして風に乗せンだろ?」カチッ

男1「フフフ…惜しいな。てめぇみたいな小物にはそういう小さい発想しか出来ないんだよ。不正解だ」

一方「なるほどなァ…ンで、罰ゲームは?」

男1「鉛弾だ。死ね」パァン!

一方「あっそ」キィン

男1「!?うおあああっ!!!な、何だ!!?銃が暴発したぁ!??」

一方「あー…(反射した弾が偶然銃口に入ったのかァ)運が悪かったなァ?生憎、俺も物騒な物持ってンだわ」チャキッ

男1「ひぃっ!!」

一方「で?風力発電をどォするつもりだ」

男1「し、知らねぇ!!…俺は言われた通りにやれって言われただけだ!!」

一方「……ほぉ。愉しい拷問パーティになりそォだけどよ、こっちは急いでンだ。早めに吐けよォ?」

男1「……!!」
 
絹旗「…ラビット超遅いですね…まさか大の方でしょうか」

滝壺「…もしかして…種の方かも」

絹旗「種?」

滝壺「ううん、なんでもない。それにらびっとは足が不自由だから…」

絹旗「…まあ最悪迷ってるかもしれませんね。今頃風車のてっぺんにいたりして」



一方「おーいい眺めだなァおい!上空70mの眺めはどォですかァ!?」

男1「あああああああああああああ!!!!!!!!!」

一方「きィィいいいこえねえええええェェよおおおおォォォ!!!!ああああァァァ!?」

男1「もう…も……もう、し」

一方「オォ!もう一杯かァ!!春になりたて時期に風車の風に当たりながらの行水は最高だもンなァ!!」

男1「や、や”ゃめろぉおおお!!!!!」

一方「逆さに吊るされて水かけられる気分はどォよ!?濡れた皮膚に風が吹くと体感温度下がりまくって凍傷になっちまうかもなァ!?

男1「うぅ…う……」

一方「あァ?気絶すンじゃねェぞォ!!発電機のシャフトに放り込まれてェかァ!!?」バキッ

男1「がっ……ゴホッ…ほ、本当に…もう知らねぇんだよぉ……」

一方(…あァ、そォいえば情報を聞き出すンだったな。忘れてたぜ)
 
 
フレンダ「…おかしい。爆発の規模と発火タイミングに規則性がある…これは」

フレンダ「麦野ー!聞こえる?」

麦野『どうしたのよ』

フレンダ「これは陽動よ!爆発の発生が機械的すぎるわ」

麦野『ああ、知ってるけど?』

フレンダ「し、知ってるって…!」

麦野『それで?』

フレンダ「い、いや…じゃあ侵入者は別方向から来るんじゃないの!?」

麦野『いや…恐らく侵入すらしてないわね。外よ』

フレンダ「行かなくていいの?」

麦野『外にうろついてるねずみは必ず中に入ってくるわ。逃げ足の速いねずみを追うより、目当てのチーズの手前で叩き潰す』

フレンダ「…わかった。絹旗達は?」

麦野『…今はまだ滝壺をこちらには入れられない。私はもう策を張ってんの』

フレンダ「あー…最初入った時のアレね」

麦野『滝壺、絹旗、ラビット、聞こえる?』

絹旗『はいはいー』

麦野『3人とも移動して。渡したカードキーなら4レベルのドアまで開くからY区画を通ってT-38に待機』

絹旗『わかりました。ラビットが今外に出てるので戻って来次第行きます』
 
垣根「…なるほどね…入ってきたところを料理か…確かに袋のねずみになるかもな…」

垣根「甘ぇよ原子崩し。だからテメェは第四位なんだ。袋のねずみはてめぇらだ」

垣根「…さーてと。こちらは粗方すんだな。陽動に出てる奴には退避令出しとくか」

垣根「もう一人の方は…そろそろ発電機は制圧したよなぁ?」

垣根「垣根だ。そっちはあがっていいぞ」

男2『わかりました。車で待機してます』

垣根「おい、そっちの発電機は?」

??『えェ。順調です』

垣根「…おい、システムグリーンじゃねぇか。何やってんだ?」

??『あァ、すンませン。慣れてないもンで』

垣根「……てめぇ…誰だ」

??『カカカッ!そォだなァ…白兎とでも答えとくかァ』

垣根「…なるほど。テメェは俺をワンダーランドにでも連れてってくれでもすんのか」

??『あァ。テメェの死刑判決聞きに来るかァ?アリスちゃンよォ!』

垣根「悪ぃが俺にはティーパーティに行って卵男爵を持ち帰る予定なんだ。てめぇとのチェスに付き合う暇はねぇよ」

??『あァ、じゃあこっちの卵男爵は割れちまいそォだ』



カシュン



??『おー人間っつーのは血液の塊みたいでよォ!落とすと水風船割ったみてェだぜ?』ブツッ ツーツーツー

垣根「…誰だか知らねぇが…ウサギ野郎…てめぇのチェス勝負受けてやるぜ」
 



垣根「チッ…どぉすっかなー発電機」

垣根(それにしても使えねぇ奴だ。仕事を未遂でやられるなんてよ…)

垣根(…)

垣根(……しかし…あのウサギ野郎は誰だ?…声からして男、アイテムじゃねぇ…それに高いところから男1を落としたっつってたな)

垣根(…男1は発電機を見回りに行ってた…恐らく見つかって戦闘があったのは発電機周辺)

垣根(陽動は発電機に目を向かせないためでもあるが…ただ単に研究員かガードマンが居たって事か?)

垣根(いや…第三の組織とのニアミスっつーのも考えられる。恐らく能力者)

垣根(ここで高いところと言えば屋上……今から行って捕まえても良かったがそれはこの計画に狂いが生じるな)

垣根(…だがここの屋上は30m程度…奴は水風船のように割れたと言った。嘘じゃなきゃ落とした地点の高さと重力加速度を考えるともっと上…つまり)

垣根(奴は風力発電の風車上…70m近く上空に居た……それは風力発電の近くを調べて死体があるかどうかを調べればいい。

    だが確認に向かわせたところで別の奴が網を張っていて捕まえられるだろうな…それにあの時聞こえた音は間違いなく人間が弾ける音)

垣根(…この行動で奴が俺にして来た事…まず能力者である事の示し。それも空間移動系か、それに優れた能力である可能性…場合によっては別の能力者が数人いる可能性もある)

垣根(そして躊躇無く人を殺せる…同じ暗部だろうな。拷問もしただろうからこの作戦の要が風力発電機にある事を掴んだはず)

垣根(…風力発電機を俺が直々に制圧しに行くか?……)

垣根(いや……作戦自体は風力発電無しでもいける…が、プランを動かして皆殺しにしてからでもいいだろうな)

垣根(ククク……俺の未元物質に常識は通用しねぇ…奴らが俺のしようとしてることは解らねぇハズだ。奴らが考えているのは精々常識の範囲内…)

垣根「その縄じゃ…俺を縛れねぇよ……さて、そんじゃ、そろそろやるか」
 
一方「よォ」ガチャ

滝壺「おかえり」

絹旗「ラビット!どこで油売ってきたんですか!」

一方「あァ。ちっとばかし迷っちまってよ」

絹旗「ハァ…やはりですか。ラビットの事だから風車のてっぺんまで行ってそうだって思ってたとこです」

一方「カカカッ!!…お前も面白ェ冗談言うようになったなァ!!」

絹旗(え?今のってそんなに面白かったんでしょうか…?)

絹旗「それより研究所の内部に移動しますよ」

一方「あァ!?」

滝壺「大丈夫…一応安全な所だから」

一方(違ェ…この研究所に安全な所なンざ無ェ。むしろ…連中からしてみりゃァ袋のねずみだ…)

一方「そりゃァ麦野さンの提案か?」

滝壺「うん」

絹旗「…ラビット?」
 
一方(…チッ…奴ら麦野さンの性格すら見抜いてる可能性がある…麦野さンの自信、それを逆手に取って来やがった…)

一方(奴らの狙いは…ピンセットの奪取もあるが…恐らくアイテムそのものを根絶やしにする考えもあるハズ…)

一方(前に滝壺の能力が要と言ってたが、護衛が必要である所を見ると戦闘向きじゃねェ。そして麦野さンが滝壺を切り札にする…)

一方(となると…滝壺の能力は恐らく戦術支援的タイプの能力だ)

一方(麦野さンが巨大な砲台だとすンと…滝壺は恐らくその照準的役割……自分を守りきれる能力じゃねェだろォな)

絹旗「…とにかく早く移動しましょう」

一方「ン…あァ(ピンセットの強奪が目的だがあわよくばアイテムをこの機会に皆殺しにする算段を立てているハズ…
 
    …つまり研究所に入ると同時に袋のねずみに陥る何らかの仕掛けが発動する可能性が高ェ)」

一方(…恐らく麦野さンもその事を承知で張っている…だが連中がそれを見抜かない訳無ェ…恐らく麦野さンの対策があるハズ…)

一方(……)

一方「…行くか」カツカツカツ

絹旗「ああもう!なんなんですか!黙って動かないと思ったら歩き出すとか超自己中ですね!!」
 
フレンダ「…暇ねー。赤外線には反応ないし。研究員も避難完了したし。あの陽動は何だったのかしら」

垣根「さぁてね?それよりお嬢さん、俺と一緒にお茶でもいかがかな?」

フレンダ「!?あ、アンタ誰!?いつの間に!!??」

垣根「いやー…いい女が居ると例え火の中水の中森の中…あの娘のスカートの中ってなぁ?」

フレンダ「へぇ…誰だか知らないけど厳戒態勢のココに侵入してくるなんてね?いい度胸してるじゃない」

垣根「しっかし…データで見たアイテムの無能力者に当たっちまうとはなぁ…」

フレンダ「結局、そういう油断がアンタの命取りって訳よ!!!」カチッ ガシャッ

垣根「!」

ドォン!!…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

フレンダ「ふふ…どう?小型化したナパームの地雷っていえばいいのかしら…焼尽範囲は10m程度、私が居るギリギリの範囲までの酸素を奪いつくすわ」

フレンダ「そして私の手前に降りてきた超高度アクリル樹脂とチョバムプレートで固めた耐熱性のシャッター…私の周りは酸素が奪われないって訳よ」

フレンダ「さ、麦野に報告しなきゃね」

バキィッ!!!ギギギッ…ゴゴゴ…

垣根「オイオイ、随分チャチな挨拶だな…」

フレンダ「なっ!!(あのシャッターは15cmもあるのよ!!??)」

垣根「で、麦野…第四位には何て報告するんだ?」

フレンダ「くっ…!」タッタッタッ…

垣根「なるほど…俺を罠に嵌めようってのか」
 


フレンダ「麦野!聞こえる!?」

麦野『どうしたのよ』

フレンダ「侵入者と交戦したわ!エリアは区画R-55!」

麦野『わかったわ。じゃ、簡単にいたぶって…』

フレンダ「そうじゃない!侵入者は一人!!私のナパームが通じなかったわ!!」

麦野『…他の区画の罠は?』

フレンダ「作動してない…ってゆーかアイツがどうやって赤外線にかからずに来れたのよ!!」

麦野『落ち着きなさい、恐らく気配を消せる奴か空間移動系の能力者と組んでる可能性が高いわ。十分注意しなさい』

フレンダ「わ、わかった…」

麦野(…ナパーム…ガソリンに着火して周囲を焼尽する兵器…焼尽範囲から離れてても空気を奪われるから一酸化炭素中毒に陥る…)

麦野(一酸化炭素中毒にならないなら発火系能力者じゃない…恐らく相手は大気を操る能力者…空力使いに近い)

麦野(…少なくとも絹旗みたく自分の周囲に防御膜を張れる能力者っぽいわね)

フレンダ「…くっそ…」

垣根「おーい!いい加減出て来いって!」

フレンダ(なら…このテープならどうよ!)バシュッ

垣根「お?(この白線…カッターと導火線を併せたモノか?)」ヒョイ

フレンダ(しめた!)

垣根(!人形!?)

ドカァ!!

フレンダ(ふふ…)

垣根「チッ……ったく…無能力者の戦いってのは相変わらず温いぜ」

フレンダ(!!嘘…なんで避けずに傷一つない訳!?)

垣根「…おーい、近くに居るんだろ?……そんじゃここからいい物見せてやるよ」

フレンダ(…?)




絹旗「…麦野から連絡がありました。今フレンダが侵入者と交戦してるようです」

一方「!」

滝壺「…」

絹旗「ま、フレンダの事ですから上手くやってくれると思いますがね」

一方(いや…恐らく苦戦してるに違ェ無ェ…)

一方「…今はまだ麦野さンのサポートに行かなくていいのか?」

絹旗「いいえ。まだ待機状態です」

一方「…そン時に俺は付いていくべきなのかよ」

絹旗「いえ…ラビットが来ても足手まといになるでしょうから待機でしょうね」

一方「…」スッ

滝壺「?どこに行くの?」

一方「…俺ァ自由に出歩けるって訳だな?」

絹旗「ええ…そうなりますけど、携帯に共通通信されてるマップのエリアは危険ですからね。カードキーは私が持ってますし」

一方「あァ。そンじゃしばらくしたらこっちに戻ってくるわ」ガチャ

絹旗「…?」



フレンダ(…何をするつもり?)

垣根「…テメェ等クズ共は…この俺が袋のねずみだと思ってるんだろ?」

フレンダ(くそっ…攻撃が通じないのに何言ってるのかしらね…追い詰められてるのはこっちだっつーの)

垣根「それは違う…ここはテメェ等の知る場所じゃねぇ…!!」ブワッ!! パァァァ…!

フレンダ(!!何あれ…?羽が生えた…!?)


ズズン…!!!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!

絹旗「!?な、なんですか!?こんな時に地震!?」

滝壺「!!」

一方(チッ!……野郎ォ…行動を起こしやがった!!)

麦野(くっ…!)

フレンダ(!?地震…!?)

垣根「さぁ!!マッドティーパーティーと洒落込むぜぇ!!!ウサギ野郎ぉおおおおお!!!!!!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………ズズン…


絹旗「な…なんだったんですか…?」

滝壺「…動いてる」

絹旗「…え?」
 

滝壺「動いている」

絹旗「どういう事ですか…(pipipi…)!!麦野…!?」

絹旗「い、今の地震は」

麦野『聞きなさい絹旗!動いているわ!!』

絹旗「だから何がです!?」

麦野『いえ…浮いている……』

麦野『奴ら、この研究所を浮かせている!!今の高度は30m!今も上昇してるわ!!』



フレンダ(高度計があがってる…気圧計にも変化が……どういう事…?飛行船でも括り付けたの…?)

垣根「自己紹介が遅れたな……垣根…垣根帝督。『未元物質』って言えばわかりやすいかぁ?」

フレンダ(!!……やばい!コイツ超能力者!!第二位の…!!)

垣根(ククク…ここの地殻とまでは行かないが、研究所の基盤に未元物質を仕掛けといた…物質Xの性質は

    固体でありながら空気…いや、水素より軽い性質…そして建物を水平に保つ)

垣根(風力発電機を回転させることで空中を移動し、別の計画で第23学区に落とす予定だったが…

    …白兎が居る以上下手に動けねぇ…計画の一部カリキュラムを変更する)

フレンダ(くっそ~…超電磁砲といい麦野といいコイツといい…私はレベル5に余程縁があるみたいね…)
 

pipipi!


麦野「!フレンダ!どうしたの!?」

フレンダ『麦野!侵入者は第二位!あの未元物質よ!!』

麦野「!」

フレンダ『結局、このダイナミックな仕掛けも奴の所属する組織か第二位の能力って訳よ!』

麦野「わかった。アンタは牽制しつつ深入りh」

フレンダ『とりあえず時間稼いどくから!対策練っといて!』pi

麦野「ちょっと!フレンダ!…くそっ切れた…あの馬鹿……絹旗!」

絹旗『はい!』

麦野「絹旗は滝壺を私の所まで連れて来て!その後はフレンダを撤退させつつこの部屋の誘導に回りなさい!」

絹旗『わかりました。すぐ向かいます』

麦野「いい?滝壺を連れた状態で敵の一味と出会っても先走って交戦するんじゃないわよ」

絹旗『はい。わかりました。念のためこちらのGPS座標を送信します』
 


フレンダ(くっ…じゃあコイツならどうよ!?)バッ カラン

垣根「おいおい…いい加減にしてくれよ?」

パァン!

フレンダ(まず散布するのは微粒子酸化ウラン…吸い込んだだけで終わりよ!)

垣根(…酸化ウランか…これはウランを取り除いたり分解するよかフィルターを張った方がいいな)

シュー…

フレンダ(次にC4H10FO2P…皮膚からも吸収される猛毒って訳よ!)

垣根(!あの女本格的に殺しにかかってきてるな…)

パァン!!ダダダダダダダ!!!

フレンダ(そして最後にダムダム弾を詰め込んだ全方位発射装置!!)

垣根(!!)

ババババババババババババババ!!!!!!!!!!

フレンダ(フフフ…どれも凶悪兵器の筆頭格…これには流石に)

垣根「ほぉ…化学兵器連続の後に実弾兵器を使ってくるとはな…だが、俺を殺すなら実弾じゃまず無理だな」

フレンダ(…嘘……無傷…?)

垣根「…じゃ、とりあえずルークでも倒しとくか?」ビュッ

フレンダ「!!(って…!早っ!)」

ガシッ!

垣根「捕まえた」

フレンダ「ヒィッ!!」
 

垣根「…んー特にお前達に関しての情報で聞きたい事は無いんだけどよ…強いて言えば」

垣根「白兎って奴を知ってるか?」

フレンダ「(…?白兎…まさかラビット…?)し、知らない…」

垣根「あっそ。やっぱりな。じゃあ…第四位、原子崩しと能力追跡はどこにいる?」ギリッ

フレンダ「うぐっ…!(く、くるしい…って…!)」

垣根「それは知ってるだろ?言えば殺さねーって」

フレンダ「麦野は…」

―――「ごめん…!…私…フレンダの……大切なもの…」

フレンダ(麦…野…?)

―――「私…アイテムを大切にするわ。だからアナタもアイテムを大切にしてほしいの」

フレンダ(……)

垣根「で?どこなんだ?」

フレンダ「し…」

垣根「し?」

フレンダ「…死ね!このチンピラ!!」ギュッ バッ!

垣根(!!しまった!発火するテープ…!!この至近距離じゃ…!!)

カチッ バシュッ!
 
麦野(…フレンダ……くそっ…)

絹旗「麦野!」ガチャッ

麦野「来たわね…滝壺は私と待機、…いい絹旗?今フレンダが交戦してる相手は未元物質よ」

絹旗「!!フレンダ…!!」

麦野「…まだ生体信号はある…でも絹旗、あんたじゃ勝つのは難しいわ。フレンダと合流したら44番からPルートを通ってこの部屋に連れてきなさい」

絹旗「わかりました」ダッ



一方(クソッ…金髪が居るトコは案外遠いな……ン?…ここは…)

『キー照合。ロック解除』

一方(電子盤のベクトル操作でロックは解除…ぶち壊した方が早ェが、バイオハザードが起きた時に麦野さン達に被害がある可能性がある)

ガラッ…チャキッ

一方(最悪のケースだが…念のためコイツを持ってくか)

一方「チッ…金髪…せめて生きていやがれ…!!」
 
・・・・・・・・・・・
・・・・・
・・・



垣根「…いやー、驚いたぜ…気ぃ抜いてたら胴から真っ二つだったからなぁ?」

フレンダ「ぐっ…がはっ…!」

垣根「だが…俺の体にも未元物質で膜が張ってあるんだわ。駆動鎧以上の防御力をアンダーシャツの厚さみてぇにしたと思えばいいな」

垣根「いやー…しかしてめぇの攻撃で俺のシャツが破れちまったよ…つー訳でぇ…テメェの腹あたりから下半身分断してやったんだが…」


フレンダ「うぅっ…!」


垣根「あー…人間っつーのは不思議だなぁ?骨盤あたりを捩じ切ってもショック死しねぇっつーのはすげぇよ」

フレンダ「ゴホッ…がっ…!」

垣根「でかい血管は塞いどいたぜ?優しいだろ?あと30分たったら塞いでる物質は消えるように設定しといたからな。

    それまでの間苦しいかもしれねぇけど…まぁ、せいぜいがんばれよ?」

垣根「おー、そうだ!ここにホッチキス置いとくぜ。血が出始めた時に自分で血管閉じて塞げばもう少し長く生き残れるかもなぁ!」

フレンダ「うっ…クソッ…」

垣根「糞はお前等だろ…ククク…ハハハハハハハハハハ!!!!!」

フレンダ「ち…ちくしょ……麦野……ごめん」
 
 
垣根「さーて…とりあえず手っ取り早くチェックメイトかけに行くか。ピンセットを回収…

   あー…折角空中に浮いてるんだからアジトまでタクシーにしてもいいかもなぁ…ん?」

絹旗「…あなたですか。…未元物質とは」

垣根「んー…そうだけどよ。名前で呼んで欲しいぜ。垣根帝督だ」

絹旗「…フレンダはどうしたんです?…金髪の女が居たでしょう」

垣根「あー…殺しちゃいねぇよ?慈悲深いからな」

絹旗「そうですか。じゃあ通してくれませんか?無事を確認したいので」

垣根「オイオイ…信用されてねーのな。大丈夫だ。自分で治療出来るように治療用具も与えといたからよ」

垣根「それに折角二人きりなんだ。ティーパーティーの席に着いといて他の女の話題を出すとかよ…そりゃあないぜ」

絹旗「…なるほど。ですがお茶会の相手を間違えていませんか?例えば第四位の原子崩しとか」

垣根「…随分と気前の良い話だな。チェックメイトを自分から掛けさせるなんてよ」

絹旗「麦野はピンセットがある場所に居ます。ご招待されてるようですが?」

垣根「…殊勝な奴だな。いいぜ、案内しろ」
 



一方「クソッ…金髪の生体反応が薄くなってきやがった…!…ここか!」

一方「金髪!!」ガラッ

フレンダ「…」

一方「オイ、金髪……ッ!!(上腰から切断されてやがる…!!)」

フレンダ「う、うぅっ…!」

一方(!!…まだ息がある…!)

一方「オイ!しっかりしろ!!」

フレンダ「ら…ラビット?……かはっ…!!」

一方「待ってろ!痛み止めを打ってやる…」スッ

一方「(pi)冥土返しかァ!?急患だァ!第34研究所前のTプラザ公園に救急車よこせ!南門の前だ!」

一方(脳のニューロンのベクトルを操作すりゃァ痛み止めにはなる……!?何だァ?血管が塞がってる…?)

フレンダ「ラビット…逃げ………奴は…第二位の…」

一方「!!」

フレンダ「アイツ…私の血管…わざと…!!かはっ!」

一方(…チッ……苦しむためにわざと…すぐに死なねェように…か……血管の閉塞物の解析終了…

    構成粒子の崩壊が始まってる…?俺の知らねェ物質だ…)

フレンダ「……私の脚線美…これだけは……ちゃんと守れた…ってわけよ…」

一方「あァ…もうしゃべンな…(よし…脊椎の損傷と腸の損傷だけで大事な器官は避けてンな…)」
 
一方(出血量はそンなに多くねェ……今は意識をつなぎとめておくのが優先…)

一方(さっきの医療室から救急道具持ってきて正解だったぜ…)

一方「医者を呼ンだ。途中の医療室から救急道具を持ってきたぜ。安心しろ」

フレンダ「…あんた馬鹿なの…?下半身…ぶった切れたのに…あと10分もすれば…血管から血が…」

一方(神経操作が効いて来たか…言葉がはっきりしてきたぜ)

一方(血管が塞がれてンのは不幸中の幸いか…確か医療用のチューブ…コイツで下半身との血管を繋げば…)

一方(チッ…糸で血管とチューブを縫ってる時間がねェ…これ以上時間が掛かンとバッテリーが……!!ホッチキス!!)スッ

一方(消毒して…血管はコレで繋げられンな…問題は神経…特に脊椎と脊髄…応急処置をした後に冥土返しに任せりゃァ何とか…)

フレンダ「うぅっ……ラビット…もう駄目みたいね…麦野の…事は……アンタが……」

一方(ヤベェ…!!脳波が弱くなってきやがった…脳波の操作までもやったら他の操作が出来ねェ!…

    …メチルフェニデートかアンフェタミンがありゃァ……クソッ…!)
 

フレンダ「ぐっ……」

一方(チッ…一か八か!!)



もにゅっ


フレンダ「……は?」

一方「…お、おォ…お前も結構胸でけェンだなァ…」

フレンダ「って…アンタ…!人が瀕死の時に…なに胸触ってんのよ…!」

一方「カカカッ…!悪ィな!どォせ死ぬなら揉ンでも構わねェと思ってよォ!

   (脳波が正常値に戻ったな…オシ、下半身の血管の接続も完了した)」

フレンダ「って…あ…?痛み…が……ゴホッ!」

一方「体力の消耗が激しいから無理はすンな。痛みは感じねェようにしといたしショック症状も押さえてあンぜ。…まァ後の反動が強ェがガマンしろ」

フレンダ「…?どういう事…?」

一方「一旦地上に降りンぞ。もォそろそろ救急車が着く」

フレンダ「ち…地上にって……ッ!!」

一方「チッ…(スイッチ入れンと軽々と持ち上げられンな…)」

フレンダ「アンタ…全然力あるじゃない……!」

一方「黙ってろ、舌噛むぞォ!!」ビュッ

フレンダ「!!」
 
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・


救急隊員「患者は!?」

一方「コイツだ。応急処置をしといた。麻酔はキシロカイン静注。脊髄損傷と血管とチューブの接合に文具用ホッチキスを使ったから

   それは処置してくれ。あと医療センター7-68。医師番号3064に回せ。学園都市学生コード『一方通行』からだ」

一方「良いか?俺がテメェから手ェ離すと少し痛むがガマンしろ…俺ァ麦野さンを助けに行く」

フレンダ「わ、わかった…(あの高さからなんで降りれたの…?)」

フレンダ「ラビット……アンタ…何者…?」

一方「そりゃァ…テメェらの雑用に決まってンだろ!!」ダン! ビュォッ!
 


絹旗「…ここです」

垣根「ん…アレがピンセットか」

麦野「絹旗、ありがとう。あとは私に任せときなさい」

絹旗「ですが…」

麦野「いいから……フレンダの手当てをしに行きなさい」

絹旗「…わかりました」ダッ


垣根「よぉ。原子崩し。随分と余裕だな?」

麦野「アンタも頭が相当鈍いのね?…あの子が居たら逆に私の邪魔よ」

垣根「折角だからゆっくりディナーでもしてーんだがな…」



カッ! バシュッ! ドォン!!! ドドドドドドドドドドドド…


垣根「…ハァ…オードブルにしちゃ温いスープだぜ」

麦野「チッ…悪いわね。なるべく早くに仕事を終わらせたいのよ(攻撃が効かない…?いや、攻撃そのものが通ってない…)」

垣根「おぉ……俺も丁度早く帰らねぇと駄目なんだわ」パァア

麦野「!!(羽が生えた…!?)…似合わないわね。メルヘン野郎ッ!!」バシュッ!!

垣根「心配するな。自覚はある」ヒュッ
 
絹旗「フレンダッ…!たしかここで戦闘があったはず…」

絹旗(戦闘の形跡はありますね……ですがフレンダはどこに………!!)

絹旗(あれは…血溜り…?)

絹旗(それにこれは……フレンダのヒール…)

絹旗(…)

絹旗(血痕が非常口に続いてますね……!まさか…)ガチャ!


ヒュオォォォォ……


絹旗(……フレンダ…?外に逃げようとしたのですか…?それで誤って転落を…)

絹旗(あ…ああああ…フレンダ…)

スタッ!

一方「よォ。チビガキ」

絹旗「あれ…らびっと…?どうして…」

一方「金髪なら手当てした。心配ねェよ」

絹旗「…あなたどうして空に浮いてるここに来れたんですか…!?」

一方「さァな?…それより麦野さンが心配だ!案内しろ!」

絹旗「は、はい!」


 


麦野「…!」フォン…ボシュッ!

垣根「ハッ!電子の状態を動かして壁を作れんのかよ!原子崩しってのはてっきり能無しの砲台だと思ってたぜぇ!」パアァァ!!

麦野「…」キィン! ゴバァァアアアア!!!!

垣根「オイオイ、出力が案外デカイんだな…そういうので自分を焼いたりしねぇのか?」パキィン!

麦野「…(うざったいわね…まるで通じない…)」ドウッ ドドウッ!!

垣根「おいおい…同じ攻撃したって無意味だぜ?量増やした所で意味はねェよ。質の違う攻撃じゃねぇと…なぁっ!!」ゴウッ

麦野「!!…ぐぅっ!!」

「!」

麦野(…!そろそろね)

垣根「ハァ…やれやれ…同じレベル5でもなんでこんなにも弱いかね…」

キィン!ドドドドゥッ!!!

垣根「しかも馬鹿の一つ覚え…攻撃はビームのみか…まったく応用性のねぇ能力だなぁ?」
 

麦野「チッ…まぁ…こんな事も出来るわよ」フォォン…

垣根「あー…テメェは昆虫か?腕がもう二本増えて…しかもゴツイ腕だな

   (なるほど…電子を留まらせる能力の応用でアームを「具現化」させた…プラズマを閉じ込めたようなもんか)」

麦野「お望みならメルヘンチックな形にも出来るけど?」

垣根「チッ…人の能力を皮肉るのもいい加減にしといてくれねぇか?好きで翼にしてる訳じゃねぇs」

麦野「じゃあそのメルヘン能力!根元からぶった切ってやるからさぁ!!」バヂヂヂヂッ!!!!!

ガキィッ!!

麦野「!」

垣根「…いい加減学習しろっての」ビュオッ!

ドガァッ!

麦野「がっ!…」

垣根「はー…しつこい女ってのは鍵を掛けてねぇ小トランクより嫌いだぜ…とりあえずピンセットを検めさせてもらおうか」

麦野(…くっ!滝壺!まだなの!?)

ガチャ

滝壺「大丈夫。対象のAIM拡散力場を補足した」

垣根「あぁ?(ピンセットから女が出てきた…?コイツは…能力追跡…!しまった!

    畜生ッ…チビが邪魔だと言ったのは『一対一』と思わせるため!ピンセットに偽装した箱には能力追跡…)」

垣根(糞ッ…あの箱をピンセットだと思ってりゃ当然あの箱を攻撃しねぇ…そこを突いてあえてコイツを入れといたのか…!)
 



垣根(…能力追跡!しまった!)

麦野「…あんたみたいな透かした野郎でも事前に調べてあるんでしょ?…だったらこの子の能力はわかるわよねぇ?

    いやー…まったく、久しぶりに絶望したよ」

垣根「だが…ここで俺の能力を下手に捻じ曲げてみろ?……この研究所を浮かせているのは俺の未元物質だってのを忘れんなよ。

    テメェ等はアイテム全員とクソ重てぇピンセットを抱えて空中に浮く研究所から脱出出来る能力者は居ねぇハズだ」

滝壺(むぎの…どうするの?…もし私が能力を封じたらこの研究所が落ちるよ…?)



麦野「ふふ…」


麦野「ふふ…アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!」



垣根「!?」


麦野「ったく…バーッカじゃねぇの?」



滝壺「…むぎの?」

麦野「…よく考えてみろって。この警護責任者はこの私。当然ピンセットの場所は知ってるんだけど――」

麦野「私がわざわざこんなわかりやすいところにおくかなぁ?」
 


麦野「それに自分の心配したら?…テメェの能力が一秒でも『おっ勃たなくなった』瞬間に蜂の巣にしてあげるから」

滝壺(これは…たぶんハッタリ……入ってくる時にあった本物は別の部屋に移動させたし)

垣根「だがテメェの能力じゃどの道…研究所と心中だな。テメェらの棺桶にしちゃあデカ過ぎるけどよ」


麦野(…このクソッ垂れが……研究所を浮島にしたのは逃げ場を封じるだけじゃなく、私達を道連れにする仕掛けで自分の命の保険って事か…

    もっとも、それならこれだけ大規模にしなくてもいいし…本来の目的は違うところでしょうけど)

垣根(…能力追跡はAIM拡散力場に干渉できる能力…恐らく俺の能力を一時停止に追い込む事は出来るかもしれねぇ…

    それ自体は大した脅威じゃねぇが、原子崩しが居ると話は違う…力場に干渉された状態で原子崩しを防げるかどうか怪しい…)

麦野「悪いけど…アンタ等のアイテムの情報は最新じゃないようね?…私達には『足』がある」

滝壺(これも嘘…空を飛べるのはきぬはたぐらい…

    むぎのは一応高速移動出来るけどこの高さからの…研究所そのものの落下には対応しきれないはず)


垣根(足…?)

麦野「…」ニヤッ

垣根(…まさか…白兎!!…恐らく高位空間移動系能力者の…!だがアイテムとの接点はねぇハズ…

    いや、フレンダとかいう奴が嘘をついていたら…?)

麦野(…!かかったようね…!)




垣根「テメェ…


             白兎の野郎を知ってるな?」


滝壺「!?」

麦野(!?)
 

垣根(能力追跡の女がわずかに反応した?…よく考えたらフレンダの時は怯えていただけだと思っていたが…

    まさか白兎について反応していたのか…?)


麦野(…どういうこと?なぜコイツがラビットの事を知ってる?……いや、この研究所にいるなら偶然会ってもおかしくない…

    でもレベル2のラビットに何故ここまで反応するのか…)

垣根「…ウサギ野郎はどこだ…?」

滝壺(白兎って…らびっとの事…?むぎの…どうするの)

麦野「…なんで知ってるのか知らないけど、まぁ私達の雑用ってところ」

垣根(白兎がアイテムの雑用…?いや、むしろ…?

    …だがどちらにしろコイツ等は落ちる事に対してなんとも思って無いな…くそっ…どうする)


滝壺(むぎの…フレンダは退避、らびっとときぬはたが合流してこっちに来る)

麦野(わかった…動きが止まった…滝壺、合図があったら一気に干渉しなさい!)

滝壺(…)コクッ

麦野(よし…そのまま…!)


垣根「! ぐあっ!!」ガクッ





ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...!
 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...


絹旗「くっ!」

一方「!なンだァ!?研究所が傾きやがった!?それにこの地鳴り…?」

絹旗「…この研究所は敵の能力によって浮かされていると聞いています…

    おそらく滝壺の能力で力場を乱した結果、この研究所の浮遊座標も乱されたのでしょう」

一方「!滝壺はAIM拡散力場に干渉出来ンのか?」

絹旗「ええ…一度記憶した能力…力場を地の果てでも知覚できる能力…もっぱら探索用ですが…

   いまはその応用で相手の力場に干渉してジャミングをしていると思います」



ゴウンッ!ドドドドドドドドドド


一方「地鳴りじゃねェな…?麦野さンのビームでもねェ」

絹旗「急いでください!ピンセットの部屋は近いです!!」

一方「チッ!麦野さンが手遅れになったらぶち殺すぞ!チビガキ!」

絹旗「下っ端のくせに超生意気ですよ!ラビット!!」
 
 
>おそらく滝壺の能力で力場を乱した結果、この研究所の浮遊座標も乱されたのでしょう」
作者コメント
『滝壺さん』でした。すみません
 

垣根「ぐっ…ああああああっ!」ガタッ



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



麦野(滝壺!干渉が少し早い!)


麦野「だがこれでテメェの能力は不全って訳だ!絶望しろぉおおお!!第二候補(スペアプラン)!!!」フィィン!!




垣根「」ニヤッ

麦野「!?」




滝壺「むぎの!まだ力場の干渉をしていない!」


垣根「そういう事だ。第四位。さっき『絶望した』っつったよなぁ?」




                垣根「もう一度絶望しろ」





パァアアアアア!!!  ドガァアアアアアアアアアアアッ!!

麦野「がはっ!!」ドシャァッ!!

滝壺「むぎn」

垣根「黙れ」ヒュンッ

キュン! バキッ!

滝壺「うぐっ!!」ゴシャッ!
 

垣根「ケッ…これが体晶か…」

グシャッ!

垣根「…これで能力追跡は使えねぇ。そんでこの女ごとブッ――」

バシュッ!!ドォッ!!! パアァン!

麦野「…ハァ、ハァ…」ジジジジ…

垣根「…元気がいいなぁ?第四位。そんなに補充要因…道具が大切か」


麦野「て…めぇ――がああっ!!!」グシャッ!


垣根「ふー…焦ったぜ。テメェも案外早漏なんだなぁ?女のくせによ」

垣根「ったく…能力追跡の長所はその攻撃が避けられない事だが、短所は発動そのものが不可視という事だ」

垣根「俺が苦しんだフリと、翼の縮小、未元物質によって安定した形で支えられた研究所を少し揺らしたり傾ける事で

    お前は俺の力場が能力追跡によって干渉されたと思い込んだ」

垣根「そこをお前は狙ったわけだが…予めサインを決めたりして確認を取るべきだったな。

    テメェらは千載一遇のチャンスを逃したって訳だ。惜しかったなぁ?第四位よぉっ!!」グリッ!

麦野「―――――――――ッ!!!!」
 

垣根「痛ぇか?このまま踏み潰せばてめぇの肩関節は見事に外れて筋や神経がモロにダメージ食らう訳だが…

    このままブチ切っても構わねぇよなぁ!?自慢の能力で手なんざいくらでも生えてくるんだからよぉ!!!」

麦野「ふ…ふふ…」

垣根「あ?」ギリッ

麦野「ふ…ゴホッ!」

垣根「…随分と余裕だな?」

麦野「…」バシュッ!!

垣根「零距離でも効かねーもんは効かねーって。電子なんざ防ぐ手段は腐るほどある」パァン!



麦野「…2-1=1」

垣根「…あ?」

麦野「…3-2=1…」

垣根「なんだよ算数の時間か?」

麦野「そして…7-6=1」

垣根「だからどうした?てめぇいい加減に」




バキッ!!バキバキバキッ!!

垣根「!!」



麦野「…じゃあ…テメェのメルヘンチックな六枚の羽根…いくつの攻撃に耐えられる?7?それとも8?」
 


垣根(壁から光球が突き破ってきやがった…?速度はそこまで速くねぇ…これは…プラズマか!?)

垣根「てめぇ…何しやがった!?何だこれは!?」


麦野「…遅延能力(ディレイスキル)」


垣根「!!」

麦野「テメェが研究所に風船くっつけてるのと同じように…ここに来るとき私も能力を研究所に仕込んどいた」

垣根(なるほど…予め能力を各所にくっつけておき、操作するもの…)

麦野(フレンダと罠を設置する時に能力を力場ごと留めておいた…壁の中や箱の中に仕込んどいて

    外からは留めておいた電子線…光球は見えないようになっている)

垣根(そして合図があったら力場を解して発射する…これで原子崩しを中心とした砲身というだけでなく

    敵の死角からの攻撃が可能…遮蔽物という概念の無い原子崩しの特性を最大に活かしている)



垣根「…じゃあテメェは全力じゃなかったっつー事だな?各所につけた光球を操作するのに大きく能力が割かれたはずだ」

麦野(そりゃぁテメェの事だろ…この研究所を浮かすのにどれだけ能力使ってんだっつーの…クソっ垂れ)
 

垣根「だがテメェの遅延能力…恐らくお前が操作してる訳じゃない…予め設定した通りにしか動かねぇ…ほら」



バヂッ バババババッ


垣根「自由に動かしてるように見えるが…光球には二種類ある…完全なランダム移動と自動追尾」

麦野(…)

垣根「ジグザグに動いているのはお前の意思にそぐわない完全にランダムで動く光球…

    恐らく自滅しないよう、自分を含めアイテムの連中は避けるように設定してあるな?」

垣根「そしてもう一つは自動追尾…設置後、お前が設定した対象に向かって飛ぶようにしてあるな」

垣根「だが――」

パァン

垣根「俺の未元物質は360度死角は無ぇ。真上や真下にも攻撃は通じない」

麦野(…)

垣根「テメェが言った6枚の羽根でいくつ受け止められるかっつー事だが…

    正直俺は羽なんざ無くてもテメェのレーザーは十分防げんだよ。だから当然億単位で撃とうが関係ねぇよ」
 

垣根「どうだ?さて、チェックメイトd」




麦野「いや――」



垣根「…?」

麦野「あるんだよ…テメェにも死角が」

垣根「あぁ?じゃあ狙ってみろよ。ホレ」

麦野「あの光球…」

垣根「…」チラッ



スゥー…バチバチバチ



麦野「どこに向かっていくと思う?」

垣根(あれは…能力追跡が隠れていた偽のピンセット?)

垣根「…!まさか!(持っていたピンセットの探知機はこの近く!)」

麦野「…そうあの偽者の隣の部屋がテメェの死角―――本物のピンセット」

垣根「クソッ!!」バッ


麦野「そして…テメェの負けだ」バッ

垣根(あの三角形のモノ…拡散支援半導体!!)



    麦野「死ね」



バシュッ    ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……
 
 
 


バシュッ ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……



麦野「ハァ…ハァ…これで……」




垣根「ああ、終わりだな」


ドシュッ


麦野「…?」

垣根「俺の気がピンセットに向いた瞬間、拡散させた電子線と遅延能力で待機させてた光球を全弾発射。流石に肝を冷やしたぜ?いや。ホント」

垣根「だが」

麦野「!」

垣根「あーれま。少し外れちまったぜ。俺の未元物質…性質の付加という所に目が行ってしまいがちだけどよ。

個人的に便利だと思うのは素粒子を『生成』出来る事が可能って所だ」


麦野「うっあああああああああああああっ!!!!!!」


垣根「そうだ。そうやって手裏剣みたく飛ばして脚に刺さった羽根の先端は高度、靭性、強度を限りなく上げた物だが、それ以前に刃っつーのは形状の問題でもある。

   どんなに刃物に適した物質でも球体だったら切れない。だが紙で指をサクッといっちまう事があるだろ?時に形状ってのは性質より大事だ」

垣根「そんでこの羽の先端の厚みは素粒子サイズにしてある。コレほど強く、鋭利でかつ折れない刃はこの世に無ぇ」
 

麦野「うっ…ぐっ」


垣根「無理に引き抜こうとするなよ?羽の毛一本一本が超硬度の針なんだ。引き抜こうとすれば周りの肉が削ぎ落ちて、焼けるような痛みが襲うぜ?」

麦野「クソッ…」



垣根「ハァ…お前等アイテムっつーのは余程『生』にすがり付きたいんだなぁ?ゴキブリ以下の精神だぜ全く…

    あの金髪…なんだっけ……フレンダ?もそうだったか」

麦野「…フレンダ…」

垣根「お前の脚に刺さってる羽と同じように刃物のようにして…アイツの体をぶった切ったが、面白かったぜ。

   何せ飛び出た動脈をホッチキスで塞ごうとするんだが、手が震えて力が上手く入らねぇの!ハハハハハ!ちゃーんと上手く止められたかなぁ?んー?」

麦野「ゴフッ…うるせぇ…」


バヂッ…バシュッ!!


麦野「ううっ!!」


垣根「!!流石は第四位といったところか。刺さった羽を自分の脚ごとレーザーで吹き飛ばすとはな……

    だがよ。今のでお前の脚がもげたんじゃねーの?…おっ!脚が繋がっててよかったなぁ!」
 

麦野「…」キィン

バシュッバシュッ!!


垣根「だからレーザー何発撃ったって――関係ねぇよ」


垣根「何がアイテムだ。原子崩しだ、能力追跡だ。お前が何をしようが…例え俺の手足がもげようが内臓がつぶれようが
 
    戦力差はひっくり返らねぇ。これがレベル5(超能力者)だ。これが第二位の『未元物質』だ。

付け上がるんじゃねぇぞクソ女。テメェみてぇな出来損ないのレベル5(無能力者)なんざ指一つ動かさずに100回ぶち殺せるんだよ」



麦野「関係ねえ…カァンケイねェェんだよォォォ!何が未元物質だ!例え手足がもげようが内臓が潰れようが…

    戦力差がひっくり返らなくても…!私はコイツ等を…!アイテムをっ…!わたしの帰る場所を!何回でも守りきってやる!!」



垣根「ハァ……これが暗部のリーダーかよ?俺達と同じ『悪』かよ?情けねぇなぁ…ああ情けねぇ…もうアンチスキルや風紀委員の吐く偽善(セリフ)だぜ」

垣根「あームカついた。今度はさっくりぶった切ってやるからな?フレンダが横一文字なら…お前は頭からケツまでピッタリ一直線に切ってやるよ。

    よかったなぁ?突っ込む穴が裂けちゃあ誰も突っ込むものも突っ込めねぇ!わざわざくっ付けて突っ込む糞虫も居るかもなぁ!!」
 


麦野「くっ…」


垣根「そんでお前は勘違いしてるな。お前に限らず俺達のような悪の帰る場所は組織や家じゃねぇ…地獄だ」

麦野「テメェも…地獄に…落ちろ」


垣根「お先にどうぞ」


ビュッ

麦野「ッ」



ゴバアアアッ!!!!!

垣根「!!」

麦野(…?)
 

絹旗「麦野!滝壺さん!」




麦野「絹旗……ッ!!」

一方「麦野さン!!」

麦野「ラビット…!」

一方「麦野さン!!……!!!テメェ…テメェかァ!!!」

絹旗「滝壺さん!しっかりしてください!!(体晶は…クソッ、もう持っていないようですね)」

滝壺「うっ…きぬはた?」

麦野「絹旗…ラビット…うっ…」

絹旗「無理しないで下さい」



垣根「いい所で入ってくるなよ…ったく…まさかお前が白兎だとはなぁ?

    ただでさえクソッ垂れなアイテム相手に金魚のフンしてるとはよぉ…」

一方「気に入らなかったか?ウジ虫野郎」

垣根「いや?白兎ねぇ…言われてみれば納得だぜ……第一位」
 

麦野「第…一位?」

絹旗「!!」

滝壺「…らびっと?」



一方「…」

垣根「!まさか…お前、隠してたのか?自分が?レベル5第一位で?

    アレイスター直接交渉権を持つ第一候補で?一方通行だっていう事も!?」



麦野「…」

絹旗「じゃあ…」

滝壺「ラビットは…」



垣根「ハッ…ハハッ!こーいつは傑作だぜ!!どこぞの雑魚が思いつきそうなシナリオじゃねーか!!」

一方「どけよ三下。まさかハンデ貰おうとか考えてンじゃねェよなァ?」

垣根「ハンデ?コイツが?お前は確か打ち止めっつーのが…ああ、なるほど。乗り換えた訳だ」

一方「テメェみてェな下種がそう考えるからあえて身を離したンだ。

    …もっとも、そういったブタはここで駆逐しておく必要があるな」

垣根「じゃあハンデにならねぇように潰しとく…っか!」ビュオッ

絹旗「!!麦野っ!」

麦野「!!」
 
ヒュン!


一方「遅ェな。その羽根、デカいだけで団扇にもなりゃしねェ」ガシッ



麦野「ら、ラビット…ゴホッ!」


絹旗(す、すごい…垣根帝督が麦野を攻撃する瞬間に麦野とラビットが部屋の隅に居た…!?

    超スピードとか催眠術とかそんなチャチなものじゃないですね…)


一方「チビガキ、ボケッとしてねェで、麦野さンと滝壺を避難させろ」

絹旗「は、はいっ!」

・・・・・・
・・・・
・・
 

垣根「随分派手なオードブルだったぜ。メインだと思ったぐらいだ。

    見ろよ、これ制服なんだぜ?ブルーマウンテンまで買いに行くのが面倒ったらありゃしねぇ」

一方「オードブルで服を汚すなンざ、最近のガキでもしねェよ」

垣根「言ってくれるぜウサギ野郎。メインディッシュはリエーヴル(野うさぎの肉料理)か?」

一方「いや、ウジ虫のソテーだ」

垣根「正にクソ食らえだな」


ヒュン!ゴバァッ!!


一方「…(手ごたえがねェ…)」

垣根「ベクトル変換出来ねぇ程の質量でぶつかれば良いと踏んだんだが…

    俺自身のベクトルも変換されるなら駄目だな」バサァッ!

一方「さっきから思ってたけどよ…似合わねェな」

垣根「…流石に同じ日に二度も言われたのは始めてだぜ」

一方「じゃあ毎日一回ずつ言われてンのか?だったらそれで十分だ」

垣根「ああ、そうかいっ!」ビュオッ

一方「吠えろ!三下ァ!!」キィン
 

ドガッ…バコッ!!


垣根「!(天井が崩れたか…室内だと面倒くせぇな)」スウッ!!

一方「!」バッ!



スタッ  スタッ


一方「つくづくロマンチックな野郎だ。そンなに夜空を眺めて死にてェのかよ」

垣根「いいや――?別に俺は星の光を浴びてぇと思っただけだ」

一方「自覚なしか。テメェを潰した後は死体安置所じゃなく精神病院に運ンでやる」

垣根「冗談の通じない奴はモテないぜ?」

一方「下手な冗談程嫌なものはねェな」



垣根「まあ…星の光を浴びるのは俺だけじゃねぇんだけどよ」



パァァッ!!! カッ!

一方「!!?」
 

垣根「…さっきの烈風と今の回折光の意味がわかったようだな?」

一方「チッ…テメェの事だ…チープな作戦だってのはわかるぜ」

垣根「悪いな。チープな手を使わせてもらったぜ。お前が反射しているベクトルとそうでないベクトルを解析させてもらった」

一方「…」

垣根「つまりこういう事だ」ビュウッ

一方「ッ!!」ドガァッ!!

垣根「ホントお前はウサギさんだぜ。方向を変えるとか反射するとか、この世のあらゆる力を避けている弱虫野郎じゃねぇか」キィン!!

一方「チッ…」バジュッ

垣根「ベクトルを変えて力を肥大化させたように見せるテメェの能力…チープだぜ。俺のチープな手に劣らねぇ程チープだ」パァッ

一方「…」ガァン! ビュオッ!

垣根「それが『一方通行』だ。あらゆる方向を捻じ曲げようとする事

    そのものは悪としては一人前のくせして本性は小せぇ…臆病者のウサギ野郎だ」
 

一方「お前」

垣根「あ?」


一方「そうやって人の能力にケチつけンのは自分の能力にコンプレックス持ってるからだろ」


垣根「ハッ!そんなもん持つかよ!ゴミ以下の能力者なんかに持つ訳ねぇ!!」

一方「じゃあテメェが何故第一位の俺に噛み付いているかって事だ」

垣根「テメェをぶち殺せば俺が第一候補に繰り上がり、アレイスターの交渉権を手に入る。

    …もうピンセットとかどーでも良くなってくるんだよ」


一方「オーケェ…テメェの上のお口から出る屁は嗅ぎ飽きたぜ」

垣根「さーて、ウサギ君よぉ?ちょこまか動いてどーすんのかな?反射が出来ねぇと逃げるしか脳が無ぇか!」

一方「…」


垣根「腑抜けだな。ムカついたぜ。そんじゃ『今までと違う反射できないベクトル』を送り込んでやるよ」バッ

一方「!?(高速移動……どこ行きやがっt……!そォいう事かよクソッ垂れ!!)」バッ
 

絹旗「滝壺、大丈夫ですか?」

滝壺「うん、大丈夫…」

絹旗「麦野…すみませんが先にピンセットを地上に下ろしに行きます」

麦野「…頼んだわよ」



バサッ

垣根「よう、クズ共」

絹旗「!!」バッ


垣根「あのウサギ野郎、ちょこまかと逃げ回るだけで面白くねぇからお前らを先に殺してやる事にしたわ」

麦野「…クソッ!」



絹旗「…満月がきれいですね」




垣根「…?それがどうしたんだよ」

絹旗「いえ、影がくっきりする程の満月に焼かれて終わるのもいいと思いまして」


垣根「やっとマシな奴に出会ったぜ。潔く諦める奴は大好きだ」パァッ
 




絹旗「…しかし…超おかしいですね。今宵は『新月』なのに」

垣根「―――――――ッ!?」



       「月が出てねぇな」

       「侵入するのは新月の方が良いって言うじゃない」

       「まぁ俺が思ってるのは『月』が『ツキ』に転じて『ツキが無い』ってなる事だ」



垣根(今夜は新月…!満月じゃねぇ!!じゃあ…この光は?…この影は?)バッ



麦野「…光球の打ち止め、最後の希望(ラストオーダー)って所かね!」

バヂヂヂッ!!

垣根「っ!!」バッ




垣根「ぎゃぁああああああああああああああああっ!!!!!!!!!」バヂヂヂヂヂッ!!
 


麦野(!くそっ!致命傷じゃない!!)


垣根「くそ…くそぉおおおおおおおお!!!!!」



絹旗(満月だと思わせていたのは麦野の超小型の遅延能力の光球…

    光は電子線や光子の波長を変えれば月明かりのように光る…上手く決まりましたが…)

麦野(振り返った第二位の左目に直撃…皮膚を少し焼いただけと、虹彩と視神経の一部を『光量』で焼いたはず

    …くそっ…本来ならこの光で視神経の奥、脳神経まで焼ききればと思ったけど…!!)




垣根「――!―っ!!……ハァッ…ハァッ!ハァッッ!!ハアッ!!」


絹旗(…このまま戦うのは…体晶は無い…マズいですね……)


垣根「ハアッ!…ハアッ!……ハァ!………ハァ……ハァ……―――。」


麦野(…?呼吸が…?)
 


垣根「……ククク…」



垣根「…クク…ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!」



麦野「!!」

滝壺「むぎの…」

垣根「ハハハハハハハハ……スゥッ……ハァー…」

垣根「」ギロッ



ざわっ…!!


麦野「!」ぞくっ

垣根「わかった。もう油断しねぇ。もう余裕をとらねぇ。もう隙を作らねぇ。

   今の一撃で完全に『落ち着いた』。お前達全員を全力で殺す。そのあと、第七学区の鉄橋の上に5体解体して晒してやる

   この目と傷は俺に生涯油断をさせない良い薬だ。『ありがとう』よ」ブツブツ…



滝壺(狂った……。いや、狂ったモノが更に狂って…逆に正常になった……?)

絹旗(まずいですね…これではもう奴の隙を突く事が出来なくなりました…)
 

ヒュッ ザザッ!



一方「!!テメェ…」

垣根「…」


一方(この未元物質を内包した世界の再演算が終了…これでコイツは問題なく…)


一方「反射出来ないベクトルねぇ…やっぱりアイテムの事かよ。お前の三下以下の発想にはつくづく―――」



垣根「…」クルッ



一方「…!(目が…麦野さンがやったのか?)」


垣根(ああ、わかった。いまやっと『理解』した。この感覚。

    未元物質がどこから来たのか。『降りてきた』。今の俺は全だ。全てを掴んだ)



バサッ パアアアアアアアアアアア!!!!!!! ズガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!



絹旗「な、なんですか!?垣根の翼が超巨大化しましたよ!!?」

滝壺(すごい…力場の波が…)
 
 
 


麦野「クソッ…ラビット!あn」




一方「ォ」




一方「――――――――――――――――――ッ!!!!!!!!!!!!!」



ゴバァッ!!!ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド



麦野「……ラビ…ット?」

絹旗(ど、どうなっているんですか…?垣根の翼が超巨大化したと思ったら…ラビットにも翼が…!?)



垣根「…すげぇな…お前もそうなんだな…?『入った』んだな!?」

一方「――――オオオオおオオオオオオオおおおおオオオオオオオオッ!!」



垣根「ハハッ…やべぇ……ドーパミンエンドルフィン全開だぜ…油断とか余裕とかそんな領域…壊れちまった」



一方・垣根「オおおお$%’()~(‘&%おおオオオオおおおアアアア#$%&’()=ああアア’&)IO`アアアアアア!!!!!!!!!!」
 


滝壺「…共振してる」


絹旗「共振!?」

滝壺「力場の相転移…飽和と共鳴」

絹旗「滝壺さん…?」



麦野「滝壺の能力は常に力場の影響下にある…あまり言いたくないけど学園都市最強の能力者の二人…

    特に第二位と第三位とでは次元が違うって言う程の力場に…」


絹旗「それはつまり…二人ともレベル6に…?」

麦野「わからない…ただ二人は『別の場所』にいる。滝壺はそれを『触覚的に感知』している。

    私もレベル5だからかな…かろうじて『嗅覚的に感知』している」

絹旗「二人は…!?」
 



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


垣根「ありがとよ。第一位。アイテム。さようならだ。」

垣根(もう、アレイスターやプランや一方通行や暗部なんてどうでもいい。俺は――――世界そのものだ)

キィィイイイイイイ



ドチャッ


垣根「―――あ?」

一方「…」



垣根「うっがあああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!」

バキバキバキバキバキッ!!!!!!!!!!


麦野「!!」

絹旗「!?垣根の右腕が…!?ラビットは何を放ったんですか!?」

麦野「わかった…もう」

絹旗「…麦野?」

麦野(樹形図の設計者は…これを見越して…いや、最初から…アレイスターは…?)
 



垣根「そういう事か、そういう事かぁぁぁぁああああああああああああああああああっっ!!!!」




ボシュッ!…ズズズズズズズズズズズズズ…



麦野「!?」


絹旗「地鳴り…いえ、この浮島が…落ちる!?」



垣根「一方通行ァアアアアアアアア!!!!!!!!!!」バサッ



麦野「絹旗ッ!」

絹旗「クッ…滝壺さん……!!…ラビット!!」



ズズン…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…



・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・
・・
 
 



一方「ン…(ここは…)」



冥土返し「やあ、気付いたかね」


一方「…」

冥土返し「それにしても…君もあの少年と似てきたね。本当に偶然だがここの病室は彼の御用達の部屋だよ」


一方「…俺は…」


冥土返し「…聞きたい事は沢山あるけど…さっき杖の代金を払ったレベル5の女の子が来てたよ」

一方「!!」

冥土返し「うん。体に特に異常は無いね。杖はここに置いておくから。退院してもいいね」

一方「…」

冥土返し「…彼女達は君が助けた女の子の所にいるよ。場所は3-G208だから」

一方「…だから?」

冥土返し「…それは君が決める事だが…私は君を最終的に『治せる』のは…あの妹達やあの少女達のような、

       君の周りで支えてくれてる人達だと思っているよ」

一方「…」スクッ
 



一方「…(麦野さンが…か…)」

一方「…」

一方(あれから…どうなったンだ?)

一方「…ここか」

一方「…」

一方「…スー…ハー……」



ガラッ


麦野「あ…」


フレンダ「あ」


絹旗「ラビット」


滝壺「らびっと…」




一方「…」
 


一方「…」


絹旗「…聞きたい事や言いたい事が沢山あります」


麦野「ラビット。とりあえずそこのイスに座りなさい」

フレンダ「…」

滝壺「…」


絹旗「ラビット」

一方「…済まねェ」







絹旗「超遅刻ですね」

一方「…?」

フレンダ「私らより遅く起きるなんていい度胸じゃない」



滝壺「らびっと」


麦野「…おかえりなさい」


一方「…あ、……あァ!」
 


・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
・・


フレンダ「それにしても驚いたわ。ラビットが一方通行だったなんてね」

滝壺「なんで黙ってたの?」


一方「…そりゃぁ…麦野さンに恥をかかせちまうだろ」

麦野「…ハァ?」


一方「ホラ、アイテムっつゥのは麦野さン中心で結束されてるンだからよ。俺が名乗ったら気まずくなンじゃねェか」

フレンダ「…それだけ?」

一方「別に…あとはただの気まぐれだ」



麦野「…ラビット。いい?私はそんな事には拘らないわよ。そりゃ確かにアンタが第一位だって知った時はビビったけどさ」

絹旗「そうですよ。私達にとって、ラビットはラビットですからね」




一方「じゃあ…俺をまた雑用として置いてくれンのか?」



麦野「そうそう。だからアイテムはあなたを特別に幹部としt………え?」
 


絹旗「は?」


フレンダ「雑…用…?」

滝壺「いいの?」


一方「いいのもクソも…俺ァ元々雑用だろ?…駄目か?」


麦野「ちょtt」

フレンダ「わーかったわよ。特別よ?アンタを雑用として再雇用するわ!麦野の心の広さに感謝しなさい!」

麦野「フレンダ!」

一方「あ…ありがてェ…!ありがとうな!麦野さン!!お前ら…!」



絹旗「…どうするんですか?」

麦野「…どうもこうも…まぁいいんじゃない?学園都市最強のパシリで」

滝壺(よかったね…らびっと)
 



フレンダ「あー!そうだ!もう3日も過ぎてるじゃない!」


一方「ン…?あの日からかァ…?」

麦野「あの日って…第二位との戦闘からって事…?」

一方「まァ…そうなるなァ…よし、金髪。感謝しろよォ?ここでやろうぜ」

フレンダ「えー…?完治してからがいいのにぃ…でも結局早い方が良いって訳ね」

一方「よし、そンじゃ冥土返しに話つけてくる。チビガキ。ついてこい」

絹旗「力仕事ですか…仕方ないですね」

ガチャ バタン



フレンダ「…雑用と言えるのかなぁ…?」

麦野「え?これから何をするの?」

滝壺「あ、そうか。麦野を抱くんだった」

麦野「え?」

フレンダ「滝壺、少し黙ってて」


麦野「フレンダ…アンタ本当に体大丈夫なの?」

フレンダ「うん。まだこうして起き上がれないけど…一応会話とかは出来るし」

麦野「…神経…繋がるといいわね」

フレンダ「…結局、リハビリの内容と本人の努力次第って訳よ」

麦野「フフ…がんばりなさいよ」



・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・


ブロロロロロロロ……


一方「…やっぱ…お前には言いたくなかったぜ」

絹旗「別に…超気にしてませんから」

一方「色ンな計画があったようだが…暗闇の五月計画だっけか。前に聞いたぜ」

絹旗「…まぁマシな方ですよ。こうして生活出来てますし」
 

一方「…だが辛い事もあったンじゃねェの?」

絹旗「確かに『一方通行』を恨んだ事は何度もありますよ」

一方「…」



絹旗「ですが…『ラビット』を恨んだ事はありませんし、むしろ好きです」


一方「!」


絹旗「よそ見しないで下さい!前みて超安全運転でお願いしますよ!!」

一方「お、オゥ…!」

絹旗「…」


一方「…チビガキ」

絹旗「…」

一方「ありがとよ」


絹旗「…(なぜ私が言われる方なんですか…やはりラビットは超馬鹿ですね)」
 
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
・・・



一方「よし、行くぞ」

絹旗「ええ」


ガチャッ

フレンダ「きたわね」

麦野「何コレ?フレンダの見舞い?」


一方「いいや、麦野さン。いいからそこに座って、開けてみろ」

麦野「え…?まあいいけど………!!」

フレンダ「麦野」

滝壺「むぎの」

絹旗「麦野」



一方「麦野さン、誕生日。3日程ズレちまったが」



「「「「おめでとう!」」」」

麦野「え?えっ?嘘…」

一方「冥土返しに許可は取ったぜ。ここで麦野さンを祝っちまおう」

麦野「みんな…ありがとう」

絹旗「このケーキ、滝壺さんとラビットが作ったんですよ」

滝壺「うん。じゃあロウソク立てるね」

一方(…麦野さンって19歳になンのか。…いいねいいねェ最高だねェ!!)

フレンダ(ラビットがロウソク見て笑ってるけどキモイから突っ込まないでおこう)


・・・・・・・・
・・・・・・
・・・


フレンダ「じゃ、プレゼントターイム!!」

麦野「ええっ!?いいの?」

フレンダ「いいのいいの。みんな必死に考えたんだから。誰かさんみたくねー?」

一方(金髪の血液チューブに空気流し込みてェ)



絹旗「それじゃ私からです……はい」

麦野「ありがと。開けていい?」

絹旗「いいですよ。」

麦野「ん…これは…ジャケット?」

絹旗「ええ。一年を通して着れるやつを選びました。麦野の服って可愛い系ばかりじゃないですか。だからカッコイイ感じのをと思いまして」

麦野「へぇ…うん、絹旗センス良いよ!ありがとう!」

絹旗「これからもよろしくお願いしますね」
 
 
滝壺「私は…コレ。はい」

麦野「へぇ…何かな……っ!」

一方「」

絹旗「」

フレンダ「え?何?体起こせないから見えないんだけど」

滝壺「これ。鮭の髪飾り。むぎのは鮭が好きだし良いかなと思って」

フレンダ「」



麦野「…滝壺」


滝壺「?」




麦野「最高だわ!コレよコレ!こうパンチの効いたやつが欲しかったの!ありがとう!!」

滝壺「よかった」

フレンダ(なにぃーーーーーーっ!!!!)


一方「…」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ......


フレンダ(やばい…ラビットが殺さんばかりの勢いで睨んで来てる…)
 

フレンダ「あ…あー!ラビットのプレゼントすごく気になるなぁーー!!?」

一方「…チッ」

滝壺「何かな」

絹旗「超気になりますね」

麦野「うん…」

一方「よし…コイツだ(これで鮭の髪飾り以下の反応だったら…金髪覚悟しようぜ?)」

フレンダ(麦野喜べ麦野喜べ麦野喜べ麦野喜べ麦野喜べ麦野喜べ麦野喜べ麦野喜べ…)


麦野「…ん?これは…マグカップ?」


一方「…あァ。麦野さン、金髪の話だとコーヒーに興味あって勉強してンだろ?

    …あァーその…二つあンのはだなァ…………き、機会があれば俺と飲もうぜ!」



麦野「ラビット…!…ありがとね。私、誰かと一緒に物を使うなんてすごく久しぶりだわ。

    おいしいコーヒー淹れられるようになったら、たまにお茶しましょ?」



一方「(パァァ!!)…お、おゥ!!」


全員((((今すごく可愛い顔したーー!!))))ガビーン
 
 
フレンダ「さて…私の番ね」

麦野「あー…言っとくけど変なものじゃないわよね?」

フレンダ「大丈夫大丈夫。絹旗、お願い」

絹旗「コレでしたか。随分大きな包みですね」

一方(クカカッ…!これで麦野さンのハートをガッチリだぜェ!)



フレンダ「じゃん!学園都市最新鋭のコーヒーサーバー、エスプレッソマシン!!」

麦野「わあ!」

一方「なン…だと…!」



麦野「すごいわね。これでおいしいコーヒーが作れるなー。フレンダ、ナイスチョイスよ」


フレンダ(ふふふ…馬鹿め…っ!ラビット!この勝負私の勝ちだ!)

一方(クソッ…やられた!コイツ俺にカップを勧めたのも自分のプレゼントの肯定をするため…っ!)


麦野「ありがと。使わせてもらうわ」

一方(チクショォ…)



フレンダ(…本当は、麦野とラビットがコーヒーによる接点が出来たらと思ったのも…少しはあるけどね)

・・・・・・・・・・・
・・・・・・・



フレンダ「それじゃ…今回のメインね。ラビット!」

絹旗「!」

一方「も、もうかァ!?」

麦野「え?まだ何かあるの?」

フレンダ「ほら、麦野の前に立って」

一方「あ、あァ…」

滝壺「…」ワクワク



一方「麦野さン…」カラン

麦野「あれ?杖が…」

一方「立つぐらいならなンとか出来ンだよ」

麦野「へぇ…それで?」

一方「…」スッ

麦野「え?」ビクッ



一方「よっこィ……っしゃァオラァ!!!!」

グイッ!!
 
 
麦野「きゃぁっ!!ら、ラビット!?」

一方「へ、ヘヘ…俺でも…麦野さンを持ち上げる事が出来ンだぜ!!」

フレンダ「ホラ、麦野がガタイの良い男が好みだって言ってたじゃない。ラビットはそれに応えて…」


麦野「…」

一方「…」

絹旗「…」

滝壺「…」

フレンダ「…あれ?」



フレンダ「アンタ…十分強いじゃない」

絹旗「え?…つーかラビットって本当に非力なんですか?」

滝壺「…?」

麦野「えーっと…どゆこと?」

一方「待て、俺も混乱してンだ」
 

・・・・・・・・・
・・・・
・・


フレンダ「なるほど。結局その電極が入ってないと駄目って訳ね」

絹旗「では麦野の攻撃を弾いたのも?」

一方「いや、それ自体は常に出来ンだ。質量が光子や素粒子レベルになンと

   可視光以下の波長はオートで遮断出来ンぜ。だから紫外線は受け付けねェ」

麦野「…なるほどね。とりあえずあのカエル顔の医者から設計図を渡して貰って独自で電極開発しようじゃない」

一方「…いいのかァ?」

麦野「そりゃぁもちろん。アンタの能力はアイテムにとっても大きいし……それに仲間のためだもの」

一方「麦野さン…」

麦野「さて、それじゃ、そろそろ帰るか」

フレンダ「あ。それじゃねー!また見舞いに来てよ!」

絹旗「ま、ゆっくり治してくださいね」

滝壺「また来るから」

一方「あァ。そンじゃな」
 
 
・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・


垣根「…あの野郎…次は負けねぇ」

心理規定「それにしてもよく帰ってこれたわね」

垣根「…認めたくねぇが…俺が地上でやりあってたら死んでたな」

心理規定「で、その腕と目の調子は?」

垣根「海賊がフックの便利さに心酔する気分だぜ」

心理規定「へぇ。カッコイーじゃない未元物質製の義手と義眼は」

垣根「形状の問題じゃねぇよ。性質だ。むしろ普通の腕や目よか使い勝手が良いかもな

    眼球は地平線まで可視光以外も見えるし、腕は変幻自在だ」

心理規定「…本当に便利そうね」

垣根「だからってあのクソッ垂れの第一位と第四位は殺す。今後のスクールの活動にも支障をきたすからな」

心理規定「そう。私はあの白いのとはごめんよ」

垣根「この未元物質…恐らくまだまだ進化する…必ずアレイスターのプランを砕いてやる…」
 
 
心理規定「…それにしても驚いたわ。あの研究所が地上に健在である事自体どうなってるのよ」

垣根「…恐らく…一方通行の能力だろうな。落ちる重力の

    位置エネルギーのベクトルを研究所単位でひっくり返したんだろうな」

心理規定「そんなに広範囲のモノすら操れるの?」

垣根「あの時の奴なら話は別だ。あの状態は恐らく――」

心理規定「…?」

垣根「いや、止そう。俺はもう寝るぜ」スタスタ

心理規定「…ふーん」


・・・・・・・・・・・
・・・・・
・・
 

作者コメント
スーパーていとくんは絶対やりたかった。
次回からはまた一方さんの下っ端生活の予定です。

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