ある事情『学兵と石油』


 飛行機を飛ばすのには、燃料がいる。

1999年当時、第五世界における人類の生存圏は地球全土の陸上面積からすると非常に狭い範囲しか残されておらず、
その他大部分の土地は幻獣の侵攻によって占領されている状態にあった。
日本の領土こそほぼ完全な形で残されていたものの、海外はほぼ全て幻獣の制圧下である。

輸出入がほぼ不可能であるのは勿論の事、石油産出国の大部分が占領されている状態。つまり、石油が全く手に入らないのだった。

食料ならば国内の生産体制を整えればどうにか賄うことは出来る。だが、石油は掘れば出てくるというわけにもいかない。
そして、戦争のために必要な戦車や航空機は、燃料として莫大な石油を必要とするのだ。

北海道の滝川において人工石油の精製が行われているとはいえ、油田から算出される量と比較すれば明らかに少ない。
そして、貴重な石油を学兵のパイロットに委ねる事は出来ない。

参謀本部が空軍に回るはずだった人材を陸軍に回すには、決定的な問題と言えよう。
学兵の航空兵が原則として存在しない事には、おおよそにしてこういった理由による。

さて、竹内少年が戦場の空を飛ぶ事がなかったのは、果たして幸か不幸か。



(余談ではあるが、
GPO白の章ゲーム中にて、竹内少年に『紙飛行機』を渡すだけで感情評価が大幅に上昇する事は非常にプレイヤーの涙を誘う。
お前……目薬といい、そんな安いアイテムで好いてくれなくても……)