フィンランド共和国
Republic of Finland
1 基本情報
Photo:BON狸 ヘルシンキの街角。夏なのに肌寒い。セントラルヒーティング完備。
1.1 地理・経済情勢
人口 約533万人(2008年)
首都 ヘルシンキ(約58万人、2009年)
GNI 2,710億ドル、一人あたりGNI 51,588ドル(2008年、IMF)
(その他、基本情報は後日一覧表から一括で転記)
1.2 年表
(当該国の歴史的経緯と水に関連する主要なイベントの発生時期を記述)
2 水資源と水利用
2.1 水資源
(水資源の豊富さ、雨期と乾期、どのような水源が使われているか、等)
水源の80%は地下水または地下水涵養水。ただし、南部の工業地帯では水質の悪化により遠隔地からの水を調達している。1973年に建設された、パイアンネ湖の水をヘルシンキに導水する120kmの導水管が有名である。
2.2 水利用
(農業用・工業用・家庭用の配分、廃水の再利用など、水の使われ方の特徴、等)
上水道の普及率は人口のおおよそ90%,下水道は80%。一人あたり使用量は7.2m3(年あたりとすると約20L/人日だが?)
2.3 家庭用水需要
(水道の一人一日使用水量やその範囲、都市村落給水の間での違い、等)
3 水に関する住民意識
3.1 徴収率
(水道料金の徴収率、あるいは水供給に対してお金を払う気持ちや文化があるかどうか、等)
3.2 料金体系
(平均的な水量あたり料金、料金の決め方、等)
水道料金は平均で147円/m3、下水道料金は平均で218円/m3。
3.3 水に対する不満・クレーム
(平均的な水ニーズ、特徴的な水に関する意識、等)
4 水関連の政策・法規制・基準
4.1 政策と計画(policy and plan)
(国の開発計画、水セクターのマスタープラン、等)
4.2 法規制
(上水下水などの水関連の個別法、基準のうち環境基準や水質基準)
4.3 水行政機関
地方自治体の管轄。都市部において、水道事業は自治体議会もしくは自治体の専門部門の一つが運営する公共事業として行われている。
主要な水源である地下水の水質管理は地域環境センターの管轄で、地下水の保護政策がとられており、飲料水への地下水利用が促進されている。
5 上下水道事業の実施状況
5.1 上下水道の普及状況
水道の普及率は90%。地方自治体による給水で人口比87%、給水量の90%以上をカバー。下水道普及率は80%程度。水道事業体1,300以上、下水道事業650以上。小規模(200人以下)な水道が多い。
5.2 その他パフォーマンス
(漏水率、24時間給水の実現度、その他水供給事業の水準を定量的に把握できる数字)
6 上下水道への援助・民営化
6.1 国内援助
(中央政府から地方事業への援助等)
6.2 その他の援助
(外国からの援助等)
6.3 民営化
官民連携(PPP)についての議論は特段なし。
水道事業に民間業者が伝統的に関わってきているが、水道事業の非主力サービス業務だけが委託されるという状況であった。いくつか民営の水道会社が誕生しているが、委託はまだ限定的である。水道事業法の改正によって地方自治体が希望するならば民営水道会社に委託することも可能となっているが、その実績はない。下水道では2002年に12年間のコンセッション契約が成立している。
7 水技術
ヘルシンキに水を供給しているピトキャコスキ浄水場。冷戦時の水道施設は攻撃を避けるため屋内に整備されている。Photo:BON狸
紫外線消毒が積極的に利用されているが、毒ガスを想起させるため塩素消毒に心理的な抵抗があるとのこと。水温が低いことなどから再増殖のリスクが小さいことなども背景にあると思われる。
同じくピトキャコスキ浄水場。青い箱状の装置が紫外線照射装置。Photo:BON狸
浮上分離法の改良版の発祥の地らしい。寒冷地で貯水池を水源とする場合などきわめて有効な処理性を示すとのこと。
出典
※1)Aqualibrium European Water Management between Regulation and Competition 2003 European Commission
※2)フィンランドのロボ浄水場をACT21の現地調査で訪問した。
※3)水道サロン第100回
※4)世界の水事情 水道年鑑
最終更新:2010年11月09日 18:03