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ja
2013-11-10T18:47:09+09:00
1384076829
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水システム国際化研究会
https://w.atwiki.jp/gwss/pages/1.html
*世界の水事情データベース β版
**Japan-YWPと水システム国際化研究会のコラボを目指してます。
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***このサイトの目的
ここは、&bold(){水システム国際化研究会}が設置した世界の水事情の基礎的情報を収集公開するサイトです。世界各国の水事情活動を行なっています。しかして人手がたりず更新もままならないので、今般、&bold(){IWA-Japan YWP} のメンバーにも積極協力をいただくことになりました。宜しくお願いします。
&bold(){注)編集権限は現在水システム国際化研究会参加者とIWA-Japan YWPのメンバーに与えられています。}
アカウント、パスワードともお伝えしておりますが、思い出せない方はBON狸まで。
水システム国際化研究会は、上下水道や水環境にかかわる若手研究者の自主的研究会として、世界の水事情の生の情報を収集研究し、発信していく活動を行っています。
IJapan National Young Water Professionals(Japan-YWP)は、WA国内委員会の下部組織として水環境や上下水道に関連する産官学の若手ネットワークを構築することを目的として2010年3月に設立されました。 多様なバックグラウンドや専門を有する若手が参画しています。
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***地域インデックス
#ref(worldmap_00.gif)
-[[サハラ以南アフリカ>http://www35.atwiki.jp/gwss/pages/140.html]]
-[[ヨーロッパ>http://www35.atwiki.jp/gwss/pages/141.html]]
-[[アジア>http://www35.atwiki.jp/gwss/pages/139.html]]
-[[中東>http://www35.atwiki.jp/gwss/pages/142.html]]
-[[中南米>http://www35.atwiki.jp/gwss/pages/143.html]]
以降追加していきます....
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***作業支援
新しいページは以下をコピペして作ってください。
-[[00 新テンプレート>http://www35.atwiki.jp/gwss/pages/61.html]]
作業上のポイント:
-番号は国際電話の国コードです。
-ページを削除する場合、当該ページの全情報を削除して保存すれば消えます。
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***連絡事項
UN-Waterのサイトで、「カントリーブリーフ」というものが できたようですのでご紹介します。
-Monetary Flow
-Energy for Water
-Water Quality Index
など、我々が「世界の水事情」ではあまり引用していなかった、 国連関係機関のデータがまとまっていますので、 原稿作成のご参考にと思いお知らせいたします。
UN-Water Country Brief
http://www.unwater.org/pub_WaterCountryBriefs.html
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***注意事項・ご意見など
当サイトに掲載されている情報は必ずしも厳密ではなく、最新とは限りません。
論文等で引用される場合はソースを確認してください。
当サイト及び研究会へのご意見、ご要望等は以下の投稿フォームからどうぞ...
- テストです。ハンドルネーム必要ですね。 -- BON狸 (2010-08-18 23:22:57)
- できた~~~~~なんとか明日の研究会に間に合った! -- BON狸 (2010-11-09 23:40:44)
- IWA ASPIREで、世界の水質基準を一覧できるような情報があるといいなって要望もらいました。 -- BON狸 (2011-10-07 09:14:10)
#comment
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[[水システム国際化研究会 トップページへ>http://www35.atwiki.jp/gwss/pages/1.html]]
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2013-11-10T18:47:09+09:00
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855 カンボジア王国
https://w.atwiki.jp/gwss/pages/41.html
*カンボジア王国
*Kingdom of Cambodia
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*1 基本情報
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**1.1 地理・経済情勢
-人口:13.4百万人(2008年政府統計)
-首都:プノンペン(人口133万人(2009))
-GDP:8.3百万ドル
一人あたりGDP 578米ドル(2007)
経済成長率 6.2%(1990~2007)
■地政学的にタイとベトナムという二つの強国の間にあり、その影響を受けた政党同士の政争がすべてに影響を与えてきた。現在の政権はベトナムと近く、タイとは緊張関係にある。
■カンボジアは東南アジアの立憲君主国家で、国民の90%はクメール人、宗教は上座仏教が主である。文化的には封建的な風土が残っており人治主義で、公的機関の人事も閨閥的で決まることは珍しくなく、汚職リスクも比較的高い。 ※1)
**1.2 年表
|CENTER:年 代|CENTER:出 来 事|CENTER:備 考|
|1950年台| | |
カンボジア国は過去にフランスの植民地であり統治時の影響が色濃く残っている。インドシナ戦争を経てクメール・ルージュによる破壊の時代(1975~1979年)を経験、文明的な施設はすべてが破壊の対象となった。都市給水も、地上施設はほぼすべてこの時代に破壊されている。1979年に内戦は一応は集結したがクメール・ルージュが完全に勢力を失うまでには少し時間を要し、ほぼ安定したのは1990年台後半であった。
#ref(cambodia01.JPG)
フランスの技術で建設された場合、高速凝集沈殿池が採用されている例が多い。Photo:BON狸
内戦終結後は世界各国の援助が大々的に行われており、支援を受けて公営水道の拡張が勧められている。また、近年の経済成長や世銀の施策もあり、比較的小規模で公営水道がない地域を中心に、民営水道の整備も盛んである。
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*2 水資源と水利用
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**2.1 水資源
都市|河川水、湖沼水
村落|掘抜井戸(Tube Well)、浅井戸(Dug Well)
都市水道では河川水、湖沼水を取水し、凝集沈殿処理を行っている例が多い。農村人口の6 割は井戸に依存しているが、そのほかの水源として、河川水や湖沼水等を利用している。
季節要因
取水障害|水質障害|需要要因
乾季|12月~5月|表流水水位低下、原水水質悪化、最大需要期の供給不足
雨季|6月~11月|原水濁度の上昇、需要家が雨水を使用することによる需要の減少
顕著な乾季と雨季があり、時期によって表流水水源の水量や水質が変化する。雨季はきわめて高い濁度による沈殿池からの濁度成分の流出が問題となる。乾季においては、水源の水位が下がって取水障害が発生することと、暑いことで水需要が増加することによる処理施設能力の不足が発生する。
**2.2 水利用
(農業用・工業用・家庭用の配分、廃水の再利用など、水の使われ方の特徴、等)
**2.3 家庭用水需要
(水道の一人一日使用水量やその範囲、都市村落給水の間での違い、等)
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*3 水に関する住民意識
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**3.1 徴収率
給水メーターは基本的に相当小規模な事業まで整備されており、水道料金の徴収率は極めて高い。プノンペンの水道事業が率先して体制を構築し、全国の規範となっている。
水道料金の徴収率がきわめて高いのはプノンペンで水道の再建を行った際、「フンセン首相も水道料金を支払っている」というキャンペーンを行った効果といわれている。王を頂点として目上の者を敬い、従う風土があるのにマッチした施策である。ただし、目上の人に請求できないために、公的期間からの料金徴収が遅れ気味になる。
**3.2 料金体系
水道料金の水準は1,500(550~3,000)Riel/m3。現行の水道料金は、民間水道より公営水道の方が廉価であるが、公営水道では、水道料金は運転経費(OPEX)を賄うだけの設定になっており、施設整備は無償資金協力などで支えられているため。民間水道では、設備投資(CAPEX)の回収も含めた設定になっている。
**3.3 水に対する不満・クレーム
(平均的な水ニーズ、特徴的な水に関する意識、等)
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*4 水関連の政策・法規制・基準
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**4.1 政策と計画(policy and plan)
**○国家レベルの水戦略・計画
-Rectangular Strategy(四辺形戦略):国家の開発政策の核となる戦略
-National Strategic Development Plan (NSDP) 2006‐2010(国家戦略開発計画):四辺形戦略の具体的実施計画
この2つでは貧困削減の鍵となる施策として安全な飲料水、衛生設備へのアクセスの改善を取り上げている。*1)
-The new National Policy on Water Supply and Sanitation (NPWSS):2004 年施行。水供給および衛生に関する基本方針。*1)
**○国家開発政策***1)
第1次国家社会経済開発計画(First Socioeconomic Development Plan: SEDP I, 1996-2000年)は初めての国家開発計画であり、最も重要な課題として貧困削減を挙げている。貧困削減の手段のひとつとして、貧困層の90%が居住する農村部のインフラ整備、とりわけ給水の拡大を重要としている。地方における水入手可能人口を65%とする目標を掲げていたが、実績は26%から29%への上昇にとどまった。第二次国家社会経済開発計画(SEDPII、2001-2005年)では、地方人口の40%、都市人口の87%に安全な水供給を実現するとしている。また、長期的な国家目標として、2015年までに水道水の供給人口を60%にするとしている。
**○National Policy and Strategy of Water Sector ***2)
MDG達成を目的として、2003年2月に策定。都市水道に関しては、以下の6項目の重要政策を掲げている。
+水供給のあり方(個々の状況に応じた水供給形態)
+民間セクター参入(都市水道の質の改善とサービスエリアの拡大を目的としてすべてのサービス業務について契約に基づく民間セクターの参入の推進)
+水道料金(水道事業者の持続可能な財務運営に必要な適切な水道料金体系の導入と料金徴収の効率化)
+貧困層の保護と補助(貧困層の安全な水へのアクセスのための水道料金補助制度)
+公共ユーティリティーの自立(公共事業の財政的自立と地方分権化メカニズムの構築)
+上水道監督機関(全国の公共ユーティリティーと民間セクターの監督ならびに公正な競争メカニズムの構築)
**4.2 法規制
***水供給及び衛生法(Water Supply and Sanitation Law)***2)
国民の生活水準の向上を目指し、水衛生セクターに関する中央政府の監督機能の強化と各州による水衛生事業の改善を目的として策定に取り組んだが、策定を支援したWBの要求に対応できず、策定作業中に不正があったとして作業は停止している。同法では、同法に基づいて設立されるWSAC(Water and Sanitation Authority of Cambodia)が全国の上水道事業の監督機関となり、官民を問わず上水道事業のライセンスを発行することになる。MIMEはその上位機関に位置づけられる予定であった模様。
都市水道セクターでは水衛生法の制定によって自由競争原理による都市水道の質の向上とサービスの拡大を目指しているが、制定に時間がかかる見通し。制定されても同法が現実的に効果的に運用されるためには、同国の民間セクターの育成、WSACの能力強化等の施策が不可欠。
***国家飲料水質基準(案)(Draft Proposed Cambodian National Drinking Water Quality Standard Ver.5)***2)
水道水の水質に監視、2003年12月に国家飲料水質基準(案)が策定された。WHOの飲料水質ガイドライン(2003年版)を基に策定されたもので、農薬(有機塩)に関するパラメータの基準値も規定されている。ただし、4年ごとに見直すスケジュールに間に合わず、2010年現在は失効中。
**4.3 水行政機関
-都市給水事業:MIME-DPWS(鉱工業エネルギー省 飲料水供給局)
-村落給水事業:MRD(村落開発省)
-水資源開発および管理:MWRM(Ministry of Water Resource and Meteorology(水資源気象省)*1)
都市部(Urban Area)を担当するMIMEとその地方支部であるDEME、村落給水を担当するMRDとその地方支部であるPDRDによって分割管理されている。水道としての管理及びライセンスはMIMEの担当であり、公営、民営とも都市部への給水はMIMEが管理している。これに対して、MRDは村落給水施設、主として井戸によるものの整備普及を担当しているが、中には簡易な水道システム(急速ろ過まで含むものもある)もある。
公営水道の運営はMIMEの地方組織であるDIMEに部局が設置されていて、ここれ行うのが一般的だが、大規模な水道事業体は公社化されて経営的に独立する。現在、プノンペン及びシェムリアップが公社化を完了しており、シアヌークビルがこれに続きつつある。プノンペン水道公社(PPWSA)は自律的発展を遂げる段階まできており、カンボジアにとってきわめてよい目標を具現化し、また、地方の都市水道の技術指導を行って成果をあげている。
民営水道の監督もMIMEの管轄である。事業権の審査、入札、ライセンスの付与はMIMEが直接行う。
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*5 上下水道事業の実施状況
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**5.1 上下水道の普及状況
都市部に相当するのは通常州都周辺地域のみのわずかなエリアであるため、水道普及率でみると非常に低い。安全な飲料水を確保しているのは全世帯の31%程度。33%は不衛生な井戸水、31%は池や川の水を使用。5%は雨水を利用。首都プノンペンでは53%が水道や安全な井戸水を使える。
#ref(cambodia04.JPG)
村落給水井戸。これは空気酸化による除鉄設備を持つタイプ。Photo:BON狸
**5.2 その他パフォーマンス
(漏水率、24時間給水の実現度、その他水供給事業の水準を定量的に把握できる数字)
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*6 上下水道への援助・民営化
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現在さまざまな国がカンボジアに対してさまざまな援助を行っている。水分野では、世界銀行、アジア開発銀行の他JICAの援助も存在感がある。都市給水、村落給水などのウェイト付けは主体によって異なる。また、様々なNGOが村落給水への援助を行っている。ただし、各種主体の連携はよくない。
**6.1 国内援助
(中央政府から地方事業への援助等)
**6.2 その他の援助
**日本からの援助*1)
有償 約160億円
無償 約1,156億円
技術協力約433億円(JICA)
わが国の対カンボジア経済協力は、持続的な経済成長と貧困削減を目的に支援していくことを基本方針としている。水道事業については、「プノンペン市周辺村落給水計画(無償)」、「シムリアップ上水道整備計画(無償)」、「コンポンチャム州村落飲料水供給計画(無償)」など継続的に実施されている。また、技術協力プロジェクトとしては「水道事業人材育成プロジェクト」を行っている。
**世界各国の援助
単位:百万USD|1|2|3|4|5
上位5カ国|日 114.7|米 61.8|仏 38.2|豪 31.8|独 28.2
**その他 DAC内主要援助国(2006年支援表明額)*3)
日本(114.7)、米(61.8)、仏(38.2)、豪(31.8)、独(28.2) 単位:百万ドル
**NSDP(National Strategic Development Plan) 2007-2009 *1)
上下水道施設への支出は114.4百万US$、USDP予算の5.2%に相当
#ref(cambodia02.JPG)
ADBの援助で建設された浄水場。う流式を多用している。Photo:BON狸
**6.3 民営化
-公営水道:州都など、主要な都市の水道は公営が多い。
-民営水道:小都市の水道に多い。規模は大規模から小規模まで様々。
カンボジアにおける組織的な民営水道の推進は2003年に世銀のプロジェクトで始まった。認可ベースでは4州都87事業(増加中)があり、未認可の小規模な民営水道は300事業もあると言われる。これら民営水道には世界銀行とフランス開発庁の支援による事業や現地企業が独自に始めた事業など様々である。但し、水道事業へ出資を行っている企業は国内企業が中心であり、外国資本の企業が参画したのは多くないが、徐々に増えている。(中国資本100%が1件、シンガポールと地元のJVが1件、フランスと地元のJVなど)
公営水道で課題を質問をすれば、第一に資金、その他人材、無収水などが課題であると答える。自らリスクをとるような意識も低く、ある程度以上の大規模な事業の場合、基本的には援助を待つ(MIMEの資金提供、通常国際支援の配分)傾向がある。民営水道の場合は増収につながる拡張にはきわめて積極的であるが、一定以上の規模に達して経営が安定するまでは、供給水の品質管理がおろそかになっているケースが多い。
利用者の満足度は公営より民営の方が良好であるとの文献あり。*1)
#ref(cambodia03.JPG)
民営の浄水場。アメリカのNGOが技術協力していて独特な処理形態である。Photo:BON狸
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*7 水技術
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**○浄水技術
-濁質除去:ほぼすべてが表流水使用の凝集沈殿。
-消毒:大規模事業では塩素ガス、小規模事業ではサラシ粉
-特殊処理等:村落給水の一部で除鉄処理。ヒ素が出る場合は井戸の飲用禁止が基本。
都市給水では表流水を処理する例が多く、ほとんどが急速ろ過である。凝集剤として使用しているのは硫酸バンドである。フランスの創設時の施設が残っている場合は高速凝集・上向流沈殿処理。990年代以降にADBの援助で更新された施設は機械撹拌、水平う流フロッキュレータ、横流式沈殿池を使用している。最新の浄水場の一部は機械式のフロッキュレータを使用しているものもある。このほか、民営水道の多くは水流による急速撹拌とう流式フロッキュレータ、浅いろ過池の組み合わせで処理を行っているが、これは米国のNGOの技術援助によるもの。
ADBの援助で建設された浄水場では、バンドを水溶して投入量を調整し、消石灰によるアルカリ度補給と併用しておおよそ適切な凝集沈殿をを行っているが、地方の小規模な民営水道など技術レベルの低い事業では、塊状態の硫酸バンドに水をかけて使用したり、そのまま池内に投入したりしている例も少なくない。
地下水や地下水と交換する水源においてはヒ素や鉄分による地下水汚染は普遍的に見られる。鉄分については伝統的な除去法としてかめに貯留して空気酸化を待つ方法がとられてきた。ADB等の援助による井戸の場合は木炭や砂等を利用した空気接触水槽による鉄除去が一般的。地下水のヒ素汚染については広く認知されており、PDRDが検査を行って安全性を確認している。ヒ素が高い濃度で検出された場合は飲用・炊事利用の禁止勧告がなされるが、全国統一のマニュアルなどはなく、州ごとの判断で規制が行われる。
水質の管理は公営、民営の別なく、水質試験を全国一斉調査や事業開始時などに計測することになっているほか、三ヶ月に1回の検査結果報告が義務付けられているが、必ずしもこの頻度で実施されていない。処理の状況とデータが一致しないことは珍しくない。
**○配水技術
特徴的な配水方式:ほぼすべて高架水槽による自然流下。
使用管路:援助が入っている事業においてはDCIP、PEPを使用(おおよそΦ250で区分)
公営水道事業の無収水量(NRW)率は15%~52%だが、これは破壊の時代からの再建の進捗度合いに主として依存している模様で、要するに、配水管網の再建に補助を得た事業の漏水率が低くなっているということらしい。
不安定な電力事情を反映してか、ほぼすべて高架水槽による方式(最初に高架水槽を設置している例が多い)。援助で建設された浄水場には自家発電機が設置されているのが普通。
管路は、高度な水道事業においてはDCIP、PEPを使用(おおよそΦ250で区分)しているが、1990年代に整備された事業ではPVC管、しかも肉厚の薄い水道用に適しないものを使用しており、極めて高い漏水率の原因になっている。PEPの接合は熱融着で、スリーブの類は使用していない事業もある。規格は基本的にはISO規格。
近代水道の要素として「管路による給水」に注目すると、カンボジアの管路布設は世界的に見ても依然低い水準である。ただし、安全な水へのアクセスの課題は大きいものの、多くのエリアでは平坦な地形であり、管路による給水を行うだけのポンプや電力の調達がまず大きなハードルとなる。多くの村落は自給自足の生活を営んでおり、現金収入が少ない。このため、現状では、安全な水の調達しにくい村落部については手押し井戸による給水が優先されている。
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*出典
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※1)平成20年度 水国際貢献推進調査業務報告書 (ta)
※2)政府開発援助(ODA)国別データブック2008 (ta)
※3)外務省HP 「各国・地域情勢」 (ta)
※4)DAC援助審査 日本 開発援助委員会(DAC) OECD 2003
1) HUMAN DEVELOPMENT REPORT 2009(sk)
2) PROGRESS ON DRINKING WATER AND SANITATION SPECIAL FOCUS ON SANITATION, UNICEF and World Health Organization, 2008(sk)
★は山口が現地での経験者から聞いてきた現状。
1) JICAカンボジア王国水道事業人材育成プロジェクト実施協議報告書 2003年10月
2) JICAカンボジア国プノンペン市上水道整備計画調査(フェーズ2)事前調査報告書 2004年8月
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2013-02-15T14:50:13+09:00
1360907413
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509 ハイチ共和国
https://w.atwiki.jp/gwss/pages/127.html
*ハイチ共和国
*Republic of Haiti
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*1 基本情報
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**1.1 地理・経済情勢
-人口:992万人(2009、ECLAC)※1
-首都:ポルトープランス
-GNI:5,366ドル(2007、世銀)※1
・北・南部に山脈が東西に走り、平地は少ない。※2
(その他、基本情報は後日一覧表から一括で転記)
**1.2 年表
|年台|出来事|備考|
|1492年 |コロンブスのエスパニョーラ島発見|※1|
|1697年 |フランス領となる |※1|
|1804年 |独立 |※1|
|1915年~1934年 |米国による軍事占領|※1|
|1964年 |首都の水道を管轄するCAMEP(the Centrale Autonome Métropolitaine d'Eau Potable)を設立|※3|
|1977年 |首都以外の水道を管轄するSNEP (Service National d'Eau Potable)を設立。その後すぐに農村部の水道・衛生を見るPOCHEPを設立(SNEPは農村部を見る能力がなかった)|※3|
|1980年代 |世銀、IDB、NGOを含む多くのドナーに支援された “International Water and Sanitation Decade”により、若干の普及率の伸びがあった。|※3|
|1990年代 |軍事クーデターなどによる国自体の不安定化のため、上下水道分野もそれに伴って後退。1991年の軍事クーデターでは、海外からの援助が3年間停止。それ以後もたびたび援助が減少。|※3|
|1994年 |ポルトープランスに水道委員会ができる。水道委員会は公共水道から水を買い、スラムに給水。|※3|
|2000年代 |海外援助は内陸部の町に集中するが、首都大都市部での上下水道サービスの問題も依然未解決。|※3|
|2009年 |プレヴァル政権が水部門の改革に取り組む。政府政策と規制機能を強化し、上下水道分野で活動するNGOを指導することを目的とした枠組み法(framework law)が議会を通過。上下水道を監督する国家機関と地域の上下水道サービス供給者を設立。|※3|
|2010年 |ハイチ地震発生(M7.0)。水道等インフラに壊滅的被害。1500万人が難民キャンプでの生活を余儀なくされる。衛生状態の悪化でコレラ流行||
(当該国の歴史的経緯と水に関連する主要なイベントの発生時期を記述)
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*2 水資源と水利用
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#ref(haiti_watersource.jpg)
Photo: sagara
**2.1 水資源
(水資源の豊富さ、雨期と乾期、どのような水源が使われているか、等)
・熱帯気候で、雨季は4~6月、および8~11月と2度ある。※2
・年間降水量は約1,300mmである。※2
・農村部の水源:改善された水源(Improved water source)にアクセスできない農村部では、保護されていない井戸(5%)や泉(37%)、そして河川(8%)が主な水源である。※3
・都市部の水源:改善された水源(Improved water source)にアクセスできない都市部では、ボトル水(20%)、ドラム付きカート(4%)、保護されていない井戸(3%)が主な水源である。※3
**2.2 水利用
(農業用・工業用・家庭用の配分、廃水の再利用など、水の使われ方の特徴、等)
**2.3 家庭用水需要
(水道の一人一日使用水量やその範囲、都市村落給水の間での違い、等)
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*3 水に関する住民意識
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**3.1 徴収率
(水道料金の徴収率、あるいは水供給に対してお金を払う気持ちや文化があるかどうか、等)
・首都以外ではメーター設置はまれで、メーターを設置しているのは、産業分野や、首都で通知を受けている水委員会などごく一部のみ。多くの民間水需要者や大口水需要者は公共水道には接続せず、タンクで水を得ている。※3
・都市部で水供給を行うOREPAでは、水の売上は運転コストをほとんどカバーしていない。この問題は、全国のコミュニティ水道や民間水道でも同様である。※3
・料金徴収を強制するために断水することもあるが、多くの住民は非合法に再接続してしまう。※3
**3.2 料金体系
(平均的な水量あたり料金、料金の決め方、等)
・ハイチでは、ほとんどの消費者がメーターを設置していないため定額料金制である。料金は地域や供給者によって大きく異なる。※3
・2008年時点d、小規模な町では、水道料金は、約1ドル/月(中央台地)から約7.3ドル/月(首都に近いKenscoff)であった。※3
**3.3 水に対する不満・クレーム
(平均的な水ニーズ、特徴的な水に関する意識、等)
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*4 水関連の政策・法規制・基準
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**4.1 政策と計画(policy and plan)
(国の開発計画、水セクターのマスタープラン、等)
**4.2 法規制
(上水下水などの水関連の個別法、基準のうち環境基準や水質基準)
**4.3 水行政機関
(法規制を執行する機関)
・水道統括官庁:公共事業省(Ministry of Public Works)
・DINEPA(Direction Nationale d'Eau Potable et d'Assainissement、国家上下水道局):公共事業省内にあるハイチの水セクターにおける主な公共機関。政策実行、ドナーからの援助の調整、上下水道サービス供給者の監督を行う。※3
・OREPA (Offices Régionaux de l’Eau Potable et de l’Assainissement):DINEPAの権限に属する地域サービス供給者。都市部で水供給を行う。※3
・自治体:枠組み法(Framework Law:政府政策と規制機能を強化し、上下水道分野で活動するNGOを指導することを目的とした法律。2009年に議会通過)によれば、長期的には自治体が上下水道を管理すべきだが、能力的に限界があり、現在はほとんど何の役割も果たしていない。※3
・CAEPAs (Comités d'Aprovisionnement en Eau Potable et d'Assainissement):全国に数百ある、農村部や小さな町の水道を管理する水道委員会。コミュニティーから選ばれた人間で構成される。CAEPAの中で最良のものは、規則を順守し、コミュニティーと密接な関係を構築し、規則に従って料金超徴収を行い、修繕を行う配管工を雇い、銀行口座を持ち、DINEPAに登録・承認されている。しかし、多くはこのような期待に応えられていない。※3
・水道委員会や水道システムに関する、全国的・地域的な登録制度および協会は存在しない。※3
・FAES:水道供給システムに投資を行う公的なソーシャルファンド。※3
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*5 上下水道事業の実施状況
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**5.1 上下水道の普及状況
(上下事業の数、当該国における分布状況、普及率、安全な水アクセス率、等)
・普及率※2
上水道 54%(都市部:52% 農村部:56%)
下水道 30%(都市部:57% 農村部:14%)
(都市部には国民の46%が住む)
**5.2 その他パフォーマンス
(漏水率、24時間給水の実現度、その他水供給事業の水準を定量的に把握できる数字)
・24時間給水されていない。※2
・水道メーターはほとんど設置されていない。※2
・残留塩素がないため一般細菌が検出される問題がある。※2
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*6 上下水道への援助・民営化
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**6.1 国内援助
(中央政府から地方事業への援助等)
**6.2 その他の援助
(外国からの援助等)
**6.3 民営化
(民営化、公民連携の進行状況)
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*7 水技術
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(どんな技術が使われているか、現場の技術レベルはどうか、技術基準は、その国発祥の技術は、その他おもしろネタ等)
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*出典
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※1)外務省HP
※2)水道年鑑
※3)Wikipedia, Water supply and sanitation in Haiti(http://en.wikipedia.org/wiki/Water_supply_and_sanitation_in_Haiti)
2012-05-13T19:48:16+09:00
1336906096
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62 インドネシア共和国
https://w.atwiki.jp/gwss/pages/19.html
*インドネシア
*Republic of Indonesia
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*1 基本情報
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**1.1 地理・経済情勢
-人口:2.28億人
-首都:ジャカルタ(914万人)
-GDP
(その他、基本情報は後日一覧表から一括で転記)
**1.2 年表
※3)※6)
|CENTER:年 代|CENTER:出 来 事|CENTER:備 考|
|1922(オランダ統治時代)|オランダがボゴールの湧水を市内まで引いて、上水道システムを導入|ジャカルタ上水道のはじまり|
|1945|独立 PDAMは地方政府の一部となる。|(インドネシア全体)|
|1958|フランスの資金援助によりジョンポンガン浄水場完成|(ジャカルタ市)|
|1967|主要な水源であるジャティルフール貯水池が、フランスの資金で多目的ダムとして建設される| |
|1970年代|PDAMにおける資金調達や経営については、中央政府が権限を持っていた| |
|1982|日本の資金援助によりプロガドン浄水場完成|(ジャカルタ市)|
|1987|日本の援助により同第2浄水場完成|(ジャカルタ市)|
|1990前半|ジャカルタ州政府が一貫して水道施設の建設・維持管理と水道事業運営を行ってきた| |
|1998|ジャカルタ市水道公社は財政の逼迫から、ジャカルタ市を東西に二分しての民営化に踏み切り、スハルト独裁政権下で競争入札を経ることなく民営水道会社との契約が締結された(この年の5月21日にスハルト辞任)| |
|1999|地方自治法制定 これとともに地方政府への水に関する権限委譲を進める| |
|2003|Development of Community-Managed Water Supply and Environmental Sanitation Facilities and Services 制定| |
(当該国の歴史的経緯と水に関連する主要なイベントの発生時期を記述)
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*2 水資源と水利用
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**2.1 水資源
(水資源の豊富さ、雨期と乾期、どのような水源が使われているか、等)※9)
1)不足する水
人口の過半数が本州の半分程度の大きさのジャワ島に集中しており、インフラの多くもジャワ島に集中していることから、乾季には、増加する需要に供給が追いつかなくなりつつある。また、水不足とともに、かんがい用水の配分も調整が困難化
2)地盤沈下
ジャワ島では、その活動に必要なだけの水を表流水だけでは確保できないことから、地下水にも多くを依存している。しかしながら、ジャワ海沿岸地帯には非常に軟弱で圧密による沈下が進行しやすい世界でも有数の軟弱地盤地帯が広がっており、過剰な地下水の汲み上げにより、地盤沈下が深刻なレベルに達している。 既にジャカルタやスマランなどの海岸に近い地域では、海抜ゼロメートル以下となっているところもある。
また、その範囲は年々拡大しており、適切な対策が取られなければ、2025 年には海水が海岸から5 キロメートルも内陸にある大統領府まで達するという報告もあり、地下水に依存しない体制が求められている。
3)水質汚染
都市部への人口の集中に伴い、水質問題も深刻化。下水道普及率が低いため、河川水や地下水への負荷が増大している。しかしながら、水源保全や河川利用に対するモラルはかならずしも高くはなく、安易な森林伐採や河川へのゴミ投棄が後を絶たない。浅井戸や河川水をそのまま利用している家庭も少なくないため、水質悪化が健康問題に直結する。 特に、乾季には、河川の流量が極端に少なくなるので、水質の悪化は顕著となる
**2.2 水利用
(農業用・工業用・家庭用の配分、廃水の再利用など、水の使われ方の特徴、等)
**2.3 家庭用水需要
(水道の一人一日使用水量やその範囲、都市村落給水の間での違い、等)
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*3 水に関する住民意識
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**3.1 徴収率
(水道料金の徴収率、あるいは水供給に対してお金を払う気持ちや文化があるかどうか、等)
**3.2 料金体系
(平均的な水量あたり料金、料金の決め方、等)
インドネシア(ジャカルタ首都圏水道)の料金(1994年)※7)
1)用途別従量料金
全体で5用途18分類の用途別料金で、一部の分類ではさらに30、50m3を区分点にした逓増制(最低390ルピア、最高5050ルピアの従量 料金)。
①社会的用途:公共施設(寄宿舎、社会施設、孤児院など)、特定施設(公営病院)。
②非商業用途:家庭用A(超簡易建築物と公営住宅)、家庭用B(簡易建築物)、家庭用C(中級建築物)、家庭用D(高級建築物)、家庭用E(領事・大使館)、政府施設(事務所、外国公館、非商業施設、学校など)。
③商業用途:小規模A(小商店、小規模作業所、家内工業、理髪、洋裁など)、小規模B(小飲食店、個人病医院・研究所、弁護士事務所、簡易宿泊所など)、大規模A(下中級ホテル、特殊浴場・飲食店、高級理髪、銀行、大規模作業所、会社、取引所など)、大規模B(高級ホテル、高層ビル・住宅)。
④産業用途:小規模、大規模(氷・食品・衣料品・化学製品・化粧品製造、倉庫、冷凍貯蔵所、貿易その他産業)。
⑤特別用途:消火栓・公共用栓、給水拠点、船舶給水、特定場所。
2)メーター設置・維持費
12種口径別に1装置1000~110000ルピア/月。
3)管理費
料金請求の8ケース別に1請求1000~30000ルピア。通常、消火栓用特別、名義変更、検針、公認メーター、水質試験(非商業用、商業用)、喪失メーター票補充。
4)保証金
家庭用、商業用、小商業用の別に1請求25000~200000ルピア。
**3.3 水に対する不満・クレーム
(平均的な水ニーズ、特徴的な水に関する意識、等)
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*4 水関連の政策・法規制・基準
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**4.1 政策と計画(policy and plan)
(国の開発計画、水セクターのマスタープラン、等)
・経済危機後の1998年、世界銀行が水部門を再構築する融資計画を提案。翌年政府はこれを受け入れた。※1)
・1997年の経済危機以降、水道セクターも含めた行政改革が進められてきており、水道についても2004年に”Water Law (No.7, 2004)”が制定された。新法は、水質汚染、水不足、自然災害など慢性的な国家的課題を改善することを目指したものである。※4)
・国家レベルの水道計画は1969年当時に始まったが、当初は既存施設のリハビリが中心。1974年ごろから各国のドナーを受けて水道の拡張が進められた。※2)
**4.2 法規制
(上水下水などの水関連の個別法、基準のうち環境基準や水質基準)
1)水質環境基準※10)
水質の環境基準は、陸水と海水について定められている。陸水にかかる環境基準は、「水質汚濁防止および水質管理に関する政令(2001年政令第82号)」により、利水用途に応じて、4類型に分けて定められている。この基準は全国一律のものであり、州政府および県・市政府はそれぞれの管轄権限内で地域の特性に応じて基準値の変更、新たな基準値の設定(上乗せ、横だし)を行うことができる。ただし、中央と地方の連携が不十分であるため、結果としてそれぞれの河川にどの類型が適用されるか、未だに明確になっていないのが現状である。
表1 政令2001年第82号に基づく水質類型
|Ⅰ類型|飲料水あるいは飲料水と同等の水質が要求されるその他の用途に利用可能な水 |
|Ⅱ類型|レクリエーション、淡水魚養殖、農業・プランテーションへの灌漑を目的とする、あるいは同等の水質が要求されるその他の用途に利用可能な水|
|Ⅲ類型|淡水魚養殖、畜産業、プランテーションへの灌漑を目的とする、あるいは同等の水質が要求されるその他の用途に利用可能な水 |
|Ⅳ類型|プランテーションへの灌漑を目的とする、あるいは同等の水質が要求されるその他の用途に利用可能な水|
環境基準の項目は、①物理項目(水温、濁度等)、②無機項目(pH、水銀、ヒ素、カドミウム)、③有機化学項目(BOD、COD、DDT、BHC等)、④微生物項目(大腸菌群)、⑤放射能項目(総アルファ線、総ベータ線)に分類された45項目について定められている。
海域については「海水の水質基準に関する政令(2004年政令第51号及び179号)」によって環境基準が定められている。海水の水質は、利用目的別にⅢ類型に分類される。
表2 政令2004年第51号及び179号に基づく海水の水質類型
|Ⅰ類型|港湾の水 |
|Ⅱ類型|海水レクリエーションに利用できる水 |
|Ⅲ類型|海洋生態系生息に適する水 |
**4.3 水行政機関※1)
(法規制を執行する機関)
■保健省(Ministry of Health)
公衆衛生の改善を目的とした地方政府への指導や支援、飲料水の水質基準の監視、衛生促進プログラムの実施など
■環境省(Ministry of Environment)
環境保護に関する法律・規則
■公共事業省(Ministry of Public Works)
・Directorate General for Water Resources
表流水の水源割り当てに関する指導を行う
・Directorate General of Human Settlements
地方自治体に対し設計や事業実施に係る技術的支援・指導を行う
■内務省(Ministry of Home Affairs)
地方分権と地方政府の技術面以外のパフォーマンスを監督。料金設定や財政・運営面でのパフォーマンスに関する指導を行う
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*5 上下水道事業の実施状況
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**5.1 上下水道の普及状況※1)
(上下事業の数、当該国における分布状況、普及率、安全な水アクセス率、等)
(上水道)
・地方政府が所有する公営企業Perusahaan Daerah Air Minum(PDAM)が水道事業を行っている。
・PDAMの多くは小規模ゆえに非効率であり、およそ70%が重い負債を抱えている。9割は資産管理を実施しておらず、3割が会計士を置いていない。また、地方政府やPDAMが債務を抱えているため新規借入もできない。
・水道料金は運営・維持管理コストをまかなえるものではなく、地方の政治家が政治目的で料金をコントロールしている
(下水道[衛生])
・地方政府が地域への衛生サービス供給とその運営・管理に責任を負う
・通常、衛生に関する料金は水道料金に比例して課金される。コストをまかなえる十分な利益が得られるかが下水道の課題である
・下水管理への投資や衛生サービスがほとんどないため、都市の深刻な汚染に繋がっている。利益が不十分なため施設の補修もままならず、地域によっては完全に機能不全に陥っている。処理は酸化池(oxidation pond)が一般的
・衛生部門の責任に関する政策、戦略、制度は存在せず、汚染者に法的義務を強制する力がない。政府の衛生に関する方針は「責任は個人に帰する」というものであった
・水道普及率(Proportion of population using an improved drinking water source)※5)
-都市部87%
-農村部69%
・衛生普及率(Proportion of population using an improved sanitation facility)※5)
-都市部73%
-農村部40%
・インドネシアの人口の約90%は、地方政府が所有する316の水道事業体(PDAM)の給水地域に居住しているが、水道管路へ接続しているのは都市人口の39%(全体の18%)しかいない。※1)
・下水道システムは10都市に存在するだけで、利用者は都市人口の3%未満。※1)
・アジア開発銀行の報告書によると、インドネシアの水部門が抱える課題として以下の4点が挙げられている。※1)
-インフラサービスの財政面での持続可能性を確保する
-利害関係者間でリスク分配の最適化を通じて官民の利益のバランスを取る
-競争を促進し、適度に規制する
-インセンティブを改善し、透明性を高めるためのリストラクチャリングを行う
・この他にも、インドネシアでは汚職が大きな問題であり、政府の改革アジェンダの中でも大きく取り上げられている。※1)
**5.2 その他パフォーマンス
(漏水率、24時間給水の実現度、その他水供給事業の水準を定量的に把握できる数字)
・経営基盤が脆弱な小規模水道(PDAM、200事業以上)が多く、特に原水水質がよい場合を除いて経済危機の影響を強く受け、浄水処理などの薬品や電力が確保できない時期があった。※2)
・2000年の全国社会経済調査によると、全世帯の50%以上がなんらかの給水設備を設置しており、都市部で65.3%、地方で45%となっている。細菌検査の水質要件の遵守率は当時で60%程度。※2)
・首都ジャカルタの漏水率は46%と非常に高かった。
・公営施設では、過去10年間資産への大きな投資は行われず、NRWは約30-50%と高い。低水圧・間歇給水に悩むところはあるものの、総じて供給は持続的に行われている。※1)
・PDAMについては組織力が全般に弱く、職員の確保が難しいため不明水対策も進んでいない。※2)
・処理は酸化池(oxidation pond)が一般的。下水管理への投資や衛生サービスはほとんどなく都市の汚染は深刻。衛生管理に関する制度や政策はなく個人任せ。※1)
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*6 上下水道への援助・民営化
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**6.1 国内援助
(中央政府から地方事業への援助等)
・インドネシアの地方財政については、中央政府からの使途が限定された各種の交付金・補助金により予算配分がなされてきた。しかし、地方分権化の一環として1999年に成立した中央地方財政均衡法(1999年法律第25号)により、2000年以降土地建物税・土地建物移転税ならびに天然資源からの歳入分与の地方政府分配分、使途の限定されていない一般交付金(DAU)、使途の限定された特別交付金(DAK)などにより財政移転がなされるようになった※8)
**6.2 その他の援助
(外国からの援助等)
・浄水能力から見ると、ジャカルタ市の浄水施設の約50%が日本政府の援助によるものである。
・インドネシア公共事業省では、中央訓練センター(CTC)1カ所と地方訓練センター(RTC)数カ所を新たに整備する構想を立て、その一部について日本政府に協力を要請。この要請を受けて日本政府は、1988年度のJICA無償資金協力事業として水道環境衛生訓練センター(Water Supply and Environmental Sanitation Training Center:WSESTC)をジャカルタ近郊のブカシに建設することを決定した。日本側が負担した総工事費は、訓練に必要な設備・機材の供与を含んで11.14億円。これに引き続き、本施設を有効に活用して当該分野の人材育成を行うために必要な知識、技術の移転を目的として、プロジェクト方式技術協力が検討され 、1991年4月1日~1996年3月31日の5年間にわたる技術協力が開始、5年間の実質人数は長期21名、短期33名。また、カウンターパートの日本研修は毎年5名の予定で行われ、5年間で合計23名が研修に参加。機材供与は5年間に約2億4600万円(携行機材を含む)、現地業務費などは7260万円、合計3億1860万円の費用が投入された※7)
**6.3 民営化
(民営化、公民連携の進行状況)
○ジャカルタでの民間企業による水道事業※1)※3)
東地区:Aetra Air Jakarta, PT (2007年、PT. Thames PAM Jaya (TPJ)より譲渡)
西地区:PT. PAM Lyonnaise Jaya (PALYJA)
・1998年2月から25年間のコンセッション契約
・水供給システムの運転・維持管理とそれに伴う投資
・6年間で2度の大幅な料金引き上げが行われ2003年4月には0.49ドル/m3となったが、当初計画に見合うほどの料金値上げができず、利益に不足が生じている
・2社とも契約時のパフォーマンス目標を達成するのに苦労している(契約から5年後の目標:普及率41%→70%、NRWを57%→35%)
・2002年時点での普及率は、TPJ 62%、PALYJA 41%であり、これは料金収入が当てに出来ず、資本支出を絞ったためである
・現在は料金を自動的調整する仕組み(ATA mechanism)に合意し、問題解決が見込まれる
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*7 水技術
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(どんな技術が使われているか、現場の技術レベルはどうか、技術基準は、その国発祥の技術は、その他おもしろネタ等)
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*出典
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※1) ADB, Country Paper Indonesia Asian Water Development Outlook 2007
※2) 世界の水事情(水道年鑑2006)
※3) 財団法人水道技術研究センター 平成20年度「上下水道セクター・経営および維持管理に係るテーマ別評価」
※4) 厚生労働省 平成20年度水道国際貢献推進調査報告書
(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/suido/hourei/jimuren/h21/dl/210601-1n.pdf)
※5) WHO-UNICEF Joint Monitoring Programme for Water Supply & Sanitation
(http://www.wssinfo.org/en/watquery.html)
※6) Kubota GLOBAL INDEX 「潤いのコンストラクション(1995.4)」
※7) (社)国際厚生事業団編『開発途上国の水道整備Q&A』のWEB版
(http://www.jicwels.or.jp/water_supply/QandA/kantogen/hajimeni.html)
※8) 外務省 国際協力 政府開発援助 ODAホームページ
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index.html)
※9)独立行政法人 水資源機構 広報誌 水とともに 2010年11月号 NO.86
(http://www.water.go.jp/honsya/honsya/pamphlet/kouhoushi/2010/1011.html)
※10) 環境省 インドネシアにおける環境汚染の現状と対策、環境対策技術ニーズ
(http://www.env.go.jp/air/tech/ine/asia/indonesia/files/pollution/files/pollution.pdf)
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2012-05-08T21:44:31+09:00
1336481071
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221 セネガル共和国
https://w.atwiki.jp/gwss/pages/86.html
*セネガル共和国
*Republic of Senegal
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*1 基本情報
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**1.1 地理・経済情勢
-人口:1,270万人(2008年、UNFPA) ※1
-首都:ダカール ※1
-一人あたりGNI:970ドル(2008年、世銀) ※1
-経済成長率:2.2%(2009年、世銀)※1
-主要産業:農業(落花生、粟、綿花)、漁業(まぐろ、かつお、えび、たこ)※1
-成人識字率:41.9%(1999~2007年、15歳以上)※3
-総就学率:41.2%(2007年)※3
セネガルは、西アフリカの半砂漠の半乾燥地帯に位置し、熱帯性の厳しい自然環境にあるため農作物の生産性は低く収穫量は不安定である。このため、総労働人口の72%が農業に従事している農業国でありながら、主要穀物を輸入に大きく依存している。※5
(その他、基本情報は後日一覧表から一括で転記)
**1.2 年表 ※6
|年台|出来事|備考|
|1971|CGE Senegal(CGE Franceの子会社)が国営化。Societe Nationale d'Exploitation des Eaux du Senegal (SONEES)となり、都市域の給水及び衛生を担当。| |
|1981|Ministry of Facilitiesのうち水に関する部局が独立した省となる。| |
|1983|水法(Water Code)が制定される。SONEESが公共サービスコンセッションとなり、プロジェクトの技術的監理を実施。| |
|1996|SONEESが解散し、新たにSONES、SDE、ONASの3つの公社が設立される。| |
|1996-2002|水セクタープログラム(PSE: Programme Sectoriel Eau)により都市給水セクターが改正され、パフォーマンスが向上。| |
|2002|水供給及び衛生分野が貧困削減戦略計画(PSRP)における優先課題に位置付けられる。ONASが世銀の支援によりダカール郊外の衛生プログラムに着手。| |
|2003|水供給・衛生分野を管轄していた鉱業エネルギー水省が都市の水衛生と村落の水衛生を担当する2つの省に分割される。水担当部局とは別に衛生部局を設置。| |
|2005|PEPAMの制度化| |
|2008-2009|給水・衛生公共サービス法(SPEPA)、衛生法(Sanitation Code)。水と衛生が再度同じ省に統合。| |
|2013|SDEリース契約の最終年。都市給水と衛生に関する第3次改革が実施される見込み。| |
(当該国の歴史的経緯と水に関連する主要なイベントの発生時期を記述)
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*2 水資源と水利用
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**2.1 水資源
平均降水量:686mm/年 ※4
一人あたり水資源賦存量:3214.0m3/年/人 ※4
一人あたり水使用量:204.0m3/年/人 ※4
(水資源の豊富さ、雨期と乾期、どのような水源が使われているか、等)
**2.2 水利用
用途別水利用:農業92.9%、工業2.6%、家庭用4.4% ※4
(農業用・工業用・家庭用の配分、廃水の再利用など、水の使われ方の特徴、等)
**2.3 家庭用水需要
都市の一人当たり水使用量は62L/日/人 ※7
(水道の一人一日使用水量やその範囲、都市村落給水の間での違い、等)
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*3 水に関する住民意識
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**3.1 徴収率
(水道料金の徴収率、あるいは水供給に対してお金を払う気持ちや文化があるかどうか、等)
**3.2 料金体系
(平均的な水量あたり料金、料金の決め方、等)
**3.3 水に対する不満・クレーム
(平均的な水ニーズ、特徴的な水に関する意識、等)
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*4 水関連の政策・法規制・基準
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**4.1 政策と計画(policy and plan)
(国の開発計画、水セクターのマスタープラン、等)
水道政策は、総合農業開発計画実施のために水質と水量ともに満足させることを目標として、水道整備の指針が策定されている。その指針には、取水施設(井戸)の開発、老朽井戸の整備、既存井戸へのポンプ設置、高架水槽の築造などが含まれ、人口2,000人以上の村落に水道水を給水するとして、実施にあたり井戸管理班の強化、維持管理の改善も模索されて施工されている。水政省は、1981年に設備省から代わり、水道政策の決定と都市・地方の水道整備事業を行っている。水政省地方水道局が地方水道を担当し、水道政策実施の調整、建設、監督、維持管理、水質管理、給水などの業務を行っている。井戸管理部は1951年から海外援助によりできた部で、井戸新設の審査、既存井戸の業務をしている。取水施設に関する業務をする機関として国営さく井会社(SONAFOR)と維持管理直属の公共機関で、農村と半農村の井戸の運用と維持管理を行う水道機械設備局(SOMH)がある。※5
貧困削減戦略(PRSP)を策定し、村落部に対してWHOが提唱する住民1人当たり日量35ℓの安全な水の供給、排泄物・家庭排水処理施設へのアクセス率100%、水因性疾患の軽減、子供や母親の死亡率の低下等を目指している。※5
**4.2 法規制
(上水下水などの水関連の個別法、基準のうち環境基準や水質基準)
**4.3 水行政機関
(法規制を執行する機関)
-水政省
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*5 上下水道事業の実施状況
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**5.1 上下水道の普及状況
安全な飲料水へのアクセス率は、都市部では91%(2004年)から98%(2008年)、農村部では64%(2004年)から73%(2008年)に改善されている。※2
衛生施設へのアクセス率は、都市部では58%(2004年)から65.9%(2008年)に改善されており、農村部では2005年(20,500人)から2008年(44,450人)にかけて衛生施設の普及人口が倍増している。※2
1996年から2006年の間に都市部の人口が51%を占める水道普及率が約90%まで改善されている。※5
(上下事業の数、当該国における分布状況、普及率、安全な水アクセス率、等)
**5.2 その他パフォーマンス
(漏水率、24時間給水の実現度、その他水供給事業の水準を定量的に把握できる数字)
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*6 上下水道への援助・民営化
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**6.1 国内援助
(中央政府から地方事業への援助等)
**6.2 その他の援助
(外国からの援助等)
○日本の援助実績(単位:億円)※1
(1)有償資金協力(2009年度まで、E/N(交換公文)ベース)155.20(債務免除除く)
(2)無償資金協力(2009年度まで、E/Nベース)993.17
(3)技術協力実績(2009年度まで、JICAベース)324.24
○主要援助国(2008年、単位:百万ドル)※1
(1)フランス(189.03) (2)加(73.31) (3)米(71.63) (4)西(59.12) (5)蘭(37.90)
日本が2008年1月に構築を表明した「クールアース・パートナーシップ」の一環として、気候変動の影響による洪水、干ばつ等が発生している地域の住民に対して、安全で衛生的な飲料水を供給するとともに、適切な災害対策を行う資機材の調達に必要な資金を供与。気候変動問題は、国際社会全体にとって喫緊の課題であり、日本は途上国の気候変動対策のための取組みを支援すべく、2008年度第2次補正予算により、気候変動等の影響を被っているアフリカ4カ国(エチオピア、セネガル、ニジェール、モザンビーク)に対し、緊急に洪水、干ばつ対策等を実施している。※5
「地方村落給水計画」を策定し、日本にこの計画のティエス州、カオラック州、タンバクンダ州、マタム州、ルガ州、サンルイ州において、新規10サイトと改修・拡張4サイトの計14サイトを対象に、深井戸・給水施設(貯水施設、貯水槽、機械室、管路、共同水栓等)の建設、水利用者組合の定着に関する啓蒙活動等を実施のために無償資金協力を要請。既に第1期として平成16年度に4億9,500万円を限度とする額の供与を約束してきたが、第2期では、マタム州、ルガ州、サンルイ州の7サイトが対象となっている。この計画により、対象地域の住民45,070人(2014年計画人口)に、安全且つ安定した水供給が可能となる。また、水利用量が0~25ℓ/人/日から35ℓ/人/日まで増加することが見込まれ、水因性疾病の発生やそれによる乳幼児の死亡率の軽減に資するとともに、就学期の児童や女性が水汲みの過酷な労働から解放され、就学、就職の機会の増大、貧困からの脱却に貢献することが期待されている。※5
**6.3 民営化
(民営化、公民連携の進行状況)
これまで水道事業と電気事業は1つであったが、これを分離して事業経営することが1995年から始まっている。そしてセネガル政府は1996年にダカール市の水道について英国のSaur社をコンソーシアムとする企業グループ等に10年間のリース契約を認めて、更に2006年に5年間の契約更新をしている。※5
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*7 水技術
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(どんな技術が使われているか、現場の技術レベルはどうか、技術基準は、その国発祥の技術は、その他おもしろネタ等)
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*出典
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※1)外務省ホームページ http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senegal/data.html
※2)AfDB Group and Senegal - 40 years of partnership for development http://www.afdb.org/fileadmin/uploads/afdb/Documents/Publications/Profil%20Dakar%20version%20anglaise.pdf
※3)Human Development Report 2009
※4)FAO Aquastat Database
※5) 水道年鑑 世界の水道事情
※6) AMCOW, Water Supply and Sanitation in Senegal - Turning Finance into Services for 2015 and Beyond -
※7) Wikipedia, Water supply and sanitation in Senegal
2012-04-13T17:59:13+09:00
1334307553
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90 トルコ共和国
https://w.atwiki.jp/gwss/pages/24.html
*トルコ共和国
*Republic of Turkey
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*1 基本情報
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*1.1 地理
人口:7,206万人(2005年、国家統計庁推定)※1)
首都:アンカラ (人口約358万人(2003年))
*1.2 経済情勢
マクロ経済はやや減速傾向。近年の金融危機後、IMF等国際金融機関の支援をうけている。中央アジアから欧州へのエネルギー輸送の要衝として注目を集めている。※2)
*1.3 水関連の行政機関※2)
国家水利総局
・環境森林局国家水利総局は1953年の国家水利総局設立法により、エネルギー・天然資源省の管轄下に設立
・すべての水資源およびこれに関する計画、管理、運用に関する業務を実施
・ダム、水力発電所、水供給、灌漑に関する計画、設計、建設、運用等を管理
*1.4 水道事業者
水道を管轄する部署は自治体の規模によって異なり、人口10万人以上は公共事業住宅省(MPWH)の下部組織である国家水政庁、人口3000人~10万人の都市ではMPWHの下部組織である地域銀行が、人口3000人以下の自治体では農村集落省(MAFVA)の下部組織である郡部事業機関がそれぞれ担当する。国家水政庁の建設した施設はダムを除いて自治体に引き継がれ、都市自治体は自ら水道の建設や管理を行う。内務省が都市水道の経営等に政府の立場で関与する。※3)
*1.5 上下水道の普及状況
1990年の水道普及率は都市部82%、地方部76%、全体で80%。※3)
浄水場数は139(2006年)※2)
下水道接続率は72%(うち、下水処理人口は52%)※2)
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*2 水供給の歴史
#ref(イスタンブール古代水道橋.JPG)
イスタンブール市内ヴァレンス水道橋 photo:Kondo
#ref(イスタンブール古代地下貯水池.JPG)
イスタンブール地下貯水池 photo:Kondo
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*3 水に関する住民意識
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*4 水関連の政策・法規制・基準
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*4.1 政策
水に関する基本計画※2)
中央政府によって管理されるが、一部は地方当局の財源および計画で実施
地方水公社は5~10年間の投資、戦略的計画を策定
中央政府の政策は、流域に基づいた水管理を実施しており、こうした方法はEUの水枠組み指令の精神に適合している。
*4.2 法規制
*4.3 基準
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*5 上下水道事業への援助・民営化
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*5.1 援助実績
*5.2 民営化
BOTプロジェクトの実施(イズミット)人口約60万人への安定した水供給システム一式のインフラ(ダム建設、浄水場、導水管、配水ネットワーク等)の建設・運営・譲渡を民間資金調達によって実施。(1995年~15年間BOT契約締結)※4)
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*6 技術条件
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*6.1 水資源※2)
国内に主に26の流域が存在し、120の自然湖沼ならびに579の人工湖が存在する。ユーフラテス川の流出量のおよそ90%、チグリス川の流出量のおよそ49%がトルコ国内からの流出である。なお、水資源の40%は越境水となっているため、越境水域の管理は重要な課題。
トルコの河川は季節や年により流量の変動が激しく、そのため水供給、かんがい、発電、洪水調整を目的としたダムが数多く建設されている。
主な水源は地表水である。
*6.2 水需要※2)
農業用水に74%、水道用水に15%、工業用水10%利用
人口あたりの取水量は549.3m3/年(日本(695.8m3/年)の約80%)
*6.3 水技術※2)
災害のための早期警報システムや水質・水量のモニタリングシステムを必要としている。
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*出典
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※1)外務省ホームページ http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/turkey/data.html
※2) 国土交通省ホームページhttp://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/j_international/info/MiddleEast/Turkey.pdf
※3)水道年鑑2006 世界の水事情
※4) 北野尚弘・有賀賢一,上下水道セクターの民営化動向,開発金融研究所報第3号,2000
2012-04-13T11:24:39+09:00
1334283879
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91 インド
https://w.atwiki.jp/gwss/pages/44.html
*インド
*India
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*1 基本情報
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**1.1 地理・経済情勢
-人口:12億1,000万人(2011年国勢調査(暫定値))
人口増加率17.64%(2001-2002年:2011年国勢調査(暫定値))※2)
(世界の16%。一方,水資源は地球上の4%)※11
-首都:ニューデリー
-GDP:1兆3,102億ドル(2009年:世銀資料)(一人当たり 1,031.7ドル(2009年度:IMF資料))※2)
(その他、基本情報は後日一覧表から一括で転記)
**1.2 年表
|CENTER:年 代|CENTER:出 来 事|CENTER:備 考|
|1950年台| | |
(当該国の歴史的経緯と水に関連する主要なイベントの発生時期を記述)
**1.3 政治
1993 年の憲法改正により,地方政府の法的基盤,地方レベルにおける参加のプロセスを強化。
・地方議会の3 分の1 は女性であること(義務)
・指定カーストおよび少数民族もその人口に比例して議席を占めること(義務)
結果,国政レベルでは、地域や特別の利害を代表する小数党の影響力が増大(※8)
**1.4 経済
社会主義型の計画経済政策の不調による経済の長期停滞を経験したインドは、旧ソ連崩壊による輸出市場喪失や湾岸戦争による外貨危機(1991 年)等を契機に、外資の導入を含む経済自由化政策を本格化。その結果、インド経済は、1990 年代中盤3年連続で7 パーセントを超えるGDP 成長率を達成。このような経済の発展の中で、90 年代以降、インドのIT 産業が世界的な注目を集め、経済の発展に貢献(※8)。
**1.5 社会
インドの停滞的社会の原因とされてきた古い社会構造は、自給的な村落共同体、大家族制度、およびカースト制度の三つで構成されていたが、農村の近代化、都市化、民法の改革等で、村落共同体や大家族制度は、崩れつつあり、残るカースト制度も、これまでのインドの政治の指導層による取り組みや、93 年の憲法改正による指定カースト等に対する権利の確保等を通じ、社会的にも変わりつつある(※8)。
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*2 水資源と水利用
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**2.1 水資源
1)ひとりあたりの水資源量は2464m3で豊富だが、地域的、季節的に偏在しており、また河川の水質は良くない。工業地域において地下水の汚染が確認され、都市部の死亡の60%が水系伝染病によるものと推定されている。大規模な浄水場は表流水を水源としているものが多い。
**2.2 水利用
(農業用・工業用・家庭用の配分、廃水の再利用など、水の使われ方の特徴、等)
インドは、全世界の16%の人口(11億人)を擁する一方、地球上の4%の水源しか持たない。上水の普及率は70%に対し、下水の普及率は28-30%となっている。高い経済成長率(8%)に牽引され、水ビジネス市場の成長も確実視されており、さらに、生産性の向上率(10.4%)に対応して、各分野において、水管理へのニーズが拡大すると見込まれる。分野別では生活用水分野の伸び(18%)の見通しが著しい。(産業用:8.5%、上水(市営):6.5%)※13
各国の取水量当たり生産性(実質ドル/m3)※12
|国名 |全産業 |産業 |工業 |サービス業|
|英国 |157.9 |48.3 |49.2 |461.4|
|日本 |53.0 |1.5 |89.9 |182.4|
|ドイツ |40.9 |2.2 |15.9 |208.5|
|フランス |34.2 |8.8 |9.4 |144.6|
|韓国 |30.6 |2.4 |66.7 |42.2|
|米国 |20.9 |0.5 |9.6 |116.2|
|豪州 |17.9 |0.6 |43.2 |77.7|
|世界 |8.6 |0.4 |11.4 |54.8|
|中国 |2.2 |0.4 |4.0 |13.8|
|インド |0.8 |0.2 |3.4 |4.7|
|日本/中国 |23.6 |3.5 |22.2 |13.2|
|日本/インド |68.2 |8.9 |26.1 |39.0|
**2.3 家庭用水需要
(水道の一人一日使用水量やその範囲、都市村落給水の間での違い、等)
・水道管による給水は現在30%程度
・給水時間は,デリーで約6時間/日,バンガロール市で約6時間/日※15
**2.4 公衆衛生
デリーにおける伝染病の21%(2002)は水系伝染病で,男子死亡率の9.3%および女子死亡率の9.7%が下痢性疾患による(下痢性疾患の5-7%はコレラ)※9。
**2.5 水質
調査(※16)の結果,デリー、ムンバイ、ダッカ、ホーチミン、シラチャ、重慶のミネラルウォーターは総硬度が10mg/l以下で、ほとんどカルシウム、マグネシウムを含んでいないことがわかった。飲用にこの水を利用している長期滞在者や、成長期の小児ではとくに、食べ物から十分にカルシウムを補給するように気を付けなければならない。インドでは内陸に位置するデリーやバンガロールは200mg/l前後の総硬度を示し、海岸部のムンバイは軟水であった。マドラスやカルカッタの海岸に近いところでは、海水が混入した井戸水が多く見られ、注意が必要である。
アジア各地の硬度※16
| | |水道水の硬度 |ミネラルウォーターの硬度|家庭水の硬度|
|インド|デリー|4|1||
||ムンバイ|1|1|1|
||バンガロール|4|3|3|
||チェンナイ|1|2||
|バングラディッシュ|ダッカ|4|1|2|
||チッタゴン|3|1|1|
|ネパール|カトマンズ|2|3|1|
|ベトナム|ハノイ|4|2|4|
||ホーチミン|1|1|1|
|ミャンマー|ヤンゴン|2|3|1|
|タイ|シラチャ|1|1|2|
||チェンマイ|1|4|1|
|インドネシア|ボンタン|2|4|2|
||バンドン|3|2|4|
||スラバヤ|6|3|3|
|中国|重慶|4|1|4|
(註) 1:総硬度49mg/l以下
2:総硬度50~99mg/l
3:総硬度100~149mg/l
4:総硬度150~249mg/l
5:総硬度250~349mg/l
6:総硬度350mg/l
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*3 水に関する住民意識
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**3.1 徴収率
(水道料金の徴収率、あるいは水供給に対してお金を払う気持ちや文化があるかどうか、等)
**3.2 料金体系
(平均的な水量あたり料金、料金の決め方、等)
**3.3 水に対する不満・クレーム
(平均的な水ニーズ、特徴的な水に関する意識、等)
#ref(インド節水ステッカー.JPG)
節水を呼びかけるステッカー photo:Kondo
**3.4 公衆衛生
野外脱糞などによる水汚染が水系疾患の原因となることを知らない人の割合は,デリーで64-98%,アグラで98-100% ※9。
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*4 水関連の政策・法規制・基準
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**4.1 政策と計画(policy and plan)
(国の開発計画、水セクターのマスタープラン、等)
1)National Water Policy (2002) ※6
国家の方針として,飲料水の確保を最優先課題に位置づけており,都市部,農村部の全ての人々に十分な量の安全な水を供給することを目標に掲げている。
2)第11次五カ年計画(2007-20121) ※7
都市部,農村部における灌漑施設,飲料水,公衆衛生の向上を掲げている。また,統合的な開発計画,都市の生産性・効率性を高めるよう都市部の上下水整備に重点が置かれている。自治体に対しては運転維持管理を賄う合理的な料金設定を行うことが要求されている。※7
第11次計画における水道部門の資金ニーズ総額は522億5,000万米ドルと見積もられている。主要な資金供給は各州からもたらされ、全体の79%(410億3,000万米ドル)を負担する見込みである。また政府予算からの支援は約21%(112億2,000万米ドル)になる見込みだ。※13
**4.2 法規制
(上水下水などの水関連の個別法、基準のうち環境基準や水質基準)
**4.3 水行政機関
(法規制を執行する機関)
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*5 上下水道事業の実施状況
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**5.1 上下水道の普及状況
1)州政府では、公衆衛生技術局(PHED)が水道の計画・実施に対して責任を負っている。多くの州では水道衛生評議会(WSSB)にその権限を与えていて、水道経営の効率化と責任の確立がその責務である。また、大規模な州都では分離された評議会があり、一部の大都市では地方公営企業として水道サービスが行われている。
2)普及率は比較的高く、都市部79%、農村部73%である。国連の定義による安全な飲料水を入手できる人の比率は都市部85%、農村部79%。ただし、中央水委員会の水需要予測によると、2025年には現在の7千億m3から1兆1千億m3に需要が増加するとみられている。
(地方水道については、デリー、ムンバイのコメントあり)
3)水供給衛生設備の普及状況[人口比](2010)※3
(水供給全体) 88%
都市部 96%
農村部 84%
(衛生設備全体) 31%
都市部 54%
農村部 21%
上水道普及率 70%(給水時間は1日4時間程度)
下水道普及率 30%程度(しかし一般住民の下水管接続への動機付けがないため,接続率低)※10
**5.2 その他パフォーマンス
(漏水率、24時間給水の実現度、その他水供給事業の水準を定量的に把握できる数字)
(1)サービス指標※17
#ref(サービス指標.jpg)
(2)浄水・配水関係データ※17
#ref(浄水・配水関係データ.jpg)
(3)効率性指標※17
#ref(効率性指標.jpg)
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*6 上下水道への援助・民営化
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**6.1 国内援助
1)水道事業運営は地方公共団体が行うが、通常設備投資に対する10%〜60%の補助を州政府から受けることができる。特別な場合に限り維持管理費にも収入の30%の補助がある。
**6.2 その他の援助
(外国からの援助等)
1)諸外国の経済協力実績[100万ドル](2007)※4
1位 英国 510.53
2位 ドイツ 127.97
3位 日本 99.89
4位 米国 84.87
5位 ノルウェー25.81
**6.3 民営化
(民営化、公民連携の進行状況)
1)民間資金活用プロジェクトの実績件数[件](2010)※5
コンセッション 3
投資 0
グリーンフィールド 4
運転・リース 5
合計 12
**6.4 水市場
(1)概観※11
・歴史的に、インドにおける水ビジネス参入への最も大きいチャンスは、産業部門。(上水(市営)はルール変更が多い。)
・部品供給を行わない/独立しているEPCコントラクターはインド市場で成功している。
・インドにおける水問題の深刻化に伴い、自治体水事業者、産業部門の水技術ニーズが高まっている。これに対応可能な技術を有する外国企業に
チャンスあり。
・インド国内産業のグローバル化により、インド水ビジネスの需要も国際レベルとなり、外国企業のチャンスとなりうる。
・今後、インドの水道の運営管理についても民営化が進む可能性がある。
(2)マーケットの特徴※13
インドは高い水ビジネス市場の成長率が期待される一方、市場の参入には高い障壁がある。
市場は、非常に脆弱であり、わずかな为要プレーヤーと大部分は中小・零細により構成されている。また、産業部門での水事業の成功は、最終需要者の事業の成否の影響を強く受ける。
インドでは、憲法により国又は州政府にそれぞれ水に関する法的権限が付与されているが、基本は州政府に属している。これらの規制に重複、役割分担の不明確さ、水資源の配分等に関する地域間の紛争等が関連し、市場の予見性を低くしている。
インドの水ビジネス市場の事業分野別成長見通し※13
(上段:2025年・・・合計1.1兆円、 下段:2007年・・・合計0.3兆円)
|事業分野/業務分野 |素材・部材供給 |コンサル・建設・設計 管理・運営サービス |合計|
|上水 |0.2兆円(0.05兆円) |0.7兆円(0.1兆円) |0.9兆円(0.2兆円)|
|工業用水・工業下水 |0.1兆円(0.03兆円) |0.1兆円(0.04兆円) |0.2兆円(0.1兆円)|
|下水(処理) |0.02兆円(0.01兆円) |0.01兆円(0.01兆円) |0.03兆円(0.02兆円)|
|合計 |0.3兆円(0.1兆円) |0.8兆円(0.2兆円) |1.1兆円(0.3兆円)|
(出典)Global Water Market 2008、(注)1ドル=100円換算
**6.5 水関連企業
水関連トップ10企業※11
|1| IVRCL| $504.0m| Includes Irrigation projects|
|2| Ion Exchange| $116.0m| Industrial and municipal|
|3| Eureka Forbes| $80.0m| Residential|
|4| Wabag| $62.6m| Industrial and municipal|
|5| Thermax| $56.5m| Mainly industrial|
|6| Doshi| $46.4m| Industrial and municipal|
|7| Degremont India| $44.1m| Industrial and municipal|
|8| Hindustan Construction| $38.79m| Includes irrigation projects|
|9| Driplex| $32.5m| Industrial|
|10| Geo Miller| $27.8m| Industrial and municipal|
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*7 水技術
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1)国立環境衛生研究所が49箇所の浄水場を調査した結果では、47事業体でアルミ系凝集剤を使用した凝集沈殿、うち11箇所が凝集補助剤を使用。すべて重力式?急速ろ過で消毒は塩素による。
ISOの飲料水水質基準に対して、23事業で濁度適合、36事業で細菌検査適合、両方適合は15箇所。
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*出典
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※1)水道年鑑2006 世界の水事情
※2)外務省HP
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/india/data.html
※3)WHO/UNICEF2010年更新データ。「水供給」は水道以外による水供給も含む。
※4)国別データブック,外務省
※5)PPIデータベース,World Bankホームページ,2010年12月時点
※6)National Water Policy(2002), Ministry of Water Resources, Government of India, April 2002
※7)Eleventh Five Year Plan (2007-2012), Planning Commission, Government of India, First published 2008
※8) JICAホームページ:概評報告(国別レビュー)インド (2003)
http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/oda_loan/after/2003/pdf/sector_03_full.pdf
※9) JICAホームページ:インド,ヤナム川流域諸都市下水等整備事業(現地調査,2004)
http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/oda_loan/after/2005/pdf/theme_07_full.pdf
※10) 私信(2009)
※11) 経済産業省水ビジネス・国際インフラシステム推進室 (2010), http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100115c04j.pdf
※12) 経済産業省産業技術環境局産業技術政策課 (2008),
http://www.meti.go.jp/policy/economy/gijutsu_kakushin/innovation_policy/pdf/mizuhoukokusyo.pdf
※13) 水ビジネス国際展開研究会 (2010),
http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g100426b01j.pdf
※14) JETRO, インドのインフラ開発にかかるファイナンス実態調査報告(概要) (2011),
http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000815/report.pdf
※15) JICA,アセアン諸国・インド等における水事情(市場の状況)(2012)
http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/pdf_267/04_sp.pdf
※16) 月館,途上国の水事情 ,(財)海外法人医療基金HP (1998), http://www.jomf.or.jp/report/kaigai/22/2.htm
※17) JWRC水道ホットニュース,インドにおける水道事業ベンチマーキング(2005-2006年),(財)水道技術研究センター (2008), http://www.jwrc-net.or.jp/hotnews/pdf/HotNews97-2.pdf
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2012-04-13T06:38:36+09:00
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61 オーストラリア連邦
https://w.atwiki.jp/gwss/pages/154.html
*オーストラリア連邦
*Commonwealth of Australia
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*1 基本情報
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**1.1 地理・経済情勢
-人口:約2,207万人(2009年9月)
-首都:キャンベラ
-GDP: 9248億 US$ (2009年)
(その他、基本情報は後日一覧表から一括で転記)
**1.2 年表
|年代|出来事|備考|
|1901年|イギリスから独立。| |
|1972年|Ordダム完成|西オーストラリア州の大型ダム。|
|1980年代|白豪主義の撤廃、多文化主義へ。|世界中から移民の受入を開始。|
|1981年|ダム建設に関する住民投票が行われる。|反対運動が広まり、これをきっかけに水の問題が認知されるようになった。|
|1983年|Water2000の公刊。|※1|
|1987年|Burdekinダム完成|最後の大型ダムといわれている。|
|1990年代|Salinity Programの導入。|ヴィクトリア州の塩害対策。「ランドケア」という用語が一般化。|
|1990年代|水機関が法人化の方向に動き出す。||
|1993年|COAG(※2)による「戦略的水資源政策」の骨子公表。||
|1995年|NSWでMurray Irrigation Limitedが設立。|灌漑業者組合に公的資産が売却された、つまりは民営化が行われたことを示す。|
|1995年|水利用に関するCAP制度の導入。||
|1998年|River Murray Waterが法人化され、MDBC(※3)から独立。||
|1998年|トレンチと呼ばれる補助金制度がスタート。|「6 上下水道への援助・民営化」ご参照。|
|2004年|COAGがNational Water Initiativeを発表。|連邦政府の水改革の基本的文書。|
オーストラリアの水改革(近藤学)等を元に作成。
※1 Water2000:1990年代の水需要などの変化を先取り的に明らかにし、塩害、水価格変化、監視体制、水資源開発が環境にどのような変化を与えるかなどを検討したもの。それまで、オーストラリアでは、将来の水需要を評価したり、水資源を効率的に利用するなどという考え方は無かった。
※2 COAG:Council of Australian Governmentsの略で、オーストラリア政府評議会を指す。
※3 MDBC:Murray-Darling Basin. Commissionの略で、マレー・. ダーリング川流域委員会の略。オーストラリアの水改革において主導的な水管理組織。
(当該国の歴史的経緯と水に関連する主要なイベントの発生時期を記述)
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*2 水資源と水利用
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**2.1 水資源
(水資源の豊富さ、雨期と乾期、どのような水源が使われているか、等)
オーストラリアの降水量は少なく、不安定である。年平均降水量は472mm。最北部、南西部、東武沿岸地域は、適度な降水量があるが、その他の地域では、比較的降水量が少ない。河川の流量変化が大きいことから、降水量の季節性も見て取れる。また、月単位の変動だけではなく、年単位でも降水量は大きく変動する。特に、エルニーニョ現象の影響を受けると、何年にもわたる少雨に見舞われる。
また、蒸発散量が非常に大きく、北部や内陸部は3000mm/年以上である。(日本は、597mm/年)
**2.2 水利用
(農業用・工業用・家庭用の配分、廃水の再利用など、水の使われ方の特徴、等)
・部門別水利用:生活用15%、農業用75%、産業用10%(2000年)
用途別水使用量(GL)
|用途 |1996-1997年度|2000-2001年度|2004-2005年度|
|農業 |15,503 |14,989 |12,191 |
|林水産業 |19 |44 |51 |
|鉱業 |570 |321 |413 |
|製造業 |727 |549 |589 |
|電気・ガス|1,308 |255 |271 |
|下排水等 |1,707 |2,165 |2,083 |
|その他産業|523 |1,102 |1,059 |
|生活用水 |1,829 |2,278 |2,108 |
|総消費量 |22,186 |21,703 |18,767 |
出典:ABS(2000)、ABS(2004)、ABS(2006c)
注:下排水等には、漏水による逸失を含む。
**2.3 家庭用水需要
(水道の一人一日使用水量やその範囲、都市村落給水の間での違い、等)
・一人当たり水利用量(㎥):生活用184、農業用941、産業用125(2000年)
家庭用水の使用内訳
|用途 |アウトドア|台所|洗濯|トイレ|風呂|
|割合(%)|44 |8 |13 |15 |20 |
出典:オーストラリアの水資源管理に関する調査報告 水資源研究室 安田、多田
元データ:ABS
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*3 水に関する住民意識
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**3.1 徴収率
(水道料金の徴収率、あるいは水供給に対してお金を払う気持ちや文化があるかどうか、等)
**3.2 料金体系
(平均的な水量あたり料金、料金の決め方、等)
2010年オーストラリア統計局(ABS)の統計数字によると、2006年に比べて、国民世帯の水使用量は減っているが、水道料金は倍近くになっている。2004年度の平均的な水道料金は1キロリットルあたり40セントだったが、2008年度には1キロリットルあたり78セントに上がっている。また、値上がり分を負担しているのは一般世帯で1キロリットルあたり約$1.93払っているが、農業では1キロリットルあたりの料金は12セントとなっている。水道料金が水の価値以下に設定されていることが課題となっている。
**3.3 水に対する不満・クレーム
(平均的な水ニーズ、特徴的な水に関する意識、等)
1980年代末までは、人々は以下のような意識を持っていたといわれる。(出典※4)より抜粋)
①水は天与の恵みである。
②水を自然と切り離して管理することは可能である。
③砂漠を花園に変えることは可能である。
④社会的価値(水消費の生活スタイルなど)というものは不変である。
⑤水管理とは主として技術的な問題である。
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*4 水関連の政策・法規制・基準
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**4.1 政策と計画(policy and plan)
(国の開発計画、水セクターのマスタープラン、等)
州政府が水利権に関する権限を持ち、灌漑用水については、「水利権(最大限取水可能な量)」を持っていても、州の権限で当該年の水資源量を考慮し、「配分量(実際に取水可能な量)」が決められる。(配分量は、年度中でも随時見直される。)利水者間の渇水調整は無く、水取引が行われている。(水利用の合理化・効率化のため水利権市場(Water Market)が存在する。)灌漑利水者は、配分された水量を元に、当該年の水使用方法を考えることができる。例えば、自らは低収益作物の生産を断念し、高収益作物の生産者に、水利権を売ることもできる。これは、複数の作物を生産しているので、農業は継続できるというオーストラリアの農業事情による。
**4.2 法規制
(上水下水などの水関連の個別法、基準のうち環境基準や水質基準)
**4.3 水行政機関
(法規制を執行する機関)
・COAG:Council of Australian Governmentsの略で、オーストラリア政府評議会を指す。
・Minister for Water:各州に存在する、水を担当する大臣。
・Catchment Management Authorities 、Catchment Board:統合的流域管理のための法制度と課税権を持つ機関。
・MDBC:Murray-Darling Basin. Commissionの略で、マレー・. ダーリング川流域委員会の略。オーストラリアの水改革において主導的な水管理組織。
・National Water Commission:水利権取引の発展による水利用の一層の合理化、効率化、環境との両立、管理の効率化などの計画を実行するための期間で、2004年に設立された。
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*5 上下水道事業の実施状況
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**5.1 上下水道の普及状況
(上下事業の数、当該国における分布状況、普及率、安全な水アクセス率、等)
国土交通省「平成16年版 日本の水資源」によると、オーストラリアにおいては、91-100%の人々が安全な水にアクセス可能となっている。
また、公共下水道への接続は、2004年調査時点で88.9%(統計局HP)である。
**5.2 その他パフォーマンス
(漏水率、24時間給水の実現度、その他水供給事業の水準を定量的に把握できる数字)
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*6 上下水道への援助・民営化
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**6.1 国内援助
(中央政府から地方事業への援助等)
・トレンチ(tranche payments):
・家庭での雨水貯留施設設置への助成制度。
**6.2 その他の援助
(外国からの援助等)
**6.3 民営化
(民営化、公民連携の進行状況)
都市部では「法人化」、農村部では「民営化」が見て取れる。
法人化としては、フランチャイズ方式が挙げられる。資産は公的な所有であるが、その運営・管理は、設定された期間において、民間企業に委託される。例としては、アデレード市が、海外のコンソーシアムである、United Water Internationalに1996年から15年間、その管理権を譲渡したものがある。
農村部では多くの州政府機関が、水資源ダムを除いて、灌漑用のインフラの所有権を地域の灌漑組織に売却した。こちらは、民間が資産を所有しているため、「民営化」とみなすことができる。
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*7 水技術
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(どんな技術が使われているか、現場の技術レベルはどうか、技術基準は、その国発祥の技術は、その他おもしろネタ等)
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*出典
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※1)外務省ホームページ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/australia/index.html
※2)NICHIGO ONLINE
http://nichigopress.jp/ausnews/news/11824/
※3) ABS
http://www.abs.gov.au/
※4)オーストラリアの水改革 その概要 (近藤学)
※5) オーストラリアの水資源に関する調査報告 (水資源研究室:安田、多田)
※6) オーストラリアにおける水資源問題の現状と対応 (政策研究調査官:玉井哲也)
※7) 統計局ホームページ
http://www.stat.go.jp/index.htm
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2012-04-12T19:32:33+09:00
1334226753
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880 バングラディシュ人民共和国
https://w.atwiki.jp/gwss/pages/45.html
*バングラデシュ人民共和国
*People's Republic of Bangladesh
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*1 基本情報
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**1.1 地理・経済情勢
-面積:14万4千平方キロメートル
-人口:1億4,450万人(2008年7月、暫定値 バングラデシュ統計局)
(年平均人口増加率:1.39%(2008年7月、暫定値 バングラデシュ統計局))
1億4,231.9万人(2011年3月、バングラデシュ統計局)
年平均人口増加率:1.34%(2011年、バングラデシュ統計局)
-首都:ダッカ(ベンガル語ではダカ)
-GDP:998億ドル(2010年、世銀)
-1人当たりGDP:684ドル(2010年度(2009年7月~2010年6月)暫定値、バングラデシュ中央銀行)注:バングラデシュの会計年度は7月~翌年6月末。以下、同様。
-経済成長率(GDP):6.0%(2009年度、バングラデシュ財務省)
-消費者物価指数上昇率:6.5%(2009年度、バングラデシュ財務省)
-労働人口市場:5,370万人 農業(48.1%)、サービス業(37.4%)、鉱工業(14.6%)(2010年度、バングラデシュ財務省)
-GDP内訳:サービス業(49.7%)、工業・建設業(29.7%)、農林水産業(20.6%)(2009年度暫定値、バングラデシュ中央銀行)
-総貿易額:輸出 16,236百万ドル FOB、輸入 21,388百万ドル FOB(2009年度暫定値、バングラデシュ財務省)
-主要貿易品目:(2009年度、バングラデシュ財務省)
(1)輸出 ニットウェア(40.01%)、衣料品(37.11%)、ジュート製品(3.33%)、冷凍魚介類(2.7%)、革製品(1.42%)
(2)輸入(暫定値) 繊維(10.3%)、石油製品(9.8%)、鉄鋼製品(7.4 %)、機械機器(7.0%)、綿花(6.4%)、化学薬品(4.7%)、肥料(4.7%)、穀物類(4.3%)、食用油(4.3%)
-主要貿易相手国:(2009年度暫定値、バングラデシュ財務省)
(1)輸出 米国、ドイツ、英国、フランス、オランダ、カナダ、イタリア、ベルギー、日本(9位)
(2)輸入 中国、インド、シンガポール、マレーシア、日本、韓国、香港、台湾、米国(日本4位)
-海外(移住者、労働者等)からの送金:115億ドル(2009年度、バングラデシュ財務省)
-通貨:タカ
-為替レート:1米ドル=69.18タカ(2010年度平均、バングラデシュ中央銀行)
-経済概況
(1)2009年度(2008年7月-2009年6月)のバングラデシュ経済は、2008年秋以降の世界金融危機による影響をそれほど大きく受けず、5.7%の経済成長率を達成した。背景として縫製品輸出や海外労働者送金の安定的伸長といった要因があげられる。他方、縫製品輸出や海外労働者の海外送金に依存するところが大きく構造的に脆弱であるため、産業の多角化と電力・道路等の基礎インフラの整備が課題である。
(2)バングラデシュの財政は慢性的な赤字となっており(2007年度の財政赤字の対GDP比は3.7%、2008年度6.2%、2009年度4.5%と推移している。)、これを外国援助と国内銀行借入等で補填する構造となっている。これは、主に政府の徴税能力及び歳入基盤の脆弱性、また非効率な国有企業に対する財政による赤字補填に起因している。
(3)予算は主に一般予算(Revenue Budget)と開発予算(Annual Development Budget)により構成され、2011年度(2010年7月-2011年6月)予算案ではそれぞれ8,728億タカ、3,850億タカとなり、全体として1兆3,217億タカの対前年補正比19.6%増の拡張型予算となっている。2011年度予算案では全体の33.3%が社会開発、30.4%がインフラ構築事業に当てられ、社会開発分野においては、主に人間開発(23.9%)に、また、インフラ構築分野においては、農業・農村開発(16.9%)、運輸(7.0%)、電力・エネルギー(4.6%)に優先的に配分。
-民族:ベンガル人が大部分を占める。ミャンマーとの国境沿いのチッタゴン丘陵地帯には、チャクマ族等を中心とした仏教徒系少数民族が居住。
-言語:ベンガル語(国語)、成人(15歳以上)識字率:56%(UNDP 2011年)
-宗教:イスラム教徒89.7%、ヒンズー教徒9.2%、仏教徒0.7%、キリスト教徒0.3%(2001年国勢調査)
-政体:共和制
-元首:ジルル・ラーマン大統領
-議会:一院制(総議席345)
-首相:シェイク・ハシナ
-外相:ディプー・モニ
-内政:
(1)1947年の印パ分離独立時は、宗教(イスラム)に基づき、一旦はパキスタンへの帰属(東パキスタン)を選択したが、ベンガル人としてのアイデンティティーに訴えた独立戦争(第三次印パ戦争)を経て、1971年12月にパキスタンから独立。
(2)独立後、長年に亘り軍事政権(1975-1990)が続いたが、1990年12月、エルシャド大統領(退役陸軍中将)が、2大政党(BNP、アワミ連盟)及び国民の退陣要求に応じた結果、平和裡に民主化に移行。1991年の憲法改正で議院内閣制へと体制を変更した。以降、5年ごとに総選挙を実施。総選挙の度に政権が交代。(1991年、1996年、2001年)。
(3)2006年10月、ジアBNP政権は任期満了で退陣し、憲法の規定により、約3ヶ月間を目処に選挙管理内閣が発足したが、同内閣の人事などを巡り政党間対立が激化し国内情勢が悪化したため、2007年1月11日に非常事態宣言が発表され、総選挙も延期された。その後、新たに組閣された選挙管理内閣の下、次期総選挙の実施準備のため、約2年間にわたり選挙人名簿及び選挙人IDの作成、汚職対策などが推進され、2008年12月29日、自由、公正かつ平和的に総選挙が実施され、前野党のアワミ連盟が大勝し、翌2009年1月6日にハシナ首相の下にアワミ新政権が発足した。
(4)現ハシナ政権は、独立50周年にあたる2021年までに中所得国になることを目標とする「ビジョン2021」政策をかかげ、全国IT化を目指す「デジタル・バングラデシュ」、イスラム教を主たる宗教としつつあるゆる宗教に寛容な世俗主義などを標榜し、各種社会・経済開発に取り組んでいる。
-外交基本方針:近隣諸国・イスラム諸国との友好関係維持、日本を含む主要援助国との協力関係強化。SAARC(南アジア地域協力連合)、非同盟グループ、イスラム諸国会議機構、英連邦のメンバー。2000年3月に南アジア諸国で初めてCTBTを批准。2009年7月から3年間は途上国の最大グループNAM(非同盟)の副議長を務める。特にLDC(最貧国)のスポークスマンを自任。現政権は、東南アジア及び東アジア諸国との関係強化を推進しつつ、隣国インドとの関係強化にも積極的に取り組んでいる。また国連平和維持活動に積極的に参加し、要員派遣数は常に上位3位以内。
-軍事力:
(1)予算 894.8億タカ(対経常予算比9.6%)(2009/2010年度)
(2)兵役 志願制
(3)兵力 陸軍126,153人、海軍16,900人、空軍14,000人(The Military Balance 2010)
-洪水:2004年6月より、バングラデシュは、628人が死亡、国土の60%が洪水に覆われるという過去6年間で最悪の洪水を経験した。この洪水では農作物に被害が及んだことにより2000万人が食料援助を受けなければならない状態になり、国の輸出の80%を占めると言われる織物産業に大きな被害が出た。政府はこれによる被害が70億ドルに達すると見ている。こういった大洪水が「ボンナ」と呼ばれ、破壊と災厄をもたらすものとみなされる一方で、毎年起こる程度の適度な洪水は「ボルシャ」と呼ばれ、土壌に肥沃さをもたらし、豊かな漁場とありあまるほどの水、豊作をもたらす恵みの存在と考えられている。(Wikipedia)
-交通:デルタ地帯にあり縦横に水路が張り巡らされている地形であるため、道路はあまり発達していない。代わりに、舟運の可能な水路は3800kmに及び、バングラデシュの輸送に重要な位置を占めている。鉄道は国営鉄道であるバングラデシュ鉄道によって運営され、総延長2706kmで、ブラマプトラ川を境に軌間が違い、ブラマプトラ以西は1676mmの広軌、ブラマプトラ以東(ダッカやチッタゴンも入る)は1000mmの狭軌である。広軌路線が884km、狭軌路線が1822kmである。アジアハイウェイ1号線が北部からダッカを通って西部国境まで通じている。主要貿易港は海港である東部のチッタゴンである。他に海港としては西部のチャルナ港が大きく、またダッカやボリシャル、ナラヤンガンジなどには規模の大きな河港がある。空港はダッカのシャージャラル国際空港やチッタゴンのシャーアマーナト国際空港などがあり、シャージャラル国際空港に本拠を置く国営航空会社ビーマン・バングラデシュ航空やユナイテッド・エアウェイズなどの航空会社が運行している。(Wikipedia)
-衛生状態:国民の大多数は土地を所有せず、あるいは洪水の危険が高い低湿地にすんでおり、衛生状態はきわめて悪い。このため、水を媒介として、コレラや赤痢などの流行がたびたび発生している。こうした状況を改善するため、国際機関が活動を行っている。特に飲用水の衛生状態の改善のため、井戸の整備を独立後に進めてきたが、多くの井戸が元来地層中に存在したヒ素に高濃度に汚染され、新たな問題となっている。多くのヒ素中毒患者が発生しており、人口の4分の1以上がヒ素中毒やヒ素による発癌の危険にさらされていると考えられている。(Wikipedia)
(その他、基本情報は後日一覧表から一括で転記)
**1.2 年表
|CENTER:年 代|CENTER:出 来 事|CENTER:備 考|
|1947|パキスタン(東パキスタン)として独立||
|1959|水道の計画、建設、運営を目的として、「東パキスタン水資源電力開発機構(EPWAPDA)」設立 | |
|1964|USAIDの協力で20年計画のマスタープランを策定 これに従い施設は完成したものの、不適切な維持管理等により状況は悪化した| |
|1971|パキスタンから独立 EPWAPDAは「バングラデシュ水資源開発局」に再編| |
|1983|「水資源審議会(NWRC)」設立 「国家水計画(NWP)」策定| |
(当該国の歴史的経緯と水に関連する主要なイベントの発生時期を記述)
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*2 水資源と水利用
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**2.1 水資源
1)国土の90%がデルタ地帯で年間降雨量は2300mmと多い。標高差が少なく地理的にダム等の貯水施設の設置ができないため、井戸が多く用いられるが、過剰揚水によるヒ素の問題が浮上している。
**2.2 水利用
(農業用・工業用・家庭用の配分、廃水の再利用など、水の使われ方の特徴、等)
**2.3 家庭用水需要
(水道の一人一日使用水量やその範囲、都市村落給水の間での違い、等)
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*3 水に関する住民意識
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**3.1 徴収率
(水道料金の徴収率、あるいは水供給に対してお金を払う気持ちや文化があるかどうか、等)
**3.2 料金体系
(平均的な水量あたり料金、料金の決め方、等)
**3.3 水に対する不満・クレーム
(平均的な水ニーズ、特徴的な水に関する意識、等)
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*4 水関連の政策・法規制・基準
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**4.1 政策と計画(policy and plan)
(国の開発計画、水セクターのマスタープラン、等)
**4.2 法規制
1)飲料水供給基準は概ねWHOの基準に準拠。環境保護法に準拠している。
**4.3 水行政機関
1)水道事業の所掌は地方自治農村開発組合省で、講習衛生技術局(DPHE)と上下水道後者(WASA)が運営。ダッカとチッタゴンの2大都市圏はDPHEから独立したDWASA及びCWASAが上水道業務を行っている。
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*5 上下水道事業の実施状況
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**5.1 上下水道の普及状況
1)水供給システムを有しているのは64地区のうち4地区のみ。
**5.2 その他パフォーマンス
(漏水率、24時間給水の実現度、その他水供給事業の水準を定量的に把握できる数字)
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*6 上下水道への援助・民営化
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**6.1 国内援助
(中央政府から地方事業への援助等)
**6.2 その他の援助
(外国からの援助等)
**6.3 民営化
(民営化、公民連携の進行状況)
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*7 水技術
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(どんな技術が使われているか、現場の技術レベルはどうか、技術基準は、その国発祥の技術は、その他おもしろネタ等)
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*出典
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※1)水道年鑑2006 世界の水事情
※2)外務省HP http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/bangladesh/data.html
※3)
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2012-03-13T10:33:37+09:00
1331602417
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95 ミャンマー連邦
https://w.atwiki.jp/gwss/pages/39.html
*ミャンマー連邦
*Union of Myanmar
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*1 基本情報
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**1.1 地理・経済情勢
#image(http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/bc/Burma_en.png,width=200,height=444,left)
-人口5,322万人(ミャンマー政府 Statistical Year Book 2004)
-首都:ネーピードー
-GDP(名目):742USドル ※2)
(その他、基本情報は後日一覧表から一括で転記)
**1.2 年表
|CENTER:年 代|CENTER:出 来 事|CENTER:備 考|
|1886|英領インドに編入| |
|1948年1月4日|独立(ビルマ連邦)| |
|1962年|ネ・ウィン将軍による軍事クーデター発生| |
|1974年|ビルマ連邦社会主義共和国| |
|1988年|ビルマ連邦| |
|1989年|ミャンマー連邦| |
|2010年|ミャンマー連邦共和国| |
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*2 水資源と水利用
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**2.1 水資源
(水資源の豊富さ、雨期と乾期、どのような水源が使われているか、等)
国土の大半が熱帯又は亜熱帯に属するが、気温や降水量は地域による差異が大きい。
**2.2 水利用
(農業用・工業用・家庭用の配分、廃水の再利用など、水の使われ方の特徴、等)
**2.3 家庭用水需要
(水道の一人一日使用水量やその範囲、都市村落給水の間での違い、等)
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*3 水に関する住民意識
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**3.1 徴収率
(水道料金の徴収率、あるいは水供給に対してお金を払う気持ちや文化があるかどうか、等)
**3.2 料金体系
(平均的な水量あたり料金、料金の決め方、等)
**3.3 水に対する不満・クレーム
(平均的な水ニーズ、特徴的な水に関する意識、等)
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*4 水関連の政策・法規制・基準
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**4.1 政策と計画(policy and plan)
(国の開発計画、水セクターのマスタープラン、等)
**4.2 法規制
(上水下水などの水関連の個別法、基準のうち環境基準や水質基準)
**4.3 水行政機関
(法規制を執行する機関)
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*5 上下水道事業の実施状況
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**5.1 上下水道の普及状況
(上下事業の数、当該国における分布状況、普及率、安全な水アクセス率、等)
【ヤンゴン市】
ヤンゴン市の水道は1842年から始まり、現在給水区域610mkm2、給水区域140万人(区域内人口390万人)普及率46%、
給水能力44万m2/dとなっている。※1)
管理運営は、ヤンゴン市開発委員会(YCDC)が担当し、3つの貯水池および217の深井戸から給水を行っている。※1)
浄水場は1940年に建設されたジョウビュー浄水場1箇所のみであり、施設そのものはほとんど機能していない。
他の水源としてプジー貯水池、ラウガ貯水池があるが、これら貯水池からの原水が浄水処理過程を経ないでそのまま配水されている。
塩素消毒施設はあるが、その運転は間歇的であり、未処理、未消毒の貯水池原水が市民に配水されていることになる。
**5.2 その他パフォーマンス
(漏水率、24時間給水の実現度、その他水供給事業の水準を定量的に把握できる数字)
水道に加入できない家庭の多くは、水質的に問題の多い浅井戸に依存している。水道サービスを享受している顧客においても、水道メータが設置され従量料金を負担している顧客は僅か23%である。ヤンゴン市は33のタウンシップから構成させるが、24時間給水サービスを享受できるのは、8タウンシップのみであり、送水幹線から距離のある24タウンシップは給水制限を受けているという問題がある。また、水圧も高い地区でも1.5Kg/cm2であり、十分な水圧となっていない。給水を受けていない人口の53%以上は個人の浅井戸に頼っているが、定期的な洪水や下水施設の不備により水質汚染が著しく進んでいると考えられる。
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*6 上下水道への援助・民営化
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**6.1 国内援助
(中央政府から地方事業への援助等)
**6.2 その他の援助
1)わが国の1981年及び1985年のODAなどにより都市飲料水開発計画等の水道整備が進められてきたが,1988年の国軍による全権掌握以降海外からの援助は実質的に停止。その後2000年ごろから徐々に再開。
**6.3 民営化
(民営化、公民連携の進行状況)
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*7 水技術
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1)首都ヤンゴンでの普及率は46%で三箇所の貯水池と217箇所の深井戸から給水されているとのこと。ただし貯水池に設置された浄水場は老朽化しており処理はほとんど行われていない。24時間給水となっているエリアはわずか。給水栓は計量されていない。
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*出典
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※1)水道年鑑2006 世界の水事情
※2)http://www.jetro.go.jp/world/asia/mm/stat_01/
※3)
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2012-03-09T13:03:44+09:00
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