【禁書】ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール【本編再構成】【上条×婚后】4


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目を覚ますと、そこは真っ白い部屋だった。
窓の外には学園都市が見えている。場所を特定できるような風景はない。
自分が着ているのは、手術服とでも言えば良いのか、
緑一色の安っぽい化学繊維でできたローブだった。

「あれ俺、なんで」

まるで何日も寝たように、現実味がない。
確か、俺は二三学区で光子たちと――

「そうだ! 俺はあの二人組と戦って、それで」

二人がいない。
自分がいるのは病院だろう。なら、二人はどうなったのだ。
慌ててベッドに降りようとして、足に包帯が巻かれている感触があるのに気づいた。
自分でも思い出すとぞっとなるくらい、酷い傷をしたはずだ。
当麻は恐る恐る、布団をめくって左足を見た。
包帯でガチガチに固めてあった。ただ、指を動かしてみると問題なく動く。足首もスムーズに回る。
そっとベッドから降りてみると、それほど違和感なく左足は仕事をしてくれた。
チクチクとした痛みはあるが、激痛だとか、そういうのはない。
これなら、二人を探しにいける。そう思ってベッドから少し離れた扉に向かおうとしたところで。

ノックもなく、カラカラと音を立てて扉を横に引きながら、光子とインデックスの二人が入ってきた。
二人の顔は暗い。何かあったのだろうかと当麻はいぶかしんだ。
……自分が目を覚まさなかったのが理由だとはすぐに思い至らなかった。

「光子、インデックス」
「えっ?」
「え、当麻さん?」

当麻はすこし気まずかった。なんだかあちらの予想を裏切ったみたいで申し訳ないような気分だった。
光子もインデックスも、一瞬、呆けたようにベッドサイドの当麻を見て。

「当麻さん……!」
「とうま、とうま!!!!」

あっという間に二人に抱きしめられた。そしてそのままベッドに倒れこんだ。
当麻さん、当麻さん、とうま、とうま。
首筋に回されたのがどっちの腕なのかも分からないし、名前をこうも連呼されるとペットの犬になった気分だ。
なんでそんなにも、喜ばれるのかが不思議だった。

「ちょ、ちょっと落ち着いてくれ。なんか俺、死ぬはずの状態から生き返ったみたいじゃないか」
「縁起でもないことおっしゃらないで。当麻さん、どれくらい寝ていたと思っていますの!」
「そうなんだよ! もう、こんなに無茶して、こんなに傷ついて……」
「その、何日寝てたんだ?」
「ほぼ二日、ですわ。もうずっと目を覚まさなかったらって、私、心配で」

枕元にあるデジタルの時計には7月26日と書いてあった。時間は夕方というには少し早い、といった所だろう。
さすがに24時間以上意識を失っていた経験はないので、自分の体に不安を感じないでもない。
……というか、ほんの40時間やそこらで左足のあの怪我がどうにかなってるっておかしくないか?

「怪我のほうは、大丈夫ですの?」
「ああ。なんか、信じられないけど、折れたと思ったアバラもなんともないし、足の怪我もそれなりに治ってるぽいし」
「ここに連れてきてくださったのは黄泉川先生なんですけど、先生曰く、相当の名医だということらしいですわ」
「医者の腕っていうよりこれ物理に反してるレベルだと思うけど……まあ、再生医療の最先端ってこんなものか?」

医療は特許の塊であり、また科学のあらゆる分野の中でも特に倫理・道徳との折り合いが難しい学問だ。
学園都市の人間でも、学園都市の医療がどんな手法で、どんな治療を出来るのかをよく分かってはいなかった。
たいていの怪我と病気が治るので、あまり気にしないのだ。

「ほんとに痛いところとかないの?」
「かなり回復してると思う。それより、光子とインデックスは大丈夫だったのか?」
「ええ。ここの絆創膏も明日には取れるってお医者さんが言ってましたし」
「私は、どこも怪我はなかったから」

罪悪感をにじませて、インデックスはそう報告した。
確かに構図としては、巻き込まれた二人が傷ついて張本人が無傷だった、ということになる。
当麻はうつむくインデックスの頬をつねってやった。

「いひゃいよ、とうま」
「そういうの、気にすんなよ」
「うん……ありがとね、とうま、みつこ」
「それで、これからどうなるんだ? 何か分かるか、光子」
「二三学区進入の件は暴漢に襲われていたから逃げるためにやった、
 という風に処理したと黄泉川先生が言っておられましたわ。
 だから私達にお咎めはないんですけれど、近いうちにインデックスはどうにかしなきゃいけないって」
「それって」
「……このままではこの子は、警備員に拘束されることになります。
 私達は三人とも、病院から出ようとするのは禁止されていますわ。
 黄泉川先生は悪いようにはならないようにすると仰ってくれていますけど……」

どうにもならない事態に、光子は唇を噛んだ。インデックスは怒るでもなく光子を見つめていた。

「あの二人は?」
「あの場ですぐさま逃げて、それからは知りませんわ」
「そっちも問題か」
「ええ……」

本当ならもっと助かったことを喜び合いたい。明るい明日を、これからのことを語りたい。
丸二日を無駄にして、出来たことは少し事態を悪化させたことだけだった。
三人で、晴れやかとはいえない気分で見つめ合った。


コンコンと、扉がノックされた。どうぞと当麻が返事をすると。
――――病院にまるでなじむことを知らない、赤髪の神父と長髪の日本刀美女が、部屋に入ってきた。

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