佐天「…アイテム?」7


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あらすじ
一方通行のレベル6シフト実験をまざまざと目撃し、そして戦いを挑んだ美琴。
しかし、彼女は指一本触れられず敗北する。
翌日布束と遭遇した美琴は狂った計画を阻止しようと考えた。
美琴は各施設を潰していく。

ちょうどその時、佐天の携帯に連絡が入ってくる。


(ま、まさか…?仕事?)


このタイミングで仕事の依頼が来る…?佐天はおそるおそる携帯のメールをタッチする。


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From:製薬会社

Sub:仕事依頼・緊急

アイテムには本日、施設を防衛して欲しい。
なお、この依頼は当社からの依頼で上層部に裁可されているオーダーだ。


さて、仕事に関してだが、通信回線と電気的なセキュリティに引っかからない事から、エレクトロマスターの犯行ではないかと思われる。


なお、アイテムにはターゲットが施設に侵入した際のみ、邀撃。
それ以外にこちらから攻撃を仕掛ける事を禁ず。


当該目標である犯人の素性の詮索も同様に禁ず。
これらの事をアイテムにも伝えて頂きたい。


施設見取り図.jpg

以上。
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(エレクトロマスター…)

佐天はその言葉を反芻する。
まさかアイテムと御坂美琴が戦う事になるかもしれない。


学園都市には他にもエレクトロマスターの人間が居る…はず。
何も御坂だけではない。


(まさか…ね。御坂さんな訳がないよね?)


佐天は自分に言い聞かせる。
しかし、御坂ではないと言い切れる証拠がない。



(どうか…御坂さんじゃありませんように…)


もはや祈るような気持ちだった。彼女が施設を襲撃したのか、それとも。


(詮索はダメか…とりあえず…麦野さんに電話…っと)


電話の時は年上の人の名前を呼ぶと「さん」付けで呼んでしまう可能性がある。
なので「こいつら」とか「こいつー」とかの方が呼びやすかったりする。


佐天はメールタブを開いたまま、通話ボタンを押す。
今日もアイテムは仕事に従事しているはずだ。


アイテムや下部組織からは仕事の終了連絡はまだ来ていない。
だが、緊急と指定されている案件なので佐天は麦野の携帯に電話をかけた。


(御坂さんじゃ…ないよね…ははは…)


犯人の素性の詮索を禁止する、という事は当該人物の身元が明らかになって、その人物が関わっていることが知れたらまずい事態になるのではないか。
だからこそ、その人物の詮索を禁止するのではないか。と言うことは仕事をよこしてきた製薬会社は侵入者の正体を知っている可能性がある。


(侵入者の正体…製薬会社は知っているの…?)


(なのに敢えて言わない…って言うことはその人は学園都市の裏事情に通じていない人って事…?)


佐天は麦野が携帯に出るまで必死に推理をめぐらす。
そして、その推理が外れる事を祈る。


(学園都市の裏以上に通じてなく…且つ…エレクトロマスター…御坂さんしかいない…!)


エレクトロマスターなんて沢山いる学園都市。
だが、学園都市広し、と言えど、通信回路を外部から遮断し、火災を発生させるほどのエレクトロマスターはおそらく限られているだろう。



(こんなお子様中学生の推理なんか外れてくれ…!)


ベッドに座りながら麦野が電話に出るのを待つ。
佐天の手にじわりとにじむ汗。

ベッドにそれをなすりつける。
ニュースから流れる声がただの雑音に聞こえる。



『はぁい、アイテム』


麦野が電話に出る。
佐天は震える声で言い放つ。




「し、仕事よ…!」





「でも、結局水着って人に見せつけるのが目的な訳だから、誰もいないプライベートプールじゃ高いヤツ買った意味がないっていうか」


「でも市民プールや海水浴場は混んでて泳ぐスペースが超ありませんが、っていうか私達が外泊申請出して通るかどうか…電話の女に掛け合ってみましょうか?」


「うーん…まぁそれもあるわね…滝壺はどう思う?」


「私は浮いて漂えるスペースがあればいいかな?」


「「はぁ」」


アイテムのメンバーは今日もお仕事。
ちょっとした武装集団との戦闘だったがいかんせん簡単すぎた。
麦野と滝壺は今回も一回も能力を顕現させることはしなかった。


「でも、きぬはたの言ってた事が重要かも…私達の外泊申請が通るかって事だよね」


「問題はそこですよねー…暗部の私達がしゃぁしゃぁと外に出て良いのかって事ですよ」


「かー!小さいことは気にしないって事よ!今度みんなで海いこう!ってかさっさと外出たいなー」


「だから、フレンダ。外泊申請が…」


「いや…外泊じゃなくてさ…」


「?」

滝壺が首をかしげる。



「製薬会社からの依頼ー?」


麦野の甘ったるくちょっと大きい声が裏路地に響く。
アイテムの三人は雑談を辞めて一斉に麦野の方を向いた。




「取り敢えず仕事中にゴメンね」


佐天は受話器越しに一言麦野達にあやまる。


「昨日今日でちょっとサイバーテロが起きてるのは知ってる?」


すっかりこの仕事が板についた佐天。
最初は敬語を使うかどうかで悩んでいた彼女も今では同年代の友人と話す様な感覚で喋っている。


『サイバーテロ?』


「うん。複数の施設が何ものかに潰されててね…」


佐天は通話モードのタブをタッチパネルで右に追いやり、器用に先程送られてきたメールを開く。
そしてすらすらと製薬会社の依頼メールを読み上げていく。


「で、なんだか知らないけど、守る施設は既に決まってるみたいで、みんなにはそこに行って欲しいの」


佐天はそう言うとシボレー・アストロの車載PCにメールを送る。


『りょーかい、後で見とく』


『にしても…』


「ん?何よ?」


『エレクトロマスターねぇ…』


「その可能性が高いって話ね」


麦野のため息の様な声が聞こえてくる。
佐天は見た事がないが、麦野も能力の根本においてはエレクトロマスターのそれに似ている所がある。
なにかしら思う所があるのかもしれない。


佐天は続けてメールの内容を読み、麦野達に知らせる。


「通信回線を使ったテロと電気的なセキュリティに引っかからない事から、そう推測されるみたい」


「てゆーか依頼主はどうも犯人が特定できてるっぽいんだけどねー…」


佐天に送られてきたメールに記載されていた言葉、“犯人の素性の詮索も同様に禁ず”。
これは製薬会社は知っているがアイテムは知らなくて良いと言っている様にも聞こえる。


『目星がついてるならこちらから襲撃すれば良いのでは?』


最年少の絹旗の声が聞こえてくる。
佐天は内心私もそう思ったわよ!と言いたい衝動に駆られる。


「いやー…製薬会社の依頼なんだけどね」と佐天は一言区切る。


「手出しはターゲットが施設内に侵入した時のみ襲撃者の素性は詮索しない事が依頼主(製薬会社)のオーダーよ」


『はぁ?何それ?結局意味わかんないんだけど』


「こいつらときたら!私だって………やりたくて受けたわけじゃないわよ!」
(もし…御坂さんだったら…私達…友人とかそういう関係じゃなくなっちゃう)


佐天はむしゃくしゃし、髪をかく。
そして適当に「それにこの手の依頼には色々事情があるんだっつーの!」と言っておく。


『はいはい、ギャラ弾むように上に言っとけよ、電話の女』


「うっさーい!ごちゃごちゃ言ってないで仕事しろー!」


そう言うと佐天は電話を切る。
アイテムとの通話は終了した。


後は報告が来るまで待つのみだ。
今まで彼女達の仕事が終了する連絡が来ることに何も思わなかったが、今日ばかりは何だか気が気でなかった。



(ホントに…御坂さんじゃなければいいんだけど…)



この世に神様がいるなら祈りたい。
そんな気持ちに電話の女、もとい、佐天はかられる。
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