ドロドロドロドロ・・・
エルシィ「か、駆け魂のセンサーが反応・・・?じゃあ、すぐ近くに駆け魂が・・・!?」
一方「・・・そのセンサーがバグっていなけりゃそーいうことなンだろォ?」
一方「(やっぱ駆け魂ってもンは悪魔と自然に引かれ合うもンなのかァ?)」
一方「(・・・まァ、どーでもいい。俺は俺のすべきことをやるだけだ)」
一方「(このクソったれな契約を終わらせる為にな)」
エルシィ「反応はこちらの方から・・・あっ、あの方でしょうか!?」
一方「・・・あそこにいる長髪の黒髪か?」ジッ・・・
一方「・・・・・・」
一方「(・・・オイオイ、随分と小柄なヤツだけど・・・)」
一方「(まさか小学生まで攻略しろとか言うンじゃねェだろォなァ?どこまでロリコンの気があンだよ駆け魂は)」
心理掌握「・・・・・・」
心理掌握「・・・あら?」
心理掌握「(あそこの自称神様と可愛らしい悪魔さん・・・私の方を向いて・・・)」
心理掌握「・・・・・・」
心理掌握「(・・・えっ、私が駆け魂の持ち主?)」
心理掌握「(最後の駆け魂・・・契約の終了)」
心理掌握「(・・・小学生?私のこと?)」
心理掌握「(・・・あら?白い神様の方が私に近づいてきたわ?)」
一方「・・・・・・」ザッ・・・
一方「(・・・コイツはオリジナルと違って知った顔じゃねェし涙子の時みたいに特別な出会いイベントでもねェ)」
一方「(とりあえず、ここで何か出会いのイベントを起こしておかないと次に会う時にイベントの起こしにくい・・・)」
一方「(・・・っても、なンて声をかけたらイインだァ?流石に前例がねェとわかンねェなオイ)」
心理掌握「・・・・・・」
心理掌握「・・・貴方は私をこれから恋に落とす為に奮闘するという解釈でよろしいのでしょうか?」
一方「・・・!」
エルシィ「(・・・えっ!?)」
心理掌握「しかし駆け魂というのは何なのでしょう?・・・心のスキマ?よくわかりませんわ・・・」
エルシィ「えっ?えっ!?」
エルシィ「(な、なんでこの方・・・駆け魂や心のスキマ・・・それに攻略のことまで知ってるの・・・!?)」
一方「(・・・コイツ、読心能力者・・・)」
『YES。そしてNO。読心能力は能力の一部に過ぎません』
一方「(・・・!これは精神感応か・・・さっき一部って言ったな?つまりコイツは精神系能力の全般を操る能力者・・・!)」
一方「・・・ってことだろ?」
心理掌握「ええ、それが正解です。自称神様はなかなか頭の切れる方のようですね」
エルシィ「・・・・・・」
エルシィ「・・・うー?」ポカーン
心理掌握「・・・・・・」
心理掌握「(・・・あちらの悪魔さんはちょっと残念ね)」
心理掌握「さてと・・・神様、お話の続きでもいたしましょうか?」
一方「・・・!」
心理掌握「私を恋に落とす。貴方が今から行おうとしていることはそういう解釈でよろしいでしょうか?」
一方「・・・チッ」
一方「(やべェな。このガキはとンでもなく厄介だぞ・・・洗脳とかといった精神に細工する能力なンかにはまだ対応は出来るが・・・)」
一方「(読心能力なンかは反射も出来ねェし他に打つ手もねェ・・・俺の思考はコイツに読まれ放題ってワケだ)」
一方「(つまりオリジナルや涙子の時みたいに攻略ルートを立てても、ウワベだけの言葉を並べたところでも・・・)」
心理掌握「あら?失礼な方ですね。私はこれでも中学2年生なのですが」
一方「(充分ガキだろォが!!)」
心理掌握「・・・私を恋に落とすと言うわりには好感度を随分とお下げになるんですね?神様の余裕ってヤツですか?」
一方「グッ・・・!」
一方「(言葉と心を1つになっていなきゃ意味がねェってワケだ・・・!クソったれ・・・!!)」
心理掌握「ええ、その通りですね。確かに言葉と心に矛盾があるような方には私は好意を抱こうとは思いませんね」
一方「・・・ガキがっ・・・!お高くとまりやがって・・・!」
心理掌握「あら?今のは言葉と心が1つになっていましたね。でも同時にまた私の好感度は下がりましたけれど」
一方「・・・!!」ギリッ・・・!!
心理掌握「・・・仕方ないでしょう?これが私の能力なんですから」
心理掌握「私は何も悪くありません。悪いのは貴方の野蛮な心の中です」
地獄の契約によりこの方たちは私の心のスキマを埋めて私の中にいる駆け魂を出さなければいけないとのこと
その為には神様が私を恋に落とす
それが出来なければ死・・・
・・・それが、なんだっていうの?
そんなもの私には関係ない
好奇心で覗いた心の持ち主の境遇までには干渉はしていられないもの
それにあんな粗暴な方と恋に落ちるだなんて、まずあり得ないわ
そんな不可能を可能に変えることが出来るならそれこそ神様の名にふさわしい
心理掌握「(・・・けれど貴方はやはり人間なんですよ。神様)」
心理掌握「(・・・あっ、そういえばもう一人の悪魔さんは・・・)」チラッ・・・
エルシィ「・・・うー?・・・あうー?」
心理掌握「・・・・・・」
心理掌握「(ちょっと・・・いえ、だいぶ残念ね・・・)」
心理掌握「・・・・・・」
心理掌握「(・・・心のスキマ)」
心理掌握「(私の心の中に出来たスキマ、か)」
心理掌握「(・・・そんなものじゃないわ)」
心理掌握「(これは、そういったものでは、ないのよ)」
~~~~~~~~
心理掌握『・・・さて、神様。もうお話は終わりでしょうか?』
心理掌握『さっきから心の中で悪態をついているだけですけれど?』
心理掌握『・・・そうですか。つまり、これ以上ここに留まるのは無意味ということですね』
心理掌握『それならば、私はこれで失礼させていただきます』
心理掌握『うーん・・・また、お会いすることとなるのでしょうか?』
心理掌握『・・・その時があるならば、また・・・ごきげんよう』
一方「・・・・・・・」
一方「(最後には何も言えなくなっちまった)」
一方「(この俺があンなガキ相手に・・・一体何をしてたンだ?)」
一方「(笑えねェってンだよ・・・!!)」ギリッ・・・!!
エルシィ「(・・・神様)」
エルシィ「(・・・ど、どうしよう)」オロオロ
エルシィ「(神様・・・なんだかとっても苛立ってる・・・)」
エルシィ「(私がミスした時の苛立ちとはまた違う感じの・・・)」
エルシィ「(いつもの・・・本当は優しい神様の雰囲気が消えちゃってる・・・)」
エルシィ「(ちょっと、声かけづらいな・・・)」
エルシィ「(で、でもっ。今回攻略する方のデータは話しておいた方が・・・うーん・・・)」
一方「・・・オイ、エルシィ」
エルシィ「は、はいっ!?な、なんでしょうか?」ビクッ
一方「・・・今回の相手のデータは無ェのか?情報が欲しい」
エルシィ「えっ?あ、は、はいっ!ありますっ!もちろんですっ!おまかせくださいっ!!」
一方「あァ、頼むわ」
エルシィ「(・・・いつもの神様に戻ってる。大丈夫なのかな・・・?)」
一方「(・・・格下相手にブザマな姿を晒したまま終わるなンて、そンな馬鹿げたストーリー展開は無ェよなァ・・・)」」
一方「(こうなったら意地でも攻略してやンぞ!!クソガキがァ!!!)」
エルシィ「・・・さん。常盤台中学に在籍の2年生の方です」
一方「・・・常盤台だと?」
一方「(あのガキ・・・オリジナルの同級生だったのか)」
エルシィ「常盤台中学最大派閥の女王として君臨しており」
一方「(女王サマね・・・人を見下しきった態度にも納得だわ)」
エルシィ「学園都市第5位の超能力者で学園都市最高の精神系能力者」
一方「(しかもレベル5ときやがった・・・どうも常盤台とはそういった奇妙な縁があるみてェだな・・・)」
一方「・・・その能力名は?」
エルシィ「はい。その能力名を心理掌握」
エルシィ「記憶の読心・人格の洗脳・念話・想いの消去・意志の増幅・思考の再現・感情の移植」
エルシィ「精神に関することならなんでも出来る能力・・・とのことです」
エルシィ「うー・・・正直読んでてよく意味がわかりません・・・」
一方「心理掌握・・・ね」
一方「(ハッ!神様気取りはテメェの能力名の方じゃねェか)」
エルシィ「あのー・・・神様?」
一方「あン?なンだよ?」
エルシィ「私まだイマイチ今回の攻略者の方についてあまり理解出来ていないのですが・・・」
エルシィ「つまり彼女は人の心の声を聞きとれる・・・ってことでよろしいんでしょうか?」
一方「簡潔に言うとそうだな。お前の頭でそンだけ理解出来てりゃ充分だ。むしろそれが一番重要なことだからな」
エルシィ「あっ、そうなんですかっ!よかったぁ~」
一方「一番重要であり、そしてこれが今回の一番の大問題だ」
エルシィ「えっ?なんで大問題なんですか?」キョトン
一方「なンでって・・・お前、やっぱなンも理解してねェだろ?」
エルシィ「えー?そんなことないですよぉ!」
エルシィ「だって心の声を聞きとれるってことは神様の心の声も聞きとれるってことでしょう?」
エルシィ「つまり言葉にしなくても神様が心の中で「好きっ!」「愛してる!」って叫び続けていれば良いんです!」
エルシィ「それだけで彼女の好感度はもうウナギのぼ・・・」
一方「それが簡単に出来ンなら大問題になりゃしねェよ!!!」ポカッ!!
エルシィ「いったぁーい!?」グスッ・・・
一方「・・・ったく」
一方「(・・・だが)」
一方「(俺がヤツに本気で惚れこみ俺の心の中をヤツへの想い一色にする・・・)」
一方「(そのルート自体は有力候補の一つだ)」
一方「・・・・・・」
一方「(・・・っても無理だろ。あンなガキ相手に誰がマジになるかってンだ)」
一方「(・・・まァ、これを否定したところで他のルートも思いつかねェわけなンだが・・・)」
一方「・・・チッ」
一方「(今回は惚れる惚れさせるは後回しだな・・・)」
一方「(まずはヤツの心のスキマがどこにあるのかを見つけてから・・・)」
一方「・・・・・・」
一方「(・・・待てよ?)」
一方「(アイツの「心」に「スキマ」・・・?)」
エルシィ「うー・・・まだ痛い・・・」スンスン
一方「エルシィ」
エルシィ「はうっ?なんですかぁ?叩くのはもうイヤですよっ?」
一方「ヤツの能力についてもう一度説明しろ」
エルシィ「ふぇっ?能力について?」
一方「あァ、心理掌握の能力についてだ」
エルシィ「あっ、はいっ。わかりました!えーと・・・」
エルシィ「記憶の読心・人格の洗脳・念話・想いの消去・意志の増幅・思考の再現・感情の移植」
エルシィ「精神に関することならなんでも出来る能力・・・これで大丈夫でしょうか?」
一方「・・・・・・」
エルシィ「・・・神様?」
一方「(精神に関すること全て)」
一方「(・・・想いの消去)」
一方「(その能力は自分自身の精神を対象にしても例外は無ェはずだ)」
一方「(なら何故ヤツの心にスキマがあるンだ?)」
一方「(心にわだかまりを感じているのならば自分自身でそれを消去することだって可能なはずだ)」
一方「(ヤツは何故それをしない?)」
一方「(・・・つまりヤツは)」
一方「(スキマが残っている今の状態を望んでいるってことなのか?)」
一方「(ならヤツの心のスキマの正体は一体・・・)」
絶対に譲れないものがある
それは決して揺るがぬ強固たるもの
――だから
心理掌握「私のセカイに、入ってこないで」