上条「なんだこのカード」 > Season2 > 04


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学園都市の第二位は最近の目に見えて量が増した仕事がとても鬱陶しかった

随分前に「左方のテッラ」捜索がとある者の協力で一瞬で解決してしまったこともあり、帰還した部隊が再配備されたため、さらに軍事力を国際社会が毛を逆立てるほどに高めていた事もあり、結果的に物資十分の人材不足という学園都市らしい問題は解決された

それによって練っていた、守りの少なかったところで親船最中を暗殺し陽動を図る、という計画が完全に頓挫してし まったのが苛立ちの大きな原因だった

無論、自分が暴れて強引に最終目標である超微粒物体干渉用吸着式マニピュレータを奪取することも考えはしたが、現実的ではない

そんなこんなで思い通りにいかない続きで、明らかに気が立っている彼を逆なでしない様、面倒な威圧任務等は極力割り振られず、ひとえに標的の殺害を求める仕事ばかり伝えられ、ちらほらと仕事がしばらく続いていた

だが、手間がかからないという理由で他の暗部よりも多くの仕事が割り当てられ、ここ最近の数は尋常ではなくなっていた

垣根「ああクソ、めんどくさいんだよ、テメェ等」

血の色と無機質な金属色しかない部屋で声が響く

こんな感じで、この3日間で何人の人間を殺したことか。もう数えるのが面倒だった

しかしおかしい。自分以外にもこういった仕事は割り振られている事は知っている。その標的が自分の標的と同じ地位の者ならばそろそろ殺しすぎだ

各先端技術の研究に害が出ていてもおかしくない。その上、この数日で結構な数の技術者が外部へ逃れようとしているとも聞いた

それをエスコートしているのは、迎電部隊。この部屋に広がる血飛沫も彼らのものだったが、垣根が殺したその部隊の人数は最早5人の両手両足の指を全て含めても示すことが出来ない

本来ならとっくの昔に壊滅しているはずである。その上本来のその部隊に与えられている目的にも適していない

だが、電話の口から聞こえる声は、「迎電部隊がエスコートしている」の言葉が続いた

確かに兵装も動きも大きな変化が無い。それどころか行動パターンまで同じである

何か毎日のルーチンワーク、朝目が覚めて顔を洗うような感覚で敵を追い詰め、虐殺する。そんな感覚すら彼に芽生え始めていた

何かがおかしいとは思いつつも、またひとつの仕事を終えた。ここまではいつも通り

だが、今日は違った

金属に何か瞬間的な圧力が加わる音が連続して響く

振り返ると、部屋にある、かなりの厚さを誇る自動ドアに円形の、数か所にわたる、凹みが出来ていた

音と共に増える円形

いつもとは違う、という感覚が彼には少し面白く感じた。辟易していたからである

部屋に入ってきたのは、一人の少女。黒く長い髪をたずさえている。中学生位だろうか

顔に表情は無い。大方、この施設で研究対象となっていたものが脱出したのだろうと思った

だが、彼女が一歩前に足を出した時、それが間違いであったことに気が付く

光の加減で顔しか見えなかったが、今彼の視界にある少女は、白い戦闘装備を着込んでいた

垣根の事を気にかけず、すたすたと部屋に入り、死体となった標的の衣類に手を伸ばしす

垣根「お前が探してんのはこれか?」

垣根が左手の人差し指と親指でUSBメモリを持っていた

それを見て、垣根の前に進む少女

?「渡してください。そうすれば、アタシは害は与えません。あなたの任務には、コレの回収などは入ってないことはこちらも承知しています」

急に入って来て、そんなことを言われれば、はいそうですかと渡すのも気に入らない。なにより、この記憶媒体に何が保存されているのか気になる

垣根「この俺の前でいい度胸じゃねえか。何で仕事内容を知ってるのか知らねぇが、欲しいってんなら力ずくで奪うんだな」

?「それでは、戦闘に移ります」

彼女がそう言った瞬間、背中から2本の、どこかで見たことのある白い翼が現れた

垣根「……コイツは、驚いたな」

大きな翼が、巨竜が唸るような音を立てて、垣根を挟み潰そうとする

轟音と共に白い翼に挟まれる、だがもちろん彼にそんな攻撃は通じない

垣根「格下の同能力に潰されるような馬鹿がどこに居るんだ」

自らの翼を展開し、2本の翼を4本で抑え、ガラ空きとなった少女へ裂撃が加えられる

縦方向に、真っ二つに少女が引き裂かれた

だが、少女の翼は消えない。それぞれの体側に有る翼がその体を裂き、潰し、燃やした

垣根(ハッ、自分の始末を自分でやるとは、躾がなってんな)

残された血に触れる

垣根(こいつが誰かは知らねえが、あの動きは人間にできる動きじゃねえ。脳どころか脊髄にまで何かを仕組まれてたのか)

垣根(問題は、どうしてこいつがこの能力を持っているのか、ってのと、こいつらはどこに所属していやがったのか、だな)

垣根(丁度良い退屈しのぎだ。のってやろうじゃねえか)

左手に収まったUSBメモリを見つめながら、低く笑い、偶然に燃え残った少女の眼球を踏みつぶした

 

 

上条「お仕事中、ねえ」

(そのようです。本当はもっと有益な情報を掴めるはずだったんですけど)

(あのビルが管理してる滞空回線、あの時にあのビルの中で使い方を奪っておいたんですがね)

(結果は駄目。滞空ナノマシンの相互データリンクシステムの中の有益な情報は、全部消されちゃってました。まぁ、予測された対策です)

(だから普通に端末からハッキングするしかないんです)

上条「んで、こんなありさま、っと」

上条が居るのはどこぞの研究所。それとなく臭そうな連中が街中で目に見えたので追ってみたら案の定だった

その連中は動きがとても洗練されているとは思わなかったので、恐らく事後処理をさせられている下位組織の連中なのだろう

ここ自体は機密の高い研究所であったので、端末の権限は高く、ハッキング自体はずっと楽だった

ただ、そこに居た処理部隊の何人かを軽く昏倒させざるを得なかったことが、上条にとっては心苦しい

上条(ま、やること終わったし、とりあえず、ここから出ようか)

(はい。次は得られたスクールのアジトへ向かいましょう。午前中の仕事は終わったみたいですし、次の仕事までは時間がありますから)

上条(ハードワークだなー。でもよ、具体的にどうする?ピンチにならないように見守れってか?)

(そんなところでしょう)

(あなたという存在を、向うには気づいていないはずですから、こっちから出ていくのは不自然すぎます)

(今日一日ついて行って、彼が拉致されるような予兆すら無ければ、問題ないかと)

今一度、部屋を見渡して血みどろの惨状と、倒れている若者を確認する

どうやら自分の知らぬところで犠牲は出続けている。その事実は有りうることだろうと思っていたが、現場を見ればその生々しさが訴えかけてくるものがある

結局、自分の知る限りの救済しか自分は出来ていないのだ。どんなに能力があっても、全てを全て守りきることはできない

学園都市内でたった今死に逝くアフリカの貧困を救えないのと同様に。悔しいというわけではないが、気に食わない 。そういう感情が彼の気をますます重くする

うん、という声が聞こえた。倒した連中が意識を取り戻しつつあるのだろう

部屋の扉へ駆ける。そこで運悪く様子を見に来たのであろう他の男とはち合わせてしまう

上条「うおっ、と。もう少し待ってくれるか?飛び散った肉片が多くて手間取ってるんだ」

「うへぇ、そいつは見たくねえな。了解。お前はどこへ行くんだ」

上条「トイレだよ。ちょっと昨日飲み過ぎちまってな」

ははは、と笑いながら去ろうとする。だが、上条が背を向いた瞬間、男が襲いかかってきた

そのまま、上条はその男を投げ飛ばし、倒れた男の肩を外す

男が悲鳴を上げると、部屋の中から声と音が聞こえ出す。ついでに廊下の先からも足音と声が聞こえた

何だ今の声は!こっちだ!くっそ痛ぇ!痣になってやがる!

声がどこからでも響いて聞こえる

上条(あぁ、クソ!なんでこうなるかなぁ)

(あっちからも来るとすると、構造上、逃げ道が無いですね)

(少なくとも拳銃程度は持っているかもしれない。無策に正面突破は出来ないでしょう)

辺りを見回す。都合よくダクトがあったりしない

上条(んじゃ、あれしかないかなぁ。気が全く進まないけど)

上条の目の前には、壊れた壁から出てきたパイプと、どこにでもあるゴミ箱があった

 

 

 

麦野「それで、毒でも何でもなく、単に滝壺と共に一晩過ごしただけ、と」

絹旗「うわぁ、病院でとか、他の患者に超迷惑かけたんじゃないですか」

フレンダ「お陰で私は車の中で結局一晩すごしたわけよ」

女子三人からの視線が刺さる

滝壺「…はまづら、はげしかった」

その視線が更に激しくなる。冗談だけど、と言った少女の言葉は今さらすぎて無視される

麦野「はーまーづーらー?テメェが女とヤる為に私達は昨日不便したってことだよなぁ? 」

口がぶ・ち・こ・ろ・し・か・く・て・い・ねと動いた。椅子に縛られた浜面は逃げようと抵抗するが、むなしく倒れ、オラオラと麦野に足蹴にされている

絹旗「しかし、この獣と滝壺さんをこれまで車内に二人きりにし過ぎたってことですよね」

フレ「それは否定できないわけよ。でもなきゃ、こいつを選ぶ理由が無いし」

散々な言われようであるが、声が出せない様にされている浜面はただ、耐えるだけだ

麦野「あーもう、蹴るのも疲れたわ。そうそう、滝壺、ちょっとこっち」

はい、と言って麦野が渡したのは、腕甲。一見、軽装駆動鎧の部品の一つとも考えられるが

絹旗「なんですかそれ。超気になります」

麦野「つけてみれば分かるわよ」

言われて装備する。サイズはぴったりだった

滝壺「これは? 」

麦野「あんた用の補助演算装置、って所かしら。もともと、擬似暴走させなきゃ能力使えないってのがおかしいのよ。体晶使うのはどこぞの馬鹿がうるさいし」

浜面の目が大きく開き、麦野に刺さるような視線を向ける

麦野「そうカッカすんじゃない。アンタに配慮してやったんだからよ」

そう言って更に浜面を蹴りあげた。少し加減した威力だが

滝壺「うわ、すごい。本当に体晶無しでもわかる。でも、範囲、すごく狭い」

絹旗「範囲がほぼ無制限なのはやっぱり暴走してるからなんでしょうね」

フレ「でもなんでこんなものが今更出てきたワケ?能力者の演算補助装置なんて夢のような装置でしょ」

麦野「そうよ。でも残念。それは滝壺専用みたい。いつだったかのお仕事中に設計図が手に入ったから作らせた」

そこで、浜面の口封じがようやく取れる

浜面「ぶはっ、ハァ。散々、蹴り飛ばし、やがって、少しは手加減しろよ。にしても、そいつはちょっときな臭いんじゃないのか。なんで滝壺専用の補助装置の設計図なんて出てくるんだよ」

麦野「あん?元を問えばお前が悪いんだろ。また蹴るわよ?んで、浜面なんぞに言われなくてもそれは分かってるわよ」

椅子に座り、机に片腕をつき顎を支える

麦野「こんな代物、はっきり言ってそこらの研究所じゃ作り上げるどころか、理論構築すら不可能。その上滝壺がずっと実験台として必要というおまけ付き。そんな物が、試作品という形でなく完成された設計図で存在した。見つかった場所も滝壺とは関係がほとんどない」

絹旗「学園都市に居ながら超オーバーテクノロジーを拝めるとは、珍しいこともあるものですね」

浜面「あやしさMAXだな。でも、とにかく体晶なしで有る程度探せるんだろ」

滝壺「うん。半径、ざっと500mくらい、かな」

麦野「そんだけ有れば局地的には十分。不満が無いって言ったら嘘になるけどね。作らせた甲斐があるわ。さぁて、浜面クン?」

流し目で浜面を見る。嫌な予感しかしない。他の女性陣は次々部屋を出た。そういえば、そろそろ次の仕事の時間だ。その準備か

麦野「退院祝いに行きましょう」

 

 

 

建物の一室から声が聞こえる

佐天「流石御坂さんの思い人ですなー」

初春「犯罪なんですけど、その行動力はすごいと思います」

春上「二人とも美味しいもの食べたなんて羨ましいの」

佐天「はいはい。ちゃーんとお菓子買ってきてるよ。流石にレベルは格段に劣るだろうけどね。はい春上さんの分」

持ってきた白い箱から様々なトッピングが乗ったドーナツが見える。ここは初春と春上の寮の部屋である

春上「おいしいの~。ありがとうなの」

佐天「はい、どうしたしまして。でもさ、うん、おいしい。こっちもこっちだったよ」

初春「あぁぁ、それ狙ってたのに。何かの詐欺とか違法な研究だったのかもしれないですね。ホラ、みてください」

モニターを佐天へ向けた。ドーナツのトッピングが若干キーボードに散っているが気にはしない

佐天「昨日のホテルの、……何?」

初春「あ、コードの状態のままでしたね。えっと、こうだ」

画面が切り替わる

佐天「あー予約表、かな?あの部屋の予約主は……The Institute of Advanced Technology for Mankind? えっと、この都市の機関じゃ ない?あの御爺さん間違いなく日本人っぽかったけど」

初春「珍しいことに合弁研究機関なんですよ、学園都市外部との。内部組織はもうつぶれちゃってて、現実的には内部の機関みたいな扱いですけど、研究資金の出元は外国の投資家になってますね」

佐天「はむむ。うん、ごちそうさま。難しい話は分かんないなあ。胡散臭いのは分かったけど。ま、何も問題なかったし、あれから連絡があったわけでもないしね~。んじゃ、行こうか」

春上「ごちそうさま。これでお腹の準備も万全なの」

初春「あ、ちょっと春上さん鼻の頭にチョコレートついてますよ」

そばにあったティッシュを使って落とす

佐天「うーし、んじゃ、行きますか!」

初春「ちょっと、まだ私全部食べてないですよー!」

佐天「ハハー置いてくぞー。行こう、春上さん! 」

黒髪の少女がポケッとしている少女の手を引き、駆けだした。頭に花を付けた少女は口に残りを咥えながら、その後を追っていった

 

 

 

上条「どぉぉぉぉきぃぃぃぃぃやぁぁぁっぁぁぁがぁぁぁぁぁれぇぇぇぇぇ!!!!! 」

袋小路となっている研究所の通路へ、わざと見つかる様に逃げ込んだ上条は遂に状況を逆転する

逃げ込む時に、敵が銃を使わないのを確認した。持って入る可能性は捨てきれないが、まだ昼間だ。上条もそれを用いないし、使えないのだろう

飛行機のジェットエンジンのような轟音と共に、まとまって突っ込んでくる無能無策な者の群へ、一気に加速し突っ込む

あの時のような速度を出せば、触れた瞬間に彼らは粉微塵となる。それは上条の望むところでは無い

威圧になりさえすればいいのだ。必要なのは轟音と気迫と知覚できる限りの速度、つまり迫力である

無論、この状況で驚いたのは後処理部隊である。間違って入ってきたのか、それともどこかの間者なのか分からないが、ずっと逃げ続けていた普通の高校生の身なりをした男が声を張りあ上げ、ジェット音と共に300km/hぐらいで突っ込んでくるのだ

しかも原理が分からない。鉄パイプにぶら下がり、飛んでいるというよりホバリングして突っ込んでくる

彼らの脳内には能力者という言葉が思い浮かぶ。自分たちにはそれを撃退できるような兵器もなければ、相手の能力も測りきれない。自分達は一網打尽の罠にはまったのか

そこまで考えた者がどれだけいたのか分からないが、見た瞬間限界まで身を壁に寄せる

人と人の間を加速しながら上条が突き進む。同時に正面に見える壁との距離も近くなる

上条(で、どうしよう)

(え、考えてなかったんですか?!)

上条(目の前の突破しか考えていなかったんだ)

(出たとこ勝負があなたの本性ですからね。とりあえず、このままでは激突死しますから放してください)

ぶら下がっていたパイプを放し、その勢いを殺すため、頭を抱えて狭い通路を転がる

上条「ぐがぁっ…… 」

着地時に右肩を強打、恐らく外れたか折れただろう。他の体の部分も下半身を中心に被害が出ている

回転が止まる。痛みに耐え、強引に平衡感覚を回復させ立ち上がり出口へ走る。だが、その足取りは弱い

上条(クソぉ、思ったより痛い、な)

(ふらついてますよ、しっかりしてください)

(そのままそこを右にいけば出口です。恐らく見張りの敵が居るでしょうが、強引に突き抜けるかありません)

駆ける上条の後ろから声が上がる。どうやら脅しが効果を失ったらしい。彼らだって仮にも暗部である。自分たちの仕事を見られた人間を何もせずに返すわけにはいかない

脱出しようと思っていた裏口が見えた。だが明らかに人がこちらを向いて立っている。無線で連絡が行き届いているのだろう

(まさに前方の虎、後門の狼ですね)

上条(……なぁに、前方にヴェント、後方にアックアって、状況よりはマシだ)

(縁起でもないことを言わないで下さい。あぁ、不味いですね。銃を持ってます)

男が胸から出した拳銃を構え、間髪言わずに発射。射角を計算し、あらかじめ回避行動をとっていれば、尋常ではない反射神経と周りから的確に情報を瞬時に集めることが出来る上条本来の行動能力に加え、高度な演算装置を並列接続している今の上条ならば、拳銃程度ならふらふらでも最低限の回避は可能だ

だが、後ろに逸れた弾は後ろから追っていた人間に直撃することになった

消音装置を装備しているが、弾が空間を裂く音が連続して聞こえる

後ろへ流れ弾が次々と向かう。同時に、悲鳴

上条「バカヤロー!!こんなところで撃ったら味方に当るばっかりだろうが! 」

上条の叫びもむなしく、銃弾は発射される。当らない弾は、当然、後ろへ。既に倒れている者への追い打ちともなろう

(……曲がりなりにも暗部組織ですからね。特に下位組織であればあるほど、代えの人員はいますし)

上条(だったら味方にあたっても構わねぇってか、ふざけんなよ)

(ならばあなたが当ってやるしかないでしょう。夢ばかり語っても仕方ないんです。犠牲無しなんてのは不可能です。それが現実です)

上条(そんなもの、ただの理屈じゃねえか!どんなロジックがあろうが、根拠があろうが、こいつらがどんだけ多くの悪行をしていようが、今ここで味方に撃たれて死んでいいなんて、そんな根拠は成り立たねえ!それがどんなに俺にとって無駄な事をしていようが、今ここで味方に撃たれて死んでいいなんて、そんな根拠は成り立たねえ!それがどんなに無駄な事だろうが 俺に利益が無かろうが、関係ないんだ! )

上条(正義とか悪とかじゃない、ましてや、絶対的な判断基準があるわけがない!そんな物を決めるのは俺じゃないんだ! ただ俺は、自分が間違ってないと思うことをするだけだ! あとで、自分自身が後悔しない為に! それが独善と言われようが、偽善と言われようが関係ねぇ!!だから……)

上条「だから俺は、その現実をぶち壊す!!!」

何か叫んだかと思えば、回避を捨てるかのように猪突猛進してくる侵入者。ちょうど弾が切れたが、問題ない。もうひとつの銃で応戦するだけだ。近づけば近づくほど拳銃の命中率と威力は上がる

銃を捨て、取り出したもう一つの拳銃で向かってくる上条の眉間を狙う

回避不能の銃弾が飛び出した。眉間に直撃することなど分かっている。だが、避けれない

上条の眉間にぶち当たった銃弾は漸次消滅してゆき、その対消滅によるエネルギーは上条の後ろで爆発する

四肢と首が胴から離れるような感覚、否、実際に胴とそれらの接合部の骨の可動という機能に致命的な被害が出るレベルの猛烈な衝撃が体中に響く

急に膨張した空気が上条を出口へ、側に立っている拳銃の男の方向へ吹き飛ばす。その勢いに乗って、上条はかろうじて使える左拳を男へ

掠った、いや掠らせたのだ。銃弾並みの速度で動く上条の拳が直撃などしたら、上条も男も木端微塵である

男と交差した残りの慣性で研究所を脱出、スクールのアジトへ全力で駆けだした

 

 

 

 

浜面「何が退院祝いだあのクソアマァ! 」

第22学区の地下第7階層で、浜面は敵に囲まれていた

戦争は数だ、という言葉があるが、それが事実なら浜面に勝ち目はないだろう

柱が上の階層と下の階層を支えている5階建ての立体駐車場のど真ん中に浜面はいた

カンカンカンというぶつかる音が、浜面が身を隠している柱から鳴る

浜面(流石に対物弾なんて使わないよな。この柱が崩れれば多少なりとも上下階に被害が出るハズだ。そんなことはお互い表沙汰にはしたくないはず)

予想通り、敵はこの場所に来てから消極的な攻撃しかしてこない

近づく敵も少ない。原因は、浜面の持っている小型自動小銃にある。銃身自体が半分で200度程曲がり、装備している単眼 HMDに銃先カメラの映像が映し出されるという代物だ

対人レーダーもあり、近づく人間へ射撃する。簡単なお仕事

浜面(だからと言って、こんな子供だましの方法、長く持つわけがねぇんだ。早くしないと対策を立て来るはず。まだか、まだなのか麦野……)

このカンカンという音が聞こえている限り、自分は生きていて、同時に絶望的な状況でもあるという事を教えてくれる

心臓が小さくなるような感覚さえしてくる。まだなのか

彼が待っているのは、仲間からの逃げてよしの合図。そう、彼がこんな所でわざわざ孤軍奮闘しているのは、全て陽動の為である

今回の対象は少々護衛が多く、ついに迎電部隊以外にも護衛部隊らしきものが現れたということだ。そこで、麦野が提唱したのが陽動

麦野【元気ピンピンな浜面クンにはぁ、その元気を余すところまで使ってもらうわよん☆ 】

浜面【話しぶりが気持ち悪い上に、嫌な予感しかしないんだが、とりあえず動けるようにしてくれ?】

麦野【お前にやってもらうのは、囮よ。ハイコレ。取扱説明書は一緒に入れておくから。じゃあ頑張って】ニッコリ

浜面【え、話が見えないぞ。ちょっとまて何だこの男たちは。待て麦野!オィ、止めろ!放せ!え、この中に?俺が入るの? 中で連絡が出来るから安心しろ?え、ちょ、せめて動けるようにしてくれよ!オイィ!! 】

こんなやり取りで、浜面は椅子に固定されたまま何らかのカプセルに突っ込まれ、そしてこの立体駐車場に砲弾のように撃ち込まれたのだ。囮として

効果は絶大だった。なぜならこの駐車場には敵部隊の移動車両や弾薬などを積んだ車両があったのだ

カプセルから出るとすぐに、装備させられたHMDから敵が近づいているという警告音が鳴り、輸送中に決めておいた場所へ逃げ込み、現在に至る

浜面(弾だって有限だ。カプセルの所へ戻ればまだいくらかあるだろうが、あそこまで行けるかどうか)

浜面(策もなしに白兵戦なんで出来ねえし、……不味ッ! )

手榴弾が投げ込まれた。それが殺傷弾なのか閃光弾なのか発煙弾なのかその他のものなのか分かりはしない

とにかくその範囲から逃げなくては。あらかじめ当りを付けておいたもうひとつの待避場所へ弾幕を張りつつ駆ける

浜面(そりゃ、そうだよな……ッ!畜生)

隠れようとした先には先客が居たのだ。もちろん好ましい先客では無い。瞬時にこちらも手榴弾投げる。敵は軽装だったので急いで身を隠した

後ろで爆発音がした。同時に吹き飛ばされるような暴風。近くに居れば体がいくらかに千切れていたであろう

浜面(敵は下から展開した。そしてこの階の半分以上は制圧された。物量も敵の方が多い)

足元に銃弾が刺さる。考えている時間をくれるような生易しい連中では無い

浜面「上に、上に逃げるしかねぇ! 」

踵を返し、敵がさっき爆発物を投げ込んだ先へ。そのすぐ側には、上の駐車場の階への車両用スロープがある。少々大回りになるが、そこを使って上へ逃げる

時間さえ稼げばそれで自分の仕事は達成される。今は敵を倒す時ではないのだ

瞬間、背後が爆発した。読まれていたのだ、動きが。先程の爆発があった瞬間を狙って、その爆音と粉塵の中に隠して、もう一度手榴弾を投げ込まれていたのだ

破片が浜面の背に刺さる。痛みが伝わり、服と背の間に液体が流れ、衣類が肌にくっついたような感覚がする

だが、致命的ではない。もうあと一歩遅ければ分からなかったが、まだ体は動く。そのままスロープを駆け上がる

浜面「畜生が! こんなところで死んでたまるかよ! 」

 

合図は、まだなのか――

 

絹旗「フレンダ! 避けてください!! 」

金髪の少女の前に、白い光線が奔る。名は粒機波形高速砲

つまりアイテムが誇る麦野沈利の攻撃と同じものが駆け巡ったのだ

フレンダ「伊達に麦野のをずっと見て来たわけじゃないっての! 」

間一髪でかわす。目標を失った光線が壁に当り、溶ける

これが初めてではない。浜面の方へ行かなかった迎電部隊を一掃した後に出てきた、白い戦闘スーツの少女が出てきてのことだ

麦野「だぁれの許可を得てそんな事をしてるっつんだよぉぉぉぉぉ!!?」

本家本元の強大な光線が少女めがけて奔る。少女の右腕が溶け落ちた

溶け落ちた腕に代わりに光の右腕を発生させ、近寄っていた絹旗へ向けられる

だが、遅い。絹旗の窒素装甲の右腕が少女の顔に炸裂。その衝撃で顔面がガードごと変形する

麦野「クソ共がぁ、これで何体目よ!?たぁきつぼぉぉぉ!」

滝壺「仕留めた数は4……麦野!壁がわに防御壁を展開!」

言われたとおり、光の壁を展開した瞬間、壁が崩れ、新たな黒髪の少女が現れた

その少女の窒素装甲による打撃という攻撃は麦野の展開した壁を強引に貫通し、肩を強打された麦野が殴り飛ばされる

絹旗「麦野! 」

絹旗が麦野をキャッチ。殴った側は左腕の手首から先が無くなるが、変わりに光の拳が展開される

一時的に気を失った麦野を隅に寝かせ、絹旗が相手をする。少女の方も遠距離攻撃をなぜかせず、窒素装甲に原子崩しの右手を用いて絹旗との白兵戦を行う

フレ「妙なわけよ」

少女たちの攻撃を見ながら、金髪の少女がつぶやいた

フレ「これであの白い服は5人目。一人一人でこんなに手を焼くのになんで複数同時投入は無いの? 」

滝壺「500m内なのに、攻撃してくる時しか、AIM反応が無い。だから、それまでの場所も分からない」

絹旗の体勢が崩れる。あっちにも窒素装甲のようなものがある上、少女の光の左手は絹旗の窒素装甲では守りきれない。不公平な白兵戦なのだ

フレ「絹旗、離れて! 」

フレンダの声を聞いて、強引に距離をとる。距離が出来たところにフレンダの大型対物弾が発射される

窒素装甲?に守られた少女の体が大きく吹く飛ばされ、そこへ絹旗がラッシュをかける。衝撃自体を守ることの出来ない窒素装甲の弱点を敵に応用したのだ。見る見るうちに白い戦闘服の少女の顔が変形していった

滝壺「5人目、沈黙。周りに新しい反応もないよ」

麦野「……ってことは標的には、多分、逃げられたわね」

絹旗「気が付きましたか、麦野」

わき腹を押さえながら絹旗が麦野と絹旗の下へ歩む

フレンダ「駄目だったわ、結局蛻の殻よ」

金髪の少女が奥の通路から現れた

麦野「そう。ハァ、浜面に一応合図出しといて。どうせ向うも撤退してるでしょうけど」

麦野が仲間を見渡す。自分を含めて傷を追っている。すぐに動けと言われても動けないだろうし、動きたくない

絹旗「せっかく、陽動まで用いたんですけどね」

麦野「言わないで。今から失敗の電話をあのクソアマにするので憂鬱なんだから」

結果だけ見れば、出てきた敵は全滅したし、主要メンバーも生きている。だが、仕事としては失敗だ。暗殺対象を逃がしてしまった

本来の彼女ならどこまでも深く追いかけたいところだが、敵がどこから湧いて出て、どこに逃げられたのか分からない

明らかにこれまでとは異質の敵に強い屈辱感を感じながら、死体となった少女たちを蹴り潰し、溶け落とし、切り裂き、臓物を引きちぎり、あらん限りの怒りをぶつけた

駐車場4階は、3階と同様の形をしている。22学区という一つの大きな建造物の中にある立体駐車場と言うのも何だか違和感を感じるが、気にしても仕方が無い

何にしても、敵が上がってくるならば自分の後ろのスロープかフロア中央にある柱の中にあるエレベーターからだ

つまり、先に上がることが出来た自分はそのエレベーターと、自分が上がってきたスロープに気をつければよい

その両方から身を隠し、確認できる場所へ一目散に駆ける

エレベーターが動く音がした。開いた瞬間、掃射する

浜面(お前らに、恨みは無い!でもこっちだって死ぬわけには……って空かよ!)

無論コレは罠だった。浜面の弾を無駄に消費させるための

だが、逆にいえば敵の大部分はまだ下に居るということだ

浜面(クソッタレ!合図はまだだが、このタイミングなら、やるっきゃないよな!)

腰に付けたパックを開き、装置を起動する

浜面がこれまで撃っていた銃の弾丸には複数の種類がある。機関銃に曳航弾や貫通弾と言った様々な弾丸が一つの弾帯に装填されているように

おあつらえ向きに、この駐車場はスロープ部意外に空気の逃げ場は無い

浜面の単眼HMD(ヘッドマウントディスプレイ)に発動の意を示す文字が表されたと同時に、ムァッとした熱気を感じる。まるで焚火の側に寄ったような

浜面がさっきまで応戦し、大量の特殊弾丸と特殊な空薬莢をばら撒いていた3階は一気に火の海となった

そしてスロープを慌てて駆けあがって逃げてきた連中を

浜面「恨みは無いけど、許してくれよな」

掃射を浴びせるのだった。動かなくなってしまった敵兵を見て、罪悪感にかられる

しかし、感傷に浸っている場合ではない。今の火炎地獄で敵が全滅したとは限らないし、敵が着ていたのが耐火装備でない保証が無いのだ。無論かなりの温度になる様に計算された火炎攻撃ではあるのだが

彼がひたすらに合図を待っていたのは、今の炎で混乱を招かせ自分を逃がすためだったからである

発火能力者でも何でもない彼には、炎地獄を何度も繰り出す事は出来ないのだ

本来の合図もない以上、まだ逃げることはできない。ここで逃げれば味方は挟撃されるだろう

前線で戦うことが出来る麦野や絹旗はまだしも、フレンダや特に滝壺は挟撃なぞされればどうなることか

そんなことを考えていると、背中から強烈な痛覚を感じとった。ミシィという嫌な音が体に響き、体勢が前のめりに崩れる

同時に、合図の信号がHMDに表示される 倒れそうになるのを何とか踏みとどまり、強引に後ろを振り向く

白い戦闘スーツを身にまとい、黒長い髪を携えた少女が今まさにナイフで切りかかろうとしていた

銃ならともかく、スキルアウト時代に嫌という程見慣れた刃物による攻撃は、浜面を逆に自信付けることとなる

身内には、もっと素早く切り、もっと素早く隙を突き、もっと素早く立ち回る者が居た。見きれないレベルでは無い

喉を切り裂こうとしている腕の動きを捉え、手首を掴み大柄な体を利用した体当たりをかます

数メートル吹き飛んだ少女を確認し、持っていた銃を向ける。少女が吹き飛んだナイフへ手を向けたので、その手を撃ち抜く

浜面「動くな! 伏せてろ! 」

手を撃ち抜いても、まだ立ち上がろうとするので、仕方なく浜面は足を撃ち抜く。ようやく抵抗を諦めたのか、大の字になって動かなくなった

さっきの衝撃は、膝に着いている装甲を用いて背中に二―キックを食らったのだろう、良く動けるなと自分に感心しつつ、少女の フェイスガードに手を伸ばした

ガードを外すと、目を見開いた顔があった。違和感を感じる

浜面「……まさか」

首筋に手を当てると、既に脈は無い。そう、死んでいたのだ

カチッと音がスーツから鳴った。同時にボワッと青い炎が上がり、慌てて浜面は身を引く

しばらくして、後に残ったのは灰と焼け焦げた跡だけだった

他に敵が来る様子もない。まさか全ての敵を焼き払ったわけではないだろう

だが、合図も有ったことだし、麦野達が成功したのか失敗したのか、とにかく敵は引いたのだ、おそらく

アイテムの仕事を手伝うようになってしばらく経ち、散々命の軽視を見てきたが、この命の使われ方は浜面にとってショックだった

恐らく浜面が手足を撃ったことで行動不能と判断して、または判断されて、死と証拠隠滅という選択をさせられたのだろう

浜面(なんであんな年端もいかねえ子供もあんな風に扱えるんだよ)

ガードをとったときの無表情だった顔が頭に残る。あの顔で、どんな事を思いながら死んでいったのか。どんな経緯であんな 扱いを受けたのか

愕然としていた浜面の耳に無線が入る

麦野『生きてたら聞きなさい。失敗したわ。一度引き上げるわよ』

浜面「……了解」

最早自分の怪我など、気にはならなかった

 

 

 

 

垣根「は…何だよ、これは」

どのネットワークからも物理的に遮断し、自らの能力を持ってして滞空回線の視界からも何からの影響からもシャットアウトした 地下の一室で一人、垣根帝督は絶句した

問題はあのUSBメモリに有った内容である

内容が飲み込めない。あまりにもぶっ飛んだことが羅列してあったのだ。思春期の子供が思い描くような空想を綴ったものとしか思えなかった

道端で拾ったものならすぐに叩き壊していただろうが、これを上級の研究者から入手し、かつ得ようとした一派がいるのは確かなのだ。断じて子供のそれとは違う

この学園都市でこれまでぶっ飛んだ話を多く目にしてきたが、大体は事実か、もっと深い現実があった。完全な嘘が無かったわけではないが

書いてある全てが全て事実ではないかもしれない、寧ろ事実でない方が普通だろう

驚嘆ばかりしていても仕方が無いので、気を取り直し、他のデータも調べてみる

垣根(どいつもこいつも、データ形式が都市のものじゃない。外部の形式なのか?親和性という面で見れば……)

垣根(駄目だ。分かんねえ。生体脳工学なんぞ、ちゃんとした研究者でもないと理解が出来るわけがないのは当然か)

なんだかよく分からない単語とデータを見るのをやめた

垣根(内容よりも根拠だ。あのぶっ飛んだ内容が全て仮に事実だとしたら、俺の計画や野望なんてのは有名無意味でしかない)

今自分の前にある情報が、必死でアレイスターと直接交渉しようとしていた自分を馬鹿馬鹿しくさせる

垣根(クソ。結局、俺は自分で思っているよりも小物なのかもな)

所詮自分には大物の影響力は無い。直接交渉すると言って行動していても、所詮は社会が反抗期の少年集団を侮蔑の目で見ているのと変わらなかったかも知れない

人質を手に入れて強気になっている3流のテロリストと、大して自分は変わらない場所にいたのだ。くだらない妄想だったのか

コンコン、と部屋の扉から音がする

籠り過ぎたか、と時間を確認する。まだ次の仕事までは時間があった。だが、これ以上自分で情報を導き出すことはできないので、とりあえず、USBメモリを外して端末の電源を切った

自ら部屋の扉を開き、ノックの主を確認する

心理定規「酷い顔をしてるのね」

垣根「あぁ?……そうか、そんな顔をしてるのか、俺は」

定規「今度は何を焦ってるのか、何の計画が破綻したのか知らないけど、私達は若い。まだ時間はたくさんあるの。落ち着きなさいな」

ハンカチを取り出し、女性らしい手つきで垣根の額の汗を拭う。地下室の温度管理は適温だったはずだが、心理的に汗をかい ていたのだろうか

垣根「確かにおっさんや爺共に人気が出るだろうな、オマエ」

定規「あら、こんな事をするのはあなたぐらいよ?」

ドレスの女の方をじっと見て、それから小さく、笑いをこぼす

垣根「それもいつものリップサービスなんだろ?口が言い慣れてんだよ」

定規「ふふん。わかってるじゃない。少しは調子も出たみたいね? 」

垣根「お前、本当にそういう商売向いてんな。ま、少しはスッキリした。サンキュ」

定規「それで、今度は何をするつもり?」

垣根「ふん。普通に仕事をするだけだ」

定規「あら、詰らないわね。あ「だが、――」」

垣根「次の標的はわざと逃がす。それで俺が追う」

ドレスの少女は一瞬驚いたような顔をしたが 、直ぐに笑みを浮かべた

定規「そう。それじゃ、逃がしたけどあなたが追ってますとでも言っておくわ」

垣根「物分かりがよくて助かるぜ」

そう言って、ッという音と共にキスをするふりをする

定規「……本気ではしないのね」

垣根「気が向いたらな。終わったら話す」

そう言って、女を残し準備に取り掛かった。小物なりに大物の動きをしてやる。それが都市での価値を失った、自分の足掻き方だ

 

 

 

(あれだけ勇ましいことを言っておいて、この様ですか )

上条(死んでないだけマシだろ。縦断眉間に食らって生きてるわけだし)

(そこは褒めておきましょう。ですが、やはり最低限の装備は必要ですね )

上条(否定できないなぁ。9mmの拳銃程度はやっぱり欲しい。脅しにも使えるわけだし)

スクールの隠れ家が入っているビルの隣のビルの屋上、上条当麻は横になっていた

貯水タンクと室外機の間で、一応は他からなかなか見えない場所に居る

(武器はどこかで拾うとして、まずは体を回復させましょう。四肢と首の骨全部にヒビ入ってますからね。私達で強引に興奮状態を維持していなかったら、ここに来る前に痛みで気をやっているところでしたよ)

(いっそのこと、体格の構成を変えてもいいですか。あの戦い方自体は、これからも有るでしょうし。その度にこの様では)

上条(あーもう、好きにしてくれ。カーボンだろうがセラミックだろうが特殊合金だろうが何でも来いだ)

(それでは、そうさせてもらいます。少々ガタイがいい人になっちゃいますけど)

(では私はそれに合わせて筋肉量の増強を)

上条(おいおい、そこまでしたらまた睡魔が来るんじゃないのか?監視できねえぞ?)

(視覚と脳の一部を強引に起こして、監視だけはできるようにできます)

(並列化で負担も減ったんですよ。なのでこれからはゴリゴリ体を改造できます)

上条(成長期ですので、って言える程度でお願いしますね。あ、もう体全然動かねえ、ハハ)

太陽を背に、ゴロンと寝転がって目だけがギョロギョロ動き、体は時折ピクンピクンと動くその姿は、陸に上がった魚のようだった

上条(……冗談は置いといて、ここから見える範囲では動きが無いな。スクールとやらの次の仕事は何なんだ?)

(外部脱出を図る技術者の抹殺です。全く、技術しか取りえの無いこの都市で技術者の排除なんて)

(データさえあれば、技術者すらクローニングできますからね。天才が一人入ればその脳をクローニングして並列つなぎし、更に演算装置も大型のものをつなげれば、それだけで十分な研究が出来るとでも思っているのでしょう)

上条(なんつーか、一種の驕りだな、それは)

(ま、そんなことは今どうでもいいのです。他人のこと言えない状態なのがあなたですし。このスクールに命令を出しているところなんですが)

(連絡手段は電話連絡やメール等、いろいろ有るわけです。その命令を出す人間は固定されていて、スクールの面子と顔を合わせることはまず有りません)

(無論それは、自己の安全という目的が第一でしょう。ですが得体のしれない人間から命令が来ているという状況がもたらす心理的・思考的重圧を与えるという目的もあると思われます)

(ですが、この命令体系にはとんでもない欠点があるわけです。それは、命令を守らない又は反逆行為があった、という状況 では、それを予見しても阻止することも有意義な罰則も与えられないというものです)

上条(確かに、第二位やそれに肩を並べられるような連中が反抗したら、この都市の連中じゃあ止められないよな)

(それに対応するための組織があるには有るんですが、第二位が相手では手に負えないでしょう)

(つまりところ、何か根本的に従う理由があるわけなんですよ、第二位には。ただ)

(その理由が無意味なものになった場合、又はもっといい条件を提示された場合、彼が学園都市にとって都合のいいように有り続ける保証は無い)

(つまり、結果だけいえば、行動が制御できなくなる可能性があるんです)

上条(そいつは、不味い。アイツらはいくらでも都合のいい条件を出すだろうな。もしそれに釣られれば、そのまま本国送りになってもおかしくない)

(そこまで思慮が浅い人物ではないはずですが、どうなるかはわかりません)

(だから、もしそうなりそうなら、きっちりとあなたが止めるんですよ)

上条(了解。頼むから暴走しないでくれよな。垣根帝督さんよ)

 

 

 

佐天「やっぱり、遊んだ後のお風呂は良いですなー」

湯船の縁で大きく肩を開き、フフーンとご機嫌な声をあげる

初春「でも、御坂さん、一体何回ここに通ってたんでしょうかね?3人分の優待券分にポイント溜めるのって、片手じゃ回数 足りないですよ」

佐天「多分なんかのグッズ集めとか、そんなところじゃないかなー?御坂さんだし。私たちからしたら、そのキャラクター様様だよー」

言いながら、両手を組み、半分水につけて、それ、という声と共に勢いよく初春へお湯を発射する

初春「ちょ、ちょっと止めてください佐天さん。あ、もう春上さんまでぇぇ」

二方向から湯を浴びせられ、あたふたしている初春の反応を楽しんでいると、綺麗な茶髪をした、スタイルのいい人物が佐天の目にとまった

佐天「うわぁ、あの人、すごいエエカラダしとる」

初春「佐天さん、話し方がおじさんみたいです。でも確かにそうですね」

佐天「やせ過ぎているわけでなく、少しムチッとした下半身。だが太すぎない。コレは至高のエロティシズムですぞ」

あはは、と苦笑いを浮かべる初春

春上「でも、何だが怪我してるみたいなの」

初春「そうですね。せっかくの綺麗な体に打撲みたいな跡があります。痛そう」

佐天「確かここには打撲とか捻挫を治す効能のお風呂もあったよね。それ目当てじゃないかな? 」

初春「あっちの方行ってますし、そうなんでしょう」

春上「お大事になの~」



麦野「あーちくしょう、アザできてるじゃない」

絹旗「あれだけ強く殴られてアザ程度ですんだなら、寧ろ超ラッキーでしょう 」

フレンダ「うげ、髪が不揃いになってるし、先がチリチリに」

滝壺「大丈夫、あまり目立ってないよ、フレンダ」

アイテム女周は、そのまま22学区の温泉施設に来ていた

失敗した被害から立て直しを図る為、という理由で麦野が主張したのだ

電話の女はそれを許可した。同時に麦野が報告した白い戦闘服の少女の集団について調査を優先したかったのかもしれない

どうやら他の暗部でも同様の集団が現れ、幾らかの能力者が返り討にあっているようだ

指示を出す側も無茶をさせるわけにはいかない。相手の戦力を考えた上で、GOサインは出されるものである

絹旗「しかし、何だが浜面の様子がおかしかったですね」

滝壺「なにか、すごく思い悩んでるみたいだった」

フレ「馬鹿面には似合わない顔だったわけよ」

麦野「雑魚には雑魚なりに考えることでもあるんでしょ。はぁーきもちいい 」

効能のある湯につかり、その豊満な胸を水に浮かす

強打した肩の動きを確かめるように動かし、痛みが引いてきているを感じる。この風呂の効能のお陰なのかもしれない

フレ「そういえばあの白くてマスクしてた奴ら、浜面も戦ったって」

絹旗「浜面があの連中を撃退したんですか?あの無茶な囮で生きていた事といい、超信じられません」

フレ「連中、っても、一人だけだったわけよ」

麦野「へぇ、やるじゃない。どうやったって? 」

フレ「ナイフで切られそうになったから、押し倒して、銃で手足を撃ち抜いて、身ぐるみを剥がして……」

絹旗「うぇ、超ゲス野郎です」

フレ「で、気が付いたら死んでたんだって」

麦野「ここで気になるのは浜面の死姦趣味の有無……じゃなくて、おかしいわね」

絹旗「はい。あの白いのには私の窒素装甲のような能力が見られました。滝壺さんはどう感じました? 」

滝壺「うん。あれは絹旗と一緒の反応だった 」

フレ「じゃなきゃ私の大砲で木端微塵だったワケよ」

絹旗「しかし、フレンダの攻撃では体ごと超吹っ飛んだだけ。となると」

麦野「浜面の持ってた小銃如きでは、手足を撃ち抜けるはずが無い、ってことね」

肩を擦る。あれは紛れもなく、能力を加味した攻撃だ。でなければ自分に攻撃が届くはずが無い

麦野「せめて顔ぐらい見ておくんだったわ」

そう言って、ザバァという音と、胸の縦揺れと共に、湯船から身を出した。そして乳の縦揺れと共に次なる湯船に向かった

浜面の心は揺れていた。どうも周りもそれを気遣ってくれたのか、ここへ来るまであまりからかってこなかった

暗部組織の一員としては、この程度のことで悩むべきではないのだろうか

じっと右手をみる。自分が甘さを持っていた為にうちこまれた謎の遺伝子改変薬。具体的な効果は出ていない。だがもしこれが毒だった場合、今頃自分は死んでいたのだ

自分は、甘いのか。あのように年端もいかぬ少女が命を散らせても、全く動じない程度の、冷たく硬い鋼鉄のような心を持たなければならないのか

一人の無能力者としての自分の居場所がこの組織ならば、この組織に馴染んでしまうべきか

脱衣所で髪をドライヤー乾かし、服を着替える。怪我をしていたハズの背中も傷はなかった

浜面(髪、そろそろ染め直さねえといけねえかなぁ)

などと思いながら休憩所に移動し、ふと茣蓙の休憩スペースに目をやる。他の連中は出てるかな、程度の考えだった

が、そこに居たのは、自分が間接的に殺した、顔を持つもの。表情に色があり、友達と楽しそうに会話をしていた

他人の空似かもしれない。適当な場所に座り、隠れ見る

だが、どう見ても同じ顔である。僅か2時間以内に看取った顔なのだから、間違いようが無い

本来ならば、あの少女も浮かべることが出来たであろう笑顔が、浜面には許せなかった

なぜ、同じ顔の少女は人形のように殺され、方やこっちの少女は能天気に笑っているのか

今笑っている少女は知らないのかもしれない。自分と同じ顔の、同じ体躯をした人間が、まるで機械のように戦い死んでいっ たことを

フレンダとの会話で、同じような姿をした敵5人と戦い、打ち破ったということを聞いた。ここに同じ顔が居るということは、その5 人ももしかしたらあの少女と同じ顔をした、クローンのようなものだったのではないだろうか

 

ならばなぜ、この少女だけが ……

スキルアウト時代、人を拉致した経験が無かったわけではない。無論それは、決して自己の性欲を満たす為ではなく、敵対す る他集団の行いを諌めたり平和的に問題を解決する為という目的の元で行ったのだ

特に友人の半蔵は、その手の動きに詳しく、そのイロハは実践で学んだ

少女が牛乳を飲み干し、ひとしきり友人と話をし終わった後、席を立つ

恐らくはトイレ

浜面の動きは早かった。女子トイレに清掃中の看板を立て、他の階へ誘導。上の階は店は無く、ただ自販機とソファがあるだけで、施設設備・管理の部屋が多い

当然、人が少なく、慣れない少女は迷う

佐天「あっれ、トイレどこ?」

少女が呟いた瞬間、後ろから腕を首筋に回し、首を一気に圧迫、声を封じてそのまま管理室へ引きずる

中ではゴウンゴウンと巨大な何かの駆動する音がした。外からは聞こえなかったので、この部屋の防音はかなりしっかりしているらしい

部屋に入るなり、首の拘束をとき、突き放す

急にこんなことを、しかも明らかにチンピラ風の男にやられると、一女子中学生でしかない佐天にとって考えられる事は一つだ

機械の音が、自分の悲鳴をかき消し、目の前の男には力でも勝てそうにない。パニックに陥りそうな自分を何とか抑え、冷静を保とうとする

男がぐっと近寄る。助けも来そうにない。ああ、このまま力ない自分はこの男にされるがままにされてしまうのか。そう思うと悔しくて、そして恐怖で涙が出てくる

手が伸びる。衣類でも裂こうというのだろうか。そう思って、目を閉じる。だが、男は胸倉を掴み、耳元で声を張り上げる

浜面「なんでテメェはそんなにヘラヘラできるんだ……!」

何の事かわからない。恐怖と混乱が少女の頭を支配する

浜面「テメェだけが笑ってていい訳がねえだろ!知らない、だけじゃ済まされねえ、許されねえ!! 」

浜面「この都市で、不満を持たずにぬくぬく生きてるだけで、犠牲があるのを知らない!そんなことは許されない、俺が許さない! 」

浜面「お前には、お前だからこそ、知る義務がある。知って苦しむ義務がある。仕方無しにしても、それから目を離して今のままで有り続けるなら、俺はお前が許せない」

浜面「何の事かわかんねえ、って顔してんな。その分かんねえって事自体が許されねえんだよ」

佐天を壁に押し付け、腰から一本のナイフを取り出す。それは、あの死んだ少女の使っていた物。そんなことは当然知らない 少女は一瞬、死を覚悟した

それを勢いよく佐天の左肩と頭の成す空間に突き刺した。数本の髪が切れ落ちる

胸倉をつかんだ拳を緩めると、そのまま少女は崩れ落ちた

そのまま、無言の少女をじっと男は見つめる

佐天(……なんなのさ。アタシの、何が悪いんだよ)

佐天(知らないことが、罪?わかんないよ。あたしがなにか、わることしたの?)

佐天(ともだちと、ふつうに笑いあっちゃ、だめなの?わかんない)

佐天(何を知らなきゃだめなの?なんでアタシじゃないとだめなの?)

佐天(おかしいよ。ここ最近わけわかんないことばっかりじゃんかぁ)

泣き声に嗚咽が混じりだす。混乱しているんだろう

浜面「泣くんじゃねえ。泣きたくても泣けずに逝った奴だっているんだ」

逆に涙目を大きく開いて、浜面を睨み上げる

佐天「……さっきからなんなのよお゛!権利とか義務とかっで!なんでア゛ダシなのよぉぉお゛」

浜面「教えてやる。ついてこい」

身を屈め、崩れた少女を引き起こし、壁のナイフを少女に渡す

浜面「まずは涙を拭け。んで、お友達に先に帰るとでも言うんだな」

少女は、浜面が渡したハンカチで涙をふき、ナイフホルダーを浜面から貰って、部屋を出た

男もしばらくして、部屋を出る

浜面「もしもし、麦野か?」

麦野『あぁ?なんだ馬鹿面か。何よ、私たちはまだゆっくりしてくつもりなんですけど』

浜面「すまん。ちょっと用事が出来た。運転手は他に用意しておくから、麦野たちはそれで帰ってくれ」

麦野『へぇ、いいケツした女でも見つけたの?頑張んな童貞君』

浜面「うっせえ違ぇよ。で、ちょっと確認、今日本来この後あった仕事の場所は、23学区の樹形図の設計者情報総受信セン ターだったんだよな」

麦野『そーよぉ。今頃たぁくさん敵の防衛部隊が配備されてるだろーさ。なんでそんなことを聞くのよ』

浜面「い、いやぁ、俺がどっかにいってる間に緊急の仕事が入って、ピンチになったところで俺が颯爽と登場するため、かな」

麦野『……ア、アハハハハハハハハ!!!冗談、は、顔だけにしてよね。アンタなんて、ハヒッ、颯爽と、敵の的に、なるだ けだっての。ンフフッ、まぁ期待しておくわ、ヒーローさん。じゃね』

そのまま携帯で他の下部組織員にメールで麦野達のドライバーを頼み込む

あとは、あの少女が戻ってくるかどうかだ

 

 

 

 

垣根「あぁ?変更だと? 」

定規「そ。23学区の樹形図の設計者情報総受信センターに立てこんでるやつらの削除。第四位のいるアイテムには手が負えないだろってことで、こっちに来たの」

垣根「おいおい、原子崩しも形無しだな。じゃあ、場所の見取り図を」

頭からケーブルが多く出ている少年が、大きなモニターに見取り図と現在の状況を並列表示させる

砂皿「敵はヘリで離脱する様だな」

垣根「そうだな。ジャマ―の類をフルに発動させて、ってとこか」

定規「軍事用のとか使われちゃったら、足が速くて追っかけられないわよ」

砂皿「となれば、乗り込む前に狙撃したいところだ」

垣根「狙撃面でも対策されてるだろーよ。よし、作戦の手順はこうだ」

①砂皿がヘリの乗り込み時に狙撃できる場所に付く

②垣根が単身潜入、妨害気流などの装置を優先して機能停止にする

③プラグの少年と心理定規が攻撃を開始する

④潜んでいた垣根が逃げ始めた標的を殺す

④に失敗した場合⑤として砂皿が狙撃して標的を殺す

垣根「以上だ。何か異論は?」

定規「そう言えば、帝督が戦った白い女がでてくるかもしれないって。第四位達はそれに手を焼いたらしいわ」

垣根「アイツらは、俺の能力と同じものを持っていた。多少劣化していたとはいえ、手強い。俺が居ない場合に出てきたら精神感応系で攻める以外はないだろう。核はお前だ」

定規「了解よ 」

全員の顔を窺う。問題はなさそうだ

垣根「じゃ、行くぞ」

ブリーフィング部屋から出る瞬間、垣根はドレスの女に目で合図を送る

女は、御好きになさい、とすれ違いざまに呟いた

 

 

 

 

 

ローマ教皇「十字教最大にして最高の事業を前に、アメリカめ、やってくれる」

朝の式を終え、聖ピエトロ大聖堂のトップは椅子に座り、独り言ちた。その声には怒気を帯びている

足音がした

?「彼の国が歴史上最も、人種・民族・宗教の対立を理解しているのだ。してやられたな、教皇サマよ」

言葉の主の顔を一瞥し、睨みつける

教皇「事の発端をもたらしたのは貴様であろう。対立の原因は貴様等右腕のs」

一睨みで、言葉を遮る

?「見苦しい。20億の頂点らしく、もっと堂々としているべきだと思うが」

教皇「フランスを止る力も無しに、何が頂点か」

?「別の宗教であると割り切ってしまえばいいだけの事だろう?気にすることは無い」

教皇「十字教徒の聖典は細部は違えど皆同じ。その時に我らも選ばれることを確実たらんとすのは私の天命だ。より確実でより多くの人々の救済がなされねばならん。現段階ではもはや科学の都市など世界の中の1都市にすぎんのだ。同じ十字教としてイギリスとも」

パチパチ、と手を叩き、遮った

?「それもこれも、”繰り上げ”のせいだ。されば、この状況もいわば神の篩と考えてもよいだろう」

教皇「それが狙いか、貴様の」

?「浅い浅い。浅すぎる。俺様の底をお前なんかと比べても、答えなど永遠に出んよ」

興味が失せたように、教皇から目を背ける

?「なぁに、心配するな。次の戦いは俺様も出るが、指揮には関与しない。その辺は教皇たるお前の裁量だ。俺様が参加する以上勝利は確定だがな」

?「博愛主義のお前が講和を取り持てば、向うも折れる。統一さえしてしまえば、お前の悩みも取れるだろう? 俺様に任せれ ば、全て解決するんだよ」

そう言い残して、神の右腕のリーダー、右方のフィアンマは教皇の前を後にした

残された教皇は、ステンドグラスを仰ぐ

ああ、どうして主はこの時期をお選びになったのか。そう呟くしかなかった

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