◆Vcpe5R.4k2  (今のミサカの特等席で、未来の私の指定席)


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黄泉川「今日も今日とて仕事が終わり、やっぱり平和が一番じゃん」スタスタ

ガチャリ ガチャガチャ

黄泉川「ただいまーっ。明日は一応休みだしビールでも飲んでゆっくりしたいじゃーん」ギィィィ バタン

黄泉川「桔梗ー、冷蔵庫のビール出しといて欲しいじゃんよ。まっさか全部飲みきったなんて話あるわけ――――――」スタスタ ガチャ




打ち止め「抱いてくれなきゃやだやだやだやだやだやだやだやだやだぁぁぁぁぁ!!!」

一方「ぜェェェったいにだめだめだめだめだめだめだめだめだめェェェェェ!!!」

芳川「……あら愛穂、おかえりなさい」ゴロゴロ




黄泉川「」

黄泉川「えっ?」
芳川「何? そんな所に突っ立って。ビールを出せば良いのよね」ムクリ

黄泉川「え、あ、そうだけど…………、なななにもかにもないじゃん! 一体全体何がどうしてこうなったじゃんよ!」

芳川「? ――――――ああ、あの二人のこと?」

黄泉川「それ以外にあるわけないじゃん!? しかも何で私がいない間に大人の階段三段飛ばしで駆け上ってんの!? 私も一度は打ち止めに『赤ちゃんってどこから来るの?』って聞かれたかったじゃん!」

芳川「何言ってるのよ。それに……別に貴方が言うほど大人の階段登ってるわけでも無いと思うけれど」

黄泉川「……へえ、あれが?」チラッ



打ち止め「じ、じゃああなたはミサカの事捨てるんだ! ポイなんだ! 都合が悪くなったら投げ出しちゃうんだ! そんなの非道い、ってミサカはミサカは声も高らかに!!!」

一方「ンな訳ねェだろォがガキィィィィ!!! 俺はもう二度と捨てねェって決めたンだよクソが!!!!」

打ち止め「じゃあ抱いてくれても良いじゃない!!」

一方「それとこれとは話が違ェェェェ!!!!」

打ち止め「抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いて抱いてってミサカはミサカはミサカはミサカは」

一方「抱かない抱かない抱かない抱かない抱かない抱かない抱かない」



黄泉川「あのやり取りを見ておいてどぉぉぉの口でそんな事抜かしてる、じゃん、よ」グググググ

芳川「ち、ちょっと愛穂顔が近い、落ち着いて!」


黄泉川「落ち着いてられるわけないじゃん! 何で揉めてんのか知らないけど止めてこなきゃ!」

芳川「あ、ちょっと待ちなさい」グイッ

黄泉川「ぐえっ」キュッ


黄泉川「ゲホっ……急に何すんの、死ぬかと思ったじゃん!」

芳川「今は口出しちゃ駄目よ。愛穂、KYな事はやめたほうが良いわ」

黄泉川「KY……っていうと」

芳川「空気読めない」

黄泉川「KYじゃん!? え、何? 私KYなんじゃん!?」

芳川「かんっぺきなKYよ。そもそも内容もわからないのに入っていっても無闇に場を混乱させるだけでしょう」ハァ

黄泉川「若干腹立つけど、今は置いとく。そうまで言うなら何がおきたのか、ちゃきちゃき話すじゃん!」ギラッ

芳川「はぁ、ちゃんと順を追って話していってあげるわよ」

芳川「少し前だったけど、まず打ち止めが――――――」


~~~~


芳川「…………」ゴロゴロ

打ち止め「ぁ……ぅ……」ウロウロ

一方「…………」

打ち止め「ん…………」ウロウロ

一方「…………」グビリ

打ち止め「ね、ねえねえ」モジモジ

一方「……ァ?」

打ち止め「…………なんでもない」

一方「…………」グビリ

打ち止め「…………」ウロウロ

一方「なァァァァンなンですかァァァァ!!?? さっきから何かいいたそォにウロチョロうろつきやがって!」ゴッパァァァァァ!!

一方「あァっ、コーヒーがァ……」


打ち止め「ご、ごめんなさい! ってミサカはミサカはあなたに迷惑をかけたりするつもりじゃあ……」

一方「…………」フキフキ

打ち止め「…………」シュン

一方「なンの用だったンだ」

打ち止め「…………え?」

一方「言ってみろ。コーヒー淹れたら聞くだけは聞いてやる」

打ち止め「……良い、の?」

一方「まだ聞いてもいねェのに判断できる訳ねェだろ」


打ち止め「あのね、お願いがあるの。って、ミサカはミサカはもったいぶってみる」

一方「良いからさっさと言え。なンだ?」

打ち止め「抱いて欲しいな」

一方「ふゥん……?」グビリ

打ち止め「って、ミサカはミサカは一大決心と共に告白してみr」

一方「ぶゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!」ブーッッッッ!!!!

打ち止め「わぁ、きったなぁい!? ……こういうのってがんしゃって言うんだよねって、ミサカはミサカは新しく仕入れた知識を披露してみる」ムッフー

一方「どこで覚えた、ンなお下品な言葉ァ! お前にはまだ早い!」クワッ!

一方「そもそもいきなり抱けたァどンな了見してるどこの尻軽だァ!? ンな風に育てた覚えはねェぞ!!!」

打ち止め「む! そんな軽い気持ちで言ったんじゃないもん! ミサカはミサカは、そりゃもう山よりも深く海よりも高い決意を持ってあなたに言ったのに!」

一方「尚悪いじゃねェか! 年考えろ年ィィィィィ、その眼下に広がる山より深く海より高い盆地に聞いて見やがれってンだ断崖絶壁がァ!!」

打ち止め「ぁああああ! 今言っちゃいけないこと言った! ふん、もう後何年もすればぼんきゅっぼぉぉんのないすばでーになるんだから! ってミサカはミサカは今はまだ無い胸を張ってみる!」



~~~~

黄泉川「よしわかった、さぁて早速二人を止めてくるじゃん」ダッ

芳川「Hey stop」ガシッ

黄泉川「うぐぇ」キュッ

黄泉川「」


芳川「……あら?」

黄泉川「黄泉川が黄泉の川渡りそうになっちゃった☆ ってやかましいじゃん! 今度は何!?」

芳川「だから口を出しちゃ駄目よ。愛穂、貴方KYJだわ」

黄泉川「KY……J、って何の事じゃん? ジャパン?」

芳川「空気読めないじゃん」

黄泉川「KYJじゃん!? KYJなんじゃん私!?」

芳川「かんっぺきなKYJよ。そもそも話はまだ終わってないわ」

黄泉川「……今度は最後まで聞くじゃん」

~~~~


一方「……落ち着いたか?」

打ち止め「そう言うあなたも落ち着いた? ってミサカはミサカは聞き返してみる」

一方「情けなくも取り乱しちまったじゃねェかクソがァ……、コーヒーも無駄ンなるし。ホレ」フキフキ

打ち止め「ん……」

一方「で、結局なンの話だったンだ?」

打ち止め「あ、あのね! もうおわっちゃったけど、さっきのテレビでこぉんな白いおっきいドレス着た女の人が男の人にこんな風に抱かれてたの。こう目の前に抱えるみたいに……、ってミサカはミサカはジェスチャーしたり」

一方「…………結婚式かァ?」

芳川「ああ、さっきそんなドラマやってたわよ。多分それの事ね」

打ち止め「それで、その女の人がすっごい幸せそうだったしね? だから、ミサカもミサカもあなたに抱いてもらいたいなぁって!」

一方「却下」

打ち止め「即答!? あ、あなたの愛をまったく感じないノーシークだ! ってミサカはミサカは頬をぷくー!」プクー

一方「アホらしい事言ってンじゃねェよ。そこで暇してる誰かさンにでもしてもらえ」

打ち止め「誰かじゃ意味ないもん! あなたに抱いてもらうのが大切なの!」

一方「俺がァ? …………はっ」プイッ

打ち止め「むぅぅぅぅぅぅぅ、減るものじゃないんだから良いじゃない! ってミサカはミサカは地団太を踏んでみたり」ダンダン

芳川「打ち止め、貴方が言ってるのってこう体の前で、背中と足を持ってもらう抱き方でしょう?」

打ち止め「そうそれ! よくわからないけど、お互いの顔を見ながら抱いて貰うのって素敵じゃない? ってミサカはミサカは芳川に首を傾げてみる」

芳川「それね、お姫様抱っこって言うのよ。すっごく仲が良い男女の間でする抱き方ね」

打ち止め「お姫様だっこって言うの? 素敵! ミサカもミサカもお姫様になりたいな、ってあなたの方をチラッチラッ」

     ____
    / ⌒  ⌒  \
  ./( ―) ( ●)  \
  /::⌒(_人_)⌒:::::  | チラッ
  |    ー       .|
  \          /
              
                                             / ̄ ̄ \
                                            /   ヽ、,_  \
                                           (●)(● )    |
                                            (__人___)     |
                              一方「早く(ピーッ)よ」     '、`⌒ ´     |
                                             |        |
                                             ヽ 、     イ



芳川「良いじゃない、やってあげたら? 女の子はウェディングドレスやお姫様抱っこに憧れる時期があるのよ。打ち止めも立派な女の子って事ね」

一方「ン? …………あァ、まだドレスに憧れ続けてる芳川さンは流石言うことに重みがあらァな」ププッ

芳川「」ビキビキビキビキ

打ち止め「ね? ね? 抱いて欲しいな!」

一方「だァめだ。ンな面倒な事やってられっかよ」

打ち止め「………………ふん、あなたがそんなにケチんぼだとは思わなかった、ってミサカはミサカは鼻息を荒くふんがいしてみる」ムスー

一方「ケッ、ヘソ曲げたってやンねェもンはやンねェぞ」

打ち止め「じゃあテレビでも見てこようっと……」トタトタ

一方「………………ハッ」グビリ

打ち止め「とか言って気を逸らした隙にミサカはミサカは近づいてぇえええええええええええ!!!」ガメンハジィィィィィ

一方「ぐふォァァァァ!!!!」ゴッパァァァ

打ち止め「そんなもんであきらめると思ったら大間違い! ってミサカはミサカは往生際が悪い所を見せちゃう!」

一方「クソガキィィィィィィィィ!!!! テメェ俺ンコーヒー何杯無駄にすりゃ気がすむンだこらァァァァ!?」

ギャーギャーガーガー

芳川(………………)

芳川(テレビでも見ようかしら)ピッ



~~~~

芳川「と、いう話だったのさ」

黄泉川「ちっともめでたくないじゃんか……。でも最初は驚いたけど、蓋開けりゃかわいいもんだったじゃん」

芳川「でしょう? だから放っておいた方が良いのよあの程度なら。本人たちでなんとかするでしょ」

黄泉川「うーん…………、やっぱり桔梗も向いてると思うんだけどなぁ」

芳川「何が?」

黄泉川「先生。なんだかんだで世話焼きだから悪くないと思うじゃんよ」

芳川「……無理ね、線引きができないから」

黄泉川「残念じゃん」

吉川「それはそうと、あっちはあっちでそろそろ大詰めっぽいわよ」


一方「大体百年早ェンだよクソガキィ! そんな凹凸のねェ背負いやすっそうな体型しやがって、テメェにはオンブが似合いだ!」

打ち止め「人の体でさべつしちゃいけないってヨミカワも言ってたのに、サイテー! それにミサカの体がぺったんなのはミサカのせいじゃないもん!! ってミサカはミサカは反論してみる!!」

一方「誰のせいとかかにのせいとかじゃねェ! と・に・か・く、俺がテメェに抱っことやらをしてやる謂れはねェぞ!」

打ち止め「う、うううううううううううう」

一方「悔しかったら背負いにくそォな体型になってから言え! それまでは聞く耳持たねェからな!!」

打ち止め「……………」ウルウルウル

一方「…………ァ」

打ち止め「あ、あなたがそんなおっぱい星人だなんて知らなかった! ば、ば、ば、ば、ば、ば、」


打ち止め「ばかああああああああああああ、うわあああああああああああああああああん」ダダダダダダダダダ ガチャバンッ! ダダダダダ……


一方「」ポカ-ン

黄泉川「あーあ、泣かしちゃったじゃん」

芳川「女の敵ね」

一方「うおっ、黄泉川テメェいつの間に!」

黄泉川「こっちに構ってる暇があったらさっさと連れ戻してくるじゃん。あの調子だと外まで飛び出していっただろうし」

芳川「どうせ抱っこしてあげない理由も、面倒くさいとか恥ずかしいとかそんなものでしょう? とっとと逃げ出したお姫様を連れ戻して来なさい」ヒラヒラ

一方「なっ!? そ、そンなンじゃねェ……」

黄泉川「…………」ジトー

芳川「…………」ジトー

一方「…………」ダラダラダラ

一方「わァったよ! 行ってくりゃ良ィンだろォが!!」ドスドス

黄泉川「うまくやるかな? 一方通行の事だからまた変な意地張りそうだけど」

芳川「それでもなんだかんだでうまくやるわよ。だって打ち止めがお姫様なんでしょう? なら一方通行は、ね?」プシュ グビッ

黄泉川「あ、一人抜け駆けはズルいじゃんか。私も飲むじゃん」プシュッ

芳川「ふふっ、かんぱーい」カンッ

 


一方「近くにはいなかったから……、どっかに行っちまいやがったか」キョロキョロ

一方「仕方ねェ、適当に歩いて探すか」コツコツ
一方「…………」コツコツ

一方「ったくゥ、ンで俺がこンな事…………」コツコツ

一方「大体あのガキはなんにでもかんにでも、動物みたいに興味しんしんで首をつっこんでいきたがりやがる」

一方「どンだけ多感な年頃ですってかァ? ワガママ放題だしピーピー喚くしよォ」

一方「………………」

一方(…………まあ、知識ばっかで経験も糞もねェアイツの生い立ち考えりゃ無理もねェかもしれないが)

一方(っつったってどの面で俺が優しくしてやれってか? 同じ顔を一万ばかり纏めてブッ殺したこの俺が? 笑わせやがる)

一方(それに……、お姫様だっこだァ? ンなこっぱずかしィ事やってられっかよ)



一方(――――――お、道の向こうにいンのは……やっぱり打ち止めか)

一方(さっさと捕まえて連れ帰ってやるか。面倒かけやがる)コツコツ

打ち止め「!!!」タタッ

一方(……ン、気づかれたか? 逃げ出しやがった。……ッッ!!)

一方「馬鹿糞ガキッ!! せめて前見て走りやがれ!!」ダッ

一方(逃げたまま道に飛び出しやがった……! 横から――――――トラックだとォ!?)

一方(間に、合えッッッ!!!)カチッ

打ち止め「ひっく、ぐすっ」タタタタ テクテク

打ち止め「知らない! もう知らない! 愛想が尽きた! 実家に帰る! ってミサカはミサカは抑えきれない怒りを何の罪も無い電柱にぶつけてみる!」ガッ

打ち止め「いったぁああぁあああああい!! ぅぅぅぅぅぅ、これも全部あの人のせいだ、ってミサカはミサカは全部あの人のせいにしてみたり」

打ち止め「ちょっとくらい……ちょっと抱いてくれるくらいしてくれても良いのに。ホントあの人ったら越後屋よりもドケチなんだから、ってミサカはミサカはぶーたれてみたり」

打ち止め「…………」テクテク

打ち止め(そりゃミサカもミサカでちょっとワガママ言っちゃったかも? っていうか結構いきなりワガママ言っちゃったかも? ってミサカはミサカは思わなくも無いけど)

打ち止め(だからって言っても断崖絶壁とか盆地は酷い! へこんではないからどんなに酷くても、せめて平地はあるもん! …………ってミサカはミサカは自分で空しくなってきた)

打ち止め(…………)

打ち止め(ミサカは、あの人に甘えちゃってるのかな)

打ち止め(それもあの人の好意じゃなくて、あの人の罪悪感に甘えてる)

打ち止め(あの人は、ミサカ達にしてきた事をすごく気にしてるから、ミサカが何か言っても最終的には折れてくれる事の方が多い。って、ミサカはミサカは分析してみる)

打ち止め(…………あの人は、ミサカの事何とも思ってないのかな。罪悪感でずうっと接してくれてるのかな、ってミサカはミサカは推測してみる)

打ち止め(そんなのやだな、ミサカはこんなにあの人の事好きなのに、それなら冷たくされてる方が……でもやっぱり冷たくされるのもイヤだし、ってミサカはミサカは複雑な気持ちの海におぼれみる)

打ち止め(それにミサカはあの人に迷惑かけてばっかりで、何にもしてあげれてないや。ミサカも一方通行だ、ってミサカはミサカ……は……)ウルッ

打ち止め(………………)

打ち止め(暗い事ばっかり考えててもしょうがないから、今は違う事考えようってミサカはミサカは気を取り直してみたり)ゴシゴシ


打ち止め(…………飛び出して来ちゃったけどどうしよう、お金なんて持ってないし。って、ミサカはミサカは出だしからポジティブシンキングの失敗に苦い顔をしてみる)

打ち止め(そもそも、ここどこだろう。適当に走ってきちゃったからわかんなくなっちゃったかも、ってミサカはミサカは辺りをキョロキョロ)キョロキョロ

打ち止め「!!!」

打ち止め(あ! あれあの人だ! 追いかけてきてくれたんだ! ってミサカはミサカは何故か跳ねる胸に驚いてみたり!)

打ち止め(ででででも、まだ心の整理もできてないし何言えばいいかわかんないし。それに、いきなり飛びついちゃったら軽い女だと思われる、って本にも書いてあったし)

打ち止め(ひとまずあの人から逃げ出す為に、ミサカはミサカはとりあえずダッシュ!!)タタッ

一方「ッ!!  ば…………ガキ……前……走…………!!」

打ち止め(あの人あんなに必死な顔しちゃって、それだけミサカの事心配してくれてたのかな? ってミサカはミサカは何故かちょっぴり嬉しくなってたり)タタッ


キキィィィィィィ

打ち止め「――――――え?」

あれ?


トラックが、何でミサカのこんなに近くにいるんだろう。なんで音が聞こえなくて、こんなに世界がゆっくりなんだろう。

ミサカの手も動かないし、ミサカの足も動かない。でも、トラックがゆっくりミサカに近づいてくる。これって、前にテレビで見た死んじゃいそうな時にものが止まって見えるってやつ?

ひょっとして、ミサカはこんな所で死んじゃうのかな。



…………どうせなら、前のミサカ達みたいに、あの人にしてもらった方が良かったかも。

もしそうなら、あの人とお話する時間はあったし。ちゃんと頼んだら、あの人とご飯も食べれるかもしれないし。『その時』が来るまで、もしかしたら散歩なんかもできるかもしれないし。

あの人の顔を、あの人の近くでずうっと見ながら死んだらもしかしたら、あの人は泣いてくれるかな。

そうじゃなくても、ずっと覚えててくれると思う。自分が手にかけたミサカ達の事を、あの人はずっと覚えてたから。


でも、ミサカみたいにトラックに撥ねられて死んじゃったら、あの人はミサカの事ちゃんと覚えててくれるかな。

自業自得だけど。飛び出したのはミサカだけど、折角なら。近くじゃなくてもいいから、あの人の顔を見ながら死にたかったな。


他のミサカ達は、どんな気分で死んでいったんだろ。ミサカ達が見てたのはあの人の顔なのに、ミサカが見てるのはただのトラック。

最後の睨めっこの相手がトラックだなんて、すごいかっこわるいな。って、ミサカはミサカはミサカ達に嫉妬。

だからせめてもう一度あの人の顔を、お姫様だっこみたいな距離で見るまで




死にたく、ないな。って――――




ぐしゃり




打ち止め「………………あれ、生きてる? ってミサカはミサカは……」

一方「そォやって尻もちついてヘタりながら……そォだな、例えばまあ命乞いでもしてンのが似合いだ、テメェらは」

打ち止め「え……? あ、あなたが助けてくれたの……?」


男A「お、女の子が撥ねられそうになってたトラックを少年が止めた!?」

男B「き、救急車呼べ救急車! アンチスキルでも良い!」

男C「トラック前面グシャグシャじゃねえか……、あ! 運転手が目回してんぞ!」

ザワザワザワ

一方「……チッ。おい打ち止めァ」

打ち止め「――――!」ビクッ

打ち止め「な、な、何……? って、みみミサカはミサカはあたふたしながらも必死にそっけない態度を」

一方「……怪我はねェか?」

打ち止め「あ………………」

打ち止め「……うん、大丈夫ってイタッ!」

一方「足でも捻ったか?」

打ち止め「……そうかも、ってミサカはミサカは意識したとたんに痛くなってきたのを我慢しながら答えてみる」

一方「騒ぎになってンのは面倒だ、移動すンぞ」スッ


打ち止め(だ、だっこしてくれるのかな…………?)ドキドキ

一方「乗れ」カチッ

打ち止め「…………」

打ち止め(――――――そうだよね。散々迷惑かけちゃっておまけに助けて貰ったんだし、おんぶして貰えるだけでもありがたいよね、ってミサカはミサカは自分を理屈で納得させてみる)

打ち止め「わかった」ヒョイ

一方「舌噛むンじゃねェぞ」ダッ
一方「十分離れはしたがさっきの場所通るわけにもいかねェし、少し遠回りして帰る。良いな」スタスタ

打ち止め「うん……」






打ち止め「ね、ねえ」

一方「ァン?」スタスタ

打ち止め「助けてくれてありがとって、ミサカはミサカは切り出してみる」

一方「そォ思うンなら次からは前見て歩け。毎回間に合う保障はねェぞ」

打ち止め(…………それでも、毎回助けてくれるつもりなんだ。やっぱりあなたは優しいね、ってミサカはミサカは内心でつぶやいてみる)

打ち止め「さっきは、ごめんね? 我侭言っちゃって。って、ミサカはミサカは反省してみたり」

一方「…………」スタスタ

打ち止め「それで結局あなたにまた迷惑かけちゃった。もう、あなたに迷惑かけたくないって思って、迷惑かけないようにしようって決めてたのに」

一方「…………」

打ち止め「さっきのもほんとはあんなつもりじゃ無かった。ただ……ミサカもあなたに抱いてもらったらすっごい幸せだろうな、って思ったの。って、ミサカはミサカは言い訳してみる」

一方「…………」
打ち止め「あんなに近くで、あなたの顔を見ながらくっつけたら幸せかなぁって。そしたら、あなたにあんなにスグやだ! って言われてカッてなっちゃって……」

一方「…………」スタスタ  ピタッ

一方「なァ」

打ち止め「え? な、なにかな? ってミサカはミサカはビクッとしながら恐る恐る聞いてみる」


一方「打ち止め、俺はテメェの撒き散らす事件だの何だのを面倒だとは思っちゃいるが迷惑とは思っちゃいねェ」

打ち止め「どういうこと?」

一方「……俺はしてェ事だけして生きてンだ。お前がごちゃごちゃと足りねェ頭絞って考える事はねェよ」

打ち止め「…………」

一方「お前は、好きなように生きてろ。俺が、好きなように生きてるみてェにな。ただ、いらねェ面倒はかけンじゃねェぞ」スタスタ



打ち止め(…………えっと、えっと)

打ち止め(ミサカと一緒にいてくれてるのも、好きでいてくれてる、ってこと? 嫌々じゃないってこと? あなたに、嫌われてないってことだよね……? って、ミサカはミサカは内心であなたの言葉をかみ締めてみる)


打ち止め(…………うれしいなあ)



打ち止め「…………うん」ウルッ

一方「もう一つ聞きてェ事があンだが」

打ち止め「なになに? って、ミサカはミサカは取り繕うように声を張り上げてみる」ゴシゴシ

一方「なンでよりにもよって俺だったンだ? そいつを……、その、抱いて欲しィのが」

打ち止め「………………」

打ち止め「ふんっ」ムスー


一方「な、なンとか言えよ」

打ち止め「……無神経、鈍感、ぼくねんじん。って、ミサカはミサカははき捨てるようにもらしてみる」

一方「……なンかすげェ勢いでディスられてンだが」

打ち止め「お姫様だっこ!」

一方「そいつがどォした?」

打ち止め「だってもしお姫様がミサカなら、王子様はあなたしかいないもん! ってミサカはミサカは口をとがらせてみたり」

打ち止め「さっき助けてくれたのも、ピンチの時に助けてくれる王子様(ヒーロー)みたいでカッコよかったから。ミサカの王子様はあなただけが良いの! だからあなたのお姫様はミサカだけが良い!  って、ミサカはミサカは何が悲しくてこんな恥ずかしいセルフ説明をしてるんだか」

一方「………………」

打ち止め「………………」

一方「………………」

打ち止め「な、何か言って欲しいんだけど、ってミサカはミサカは汗がタラタラ」

一方「………………おぶりにくい体型になったら、してやる」

打ち止め「……何を?」

一方「抱いてやる方が様になるよォになったら、してやるってンだ」

一方「わかンねェならデカくなってからのお楽しみにしとけ」フイッ



打ち止め「――――――あはっ」

打ち止め「ねぇねぇ!」

一方「こンどはなァンなンですかァ?」スタスタ

打ち止め「抱いて貰えなかったのは、凄く残念だけど」

打ち止め「でもね。抱っこと違ってあなたの顔は見えないけど、あなたのあったかさを体でたくさん感じられるから」

打ち止め「おんぶも好きだよ! って、ミサカはミサカはあなたにギュー!!」ギュゥゥゥ

一方「ぐェェ」

打ち止め「ぎゅうううううううううう」

一方「く、クソガキやめろ苦しィ…………」ギリギリギリ

打ち止め「それとね? ミサカはミサカはどさくさにまぎれて大胆に告白してみる!」

打ち止め「ミサカは、だっこよりおんぶよりあなたの事が一番大好き!!」


満面の笑みで輝く少女の表情は、少年のそれをも照らす。

本当に嬉しそうな笑顔だった。本当に幸せそうな笑顔だった。

苦々しい表情を装ってはいたものの、少女のそれを受けてか少年もうっすらと笑っていた。


今の二人の様子、少年におぶられる少女という光景は今しばらくの間、様になり続けるのだろう。

だから、少年が少女を抱く日はまだまだ来ないのかもしれないが。



しかしもしかすれば――――――その日は、そう遠くない日に迫っているのかもしれない。

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