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…………
よう心理定規。良いか、良く聞いてくれ。
この包みの中には、俺のこれまで集めた大事なデータやら、学園都市の機密が入ってる。
後、俺がアレイスターに直接交渉しようとしてる内容を、考え付く限り喋った。
もし俺が帰らなけりゃ……、この内容をスクールのメンバーに伝えてくれ。
それでもしも、奴等がそれに同調してくれんなら、俺も多少は救われる。
俺が直接、アレイスターに殴りこもうとも思ったんだが……。なんつうか、そうすると逃げてるみたいにも思えてな。
ここで戦うのをやめると、自分が自分でなくなっちまうみたいな……
第一位が憎いだの、土星のわっかの仇を討ちてえだのそんなもんじゃねえんだ。
上手くは言えねえが……奴と、一方通行と戦ってみたくなったんだ。
俺が能力者だからなのか、理由は自分にもよくわかんねえよ。
……なあ心理定規、俺は多分勝てねえんだろうな。その事でアレイスターやら一方通行を恨んでくれるなよ。
っつっても、俺とお前の間柄もそんなに仲良しこよしでもなかったんだがなぁ……。案外お前の事だ、身の程知らずがと笑ってるのかもしれねえな。
だが、アイツ……一方通行だって俺と同じで、何かに追われながら自分だけのものを探して生きてるだけだと思うんだ。
だから、俺にはもう悔いはねぇ。その事だけ、言っておきたかったんだ。
…………いや、悪いが嘘だ。どうしても言っちまいたい事があるから、どうせこんな場だから言っちまおう。
これは今まで誰にも言ってこなかった俺の秘密って奴だ。
……これまで、そんなチマチマ物を隠すような奴は碌な奴じゃねえ、って散々言って来た俺が滑稽に見えるか?
だが言わせてもらうぜ。どうせ最後かもしれねえんだ、悔いは残したくねえからな。
実は――――――俺の未元物質にだって、できねぇ事くらいある。
常識が通用しねえとかスマンありゃ嘘だった。大言壮語も良い所だ、便利ではあるんだがよ。
後、お前のアジトに置いてあったドレスを焦がしたのは土星のわっかじゃなくて実は俺なんだ。
回折光線で遊んでたら……、ついうっかり、な。
土星のわっかには悪いことしちまった。病院で寝てる奴に渡す用のトッテオキのネタも用意してあっから同封してるそいつを詫びに……あ、お前が開けんじゃねぇぞ。
それと最後に……これが一番重要なんだが。
その――――――俺、実は翼無くても能力だせんだよ。
その、だな。俺にも『そういう』時期ってのがあったんだが……その時に、ありがちなんだが、…………天使とか悪魔とかカッコイイと思っててなぁ
得意になってひけらかして吹いて回ったのは良いんだが……、研究員全体に広がってから後には引けなくなっちまって……。
出す場所もサイズも形も自由自在なんだぜ。こういうとこばっか常識が通用しなくても良いのによぉ。
だから、まぁ一方通行と戦う時位は翼無しでやってみんのも良いかと思ってる。最後くらい、卒業してぇじゃねえか中二病ってやつを、な。
……そういや、大昔に銭湯で股間に羽生やして「ゾウさん!」とかやってたのも。――――悶えたくなる過去のひとつだな。
ああ、あの時一緒に遊んだ「ベクトル操作二重の極みィ!」とか言ってたアイツ、元気にしてんのかな……。
ま、言いたい事言ってスッキリしたぜ。んなアホな話誰に出来るかって事だ、まあお前にはしたけどさ。
……この位にしとくかよ。ま、そういう話だ。どういう話だったか思い出せねぇなら、このビデオをもっかい最初から見りゃ良い。
これは、俺の最後の頼みだ。ま、もし俺が一方通行を叩きのめして第一位に収まったあかつきには必ずスクールの、この場所に帰ってきてやるよ。
お前に会いにくる、約束だな。……そろそろこれでお別れだ。
じゃあな、心理定規! 死なねぇ程度に愉快に気張って生きろよ! アレイスターのクソ野郎によろしくな! 』