シャナ「あんた何者なの?」上条「不幸だ……」5

七月十八日

カエル顔「いやー、全身打撲に全身火傷、あげくに右腕切断なんて、君どんな生活してるんだい?」

上条「はははは……」

 ここは、とある病院の病室。

 上条当麻は、あの後、三日間眠り続けた。

 ちなみに、眠っている三日間で怪我は完璧に治っていた。

 上条は、右腕を切断された後のことを、いまいち覚えていなかった。だが、こうして病院いるということは、あの少女が助けてくれた、ということだろう。

 あの少女、シャナのことを上条は考えた。フリアグネを倒した今、シャナはおそらくこの街にいないだろう。
上条「最期に一言、お礼言いたかったな……」

 と呟き、さぁて一眠りしようかなぁと、ベットに横になろうとする上条。

 しかし、突然バタン、という音とともに、ドアが開いた。そこには、長い黒髪をたなびかせ、とある高校の制服を着たシャナがいた。

シャナ「まったく、やっと起きたわね!! 三日間なんて寝過ぎよ!!」

アラストール「うむ、これは、鍛練が必要かもしれんな」

 入ってきてそうそう、二人は上条に容赦のない言葉をかける。

上条「な、な、なんでここに!?」

 上条が驚きながら尋ねた。

シャナ「あんたのあの時の力、到底普通とは思えない。それに、少しこの街で気になることがあるからね。もう少し様子を見ることに決めたの。」

 

上条「あはは、そうか」

 上条が言う。その顔には、笑みがあった。

シャナ「ん? なによニヤニヤして」

上条「いや、まだシャナと別れないですむんだな、って思っただけ」

 その言葉を聞き、シャナの頬が薄く染まる。

シャナ「なっ……、うるさいうるさいうるさい!! いちいち変なこというな、この馬鹿!」

上条「ははは……」

 上条は、思う。始めに非日常を持ってきたこの少女も、すでに上条の日常にいるんだな、と。


 上条が、守ると決めた日常に。






シャナ「あ、そういえば当麻、月詠小萌から伝言。『上条ちゃん治ったら夏休み補習ですからねー』だって」

上条「わ、忘れてた、補習のこと。うわっー!! 不幸だぁぁぁ!!」




 ―――上条は気付いていない。シャナが、上条のことを、「おまえ」ではなく「当麻」と読んだことを。
 それは、たんなる気まぐれか、それとも…………

 

 

―――

 

その部屋には、窓がない。いや、ドアも、階段も、エレベーターも通路すらなかった。

 そして、核シェルターを優に追い越す演算型・衝撃拡散性複合素材でできた最硬のビルに、一人の男が立っていた。

 金髪に、サングラス、アロハシャツを着た大男、土御門元春である。

 彼の前には、巨大なビーカーがあった。中には、緑色の手術服を着た人間が逆さに浮いている。

 その『人間』は、男にも、女にも見えて、大人にも子供にも見えて、聖人にも囚人にも見えた。

 土御門は、そんな『人間』に話しかける。

土御門「どういうつもりだアレイスター。わざわざ、"徒"と"フレイムヘイズ"を近づけない特別な"自在法"を弱めてまで、"狩人"と"炎髪灼眼"を学園都市にいれるだなんて!?」

 土御門の問いに、『人間』アレイスター・クロウリーは顔色一つ変えずに答える。

アレイスター「ふふふ、ただプランを遂行するのに必要なだけさ」

土御門「なっ!? 貴様、なにを考えている、まさか……」

 土御門は考え込んだ。そのようすを見たアレイスターが言う。

アレイスター「さぁ、話しは終わりだ、土御門元春。出ていきたまえ」

 

 

―――

 

ツインテールの瞬間移動能力者(実際は座標移動だか)によって、ビルの外に出された土御門元春は舌打ちをしながら考える。

土御門(……カミやんの"幻想殺し"が、まさかあれほどとはにゃー)

 土御門は思い出していた。三日前戦いを。あの時、土御門は封絶内にいた。

 首に下げていた、封絶内で動くことを可能とする特別な"宝具"の力によって、封絶内でも固まらなかった土御門は、あの時の、竜王の顎を見ていたのである。
土御門(まぁ竜王の顎のせいで、"栞"は壊れちゃったがにゃー)



 土御門元春は多角スパイである。それは、学園都市、イギリス清教だけの話ではない。"フレイムヘイズ"側にも、彼はスパイをしているのであった。

 
土御門(まぁ、過ぎたことはしょうがない、まずは新しい"栞"を貰うために"弔詞の詠み手"とでも連絡をとるかにゃー)

 と、土御門は携帯電話をとりだし、どこかへ去って行った。

 

―――

 

ツインテールの空間移動能力者(実際は座標移動だか)によって、ビルの外に出された土御門元春は舌打ちをしながら考える。

土御門(……カミやんの"幻想殺し"が、まさかあれほどとはにゃー)

 土御門は思い出していた。三日前戦いを。あの時、土御門は封絶内にいた。

 首に下げていた、封絶内で動くことを可能とする特別な"宝具"の力によって、封絶内でも固まらなかった土御門は、あの時の、竜王の顎を見ていたのである。
土御門(まぁ竜王の顎のせいで、"栞"は壊れちゃったがにゃー)



 土御門元春は多角スパイである。それは、学園都市、イギリス清教だけの話ではない。"フレイムヘイズ"側にも、彼はスパイをしているのであった。

 
土御門(まぁ、過ぎたことはしょうがない、まずは新しい"栞"を貰うために"弔詞の詠み手"とでも連絡をとるかにゃー)

 と、土御門は携帯電話をとりだし、どこかへ去って行った。

同時刻

 学園都市の外に、炎があがっていた。

 その炎から逃れるように、一人の少女が走る。

 しかし、少女の足では、炎を振り切ることはできない。

 少女に、容赦のない炎が浴びせられる。

 しかし、少女には傷一つ、いや服の焦げすらも付いていなかった。

??「いい加減諦めたらどうだい、もう逃げ場はないよ」

 少女の後ろから、声かけられた。しかし、少女は止まらず逃げ続ける。

少女(あそこの壁に、入り口がある。何とか入らないと……)

 少女が駆け込むと、まるで迎え入れるようにドアが開いた。

 少女は、必死でそこのドアを通る。


 そこは、学園都市



 そして、少女の名前は、禁書目録






 世界はまわっている
 主人公の知らないところで
 そして、それは、いつか必ず主人公の元へと導かれる…………

第一章 終

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最終更新:2010年10月12日 00:18
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