絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 > 1スレ目 > 05

番外個体「むー、まずい。貯金がそこを突きかけてきた」

番外個体「"一方通行ブッチギリ☆大作戦"の任務準備金をそっくりネコババしたけど、
       そもそも大した金額じゃなかったしね……」

番外個体「……そろそろ動かなきゃならないか」

番外個体「………」pipi pi

番外個体「……あ、もしもし。求人広告を見てお電話させて頂いたのですが……」

番外個体「はい、面接ですか? わかりました……はい、ではその時間で……」ピッ

番外個体「め、面接って、どんな服でいけばいいんだ?」

 

 

~数日後 番外個体個室~


番外個体「…………」

 【携帯電話】

番外個体「…………」

 [[携帯電話]] <ドーローローノーノーウーズーイー シャララシャカシャカ シャララシャカシャカ♪

番外個体「! はいっ、もしもし」

番外個体「はい、私です……はい……あ、ありがとうございます」

番外個体「……え? 明日からですか? だ、大丈夫です……はい、失礼します」

 【携帯電話】ピッ

番外個体「……き、決まった……」

 

 

 

~翌朝 きぬはた荘 玄関~


番外固体「それじゃ行ってくるね。夜は先に食べてていいから」

滝壺「いってらっしゃい。頑張って」


バタン


トテトテトテ


絹旗「ふわぁ……おはようございまふ。ミサワさんはお出かけですか?」

滝壺「うん。今日からアルバイトだって」

絹旗「ミサワさんが……そういえば、前に病院代がどうとか言ってましたね」

滝壺「……無理はしないでほしいな」

絹旗(滝壺さんも体晶中毒に超苦しめられましたし、通じるものがあるのかもしれませんね)

 

 

 

~第7学区某所 隠れ家的喫茶店~


番外個体「今日からよろしくお願いします」ペコ

マスター「うむ、当店は常連以外の客はあまり来ない。固くならず、自然体でやるのである」

番外個体「は、はいっ」

マスター「それでは、説明に入るのである。まずは――」

 :
 :
 :

番外個体(フヒー、覚悟してたけど、やっぱ大変だね)

番外個体(コーヒーの種類と淹れ方、レジの打ち方、掃除……覚えるだけで一杯)

番外個体(慣れてきたら軽食もやってもらうって言ってたな……こりゃ大変だ)

番外個体(さすがにケーキとパンを焼くのはマスターだけど)
<カランカラン♪


番外個体「いらっしゃいませー」

常連A「あれ? 新人さんかい?」

番外個体「はい、今日からお世話になるミサワと申します」

常連A「そうかいそうかい。ここのマスターは怖そうだけど、実は紳士だからさ。
     分からないことがあったらどんどん聞くといいよ」

番外個体「は、はいっ」

常連A「あ、それと、私が"いつもの"っていったらツナトーストマヨネーズ抜きだからね。はっはっは」

番外個体「え? あ、はい」

マスター「Aさん、うちの店員に手を出すのはやめて頂きたい」

常連A「おお、怖い怖い。あ、いつもの一つね」

番外個体(……こういうお店って、コーヒー1杯で1~2時間は普通なんだね)

番外個体(回転率わっるいなぁ……)


<カランカラン♪


常連B「ごめんくださいな、いつもの一つね」

番外個体「いらっしゃいませー。あの、いつものっていうのは……?」

常連B「おやおや、新人さんかい? 私の"いつもの"はケーキセットBとバタークッキーだよ」

番外個体「かしこまりましたー」

番外個体(……まさか、常連の人数分だけ"いつもの"を覚えなきゃいけないの? ありえねー)

 

 

 

~昼休み~

 


番外個体「なんか作って昼食にしていいって言ってたな……」

番外個体「どうしようか」ガサゴソ

番外個体「あれ? この卵、賞味期限明後日までだ」

番外個体「これでいいや、目玉焼きトーストにでもして……」

 :
 :
 :

番外個体「はー、分かってたけど立ち仕事は大変だ」マグマグ

番外個体「でもマスターも最初はガチムチで怖そうだと思ったけど、結構優しいし」

番外個体「頑張れそう、かな」

 

 

~午後の部~


番外個体「…………」ポケー

番外個体(昼過ぎたら一気に暇になっちゃった)

番外個体(食器……全部洗った。仕込み……終わってる。掃除は……閉店後)

マスター「…………」

番外個体(マスター、新聞読み始めたよ)

番外個体「…………」

マスター「ミサワさん、ちょっとよいか」

番外個体「はい、なんでしょう」

マスター「客もいない時間帯なので、買い物にいってもらいたい。
      買う物はここにリストアップしているのである」つ□

番外個体「わかりました、いってきまーす」

 

 

~第7学区 大通り~


番外個体(この辺にスーパーなんてあったかな……)

番外個体(一番近いところであそこのスーパーか……そこでいいや)

番外個体「さあ、行こ行こ」トタタタ

 :
 :
 :

番外個体「ええと、なんだっけな……」ガサガサ

番外個体「卵 20個、小麦粉 たくさん、レタス 1玉、ベーコン、ヨーグルト……」

番外個体「……たくさんってなんだよ」

 

番外固体「……うん、これで全部」

番外固体「あ、すいません、領収書ください」

番外固体「はい? 名前? あー……ミサワで。片仮名でいいです」

 


~その頃~


一方通行「ったく、なにが"終わったら迎えにこい"だァ」

一方通行「病院ぐらいもう一人で行けるだろォが……」

一方通行「……まあ、たまにゃガキの我侭に振り回されるのも悪くねェか」

一方通行「おォ? ンなところに喫茶店なんてあったか?」

一方通行「時間つぶしにゃ丁度いいか」カランカラン
マスター「いらっしゃい」

一方通行「ホット一つな」

マスター「銘柄は」

一方通行「あー……マンデリンってあるかァ?」

マスター「了解した。空いてる席に座って待っているのである」

一方通行(この威圧感……なにもンだ、こいつは)

 :
 :
 :

番外個体「お、重い……しかも、卵割らないように運ばないと……」

番外個体(小麦粉20kgは買い過ぎだったかな)

番外個体「はー、もうちょいだ……」
一方通行(ン、そろそろ時間だな)

一方通行「ごっそさン、いくらだァ?」

マスター「260円になるのである」

一方通行「はいよォ」チャリ

マスター「うむ、たしかに」


<カランカラン♪


番外個体「ただいまもどりましたー」

一方通行「……オマエは」

番外個体「え……えっ?」
番外個体「……一方通行……」

番外個体(なっ、なんでいるの!? 会ったとき何から話すかまだ決めてないよ!)

マスター「ああ、ミサワさん、買い物ご苦労であった」

番外個体「えっ、あ、はい」

一方通行「あァ、悪ィ。邪魔しちまったみたいだなァ」


<カランカラン


番外個体「あっ……(行っちゃった……)」

マスター「……?」


 :
 :

一方通行「……なァ、ワーストってやつ、覚えてるかァ?」

打ち止め「もちろん覚えてるよ! お姉様よりもお姉様なミサカだよね、ってミサカはミサカは即答してみる」

一方通行「アイツが今どこでなにしてるか、わかるかァ?」

打ち止め「うーん、無理かも。ロシアにいたときにあなたの脳波操作とミサカからの最高位命令で、
       MNWから強制遮断してからは一度も繋いでないみたいだから、ってミサカはミサカはちょっと心配」

一方通行「だよなァ」

打ち止め「それに、それを言い出したのはあなただよ? ってミサカはミサカは指摘してみたり」

一方通行「アイツの脳はMNWから負の感情を拾いやすいよォにできてンだろォ?
       だったら接続しなきゃいいだけの話だ」

打ち止め「失敗したら脳が損傷して再起不能になる恐れもあったのに、ってミサカはミサカはあなたの大胆さに驚き」

一方通行「いいだろォ、アイツが望んだことだ。憎しみに支配されたまま生きても面白くねェだろォ」

打ち止め「うん、番外個体って本来の性格はイタズラっ子だったよね! ってミサカはミサカは懐かしんでみたり」

一方通行「まァな……(アイツ……ンなとこで何やってたンだ?)」
マスター「今日はそろそろ閉店である。お疲れ様であった」

番外個体「はい、お疲れ様でした」

 :
 :
 ;

番外個体「はぁ……」コツコツ...

番外個体(初日からこんなことになるなんて)

番外個体(会いたいと思ってたのに、いざ会うと何もできなかったな)

番外個体(……いや、私は会って何がしたかったんだろう)

番外個体(……会えるだけでいい? 違う……私は何がしたいの?)

番外個体「あーもう、ムカつく……自分が超ムカつく」グシャグシャ

 

 

 

~同日深夜 番外個体個室~

 



番外個体「……はあ」

結標「さっきから鬱陶しいわね、なんなのよ」

番外個体「うーん、なんだろうね。自分でもよく分からない」

結標「……なに、恋する乙女みたいなこと言ってるのよ。らしくもない」

番外個体「こ、恋!? いや、そんなんじゃ……」ワタワタ

結標「え、なに、まさか図星なの?」

番外個体「あ、う……どうなんだろう」

結標「なになに、お姉さんに詳しく話してみなさい」wktk


 :
 :

番外個体「……ということなんだけど」

結標(一方通行なんかに会うためにロシアから? 大した行動力ね)

番外個体「やっぱり変だよね」

結標「それは貴女、恋ってやつよ」

番外個体「恋? そうか、これが恋……いや、なんか違うような」

結標「違うの?」

番外個体「人を好きになるって、どういうことかよく分からないけど……」

番外個体(そもそも、恋とか愛って概念がよく分からない……)

結標「なら、憧れって表現の方が近いかしらね」

番外個体「憧れ? 好きってことと違うの?」

結標「好きと憧れの違いは難しいわよ。その気持ちの持ち主ですら分からないものなんだから」

番外個体(こんなの、学習装置も教えてくれなかった……)

結標「貴女はさ、抱きしめてほしいとかキスしてほしいとかほっぺすりすりしてほしいとか思ってる?」

番外個体「んなっ///」ボシュッ

結標(あーもう、可愛いなぁ)

結標「ほらほら、どうなの?」

番外個体「そ、そこまでは……そりゃしてくれたら嬉しいかもしれないけど……」

番外個体「私はただ、あの人のようになりたいなって……」

結標「それじゃない」

番外個体「?」

結標「あの人のようになりたい、自分にはない物を持つ人に対する憧れでしょ?」

結標「人によってはそれを恋と言うのかもしれないけどね」

番外個体「自分にはない物……そっか、私は……」

番外個体「同い年でしょ……なんか面白がってない?」

結標「ぜーんぜん」
 :
 :
 :

結標「それじゃ、私はそろそろ部屋に戻って休むわ」

番外個体「あ、うん、遅くまでありがとね」

結標「ちょっとはお役に立てたかしら?」

番外個体「さっきまで頭の中ドロドロだったけど、今はスッキリしたよ」

結標「それはよかったわ。……じゃ、頑張りなさい」ウィンク


<バタン


番外個体「…………」

番外個体(なんで分かんなかったんだろ……)

番外個体(ロシアであの人に助けられたとき)

番外個体(最終信号のために形振り構わないあの人を見たとき)

番外個体(溜め込んだ憎悪を押しのけるぐらいに強く、実感してたハズなのに)

番外個体(あの時、離れたくないと思ったのも、きっと)
番外個体「ふー……」カシュッ

番外個体「私がブラックコーヒー飲み始めたのは、離れた直後からだったね」クスクス

番外個体「……近付きたいから……」

番外個体(……ちゃんと伝えよう)

番外個体(いまさら多くは望まないから……せめて、これだけは)

 

 

~結標個室~


結標「あーあ、らしくもないこと言っちゃったわ」ゴロン

結標「ブラックコーヒーでもやし……じゃなくて、もしやとは思ってたけど、まさかドンピシャとはね」

 [[携帯電話]]<アイシアウー フターリー シーアワセノーソラー♪

結標「? 真琴から?」ピッ

 

差出人:三澤真琴
     <m-worst@comodo.ne.jp>
件名:
日付:20yy/m/d 23:40
───────────────
さっきはありがとね、だいぶ自分
の気持ちを整理できた気がする

今度、私がバイトしてる店で何か
奢るからね

結標「ふふ、余計な気使ってるんじゃないわよ」

結標(この場で一方通行の連絡先をリークしてもよかったんだけど)カチカチ

結標(想い人の連絡先は自分でゲットしてナンボよ)カチカチ

結標「送信、っと」





差出人:あわきん
     <move_point@comodo.ne.jp>
件名:Re:
日付:20yy/m/d 23:48
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じゃ、アイスカフェオレとレアチーズ
ケーキね

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最終更新:2011年03月08日 23:10
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