キョン「学園都市? 」上条「交換留学? 」④


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【夕刻・男子学生寮・上条宅】

 

 

上条「つ、疲れた……」

禁書「も、もーうごけないかも……」

美琴「な、なんなのよ。あの女の体力は……」

姫神「も…無理………」パタン

黒子「ひ、姫神さん、しっかりして下さいまし!」

 あの後上条達はさんざん涼宮ハルヒに連れまわされ遊び倒し、帰ってきたのはもう夕方も過ぎる時間帯だった。

上条「アイツらいつもこんな団活してんのか……タフすぎだろ……」

 あの団活の激しさに思わず愚痴ってしまう。勿論、毎度毎度ここまで疲労困憊するほどSOS団の面々はタフでは無い。
 SOS団の団活は部室でダラダラしていることがほぼ八割方を占めている。だが、ひとたび団長である涼宮ハルヒが何か思いつけば、本日の団活はその思いつきに付き会わされることとなる。
 そしてその思いつきは大抵、普段の団活の静かさを破壊して回るがごとくハードだ。いつもであればSOS団の面々がハルヒの暴走を止めるべく表でも裏でも東奔西走、四苦八苦、艱難辛苦の末にハルヒの機嫌を損ねること無く沈静化させるのだが……今回は少しばかり事情が違った。
 原因はテンションの高さとそれによる罪悪感である。
 彼女にしてみれば、誰よりも何よりも待ち望んだ不思議。それが目の前で繰り広げられれば彼女の機嫌は天を突くばかり。天元突破、上機嫌、ブレーキの存在は宇宙の彼方へ。
 そしてもう一つはキョン達の罪悪感。
 あまりにも喜ぶ彼女を見て、普段自分達が(世界の平穏のために)仕方なく、ハルヒを仲間ハズレにしたことが罪の意識となって皆を責めたのだ。そんなワケで今回はせっかく願いが一つ叶ったのだから、今日一日くらい好きにさせてやろう。
 そんなことを思った結果がこの惨状だった。

 さて、何故御坂達三人が上条の部屋に来ているのかというと、これから本日の反省会と今後の監視の打合せのためであったが……

上条「死ぬ。さすがに死ぬ。上条さん、コレ以上もちません」

黒子「な、情けない、ですわね。この程度で、へ、へばるなんて、まだまだ、で、すわ」

上条「……そういうセリフは寝そべって言うもんじゃないぞ?」

 全員が息も絶え絶えであった。
 特にハルヒに気に入られていた御坂や白井は今にも倒れそうである、というか倒れていた。
 白井などハルヒにせがまれて何度瞬間移動したのか数え切れない程だ。その疲れは押して知るべし。
 ちなみに姫神はさっきからピクリとも動かない。

上条「とりあえず、お前ら飯どうする?食べる元気があるなら作るけど……」

美琴「食べる!(こんなチャンスそうそうないし、せっかくここまで来たのに収穫なしなんてもったいない!)」

その言葉を聞いたとたん、立ち上がって賛成する御坂。恋する乙女はタフなのだ。

上条「……お前も結構タフだな」

美琴「なっ、べ、別にアンタの手料理が食べたいとか、そんなんじゃないからね!」

上条「ハイハイ」

 いつもの様に赤みがかった顔で否定する御坂。それを見るインデックスは負けられない!といった顔。

禁書「………とうまー、今 日 は お肉が食べたいかなー?さ い き ん とうまの 手 料 理 野菜ばっかりだったし」

 ライバルに一言一言、見せ付ける様にしゃべる。

上条「あいよーっても、あんま期待すんなよ?」

禁書「ふふーん♪」チラッ

 勝ち誇った顔である。それを見て御坂も

美琴「ッ! ね、ねぇ? よかったら、だけど、アタシもて、てて、手伝おうか?」チラッ

 カウンターを放つ

禁書「ッ!! だ、だったらわたしも手伝うんだよッ!」

美琴「なっ!アンタは引っ込んでなさいよ!」

禁書「短髪こそ!「お客さん」なんだからゆっくりしてるんだよ!」

美琴「ムムムッ」

禁書「むぅ~~」

 両者ともつかみ掛らんばかりの攻防である。しかし……

姫神「ピーマン。切り終わった」

上条「サンキュー姫神」

 いつの間にか復活していた姫神に軍配は上がっていた。

禁書・美琴「「なんで、あいさ(アンタ)が手伝ってるんだよ(よ)!!」

黒子「………お二人ともタフですわね」

 

 

 

【一時間後】

夕飯も食べ終え、小さなテーブルに五人が顔を突き合わせてお茶を啜っている。

黒子「さて、ひとごこちもつきましたし今日の「監視報告」ですが……上条さんの目から見て何か怪しい点はありまして?」

司会進行よろしく白井が立ち上がって面々を見回した後、まず上条に聞く。

上条「ん~どうだろうな。俺は特に感じなかったけど……強いて言うなら「涼宮が元気すぎる」だな」

黒子「上条さん、真面目にやる気ありませんわね?………まぁ、その点は同意ですけども。コホン。わたくしとしてはやはり『何か隠してる』と感じましたわね」

姫神「私も。そう思った」

黒子「ええ、なんというか涼宮さん以外の面々特にキョンさんから、ですわね。確か「派手な力は見せないように」というのもキョンさんからの指示でしたわよね?」

上条「ああ。でもそれは「涼宮の歯止めが効かなくなるから」ってことだから、別に怪しむもんでもなくないか?」

得心がいかないと言った風の上条。

黒子「その「彼女と一緒に」なんですが………」

白井が言いよどむ。

黒子「なんと言うか……彼女に触れて瞬間移動したときの感覚が、いつもと違っていましたの」

上条「??? どーいうことだ?」

異能を使えない上条には分かりづらい説明である。

黒子「こう、いつもより座標の特定がスムーズというか、もっと遠くまで”飛べそうな“感覚”というか……いつも以上に力がみなぎる、といったところでしょうか」

美琴「アンタもなの?私もあの時、いつも以上に力が出ちゃって、加減まちがえちゃったのよ」

上条「加減してアレかよ……」

 昼間の惨劇を思い出したのか身震いする。

美琴「だから感覚がいつもと違ったの! っていうかアンタはそういうの無かったの?いつも以上に広範囲の能力を打ち消せそうだ、とか」

上条「いや? 全然」

黒子「役に立ちませんわね」

あきれた、といった顔の白井。

上条「ほっとけ」

禁書「ねぇそれって「はるひ」が短髪とくろこの能力を「増幅」したってこと?」

 

黒子「……そうですわね。そう考えても差し支えないでしょう」

姫神「ということは。あの人達SOS団はその『涼宮ハルヒの力』を学園都市で実験するために来た。ということ?」

美琴「かもしれない、わね。でもその割にはハルヒが開けっぴろげ過ぎなのよね……」

黒子「そうなのです。仮に『増幅能力』とでも言いましょうか……そんな『力』があれば、の話ですが……私達の『異能』に対して、あんなに喜んだり驚いたりするとも思えませんわ。それにあの方達は『一般人』ですのよね?」

上条「ああ、それは間違い無い……と思う」

姫神「私も。小萌から確認したけど。あの人達は間違い無く『普通の人』って言ってた」

美琴「じゃあ何? あの感覚はあたし達の調子が良くて偶々ってこと?」

黒子「そうとも思えません。間違い無く、いつも以上に力が溢れるような感覚でしたし……」

四人であーでもない、こーでもない、と唸っているとインデックスが何かに気付いたのかポツリと言った

禁書「……もしかすると、はるひは自分の『力』に気付いていないのかも」

四人「「「「え?」」」」

 四人の目がインデックスに注がれる

禁書「えと、魔術にはね? 自身の魔力を増幅させる為のアイテムっていうのがあるの」

禁書「例えば西洋魔術では『魔力を篭めた石』や、陰陽道では呪文を書き記した『符』。これらを身につけていると、それだけで自身の魔力の底上げが出来るの」

禁書「言ってみれば呪文だって自身を媒介にして魔力の底上げをしているようなものなの。だから……」

上条「人間自身が知らないうちに、その『増幅アイテム』になっていてもおかしくない。ってことか」

禁書「うん、生まれついてそういう『能力者』なのか、後天的に備わった『能力』なのかまでは分からないけど…」

 確かにそういう存在を上条当麻と御坂美琴は知っている。御坂妹達だ。
 総勢約一万人の妹達・・・・・・通称「シスターズ」
 ある事件によって上条当麻に助けられた御坂美琴のクローン。
 彼女達一人一人は『御坂美琴』ほどの力は無いが、彼女達独自で形成される「ミサカネットワーク(MNW)」を使い、全員の力を合わせれば『御坂美琴』に届かないまでも、それに似たような現象を引き起こすことが出来る。
 その力で上条当麻を一方通行との戦いで助けた事もあった。
 いやな考えだが一人一人を『増幅アイテム』と置き換えればインデックスの言う『人間自身が増幅アイテム』という存在も納得できる。

黒子「……なるほど。そう考えると色々と辻褄があってきますわね」

姫神「キョン君が「お願い」したのは。全力で力を使うと。危険過ぎるから。とか?」

黒子「ええ、元々『学園都市』の情報がある、無いにせよ。涼宮さんの『力』を理解していれば、わたくし達が彼女のそばで「能力」を使った時にどんなことが起きるか予測しづらいから、でしょうし」

黒子「あの方達が『交換留学』してきたのも、先ほど姫神さんが言った通り彼女の『力』の実験目的かもしれません」

黒子「それに高レベル『能力者』を近付けさせない処置も学園側か、彼らがソレを危険だと思ったから。と考えれば納得できますわ」

美琴「つまり……ハルヒは『増幅能力』をもっている」

黒子「ですが、彼女は自分にそんな『力』があるとは気付いていない」

姫神「SOS団は彼女の『力』を秘密にし。実験をする組織」

禁書「とうまの高校に来たのは危険を少しでも少なくするため」

 涼宮ハルヒには『願望実現能力』という破天荒な力が備わっている。
 今回、その力が働くであろうことはSOS団側からすれば予想して然るべきなのだろうが、彼女達は流石にそこまでは気付けない、とタカをくくっていた。というより、そんな反則的な力など想像すること自体まず不可能なのだ。
 だから彼らSOS団は一日目にして自分達の正体が暴かれる瀬戸際にいるなんて気付かない。この程度で気付かれるハズが無いと思い込んでいた。
 だが、さすがは数々の修羅場をくぐってきた猛者達と言うべきか、キョン達のわずかな隙や行動からほぼ正解に近い事実を当ててしまうのだから。
 そうして結論に納得しかける上条。だがそうなると少々おかしな点が出てくる。なんとなくその疑問を口に出してみる。

上条「なぁ……それってアイツらが『こっち側』の人間ってことにならないか?」

黒子「ですわね」

上条「なら、スパイもクソもないような気がするんだが……」

 それを聞いて本日何度目かの呆れた顔をする白井。



禁書「うん、生まれついてそういう『能力者』なのか、後天的に備わった『能力』なのかまでは分からないけど…」

黒子「……上条さんは底抜けのお人好しですのね。いいですか? あくまで問題なのは彼らが『外部の人間』というところなのです」

黒子「確かに、この考えが正解なら学園側が正式に招待した正真証明の「お客様」です」

黒子「で す が、正式に招待した「お客様」なら『交換留学』という名目とはいえ、しかるべき警備体制や警護、監視を付けるはずです」

黒子「ところが今日一日、彼女達と行動を共にしましたが『警備員』や『風紀委員』が警護、監視を行った、という形跡は見られません」

黒子「監視カメラの映像等も初春からの報告では通常状態でしたし」

黒子「とにかく。余計怪しいと思うことはあれど、スパイ疑惑が外れた。というわけではありません。ですので引き続き、監視は続行させていただきますわ」

上条「ってお前ら、毎日会う気かよ!?」

黒子「必要とあらばそうしますわ。コトは『学園都市』の治安にかかわってきますから」

上条「あんな目にあってよくそんな立派なことが言えるもんだな。いやいや、上条さんは白井さんを見直しましたよ」

 白井の揺るが無き治安を守る心に感心する上条。しかし

黒子「それほどでもありませんわ。……つきましては上条さんには今後の活動費の面倒を見ていただこうかと」

 前言撤回。やっぱ最悪だコイツ。てゆーかお前らお嬢様なんだから貧乏人にたかるなよ!!などと不満をぶちまけようと思わず腰を浮かしたその時

『もういいッ! このアホキョンッ!』

 外の通路から涼宮ハルヒの怒ったような声とドアを派手に閉めた音がした

黒子「今の音は涼宮さん? ……確かキョンさんの部屋はこの階でしたわよね?」

上条「ああ」

5人は顔を見合わせ、そっと玄関から通路を覗いてみた。するとそこには肩を怒らせ歩き去っていく件の涼宮ハルヒの姿が。

黒子「なんでしょう?彼女、何か怒っているように見えましたけども」

禁書「きょんが怒らせたのかな?」

美琴「一体何をしたのかしら」

姫神「シッ! 誰か出てくる」

上条「あれは……朝倉と長門?」


朝倉『ごめんね。なんだか彼女に悪いことしたみたい』

長門『不覚』

キョン『別にかまわんさ。あいつがワケのわからんコトで怒るのはいつものことだ』

長門『………』

朝倉『……キョン君あんまり鈍感すぎるのもどうかと思うわよ?』

キョン『……そりゃどういう意味だ』

朝倉『知ーらない♪そのくらい自分で考えなさい?じゃ、また後でね。行きましょ長門さん』

長門『また後で』

キョン『オイ、後でって……行っちまった。ハァ、なんなんだ一体…ん?』


そこまで盗み見た時、キョンが上条達の方へ顔を向けた。御坂が急いでドアを閉める。

禁書「……覗いてたの、バレてない、よね?」

美琴「どうだろ。まぁ気付いてたって言ってこないわよ」

黒子「あらあら、キョンさんも中々どうして……」

姫神「あっちもあっちで色々あるみたいだね」

禁書「なんであーいう男の子って鈍感なんだろうね?」

美琴「まったくだわ。もうちょっとコッチの気持ち察してくれてもいいわよね」

黒子「殿方なんてあんなモノですわ」

姫神「白井さん。男の子と付き合ったことあるの?」

美琴「黒子にそんな相手いると思う?」

禁書「いなそう、だね」

黒子「当たり前です! わたくしはお姉様一筋ですわ!」

美琴「当たり前とか言うな! はぁ……あれ? あの馬鹿は?」

上条「お前ら……人の上で好き勝手言ってないで…早く、どい…てくれ……重すギェゥ!?」

美琴「だ、だだ、誰が重いってーのよっ!?」

禁書「そーだよッ!とうまッ!重いわけなんて、ないん、だよッ!」

姫神「女の子に。そういうこと。言うのは。どうかと。思う」

黒子「やはり、上条さんは、女の敵、ですわッ!」

 上条当麻の失礼な言葉を聞いて真っ赤な顔で踏みつける四人の少女。
 その手の趣味があれば喜びそうなものだが、あいにくと上条にそんな性癖はこれっぽっちもなかった。なので彼が感じるのは理不尽な痛苦のみ。

上条「いいから! 早く! どいてくれーーー!」

 やめ!? 踏みつけるなお前ら! 人間4人も乗ってりゃ十分重いっちゅーの!! つーかなんで俺がこんな目にあわにゃならんのだ!?
 あぁもう不幸だぁーーー!!

 

 

【夕刻・男子寮・キョン宅】

 

キョン「つ、疲れた…」

 ハルヒよ……嬉しいのはわかるがいくらなんでも初日から飛ばし過ぎだ
 黒子ちゃんなんか、テレポートのし過ぎで最後は倒れそうなくらい疲れてたし、こっちはコッチで朝比奈さんと、朝比奈さんを担いだ俺がへばって今日は解散ということになった
 ハルヒ曰く「情けないわね、有希や古泉君なんて平気な顔してるじゃない」とか言っていたが、こっちはあいにく普通の人間な上に朝比奈さんをオンブしてたんだ。人外どもと比べるな……鶴屋さんも平気な顔してたけど

キョン「あいつら大丈夫かな……」

 今日は何やら上条に用事があるらしく、3人とも上条の部屋に入っていくのを見て別れたが……しかし上条よ、3人も年下の女の子を連れ込んで年下趣味は無いと言われても信じられんぞ

 俺は上条の必死にいいわけする顔を思い浮かべ、含み笑いしながら今日から寝泊りする部屋へと歩を進めていった

 さて、一応材料は買ってきたわけだが……だめだ、とてもじゃないが晩飯作る気力なんて沸かない。さりとて、今からまた、上条を呼び出して弁当屋の場所を聞くのも忍びないし……
 どうしたものかと考えていると呼び鈴が鳴る
 誰だこんな疲れ果ててる俺の元にわざわざ来るヤツは

朝倉「ヤッホー夜這いに来たわよ~♪」

キョン「帰れ」

 にべもなく切り捨てドアを閉める
 再び鳴らされる呼び鈴の音
 あーもうっ!なんだってんだっ?

キョン「疲れてるんだから、くだらない冗談は明日にしてくれ」

朝倉「もーあれくらいで情けないわねー。あ! 閉めるな! せっかくご飯作りに来て上げたのに」

 なんですと!?

キョン「……なんで?」

 俺はそっとドアを開けて聞く。空腹には勝てん

朝倉「一つ言っておかないといけないコトがあるのよ。そのついでに「以前」のお詫びもかねて、かな? どうせ材料買ったのはいいけど疲れてめんどくさい、コンビニ弁当ですませよう。とか考えてたんでしょ?」

 的確に俺の思考を読まないでくれ。というか人を殺そうとしといて“ついで”とはなんだ“ついで”とは

キョン「申し出は有難いが、なぁ……」

 朝倉と密室で二人きり、というのは色んな意味でヤバイ気がする

朝倉「大丈夫、大丈夫。ほら、長門さんもいるでしょ?」

長門「……」

 む、まぁ長門も一緒なら安心か

朝倉「もう、だから「そんな気」は無いってば」

キョン「そうかい。ほら、二人ともあがれよ」

長門「お邪魔します」

朝倉「お邪魔しまーす」

朝倉には、ああ言ったが……正直助かった。朝倉と長門が来なかったら、今日はこのまま寝ていたかもしれん

朝倉「から揚げでいい?」

キョン「美味く食べられるなら、なんでもかまわんぞ」

長門「タルタルソースたっぷりで」

朝倉「はいはい」

 30分後食卓には、から揚げが山となって皿に盛られていた
 おい、なんだこの量は

長門「問題無い」

朝倉「普通よ? これくらい」

キョン「いやいやいや! あきらかに食べきれる量じゃないだろ!」

 ちょっとした山だぞ

長門「余裕」

キョン「マジデ!?」

長門「まじ」

 恐るべし、宇宙人の胃袋

キョン「いや、しかし意外だな」

朝倉「私が料理できること?」

キョン「ああ、言っちゃ悪いがお前らに料理技能が備わってるようには思えなかったからな」

 以前、朝倉転校事件を調べに行った帰りに長門が持っていた弁当の袋を思い出す

朝倉「あら、元々私達にそんな技能は無かったわよ? これは私がちゃんと自分で練習して、勝ち取った成果なんだから」

キョン「そうなのか?長門」

長門「そう。私は自分で料理を製作することはできない」

朝倉「だって、あのマンションで3年も待機してたのよ? 暇つぶしにやってみたらこれが楽しくて楽しくて、ついハマっちゃったわ」

朝倉「今じゃ私が長門さんの食生活の面倒見てるくらいよ」

長門「朝倉涼子には感謝している」

朝倉「どーいたしまして」

 家事にいそしむ宇宙人……なんだかなぁ

キョン「しかし、今日は初日からえらい体験しちまったなぁ」

朝倉「確かにねー。特にあの御坂って子、凄かったわね。あれでも手加減してたんでしょ?」

長門「彼女の力は通常の人類の規格から桁外れている。普通の人間には不可能な行為」

キョン「やっぱあれが『開発』の授業の成果なのかねぇ」

長門「それだけではない。おそらく先天的な才能と血を吐くような努力の結果と推測する」

朝倉「そうそう。だからキョン君が頑張ってもあの領域にはなかなか到達できないと思うわよ?」

キョン「あんな凄い力欲しいとは思わん」

朝倉「そう? 男の子ってああいうのに憧れるもんじゃないの?「男子はみんな修行する」って涼宮さんも言ってたし」

キョン「なんの修行だ。なんの」

 とか言いつつ小学生の頃カメハメ波の練習をしたのは内緒だ
 みんなもやったよな?………っな?

朝倉「そういえば私古泉君の『超能力』見た事無いんだけど、やっぱり美琴ちゃんみたいに凄いの?」

キョン「どうだろうな。以前カマドウマもどきを倒した時や、神人を相手にしてた時は凄いと思ったが……」

長門「現時点で古泉一樹との比較は困難とされる。彼女はまだ力の全てを明かしたワケでは無い」

キョン「そういやあれで「手加減」だもんなぁ……」

 俺は粉々に砕かれた石壁の惨状を思い出して軽く身震いする
 美琴ちゃんにはなるべく怒らせない方向で接しよう……

キョン「そういえば何か用事があったんじゃないのか?」

朝倉「あーそうそう、忘れるところだったわ。実は少し困った事態が発生したのよ」

キョン「困った事態?」

 またハルヒが何かやらかしたとかじゃないだろうな

長門「違う。私たちの力が制限された」

キョン「な!?」

朝倉「そうなの。この「学園都市」に来てから精度が極端に落ち込んでいるのよ」

長門「簡単に言えばこの都市の能力者達から“ジャミング”をかけられている」

キョン「なんでまたそんなコトに……まさか俺達の正体がバレたのか!?」

朝倉「ううん、そうじゃないの」

 朝倉の言葉にほっと胸を撫でおろす。でも一体全体なんでそんな事態に?

長門「能力者達が無意識に発する“力場”と私達が使う情報処理能力が互いにぶつかり合い……」

 まて。もうちょっと分かりやすく言ってくれ。

朝倉「私達が能力を使おうとすると、この都市に住んでる学生達から出る「見えない力の波」が邪魔をするのよ」

 おいおい、それってかなりまずいんじゃ……

長門「そうでもない。あなた達を守る分には支障をきたさない」

朝倉「精度が落ち込んだっていっても、そこそこの改変処理くらいなら問題無い程度だしね。ただちょっと……ね」

 言いにくそうに朝倉が言葉を濁す

キョン「ハッキリ言ってくれ」

長門「もし今、涼宮ハルヒによる大規模な情報改変が起きると私達には対処できない」

キョン「それって……」

 最悪の事態を考えて青ざめる。ちょっとした旅行のせいで世界が崩壊とか死んでも死にきれんぞ

朝倉「あー大丈夫大丈夫。一応この都市から離れれば元の様に使えるみたいだし、それに彼女今ままでに無いくらいご機嫌でしょ?」

朝倉「当分大きな情報改変が起こらないだろうってのが私達が出した見解」

 む、まぁそう言われればそうだ。確かにハルヒの上機嫌ぶりはちょっとやそっとじゃ落ち着かない気もする。しかし不測の事態が起こらないとも限らないわけで

朝倉「大丈夫大丈夫。そうそう悪いことなんて起きないわよ」

キョン「しかしだな朝倉」

朝倉「あーもう! 今考えてもどうしようも無いコトをウダウダ考えないの! 悪いことは起きてから考える! あんまり心配ばっかりしてると天パになっちゃうわよ? ほら、ご飯食べちゃいましょ。せっかく作ったのに冷めちゃうわよ?」

 なるか!
 しかし朝倉の言うことにも一理ある。今どうしようもならないコトをいつまで考えても答えなんて出やしない。ならいっそのこと流れに任せてみる、というのも一つの手段だ……多少、いや大分楽観的な気もするが
 とりあえず今は目の前のから揚げの山を片付けることだけ考えるとしよう

 

 

 

更に30分後

 

キョン「あー美味かった。ご馳走様でした」

長門「ご馳走様」

朝倉「お粗末様でした」

 山盛りのから揚げのほぼ全てが長門の胃袋へと消えていった
 こんな小さな体になんであの量が入るんだ……ブラックホールでも仕込んでじゃないだろうな

朝倉「それじゃお皿洗っちゃうわね」

キョン「あー、いや。それは俺がやるから。二人は茶でも飲んでてくれ」

 さすがにご馳走になって、洗い物までやってもらうのは気が引ける。俺が立ちあがって皿を運ぼうとすると

朝倉「いーの。いーの。「お詫び」もかねてって言ったでしょ?キャッ!?」

キョン「危ない!」

 足元に置いてあった炊飯器に、朝倉が足を取られて転びそうになるのをとっさに抱きとめる
 あ、意外と華奢だコイツ……しかも柔らかい

朝倉「あ……ゴ、ゴメン」

朝倉が謝る。と同時に玄関のドアが勢いよく開けられた

ハルヒ「キョーン! 団長様がわざわざご飯作りにやってきてあげたわよーっ! べ、別に勘違いしないでよね! アタシの手料理食べてもらいたいとか、今日は飛ばしすぎたなー、とかじゃなくて団員の健康管理も団長のつと、め…だ、から……なんで、朝倉さんがココにいるの?」

キョン「え、や、なんか飯、つくってくれたから?」

ハルヒ「フーン……それで? なんで、二人は、抱き合ってるの?」

 言われて気付く。俺と朝倉はちょうど抱き合ってる形のまま、固まっていた。
 とっさに離れる俺と朝倉

キョン「いや、待てハルヒ。別に抱き合ってたワケじゃなくだな、朝倉がたおれグォア!?」

ハルヒ「もういいッ! このアホキョンッ!!」

 俺は言い訳も出来ず、ハルヒに何かを顔面に投げつけられそのまま倒れる
 ドアがけたたましく閉められた音を顔に乗った何かごしに聞く
 どうやらハルヒはそのまま帰ってしまったようだ

朝倉「あちゃーもしかしてやっちゃった?私」

長門「やっちゃった」

朝倉「ですよねー」

長門「涼宮ハルヒに状況の説明を推奨する」

朝倉「ええ、そうするわ。長門さんも付いて来てくれる?」

長門「了承した」

朝倉「と、言うわけで私達コレでお暇するわね。キョン君」

キョン「あ、ああ」

 なんとか立ちあがって二人を見送る

朝倉「ごめんね。なんだか彼女に悪いことしたみたい」

長門「不覚」

キョン「別にかまわんさ。あいつがワケのわからんコトで怒るのはいつものことだ」

俺は顔をさすりながら言う

長門「………」

朝倉「……キョン君、あんまり鈍感すぎるのもどうかと思うわよ?」

キョン「そりゃどういう意味だ?」

朝倉「知ーらない♪そのくらい自分で考えなさい?じゃ、また後でね。行きましょ長門さん」

長門「また後で」

キョン「オイ、後でって……行っちまった。ハァ、なんなんだ一体。ん?」

 別の部屋のドアが閉まるのを確認する
 確かあそこは上条の部屋だったな……ということは今のやり取り、全部見られてた?
 ま、別にいいか。特に問題は無いハズだ。正体がばれるような会話なんてしてなかったし
 しかしハルヒのヤツ、何であそこまで怒ったんだ?

 ふと部屋の中を見るとスーパーの買い物袋が転がっていた。中身は人参、ジャガイモ、牛肉と、糸こんにゃく……肉じゃがの材料かコレ?
 俺はそんな凝った料理なんて作れないし、朝倉のはから揚げだった。ということは……ハルヒのかコレ
 そこで俺はハルヒが怒った理由にふと、思い当たる
 ………そうか。わざわざ団長様自ら料理を振る舞いに来たのに出番を朝倉に取られたからすねたのか……やれやれ、小学生かアイツは
 うーむ、これどうやってなだめよう……あ、それは朝倉達の役目か。そうとわかったら片付けて風呂入って寝よ寝よ

 

 

【深夜・男子学生寮・上条宅】

 

上条当麻の目の前で全裸の少女達が痴態を繰り広げている。
インデックスはその未熟な肢体を押し付けるように彼に抱き付き、首筋をしきりに甘噛みしている。
御坂美琴は後ろからしな垂れかかる様に抱き付き、彼の耳をしきりに舐めている。
白井黒子と姫神秋沙は二人がかりで彼の分身を争うようにその舌と口で攻めている。
ふいに上条当麻がその二人の淫らな行為を止めさせる。
少し残念な顔の二人。まだ食べたり無い。そんな顔だ。だがそれと同時に熱っぽい顔で彼を見上げる。
最初はインデックスから。
彼はそう言うと未だ甘噛みしている少女の小さな唇に己の唇を重ねると、淫猥な音を啜らせて激しくむさぼる。
十分にむさぼり尽くした。そう判断すると彼女の腰を掴み、己の分身をあてがうとゆっくりと……

禁書(早く!早く!)

 少女が急かす。慌てるなと彼は言い聞かせるが

美琴(ちょっと、早くしないさいよ!)

姫神(いそいで)

 何故か御坂と姫神も急かしてくる。怪訝に思ったその瞬間

禁書「いい加減ッ!起きろーーーッ!!」

上条「っっった!?」

 目が覚めるとインデックスが上条当麻の腹の上にいた。どうやら夢を見ていたらしい。
 ……なんつー夢だ。上条さんひょっとして欲求不満?
 そんな下らない事を考えつつも自分の状態を確認してみると……まんざらでもなかったようだ。
 上条当麻、健全な男子高校生であった。

美琴「やっと起きたわね」

姫神「いつも。こんな感じなの?」

禁書「そーだよ。とうま寝起き悪いもん」

 未だ寝ぼけ眼の彼を尻目に好き勝手言っている三人。

上条「ぬかせっ! おまえこそ寝起き悪いじゃねーか!」

美琴「規則正しい生活してない証拠ね」

上条「ほっといてくれ。ゲッまだこんな時間じゃねーか。なんだよ、お前らこんな時間に……トイレか?」

美琴「っなワケあるか! 動きがあったのよ!」

姫神「声が大きい」

上条「動き?」

姫神「うん。キョン君と古泉君。それから他の団員も。どこかに集まってるみたい」

美琴「今、黒子があいつらの後つけてるわ。早くおいかけましょ」

 なんで、御坂と姫神がここに……あ、そうか。あの後白井が「寮には連絡してありますので、今日はこのまま監視続行ですわ」とか言って、泊まることになったんだっけ

上条「あいつらこんな時間に集合とか……何かあったのか?」

美琴「わからないわ。でも、こんな時間に集合だなんて怪しくない?」

姫神「今白井さんから連絡入った。昼間の公園にほぼ全員集合してるって」

美琴「こんな時間に? ますます怪しいわね……」

禁書「とりあえず行ってみようよ」

上条「だな。ここで待っててもわかんねーだろうし」

 

 

 

【深夜・公園】

 

 

 古泉に話があると叩き起こされ、眠い目をこすりながら公園に着いていくとハルヒと鶴屋さんを除くメンバーが既に集合していた
 二人がいないということは……

古泉「本日午前0時『閉鎖空間』が発生しました」

 やはりハルヒ関連だったか

キョン「そうかい」

古泉「おや? 淡白な反応ですね」

キョン「まぁ心当たりがあったからな」

古泉「やはり先ほどのやりとりですか……よろしければ、詳しく聞かせていただけると嬉しいのですが」

 俺はかいつまんで古泉に説明する

古泉「つまり、涼宮さんは「すねている」と?」

キョン「そうだろ。まったく小学生じゃあるまいしあの程度で……」

喜緑「……聞きしに優る鈍感っぷり、ですね」

朝倉「やっぱりそう思う?」

みくる「あ、あはは」

長門「……」

 え、違うのか?俺はてっきり出番を取られたからと……

古泉「まぁ、その件について今はいいでしょう。朝倉さんの説明で落ち着いたのか、幸い『神人』が現れた形跡も無いようですし」

キョン「なら何が問題なんだ? こんな時間に呼び出して」

古泉「ええ、皆さんに集まって頂いたのは……実は『閉鎖空間』がいつもと違うのです」

キョン「どういうことだ?」

古泉「あちらをご覧下さい」

そう言われて、古泉が指し示す空を見上げる
 そこには、いつもと変わらない星空が瞬いているが……なんだ? 夜の色が回りに比べて「濃い」ような……

古泉「ええ、その通りです。『閉鎖空間』が視認できます。とは言っても、よほど注意して見ないと判らない、くらいですが」

 おいおい、そうは言ってもマズくないか?これ

古泉「ええ、注意して見ないと判らない。とは言っても我々にとって面白いことではありません」

キョン「いつもみたいに消せないのか?」

古泉「どうでしょう?『神人』のいない『閉鎖空間』の消し方は彼女の機嫌次第ですし、今までもそれほど害があるわけではないので放置していました」

キョン「……つまり消し方なんてわからん。と?」

古泉「情けない話ですがその通りです」

キョン「なんてこったい……しかし、なんで今更『見える』ようになったんだ?」

古泉「それについて、ですが僕と長門さんの見解では「環境の違い」というのが概ねの予想です」

長門「『学園都市』には様々な『能力者』達がいる。彼らの無意識下の超常能力が知覚滞力場と干渉し、涼宮ハルヒの『能力』と混ざり合い、現在のような現象が発生しているものと推測する」

喜緑「つまり、涼宮さんの『閉鎖空間』がこの地の『超能力者』達の発する波によって、『形』を認識できるようにした、ということです」

 はい、まったくわかりません

朝倉「簡単に言えば、今まで『砂埃』で見えなかった『看板の文字』が『風』で流されて『見える』ようになってきてるのよ」

 つまり
 『砂埃』が今まで『閉鎖空間』を隠してきた(見えなくしていた)モノで
 『看板の文字』が『閉鎖空間』
 『風』が『超能力者』達の力の波動
 ってことか?

朝倉「よくできました。ま、厳密に言うと違うんだけどね。それで納得しといて」

キョン「んじゃ何か?あれを「見えないように」するには、この都市の『能力者』全員をどっかに行かせないとダメってことか?」

古泉「それが出来れば手っ取り早いのですが……さすがに「機関」の力も及ばないのでそんなことは不可能、ですね」

 及んでたらやるのか

古泉「平和のためです」

 おいおい

古泉「冗談です。さすがに「機関」にもそこまでの力はありません」

キョン「そうかい。しかし……アレ、どうするよ?」

古泉「そうですね……僕としてはなんとかして解消したいところですが……」

長門「待って、誰かいる」

みくる「ふぇ?」

朝倉「そこっ!」

 朝倉が小石を草むらに投げつける

??「あだっ!」

??「ああっ大丈夫? とうま」

??「このくらい避けてもらいたいですわね」

??「人を盾にしといて言う事か!」

??「オホホホ」

??「……白井さん。ひどい」

??「いつまでも馬鹿やってんじゃないわよ!」

 出てきたのは上条以下、昼間の面々だった
 今の話……全部聞かれてた?
 それって色々とやばくないか……

 

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