とある世界の残酷歌劇 > 終幕 > 07


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「あのー……これは一体どういうことなんでしょうか」

数分後、慌ててミニバンを飛ばしてきた浜面は状況を飲み込めず困惑していた。

道に迷うという言い逃れできないレベルの不手際をしでかしてしまったのだからきつい言葉の一つや二つは覚悟していた。
不機嫌な少女たちを乗せた密室という針のむしろに巻かれる覚悟もあった。
正直なところ、もしかしたら万が一にも、これが原因で粛清――殺されるのではないかとすら思っていた。

だというのに。
一体どういう訳だか妙ににこやかな少女二人に質問攻めに遭っている。

「ふーん、スキルアウトかー。私らそういうのとは縁がないけど、普段何してんの?」

「いやまぁ……仲間内で遊び歩いたりとか……」

「それくらい結局誰だってやってるじゃん。もっとこう、派手なのない訳?」

「あんまり大きな声で言えるようなことじゃあ……」

「アンタ誰に言ってんのよ。こちとら学園都市の暗部組織だっちゅーの。
 それとも何? もしかして私らよりも凄い事やらかしちゃったりしてる訳!? 聞きたーい」

と、この調子だ。



あちらからしてみれば珍獣か何かを相手にしているようなものなのだろう。

表面上は年頃の可憐な少女に言い寄られているようにも見えなくもない。
しかし氷山の一角でしかないにしても彼女らの実体を知っている浜面には虎や獅子に擦り寄られているようで、生きた心地がしなかった。

端的に言えば、恐ろしい――というよりも気持ちが悪い。
檻に放り込まれた兎が自分を値踏みするような目で見ながら撫でる獅子に懐く気持ちと表現すると比喩としては的確だろうか。

鼠を愛でる猫など気持ち悪い。
蛇に恋慕する蛙など気持ち悪い。

浜面が彼女らに対して無力でしかないのは自明の理だ。
喧嘩慣れしているとはいえど、それは路地裏の飯事同然のものだ。
それが本業である彼女らには到底及ばない。

加えて能力という絶対的な壁がある。
浜面は何の変哲もない無能力者で、彼女らは学園都市でも有数の実力者だ。
自分のようなごろつきが何人束になっても敵わないような、そんな圧倒的な力量の差がある。

(そんな事は分かってる)

ここはこの街の底辺だ。

傍目には分からないようなものだが当事者である浜面には無視できないほどの悪臭が感じ取れる。
あの路地裏の退廃的な臭いなど及びもつかないほどに、汚れなどという言葉では言い表せないほどに濁々とした世界。

その汚泥そのものである彼女らを目にしてどうしようもないほどの拒否感が生まれる。

(俺もその一人になっちまったっていうのにな)

ここに墜ちた原因は自分にある。
それについては自業自得だと納得できるが、まだどうにも――馴染めない――でいた。



要するに自分は往生際が悪いのだろう、と浜面は思う。

過失は自分にある。
あれが唐突に降りかかった災厄のようなもので、単に運が悪かったとしか言い様がなくても。
あれは間違いなく自分の責任だった。

他人に押し付けられるようなものではない。けじめは自分がつけなければならない。

それは分かっているのだが――。

「よーし。それじゃあ今日は浜面クンのお勧めのお店へレッツゴー!」

覚悟をして来てみればこんな具合だから、どうにも調子が狂う。

「……お勧めの店つっても、大抵どっかその辺のファミレスとか牛丼屋とかハンバーガーショップとか、そういうのばっかりだぞ」

少しだけ言葉を選んで答える。
何気ない会話にも綱渡りのような奇妙な焦燥を覚える。

一言で全てが台無しになる、という事はままあった。
ただ以前のものとは勝手が違い過ぎる。無能力者が相手であれば刃傷沙汰になってもそれなりに上手く立ち回れる自信はあった。

しかし彼女らは高位能力者で、それはつまり学園都市の中でも飛び抜けて頭がどうかしている連中だ。

その笑顔の下に隠された本性を浜面は理解できていない。
下手に逆鱗に触れればそれこそ一瞬で、理解する暇もなく頭が吹き飛ぶだろう。



浜面は薄氷の上を歩くような慎重さで、そろそろと曲芸じみた演技を続ける。
恐らく彼女らにもそれは分かっているだろう。どれだけ取り繕っても見透かされている気がした。

まだ幼い頃、学校帰りにやっていた遊びを思い出す。

アスファルトの上に描かれた白線をはみ出さないように歩くという、道化じみた真似事だ。

黒の部分は奈落まで続く無明の穴だ。落ちると死ぬ。
そういう子供にありがちな無邪気で短絡的な設定を自分に科して遊んでいた事があった。

現状はそれによく似ている。

死と定義した黒い部分は踏んではいけない。
そこに足場はあるのかもしれないが、踏んでみなければ分かるはずなどない。
わざわざ命を賭してまで確かめようなどとは思わない。

そして白の部分。そこは昔と違った。
白線は浜面の思い込みだ。『ここまでは大丈夫』だと、『踏み込んでいい』と思い込んでいるだけの領域。
しかしその基準はあくまで浜面自信に因るものであり、実際他人の気持ちなど分かるはずがないのだから酷く脆弱で曖昧な定義でしかない。

灰色。グレーゾーン。

明確な白などありはしない。
どこからどこまでが大丈夫で、どこからはいけないのか。遊びと呼ぶには余りにも理不尽な賭けだ。
しかしそこから抜け出そうにも後には退けず、結局自分の目に見える白い部分を歩いていくしかない。



死にたいとは思わない。

生きたい――と、そう思っている。

どんなに最悪な世界だろうとそこの部分だけはどうしようもなくて、無駄かもしれない醜い足掻きを本能は強制する。
それがどれだけ無力なものなのかは自分でもよく分かっている。

理性の部分ではとっくに諦念してしまっている。
そういう意味では浜面は既に死に体だった。

けれど本能の部分が――人の持つ衝動的で暴力的な部分が叫ぶのだ。

生きたいと。

死にたくないと。

既に諦めてしまっている自分だからこそ、そんな己の内から湧き起こる声に応えられるのかもしれない。
何もかもどうしようもならないことは分かりきっていて、だからこそ無駄な足掻きに興じるのもいいかもしれないと思ってしまっている。

だからだろうか。

「たまにはそういうのもいいんじゃない?」

彼女らの言葉がどうにも気持ち悪くて、浜面は妙な居心地の悪さを感じてしまう。

そして座席のシート越しにぽつりと、呟くような滝壺の声が聞こえる。

「そういえばファミレス、行ったことないね」

「……」

調子が狂うのだ。



「ファミレス行ったことないって、お前ら普段どこで飯食ってんだよ」

自炊しているようにも見えない。
おおよそこの四人でつるんでいるのだろうが、それぞれの住まいは別だろう。揃って外食することも多いはずだ。

「どこって……普通のレストラン?」

「金銭感覚が根本からずれてることを考慮すべきだったよ……」

溜め息を吐き、浜面は頭の中に地図を思い浮かべる。
近場のめぼしい店をいくつか候補に挙げ、時間と立地を考慮し、空いていそうなところを探す。

女三人寄れば姦しいというのだ。それが四人もいるとなれば。
他の客の迷惑にならぬように――というより無駄なトラブルを誘発させないために吟味する。

「別になんだっていいよな。どこも同じようなもんだし」

「え? 色々あるじゃん」

「大して変わりゃしないんだよ」

そういう事にしておく。実際そうだろう。
いざ店に入ってみてああだこうだと言われては身が持たない。

言葉を交わしながら条件に最も近いであろう場所にあたりを付けて交差点を左折する。

「んじゃ初ファミレス行ってみよー!」

「おー!」

「ごはんー」

妙に機嫌のいい麦野の声にフレンダと滝壺が応える。
けれどもう一人は先程からずっと黙りこくったままだった。

ルームミラー越しに後部座席を窺ってみれば、絹旗はいかにも不機嫌そうな仏頂面をガラス越しに流れる街の風景に向けていた。



浜面が彼女らと合流した時からずっとこの調子だ。
電話越しの癇癪は以前会った際のまま――といえるほど彼女の事を知っている訳でもないが、大して変わらぬ様子だった。

だが通話を終えて慌てて駆けつけてみればこの有様だ。
果たしてその間に何があったのか。

「…………」

下手に詮索して蛇を突き出したくもない。
沈黙は花だ。事なかれ主義である事を自覚して自分が日本人である事を再確認する。

けれど自分がいくらか配慮したところで他はそうはいかないのが世の常だ。

「絹旗ー。アンタさっきから静かだけど具合でも悪い訳?」

助手席の金髪が藪を突く。
下手に文句を言うと更なる被害拡大が予想されるので我関せずを貫くしかなかった。

「いいえ。別に。超なんでもないですよ」

素っ気ないというには棘のありすぎる言葉を返しながらも視線は窓の外へ向けられたままだ。

秋色に染まる街は既に仄暗い。
少し前まではまだ明るい時間帯だったのに、と回想しながら浜面は努めて少女たちを意識から外す。

深く関わらなければいい。
コンビニの店員のような、路傍の石のような、そういう存在として身を隠すように彼女たちと接する。
無難で平均的な、極々ありふれているが故に気に留められないような存在になればいい。

そうしていれば、よほど運が悪くない限りはきっと大丈夫だろう。



しかし禍災は黙っていてもむこうからやってくるもので。

「……はっはーん」

麦野はにやりと笑って(いるのだろう。ルームミラーからは死角になっていて見えないが)絹旗に言う。

「アンタ、もしかしてさっきので臍曲げてる訳?」

「違いますよ。下手な勘繰りはよしてください」

さっき、というのは彼女からの電話を受けた後、自分が到着するまでの間だろうか。

その間に何があったのか、どうして彼女がこんな具合になってしまったのか。
多少気にはなるが詮索はしないのが一番だろうと浜面は無言を続ける。

しかしまだ藪は突かれる。

「さっきの?」

滝壺が不思議そうにそう尋ねる。

彼女にしても別段他意は無いのだろう。
ただただ純粋な、何でもないような疑問としてそう訊いた。

沈黙を決め込むのであれば話題を断ち切ることもできない。
諌めるような真似もできるはずもなく、会話は続く。

「いやだってさ、絹旗ってばちょっとからかったらすぐムキになっちゃうんだもん。
 こっちだって何もないと思う方が無理だってーの。目の前に餌ぶら下げるような事する方が悪いじゃん」



「あれは――!」

僅かに慌てるように絹旗は口調を荒げ、しかし口篭もる。
そして少しだけ言葉を選ぶような躊躇いを感じさせた後、小さく声を発した。

「……皆超分かってるでしょう。
 私たちみたいなのには『そういうもの』と縁はないって事くらい」

「……」

ハンドルを握ったまま彼女の言葉を聴く。

彼女の言うそれが一体どういうものなのか、浜面には分からない。
だが――手に入れたくても無理なものである事には違いないだろう。

暗部組織『アイテム』。

学園都市の陰に暗躍する非合法の軍団。
粛清部隊。暗殺集団。超法規的組織。

彼女らがそういう存在だからこそ不可能なものだろう。

謂わば日常のような、平凡で平穏な『普通』。
何の変哲もない光景こそが最も縁遠いものなのだろう。

その言葉は否応なく浜面に事実を突き付ける。

ほんの少し前まで自分がいたあの日々さえもここには存在しない。

灰色に染まっていたものの、きっとどこか輝いていたあの日常の光すら届かない闇の底。
ここはきっとそういう世界なのだ。



けれど滝壺は言う。

「そうかな」

彼女は誰に向けてでもなく、独白するように疑問を投げる。

「別にそんな難しく考えることもないと思うんだけど」

「……」

「きぬはたが何かをしたいなら、私はその助けになれたらいいなぁって思うよ。
 きぬはただけじゃない。むぎのだって、フレンダだって、それは同じ」

一度切り、滝壺は小さな声だが狭い車内に響く確かな声で言った。

「私はみんなの味方でいようって思ってるから」

「……滝壺さん」

溜め息を吐き、絹旗はぽつりと呟くような声で返す。

「別に心配してくれなくても大丈夫ですよ。ただ単に、超不貞腐れてただけですから」

そう言って彼女は居住まいを正すと、ばつの悪そうに言った。

「ところでまだなんですか。私もお腹空いてるんですけど」

それが自分に向けられた言葉だと気付くのに数瞬を要した。

「あ、ああ。もうすぐ」

言ってハンドルを切る。目的地はすぐそこだ。
急ごうと思って急げる訳ではないがさっさと行ってこの妙な雰囲気の車内から出たい。

そう思っていたのだが。

「……それできぬはたは何に不貞腐れてたの?」

「話を超蒸し返さないで下さいよ!」

勘弁してくれ、と内心思う。
けれど先程までよりは幾分かましだろうと、何故だか薄く笑ってしまった。



「そうそう、それなんだけどさ」

「麦野!」

「いいじゃん減るもんじゃなし」

絹旗には聞く耳持たず麦野はシート越しに浜面の背を突くと身を乗り出すように顔を近付け。

「浜面ってさ、カノジョとかいるの?」

まさかここで自分に振られるとは思ってもいなかった。

「……それは定型分ってことでいいのか」

「そのままの意味よ?」

「……別にいねえけどさ」

「ふうん?」

どこにそう頷くようなところがあるのかと疑問に思うよりも早く麦野はとんでもないことを言った。

「じゃあさ、どんな子が好み? この中で言うなら」

「…………」

「うわ、結局凄い嫌そうな顔してる」

正直なところ血も涙もない鉄面皮の殺し屋集団の方がやりやすかったかもしれないなどと浜面は頭を抱えたくなった。



「ねえねえ、実はロリぃのとか趣味だったりしないの?」

「麦野ー。それ結局約一名をピンポイントで指してるよねー」

「だ、誰がロリですかーっ!?」

「アンタのこととは誰も言ってないけど?」

「じゃあ誰のこと?」

「絹旗に決まってんじゃん」

「結局、それ以外に誰がいるのよ」

「フレンダも人のことを超言えるような体格じゃないでしょう!」

「……忍者」

「は?」

「何よ突然」

「訊かれたことに答えただけだよ。好みのタイプ」

「うわぁ……」

「結局、頭大丈夫?」

「超キモいんですけど」

「大丈夫だよはまづら。私はそんなはまづらを応援してる」

「……そうかい。ありがとう」



少し冗句が過ぎたか、と思いつつも大して変わりはしないだろう。
彼女らの中で誰が、と訊かれても答えられるはずがない。

「着いたぞ」

ようやく辿り着いた大通りから少し外れたファミレスの、がらんとした駐車場に車を入れ奥の方に停めた。

自分の役割は精々が彼女らの暇潰しの相手だと理解している。

「ごっはんー」

「何か狭かったからか体が硬くなっちゃったんだけど」

「ねえねえ絹旗。結局、何でコイツと面識あったのよ」

「超まだ言いますか……」

四人が思い思いの事を口走りながら車を降りていくのを横目に浜面は気付かれぬように深く息を吐いた。
緊張が徐々に解けていくのを感じながら背をシートに預け目を閉じ気付かれない程度に脱力する。

「……何やってんの」

「あ?」

少女の声に目を開き首だけでそちらを向く。
見ればフレンダが車を降りようとする直前で止まり、浜面を怪訝そうな顔で見ていた。

何を、と問われても困る。

「まさかとは思うが俺も頭数に入ってんじゃねえだろうな」

「結局そのまさかだからさっさと来なさいよ」



何故、と浜面は一瞬戸惑う。
自分の役目は彼女らをここまで送り届けることだ。
だからそれ以上、食事というプライベートな時間に自分は必要ないだろう。

しかし浜面は思い直す。
つまり食事の間も彼女らの玩具になれと、そういうことなのだろう。

まさか断るという選択肢があるはずもない。
きっとこの先、四六時中道化に徹する諦観を覚え浜面は喉元まで出掛かった溜め息を飲み込んだ。

「おい?」

車から降りようとして、浜面は眉を顰める。

ばたん、とドアの閉まる音。
助手席にはフレンダが乗り込み身を縮めていた。

「……何やってんだ」

ただでさえ小さい身体をなお小さくして、蹲るように――隠れるように。

「オマエ飯は」

「ちょっと、いいから。後回し」



胡乱な視線を隠す気にもなれず、浜面は今度こそ嘆息する。

「一体何なんだ……」

呟いて頭を掻き、視線を正面に戻して、目に留まったものがあった。

「もしかして、あれか?」

「うっさい」

どうやら図星のようで、フレンダは窓から見えないように身を屈めている。

学生、高校生くらいの集団だ。
遠目には暗くてよく分からないが、ちょうどファミレスから出てきたところのようだった。

制服の形で男子生徒の集団と分かる。
どこにでもあるような、ありふれた学ランだ。

「知り合いか」

「……」

彼女は顔を伏せたまま、少しだけ身動ぎするように首を振り、そして小さく言った。

「友達」



「……」

暫くの間、浜面は無言で、車のハンドルに凭れ掛かるようにして遠くに見える集団を目で追っていた。
隣で身を小さくする少女には極力意識を向けぬように。
やがて彼らが視界から完全に消えるまで、そうやってじっとしていた。

そして思い出したかのようにぽつりと。

「そっか」

言って、浜面は車のドアを開けた。

「……ん」

頷きを見て、浜面は扉を閉め、鍵穴に差し込んだキーを回す。
がしゃり、と鈍い音がしてロックが掛かる。

外の空気はやや冷たく、遠くない冬を想起させる。
肩を竦めるように一度身を震わせ、車体を挟んだ向こう側にいる少女を見遣った。

「――少し寒いな」

「これからもっと寒くなるわよ」

空を見上げると、分厚い灰色の雲が掛かっていた。
雪の季節はまだ遠いと思いながらも空から降る白を幻視してしまうような、そんな気配さえある。



「ほら行くわよ、浜面」

声に視線を落とすとさっさと歩いて行ってしまっていたフレンダがこちらを振り返り見ていた。

何故だろうか、数分前とは違ってもう胸に諦観はない。

劇的な心境の変化があった訳ではない。
ただこれから先、ずっとこういう灰色の空の下を歩くのだろうと僅かながらに理解していた。

ある種の覚悟を得たのかもしれない。

それは同類相憐れむような、傷の舐め合いにも劣るものかもしれない。
単に自分だけが同族意識を持っているだけで、馬鹿馬鹿しい思い込みをしているだけなのかもしれない。

けれど、それでもいいと浜面は思う。

自分の見る現実は自分だけのもので、それだけが真実だろう。
例えただの勘違いだとしても、視野が狭窄していたとしても、それでいいと浜面は思う。

「――おう」

ポケットに両手を押し込み、浜面は歩き出す。

道化は道化らしく、たった一言を勘違いしていればいいだろう。

「あ、結局言い忘れてたけど、もちろんアンタのオゴリだから」

「……そんなオチだろうと思ったよ」

引き攣った笑みを浮かべながらも、それも悪くないかもしれないと思ってしまっている自分に顔を顰めた。



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