ステイル「最大主教ゥゥーーーッ!!!」 > 02


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どこの国の何処とも知れぬ、路地裏の暗がりに、雰囲気にそぐわない軽快な声が吹き抜ける。

「ッハッ、ハッ、ヒー! そりゃー傑作だぜい! で、オレからのプレゼントの方はお気に召したかにゃー?」

『やかましい!! 君とあの婆のせいでこの忙しい時期にいらん苦労を背負いこんでるんだぞ僕は!!』

耳元から携帯電話を遠ざけて、怒鳴り声に対処する金髪グラサンアロハシャツの大男――土御門元春は電話相手の怒りを意にも介さずのたまう。

「そいつは残念。十年前とは比べ物にならんインデックスの肢体にあのサイズ小さめに見積もったメイド服はさぞかし……」

『OK、現在地を教えろ。ピンポイントでルーンを郵送してやる』

相変らず冗談が通じないヤツだ、と苦笑しつついまやイギリス清教のブレーンを務める男は薄暗い路地を抜け、人気の多い市場へ出る。

土御門の現在のねぐらはすぐ近くだ。

「オレの仕事、わかってるのかにゃー? 秘匿回線とはいえおいそれと喋るわけにはいかないぜよ」

『……つまり、だ。使者の到着までにイギリスに戻ってくる、ということはないんだね?』

電話の声のトーンが変わる。こちらが本題、ということだろう。

現在イギリス清教は最大主教の交代という難しい時期にある。そこにけっして友好的とは言えないローマ正教がいち早く『祝い』の使者を送りこんできたのだ。

現ローマ教皇、ペテロ=ヨグディスがどのような思惑だったとしても、外交交渉にも長けたブレーン役、土御門元春も本来その場に同席すべきなのである。

しかしは彼は現在イギリスからはるか大西洋を越えた地に潜伏して、今回の件に関わる気はないという。訝しむ相手に向けて土御門は声色を変えずに軽く返す。

「まあ、深刻な事態になることはないと思うからそう気張らずにいることだぜい?」

『クソッ……何か知ってるな? 土御門』

「にゃっはは。まあ繰り返すが、おまえが心配するようなことにはならない。到着してからのお楽しみってことだにゃー」

はぁ……と向こう側から最近お馴染みの溜め息が聞える。

苦労性というか、とある『病気』がここのところとみに顕著になってきている青年にむけて一つ、確認しておく。

「それから……舞夏は元気か?」

『ああ、元気さ。神裂も気をかけてくれるが、立場というものがある。かなり彼女にも助けられているよ』

少なくとも電話先の相手には決して見せないような表情に緩めてそうか、と返す。

土御門の元義妹は現在、最大主教の世話係として学園都市からイギリスに移り済んでいる。

最大主教とは気心の知れた仲ゆえに、環境の激しい移り変わりに対する清涼剤となっているらしい。

『とはいえ、たまには帰ってきたらどうなんだ。口には出さないが、最大主教は寂しさを堪えているのでは、と言っていたぞ』

「…………まあ、いずれ、な。」

土御門の現在の仕事はやや私情が絡むとはいえ、教会の利益につながる立派な「裏のお仕事」である。

中途半端に済ませて世界一大事な妻を巻き込むわけにはいかない。

そうこうしていると、寝泊まりしているボロアパートが眼前に現れる。

溜まった郵便物を無造作に抜き取るとドアを開け、しばらくぶりの清潔、

とは言い難いが少なくとも硝煙や血痕の染み付いていない寝床に飛び込む。

「じゃあそろそろ切るぜい。オレは久方ぶりの惰眠をこれから貪るんですたい」

『……ん、そうかい。わかった、それではよい夢路を』

初っ端の剣幕からは考えられないほど穏やかな声が耳に入ると、ブツッと通話が切れた。

土御門は怪訝に思いつつも、会話には滲ませなかった疲労に負けてとりあえずは睡魔に身をゆだねることにした。

と、その時。放りだした郵便物の中に見覚えのある筆跡と名前を見つけた。見つけてしまった。



常識も国境も通用しない未元速達便――「土御門元春様へ ステイル=マグヌスより哀をこめて」。



「にゃ、なんでこの場所が……」

慌てて跳ね起きた時にはすでに遅い。中に仕込まれたルーンカードが「土御門がギリギリ死なない威力」で発動した。



「ふっ、不幸だにゃーーーーーっ!!!!」



いや、自業自得である。





イン「なにかありて、ステイル? いやにすがすがしい顔をしてつきにけりなのよな」

ステ「いや、とりあえず溜飲が下がった。…………?」

イン「どうかしたるのよな?」

ステ「いや、なにか……おかしい。更に、一段と、おかしくなっているような……」

イン「おかしき!? かような馬鹿なことがありにけるのよ? 矯正はさいじが手伝ひてくれたのよな」



ステ「建宮ァーーッ!! お前もかァァーーーーッ!!!!」


イギリス 聖ジョージ大聖堂


ステ「クソッ、結局天草式には逃げられ、馬鹿口調も全く矯正できず、
   僕がやったのはあのふざけた露出度のメイド服を片っ端から焼き捨てることだけか……!」※予備が五十着ほどありました

イン「まあしょうがなきにつき! それよりいよいよご使者が着きてきたるのよな!」

ステ「正直そこが一番の不安材料なんだが……(土御門の口ぶりからすると誰なのか知ってる風だったが……?)」

コンコン ローマセイキョウカラノゴシシャガゴトウチャクシタゾー

イン(つ、ついに最大主教デビューの時がきたのよな……!)

ステ(一体何者が………………)









扉「ギギギギィ」











フィアンマ「俺様だ」ドヤッ

イン「」

ステ「」

フィ「?」

イン「すいませんチェンジで」

フィ「!?」




フィ「全く失礼な奴らだな」プンスカ

ステ(普通にキモイ)

イン「まさかローマ正教があなたを送りけるとは……意外といふべきか、大胆といふべきかなのよな」

ステ「というか、面識あったっけ……」※原作未確認

フィ「こまけぇことは気にするな、ステイル=マグヌス」

ステ「……いやいや、待て。僕と……最大主教と貴様の間には全く細かくない事情があるだろう」ボウッ

イン「ステイル、かように前に立ちふさがりてはロクに会話できぬのよな?」

フィ「そうだぞ、そう恐ろしい顔をせずとも『聖なる右』のない今の俺様では貴様に勝てんよ。場所も場所だしな」

ステ「よく言う。だいたい本人の口からいけしゃあしゃあとそんなことを言われて、納得できると思うのか?」

フィ「あの金髪グラサンから聞いてないのか? 奴は俺様の事情を断片的にだが知っている」

ステ「(……あ・の・シスコンがッ……!)……確かに、土御門は「心配ない」と言ったが」

イン「そもそも、なぜにもとはるとフィアンマに面識がありけることよな?」

フィ「世界を流離っている最中に、な。あの男のおかげで俺様の世界も少し拡がった」

ステ(おかしな方向に拡がってないだろうな……)





フィ「いまの俺様はメイド喫茶『お客様は神様~右席に失礼しますご主人様』のCEOとして布教活動を」



ステ「土御門ォォォーーーーーーッ!!!!」



イン「そろそろパターン化してきにけり。しかしそうなるとおもてなしには『神にご奉仕☆メイド風あーくびしょっぷ』が
   やはり必要なりけるのよ!幸いここにあと一着……」

フィ「!! ほう……これは!」

ステ「それはっ、土御門のっ、罠だァァァァーーーーーーーッ!!!!! というか気に入ってたのかぁ!!!」イノケンティウス!!!

イン&フィ「「あぁっ、もったいない!」」

ステ「もったいなくありません!! もう持っていないでしょうね!!」

フィ「フフッ、それで上手いこと言ったつmウボァーーーーーーッ!!!」ジュゥゥゥウウ

イン「肉の焼けたるいい匂ひなのよな」ジュルリ




ステ「なんというか……しらけたな」

フィ「さて、いい加減に仕事をしなければな」シューシュー

ステ(もう少しヴェルダンにしておくべきだったか)

イン「そうだったのよ! さにあれども、私の初仕事を遂行しけるべきよな!」

ステ(そういえばこの口調は完全にスルーされてるな……)

フィ「エッヘンオッホン! ……それではイギリス清教最大主教、Index-Librorum-Prohibitorum殿。
   こたびは最大主教への昇叙、厚くお慶び申し上げたる」

ステ(……?)

イン「ありがたきことよな。非才の身にあれど、主の教えに従ひて研鑽を積み、人々の救いの手となりぬのよ」

フィ「……わがローマとイギリスは長らく友好関係とは言ひ難かった。」

フィ「が、教皇聖下は万民の心の安寧を願っておられる。宗派の違いなどなにほどのことがあろうか、ということだ」

イン「それこそ主の望みと私も考えたり。ローマとイギリス、否、
   世界の人々の求める『救い』を丁寧に拾いてゆきてこその『救済』なりしよな」





フィ「……フフッ」

イン「?」

フィ「なぜ『お前たち』の周りに多くの善意があるのか。それが今よくわかった」

ステ(……『お前たち』か……)

フィ「俺様がこの場に来たのは、祝福のためだけではない。十年越しの、謝罪のためでもある」

ステ「……」

イン「……」








「十年、経ってしまったのはひとえに俺様の――俺の身勝手な願望ゆえだ」

「あの男に諭されて、世界を見た。なにものも通すことなく、この眼で」

「醜かった。歪んでいた。しかし、」

「美しかった」

「善は確かに、この世にあった。作り出すまでもなく、今の世界に」

「それを確かめてようやく、俺は自分の過ちと向き合えた」

「自分が間違っていたと、認められた。だから、いくら遅くなったとしても頭を下げよう」






「済まなかった」








「顔をあげてください」






「人には、口があります」

「目があって、耳があって、鼻があって、手があって」

「心があります」

「話し合うために、笑いあうために、手を取りあうために神様がくれたもの」

「私はそう思ってます」

「だから、取り戻しましょう?」

「どんなに長い時間がかかっても、一生だったとしても」

「取り返しのつかないことを取り戻そうとしている人を、私は知っているから」

「あなたにも、あきらめないでほしいから」






「私は、あなたを許します」













「ありがとう、最大主教――いや」





「シスター・インデックス」












ステイルには、言葉はなかった。口を真一文字に結んで、眼前の『救い』から目ではなく、心を背けた。

まるで天上の、この世ならざる光景を見ているかのようで、そしてなにより――



自分が愛したままの『インデックス』がそこにいたから。



                      自分以外を愛した『インデックス』がそこにいるから。



どんな瞬間よりも強く、その隙間を思い知らされてしまっていたから――



なにも、言えなかった。










フィ「それでは、時間も時間だ。そろそろお暇しようか」

ステ「ローマに戻るのか? それとも……」

フィ「今度は、贖罪の旅ということになるな。今回のことは、前教皇の計らいで実現したることだ」

イン「マタイ前聖下はお元気でありて?」

フィ「りうまち、だったかをこじらせてな。歳も歳、万全とはいかぬが……」

フィ「学園都市の医者を誰かに紹介されたらしくな、どうやら快復にむかっているそうだ」

イン「それはよきことよな!」

フィ「まったくいつまで経てども頭が上がりそうにない……」

ステ(とか言いつつ微妙に嬉しそうだな) 

ステ(…………? やはりなにか、違和感が)

フィ「ではな、最大主教、ステイル=マグヌス」

イン「……我らをして御身にならいて、常に天主に忠実ならしめ、その御旨を尊み、その御戒めを守るを得しめ給え」ニコッ

ステ「(へえ……)かくして我ら相共に天国において天主の御栄えを仰ぐに至らんことを」ヤレヤレ

フィ「……御身の御取次によりて天主に願い奉る、アーメン」フフッ






スタ、スタ、スタ……ギィッ






「…………さらばだ」





















フィ「機会がありければまた会いたし。主の加護があらんことよな!」

ステ「なんかうつってるーーーーー!!!??」ガビーーーーン!












ステ「どうするんだあれ……」

イン「気にすることなしよな!」

ステ「なくてたまるか! アイツこれからあの口調で地球一周謝罪行脚するんですよ!?」

ピラッ

イン「あれ? なにか紙切れが落ちたるのよ? なになに……」



フィ『そうそう言い忘れた、俺様の旅は「お客様は神様(以下略)」の宣伝も兼ねているのだが』

ステ「……いや、いつ書いたんだこんなもん」



フィ『先ほどちらりとだが見せてもらった「神にご奉仕☆(以下略)」には実に感銘を受けた。
そちらが良ければ俺様の城、略称「ベツヘレムの星」の制服として採用したいと思う。というか採用する。答えは聞いてない』

イン「!!」

ステ「!?」



フィ『現物はないが俺様の「聖なる右脳」にかかれば再現など容易い。
「あのイギリス清教最大主教も絶賛着用中!」のキャッチコピーで商品展開も考えているので楽しみにしt』ボウッ!

イン「す、すている!? 何故にまたイノケンティウスを顕現させたるのよな!?」

ステ「ふ、ふぃ、っ、」

イン「ふぃ?」









ステ「フィアンマァァァァァァーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!」






鬼のような形相で『魔女狩りの王』を引き連れたステイルが大聖堂を飛び出す。通行人がびっくらこいて何人か腰を抜かした。

乳母車の赤ん坊がキャッキャと笑いだし、何故だか手慣れた感のあるホームレスがありがたやと暖を取りに群がる。



しかし本日四度目となった絶叫の元凶はすでにどこにも見えず、青青く晴れ渡る空に五度目の絶叫が響いて抜けた。



「不幸だぁぁーーーーーーーっ!!!!!」



続きますん


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