『VanishⅡ~independent Girl~(8)』 - 4


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(4)
「れいな、さえみさんの体に触れたら消されるから肉弾戦は避けて!」
さえみへと一直線にかけよろうするれいなに高橋が呼びかける
「そんなことわかっていると!」
れいなはさえみの周囲をぐるぐると回り始めた

「??れいな、一体何のつもり?言っておくけど、私のどこに触れても消えるわ
そういえば、さゆみも言っていたわ、れいなは単純だって」
「なに?サユ、そんなこと言ってると?許せないっちゃ、サユ!!」
れいなは怒り顔のままで人間とは思えない速度でさえみのまわりを回り続ける
自然とさえみの注意はれいなへと向けられる

(今や!)

いつの間にかさえみをリンリン、久住、ジュンジュンが取り囲んでいた
久住は赤色の雷、リンリンは緑色の炎、ジュンジュンは近くの瓦礫をさえみ向かって投げつける
「さすがに三か所同時やったらふせぎきれんやろ!」
雷が、炎が、瓦礫がさえみ向かって飛んでいく

「いける!」
新垣がそう思い拳を握りしめた
しかし、というかやはりさえみに当たる直前でそれらは崩壊する
「ええ?あれも届かないの?絶対的防御じゃない」
「それはどうかいな」
れいながニヤリと笑って見せた
ふとみればさえみの右腕に切り傷が出来ていた

「え、どうやって?」
「簡単や、三人の攻撃に集中させて、エリに攻撃させたとよ」
亀井を見ればカマイタチを放ったようで親指を上げて、こちら側に合図を送っていた
「意識の外の攻撃には防御できんくて、風は見えないから消せないはずやと思ったけど大当たりやね」

自分の腕に手を当てながらさえみは嬉しそうに笑う
「ふうん、やりますわね、れいなちゃん。でもね、これくらいなんてことないわね」
手を外したさえみの腕には傷は完璧に消えていた
「さゆの治癒能力、メンドクサイ能力っちゃね」

「それを相手に俺らはいつも戦っているんだって。どきなれいな、俺が行ってやるよ」
れいなを押しのけて吉澤がマルシェの前に出た

「マルシェ、作っておけ」
「え?本当ですか?幅は?」
「まかせる・・・2本、いや1本ずつだな」

「行くぜ、さえみ」
(速い!)
新垣はそう思った。ただ先程のれいなと違い吉澤はまっすぐ吉澤はさえみにむかっていく
(でも、あれじゃ、さえみさんの真正面では?何を考えているんだ?)

さえみはゆっくりと掌を吉澤へと向け、光を放つ
吉澤はその光を左腕で受け止め、体に当たらないようにしながらさえみに近づいて行く
当然ながら吉澤の左腕は淡雪のように空気中へと消えていく
「何をお考えでしょうか?」
さえみの呟きに対して吉澤はこう言った
「こうでもしないとお前に近づけねえだろ?腕一本くらいで済むならNo Problemだ」
吉澤はさえみの腹に渾身の蹴りを入れた

さすがに直接攻撃するとは思わなったのだろう、さえみは小さくうっ、と声を出した
吉澤の蹴りの威力はすさまじく、さえみは壁に強く叩きつけられた
もちろんさえみを蹴った左脚は消えかけてきた

「あの人、無茶するデス。スゴすぎてバカみたいデス」
リンリンがあっけに取られた表情で吉澤を眺めている

吉澤の元へと近づいたマルシェは手に何かを持っていた
「おう、マルシェ、さすが仕事速いな」
「相変わらず無茶しますね・・・これでいいですか?」
吉澤はマルシェからそれを受け取った
「・・・なんか少しサイズ太くねえか?俺、こんなんだっけ?いやがらせか?」
「いいから早くつけてくださいよ」

マルシェから受け取ったそれを吉澤は消え去った左腕と右足にくっつけた
そう、マルシェが作ったのは吉澤の『スペアの脚と腕』だった
『原子合成』で急遽作ったとはいえ、その大きさは吉澤にちょうどのサイズであった
感覚を確かめるように吉澤は手を握ったり広げたりしている
「うん、悪くねえ」

そんな二人の様子をみて久住は近くにいた光井の服を引っ張った
「あの戦い方、小春にはまねできないよ…ヘタしたら体全部持ってかれるよ」
「そやろうな…あれがダークネス幹部の戦い方」
知将光井ですら考えなかった戦い方であった

「ふぅ、さすがに今のは効きましたよ、さすがダークネスですね」
さえみがゆっくりと立ち上がり、口からペッと血を吐いた
「ふふふ、面白い戦い方をなさいますね、自分の命を命とも思っていない
 嫌いではありませんよ、その戦い方」
「気にいってもらって光栄だな」
再び吉澤がさえみと向かい合った

「でも、もう効きませんよ。今は、さきほど以上に触れたら崩壊する領域を広げました
 そうですね、私から半径50cmってところですかね?」
さえみが平然と言ってのけたが、その場にいた他の人々は戸惑いの色を隠せない
「愛ちゃん、どうしよう、これじゃあ、もうさえみさんにふれることすら」
「そんなにかよ、俺の腕の半分以上か・・・さすがにそこ飛び込む勇気はないな」

新垣の問いかけにも高橋は先ほどからずっと黙ったままだ
「愛ちゃん?」
「・・・なあ、ガキさん、あっしは自分の力を正直きらっとるの知っとるやろ
 ただな、今はその力を使うときかもしれん、『光』の力を
 それをずっと考えていたんよ」
「愛ちゃん、確かにあの『光』を良く思っていないことは知っている
 でも、そんなことよりも今はさゆみんを取り返すことが大事なんだから」
「・・・だよね、でも、ガキさん」
「なあに?愛ちゃん」
高橋は半ば困り顔の表情を新垣に向けた
「手加減できんから、さゆを全て消すことになる・・・かもしれん」

 ・・・と新垣が高橋に抱きついた
「ガキさん?」
新垣は高橋の頭を優しくなでながら言った
「愛ちゃんならできるよ、私、信じているから。それまで時間かせいであげるよ」
「うん、ありがとう、30秒あれば十分、やと思う」
その言葉を聴いた新垣は6人の仲間に「30秒、愛ちゃんをサポート」と指示を出す
仲間達は注意が高橋に行かないように必死に動きまわり、さえみの攻撃を避け続ける

「あぶないっ」
久住のすぐそばをさえみの光が通り抜ける
「ファイヤー」
リンリンの炎がさえみ周囲の見えない壁に当たり消えていく
「がんばるっちゃ、みんな」
れいなの励ましの言葉が飛ぶ

「へえ、れいなも気づかう優しさ出せるようになったんだ、成長したんだ」
「なに、ぼうっとしているんだ、マルシェ、何とかしてこの場面を打開する方法考えるぞ」
吉澤もさきほどから光弾を放ち続けている

新垣も何とかしてさえみの心の内を読もうとするが、こんな状況では当然読むことなんてできない
(どうにかしてさえみさんが止まってくれればいいんだけど…それより、愛ちゃんまだ?)
新垣は高橋のすぐ横で走り回り注意をそらしてくれている仲間たちへと指示を飛ばしている
もちろん、指示を出すのは新垣だけではなく、未来を視える光井もしている
しかし新垣の指示の方がより的確で、逃げるための指示ではなく生き残るための指示であった

そんな新垣達に守られながら高橋は自身の心と対話を静かに迎えていた
(本当はあの力なんて使いたくない)
化け物扱いされ、特に理由もなく避けられる日々が浮かぶ
(自分では制御できんで、大切な人を失ったりもした)
目の前で輪郭を失っていく茶髪のショートカットの女の子
(何よりも強力なはずのこの力、使い方によって世界を変えられると教えられた)
光によって友を失った時に励ましてくれた仲間達の姿
(今はこの力が必要な時なのかもしれん)
リゾナントで一緒になって笑いあう自分を含めた9人の姿
(お願い、今だけでいいから、光よ、私の一部に)

<ちょっとそれは虫がよすぎるんじゃない?>
(誰?)
<私はi914って呼ばれている。あなたの中のあなた。あれだけあの力を嫌っていてこう言うときだけ使わせて?>
(それはそうだけど今は、あの力で救いたいの)
<あなたは救われるかもしれないけど、それで私は救われるの?光の持ち主のi914は>
(確かに今はあなたのことを救えないかもしれん…でも、今は光の力が必要なんよ
 あの時の違って今は心から信頼できる仲間がいる。それを取り戻したい)
<本当に光の力で救えると信じているの?敵は仲間の一人なんでしょ?また失うことに>
(私はあの頃と違うんだ!!もうi914なんて簡単な番号では呼ぶ人はいないし、居場所もある
 あなたもいつまでもその番号にこだわっていないで自分を受け入れるべきよ)
<それはそのままあなたにお返しすることになるわ。まあ、いいわ、今だけ光を使わせるわ>

高橋は静かに息をし、目の前の光景を静かに眺めた

光から必死に逃げ惑う久住やれいなの姿
必死に指示を送り続ける新垣と亀井と光井
隙あらば攻撃に転じようと諦めの色の見せないジュンジュンとリンリン

「みんな、待たせたね・・・私の中の私、力を貸して」
高橋はさえみに標準を合わせた
「さえみさん、私の思いを感じて、この光を通して」