13-7


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魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」13-7


670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 01:25:28.53 ID:KvXPKcsP
魔王「でも。……それでも、次に行きたいのだ」

光の精霊「え……? 必要だって」

魔王「必要だったのだ。しかし、今や進むべき時が来た。
 時を止めていたこの世界に、進むべき時が来た」

光の精霊「あ、え……。その……」

魔王「今、もう一度この言葉を言おう。
 “それは出会いの一つの形だったのだ”と。
 そして世界には
 “いつか不必要になるために必要なモノ”があるのだ、と。

 それはあるいは子供の外套のように、だ。
 それがなければ私たちは成長することが出来ない。
 冬の雪にやられて死んでしまうひ弱な存在に
 過ぎなかった私たちは、その外套に守られて過ごした。
 でも、やがていつの日か、この今日にでも。
 その外套を脱ぎ捨てなければならない日は来る」

光の精霊「……ダメですか」

魔王「ダメではない。無駄でもない。
 ありがたくないわけがない。あなたは、わたし達の救い主だ。
 でも、時が過ぎた。過ぎなければならないのだ」

光の精霊「あ……う……」

魔王「わたしは魔法使いとは違う。
 あなたが間違っていたとは思わない。
 あなたの罪だと断罪するつもりはない。
 大災厄から私たちの祖先を救ってくれたあなたには
 億千万の感謝の言葉を費やしても足りると云うことがない。
 ……でもね」

ぎゅっ

光の精霊「あっ」

魔王「終わりが来たんだ」
671 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 01:34:31.51 ID:KvXPKcsP
光の精霊「うっ……。うっ……」

勇者「悪いな。そのぅ……なんのことだか判らないけれど
 思い出してやることが出来なくてさ」

魔王(それはおそらく……)

光の精霊「いえ、良いんです……」

魔王(最初の勇者の記憶。
 炎の娘と恋に落ちた……
 大地の精霊と人間の娘の間に生まれた少年。
 黒髪をもち、不死鳥にまたがった
 ――自由の魂を持つ少年の記憶)

光の精霊「やっぱり。ダメでした……。
 竜王の時も死導の時も。憎魔の時さえも。
 結局は思い出してはくれなかった。
 それでも……良いです。
 彼を裏切ったわたしには、
 あなたに何かを要求する権利なんて
 最初から何一つ有りはしないのだから……」

勇者「そうかなー」
魔王「そんなことはない」

光の精霊「え?」

勇者「裏切ってなんかいないだろう」
魔王「まったくだ」

光の精霊「え? え?」

勇者「まぁ。光の精霊は少しとろいからなぁ」
魔王「そんな感じだ。それにしたって、長すぎる誤解だ」
675 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 01:40:24.23 ID:KvXPKcsP
光の精霊「だって、そんな……。
 わたしは彼に誘われていたのに結局は彼を選べなかった。
 ……彼をあんなにも迫害をした精霊五家を守るために、
 この身を犠牲にしてまで御子の勤めに準じた……。
 彼の持つ自由の風にあんなにも惹かれていたのに、
 あの不死鳥の背にまたがって世界の果てを目指すことを
 夢見ていたのに、それなのに、やっぱりわたしは
 彼の手を取ることが出来なかったんです。
 彼の手を振り払って、わたしは光の精霊になった。
 彼の誘いを裏切ったから……。
 わたしは世界を選んだから。
 そんなわたしが出来る事なんて、
 世界を守り続けることしかないのに。
 ……それだけがわたしの存在理由なのに」

魔王「それで、そのぅ……“彼”の転生を待ち続けているのか。
 乙女心としては判らないでもない。
 というか、共感も出来るが。
 それは、やはり相当に誤解だと思うぞ?」

勇者「そうだそうだ。精霊がそこまでメロメロってことは
 その彼は相当にカッコイーやつだったんだろうが、
 そう言う点はあんまり重要じゃないんだぞ」

魔王(何を寝ぼけているのだ、勇者。
 “彼”の容姿なんて、勇者にそっくりに
 決まっているではないかっ。気がつけ、阿呆)

光の精霊「……うう」

勇者「ただ単に、手分けしただけだろじゃねーか」
魔王「最初の勇者が、世界を救うのに躊躇ったとでも?」

勇者「それともそいつは世界の危機に力を尽くさないほど
 根性曲がってたのかよ。自分を虐めたやつらだから
 死んじまえってほど了見狭かったのか?」

魔王「他人のために手を差し出すことを躊躇うような男に
 精霊殿が恋をしていたとは考えがたいな。
 もしそのような男だったら、そもそもこんなにも
 苦しまなかったのではないか?」

光の精霊「え……?」

勇者「そいつはきっと思ってるぜ。
 “ああ、俺の好きになった女は格好良いやつだ”って」

魔王「格好良いと云われて純粋に喜ばしいかと云えば
 乙女としてはなんとも微妙だが、
 それでも為すべきを為さないような存在であるよりも
 何倍も何倍も良いだろう」
676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 01:43:01.30 ID:KvXPKcsP
光の精霊「あ。あ……」

勇者「そいつだって、事が終わって二人っきりになったら
 “あのときはすげぇ頑張ってたな。惚れ直した”
 って云おうと思ってたんだよ。
 そのぅ……まだその機会が来てないだけでさ」

魔王「きっと“彼”だとて、その不死鳥の背と
 両手で、少なくはない人々を救っていたはずだ。
 自分の恋した少女が命をかけて世界のために
 戦っている時に、奮い立たないわけがない」

勇者「そーだそーだ! 魔王の云うとおりだぜ!」

魔王「な? 勇者。そうだろう?」

勇者「ったりまえだっての。
 世界を救いたいから勇者なんだぜ?
 勇者だから世界を救うわけでもないし、
 世界を救うから勇者でもない。
 救いたいと強く希ったら勇者なんだ。
 あんたの彼氏は、勇者だったさ」

魔王「……だ、そうだ。
 少なくとも“彼の魂”はそう言っているぞ?」

光の精霊「……あ。うくっ……」

勇者「?」

魔王「それから、“あなたの魂”はこう言うだろう。
 “もう、罪悪感は捨て去る”と。
 勇者と再び出会うために
 この世に闇と戦乱を振りまくのは、止めると。
 裏切ったという自責の念に堪えかねて、
 勇者の魂を求めて赤子のように涙を流すのは止めると。
 ……わたしだから云えるんだ。
 勇者と初めて手を取り合ったわたしだから。
 あなたの苦しみは魔王の魂を歪めてしまったけれど
 その歪みでさえ乗り切ることが出来るって」
677 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 01:44:10.03 ID:KvXPKcsP
勇者「へ?」

魔王「約束する。涙を拭って欲しい。
 わたしは幸せなんだ。
 ……あなたの娘とも云える魔王として
 初めて幸せになったのがわたしだ」

光の精霊「……はい」

勇者「良く判らないけれどさ。
 俺と魔王だって出会って色々あったけれど、
 喧嘩は止めて旅を出来たんだ。
 最初から恋人同士だった精霊とその彼だったら
 裏切るとか裏切らないとかさ、
 そんなの無かったんだと思うぜ」

魔王(わたしと勇者だから、説得できる――か。
 理屈も論理展開も根拠も、何もかも判っていないくせに。
 勇者は正解だけは判るんだな)

光の精霊「……はい」

勇者「うわぁ。良かったよ、判ってくれたよ」
魔王「色々思う所はあるぞ。勇者は鈍すぎだ。
 それでは四方の相手が報われないこと甚だしい」

光の精霊「願いを……」

勇者「ん?」

光の精霊「願いはありますか? 勇者。そして魔王。
 永久に続くこの循環からの開放。
 それはわたしにとっては未だ喜びよりも
 不安と寂しさのもとですが、
 それでもカリクティスの娘として、あなたたちを祝福したい。
 ……かつては結ばれなかった私たちの未来として。
 希望と羨望を込めて。自分自身の業が無意味でなかったと
 せめてものよすがとして」

勇者「あー。……そか。んっと」
魔王「勇者は、もう決めてるんだろう?」

勇者「うん。いいのかな」
魔王「そうしなければ、おそらく終わらない。
 それに、もう世界は変わったんだ。
 私たちがどうしようと、この世界は沢山の勇者と魔王がいる」

光の精霊「沢山の?」
678 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 01:46:17.91 ID:KvXPKcsP
勇者「もともと精霊の願いから生まれたモノだったんだろう?」

魔王「世界にいる人間も魔族も、全ては精霊の子だからな。
 その中から無数の勇者や魔王が現れてもおかしくはない。
 いや、本来はそうであるべきだったんだ。
 ……望めば誰もが勇者にも魔王にもなれる。
 それは無敵の戦闘能力や無限の魔力はもっていないが
 でも、そんなことは重要じゃない。
 大事なのは、世界を変える力を
 誰だって持っているって云うことだ。
 もし本当に“絶対やり遂げる”と決心さえすれば
 人間も魔族も、無限の明日を持っているはずだ」

光の精霊「はい」

勇者「精霊がさ。名家の生まれだから、
 炎の娘だったから、巫女だったから……。
 そんな理由で世界を救う生け贄になったんじゃないのと一緒だ。
 きっとそのときだって“絶対に救う”って決心したやつが
 他にいれば、そいつであったとしてもどうにかなったんだ」

魔王「わたしたちの願いは叶っている」
勇者「うん。見たい景色は自分たちで見た。
 欲しかった世界は、直ぐそこまで来ている」

魔王「世界は私たちがいなくても、
 “絶対この世界を救う”と思う勇者や魔王がいるし
 そんな勇者は今後も生まれてくるだろう。
 だれもが勇者になれる自由な世界になったんだ」

勇者「きっと、新しい作物を発見したり、
 新しい鉄の作り方を考えたり、
 開拓村で一杯開墾したりする勇者が生まれるんだぜ?」にやにや

魔王「それに、麦や塩を売り買いしてお金持ちになる魔王や、
 星の動きを記録して遠い距離の旅を
 考えつく魔王も生まれる」 にこり

勇者「そりゃやっぱり“絶対世界を滅ぼしてやる”っていう
 そういう勇者も生まれるかも知れないけれどさ」

魔王「確率論的に、それは正義の魔王によって阻まれるだろう。
 そういう世界になればよいと願っている限り
 世界はそうなるはずだ」
679 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 01:48:38.44 ID:KvXPKcsP
勇者「学者とか云って、魔王の云ってる言葉だって
 楽天的な希望論じゃないか。
 人のことを馬鹿みたいに云ってるくせに」

魔王「経済というのは人々の希望と予測で動いているのだ。
 大多数の人々が“景気は良くなる”と信じることで
 実際に景気が良くなるように、多くの人が平和を
 強く望めば平和な世界がやってくる」

光の精霊「お二人は強いのですね……」

魔王「そうじゃない。もし仮にそうだとすれば
 ……精霊と彼も強かった、ということだと思う」

光の精霊「はい」

勇者「俺たちの願いは叶ってるんだ」
魔王「うん」

勇者「だから、俺たちの願いは……。
 精霊の救済だ。
 光の精霊は、いつでも困ったような、
 ちょっぴり泣きそうな顔をしていた。
 今まで一杯助けてもらった。ありがと」

魔王「うん。だから、救われて欲しい。もう、泣かないで」

光の精霊「え……」

勇者「ほら」
魔王「うん」

光の精霊「え? え?」

勇者「見えるよ。あんなに大きな」
魔王「不死鳥がやってきている」
681 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 01:56:56.86 ID:KvXPKcsP
――おおぞらをとぶ 開門都市庁舎

火竜公女「……黒騎士殿はまだみつからぬのかや?」
東の砦長「ああ、どうやら戦場に墜落したらしいんだが」

青年商人「魔王殿も行方不明です」
冬寂王「……それに執事と女騎士も連絡が取れぬ」

軍人子弟「師匠……」
鉄国少尉「何かあったのでしょうか」

火竜公女「おそらくは。しかし何が……」
青年商人「敵がいたのでしょうね」
冬寂王「敵、とは?」

青年商人「論理的に考えれば、勇者一行の力を持って
 初めて倒せるような、強大な敵が居たのでしょう。
 その敵と戦うために、勇者達は姿を消したのかと」

鉄腕王「それは魔王じゃないのか?」

火竜公女「魔王殿は弱いからなぁ」

東の砦長「勇者と魔王は戦わねぇよ、絶対にな」
青年商人「ええ、それはそうでしょう」

冬寂王「良く判らぬな」

軍人子弟「すこしだけわかる様な気がするでござる」

東の砦長「……ほう」

青年商人「どういう事です?」

軍人子弟「お二人とお仲間は、拙者達ではどうにもならぬものと
 戦いに赴いたでござるよ。目に見えぬ、手では触れぬ敵と。
 それは、おそらく……。曖昧模糊としているのに頑強で
 与しやすいのに絶対的で、誰の前にでも現れるのに
 誰も勝つことが出来ないようなモノ」

鉄国少尉「なんです、それは?」
683 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 02:00:45.44 ID:KvXPKcsP
軍人子弟「誰かの胸の痛み。後悔、とか」
鉄国少尉「?」

火竜公女「後悔……ですかや?」
青年商人「……」

冬寂王「我らと同じではないか。 我らは未来の後悔をなくすためにいまを戦わねばならない」

火竜公女「まことに」

青年商人「……目の前の問題をかたずけましょう。
 まずは、講和をしなければなりません。
 講和条約の作成が一つの山場でしょう。
 遠征軍は魔界に対して一方的な侵略を仕掛けてきた。
 これは紛れもない事実です。
 それ相応の賠償を要求せねば魔界側も納得しない。
 しかし、追い詰めすぎては講話の前提が崩れる」

冬寂王「そうだな」

軍人子弟「双方の顔を立てるとなると至難でござる」

青年商人「実は魔界には一つ、族長の決まっていない
 難民同然の氏族がありましてね。領地も支配者も浮いている」

火竜公女「っ!? 蒼魔族の? あれを使うのかやっ!?」

青年商人「あそこの開発や発展を、人間界にやらせましょう。
 もちろん人材や資金は全てあちら持ちです。
 戦争の結果ですから、復興責任は向こうにあります。
 しかし、復興責任とは云っても、魔界との貿易で人間界も潤う。
 向こうにとっても損な話ではない。
 後は謝罪と、賠償金を組み合わせて、
 落としどころを模索すればかまわないでしょう。
 場合によっては極光島が話の俎上に上がるかも知れませんが」

冬寂王「それは予想している」

ガタンッ!

庁舎職員「み、皆様っ! 窓をっ!!」
684 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 02:02:18.30 ID:KvXPKcsP
鉄腕王「はン? 窓?」
軍人子弟「何が起きたのでござる?」

ぱたんっ

火竜公女「あれはっ」
東の砦長「あれは、なんだ?」

冬寂王「なんと美しい。……あれは魔界の鳥なのか?」

きらきらきら、きらきらきら……

火竜公女「いいえ、あのようなモノは魔界でも見ませぬ」
東の砦長「どれだけ大きいんだ。小屋くらいあるのか」

軍人子弟「いいや、あれは随分高くを舞っているでござる。
 小さく見積もっても、この庁舎ほどあるかと……」

鉄国少尉「金と虹色に輝いて。なんて綺麗な鳥なんだろう」

火竜公女「……光の塔が消える」
東の砦長「ああ……」

青年商人「あの塔も、鳥も。あるいは勇者の行方と関係が」
冬寂王「あるのかもしれぬ」

軍人子弟「だとすれば、それはきっと師匠達が
 戦って勝ち得たものでござるよ」

火竜公女「そうなのかや?」

軍人子弟「あんなに雄大で美しいものが、
 悪い結果の産物であるはずがござらん」

火竜公女「皆も見ているのであるかや……」
東の砦長「みんなも?」

冬寂王「ああ。こんな素晴らしいものは、
 全ての国の人々も見れればよいのに……」
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 02:10:52.33 ID:KvXPKcsP
――おおぞらをとぶ 開門都市城門

  光の少年兵「これ、ですか?」
  魔族娘「そうそう。煮立たせて」

  人間作業員「おーい! 鍋が出来たぞぅ」
  巨人作業員「おお……」
  義勇軍兵「ほれ。人間の兵隊さんも食えよ」

  光の槍兵「でも……」
  義勇軍兵「遠慮すんなよ。どっちも多くの犠牲は
   出なかったんだ。この防壁のお陰でな」

ぽろろん……♪ ぽろろん……♪

土木子弟「お帰り」
奏楽子弟「た、ただいまっ」

土木子弟「なんか、こう! き、緊張するな」
奏楽子弟「うん……。あははっ」

  光の少年兵「え? ちがいますか? こうですか」
  魔族娘「ちがくて、んと。赤い実を入れるの」
  人間作業員「そりゃ辛すぎだろう?」
  巨人作業員「……辛いと、美味しい」
  光の少年兵「で、出来ましたっ」

土木子弟「へへん。聞こえてたぞ、歌」
奏楽子弟「うんっ。聞こえてたか。あははっ」

土木子弟「なんか上手くなったな。
 いや、上手くなった訳じゃないかもしれないけれど
 聞いてて無性に泣けてきた……」

奏楽子弟「そか」

土木子弟「苦労したか? 世界は見れたか?」

奏楽子弟「うん。見たよ。聞いたよ!! それに感じた。
 すごいよ。広くて、その広い世界に、沢山の氏族が住んでるよ。
 人間も、わたし達も。変わらない。
 嬉しいと笑うし、悲しいと泣く。大事なものがあって
 避けたい不幸があって、理不尽で、必死に生きている。
 それでも……。
 世界は――綺麗だったよ」
687 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 02:12:46.75 ID:KvXPKcsP
  光の少年兵「ど、どうぞ……」
  人間作業員「おー。それでいーんだ」
  光の少年兵「はい……」 おずおず
  巨人作業員「偉そうだ……」
  竜族兵士「温かい……。戦は、終わるな」

奏楽子弟「わたしも、橋を通ったよ。
 人間の遠征軍に紛れて帰ってきたんだ。
 人間の世界には飢餓がある。
 彼らは、ほんのちょっぴりの食料をもらうために
 こんな世界の果てまでやってきたんだ」

土木子弟「聞いた。……なんだか切ないな」

奏楽子弟「帰ってきて驚いたよ。橋も、この防壁も!」
土木子弟「ぼろぼろになっちゃったけれどな」

奏楽子弟「でも、立派だったよ。
 この防壁がなければ魔界の民は沢山殺されてたし、
 人間も沢山死んでいたはずだもの。
 この防壁が、最悪の戦を防いでくれたよ。
 こんなに穴だらけになっても、守ってくれた」

土木子弟「面目ない」

奏楽子弟「格好良かったよ!」
土木子弟「あ、うん……。その、ありがとな」 そぉっ

奏楽子弟「あ」
土木子弟「へ?」

奏楽子弟「鳥……だ」

  光の少年兵「え?」 きょろきょろ
  魔族娘「綺麗……」
  竜族兵士「あれは、不死鳥!」

土木子弟「すごいな……!」
奏楽子弟「うん。世界は――すごいところだよ。
 遠くまで行って、不思議なものも。
 綺麗なものも。恐ろしいものも。沢山、見てきた。
 見て来ちゃったよ……」

土木子弟「――お帰り。長い旅から」

奏楽子弟「ただいま。やっぱりここが、落ち着くや。
 土木子弟は、変わらないね。……ありがとう。
 待っていてくれて、ありがとう」

ぎゅっぅ
688 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 02:15:15.81 ID:KvXPKcsP
――おおぞらをとぶ 開門都市近郊

王弟元帥「了解した」

参謀軍師「では引き続いて陣備えの報告を申し上げます。
 中軍二万八千は5里後退して設営中。
 食料は現在のところ南部連合から供給される小麦を中心に
 一端の安定状態を保っております。
 周辺からの狩りにて肉類を補充したいとの要望も出ておりますが」

聖王国将官「ですな」

王弟元帥「異境の地だ。何があるか判らん。
 現地の魔族からの買い取りを優先させろ」

参謀軍師「魔族、ですか?」

聖王国将官「出来るのですか? こんな地で」

王弟元帥「開門都市に使者を出して詳しい担当を派遣してもらえ。
 狩りをするにしても、周辺の森はどこの氏族の領地かも判らん。
 この時期不用なトラブルは避けたい」

生き残り傭兵「ああー。いいす、いいす。
 機怪族の狩人やら商人を派遣しますから」

貴族子弟「そうですね」

メイド姉「そうしましょう」 にこっ

参謀軍師「閣下」

王弟元帥「なんだ?」

参謀軍師「なんでこのようなごろつきどもが、
 我が遠征軍の最高会議に出席しているのですか?」

器用な少年「ごろつきだってさ! おれごろつきだって!!」

貴族子弟「ホームレス少年から格上げですね!」

メイド姉「出世ですよ、これは」にこにこ
689 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 02:17:36.39 ID:KvXPKcsP
参謀軍師「ええい、ちゃかすな!」
王弟元帥「堪えよ」

参謀軍師「っく!」

聖王国将官「しかし、魔界に詳しいのは現実ですし。
 得体の知れないコネも持っていますし。
 ……こうして何かと世話はしてくれているわけですし。
 わたしだってこんなのと同席は腹が立ちますが」

生き残り傭兵「俺たちは何でもしないと生き残れないからな」
器用な少年「生き汚いと呼んでくれよ、おっさん!」

貴族子弟「それは褒め言葉じゃないんですよ? 少年」
器用な少年「いたたたっ! 耳っ! ちぎれるっ!」
貴族子弟「事は全てエレガントに。です」

メイド姉「ふふふっ」

参謀軍師「このような者たちの存在は軍の規律に影響を
 与えずにはおきません。悪影響ですっ!
 そもそも講和も成っては居ないこの状況です。
 せめて軍気からは放逐してください。閣下!」

メイド姉「でも、大主教様は行方不明なのでしょう?
 であれば、聖骸をもってきた精霊の使いの娘は
 しばらく王弟閣下のもとにいたほうが、
 都合が良くはありませんか?」

参謀軍師「それは……っ」

メイド姉「それに、軍としては悪影響でも構いません。
 だって遠征軍自体はここでお終いにして頂きたいんですから。
 “巡礼者の群”に取って悪影響でないのなら
 わたし達にとっては好都合。むしろ渡りに船です」

生き残り傭兵「姐さん、ぱねぇな。ほんと」

聖王国将官(たしかに、光の子の中でも
 日に日にこの娘に感化されるものが増えているが……)

貴族子弟「見かけより遙かにタフですよね」

メイド姉「元々メイドですからね。
 朝から晩まで働くのは得意なんです。
 料理は妹に譲りますが掃除や洗濯、
 けが人の世話は得意なんですよ。書類仕事もね」
691 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 02:18:05.80 ID:KvXPKcsP
王弟元帥「時には耐える戦もあるさ」
参謀軍師「閣下……」

王弟元帥「聖王国も、中央の国家群も今回の遠征では
 多くを失った。資金も、資材も、時も、人材もだ。
 勝てない以上、堪え忍ぶしか無かろう」

生き残り傭兵「勝手な言いぐさを。
 南部の国々や魔族が何も失わなかったとでも思っているのか。
 上から目線で気にくわないぜ」

器用な少年「ったくだっ!」

貴族子弟「まぁまぁ」

メイド姉「ええ。王弟閣下は判ってくださいますよ」

王弟元帥「お前達も、いつ我が利用するかも知れぬと
 用心に用心を重ねておくことだな」

メイド姉「利用して頂けるのを待っているんです。
 こちらは利用させて頂いているんですから、心苦しいですよ。
 いつでもご利用くださいね」 にこにこ

ばさっ!

聖王国騎士「閣下! 空に、巨大な鳥がッ!」

王弟元帥「鳥だと?」
参謀軍師「何が起きたのです」

ざわざわ……ざわざわ……

聖王国将官「あれは……」
692 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 02:19:25.59 ID:KvXPKcsP
  斥候兵「鳥だって?」
  光の銃兵「ああ、鳥だ。見ろ! あんなにキラキラして」
  光の槍兵「綺麗だ……」
  カノーネ部隊長「あれは精霊様の使いなのか……」
  カノーネ兵「うっわぁ、こんな物が見えるだなんて」

器用な少年「すっげぇなぁ!! おい!」

貴族子弟「これはなんと麗しい……」

メイド姉「……さま」

王弟元帥「これが魔界の鳥なのか」
参謀軍師「このようなことは初めてですな」

メイド姉「当主、さま? ……勇者、さま?」 ぽろっ

王弟元帥「ん?」

参謀軍師「どうしたのですか?」

器用な少年「お、おい! 姉ちゃん!
 なんでだよっ。
 泣き出すなんて、腹でも痛くしたかっ?
 泣かないでくれよ」

貴族子弟「メイド姉……」

メイド姉「いえ、違います。そうじゃなくて」

ぽろぽろ

王弟元帥「……学士よ」

メイド姉「なんだか、胸がいっぱいで。
 なんででしょうか。急に沢山のことを思い出してしまって」

貴族子弟「……」

メイド姉「懐かしくて切なくて、嬉しいような悲しいような。
 随分遠くへ来てしまったのに、ふるさとに帰ってきたような。
 会いたい人が沢山いて、行きたいところが沢山あるのに……。
 ひとりぼっちなのが誇らしいような……。
 先生。……先生は、お元気ですか?
 当主様、勇者様……。妹……。わたしは、ここにいますよ?」
695 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 02:29:19.30 ID:KvXPKcsP
――おおぞらをとぶ 魔界の荒野

副官「そうか! 遠征軍が休戦をっ!」
獣人武将「おお!」
獣人兵「か、勝ったのか!? 俺たちはっ」

遠征軍捕虜「……」
遠征軍士官「肩を落とすな。仕方あるまい」

副官「はい。戦争は終わるんです」
遠征軍捕虜「終わる、のか」

遠征軍士官「俺たちは裏切り者だ」

獣人武将「裏切り? 人間の考えることは小難しくて判らないな」

獣人兵「そうだぞ。力を合わせなければ、魔物に殺されていた。
 助け合ったら、戦争が終わっていただけだ」

副官「その通りです」

獣人武将「俺たちの族長だって、そのくらい許してくれるさ」
獣人兵「銀虎公……。族長の魂に栄光有れ!!」

遠征軍捕虜「やはり、無謀な戦だったんだ」
遠征軍士官「そうだな。こんなところまで来て。
 俺たちは何をしてたんだろう。何を求めていたんだろう」

副官「斥候の報告はっ?」

斥候「はっ! 西方4里に大型の魔物の痕跡はありません!」

獣人武将「移動しますか、司令官殿」

獣人兵「おう!」
696 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 02:32:35.85 ID:KvXPKcsP
遠征軍捕虜「俺たちは、どうすればいい?」
遠征軍士官「……処刑か? せめて捕虜達は」

副官「馬鹿を云わないでください。これ以上血を流しては
 きっと……わたしの大将だって怒りますよ。
 戦争が終わるのならば、生きて帰る努力をしてください」

遠征軍捕虜「生きて……帰る?」
遠征軍士官「帰れるのか、俺たちは……?」

副官「わたしには保証できませんが、
 とりあえず開門都市に向かいましょう。
 停戦と云うことは、おそらく何らかの交渉に入ったはずです」

獣人武将「まずは生き残ること。武勲はその次だ。
 武勲ばかり焦るのは真の武人とは云えぬ。
 大将だってそう言っていた」

獣人兵「命を掛けるのは、武人の誇りと主君を
 守るためだけでよい……なんてなぁ!
 ああ、そうさ。俺たちの大将はそうやって死んじまったが
 そりゃぁ、みごとな最期だったんだぜ?」

遠征軍捕虜「……」
遠征軍士官「すまん、感謝する」

    きらきらきらきら……

副官「え」
獣人武将「あ。あれはっ」

遠征軍捕虜「鳥?」
遠征軍士官「なんて神々しい……」

副官「……」
獣人武将「大将」

遠征軍士官「帰りたいな……」
遠征軍捕虜「……帰って、これのことを話したい」

遠征軍士官「ああ……。妻に、子に。
 この美しい鳥について話したいよ……」
697 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 02:35:46.25 ID:KvXPKcsP
――おおぞらをとぶ 大空洞

こぉぉん……こぉぉん……

鬼呼の旅人「もう一息で峠を越えるぞ」
人間の商人「ああ、任せておけ!」

こぉぉん……こぉぉん……

鬼呼の旅人「しかし、売れるのかね、楽器なんて」

人間の商人「これは上物だ。聖都の職人が作った三弦琴だぞ?
 もちろん売れるさ。なんとか売りたいんだ」

鬼呼の旅人「だって戦争をしているって云うじゃないか」

こぉぉん……こぉぉん……

人間の商人「いつまでも続く戦争なんて有るものか。
 戦争をやってたからこそ、音楽の一つも恋しくなる。
 乾けば水が欲しくなるようにさ。
 だからこういうのは切らしちゃダメなんだ。
 文化が無くっちゃ平和になんかなりゃしない。
 そいつがおいらの商人としての……」

鬼呼の旅人「どうした?」

ばぁっさっ! ばぁっさっ! ばぁっさっ!

人間の商人「っ!?」
鬼呼の旅人「な、なななっ!!

人間の商人「黄金の羽ね……っ!」
鬼呼の旅人「なんて立派な鳥なんだっ!」
702 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 02:47:21.49 ID:KvXPKcsP
――おおぞらをとぶ 冬の国、冬越し村

小さな村人「ほーぅい! ほぅい!」
中年の村人「寒いねぇ」
鋳掛け職人「まったくだぁよ」

小さな村人「今年の冬は、それでもすこぅし楽かもなや」

中年の村人「そうかもなぁ。年越したらわかんねけんども。
 馬鈴薯一杯とれたから、うちは本当に良かった」

鋳掛け職人「冬籠もりの準備は終わったけぇ?」
小さな村人「ああ、うちも今年はよくがんばっただぁよ」

中年の村人「ベーコンは美味しくできただよぉ。
 カブも沢山あるだ。これで冬の間に、豚っ子が子供を産んで、
 春にはまた森に放してやれるだぁよ」

鋳掛け職人「人が増えたのか、農具の修理の仕事が
 沢山たまっているだ。冬の間に幾つか新しいのを作って
 春になったら売ってみようかと思うんだよ」

小さな村人「そりゃいいねぇ! 本当に良いことだ!」

メイド妹「こんにちはーっ!」 ぶんぶんっ
商人子弟「こんにちは、精が出ますね」
従僕「こんにちはですっ」 ぱたぱた

中年の村人「ああ、これはお屋敷のお嬢さんでないかい」
鋳掛け職人「それに……?」

商人子弟「ああ、わたしはお城勤めの役人なんですよ」
従僕「はいです!」

中年の村人「あんれまぁ! ああ、そうだそうだ!
 お前さんは、あの屋敷で、しばらく住んでらっしゃった
 坊っちゃんでないかい?」

鋳掛け職人「そう言えば、見たことがあるような」
703 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 02:49:55.08 ID:KvXPKcsP
メイド妹「そうだよぉ。今度はね、この村にも
 冬の間のお仕事が作れるか、見に来たんだよ」

商人子弟 にこにこ

中年の村人「冬の間の?」

商人子弟「冬の間、開拓民の皆さんは、農作業が出来ませんよね。
 その間に頼める仕事がないかと思いまして」

鋳掛け職人「俺っちは鋳掛けやなんだけど。
 それは、工房での仕事みたいなものなのかい?」

小さな村人「なんだいね、その仕事というのは?」

メイド妹「うーん。なんだっけ?」

商人子弟「幾つか話はあるので、詳しくは村長さんとも
 相談してから決めさせて頂くことになるかと思うのですが
 羽毛いりの服の縫製や、紡績を考えているんですよ」

従僕「です♪」
中年の村人「紡績ってなんだい?」

メイド妹「織物だよ?」

商人子弟「はい」

中年の村人「ああ! それなら、家の中でも出来るだぁね。
 でもそれは難しくはないんかい?
 俺たちはそんなに難しいことは出来ないんだよ。
 ははは。土よ豚っ子の相手ばかりしてるから」

メイド妹「女の子でも、お年寄りでも出来るようにするんだって」

商人子弟「ええ。詳しいことは温かいところでお話ししますよ」

中年の村人「おお! そういやそうだ。
 村長さんのところに案内するだぁよ。
 おらぁ、スモモの樽を届けるんだった」

鋳掛け職人「ああ、頼んだよぉ。おいらも鍬を届けなきゃ」
705 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 02:54:53.98 ID:KvXPKcsP
メイド妹「ん~♪」
商人子弟「どうしました」

中年の村人「ああ、判るでよ」にこり

メイド妹「良ぃ~匂い♪ パイだぁ」

商人子弟「ほう!」
従僕「はうはう!」

中年の村人「酒場で焼いているんだよ。
 脂ののった鱒をパイに包んでこんがり焼いて、
 輪切りにして出すんだ。美味しいよぉ」

メイド妹「輪切り? うわぁ。知らない料理だ!」

中年の村人「お嬢に習ってから、工夫したって云っていたよ。
 バターのソースを掛けてあるんだよ。
 ちょっと高いけれど、村の連中の一番のご馳走だぁよ」

鋳掛け職人「んだんだ」

メイド妹「食べたいなぁ! 食べたいなぁ~」 きらきら
商人子弟「はははは。判りましたよ、そんな眼で見ないでください」

従僕「ふふふっ。僕も食べるのですっ」

中年の村人「今年の冬も豊作だったから、酒場も繁盛して
 ――え、あ。ああっ!」

鋳掛け職人「なんだってんだいまったく……あ」

 きらきらきらきらきら……

メイド妹「綺麗っ!」
商人子弟「これはっ……」
従僕「おっきな鳥ですっ! すごぉい!!」

メイド妹「すごい、すごい、すごいよぉ!
 ね、見てみて! お姉ちゃんあれす」
商人子弟「――」

メイド妹「……って。えへへ。お姉ちゃんは居ないんだった」
商人子弟「大丈夫。彼女もどこかで見ていますよ」 ぽむん

メイド妹「うんっ。……すごいねぇ、綺麗だねぇ。
 精霊様のお使いみたいだねぇ……。
 なんて云う鳥なんだろう。
 ああ、お姉ちゃんが無事でありますように」
709 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/22(日) 03:05:53.85 ID:KvXPKcsP
――おおぞらをとぶ 赤馬の国、交易市場

きらきらきらきら……

交易商人「なんだ? なんて綺麗なんだっ!」
開拓民「ありゃぁ、すごい!」

遊牧の男「精霊様の御使いなのか……?」
羊飼いの女「精霊様……」

交易商人「飛んでいく。……北のほうに飛んでいくな」
開拓民「雄々しくて、美しくて……すごいものを見ちまった」

遊牧の男「……」

ヒツジ「めぇええええ……」
羊飼いの女「あ。ごめん、ごめん! 寒かったよね」

交易商人「ははははっ! いやぁ、とんでもないものを見たぞ。
 あはははっ! 今日はもう商売はやめだっ! 飲みに行く。
 さぁさ、皆さん寄っといで!
 ここにあるのは元祖冬の国の馬鈴薯だ!!
 なんと一袋が金貨5枚!!
 小麦だったら20枚するこのご時世に金貨5枚!
 儲けは無しの大特価! あんなすごいものを見たんだ。
 そこの兄さんも姉さんも買っていきな。
 それであたしと、酒の一杯でも飲もうじゃないか!」

開拓民「あははは、そりゃいい!」

羊飼いの女「そ、その。えっと。このおチビちゃんとじゃ、
 ダメですか? この子です」

交易商人「ああ、いいよ。それじゃぁ、二袋持ってお行き」
開拓民「太っ腹だね!」

遊牧の男「俺にも一袋くれ」

交易商人「ははは、そうさ。あたしらは験を担ぐんだ。
 あの大きな鳥は、きっと商売の守護精霊に違いないよ!
 さぁさ、よっておゆき! 冬の国の馬鈴薯だよ!
 甘くて美味しい、ほっくほくの馬鈴薯だよ!!
 買ってお行き! 今日は精霊に捧げる大特価だ!!」



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