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L:デスの死={
t:名称=デスの死(イベント)
t:要点=イクのイベントログ,デスの死
t:周辺環境=小笠原の公園
t:特殊={
*デスの死のイベントカテゴリ=イベントとして扱う。
*デスの死を取得したことでドクトルデスは死亡し、ヤガミとなって復活する。この時記憶や思いは継承される。
*デスの死を取得した国はヤガミによって守られることになる。
t:次のアイドレス=青との再会(イベント),イク(ACE),銀の剣を持つ男(イベント),ヤガミの守り(イベント)





終礼の鐘が鳴っている。

そんな中、イクは一人帰り支度をしていた。
(ごそごそ)「全部持ち帰るのは重いなー」

一度、置いて帰ろうかな、とも思ったけれど、おうちでは荷物は全部持ち帰りと言われてたっけ、と思い直してやっぱり持っていくことにした。
暑い中、重い荷物をもってえっちらおっちらと。

「帰って宿題もあるしっ それ終わったらまたみんなで遊ぶんだーvv」


外に出てみると、すでに誰もいなかった。どうやら、まだ残ってるのは自分だけみたいだ。

「よろよろ・・・・・・」(ぽつーん・・・・・・さみちぃ)



グラウンドを横切っていると、メスが飛んできた。
「おわっぁああ!!!」
慌てて避けたので、メスは地面に刺さった。
「誰だ!! って、想像つく気もする・・・デスかい?」
見れば、ドクトルデスが長い舌を見せてクククと笑いながら踊っていました。
「うわあい!! さみしかったんだ、ちょっと。メスは拾っとくよー、かえって洗って使いまわしだ・・・(笑」
「イィ、その表情イィぃですねぇ」
「デスもイイネィっ ぼくは君の顔好きだよ(ニヤニヤ」
「腹を割かれたらきっともーっといい声をあげるんでしょうねぇぇ。ククク」





ぶっそうな事を言いながら、デスが並んでくる。

相変わらず薬臭いけど、最近はそれに混じって血の匂いがすることが、イクは心配だった。

「うーん、ぼくは匂いかぐの好きなんだ、でもこの匂い・・・前と変わったね」

デスは、永遠えいえーん、と言いながら踊っている。
「へんっ 永遠なんてないんだっ」
そう言ってデスの匂いをもっと近くで嗅ごうと白衣を開いたら、下に何も着てなかった。
なんかピンク色のものがある。乳首だ。
「うお! 下着着ろよ!!!」
とっさにかばんでみぞおちに突っ込んでしまった。
「変態ですね? 仲良くなりましょう、ククク」
「お互い様かいなw でも変態してる君もそうでないのも好きだよ」
デスは岩田と違って、みぞおちに突っ込んでも倒れたりしない。
それどころか痛みを感じていないようで、悠然と笑んでいる。
「・・・」
なんとなく面白くなかったので、すねを蹴ってみたが反応はない。
「・・・・・・なんだよぉ、つまんないよう・・・」
ちょっと泣きたくなった。
デスは相変わらず踊りながら廻っている。
「男の胸が好きなんですね」
「誰の胸でもスキだもんっ ギューは気持ちいいからねっ」
「でもさせてあげません」
「いいもん! スキを付いてみんなで飛び掛るんだもーーん」
「永遠、えいえーんの愛ー」
「永遠なんてないんだ、変わるんだよ、人はみんな」
そう言った後、どことなくデスの雰囲気が変化した。
「ククク」
「変わって、それで、変わったその人を好きでいたら、見た目永遠に見えるだけさー」
「そんなにどこかに行きたいなら、さあ、どこにでも行ってください」
「ああ行こう、ほら、デスも一緒だ!!!」
手を握ろうとして、だが避けられて握りそこねた。
「永遠ーえいえんのわかれーさよーならーさよーならー」
そう言いながら、デスは去っていく。
「ぬ!! ダッシュっ!! て、重!!」
荷物が災いして追いつけず、いつの間にか一人に戻っていた。
「ぶぅ! ・・・死んでも追いついてみせる。あいつ何してたんだ」
そこに至って、今更ながらイクはデスはなにか言いたいことがあったのではないかと思い始めた。
そして多分、望む答えがえられずに彼が帰ったとも。
「何を・・・・・・最悪は避けて見せる。だめなら僕が死ぬまでだ」


一人で歩いてきて、気付けば公園にいた。
傾いた日が、赤く照らしている。
ブランコに座って足をぶらぶらさせながら、
「誰かデスの行き先知ってる人いないかな、誰だろう」
考え事をしていると悲しい気持ちになった。
「ぼく、だれも泣かせたくないのに。デスも、だれも、もうぜったい・・・・・・っ」
うつむくと、涙がこぼれる。
少しの間だけそうして、またデスを探しにいく。

そして、血痕を見つけた。
黒い血だ。
「!!」
臭いをかぐ。薬と、火薬の匂いだ。
「む!!」
その瞬間に、涙を拭いて走り始める。
「全身がぴりぴりする!!」
その先に、胸に血の花を咲かせたドクトルデスが倒れていた。
血は、左胸からだ。





 「!!!!」

「デス、デス!!!」
止血する為に駆け出そうとして、デスがメスを投げてイクの影を地面に縫い止めた。
6mの距離。そこから近づけない。
「あ、あまいわぁぁああ!!!!」
「ククク、逃げなさい・・・・・・」
「こっちは名医だ!! 死んでも生き返らせる!! 死ぬのなんか怖くない!!」
影に簡易ライトを当てようとして、顔を上げる。



そこに、見慣れない黄色いジャンパーを着た人が、いた。
銃を持っている。

「ふん、予測してた。撃て、僕を先にだ」
「なぜ?」
「撃てよう、撃て、撃て!!」

動こうとしたが、影は縫い止められたままだ。
動けない。
それでも、声を上げるのは止めない。

「大切な人は、誰だって護りたいんだ!!!!」

デスが目をつぶった。

「それは死ぬより怖くない!! むしろ誉れだ!! 僕は笑って死ぬんだ!!」
「そこで死のうとしている男も、そう思っている」
「うん。デス。ほら、だめでしょ、キミがしたって僕がしたって、悲劇なんだ。同等だ」

デスは、もう動いていない。

「デス! デス!!! そんなもんじゃない! 未来は変わるんだ!!! 」
叫ぶ。
「変えるんだ!!」
「いいや、変わらない。何一つ」
「運命なんかないや!!」

デスは、光になった。

「!!!」


「あほーーー!!!!!!」

体はまだ、動かない。
術者が死んでもまだ、影縫いの効果は続いている。

「そこのイエジャン!!!! 光を掴んで!!!」
「必要はない」
「そうしないと舌噛んで死ぬ!!」
「なぜ?」
黄色いジャンパーを着た男は、淡々としている。
イクはそれを睨みつける。
「いいのか、関係ない人が死んで」
「人が死ぬのには慣れている」
「何故光にした」
「答える必要を認めない」
「涙はいいのか、あなたが好きな人が流した涙。それは、止めたくはないかっ」
「目薬でも代用できる程度のものだ。子供だな。君は」
「誰かが死ぬのは、誰もいやなんだ。あなたの大切な人は、それを望むのかっ」
言う。
「それはあなたの本心かっ!」

イエロージャンパーは任務完了と通信機に向かって言ったあと、銃の弾を入れ替えた。

「本心?」
「だあ!!! 未来は変えて見せる!!!」
「変わらない。言ったはずだ。何一つ」
「何度も唱えてみて、自問してそれはウソではない、と、本当にいえるのか! 変わらないものは何もない、全て動いて、その上でそう見えるだけだ」
「言えるな。悩むだけなら、何年もしてきた」
「悩むのはうそをついているからだ」

イエロージャンパーはデスのように笑った。優しい笑いだった。

「僕もうそつきだ、全力でうそを言うけど、本心を言ったときのすがすがしさには負ける!」
「今のほうが嘘はついてないな」
「デスを返せ!! デスは、みんなのデスだ!! うわぁぁあああん!!!!!!」
「死んだものは帰らない」
「帰す。おうちに帰らせる。玄霧に帰らせる。僕がそう決めたんだ」
「分かっているから、イグドラシルからデスの死を選んだのだろう?」
「デスの死は、可能性を求めて取ったんだ。未来を捻じ曲げるためにあえてとったんだ!! 確信犯だ!!」
「玄霧か。はは。あははは。そりゃ傑作だ。最高だな」
「デスの心はちょっとだけど分かった。全力で、帰す」
「僕に殺害を依頼したのは誰か教えてあげようか」
「・・・・・・そしてそれは、もっと後のはずだ」
「所詮は、貴方一人でわめいてるだけのことだ。やめたほうがいい。ゆっくり休んで朝になれば、全部忘れる」
「甘い、デスはもはやものすごく愛されている。僕一人忘れても、いまやみんなが全力で動く」
イエロージャンパーはイクを可哀相なものを見る目で見た。
「何故今日、今ここでということも、分かってないんだな」
「う!!!」
その言葉に、憤りとは別の涙が出た。
「朝を呼んでやる」
イエロージャンパーはイクに銃を向けた。
「僕の朝だ。僕が望む朝とする」
イクの言葉に、イエロージャンパーはかぶりを振った。
「今僕の隣にたくさんの人がいる、心の人だ。たくさんの人たちは、あなたの今言った朝を望んでいない」
「変わらない。言ったはずだ。何一つ」
「あなたは変わった。変わったから今こんなことをしている」
「思いは、くだける」
「どうなりたい。あなたの本心では、どうなりたいのですか!」

イエロージャンパーは銃を撃った。
イクは、目を閉じずに真っ直ぐに前を見ている。

弾は、地面に当たった。

「あなたの本心で、なりたいものはなんですか」
「黙っていたほうがいい。僕は、気が短い」
「喜ばせたい人は誰ですか。その人が喜ぶことはなんですか」

イエロージャンパーは再び銃を構えた。

「男はロマンチストだ!! 女はな、現実主義なんだ!!!!」
「リアリストもいる。”俺”は現実しかみていない」
「馬鹿なこととかっこつけばっか言ってんな!!」
イエロージャンパーは射撃した。
イクは動けないが、動くつもりもなかった。
「リアルはね、機械計算じゃないんだ。そして考えてみてよ・・・・・・」
イクの意識が遠のき始める。


「デスは助ける、絶対に・・・・・・」

「そしてあなたも・・・・・・・・・・・・」

「あなたの大切なひと・・・・・・も・・・・・・」

「無理だ」

もうイクには殆どそれは聞こえていなかったが、意志は伝わった。


(それは、僕が決める)



翌朝、目が覚めて見ればベットの上だった。
「うお???」


目覚めは気持ちいいが、何か、何もかもを忘れているような気がした。
「を?」
ただ、誰かに優しくされたことだけは、覚えている。
きょろきょろと皆を見る。
「・・・・・・みんな、・・・・・・みんな、いる?」
何故だか、涙が出て来た。


返事はない。帰国は今日という話だ。

「ねえ、きいて、なんかね、おぼえてないけど、」

それでも、

「涙がでるんだ」

思い出せなくても、

「デス、ねえ、デス。僕は負けない」

忘れられない――――

「わかんないけど、
          この涙には、
                 悔しいがあるんだ」