沖縄県知事意見書:普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書について

みなさまへ
(お知らせ)
1)沖縄県知事意見書:普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書について― 飛行場の設置の事業について―
* 1)は宜野湾爆音訴訟原告団事務局長、高橋さんからの発信です。 長いですが、こういうものはあまり見かけないので転送させてください。
官僚作成の「環境影響評価」というものの杜撰さ、この問題に対する不誠実さがわかります。
一例:(知事意見)―「 水生動物の影響に対する環境保全措置として魚道を設置するとしているが、他事例における効果の程度が十分示されていない。また、魚道設置による影響については「水生動物への移動へ配慮した構造を付帯するものであるから新たに生じる影響はほとんど無い」としているが、どのような構造が付帯されるのかが不明であり、新たに生じる影響がほとんど無いとした根拠が十分示されていない。」―
 
影響評価の「配慮した構造を付帯するものであるから新たな生じる影響はほとんどない」という部分、あたかも原発事故後の改善対策の評価のように響きます。
* 下記は沖縄の枯れ葉剤問題を追及しているジョン・ミッチェルという人のブログです。沖縄での有毒物被害の一端がわかります。
ジョン・ミッチェル・ブログ/ 沖縄の枯れ葉剤問題ページ http://www.jonmitchellinjapan.com/agent-orange-on-okinawa.html  (2012/2/14更新)
に掲載されている英語記事 (一つ邦訳版) :
枯葉剤存在の証拠 http://www.japantimes.co.jp/text/fl20110412zg.html
沖縄で貯蔵され使用された枯れ葉剤 http://ajw.asahi.com/article/behind_news/social_affairs/AJ201108095770
退役軍人が語る 沖縄に埋められた枯れ葉剤 http://www.japantimes.co.jp/text/nn20110813a1.html
沖縄にある米軍枯れ葉剤 http://www.japanfocus.org/-Jon-Mitchell/3601
国防総省、沖縄の枯れ葉剤を未だ否定 http://www.fpif.org/blog/pentagon_still_denies_agent_orange_stored_on_okinawa_during_vietnam_war
枯れ葉剤の存在の暴露、普天間基地を高い賭け金に http://www.japantimes.co.jp/text/fl20111018zg.html
沖縄のエージェント・オレンジ:新証拠 http://www.projectdisagree.org/2011/12/japan-focus-id3652.html (邦訳:ブログ「合意していないプロジェクト」)
浜辺に埋められた枯れ葉剤 http://www.japantimes.co.jp/text/nn20111130a5.html
ドキュメンタリー「 『沈黙の春』を生きて 」試写会での話  http://www.jonmitchellinjapan.com/31-january-2012-talk-in-naha-okinawa.html
枯れ葉剤使用後遺症で補償金を得た退役兵 http://www.japantimes.co.jp/text/fl20120214zg.html
 
* 国防総省HPに掲載された「最終環境影響評価」PDFからコピーした、沖縄での海兵隊の廃棄物リストをこのページ一番下に、かなり以前に入れました。
がその後、グアム市民がこれに気づいてグアム政府側に真相を問いただすシーンがあった後、国防総省はこのリストのページをPDFから取り去り、現在はまるでそれが存在していなかったような、項目番号などの修正が行われた版を掲載しているため、これは幻のリストになりました。 
どちらの政府も不誠実なものです。
http://www.anatakara.com/petition/contamination-worsening-through-nuclear-basing.html
・在沖海兵隊より1年間に廃棄される有害廃棄物総量 292トン
・そのうちの放射性廃棄物 9.3トン
 
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1)普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書について
― 飛行場の設置の事業について―

 
普天間飛行場移設問題の喫緊の課題は、普天間飛行場の危険性の除去であり、一日も早い移設・返還の実現が必要である。
県としては、地元の理解が得られない移設案を実現することは事実上不可能であり、日本国内の他の地域への移設が、合理的かつ早期に課題を解決できる方策であると考え、日米両政府に対し、同飛行場の県外移設及び早期返還の実現に向け、真摯に取り組むよう、繰り返し求めてきたところである。
今般、沖縄県名護市辺野古沿岸海域を事業実施区域とする普天間飛行場代替施設(以下「代替施設」という。)建設事業に係る環境影響評価書(以下「評価書」という。)が提出されたところであるが、当該事業が予定される辺野古沿岸海域は、礁池内に「絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト―植物�(維管束植物)」(平成19年8月、環境省)(以下「レッドリスト」という。)において、準絶滅危惧種として掲載されているボウバアマモやリュウキュウアマモ、リュウキュウスガモ等で構成される海草藻場や、絶滅危惧�類として掲載されているホソエガサ等が分布しており、その規模は沖縄島でも有数のものである。 
また、一帯の沿岸域及び沖合の海域においては、国の天然記念物であるジュゴンが確認され、礁池内の海草藻場でその食み跡等が確認されるなど、当該沿岸海域一帯はジュゴンの生息域と考えられている。特に、嘉陽海域の海草藻場については、当該事業者における調査結果においても、定期的にジュゴンが利用していることが示されている。ジュゴンは、平成15年に改正された鳥獣保護法においても捕獲、殺傷が原則禁止とされている種である。また、県においては平成17年9月に公表した「改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物―動物編―」で絶滅危惧�A類として掲載しており、環境省においても平成19年8月にジュゴンをレッドリスト(絶滅危惧�A類)に追加するなど、その保護へ向けた施策が展開されているところである。本県におけるジュゴンに関しては、これまで科学的調査がほとんど行われておらず、その生活史、分布、個体数などに関する知見が非常に乏しい実状にあるが、ジュゴンは沖縄島が分布の北限と考えられ、特に古宇利島周辺海域から嘉陽・大浦湾周辺海域に少数の個体群が生息していると推測されている。 
さらに、辺野古沿岸海域は、造礁サンゴが分布するサンゴ礁地形が発達しており、現在、サンゴ類の白化現象等の事象により被度が低下しているものの、潜在的には良好なサンゴ生息域と考えられる海域である。また、代替施設北側の大浦湾においては、トカゲハゼやクビレミドロ、ウミフシナシミドロ、ユビエダハマサンゴ群落及び大規模なアオサンゴ群落などが確認されており、また、同湾に流れ込む大浦川河口域には、熱帯、亜熱帯地域特有のマングローブ林が広がり、その生態系の種の多様性の高さから、同湾も含めて環境省が「日本の重要湿地500」として選定した場所であり、ラムサール条約登録湿地の国際基準を満たすと認められる潜在候補地にも選定されている。さらに、大浦川と汀間川の魚類相は、沖縄島はもちろん琉球列島全体の中でも屈指の多様性をもち、貴重種も極めて多い。この両河川の魚類の多様性は、同湾の立地とその形態によるところが大きいと考えられ、同湾の一部が埋め立てられることにより、机上の予想を超えた影響が懸念される。
 
また、当該事業実施区域及びその周辺域は、「自然環境の保全に関する指針(沖縄島編)」(平成10年2月、沖縄県)において「自然環境の厳正な保全を図る区域」であるランク�と評価されている他、埋立土砂発生区域は、リュウキュウマツ群落等から沖縄島北部の極相林であるイタジイ群落への遷移が進み、同区域の大部分が「自然環境の保護・保全を図る区域」であるランク�と評価されており、近い将来、ランク�になる可能性のある区域である。  
さらに、当該事業実施区域の近傍には集落が存在するが、その周辺域は畑地や山林が広がる静穏な地域であり、大気環境、水環境の良好な地域である。こうした自然環境は、当該事業実施区域北側の大浦湾を隔てた陸域にリゾート施設が存在することからも分かるとおり、沖縄島東海岸側における観光及び保養の場として活用することのできる資源としての価値も有している。
当該事業は、このような自然環境、生活環境が良好な地域における代替施設の設置を行う事業であることから、当該事業が実施された場合、工事中における工事関係車両の走行に伴う道路交通騒音等の影響や、供用後において、長年にわたる航空機騒音による生活環境への影響等が懸念されるところである。
また、当該事業は、一旦実施されると現況の自然への回復がほぼ不可能な不可逆性の高い埋立地に飛行場を設置する事業であり、以上に述べてきた当該事業実施区域及びその周辺域の環境状況から、環境影響が極めて大きいと考えられる事業である。
そのため、環境影響の回避・低減を図るために、当該事業に係る環境影響評価は、より慎重かつ十分に、科学的に行わなければならないものであり、環境影響評価制度の趣旨に沿って、手続の過程において、環境の保全の観点からより良い事業計画に修正して、事業の実施による環境影響を可能な限り小さくしなければならないものである。
しかしながら、事業者である国は、これまでの環境影響評価の手続において、環境影響評価方法書(以下「方法書」という。)で事業特性としての事業内容を十分に示さずに、追加・修正資料を提出させられたところであるが、それにもかかわらず、環境影響評価準備書(以下「準備書」という。)において新たに追加、修正を行ったり、ジュゴン等に対する複数年の調査を実施していないなど、知事意見に十分に対応せずに手続を進めてきたところである。
さらに、今般、評価書において、航空機騒音等に関する重要な環境情報であるMV-22オスプレイ(以下「オスプレイ」という。)の配備及びV字型滑走路に係る飛行経路の変更を、環境影響評価手続の最終段階である評価書において明らかにし、オスプレイの運航に伴う環境影響評価の結果を示したところである。
以上のことを踏まえ、環境保全の見地から下記のとおり意見を述べる。
なお、沖縄県環境影響評価審査会(以下「審査会」という。)からの答申において、審査会委員や住民等から、方法書からの手続の再実施についての強い要望があったところであるが、このように、手続の最終段階に至って重要な環境情報が提示・変更されたことが、環境影響評価制度における前例となることに大きな懸念を抱いている。本事業は、一般的な事業とはその性質が大きく異なるため、事業者である国は、米国に基地を提供する責任のもと、米軍と密接に調整し、詳細な事業内容を環境影響評価手続の早期段階から示すなど、真摯に対応すべきであったことを申し添える。
 
       記
 
普天間飛行場代替施設建設事業の実施に係る環境影響について、事業者である国は、評価書の総合評価において「事業の実施に際して、環境保全上、特段の支障は生じない」としているが、次に示す不適切な事項等により、名護市辺野古沿岸域を事業実施区域とする当該事業は、環境の保全上重大な問題があると考える。また、当該評価書で示された環境保全措置等では、事業実施区域周辺域の生活環境及び自然環境の保全を図ることは不可能
と考える。

=第1 事業計画の内容について=
(1) 「代替施設を利用する米軍機が集落地域上空の飛行を基本的に回避するとの方針については、これまでの米側との一連の協議を通し、米側からも理解を得ていると認識しています。」としているが、米軍の指摘により飛行経路を台形から長円形に変更した事実があることを考慮すると、当該認識の妥当性について明確に確認できる根拠が不明である。
(2) 弾薬搭載エリアについて、嘉手納飛行場で搭載作業を行うと運用上の支障を来すとしているが、その具体的な内容が示されておらず、運用上の支障を来すとする根拠が不明である。
(3) 係船機能付護岸については、陸路での輸送が不可能であるとする理由が不明である。
(4) 修理に必要な部品を代替施設に運び、そこで修理をすることについての検討の経緯が不明である。
(5) オスプレイへの機種の変更に伴い、飛行経路及び滑走路長が変更されており、米国政府内において安全性に係る詳細な検討を行った結果、過走帯(オーバーラン帯)の長さについては、両側300m必要であるという結論に至ったと記載していることから、その検討の結果を、オスプレイの具体的な配備計画、飛行経路の変更の必要性と併せて示さなければならない。
(6) 代替施設における各施設(洗機場、エンジンテストセル、係船機能付護岸、滑走路、ヘリパッド、弾薬搭載施設、燃料桟橋、燃料関連施設等)の供用に係る予測に必要となる具体的な運用内容(運航時間帯を含む)が不明である。
(7) 燃料漏れが生じた場合の対策が、第7章の環境保全措置に記載されておらず、事業者見解で示された対策も不十分であることから、使用する燃料の種類を明らかにし、流出場所ごとの対策を示す必要がある。
ア「万が一、燃料漏れが生じ海域へ流出した場合についても、海上にオイルフェンスを即座に張り拡散を防止する」としているが、通常、船舶からの搬出の際は、予めオイルフェンスを周囲に展張しておくものであり、流出を確認してから展張しては間に合わない。また、その監視体制も示されておらず、適切に拡散を防止できるか不明である。
イ「海域へ流出した場合、吸着マット等により燃料の回収・吸い取りを行う」としているが、燃料の種類によっては、吸着マットでは回収できない場合があり、対策が不十分である。
ウ燃料貯蔵施設等を地中に設置するか否か、そこから漏出した場合の検知方法、土壌汚染防止対策等が不明である。
エ燃料漏れが生じた場合の対策を行うのは事業者か、米軍か不明である。また、「米軍に周知」する場合、その実効性が不明である。
(8) 消火訓練施設においては、水を用いて消火訓練を行うとしているが、航空機等が火災になった際には、消火剤を用いて消火することがないのかが不明である。
(9) 給排水計画の各水量の算出根拠を示す必要がある。また、準備書についての知事意見に対する見解では「誘導路上に設置する洗機施設においては50%の処理水を再利用する」としているが、汚水排水処理フロー図(図-2.2.6.8)及び給排水系統図(図-2.2.6.11)に記載がない。さらに、50%の処理水を再利用するとしている根拠も不明である。また、給排水計画において、「沖縄県企業局において、国道329 号線に送水管布設の工事が進められており、将来は、沖縄県企業局からの供給を受けることになります」としているが、企業局において当該地区での工事は実施されていないこと、同局は水道用水供給事業者で直接給水することはできないことから、当該記述は適正でない。
(10) 適切に排水が行われるよう「米軍に対してマニュアル等を作成して周知する」としているが、その実効性が不明であり、また、洗機排水の性状(用いる洗剤、溶剤の種類及び成分)が不明であることから、適切に処理できるとする根拠が乏しい。
(11) 洗機排水の飛沫対策が検討されていない。
(12) 埋立土砂発生区域における緑化計画について、陸域植物に対する環境影響評価の結果をどのように考慮したのか不明である。
(13) 供用後の廃棄物処理について、事業者見解では、「供用後の廃棄物処理については、評価書に記載したとおり」とし、廃棄物に係る環境影響評価の結果は示されているが、それを勘案した供用後の『廃棄物処理計画』が不明である。また、「不燃ゴミ等の廃棄物については、リサイクルを行うなど可能な限り排出量を削減するよう、米軍に周知する」としているが、その実効性が不明である。
(14) 施設の供用時における交通量予測において、総交通量が不明である。
(15) 係船機能付護岸について、波浪条件からの検討が示されておらず、その運用の可否が不明であり、設置の必要性に疑義がある。また、仮に係船機能付護岸の使用に当たり、外郭施設の設置等が行われた場合、自然環境に及ぼす影響は一層深刻なものとなる。
(16) 代替施設内のヘリパッド、特に集落に近いヘリパッドの位置について、事業者は、「必要に応じ、米側と調整してまいります」との見解を示しているが、評価書が作成されるまでの2年の間に二国間専門家検討会合等も開かれているが、どのような調整がなされたのか、その具体的な内容及びヘリパッドの位置に関する調整結果が不明である。

=第2 調査・予測・評価の手法について=
-<1 調査・予測・評価について>-
(1) 準備書から評価書提出までに環境関係法令や環境基準等が改正されたものについて、時点修正がなされておらず、「評価の基準とした各種指標」が適正なものであるとは言えない。また、道路交通騒音の予測モデルについても、新しいモデルが作成されていることから、最新のモデルを用いて再予測すべきである。
(2) 航空機排ガス等による悪臭や、土壌汚染及び温室効果ガスについて、環境影響評価を行う必要がある。
(3) 国又は地方公共団体の環境保全施策との整合性に係る検討について、当該事業実施区域及びその周辺域が、「自然環境の保全に関する指針(沖縄島編)」において、海域については、「自然環境の厳正な保護を図る区域」であるランク�と、埋立土砂発生区域の大部分の区域については、「自然環境の保護・保全を図る区域」であるランク�と評価されていることが考慮されていないことから、環境保全施策との整合性が図られているとの評価は適切ではない。
(4) 準備書時点から、ブロック製作・仮置ヤードの月別必要面積等が約8ヶ月前倒しになっているが、それに伴い建設工事機械、資材運搬車両等の稼動計画が変更されたか不明であり、大気質、騒音、振動の予測が適切なものか不明である。
 
-<2 調査結果の概要について>-
(1) 辺野古海域と大浦湾の価値、特徴については、事業実施区域周辺海域との比較だけではなく、沖縄島の他の海域との比較も必要であり、適切に解析されていないと考える。
(2) 確認された動植物種について、どの程度、種まで同定できたかについては示されているが、同定率を考慮した評価が行われているか不明である。
(3) 「調査に係る報告書等の成果品については、適切に保管するとともに、研究等への活用や一般への閲覧については、法令等に則り適切に対応する」としているが、具体的な閲覧の方法等が不明である。
(4) 台風による環境状況の変化も考慮して予測することとの意見に対し、「そのような変化を踏まえて調査時期や調査頻度を設定して現地調査を行い、年間を通じたさまざまな自然条件下における生物の生息・生育現況の把握を的確に行い、予測を行っています」との見解を示しているが、現況調査を実施した年には台風の襲来はなかった。また、埋立地が存在することにより、台風による自然環境の撹乱状況が変化することになるため、現況において台風による変化を踏まえて現地調査を実施するだけでなく、埋立地の存在による変化を踏まえた「予測」を行う必要があるが、当該予測が行われていない。
(5) 陸域生態系の調査結果において、「多様な生物相を有している」としているが、予測にこのことが反映されているかが不明である。また、海域生態系については、同様の表現は見られないことから、対応していないと考えられ、問題がある。
 
=第3 環境要素毎の予測・評価・環境保全措置について=
-<1 大気質について>-
(1) 資材搬入車両の速度規制に関する事業者見解の内容が本文へ記載されておらず、大気質の予測条件と騒音及び振動の予測条件とに矛盾がある。各項目の予測・評価として、速度を規制した場合の大気質への影響と、実際の速度による騒音及び振動の影響を比較し、明記する必要がある。また、環境保全措置として「遵守を指導する」としているが、その効果の程度が不明なことから、工事の平準化による工事期間の延伸による影響と比較しより良い環境保全措置を選択する必要がある。
(2) 大気汚染物質の拡散計算の結果が具体的に評価書に示されていない。
(3) 洗機排水に、通常の汚水処理浄化槽では処理できない成分としてベンゼンが想定されているが、ベンゼンは揮発性の有機物質であり、水からは容易に揮散することから、滑走路、洗機場、排水処理施設等からベンゼンが排出されるおそれがある。
(4) 光化学オキシダント濃度に関して、環境基準を超えるデータが観測されており、さらに航空機からの排気ガスによる濃度増加が予測されるが、全く予測・評価されていない。
(5) 大気汚染物質の年平均値は、現地調査において、四季に各7日間連続測定して求めた1時間値の日平均値から算出することから、その値を用いた予測は不確実性の程度が大きいことを踏まえて評価し、環境保全措置を検討する必要がある。
 
-<2 騒音(航空機騒音以外)について>-
(1) 工事計画、建設機械の月別稼動計画は、予測対象時期のみが示されており、予測対象時期以外の月別稼動計画が具体的に示されていないことから、予測対象時期の妥当性が確認できない。
(2) 特定建設作業騒音については、作業禁止時間や最大作業時間、最大作業日数、作業禁止日が設けられており、夜間作業は禁止されているが、夜間工事を行うことが想定されている建設作業騒音の評価において、特定建設作業騒音の基準値が用いられている。本基準値を用いて評価するのであれば、地域の状況を踏まえると、騒音値(85dB)だけではなく、第1号区域とし、作業時間(日曜日・夜間作業禁止)についても整合を図った上で評価する必要がある。
(3) 道路交通騒音の基準又は目標との整合性に係る評価において、辺野古は「A地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域」の基準値を適用するとしているが、当該地点は現状において2車線以上の車線を有する道路は存在しないことから、当該基準による評価は不適切である。
(4) 夜間工事に係る環境保全措置として「資機材運搬にかかる車両の運行を極力少なくするよう努めます」としているが、その具体的な内容、効果が示されておらず、環境保全措置の効果の程度が不明である。なお、運搬に必要な車両台数でもって予測を行っているため、予測条件で示した台数から減らすことは困難と考える。
(5) 苦情等への対応について、「苦情等があった場合にも、直ちに対応できる監視体制を構築します」との見解を示しているが、評価書に当該監視体制が示されていない。
(6) 予測時期は、国立沖縄工業高等専門学校で2年次8ヶ月目、辺野古集落で1年次4ヶ月目で、準備書段階から変更されていないが、概略工事工程が変更され、また、代替施設本体工事開始1ヶ月前から石材の搬入を開始するとしていることに伴って、予測条件である建設機械の月別稼働台数に変化がないのか不明である。
(7) 騒音の工事中の影響に対し、環境保全措置として仮設道路に3.1mの遮音壁を設け、その効果を含めて予測を行っているが、遮音壁以上の高さの建物については、効果が無いことから、その様な建物に対する環境保全措置を実施する必要がある。
 
-<3 航空機騒音について>-
(1) 方法書及び準備書についての知事意見に対応して、評価書には、飛行場の使用を予定する航空機の種類としてオスプレイ(及び飛行経路の変更)が追記され、オスプレイの運航に伴う環境影響評価の結果が追記されている。しかしながら、当該事業の環境影響評価において極めて重要なオスプレイの配備などの環境情報は、本来ならば方法書及び準備書段階で記載され、関係市村長や住民等が意見を提出する際に考慮されるべきものであり、環境影響評価の手続の最終段階である評価書において示されたことにより、当該情報及び当該情報に係る環境影響評価結果について、関係市村長や住民等からの有益な環境情報が収集されておらず、環境影響評価制度の趣旨から問題がある。このような当該情報への配慮を欠く結果として、環境保全上の重大な支障が生じるおそれがあると考える。
(2) 予測条件について
ア) 航空機の運航等の想定において、対象機種としてオスプレイが記載され、飛行モードとして転換モードと固定翼モードを想定したと記載しているが、オスプレイの航空騒音調査結果は、エンジンテスト時とホバリング時の騒音値しか示されておらず、また、予測において転換モードを回転翼機として騒音基礎データを示しているが、転換モード時のナセル角度等、各モードの設定が不明である。
イ) 航空機から発生する騒音レベルは、離陸、着陸、巡航の中で、エンジン出力が最大になる離陸時が最も大きくなり、回転翼機においては、停止しているホバリング時ではなく、ホバリング位置へ移動する垂直離陸時が最も大きくなると考えられる。しかし、予測に用いた騒音データは、どのようなときの騒音値なのか不明である。
ウ) 評価書ではオスプレイのエンジンテスト時・ホバリング時の単発騒音暴露レベル(LAE)が示されているが、予測で用いているピーク騒音レベル(dB)をどのように算出したのか不明である。また、予測で用いているピーク騒音レベルは、離陸時、着陸時、巡航時、エンジンテスト時、ホバリング時のいずれのものを用いたのか不明である。
エ) 評価書では、「転換モード」を回転翼機として扱っているが、ナセル角度が示されていないため、短距離離発着機として離発着するのか、ナセル角90度で、垂直に離発着するのかが不明である。
オ) 「騒音を含む地元コミュニティへの影響に配慮して設定するべく、日米間で議論した」として飛行経路が台形から長円形に変更されたが、準備書段階と比較すると、経路1、2は全体が陸地に寄っており、また、経路3、4は北東側が安部の集落などに接近していることから、騒音が増加する可能性が高いと考えるが、各予測地点からのスラントディスタンスは、最も近い値として一つのデータしか示されておらず、回転翼機と固定翼機の飛行形態の違い、どの飛行経路を飛行した場合のものかが不明であり、各機種の経路ごとのスラントディスタンスが示されなければ、適切に予測・評価されたか判断できない。 また、普天間飛行場と同様に位置通報点が設定されているのか不明である。位置通報点が設定されている場合、その上空を頻繁に通過することが想定されるが、考慮されているかも不明である。
カ) 滑走路別飛行態様別標準飛行回数が示されており、北東からの風の場合、全てB滑走路を北向きに離陸し、A滑走路に着陸するとされているが、場周経路上を有視界飛行する場合は、風向きによらずA滑走路しか使わず、B滑走路は気象や管制官の指示、安全、パイロットの判断、運用上の所要等の条件がない場合しか用いないこととされており、飛行経路としては、B滑走路から場周経路への経路は示されていない。南西からの風の場合も同様である。これらのことから、当該標準飛行回数の妥当性が不明である。
キ) 供用時の離発着回数については、準備書段階と変わらず、現普天間飛行場における騒音発生回数を基に、米軍提供の普天間飛行場におけるCH-46等の運用状況実態調査の結果を考慮して算出しているが、オスプレイはCH-46に比較して航続距離等の性能が良いことから、CH-46とは運用状況が変わることも考えられる。しかしながら、このことについて説明が示されないまま当該離発着回数を予測の前提条件としており、その結果について不確実性の程度も検討されていない。また、現普天間飛行場における騒音発生回数を基にするとしても、単純に日平均回数が最多となる年を選択するのではなく、各測定日の騒音発生回数を時間帯別重み付けした上で日平均回数を算出し、さらに、直近の平成20〜22年度のデータも加えて、最多となる年度を選択する必要がある。 参考として、大型固定翼機の飛行回数を固定翼機のC-12が飛行するものと想定した予測がなされているが、大型固定翼機の飛行回数を代替施設における主要な航空機であるCH-53やオスプレイの飛行回数に振り分けなかった理由が示されておらず、予測の妥当性が不明である。
ク) 評価書において、滑走路長が1,200m、その両端の過走帯(オーバーラン帯)が各300mに変更され、その結果、離陸滑走路長が1,200mを超える機種は、過走帯から滑走を開始することが示されており、北東からの風の場合、航空機のスタート位置が、辺野古集落側に100m以上接近することになるが、示された予測・評価において当該事項が考慮されているのか不明である。
ケ)飛行経路のばらつきによる影響について、「第一種区域等の指定に関する細部要領について(通達)」において、航空機騒音レベルの決定にあたり経路のばらつきを正規分布で考慮するとしていることに基づき、「標準飛行経路の両側に各々3ずつの合計7コースを設定」しているが、一般的な回転翼機と飛行形態が大きく異なるオスプレイ(ティルトローター機)が導入されるにもかかわらず、ばらつきに関する内容が準備書から変更されていないため、オスプレイの飛行形態によるばらつきが考慮されているのか不明である。また、気象、パイロットの判断、運用上の所要等により、当該経路を外れることがあると記述していること、現普天間飛行場において沖縄防衛局が平成22年1月から平成23年3月に行った、「普天間飛行場における回転翼機の飛行状況調査」において、場周経路とのかなりの差異が見受けられることなどから、ばらつきの程度については、こうしたことも考慮して検討する必要がある。
コ )住民等意見に対する事業者の見解で、「仮に将来的に自衛隊が共同使用をする場合においても、飛行場を使用する等の環境に大きな負荷を与える形で共同使用することは念頭においておりません」としているが、自衛隊との共同使用がどのような形になるのか、自衛隊が使用する機種や機数などが具体的に示されていないことから、大きな負荷を与える形で共同使用することがないのか不明である。
サ)オスプレイの各モードにおける飛行回数を、米軍提供資料により決定したとしているが、代替施設では、オスプレイは最大重量での離陸に当たり、滑走路ではない過走帯(オーバーラン帯)も使用しなければ離陸できないとしていること、転換モードであれば、滑走路やヘリパッドから離陸できること、また、米軍の運用上について制限を加えることは困難との見解が示されていることから、転換モードによる離着陸回数が増加し、予測結果よりも高い値になるおそれがある。
シ)他の飛行場から飛来する航空機については、現普天間飛行場における飛来状況を勘案し、ピーク騒音レベルが最大となる機種、頻度等を明らかにし、予測・評価を行う必要がある。
(3) 予測結果について
 ア) 準備書に対する知事意見において、他の訓練施設への飛行経路も含めて予測・評価するよう述べたところであるが、「代替施設供用後の具体的な訓練場所は、米軍の運用に関するものである。具体的に飛行ルートを示して予測することは困難」として、対応されていない。しかし、米海兵隊が、オスプレイの配備に関し、「環境審査」を行っており、運用の可能性があるとして、事業実施区域、北部訓練場、キャンプ・ハンセン、伊江島補助飛行場を調査対象としていることを踏まえると、将来における当該施設間の飛行移動があることは明らかに推察され、基地を提供する立場にある国においては環境配慮の観点から、米側から飛行経路等の情報を的確に入手し、予測・評価を行うべきである。
 イ) 「飛行パターンが特定できない場合は、〈中略〉住宅地の直上を飛行した場合について予測・評価し、環境保全措置を検討すること」との意見を述べているが、当該意見に対しても対応されていない。
 ウ) 知事意見において、予測条件として風向きを考慮することを求めていたが、離着陸の回数のみ考慮し、風向きによる音の伝搬を考慮した予測・評価がなされていない。
 エ) 予測コンターについて、「航空機騒音に係る環境基準値(WECPNL値(以下「W値」という)70以上の予測コンターしか図示していないが、当該基準値以下の騒音レベルの予測コンターも図示すること」との知事意見に対し、「予測精度の問題や予測結果の検証ができないことから、W値70以下のコンターを図示することは困難」との見解を示しており、知事意見に対応していない。また、W値70以下について、予測精度の問題や予測結果の検証ができないということであれば、予測地点14地点の予測結果(全てW値70以下)も検証ができず、予測の不確実性の程度が大きいことになる。
 オ) 「Lden値の予測は、換算式ではなく、騒音測定結果から予測すること」との知事意見に対し、「Lden値の予測手法は、確立されていないため、換算式以外での予測を行うことは困難」として、騒音測定結果からの予測を行っていない。
 カ) 「ピーク騒音レベルについて、予測はされているが評価がなされていないことから、評価すること。評価に当たっての目標値は、現況の騒音状況、土地利用状況を勘案して設定すること」との知事意見に対し、「ピーク騒音レベルの評価手法(基準)がありませんので、評価を行うことは困難」との見解を示し、事業者自ら評価に当たっての目標値を設定することもなく、評価を行っていない。
 キ) 予測結果は、予測地点の14地点すべてにおいて、準備書における予測結果よりも高い値となっているが、直近の平成20〜22年度のデータも加えた上で、知事意見に対応して、標準飛行回数を現普天間飛行場における日最大騒音発生回数を採用し、また、大型固定翼機の飛行回数をC-12の飛行回数ではなく、CH-53やオスプレイの飛行回数に振り分けた場合、現普天間飛行場における飛行のばらつきを考慮した場合には、予測結果よりも高い値になると考える。
  ク) 「ホバリングやエンジンテストの予測に当たっては、時間帯ごとの発生回数、騒音継続時間についても示すこと」との知事意見に対し、「常時ホバリングやエンジンテストを実施しているとの想定で行っている」との見解を示しているが、その場合、飛行回数に含まれない騒音が発生していることになり、予測結果よりも高い値になると考える。
(4) 環境保全措置について
 ア) 施設等の存在及び供用における環境保全措置として、「滑走路をV字型に配置し、周辺地域上空を基本的に回避する」としているが、次のことから、滑走路をV字型に配置することによる環境保全措置としての効果の程度が不明である。
� 評価書では、場周経路上を有視界飛行する場合、主にA滑走路を使用することが示されている。
� V字型滑走路によって航空機騒音による影響が低減されるとしているのは、L字案と比較してとのことである。
� 周辺地域上空を基本的に回避するとしているが、その運用については、「気象、パイロットの判断、運用上の所要等により、当該経路を外れることがある」と記述しており、また、準備書についての知事意見への見解において、「米軍機の飛行禁止など制限を加えることは、米軍の運用上、困難」としている。
 イ) エンジンテストセルについて、「エンジンテストセルは、試験運転時の消音を求められる施設であり、周囲への騒音による影響はないものと考えています」との見解を示しているが、エンジンテストセルの構造や消音効果などが示されていないことから、影響がないとする具体的根拠が不明である。なお、エンジンテストセルで行われるテストと、騒音発生源として予測されるテストの配分等が明らかではないことから、当該騒音に係る予測・評価が適切に行われているか不明である。
(5) 航空機騒音については、供用後、環境監視調査として実施するとしているが、総じて、予測の基礎データも明らかにされておらず、予測の不確実性の程度が大きいと考えられることから、事後調査を実施しないという理由は成立しない。
 
-<4 低周波音について>-
(1) 予測条件について
 ア) 航空機騒音と同様に、低周波音のデータが、エンジンの出力が最大時に測定されたものであるのか不明である。また、高度についても、影響が最大となる高度を選択したか不明である。
イ) 「ホバリングやエンジンテストの予測に当たっては、時間帯ごとの発生回数、騒音継続時間についても示すこと」との知事意見に対し、「常時ホバリングやエンジンテストを実施しているとの想定で行っている」との見解を示しているが、ホバリングやエンジンテストの時間帯ごとの発生回数、騒音継続時間が不明である。
(2) 予測の結果について
 ア) 低周波音は波長が長いため遠くまで伝搬するが、どの範囲まで低周波音が伝搬するのか不明である。
 イ) 飛行時におけるCH-53及びオスプレイ以外の機種の低周波音の予測結果が不明である。
(3) 評価について
 ア) 「MV-22については、一部の予測地点(安部集落)においてのみ、限られた周波数で、心理的影響及び生理的影響に係る閾値をわずかに上回っていますが、閾値を上回るような飛行回数はわずかであり、予測地点付近上空を飛行する時間も短時間となっています。」と評価しているが、限られた周波数であっても閾値を超えることによる影響について評価がなされていない。また、予測の前提としての飛行回数は1日当たり271回で、夜間に飛行することも考えられるが、「閾値を上回るような飛行回数はわずか」としている根拠が示されていない。「予測地点付近上空を飛行する時間も短時間」ということについても、具体的な低周波音の継続時間が不明である。
 イ) これまでに行われた種々の低周波音の影響に関する調査研究等の閾値を一定の目安として用い、低周波音の環境保全の目標値に設定しているが、設定した評価基準の妥当性が不明である。
 ウ) 「工事に用いる建設機械や資機材運搬車両・船舶から発生する低周波音については、(中略)事後調査の実施を検討すること」との知事意見に対し、「環境監視調査を実施することとし、評価書に記載しました」との見解を示しているが、低周波音の予測結果については不確実性の程度が大きいと考えられることから事後調査を実施しないという理由は成立しない。
 エ) 「移動発生源である航空機の飛行に伴う低周波音の値が閾値を超えても必ずしも影響が出るとは限らない」としているが、「がたつく場合の環境保全措置を検討すること」との知事意見に対し、「建具のがたつき等の苦情があった場合は、調査を行い、適切に対応する旨を評価書に記載しました。」との見解を示し、環境保全措置の検討が行われていない。予測された環境影響に対して、事業の実施前に環境影響を回避・低減・代償するための措置が環境保全措置であるが、低周波音に対する環境保全措置として、滑走路をV字型にしたことを挙げているが、それでも低周波音の影響が生じることが予測されているため、当該影響に対する環境保全措置を検討する必要がある。なお、環境保全措置として、環境監視調査を実施するとしているが、当該調査は「調査」であって環境保全措置ではないことを認識する必要がある。また、環境監視調査の結果に応じて必要な措置を「米軍に周知」するとしているが、どのような措置が検討されるのかも分からず、また、その実効性も不明である。
 
-<5 水の汚れについて>-
(1) 予測の前提条件について
 ア) COD流入負荷量について、「既往調査結果をどのように考慮したのかを明らかにすること」との知事意見に対し、既往調査結果は考慮されていない。
 イ) 航空機用機体洗浄剤の成分等を明らかにするよう知事意見で求めたところ、「具体的に記載することは困難」とし、洗機排水に係る予測及び評価も行われていないが、防衛省においては航空機用機体洗浄剤の調達仕様が明らかにされていることから、種類等について記載することが困難であるとする見解は適切ではないと考える。なお、具体的な処理フロー及び計画処理汚水水質を記載したとしているが、洗機排水の成分等が不明のままで適切に処理できるとする根拠が不明である。
 ウ) 「洗機排水に含まれる物質のうち、通常の汚水処理浄化槽では処理できない物質(グリース、ベンゼン等)を洗機排水処理施設(凝集沈殿法)で除去する」としているが、処理内容は「加圧浮上方式」について記述しており、適切でない。また、ベンゼンは揮発性の有機物質であり、処理中に揮散することから、適切な処理方式ではない。
 エ) 表-6.6.2.2.8 において、雨水排水溝の流域面積、平均流出係数等が示されているが、各流域が図示されておらず、また、その流域の表面(舗装)の状況も詳細が示されていないことから、その流出係数の根拠が不明である。
(2) 予測の結果について
 ア)汚水処理浄化槽の処理水が海域に排出されることによる影響(塩分の低下、温度変化、注入塩素による影響等)が記載されていない。
 イ) 予測モデルについて、予測の不確実性の程度は具体的に示されていない。
 ウ) 住民等意見に対する事業者の見解で、洗機場が屋外に設置されるのか、屋内に設置されるのかについては、「今後の実施設計において、雨水との分離も考慮して適切に設計することとしています」としていることから、評価書で示した雨水排水量や、その淡水量が海域に流れ出ることの影響については不確実性の程度が大きいということになる。
 エ) 消火訓練施設については、「ガスを燃焼させ、この炎を水を用いて消火することにより、消火訓練を行うものであり、消火剤等の薬剤は訓練に使用することはありません。」としているが、航空機の基地において、航空機燃料、オイル等による火災の訓練を行わないとする理由が不明である。また、通常、燃料等による火災を消火するには水ではなく、消火剤が用いられると思われることから、消火訓練の際に実際に使用されると想定される消火剤ではなく水を用いるとしていることの理由も不明である。さらに、水を使用するにしても、使用する水が真水かどうかも明らかではなく、消火訓練で使用した水の処理方法及び排水先も不明である。
(3) CODは、あくまでも有機物の汚染の指標であることを考慮して、サンゴ礁生物の生息環境に係る影響については、栄養塩類等の拡散状況等から評価する必要がある。
(4) 辺野古地先水面作業ヤード及びキャンプ・シュワブ敷地内作業ヤードにおいて、コンクリートブロック製作、仮置が行われ、コンクリートブロックの養生水やコンクリートプラント洗浄水が発生する。これに対し、水の汚れの環境保全措置を講ずるとしているが、コンクリートプラントの数量、位置、洗浄水の量、その再利用の方法、コンクリートブロックの養生水の量、処理方法、海域へ流出させない対策等について、具体的に示されていないことから、その効果の程度は不明であり、当該環境保全措置を前提とした評価は妥当ではない。

-<6 電波障害について>-
(1) 平成23年9月に追加調査が実施され、デジタル画質の調査結果の内容が、辺野古地区が準備書7地点から10地点に増えており、×の地点が各局2地点又は3地点から1地点に減っている。そのため、準備書で80地点中32地点が×に分類されていたものが、評価書では83地点中30地点が×に分類され、改善されている結果になっているが、こうした調査結果の変更について説明がない。
(2) 無線インターネットの電波障害の発生について、予測・評価されていない。
(3) 環境保全措置を供用前に実施することを検討することとの知事意見に対し、「航空機が運航しない時点において電波障害の発生する範囲や程度が不確定」との見解を示しているが、そうした影響の及ぶ範囲や程度などを予測して環境保全措置を検討することが環境影響評価制度の目的である。事業の実施後に、障害の程度に応じて環境保全措置を講じるから環境影響は小さいとの評価は適切ではない。なお、電波障害について、現に普天間飛行場で生じているということなので、事業者が平成23年10月に公表した「普天間飛行場における回転翼機の飛行状況調査結果」の結果と電波障害が生じている箇所を考察することで、代替施設についても一定の予測・評価を行うことは可能と考える。
 
-<7 海域生物について>-
(1) 調査の結果について
 ア) 種の同定について知事意見を述べたところであるが、確認種の一覧表に修正はみられない。当該知事意見に対してどのように対応したか不明である。また、文献調査も含めると、当該海域に重要な種は271 種確認されたとしているが、現地調査で確認されたのは204 種であり、残りの種についての予測・評価が行われていない。
 イ) どの程度種まで同定できたかについては示されているが、同定率を考慮して現況の把握が行われているか不明である。
 ウ) 標本は保存しているとしているが、混合した状態で保存されているかどうか不明である。
(2) 予測の結果について
 ア) ウミガメ類に係る予測について、他の地域に逃避することが可能である根拠として、日本の沿岸域のウミガメ類が減少傾向にあることを挙げているが、このような予測は適切ではない。ウミガメ類がなぜこの地域を利用しているのかといったことを考慮した予測を行う必要がある。
  イ) 前原地区の砂浜を主要な上陸箇所としているが、一方で当該地区が辺野古地区に比べて規模が小さいこと、浜の前面に岩礁帯があることから調査結果においては辺野古地区と比べて上陸数が少なかったとしている。そのような状況では、当該地区をウミガメ類の主要な上陸場所とする説明は十分ではなく、施設の存在により逃避するウミガメ類が当該地区を利用するとする予測の不確実性の程度が大きいと考える。また、ウミガメが上陸し、産卵・孵化した記録があるキャンプ・シュワブ地区を「上陸には好適でない」との予測は適切ではない。
 ウ) 騒音による影響について、回転翼機としてCH-53が用いられているが、オスプレイの騒音レベルを用いて予測する必要がある。また、影響の程度を騒音発生の割合で予測しているが、これは相対的評価であるため、飛行する実数で予測する必要がある。
 エ) 訓練水域の変更等の有無に関する住民等意見に対する事業者の見解で、「今後、具体的な計画を策定していく中で、米側と調整していくこととしています」としているが、評価書での海域生物への影響は、現在の訓練水域の範囲を前提として予測・評価を行っているものであるため、訓練水域が変更されるのであれば、それに伴う海域生物への影響の範囲も異なることになり、海域生物等への影響については、予測の不確実性の程度が大きいと考える。
(3) 環境保全措置としてのナトリウムランプ等の使用について、米軍に対してマニュアル等を作成して示すことにより周知するとしているが、その実効性は不明である。
(4) 施設の存在、供用時における海域植物の重要な種の生育環境への影響について、改変予定地以外の周辺の生育環境の変化はほとんど無いとしているが、その根拠が不明であり、環境保全措置について検討されていない。また、改変予定地周辺に複数個体の生育が確認されている種だけではなく、改変予定地以外では事業実施区域近傍の辺野古地先でしか確認されていない種についても環境保全措置が検討されていない。
 
-<8 サンゴ類について>-
(1) 調査結果については、優占するサンゴ属とその群体形を取りまとめることとの知事意見を述べているが、ライン調査及びスポット調査の結果について、優占するサンゴ属とその群体形は取りまとめられていない。
(2) 栄養塩濃度の変化による影響について、CODおよび塩分の変化の予測結果を基に栄養塩濃度の変化について推定しているが、COD及び塩分の変化と栄養塩濃度の変化の相関性は示されていない。
(3) サンゴ類の予測結果において、4年次4ヶ月目夏季に大浦湾の湾口域におけるサンゴ類の生息範囲の一部において、2mg/L以上の濁りが拡散するとしているが、その範囲は、大浦湾口域及び辺野古地先の概ね半分を占めており、「工事の濁りがサンゴ類の生息環境に与える影響は全般的に小さいと考えられる。」とする評価は妥当ではない。
(4) サンゴ類の環境保全措置として、消失するサンゴ類を工事施行区域外の同様な環境条件の場所に移植するとし、移植先案2ヶ所を示しているが、豊原地先の移植先案は、海草藻場が存在しており、注目すべきサンゴ群生として塊状ハマサンゴ属群生もある区域であり、大浦湾口部の移植先案は、注目すべきサンゴ群生であるハマサンゴ科群生が存在することから、当該移植先案への移植は、移植するための調査、作業等が既存のサンゴ群生等に影響を与えるおそれがある。また、具体的な移植方法について記載されていないことから、その手法が適切なものか不明である。
-<9 海草藻類について>-
海草藻類に対する排水による影響について、海草類の被度50〜75%域において塩分が0.1〜0.2低下すると予測されているが、このことによる海草類への影響については予測されていない。
 
-<10 ジュゴンについて>-
(1) ジュゴンについては、事業者が行った調査において、大浦湾内で食み跡が確認され、個体Cが大浦湾東側海域や宜野座沖に移動することが確認されており、過去には環境省の調査で大浦湾より西側でも食み跡や個体が確認されていることから、広範囲な移動能力を有するジュゴンについて、餌場への移動を阻害するような影響はない等の断定的な予測は適切ではない。多数の作業船や土運搬船等の往来によってジュゴンの沖縄島東海岸南北方向の移動を分断する可能性があり、繁殖のための移動にも影響するおそれがあり、環境保全上の問題が生じる可能性がある。
(2) ジュゴンに対する影響について定量的評価を行うべきであるとする意見に対し、「一般的な定量評価の手法であるHEPやPVAは用いませんでしたが、調査の結果を基に、事業計画によるインパクトの程度を照らして、予測・評価を行いました。」としている。事業者自らの調査で沖縄島の最少個体群は3頭と推定しているにもかかわらず、一般的な定量評価の手法であるHEPやPVAを用いなかった理由が明らかにされていない。
(3) 「ジュゴンについては、調査範囲に辺野古地先海域を含めた複数年の調査を実施すること」との知事意見に対し、「平成19年度や平成21〜22年度の自主的調査も含め、3カ年以上(複数年)の調査データを用いて予測・評価を行いました」との見解を示しているが、平成21〜22年度の調査は環境影響評価のために実施された調査ではなく、当該調査の手法及び調査結果については、住民等や関係市村長の意見が聴取されていない。なお、これらの調査結果も含めて考察したジュゴンの生活史等の生態については、十分に解析されているとは言えない。
(4) 辺野古前面の藻場を利用していないと判断した理由について、「人為的影響として、米軍演習及び海上作業の状況をみると、平成16年以降特に増加した傾向はみられない」としているが、海上作業について作業日数は示されているものの、当該作業の内容、規模、時間帯等の具体的なデータが示されていない。また、当該データは「第十一管区水路通報」を基に整理したとしており、事業実施区域周辺海域で事業者自らが行った環境調査等の全ての行為が含まれているか明らかではなく、人為的影響が適切に検討されているか不明である。
(5) 「ヘリコプター及び小型飛行機の飛行高度と発生騒音レベル、水中への音の入射角から、調査時のジュゴン確認位置において水中へ入射した音圧レベルについて解析すること」との知事意見に対し、小型飛行機の飛行高度と発生騒音レベル、水中への音の入射角が示されていない。そのため、予測の前提が明らかではなく、ヘリコプターの方が大きいことの根拠が不明である。
(6) 個体識別できなかった15頭について、A〜Cのいずれかの個体であると推定した具体的な根拠が不明である。
(7) 平成21年2月に嘉陽地先の水中ビデオカメラで撮影された個体について、雌の可能性も考えられるとしていたが、当該個体がAではないという根拠は不明である。
(8) 航空機騒音による影響はコース直下の限られた範囲にとどまることからジュゴンの行動や生息範囲に及ぼす影響は小さいと予測しているが、コンター図と生息域の重ね合わせなどによる具体的な影響範囲は示されておらず、発生する騒音の継続時間も考慮されていない。また、予測はCH-53を用いて行われているが、より騒音レベルが大きいと思われるオスプレイを用いて、又は、ジュゴンの可聴域において騒音レベルが最大になる航空機を用いて行う必要があり、予測は適切ではない。
(9) 水中に入射した音が影響を及ぼす範囲が、ジュゴンの沿岸域との往来にどのように影響を及ぼすのかについて、予測されていない。また、入射音の波などによる拡散の程度と影響が考察されていない。
(10) 低周波音の影響について、海域生物全般の影響レベルを適用して影響を及ぼす可能性はないとしているが、その適用性についての根拠が不明である。また、低周波音は波長が長いため遠くまで伝搬するが、どの範囲まで低周波音が伝搬するのか不明であることから、その生息地だけでなく、行動域全般での予測・評価を行い、環境保全措置を検討する必要がある。
(11) 環境保全措置としての衝突回避のための見張りの実効性が検討されていない。また、衝突回避可能な速度として、オーストラリアの事例(10ノット)を参考に設定する方針としているが、船舶の大きさや海域の状況について、オーストラリアとの比較検討の結果も示されておらず、具体的な内容が記載されていない。さらに、生息を避けて沖合を航行する計画についても、具体的な航行位置が示されず、その措置を米軍に周知することについても、その効果の程度が不明である。
(12) 生息環境としての機能や価値を変化させる可能性はないとしているが、水中音の状況が変化することなどを考慮しておらず、餌場の変化や、水中音の状況の変化及び構造物の存在による移動経路の変化などを考慮していない。
(13) ジュゴンの逃避等の行動を引き起こす可能性のある音圧レベルとして、既存資料より、133dB以上としているが、ピンガーの発する時間等、資料における詳細な試験条件等が示されておらず、当該事業における事業実施時の水中騒音との条件の違いが不明であることから、逃避行動を引き起こす可能性のある音圧レベルとして133dB を設定する事の妥当性が不明である。
(14) 個体Cの行動範囲が大浦湾東側海域までの範囲であることについて、辺野古地先を利用しない理由が適切に検討されておらず、個体群が維持できるとの予測の根拠が妥当ではないと考える。また、大浦湾汀間漁港周囲のみをバッファーゾーンとみなした根拠が不明である。
(15) 環境保全措置として、「光を海面に当てないようにマニュアルを作成して米軍に示すことにより周知する」ことが追加されたが、その効果の程度及び実効性が不明である。
(16) ジュゴンが工事中の影響を回避するため沖合に移動する場合、これまでにあまり利用していない海域へ移動すること自体が、個体に大きなストレスになると考えられるほか、沖合において外敵と遭遇する危険性の増加が懸念される。
(17) 事後調査として、ジュゴンのヘリコプターを使った追跡調査を実施することについて、「米軍の運用と関連することから困難な状況である」としているが、具体的な理由が不明である。

-<11 陸域動物について>-
(1) 動物種への影響について、出産・育児期を考慮した予測をすることとの知事意見に対し、鳥類については出産・育児期が検討されているが、哺乳類をはじめとするその他の種については検討されていない。また、鳥類の繁殖に対する影響や、営巣地周辺での工事作業及び車両等の通過について、環境
保全措置の具体的な内容が不明である。
(2) タウナギへの影響の予測について、予測内容は準備書と変わっておらず、予測において、固有種としての貴重性をどのように考慮したのか不明である。
(3) 付け替え工事が行われる美謝川における魚類への影響についてしか予測・評価が行われておらず、辺野古沿岸域周辺のその他河川に生息する通し回遊魚に対する、代替施設の存在による影響の予測・評価が欠落している。
(4) 航空機騒音による影響について、騒音レベルとの重ね合わせ図を示して予測しているが、85dBを超える範囲の影響についてしか予測が行われていない。なお、飛行経路には不確実性があることから、当該予測結果も不確実性の程度が大きいと考える。
(5) バードストライクに係る予測について、警戒高度を20m以下と設定すると確認された個体の91.9%が対象となるが、10m以下(個体の70%を対象)と設定したことの根拠が不明である。また、「概ね海岸〜海域で採餌を行う」種について、バードストライクの可能性が低いとする根拠が不明である。
(6) 代替施設において使用される航空機は、他の訓練施設へ飛行することが想定されるが、特に北部訓練場内の施設へ飛行した場合において、オスプレイの航空機騒音や、離発着時における下降気流及び高温排気ガスによる北部訓練場内の施設周辺の動物種へ与える影響について、環境影響評価を実施する必要がある。
(7) 水生動物の影響に対する環境保全措置として魚道を設置するとしているが、他事例における効果の程度が十分示されていない。また、魚道設置による影響については「水生動物への移動へ配慮した構造を付帯するものであるから新たに生じる影響はほとんど無い」としているが、どのような構造が付帯されるのかが不明であり、新たに生じる影響がほとんど無いとした根拠が十分示されていない。
(8) 環境保全措置としてのナトリウムランプ等の使用について、米軍に対してマニュアル等を作成して示すことにより周知するとしているが、その実効性は不明である。
(9) キノボリトカゲ類など希少種のロードキル防止のための進入防止柵の設置について、材質、大きさ等が不明であることから、これらを明らかにした上で、柵の設置や工法の影響も踏まえて予測・評価を行う必要がある。
(10)工事用仮設道路の建設によりアダン群落が消失するため、仮設道路撤去後にアダンの移植を検討するとあるが、アダンの実を餌とするオカヤドカリ類への仮設道路設置中の餌場の減少の影響が不明である。
(11)「オキナワチャバネゴキブリは現地調査においては埋立土砂発生区域を含む調査区をはじめ、名護市汀間から久志にかけて複数の調査区から確認されている」としているが、これまでの確認数や情報が少ないことから、工事が与える影響について、予測・評価を行う必要がある。

-<12 陸域植物について>-
(1) 植生区分は現況の自然環境を適正に把握するために重要な情報であるが、リュウキュウマツ林及びホウライチクに関して「植生区分を修正すること」との知事意見に対し、「現況の植生に沿った内容であるものと認識しています」との見解を示して修正していない。
(2) 施設等の供用時の夜間照明による影響について、隊舎等や外灯による照明で現状でも明るいとしているが、照明の届く範囲が供用後どのように変化するのか示していない。また、予測においては、ランプシェードによる配光制御や森林部に直接照射しない等の対策を検討すると記載しているが、評価においては、これらの措置を環境保全措置として記載していないため、どのような環境保全措置を講じるのか不明である。
(3) 代替施設において使用される航空機は、他の訓練施設へ飛行することが想定されるが、特に北部訓練場内の施設へ飛行した場合において、オスプレイの離発着時における下降気流及び高温排気ガスによる北部訓練場内の施設周辺の植物種へ与える影響について、環境影響評価を実施する必要がある。
 
-<13 生態系について>-
(1) 施設等の供用時の夜間照明による影響について、海域生態系内における影響伝達があるとしているが、その具体的内容は示されておらず、また、陸域でも現況からどのように変化するか示されていない。さらに、当該影響に対する環境保全措置についても、海面への照射を避けるよう「米軍に周知する」のみであり、陸域での対策も記載されず、その効果の程度及び実効性は不明である。
(2) 生物群集の生息状況の変化については、予測結果に不確実性が伴うとしているが、評価に当たっては当該不確実性を考慮していない。
(3) 環境保全措置としての代償措置は、事業者の実行可能な最大限の範囲で影響の回避措置、低減措置を検討した上で、回避・低減が困難な場合に検討すべきものである。また、環境保全措置として、移動や移植を環境保全措置とすることや、工事や施設の存在の影響により逃避すると考えられる場合の影響については、生物多様性の観点からも、生育・生息域の「場」の意味を考慮して、慎重に評価する必要がある。

-<14 海域生態系について>-
(1) 施設等の供用時の夜間照明による影響について、ジュゴン(個体C)に影響が及ぶ可能性があるとして、「可能な限り海面に向けた照射を避けることについて米軍に対してマニュアルを作成して示して周知する」との環境保全措置を示しているが、その効果の程度及び実効性は不明である。
(2) 施設等の供用時の夜間照明による影響により、海域生態系内における影響伝達があるとしているが、当該影響に対する環境保全措置についても、海面への照射を避けるよう「米軍に周知する」のみであり、その効果の程度及び実効性不明である。
(3) 海草類、サンゴ類については、「再予測に伴い、すべての海域について再検討」したとあるが、これらの種に係る予測結果は修正されていない。
(4) 特殊性の観点から、ジュゴン及びウミガメを予測の対象として抽出したとしているが、生態系としての予測・評価ではなく、個別の予測・評価になっており、海域生態系へ及ぼす影響について明らかにされていない。
 
-<15 陸域生態系について>-
(1) 回転翼機の運航に伴うバードストライクについて、「米軍、民間の運航会社に問い合わせたが、ヘリコプターにおけるバードストライクの事例はないため、回転翼機によるバードストライクの発生確率は極めて小さいと予測した」としているが、評価書においては、オスプレイの運用についても記載されていることから、同機の運航に伴うバードストライクについても予測・評価する必要がある。
(2) 注目すべき種の予測時期について、「主に繁殖期を考慮した予測を行うことについて評価書に載した」としているが、繁殖期をどのように考慮して予測したかが記載されておらず、また、出産・育児期については予測・評価されていない。
(3) アジサシ類については、繁殖状況に変化が生じる可能性があることから、同種に対する環境保全措置として、繁殖時期に平島・長島への上陸を極力避けるよう周知に努めるとしているが、「周知」がどの程度の実効性を持つか不明である。
(4) シロチドリについては、孵化率の低下は生じないとしているが、これは時間の経過に伴い騒音に慣れることを基にした予測結果であり、時間経過と騒音に対する感受性の鈍化との相関が評価書に記載されていないことから、孵化率に影響が生じるか否かは判断できない。また、飛行機に比べヘリコプター騒音が野生生物に与える影響が大きい傾向にあるとする報告が考慮されていない。

-<16 海域生態系と陸域生態系の関係について>-
(1) 海域生態系と陸域生態系の関連に対する事業実施の影響について、予測対象種として、オカガニ類やオカヤドカリ類が選定されていない。
(2) 海域生態系と陸域生態系の関連について、事業実施後の変化に係る予測・評価がなされていない。
(3) 大浦湾は、山で囲まれた湾に河川が流入するという地形条件から特殊な自然環境が形成されており、例えば、海と川を行き来するブナカ属の一種が成魚になれるのは、沖縄島でも大浦湾だけであるが、こうした特殊な魚類の生息環境が、大浦湾とそこに流入する河川の組み合わせによって育まれていることを考慮した予測・評価がなされていない。

-<17 景観について>-
(1) 眺望景観の予測条件となる建物の具体的な大きさや、形状、色などが示されていない。また、予測に際しては、周辺の類似施設を参考にしたとしているが、周辺のどのような類似施設なのか示しておらず、予測結果の不確実性についても検討されていない。
(2) フォトモンタージュについて、50〜55mレンズを使用した写真での予測を行わない理由として「評価基準が不明確となる」としているが、フォトモンタージュは相対評価を行うものであることから、当該理由は妥当ではないと考える。
(3) 航空機からの景観の変化を予測対象としない理由として「民間航空機の航路については、風向きにより沖縄島東岸を通過することもありますが、特定できないとのことであり、常時、視認できるものではない」としているが、当該理由にも記されているとおり、民間航空機が沖縄島東岸を通過することもあることから、航空機からの景観の変化についても予測対象とすべきである。
(4) 海上からの景観については、辺野古漁港航路からの景観のみしか予測しておらず、予測結果の不確実性の程度が大きいと考える。
(5) 予測結果における景観区分について、基地内に設
置される人工的な草地についても「草地・湿地」と分類している。
(6) 囲繞景観について、「修景により囲繞景観の持つ「価値」を高めることにより、環境影響の低減が図れる」としているが、具体的な修景の内容(緑化の場所等)が記載されておらず、また、囲繞景観の価値認識の低下について予測もなされていない。
(7) 景観に係る環境保全措置について、「代替施設の運用・機能の観点から、建設する建物の形状や高さ、配置について、景観に配慮したものとすることは困難」としているが、その理由が記載されておらず、また、色彩については、具体的な検討結果が不明である。
(8) 施設等の供用後、特に、辺野古前上原公園からの眺めは、変化の程度が大きいとされているが、環境保全措置としては、仮設道路高架部の配色の検討のみであり、その効果の程度も不明である。
-<18 人と自然との触れ合い活動の場について>-
(1) 春季調査時期について、ゴールデンウィーク期の調査がなされておらず、また、当該時期に調査を行わなかった理由が不明である。
(2) パラグライダーの活動に対する影響については、「調査範囲外に位置するものと認識」として予測、評価がなされていないが、パラグライダーの飛行範囲を考慮すると、調査範囲を一律に半径5kmとすることは適当ではないと考える。また、パラグライダーの飛行範囲が滑走路の延長線上にかかることを考慮すると、当該活動に与える影響は大きいと考える。
(3) カヌチャ・ベイ・ホテルの利用者について、「新たに得られた情報を評価書に記載し、これらを踏まえて予測」とあるが、調査結果には当該事項が反映されているものの、予測結果にどのように反映したかが記載されていない。
(4) 施設等の供用による影響について、豊原の浜や一部の浜下りの場でW値が70以上となり環境が変化すると予測しているにもかかわらず、環境保全措置は講じないとしている。
(5) 夜間における人と自然との触れ合い活動の場の有無については、地域の漁業関係者にヒアリング等を行ったとしているが、聞き取りの状況が記載されていない。

-<19 歴史的・文化的環境について>-
施設等の供用に係る予測について、航空機騒音が及ぼす影響について予測したとしているが、伝統的な行事及び祭礼等の場等に及ぼす航空機の騒音は当該行事等が一時的なものであることから、W値ではなくピーク騒音レベルを用いて影響の程度を予測する必要がある。また、伝統的な行事及び祭礼の場となっている松田の浜等の消失について、「場」の移動を検討するとしているが、その「場」も含んだ上での行事・祭礼であることを認識する必要がある。

-<20 廃棄物等について>-
(1) 一般廃棄物について、「名護市との調整については、事業の進捗を踏まえ、適切な時期に協議することにしている」としているが、一般廃棄物の処理は、各市町村が策定する一般廃棄物処理計画において、発生する廃棄物量などが想定された上で適正な処理方法が定められるため、名護市との調整がなされていない現状では、名護市が当該施設から発生する一般廃棄物を受け入れ可能か不明である。また、焼却施設の余剰能力と発生量、最終処分場の残余容量と焼却残渣についての予測・評価もなされていない。
(2) 工業作業等に伴う廃油量については、米軍からの聴取を基に予測・評価を行ったとしているが、その他の廃棄物が発生するか否かは記載されていないまた、廃石膏ボード、PCB 廃棄物等についても記載されていない。
(3) 余剰汚泥については、各業者における現在の処理量を考慮した上で、最終処分については、直近の残余容量を基に、受け入れ可能性について予測・評価する必要が
ある。
(4) 工事の実施に際し発生する廃棄物(伐採木である木くず、建築廃材である木くず、繊維くず、及び建設汚泥)や、施設等の供用時に発生する廃棄物(不燃ごみ)の処理方法について、最終処分の方法等に誤りがあり、記述のとおりでは、適正に処理できないおそれがある。
(5) 施設等の供用時に発生する廃棄物について、施設供用後の廃棄物処理については、他の米軍施設と同様の処理方法となることから、処理状況の比較は行わないとしているが、米軍施設から発生する廃棄物が、現在、適正に処理できていることが確認されなければ、当該施設から発生する廃棄物も同様に処理されるため、適正に処理できるものであるか不明である。
(6) 資源ごみの分別について、「資源ごみの分別については、これまでも米軍管理の下、外部委託等により、適正に処理されているものと承知」としているが、資源ごみの分別は、外部委託する前に米軍自らが行うものである。
(7) 環境の保全の基準又は目標との整合性について
 ア) 工事の実施について、「「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」及び「建設リサイクル法」に基づき適正に処理することを環境保全の基準又は目標とした」としているが、法令を遵守することは当然のことであり、このことをもって基準又は目標との整合が図られているとする評価は適切ではない。各品目について、具体的にリサイクル率を定め、これを達成することを目標とすべきである。
 イ) 施設の存在及び供用時に、「循環的な利用により最終処分を低減し、持続可能な循環型社会の形成を図る」ことを環境の保全の基準又は目標と設定しているが、上記と同様、どれだけ循環的な利用を行い、最終処分を低減したのか、具体的に示されていないことから、整合が図られているとする評価は適切ではない。
-<21 環境保全措置について>-
(1) 環境保全措置の検討結果の検証については、内容・過程について具体的に示されていない。
(2) 動物の移動及び植物の移植に伴う影響については、類似環境への移動・移植であることから影響はないとしているが、移動・移植先における個体密度の変化、餌量等が検討されていない。
(3) 「航空機騒音・低周波音に対する環境保全措置は、滑走路をV字型にするだけでなく、周辺宅地への防音工事の実施等の他の措置も検討すること」との知事意見に対し、「航空機騒音については、供用後、環境監視調査として騒音測定を実施することとしています。防音工事については、その結果を踏まえ、法令に従い、適切に対応します。」との見解を示しているが、防音工事以外の措置は不明である。また、防音工事は、供用後の騒音測定結果を踏まえて対応するとのことであり、発生した航空機騒音による影響への対策として講じるものであることから、あらかじめ航空機騒音による影響を回避・低減するための環境保全措置ではない。
(4) 米軍への「周知を図る」としている環境保全措置については、その実効性が不明である。
 
=第4 事後調査について=
(1) 夜間工事、汚濁防止膜、航空機排ガス、騒音、低周波音、辺野古地先水面作業ヤードにおける水の汚れ(pH)及び施設の供用後の水の汚れ(栄養塩類、注入塩素)については、予測の不確実性の程度が大きく、環境保全措置の効果の程度が不明であることから、事後調査を実施しないという理由は成立しない。
(2) 環境影響の程度が著しいと判断する基準について、定性的な基準しか示されておらず具体的、定量的な基準が全く示されていない。したがって、事後調査等においては、対照区を設置し、工事の実施及び施設の存在・供用による環境影響を把握しなければならない。
(3) サンゴ類、海藻類及び海草類について、「一部の生息範囲においてサンゴ類の生息環境(一部の生育範囲において海藻類又は海草類の生育環境)に影響を及ぼす可能性がある」としながら、評価においては、このことについて述べられていない。また、環境保全措置の効果の程度についても検討されていない。
(4) 事後調査の調査期間を検討することとの知事意見に対し、「これまでの事例も踏まえて設定しています」との見解を示しているが、環境の状況及び環境への影響の程度は、個々の事案における環境状況や事業内容によって異なるものであり、それに応じ、事後調査の期間も変わるものであることから、事後調査の調査期間については、本事案における事後調査の対象とする環境の状況や環境影響の程度、予測の不確実性の程度、環境保全措置の効果の程度などを勘案して設定すべきものである。
(5) サンゴ類の生息状況や海草類の生育状況等については、予測の不確実性があり、環境保全措置の効果の程度も不十分であることから、環境監視ではなく、事後調査に含める必要がある。
(終)
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