棗 悠<Natsume・Yu> & ラーゼント<Rasend>
『その身に宿せし名は[苛烈]、意志持つ白銀、ラーゼントだ』
「……なんでオマエのほうがメインみたいに喋ってるんだよ」
『まだ汝は己が身体がどうなってるか理解しきっていないようだな?』
「い、痛ぇーッ!?」
序 / Prologue
「死」の匂いがする。
なにもさっきしこたま吐き出した血の匂いの話をしてるわけじゃない。そういったものとは違う、そもそも匂いと表現するのが正しいのかもわからない感覚。
いや待て落ち着いて説明してる場合じゃないって血ィ吐いてるって。大丈夫か、死ぬのか俺? 生憎と自分の腕より太いものが腹を貫いた上に、投げ飛ばされて壁に叩きつけられた経験なんてのは今回が初めてだから確実なことは言えないが、うん、俺の想像力の及ぶ範囲では死にそうだ。
まさか買い物帰りにこんな目に合うとは。いや買い物帰りとか関係ないな。なにせいきなり化け物にぶん殴られてこれだからな。俺が死んだら母さん泣くかなあ。
「テメエひとのプリン勝手に食っておいてその補填も出来ねえのか」
そりゃラベルに名前書いてあるのに気付かないで食べた俺も悪いけどさ、もともと俺が3個パックで特売してるのを買って来たやつじゃんかよ母さんってちょっと待て俺、いくらなんでも息子の命よりプリンが優先順位高いわけないだろ。あれは口は悪いが愛情は人一倍だ。たぶん。父さんが死んだときも独りですんすん泣いてたじゃないか。
そうだ、父さんの病室だ。あの時は死んだ人間からはこういう匂いがするもんだと思ってたが、どうやらそれも思い違いみたいだ。病気なんかやるタマじゃないとは思ってたが、今にして考えてみれば――
『汝、その心に敵を撃滅せんとする意志はあらんや』
あー、なんだいきなり。人の走馬灯的なモノを遮って幻聴とはいい根性だ。あのいけ好かない「匂い」のする化け物をぶっ飛ばせるなら、少しは未練も減るかも知れないが。
『なれば、その意志を以って我は白銀を成さん――』
概略 / Personal Data
- 種族 / Race
- 人間
- 性別 / Sex
- 男性
- 年齢 / Age
- 16
- 身長・体重 / Height - Weight
- 149cm - 46kg
- 色素 / Color
- 眼:黒
- 髪:赤茶
- 肌:黄
外見・性格 / Image&Character
『細かいことを抜きにして語れば整った容貌と言えるのだ。毛嫌いすることもないだろう』
「オマエに褒められてもうれしかないな」
『Sigh……。背丈ばかりか人としての器まで小さい男だな』
「……大きなお世話だ」
小柄かつ華奢な体つき、微かに膨らみを帯びた整った顔の輪郭、細く長く伸びた眉、丸く大きな瞳、なだらかな稜線を描く鼻、薄い唇に閉じられた小さな口元、色素が飛びがちな柔らかい髪。
その造形の尽くが「愛嬌」という一点に集約されたかのような容貌をした少年。
まあ有り体に言ってしまえば酷く可愛らしい顔立ち。
本人は自分の顔立ちに少なからずコンプレックスを感じており、普段から目を細めて眉根を寄せた不機嫌そうな顔つきをするよう努めている。
加えて、口調や態度もことさらにぶっきらぼうなものであることが多い。
物事にあたってはあまり深く考えすぎずにまず行動するような直情的な性格をしている。
親の教育の成果もあってか意外と真面目で義理堅い。
奈落との戦いに関しては、一部の人のみが対抗し得るという状況を自らも痛感しているせいか、ある種の義務感を持ってあたっている。
設定 / Settings
「そういえば、最初みたいな古めかしい喋り方はしないんだな」
『あんな堅苦しい喋り方は契約時だけで十分だ。それに続けたところで汝が理解できるわけでもあるまい』
「確かにそうなんだが、もう少し別の言い方があるんじゃないのか」
瑞珠学園に通う生徒にして、シャードを核とする意志持つルーンメタル「ラーゼント<Rasend>」に見出されたルーンナイト。
つい先日まで、世界に迫る危機についてはさっぱり何も知らない生活を送っていたが、あるとき奈落の怪物に襲われ、命の危機に瀕し、ラーゼントとほぼ同化した状態になることで一命を取り留め、世界の真実を知ることとなる。
命を救われたことに関して、ラーゼントに対して少なからず恩義を感じており、奈落との戦いやアスガルドの探索については意欲的である。
ちなみに、襲われたときの事後処理には、何故か見知った刑事が現われっていうかムロさんじゃねえかなにやってんだアンタ的なことがあったりもした。
父親を亡くし、現在は小学校教師の母親、楓<Kaede>とともに暮らしている。
「オマエにも苗字と名前とで両方植物の名前が出てくるという何とも言えなさを味わわせてやろうかと思ったが、父さんに止められたから漢字二文字でなんとなく座りが悪い名前にするだけに留めてやった」などと面と向かって言われるぐらいに家族仲は良好であり、日々「死にさらせ」「ぶっ飛ばされたいか」と心温まる家族のコミュニケーションが交わされている。
言うまでもないが口と態度が悪いのは明らかに母親のせい。
父の聡彰<Tadaaki>は病死ということにはなっているが、実際には彼もまたクエスターであり、奈落との戦いの末に命を落としている。楓はそれに関しては全て知っており、また悠にしてもなんとなくではあるが察しはつけている。
戦闘時には円形の盾と身の丈よりも長い馬上槍を携え、濃青のラインの入った甲冑のような白銀のルーンメタルを身にまとう。
背面、腰の両脇、両足先はスラスターのようになっており、常時マナの青い輝きを噴出しており、わずかながら身体を浮かせている。
メインの攻撃はスラスターの推進力を前方に集中させてのランスチャージ。
シャードはラーゼントと同化したときに身体の奥深く、具体的には胴体中央、心臓の真横に根付いており、クエスターとしての力を振るうときにのみ身体の表面にせり出してくる。
形は縦に細長い八面体、色はルーンメタルに走るラインと同じ濃青。
データ / System Data
クラスレベル・取得特技 / Class Level & Skill
- ファイター:1
- ≪戦士の手≫
- ≪猛攻≫
- ルーンナイト:4
- ≪ルーンウェポン:ルーンランス≫
- ≪ルーンフィールド≫
- ≪ルーンメタル≫
- ≪ルーンヴィークル≫
- ≪ブレイブスパーク≫
- ≪マナミラージュ≫
- ソードマスター:1
- ≪庇護の剣≫
- ≪魔剣所持≫
- ≪煌めく刃≫
加護 / Blessing
トール
フレイ
フレイ
能力値 / Attribute
能力値 |
体力 |
反射 |
知覚 |
理知 |
意志 |
幸運 |
基本値 |
14 |
15 |
12 |
9 |
11 |
12 |
ボーナス |
4 |
5 |
4 |
3 |
3 |
4 |
戦闘値 |
命中 |
回避 |
魔導 |
抗魔 |
行動 |
耐久 |
精神 |
攻撃 |
未装備 |
10 |
9 |
5 |
5 |
11 |
29 |
19 |
6 |
修正値 |
10 |
11 |
6 |
5 |
13 |
29 |
19 |
刺+16 |
ライフパス / Lifepath
- 出自
- 教育者:[教育成果]理知判定の達成値に+2
- 経験
- 学校関係:[情報:噂話]そんな感じの情報収集判定に+3
- 境遇
- 蘇生:クエスト「借りを返す」
- 邂逅
- 秘密:“迷宮のムロさん”室井 庄司
装備 / Equipment
右手:ルーンランス
左手:ラウンドシールド
防具:ルーンメタル
アクセサリ:アタックリング
携帯電話
時空鞘
時空マント
ライフスタイル・住宅 / Life Style & Housing
- ライフスタイル
- 中流家庭
- 住宅
- 一般家庭
- 個室
独り言
ド直球な主人公的少年をやろうとしたら気が付けば比較的リビドーまみれな感じになってました。
まあそういう日もあるよね!
輝け、いや輝いちゃいかん! 没ネタ。
「没ネタって何だよ、オイ……」
『我々が生まれるまでには紆余曲折ある、という話だ。キャラクター作りの参考には……Sigh、ならないだろうな、恐らく』
「こんなキャラを量産するとGMが困るからな。しっかし、これはこれでリビドー塗れだよなあ」
さてさて、たまにはわかりやすく主人公でもやるかと思ったPL1くん。もう「くん」とかいう年齢でもないことに気付いてしまったのでPL1に修正です。
とりあえず主人公といえば少年だろうと凄く安直に決めたPL1ですが、ここで凄く困ったことがありました。
見た目をどうしようか迷ってしまったのです。
最初は普通にやんちゃ気味な少年の見た目、要するにツリ目で髪の毛がツンツンというものをやろうと考えました。いまの性格付けなどはこの段階のものがベースになっていますね。
ですがここで問題というか欲望がもりもりと浮き上がってきます。PL1はキャラクターに変なギャップをつけたがるのです。可憐な女の子キャラを作ろうと思ったら気が付くと両手持ちのグレートアックスを振らせてしまわなければならないと、妙な義務感に燃えてしまう業の深い人種なのです。
というわけでややなよっとした女顔の男子がやんちゃーさんなのも良いんじゃね? たまには美少年とかやっても良いんじゃね? といった思考もポップアップしてきたのです。
まあ結局なよ少年といった風情で行こうかなー、とは思ったのですが、どうにもリビドーだけで美少年にするのはキャラクターとして納得がいかないPL1。
果たして棗・悠のキャラクター性はどうなってしまうのか!? 待て次回! いや待たなくて良いや!
そんなこんなでキャラクター性の理由付けをはじめようともくろむPL1。こういうときPL1は必ずやることがあります。キャラクターに何か「コンプレックス」を持たせることです。これをやるとキャラクターが一気に立つ上に、GM方向からもつつきやすそうになるからです。
女顔の男子が変に男性らしさを強調するかの様な立ち振る舞いをするとなれば、それは外見についてのコンプレックスが多大なものであることの現れです。「からかわれた」とするのは簡単ですが、それではちょっとありきたりです。ここでPL1はちょっとダメな方向へと思考を膨らませます。ヤンデルワールス力ですね。
PC1とはいえど人間です。単発セッションとかでは問題にならないような家庭の事情も、キャンペーンだと設定してあればキャラクターの厚みとなります。もともと、PC1なのだから父親の一人や二人死んで貰うかということで、母一人子一人の家庭というものは想定していました。であれば、子にコンプレックスを負わせるのは母親の役目!
そんなときに、主人公が不意に凄くダメな台詞を脳内で吐き始めました。
「やめてよ……僕の名前を呼んでよ、母さん」
そうです。姉(故人)を設定し、それと顔が似ていることにすれば、このようにアイデンティティを揺さぶるどころか根底からどうにかしてしまうような、別の人間としての認知をさせれば、自らの確立を目指し、姿にそぐわない性格付けをするのも説明が付くのです! 完璧だー! たぶん完璧だぞー!!
えうれーかえうれーかと叫びながらギリシア兵に取り押さえられて密度を測るために水の中に沈められんばかりのテンションがPL1を包みました。
ですがここでPL1は正気を取り戻しました。いくらPC1だからといって、ここまでテンションをぶっ飛ばさなくても良いのです。
というかハンドアウトの要求をはるかに超越したこの設定の積みっぷりは少し控えるべきなのです。
それよりも正直言ってこのPCを扱いきれる気がさっぱりしなかったのです。
ネタとしてはおいしいとは思いましたが、あんまり惜しむこともなく没ネタとして沈ませることとしたのでありました……。
「……いまの母さんからはさっぱり想像できない設定だ」
『どちらも気に入ってるとは言えども、真逆の方向にかっ飛ばしすぎであることは否めんな』
「まっ、ずいぶんと気楽な立場にもなったもんだし、GMとしてもありがたいぐらいじゃねえか?」
『GMはむしろこの没ネタのほうを所望していたようだが』
「……本気かよ?」
最終更新:2008年07月31日 20:11