【0287.txt】の続きです

注意。百合表現があります。 一部のキャラクターの性格が改変してあります









朝、美鈴は門番の仕事に向かう途中、廊下の向こうで珍しい光景を目撃した
吸血鬼姉妹が偶然廊下で鉢合わせした所だった

「あら、お姉様これからお出かけ?」

レミリアは手に日傘を持っていた

「そうよ、神社で霊夢に会って来るわ」
「へ~。そう」
「何か言いたげね?」

口元を押さえてクスクスと笑うフラン

「ええ“異常”だなと思って」
「異常?」
「だってそうじゃない。吸血鬼が日中に好んで外出するなんて前代未聞よ? 同じ種の私にとってそれは奇行以外のなにものでもないわ」
「まさか、あなたに異常者呼ばわりされるとは思ってもみなかったわ」
「あら、自覚が無かったの?」

レミリアはその言い回しに腹を立て、フランは姉のその様子を楽しそうに観察している
段々と険悪になっていく場の空気
そこへ

「あ、お嬢様。お出かけですか?」

気を利かせて美鈴が会話に割り込む

「あら美鈴。これから門番?」
「はいそうです。お気をつけていってらっしゃいませ」
「ありがとう」
「暗くなる前には戻ってくるんだよ」

フランが横槍を入れてさらにムッとするレミリア
美鈴に「門の仕事をしっかりね」とだけ言い残して足早にその場から離れた
フランと美鈴がその場で二人が残った

「なぜ、挑発するような物言いを? 外出させていただけない事に対するあてつけのつもりですか?」
「まさか、思ったことをただ口にしたまでよ。外のことなんてなんとも思わないわ」

数百年の及ぶ室内生活を強要され感覚が麻痺したのか、この子の外に対する執着は薄い

「お嬢様を慕っているのではないのですか?」
「あいつは私にとっての“姉”それ以上でもそれ以下でもないわ・・・・・まぁそれなりにリスペクトしているわ、多分」

尊敬しているのか、していないのか本人でも良く分かっていないらしい
これ以上話しても泥沼化するのは目に見えているので「ところで」っと美鈴が別の話題を切り出す

「今週から夜勤の時間帯が終わって、今日は夕方には仕事が終わるんですよ・・・・・」

突然そう言われたフランは顔を伏せた、そのフランの頭に美鈴は手を置く

フランはうつむいたまま
「わかった、待ってる・・・・・・・」
と美鈴にしか聞こえない小さな声で言った

















仕事を終えて、フランのいる地下室にやってきた美鈴
フランは美鈴の前まで歩いていき、首輪を両手で持ち差し出す
美鈴は差し出されたそれを受け取り、フランの首に跡の残らない程度のキツさで首輪をとりつける
付け終わり、美鈴がフランに優しく微笑みかけると、フランは無言で美鈴の腰まわりに抱きつく

「いい子にして待ってましたか?」
「うん」

朝会った時とのあまりの変わりように別人では? と疑ってしまうほど態度が変わっていた
フランに首輪が巻かれたあの日から、ここ数日までのあいだの『調教』(現時点では調教というよりスキンシップに近い)で
美鈴はフランにとって“世界でただ一人自分が甘えることの出来る存在”であると認識させるところまで2人の関係は進展した

「相変わらずここは冷えますね」
「そうだね、なんてたって地下室だからね」

美鈴はフランを抱っこしたまま、ベットに座る
しばらくそのままの姿勢を維持してフランの髪の香りと服越し肌の感触を堪能する
フランも気持ち良さそうに美鈴にしがみつく、頭をなでられると気持ち良さそうに首をふる
お互いのぬくもりを存分に感じてから、美鈴が口を開く

「今日は首輪の他にこれも着けてみませんか?」
「?」

美鈴が持っていたのは黒いリボン
それをフランの目にあてて頭の後ろで結び始める

「キツくないですか?」
「大丈夫」
「じゃあ、あとこれを・・・」
「え?」

フランの両手を胸の前に出させて両手首を縄で束ねる、両足も足首のところを縄で縛る

「目隠しのリボンは絶対に取っちゃだめですよ。ズルをして外しても変わった結びかたをしているので結び直せませんから。手と足も同様です」

フランにとって紙同然の強度のこの縄は、美鈴のその一言で『絶対に千切れない縄』になった
この暗示は彼女の破ることのできない絶対のルールとなった

実はまだ一つ、美鈴のポケットに入っているものがあった

(これも付けたいな・・・・)

流石に見た目の幼いこの子に“これ”まで付けるのは良心が憚られると感じる美鈴

(でも・・・・見たい・・・)

美鈴は自分の好奇心を満たすことを優先した
ポケットから出した“それ”を許可も得ず目の見えないフランの口にあてがう

「んぐ」

フランの小さな口が無理矢理こじ開けられ、固定される
“それ”はプラスチック製の硬い小さなボールで中は空洞、そして呼吸できるよういくつもの穴の開いていた
美鈴はフランにギャグボールのかませた

「ふう、うう、ふううううう」
「大丈夫ですか? 苦しくないですか?」

目隠しをされ、ロープで手足を縛られ、小さな口に無理矢理ねじ込まれた猿轡

あまりの背徳的な姿に美鈴は数秒見とれる

さらにフランを後ろから抱きかかえて羽も動かせないようにする
美鈴に体を包まれる安心感と、見知らぬ器具を取り付けられるという不安。この両極の感情がフランを蝕んだ

何の予告も無く、美鈴はフランの右の方の耳を口に含む

「んんっ」

突然の感触にフランは小さく身震いした、その振動を体を密着させた美鈴も感知した

表面、溝、穴、耳の隅から隅まで舌を丹念に這わせる
軟骨の部分を何度も甘噛して
口をすぼめて耳全体を頬の裏側でしごく

全て生まれて初めて味わう感覚に戸惑いつつも
なぜか口内の温かさは彼女に安心感を与えた

フランは耳を咥えられたことで、美鈴の口内の唾液の水音、空気の弾ける卑猥な音が耳道を経由して脳に直接響く
それにより脳の奥まで蹂躙されているような錯覚に陥る

その感覚が徐々に心地よいもの変わろうとしたその時

ガリッ

「んぐふっ!!」

ギャグボールの穴から一気に吐息が漏れて、口の中に溜まっていたよだれが飛び出す
美鈴がフランの耳たぶを歯を立ててプレスした
噛まれてできた傷口を美鈴の舌が執拗に責める
そして再び舐めた箇所に歯を立てる

「んんんんんん!」

耳に穴が開いたような痛みが全身を駆け巡る
抵抗しようと体を動かすとさらに強い力で体を締め付けられて、耳をかじられる
美鈴は噛んでは傷口を舐め、噛んでは傷口を舐め、この流れを何度も繰り返す
まるで何かに取り憑かれたようにひたすらに続けた


体の自由を奪われ周りが見えないというのは本人が想像していたことよりも恐ろしく
(めーりんの声が・・・・・聞きたいな・・・・)
フランはいつのまにかそう思い始めた


美鈴は右耳から口を離すと今度は反対側の耳を可愛がりはじめた
右と左では自分の感じ方が全然違うことにを発見しフランは驚いた

噛まれ続けると、いつしかこの行為自体の抵抗は無くなっていた
気付けば美鈴の口を使った愛撫に身を預け快楽を貪っていた

どれくらい時間が経ったか分からないが、美鈴の口からようやく耳が開放された

次に手足の縄が解かれ、ボールも外され、最後に目隠しが取られる。目隠しに使ったリボンは涙で薄っすらと湿っていた

フランは美鈴にしがみつき胸に顔をうずめる

「途中でなにかしゃべってよ、知らない人に舐められるみたいでちょっとだけ怖かった」
「ごめんなさい、あまりに可愛らしいお耳だったので舐めるのに夢中でした。ところで顎は痛くないですか?」
「ん・・・・少しだけ・・・・痛む、あと耳も」


適度な痛みと安寧。不安と安らぎの繰り返し
こうして、美鈴は確実にフランの依存度を高めていった

「大丈夫ですか?」

美鈴はフランの顎を擦りながらどさくさに紛れて口付けしようと顔を寄せる
しかし顔を背けられ、それを拒否された

(やっぱりあれがトラウマになってるのかなぁ?)

花壇の草花で作ったお茶を無理矢理飲ませて、その後口移しで解毒効果のある丸薬を与えたときのことを思い出す
あの日から今日まで、美鈴は一度もフランと接吻をしていない
キスは2人の間で完全にタブーとなっていた

(まあ、ガードが固いほうが口付けできた時の興奮も倍増というものです、焦らずじっくりいきましょう)

長時間の拘束が解けて気が緩んだのか、フランのまぶたが段々と重くなる、美鈴もそれに気が付いていた

「それでは私は部屋にもどります。おやすみなさい。お疲れ様でした」
「うん、お休み」

こうして、今日の二人だけの秘密の時間は終わりを告げた




草木も眠る丑三つ時
人間の多くはこの時間は眠り、妖怪は活発になる
紅魔館の住人の多くは夜に眠るものが多い、吸血鬼の主人ですら夜に眠ることは頻繁にある
レミリア、咲夜、パチュリー、妖精メイド、そしてフランと美鈴も眠りについたころ
図書館では小悪魔が黙々と机に向かい日記帳に書き込んでいた
書き込んでいるのは日記帳であったが、内容は日記では無かった

それは紅魔館が舞台の創作小説だった
創作小説といえば聞こえは良いが内容はそんなほのぼのとしたものではない
紅魔館の住人同士の痴情を妄想したものだった。いわゆる官能小説である
純愛、強姦、調教、乱交、猟奇。温かな内容のものもあれば、血の気が引くような残虐なものまで存在する。どの話しにも自分が登場する

小悪魔は思っていた『自分は本当に必要とされているのか』と
本の整理も紅茶を淹れることも誰だってできる
フランのように主の身内というわけでも、パチュリーのような友人でもなければ、咲夜や美鈴のように有能だから雇われたというわけではない

自分はここに歓迎されているのか?
いつの間にか湧き出たこの小さな疑問は次第に積もり続けて、とうとう無視できない大きさにまで成長していた
そしてだれかに愛されたいという願望が歪曲し、気が付けばペンをとり、創作小説を書いていた

そうすることで小悪魔は自らを励まし慰めた

区切りの良い章まで書き上げ、日記を本棚の隅にそっと入れる
理由は2つ。1つはスリルを味わうため。もう1つはそれを誰かに読んでほしいと密かに願っているから

日記を本棚に戻し、周囲を見渡す。本と静寂と暗闇に囲まれる今の自分が余計に惨めに感じられた
本を戻すと今度は同じ棚にある一冊の魔導書を手に取り熟読しはじめる
まだ小悪魔は眠らない


次第に夜は更けていった






朝、紅魔館に門の下で美鈴は考えあぐねていた

(うーーーーん、もうすこしフランちゃんと性的なことをやりたいと思ってたんだけどな~~~)

愛しい愛しい愛玩動物の姿を頭に思い浮かべる

(体がな~~~~まだ未発達なんだよな~~~~~~~~逆にそこが良いってのもあるんだけど・・・・・・)

フランの今後の『調教』について推敲していた

(やろうと思えば出来なくもないんだけど。姉よりも先に“女”にするのはちょっとなぁ――――姉妹や兄弟ってへんなところでシンパシーとかあるからな
お嬢様にバレたらクビどころか殺されかねないし。第一、嫌がるフランちゃんを無理矢理ってのは、鬼畜過ぎて気が引けます・・・・まぁある種興奮しますが)

そんな妄想フルスロットルの美鈴に背後から声がかかる

「美鈴?」
「え? はい!! べ、別に無理矢理ヤろうだなんて考えてませんよ!!」

声をかけたのはメイド長、十六夜咲夜
挙動不審な美鈴を見て首をかしげる

「?・・・・・そろそろ休憩の時間よ、仕事に支障が出ない程度に休んできなさい」
「あ、ああそうですか。ありがとうございます。では少しばかりお時間頂きます」
「最近、ぼけーーーとして。あなた門番としての自覚はあるの?」
「はい、気をつけます・・・・」(ちぇっ・・・またお説教か・・・)

内心で咲夜に対して悪態をつきながら、今一度頭をクールダウンさせる
(ハァ・・・・何考えてんだろ私・・・・・・・・これじゃあ、思春期に彼女の出来た男の子じゃないですか・・・・・・・・・悶々と盛ってるところとかが)

咲夜の小言は一切耳には残らなかった

休憩に入り気分転換をしようと花壇に足を運ぶ
花壇に着き、花に水をやりながら再び推敲を始める美鈴

(とりあえず、最初は王道で性感の開発からにしましょう。で、そのあいだあいだにややマニアックなプレイを挟みながら・・・・・・・
荒縄で縛ったり、足に重しをつけて△のお馬さんに乗せたり、目隠ししてSMってのも悪くないですね。あの白い肌にパドルやムチでパシーンペチーンっと・・・)

しかしどれもハードな上級者向けなので今後の楽しみにするために今は妄想の範囲にとどめておく
頭の中に、後ろ手で縛られ下着だけの姿。羽はベルトで固定されて自由を奪われた状態のフランを美鈴は想像する

(あれって結構技術が要るんですよね、安全は絶対ですから叩くのに適切な立ち位置とか、腕の角度とか、叩いてはいけない箇所とか、言葉責めとムチのリズムとか・・・)

妄想の中で叩かれ体の所々が赤くなっていくフラン。痛みで泣き出してしまったのでそこで妄想をストップさせる

(ああ、だめだ!! いくらプレイとはいえあの子にそんな痛がることはできない!! んでもやりたい!!)

なんとか痛くない叩き方は無いかと、空になったジョウロをムチに見立てて腕を振ってみる

「ピッチャーの真似ですか?」
「え? はい!! べ、別に痛みが快感に変わればいいだなんて思ってませんよ!!」

声をかけたのは図書館の司書、小悪魔
挙動不審な美鈴を見て首をかしげる

「?・・・・・・いえ、ここのお花をいくつか分けて頂きたくて来ました」
「あ、そうですか。どれでも結構ですよ? 何が良いですか?」

小悪魔は小さいながらもひときわ色の目立つ花を指差す
美鈴はそれを小さな鉢に移し替えて小悪魔に手渡す

「これは毒性の高いものなので扱いには気をつけて下さいね」
「はい、わかってます。しかし不思議ですよね、こんなに小さくて可愛らしい色なのに強い毒があるなんて」
「小さくて可愛らしい色だからこそ、毒があるんですよ」

美鈴が得意げに答える、しかし小悪魔の表情は浮かない

「なにか悩み事でも?」
「ええちょっと。あの・・・・・」

小悪魔は意を決して言葉を続ける

「美鈴さんは誰かに“愛されたい・必要とされたい”と願ったことはありませんか?」

小悪魔が唐突に振ってきた話題。美鈴は意中の女の子を頭に描く、その子を思い描くのは今日何度目になるかわからない

「うーーーん、私の場合。“愛されたい”ってよりも“愛したい”って思う方が今は強いですね」
「・・・・・・・・そうですか、なにか羨ましいですね。それ」
「そうですか?」

小悪魔は複雑な表情で花を受け取って帰っていった




この時から、紅魔館は少しずつ軋みはじめていた




夜。門番の仕事を終えて美鈴はいつものようにフランの元へ急ぐ
が、途中レミリアに呼び止められた

「はい、なんでしょうお嬢様?」
「美鈴あなた、最近あれの部屋に入り浸っているようね? 咲夜から聞いたわ。昨日も遅くまで一緒にいたそうじゃない」
「ええ、まあ」(チクったな、あのくそメイドめ・・・)
「あんなのでも一応主人の妹よ。やめろとは言わないけど、親しくなりすぎるのは関心しないわね。当分会うのは控えたら?」
「・・・・・・・・・わかりました、ほどほどにしておきます」

その返答に満足してレミリアは話題を切り上げ、美鈴とは反対の方向に歩いていった
姿が見えなくなるのを確認し、美鈴は心中で主人を口汚く罵った
毒づきながら廊下の角を曲がると

「きゃっ!」
「わっ!」

反対側からきた小悪魔と衝突した
小悪魔が持っていた本と大きめの布袋が床に落ちる
布袋が床に落ちた際、鈍い金属音がした

「すみません。ぼーとしてました」(日記帳? それに袋? 何が入ってるんだろう・・・・・・・・・)

美鈴がその二つを拾おうと手を伸ばすと、小悪魔が慌てて美鈴よりも先にその二つを押さえた

(なんだろう? そんなに見られたらまずいものでしょうか?)

袋の中身が気にはなったが、個人の持ち物にとやかく言うのは失礼だと思い訊かなかった
小悪魔は体のほこりも払わずにレミリアと同じ方向へと歩いていった

(あんなに急いでどうしたんだろう?・・・・・・・・・・・まあいっか)

美鈴は地下室に歩を進めた





「めーりん何か嫌なことあったの?」
地下室に入った瞬間フランにそう言われた
ここに来る直前のレミリアとのやり取りを思い出す、間違いなく原因はそれだと自覚できた
「仕事でちょっと、疲れただけですよ。些細なことです」
そう言ってその場を取り繕った

(昨日はあんなだったし、今日はちょっとキツめに行こうかな・・・・)

美鈴は部屋の椅子に座り、靴を脱ぎ、足の部分をはしたなくはだけさせる

「マッサージしてもらえますか? 一日中、立ちっぱなしで足が棒のようです」
「うん」

フランはためらう事無く両膝を床につけて、美鈴のふくらはぎを掴み、揉みはじめた

その状態が数分続く

「んしょ、んしょ・・・・・・」
「お上手ですよ、だいぶ足の筋肉が楽になりました」
「そうなの? よかっ・・・あぐっ」

フランの首にはいつも通り首輪が取り付けられており、今日はその首輪にひもが付いている
そのひもの端は美鈴の手に握られており、美鈴は不規則にそれを引っ張りフランを弄ぶ
フランは何時来るかもわからないそれに怯えながら奉仕を続ける

「もうすっかり疲れが取れました、ありがとうございます」
「ぐっ」

美鈴はひもを強く引き、フランを無理矢理立たせる、立たせて自分の膝の上に招く
指示通りフランは椅子に座っている美鈴の膝の上にまたがる

「がんばってくれたのでご褒美です」
「ごほーび?」

美鈴は自分の中指とひとさし指に噛み付き、歯で指の皮を破いた

「私の血をちょっとだけあげます」
「いいの!」

傷つけた二本の指を差し出すとフランは嬉しそうにそれを咥えこんだ

「んん、ちゅう、ん・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・うん・・・」

いやらしい水音を立てるその姿は、まさに『貪る』という表現がぴったりだった
その光景と舐められる快感に美鈴は背中をゾクゾク震わせる
目を閉じて、必死に咥えこむフランに問いかける

「おいしいですか?」
「・・・ちゅ・・・・・・ぷはっ・・・・うん」


(・・・あれ?)



フランの微笑んだその顔が

なぜか一瞬だけ

レミリアの表情と重なった


(あのクソ餓鬼が・・・・・)
自然と手に力が篭る
ここに来る前のあの忌々しいやり取りが脳裏によみがえる
フランと今の関係になってから、日に日にレミリアのことがどうでも良くなり、次第に心の何処かで嫌うようになっていた
(なんだあの言い方は、妹を自分の所有物か何かと勘違いしているのか・・・この子は私のものだ。貴様のじゃない)
レミリアに対してのドス黒い感情がふつふつと湧きあがる



「・・・リン・・・・・め、りん・・・・・・・・ひたひよ・・・ひたが・・・・・もうゆるひて・・・」
「え?」

フランが自分の手を両手で掴み、哀願する
目からはポロポロと涙がこぼれる

美鈴は何時の間にか、口につっこんだ指でフランの舌を掴み爪を立てていた

「ああ!!すみません!!」

急いで指を引き抜く、爪と指の間の溝にはフランの血がしみこんでいた
泣いているフランを胸に抱き寄せる

「ごめんなさい。私としたことが・・・・大丈夫ですか?」
背中を擦りながらあやまる
「うん、平気・・・多分すぐに治るから」

フランが落ちつくまでの間、抱擁を続ける
胸元から嗚咽が聞こえてくるたび、美鈴は申し訳ない気持ちになった



しばらくして「私は大丈夫」と目を真っ赤にして自分の胸元の位置からこちらを見上げる
そのフランを見て美鈴の呼吸が止まる

「どうしたのめーりん?」

真摯に自分を見つめる瞳
美鈴は涙で潤んだフランの目に心を奪われていた

「・・・・・・」

いきなりフランの左まぶたを指で押さえて目を閉じられないように押さえつけて固定する。反対の右目は閉じさせた

「少しの間だけ、じっとしててください、すぐに済みますから」
「えっ!? ちょっと!! めーりん、怖いよ!」
「動かないで・・・」

フランは恐怖で体が強張り硬直して思うように動けない

それを良いことに美鈴が容赦なく顔を近づける
美鈴の突き出した舌がチロチロとフランの眼球に触れる

「ぁひぅ!!」

舌先で少しずつ表面を刺激する
徐々に舌を硬くしてフランの目をだんだんと圧迫する

フランの体が小刻みに痙攣しはじめる

刺激して、ある程度慣らしたら眼球を覆うように舌全体をベタリとくっつける
それによりフランの視界が完全に奪われる
だが自分の黒目、白目の一部を舐められるという異様な光景に比べたらそちらのほうがマシなのかもしれない
美鈴の舌がフランの目を飴玉のように舐り吸う

「いぎぃっ!」
(ちょっとしょっぱいな・・・・・・)

動くこともできずにそれに必死に耐える、美鈴は両手でフランの顔を固定している
眼球に何度も息を吹きかけては吸いつき舌を這わせる

(目の粘膜も一応は性感帯だからな・・・・かなり上級者向けだから。この子にこれはキツ過ぎたかな?)

自分がとんでもないことをしでかしていると認識して、ゆっくりと口を目から離す

「ふぅ」

肺に溜まっていた空気を吐き出す。呼吸を整えて自分が舐めていた目をみると僅かではあるが充血していた
視界が戻るとフランは自分の左目に手をあてる

「私の目大丈夫? 血とか出てない?」
「少しだけ赤くなっているだけです。すぐに治まります。目を洗う液体と容器を持ってきますね」
「お願い」
口には非常に多くの雑菌が生息する。相手が人間の場合、行為後に目を消毒しないと最悪の場合その雑菌が原因で失明の恐れだってある


美鈴は「すぐ戻ります」と言って、地下室から出て行った
フランは左目を押さえたままベッドに後ろから倒れこみ先ほどの行為を思い出す

「びっくりしたけど、ちょっとだけ・・・・・気持ち良かったかも・・・・・・・」

フランは美鈴が戻ってくる間、左目に残った舌の感覚の余韻に浸っていた





それから少し長め時間が経って、美鈴は戻ってきた

「ただいま戻りました」
「めーりん遅いよ」
「すみません。有ると思ってた場所に無くて、探すのに手間取っちゃいました」

美鈴は持ってきた小さなカップに液体を注ぎ、フランの目にあてる
それから「目を何回かパチパチしてください」と指示する
目を洗い終わったとき、フランの目はすでに元の色に戻っていた

「じゃあそろそろ寝ましょうか?」
「えーーーもう少し、もう少し」

今日はまだあまり美鈴にギュッっとしてもらったり、頭を撫でてもらっていないと主張する
しがみつき、『もっと、もっと』とせがむフランをベッドに寝かしつけて頭を撫でる

「毎回、私の仕事の時間に合わせて無理矢理に生活サイクルを変えてもらっているんです。これ以上お体にご負担をかけるわけにはいきません」
「目を舐めておいてそんなこと言うんだ?」
「すみません、やっぱりあれは嫌でしたよね?」
「美鈴がまたやりたいって言うなら私は別にいいよ。私もちょっと、その・・・気持ち、良かったし・・・」

布団に顔を半分隠してフランはそう言った

(ウヒョオオォオオオォォオオォオオオオォオォオオオ!!! ああ!ヤバイヤバイヤバイ! なにこの子!? なにこの子!? その顔は反則なんですけど!!)

「どうしたの?」
「ああ、いえ。なんでもないです」

なんとか取り繕ろうとしても口が自然とにやけてしまう
思い切って提案してみた

「今日は私もここで寝てもかまいませんか?」
「いいけど、あいつになにか言われない?」
「そんなこと知ったこっちゃないです」
「ふふっ、ならどうぞ♪」

フランが布団をめくり自分の横をポフポフたたく


(やべえええええ!! 抱きたい!! 抱きたい!! 性的な意味で!! できればGO姦ではなくWA姦の方向で!!)

「すごく嬉しそうだね。なにか良いことがあったの?」
「内緒です」
「変なの?」

(リラックス、リラックスしろ私・・・ここで手を出したら全てがパーだ)

この夜二人は同じ布団で眠りについた
最も美鈴が寝付けたのは日が昇る二時間前であったが、睡眠時間など今の美鈴には瑣末なことだった


















これは美鈴がフランの目を洗うための道具を探しに地下室から出掛けたのとほぼ同時刻の出来事

「珍しいわね、あなたから話しかけてくるなんて」
紅魔館の廊下で小悪魔とレミリアが対峙していた
張り付いた能面のような笑顔でレミリアに尋ねる

「お嬢様は咲夜さんと美鈴さんのことはお好きですか?」

唐突に質問をされたにも関らず、レミリアはすんなりと答える

「ええ好きよ。二人とも有能でかわいい大切な部下よ、当然じゃない」
「ではパチュリーさまとフランドールお嬢様のことはお好きですか?」
「そうねえ、パチェは大事な友人ね。あの子は・・・まあ嫌いな部類には辛うじて入っていないわ」

小悪魔はここでいったん言葉を切る。レミリアは次にどんな質問が来るのか大体の予想はついていた

「では、お嬢様は私のことを好きですか?」

「やっぱり」と言わんばかりの表情でレミリアは口元を吊り上げる。それを隠すようにレミリアは手を顔にあてて考える“ふり”をする

「さ~~~あなたはどうだったかしら? 私からしてみれば『いつからここに居たの?』って感じだし・・・・・・・そんなあなたを私が『好きです』なんていうと思う?」
「それが本音ですか?」
「ええそうよ。残念だったわね」
「・・・・・・・・・やっぱりそうですよね」

小悪魔は悲しそうに顔を伏せる。おもむろに持参していた布袋に手を入れて中のものを取り出す
取り出されたものを見て、レミリアは顔をしかめる
小悪魔の手にはボウガン。そしてそこにセットされた矢は銀で出来ており、矢の先には特殊な術式が編みこまれていた

「どこからそんなものを引っ張りだしたのかしら?」
「銀の矢は咲夜さんのナイフを数本拝借して加工して作りました。ボウガンは図書館にあった文明の本を読んで自分でつくりました。吸血鬼の力を無力化する術式は図書館の魔導書から」
「あら、あなた以外に有能じゃない。少し見直したわ。でもそれを作るのはいただけないわね」
「嘘でも良いです。私のことを『好きだ』って言ってください。その一言で私は救われるんです」
「滑稽ね、悪魔のくせに愛されたいなんて」

小悪魔は震える手でレミリアにボウガンを向ける。レミリアはそんなものは意に介さず困ったように肩をすくめた

「あなた、私が天邪鬼だってこと知ってるでしょ? 本人を前にして『好き』だなんて言うのは相当な勇気と覚悟が要るのよ?」

言いながら、コツリコツリと靴音を立ててゆっくりと小悪魔に近づいていく

「それを降ろして頂戴、正直言うとそれはとても怖いの」

レミリアの手が小悪魔の手に上から触れる。その手に体重をかけてボウガンを持つ手を徐々に下にさげさせる
ボウガンの脅威を取り除き、レミリアは小さくため息をつく

「・・・・・わかったわ。今回はあなたにだけ特別よ? 私の本音を聞かせてあげるわ・・・一度しか言わないから良く聞きなさい。私はあなたのことが―――――――――」

小悪魔の耳もとに唇を寄せる

「―――――――――――――だいっキライよ」

その瞬間、小悪魔の手元が高速で叩かれた、ボウガンは壁にぶつかり大きな音を立てながらあっけなく壊れ、矢が廊下に転がる

「よくも私にそんなおぞましいものを向けてくれたわね。それ相応の覚悟は出来てるのね?」

小悪魔を床に押し倒す
鋭い爪が小悪魔に振り下ろされる寸前、レミリアは自分のわき腹後方に違和感を感じた。不思議と痛くは無かった

直後、体中の力が抜けて小悪魔にしだれかかった
朦朧とした意識の中で見たのは、勝ち誇った小悪魔の顔だった
その顔は奇跡を目の当たりにしたかのように驚いているようにも見えた













「お部屋にも居ないし、いったいどこに行かれたのかしらお嬢様は?」
執務のことで今夜中に訊いておきたいことがあり、咲夜はレミリアを探していた
途中、廊下の向こうに人影を発見した
(あれは美鈴? こんな遅くに何をやっているのかしら)
途中、美鈴をみつけた、見つけたと言っても赤くて長い髪が一瞬だけ見えたので“美鈴だろう”と思った
「あんなに慌ててどこに行くのかしら?」
気になりその後をつけたが途中で見失ってしまう、「こんなことなら時間を止めて追いつけば良かった」と後悔した

しばらく廊下をぶらついていると、上の階で何かが壁にぶつかり壊れる音がした
(なにかしら?)
気になり上の階に上がってみる
そこで見つけた
レミリアの洋服とその周りに散らばった灰を

「っ!」

その時、咲夜は生まれて初めて猫の死体を目の当たりした時と同じ感覚に襲われた
それを見た瞬間。咲夜は時間を止めて図書館に向かった
激しく図書館の扉を叩く
「なにかあったんですか?」
扉を開けて応対したのは小悪魔
「もしかしたら一大事かもしれないの。パチュリー様を呼んできてくれないかしら」
「?・・・はい、わかりました」

数分たって、パチュリーが図書館から出て来る

「こんな遅くになんの用? できれば明日にして欲しいのだけれど」
「申し訳ありません。しかし今はそうも言ってはいられない状況なので」

咲夜はレミリアの服を見つけた場所に二人を連れてきた
不安そうに咲夜が訊いた

「まさか、これって・・・」
「まだそうと決めつけるのは早いわ。だれかがレミィの洋服を持ち出してここに置いて灰を撒いて死んだと偽装したのかもしれない」
「可能性はありますね。服に何の外傷がありませんから。お嬢様の自作自演の悪戯という線もあります」

小悪魔がレミリアの服を丹念にチェックする
洋服には血痕どころか“穴一つ”見つからない。全員がそれを確認した

現場はこのままにはせず、灰は3人で協力して集め、とりあえず図書館に移そうといことになった
咲夜は灰を手でかき集める途中、これがレミリア本人の残骸ではないかと思うたびに吐き気がした

「とりあえず、明日またここで落ち合いましょう。心配する気持ちはわかりますがお二人とも寝不足のご様子ですし」
「なにのん気なことを・・・」
「そうね、小悪魔の言う通り、あしたまたここに集まりましょう。咲夜もそれで良いわね?」
「しかしそれではお嬢様の安否が」
「咲夜、レミィがどれだけ強いかは従者であるあなたが一番良く知っているでしょう? あっさり無抵抗に殺されると思う?」
「いいえ、思いません。わかりました、明日また」

咲夜は覇気のない声で返答した
「じゃあ翌朝に」と言ってパチュリーと小悪魔は図書館へと帰っていった
2人の背中を見送りながら、咲夜は灰を集める途中で拾った赤い髪をポケットから取り出す
(この色とこの長さ・・・)
レミリアを探している途中で見かけた人物を思い出す
(馬鹿馬鹿しい、小悪魔だってメイドの何匹かは赤い髪だし。たまたま落ちてただけよ、変に疑うのは良くないわ)
咲夜は脳裏によぎった疑惑を振り払った

(お嬢様はきっとどこかに居るはず・・・)

それは仮説というよりも願望に近かった






翌朝、咲夜は花壇の手入れをしている美鈴に声をかけた

「おはよう美鈴、朝から精が出るわね」
「あ、咲夜さん。おはよう御座います」

美鈴は花壇の隅に大きめの穴を堀り、そこに袋を埋めているところだった

「それは肥料かしら? にしては随分離れたところに埋めるのね?」
「はい。これは少し養分としての性質が強いので、離れたところに埋めたほうが効率が良いんです」
「あらそうなの?・・・ところでこれから大事な話しがあるの。一緒に図書館まで来てくれない?」
「へ? まぁ別に構いませんが」

図書館まで連れてこられた美鈴は昨夜の出来事とそれについての今後の方針をパチュリーから聞かされた

「そんなことがあったんですか・・・」
「とりあえず、このあたりをくまなく探していこうと考えているわ」
「わかりました。私もそのほうが良いと思います」

パチュリーと美鈴の会話に咲夜が割り込む
「もしかしたら妹様ならこの灰がお嬢様かどうかわかるんじゃないかしら?」と提案した
当然、美鈴はその提案に反発した

「それは駄目です、フランお嬢様の心労になるようなことは避けるべきです」
「私も美鈴に賛成よ、リスクが大きすぎるわ。『レミィが死んだかもしれない』なんて言ったら、あの子がどんな行動を取るか分かったものじゃないわ」
「私もそう思います、フランドールお嬢様にはこのことは伏せておくべきかと」

結局咲夜の提案は却下され、始めの方針どおりレミリアを捜索することでとりあえずは落ち着き、このことは外部には一切漏らさず内々で解決させることを決めて解散となった

不平不満こそ言わなかったが、咲夜だけがその方針に不服だった
咲夜は自分の提案を真っ先に否定した美鈴の背中を無意識の内に睨みつけていた


図書館から出た後、門に戻る前に美鈴はレミリアの洋服が発見された現場に足を向けた
現場に着き、手がかりはないものかと探しにきた
床の隅を見ようと、床に手をついた時に痛みを感じた
(なんだろこれ?)
床の絨毯に小さな金属片が刺さっており、どうやらその上に自分は手を置いてしまったらしい
それを拾って窓からさしこむ光に当てる
色からして鉄かアルミかと思ったが光沢から銀だと看破する
(なんでこんなところに?)
いろいろと腑に落ちない点を抱えながら美鈴はそれを近くにあったゴミ箱に捨てた






解散後、小悪魔は一人自室で頭を抱えていた

壊されたボウガンの破片やその他もろもろの物的証拠は“信頼できるところ”に預けた
仮にそれが出てきたとしても自分にたどり着きはしないはず
(ついにやってしまった、計画していたこととはいえお嬢様を・・・)
皆の前で平静を装いつつも終始冷や汗は止まらず、心臓は張り裂けそうなほど鼓動していた
(大丈夫、絶対にバレない。仮に事態が犯人探しに切り替わり内部犯の疑いが出てきたとしても、大した力を持たない私は容疑者からは真っ先に外される)
そのためのお互いがお互いを疑いあう疑心暗鬼に陥るような状況と細工をいくつも施しておいた

(薬が完成するまでの10日間を逃げ切れば私の勝ち。そうなれば全てが元通りになり、そして私が望む日常が手に入る)
レミリアの死を偽装したのも全てはその時間稼ぎ
服は本人が不在の間に予備として所持していたものを盗んだ
灰は要らない本を適当に見繕い燃やして入手した

(大丈夫・・・ちゃんとうまくいく、利用できるものは全て利用した・・・あの時、天だって味方した・・・その証拠にほら)

小悪魔の腰掛けるベッドの下にはレミリアの入った棺桶。それを引きずり出して背中からもたれ掛かる
次に机の引き出しから『洗脳』『魅了』に関する本を取り出してページをめくりはじめた
自然と小悪魔の顔から笑みがこぼれる、それは見るもの全てに怖気を誘うほど禍々しかった

(みんなみんな私のモノ)

喉の奥から搾り出したようなカラカラとした笑い声がその部屋に木霊した





##続きます












  • 期待 -- 名無しさん (2009-04-17 20:09:24)
  • 眼球だと・・・ -- 名無しさん (2009-09-22 07:24:02)
  • 薬を作ってから襲えば、10日も逃げずにすんだだろうに
    -- 名無しさん (2009-09-27 19:47:58)
  • おお~~面白いねえこの展開!どうなるんだろ? -- J (2009-10-24 17:11:04)
  • なんかすごい興奮するなぁ
    S気は無いと思ってたんだが・・・ -- 名無しさん (2010-01-19 08:55:02)
  • オキュロリンクタスだと

    いいぞやれやれ
    私は殴打からスカまでいけるぞぉぉ -- 名無しさん (2010-02-23 01:19:20)
  • ↑オールマイティ過ぎだろ -- Aーfd (2010-03-23 14:26:38)
  • 続きも読まねば
    -- 名無しさん (2010-05-23 22:34:45)
  • ここの小悪魔って皆黒いなw


    公式でも嫌ってたんだがここに来たらもっと嫌いになったというwww -- 名無しさん (2012-03-03 11:08:59)
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