<<Warning!>>


ヤマなしオチなしイミなしの一発ネタ


ただグロです。苦手な人は気をつけてください。


あなたの幻想郷に悪い影響を与える可能性が少なからずあります。気をつけてください。
































「藍さまー。」

「どうした、橙。」

「えへへ、呼んだだけ。」

「ふふ、そうか。」

 いつもと同じ、幸せな時間が二人の周りを流れていた。
柔らかくって、ぼんやりと明るくて、綿菓子みたいな甘い時間。
暖かいふわふわの空気が、二人を包み込んでくれる。

「藍さまー……」

 橙は藍の膝を枕にして眼をつむった。
あい色の服からは、お日様の匂いがする。

 いい匂い。

藍は優しい笑顔をして橙の髪を梳かしてやる。
「ちょっと伸びちゃったなー。」とか、そんなどうでもいいことを、橙の好きな優しい声で言いながら。
絹みたいなさらさらな手でほっぺたを撫でられると、なんだかくすぐったい。

「ん、ふふ……」

 橙が噴出しても藍はやめてくれない。
ちょっとイジワル。藍の手が首の辺りをこそこそとくすぐるとムズムズする。

「うふ、あは!」

 くすぐったい。尻尾をぱたぱたさせる。
藍の手を掴もうとするけれど、藍の手は巧みに橙の手を逃れて止めてくれない。

「ふふ、つかまえてごらん。」

「もう、くすぐったいってばー。」

 ごろっと向き直って、藍の胸に手を伸ばす。私もくすぐってやる。
転げまわったって許してあげないんだから。
けれど藍はいとも簡単に橙の手を捕まえてしまう。

「んー、」

 ずるいよ。

 橙はふるふると手を振った。



 けど、別に離さなくていいや。

 温かい藍さまの手。白くて綺麗ですべすべで、橙の大好きな藍さまの手。
橙がきゅっと藍の手を握ると、藍も橙の手を握り返してくれる。

「ふぁ……」

 なんだか眠くなっちゃった。

 藍はまた優しく橙の髪を撫でてくれる。気持ちいい。
心地よさに橙がウトウトし始める。
いけないいけない、せっかく藍さまが遊びに来たのに、起きてなくっちゃ。

 けど、まぶたが重いや……。

 「寝てもいいぞ、起きるまで一緒にいてやるからな。」と藍さまが言う。
ふふ、だまされない。紫さまが呼びつけたらすぐどこか行っちゃうくせに。
橙が寝ている間に藍が帰ってしまわないように、橙は藍の手をきゅっと握り締めた。

 へへ、離さないんだから。

 絶対に、……何があっても……。

 藍さま……。





б




「………っ!」

 起きたのは、真っ暗なところ。
何かが腐ったような、お腹の底がひっくり返るくらいに酷い臭い。
生ぬるくて、真っ暗で、ベトベトしてて、体中の毛が全部逆立つくらいに気持ちが悪い。
心臓がバクバクと壊れたみたいに動いている。
耳の裏を酸っぱい血が流れて、ぐわんぐわんとうるさくって、眼が回るくらい橙を不安にさせる。

「ふーっ、ふーっ!」

 興奮してるのに、身体が動かない。
橙の身体は、小さくまとめられたみたいに縛られていて、身動き一つ取れない。
袋のなかに入れられているみたい。
ぐらぐらと身体を揺すると、ぐちゃぐちゃと嫌な音を立ててまわりも一緒になって動く。
ざわざわと胸騒ぎがする。得体の知れない寒気に、背筋がぞっとする。

 握り締めた手の中に、じっとりと汗をかく。
さっきの藍さまの感触じゃない。
よくおぼえていないけど、なんだかすっごく楽しい夢を見ていた気がした。

 藍さま……。

 藍の名前を思い浮かべると、急に寂しくて怖くて、気味が悪くて全身の血の気が引く。
嫌な汗が、全身から噴出して、どろどろと流れ出す。

 助けて、助けて!!

 橙はバタバタと身体を揺らす。
ちらちらと、裂け目から明かりが見える。

 外だ!

 橙は力を振り絞ってその裂け目を突き破る。
ぷちぷちと糸が切れ、バリバリと音を立て、繭から剥いでた蝶々みたいに橙は外に出た。
ふっと急に視界が開ける。

「え……。」

 ぶーん、ぶーんと何匹ものハエが、橙の周りを飛び回っている。
橙の、藍の洗ってくれた、お日様の匂いのする服が、血と、どろどろの鼻水みたいな粘液で、
べとべとになっている。
橙の血管を流れる血液が、全身そこらじゅう引っ掻いてまわる。

「ら、……らんさ、………」

 震えて歯がカチカチと音を立てる。バクバクとパンクしそうなくらい心臓が鼓動してるのに、
お腹の底が引きつって、息が出来ない。
何が何なのか、一つも分からない。

「ふっ、ふっ!ふぅっ!!」

 ばりばりと手足が痺れる。頭の中が、ぐちゃぐちゃになる。視界がスミの方から、真っ白になって行く。
目隠しをされ、猿轡をされた、藍さまの顔が見える。
藍さまの、お腹の上に橙はいた。
今までいたところは、藍さまのお腹の中だったんだ。
足とパンツに、ずるずるとした生ぬるくていやでいやでたまらない気持ち悪いものがまとわり付く。

「あっ、く!ふぅっ!!」

 涙でさらに視界がにじむ。
苦しい、息が出来ない、臭い、気持ち悪い。
目の前に見える映像を、脳に写った目の前の風景を、橙の中の何かが、
やすりで思いっきり擦るみたいに削って消していく。

 藍さま、藍さま、藍さま……

 心が、消えていく。
多分本能的に、全てを忘れようとしているんだと、橙には心のどこか隅っこで分かった。

 藍さま、藍さま、藍さま。

 全部消えていく。
生まれたところ、自分の名前も、紫さまの顔までもが薄らがかっている。

 藍さま、藍さま、藍さま!

 必死で橙は藍の名前を心の中で呼び続けた。
忘れない、藍さまのことだけは、絶対忘れない。
絶対に、今度は絶対に離さない。
けれど、心の中の藍の笑顔に、白い霧がかかる。

 お願い、お願い!イヤだ、藍さま!藍さま!

 藍の温かい手を握り締めるように、橙は藍の名前を心の中で呼び続ける。

 けれど、藍さまはいつの間にか橙を置いて一人どこかに行ってしまっていて、

 真っ暗で、寒くて、橙の大嫌いな怖いところに、一人取り残される。

 もう覚えているのは、「藍さま」という名前と、誰のか分からない温かい手の感触だけ。










fin




  • 意味が わから ない -- 名無しさん (2009-01-05 19:47:06)
  • これどういう状況なの? -- 名無しさん (2009-01-06 00:09:18)
  • 腹の中にいた… なら握りしめたままの手も一緒に? -- 名無しさん (2009-01-06 00:40:10)
  • スキマで胎内送りにされたのかと思った…… -- 名無しさん (2009-01-06 03:44:03)
  • ソウとか洋画ホラーのオマージュとみた -- 名無しさん (2009-06-14 00:06:32)
  • 夢であってくれと言っておこう -- 名無しさん (2009-06-17 23:34:32)
  • ……グロいか?
    -- 名無しさん (2010-12-02 17:33:05)
  • んー...
    グロ  かな? -- れみレミリ☆あうあう (2011-03-28 11:17:37)
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