師走である。師走と言えば年末。年末と言えば大掃除なのだ。
「よーし、ここはひとつ気合いを入れて頑張るか!」
  自称世界一の蒐集家霧雨魔理沙が、そう一念発起したのが30分前。
  そして、大方の予想を裏切ることなく、遅々として進まない作業に嫌気がさしたのが、たった今である。
「だーっ、ヤメだ止め! だいたい年末だからって掃除しなきゃならん決まりは無い!」
  早々とベットに寝転ぶと、誰に対してでもなく言い訳を始める魔理沙。
  典型的な『カタヅケラレネーゼ』である。


「ふぅ。なんかこう、パパッと片付くステキな方法は無いもんかな……」
  そうぼやきながら、中途半端に手を付けた所為か、いつにも増して不安定なガラクタ山を眺めていると、
  一時的退避所として新たに積み上げたガラクタ山の中に、懐かしいものを発見した。
「んぉ? こいつは……」
  早速手に取ってみると、それは【瞬き星型弾幕戦】で使用したスペルカードの様なものだった。
「おお、コイツはステキな方法を見つけたぜ!」
  問題に直面しても瞬く間に解決手段を獲得できるのは、日頃の行いが良いからだな……
  と勝手なことを思いながら、魔理沙はカードに魔力を送り込む。
「古の習わしに従ってエコエコアザ(呪文省略 ――チャージLv4 召喚『リトルデビル』!」
  詠唱が終わると同時に辺りには禍々しい気配が漂い、立ち込めた瘴気が一カ所に収束すると、
  某最後の幻想風黒魔術師みたいに帽子を目深にかぶった1人の悪魔が現れる。


『喚ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃ~ん♪ 出前迅速の(有)デリバリトルデビルサービスでぇーっす!』
「おう、ご苦労さん。早速だがこの部屋を綺麗に片づけくれ」
『了解しましたー。では、その前に契約条項の確認――をぉ? 魔理沙さんじゃないですか!?』
「ぅえっ! 何故それをー!?」
  召喚した悪魔に突然名前を呼ばれ狼狽える魔理沙。
  魔法使いにとって、名前は契約や詛いの材料になる重要な要素である。
  それがよりにもよって召還した悪魔に看破されたとなれば、魔法の徒としての沽券に関わる問題だ。
『あー。えっと、ほら、私ですヨー、私ー」
  そう言いながら悪魔が帽子を脱ぐと、特徴的な紅い髪とピコピコと動く小さなコウモリの翼が現れる。


「こ、小悪魔ぁー? ちょ、おま、何やってんの?」
  そこに居るのは紛れもなく紅魔館付属図書館の司書、通称:小悪魔その人であった(人じゃないけど)。
「いやー、図書館の仕事だけじゃ懐が心許なくて……。それで暇を見ては他の仕事も入れてあるんですよー。
  しっかし、あの『カットイン誰てめぇ』で『うふ、うふふ、うふふふふ』な『白服も着こなす』女の子が
  魔理沙さんだったなんて……。あんまりにも変わりすぎちゃってて、今の今まで気がつきませんでしたよぉ」
「だぁ! 昔の話をするのはヤメロ! それより召喚されたって事はあの契約は有効なんだな?」
  忘れ去りたい黒歴史をぐりぐりと掘り返す悪魔の所業に、魔理沙の顔は真っ赤に染まる。
「えーっと、Bプランのマイナー契約――無記名で任意の場所に召喚、基本的な指示を元に独自判断で作業、
  必要経費と魔力は召喚者持ち、任務の達成若しくは拘束時間切れで契約終了――ですね」
「ああ。だからさっき言った通りに始めてくれ」
「りょーかい。あ、そうだ。ついでですから図書館の本、持って帰っちゃってもいいですよね?」
「未だ読み終えてな「『うふ、うふふ、うふふふふ』」――図書館に行けばいつでも読めるもんな」 
  黒歴史を盾にステキな笑顔を浮かべる小悪魔に、魔理沙も(引きつった)笑顔でそう答えざるを得なかった。


「それじゃあ早速――」
  小悪魔はガラクタ山の上に飛び上がると、手にした錫杖を振り下ろす。
「『アースライトレ……』」
「ちょっとマテッ! お前はこの部屋を土台ごと吹っ飛ばす気か!?」
「だって、部屋を綺麗に片づけるんですよね? でしたらコレが一番手っ取り早いじゃないですか」
  トンでも無いことをサラッと述べる小悪魔に、魔理沙は薄ら寒いナニかを感じて叫んだ。
「莫迦かお前はっ! そう言うのは片づけるって言わな――いや、言う場合もあるな。いや、そうじゃなくって、
  だいたい、そんな事したら図書館の本だって無事じゃ済まないだろーが!?」
「大丈夫ですよぉ。館長の保護魔法がかかった本は、妹様でもない限り傷1つつけられませんから」
「そうか……じゃあ仕方ない。壁が欠けるが、総て無くなるよりはマシだ。喰らえ『マスタースp……』」
  目の前の災厄を積極的に吹き飛ばす為、魔理沙はミニ八卦炉で魔力を増幅する。――しかし、
「あ、いい感じの魔力ですね。それ、拝借します」
「なっ? しまった!!」
  しかし、せっかくの魔力も契約に基づいて小悪魔へとドレーンされてしまう。
「来た来たキター! 来ましたよー! いっきま~す、『アースライトレイ~BossPanic』!」
「ヤ、ヤメテくれーっ!!(泣」
  ヤヴァイ位に魔力を帯びた錫杖を一閃すると、辺りはまるで太陽が昇った様な閃光に包まれた。


『魔法実験暴走か?-魔法の森で謎の閃光!-』
  昨日、魔法の森で幾筋もの閃光が天に立ち上るのが目撃された。
  発生地点は魔砲使いとして有名な霧雨魔理沙の住居付近で、
  毎度毎度の魔法実験が原因として見られている。
  なお、霧雨邸は原型を留めない程度に崩壊、肝心の魔理沙氏も行方不明となっていて、
  実験は失敗したものとの見解が強い。
  また、現場付近で散乱した書物を回収する紅魔館司書が目撃されているが、
  事件との関連性は明らかになっていない。
                                 文々。新聞













  • まてぃww
    -- 名無しさん (2009-05-29 02:04:53)
  • ちょwww -- 名無しさん (2009-05-30 16:21:16)
  • 行方不明てwww -- 名無しさん (2009-07-03 07:48:04)
  • 魔理沙はどこいった!? -- 名無しさん (2010-08-24 03:37:31)
  • 消し飛んだに決まってるじゃな〜い -- 名無し (2012-01-02 20:29:27)
  • もはやいじめじゃねぇwww -- 名無しさん (2012-10-09 19:40:35)
  • わけがわからないよ -- 名無しさん (2014-05-26 12:29:51)
  • コメディの域だなwww -- 名無しさん (2014-12-30 20:34:43)
  • まぁ(どうでも)良い奴だったよ -- 名無しさん (2016-02-29 03:10:17)
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