234 名前が無い程度の能力 [sage] 2012/06/08(金) 20:09:44 ID:JM30dYcU0


「ねんがんの LIMOUSINEを てにいれたぞ!」

日中の強い日差しをさけつつも快適に移動できる手段を求めて数週間、
紫のスキマを介してついに紅魔館に高級車が納車された。

「これでやっと日傘生活からは開放されるわ、夏場は車内クーラーで快適よ」

黒光りする新車の光沢に恍惚感を覚えるレミリア。

「移動しながらでも本が読めるのはすばらしいわ」
「へぇ、今の外の世界の馬車って馬が無いんだ」
「乗り心地もよさそうですし、シートに座ったまま寝そうですよ」
「美鈴、貴方は起きてなさい……ところで誰がこの車運転するのかしら?」

いろいろな感想を抱く紅魔館の住人の中で、ふと咲夜が疑問を抱く。

「勿論私よ。 主人は私なのだから運転する権限は私にあるわ」
「えっ?」

胸を張るレミリア。 普通は使用人に運転させ、お偉いさんは快適な後ろに座って
何ぼな車種をどうして主であるレミリアが運転しなければならないのか?
咲夜はつい怪訝な眼差しでレミリアを見る。
しかしレミリアは意に介する事無く、

「よし決めたわ!! 他の皆に自慢する前に外の世界で運転の練習よ!! YOKOHAMAへ行くわ!」

その言葉に傍らで聞いていた紫は目をひん剥いた。

「それは無茶よ!! どノーマルのLIMOUSINEであの危険な街なんかチンタラ走ったら一瞬でオケラになるわ!?」
「それで? クルマ泥棒なんて私のカリスマの前にひれ伏すだけよ!」
「いやだから、外の世界にはGet Rewardsってルールが――」
「いいから!」
「……一回だけよ?」

最早何を言っても無駄だと判断した紫は、黙ってスキマを開きクルマごと紅魔館の住人を飲み込んだ。



そして翌日、気になってYOKOHAMAへとやってきた紫が見たものは、

「……バスが……馬鹿みたいに速いエアロゴテゴテの市営バスが……!!」

無残にもエンジンと色を剥ぎ取られて立ち往生するリムジンの前で、途方に暮れるおぜうの姿が!!

「BlueとYellowのツートンで山田KENZOってステッカーの貼ったバスがPASSINGしてきて……
 レースに負けたと思ったら勝利の見返りにエンジン持って行かれたのよぉ!!!」
「……だから言ったのに」
「ムキィィィィィ!!! 今度あったら覚えてなさいよおおおおおお!!」

今夜はCrimsonMoon、レミリアはこの時ほど誰かを殺してやりたいと思った事はなかった……。


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