「な、何よアレ………」

火柱は周囲の様子を屋上から観察していた、紫の視界にも入って来る。
爆発と同時に広がる凄まじい妖力、それは紫の計算していたものより遥かに強大だった。

「まさかこんな隠し玉を持っていたとは…………でも自爆してくれて助かったわ」

幸い、妖力の主はもういないので戦う事もない。
強大な敵との戦闘を回避出来た事に、紫はほっと胸を撫で下ろした。
ところがそこへ襲いかかる爆音と衝撃。
紫が慌てて下を覗くと、何やら煙が立ち昇っていた。

「藍!」
「はい」

紫の言葉を合図に、何処からともなく姿を現す藍。
そんな藍に、紫は下を指差して命を下した。

「侵入者よ。討ち取りなさい」
「分かりました」

するとフェンスを乗り越え、藍は一気に飛び降りる。

「………行こうとしてたのに呼び止めるから来たんですけど……」

そして紫に聞こえないように愚痴を呟くと、庭に着地し侵入者へと向かって行った。

「……ここまで来て負けて堪るもんですか」

一方で紫は、計画外の出来事の連続に焦っている。
死蝶の罠で文を裏切らせ神奈子を襲撃し、挑発してレミリアの陣地へと誘った。
更に夜の吸血鬼の攻撃も川の流れを一時的に変え、迂回して輝夜の陣地に向かうよう仕向けた。
さとりの陣営はなんか勝手に仲間割れし出したので、特に何もしていない。
兎に角これまで様々な手を打ち、戦闘を避け戦力を温存して来たのだ。
だがこいしの奇襲で計画は破綻してしまった。
更にはフランに壊滅させられる筈だった輝夜の陣営が、ここに来て予想外の動きを見せている。
結果的には各陣地を攻撃してくれているようだが、紫にとってはどうにも釈然としない状況だった。
そして今は何者かの襲撃を受けている。
先の読めない展開に、徐々に紫の中で不安が膨らみ始めていた。
その頃、下では侵入者と藍が戦っている。

「くっ…! 厄介なっ!」
「ふっふっふ、私の完璧な戦術はいかが?」

侵入者は永琳と燐もといてゐだった。
二人はそれぞれ接近戦と遠距離戦を分けて襲って来る。
てゐが藍を直接襲い、永琳が離れた所から矢を放つといった戦法だ。
反撃しようにも片方を狙えば、もう片方が隙を突いて来る。
藍は二人の攻撃をかわしながら、何とか反撃するチャンスを窺っていた。

「さすがに2対1では手一杯のようね」
「……だがお前達の攻撃もすべて防いでいる! お前達を紫様の所へは行かせんぞ!」
「それはどうかしらねぇ!」

すると永琳は突然空に向かって矢を放つ。
今がチャンス、そう判断した藍はてゐをぶん殴ると永琳に向かって行った。

「『仙狐思念』!」

放つ弾幕は巨大な球体。
それは一定距離で爆発し、大量の弾幕を炸裂させる。
しかし永琳は不敵な笑みを浮かべ、一気に妖力を解放した。

「『ライジングゲーム』!」

途端に発生する弾幕の壁。
二つの弾幕は勢いよくぶつかると、お互いに相殺し合って消滅した。
同時に藍の背後から、てゐが爪を剥き襲いかかる。

「隙あり!」
「なっ……しまっ…」

慌てて防ごうとするも、もう間に合わない。
喉元に迫る一撃を覚悟する藍。ところが

「ジャオォォォォォー!」
「ぐえっ」

突如飛び込んで来た美鈴の飛び蹴りが、てゐを思いっきり吹っ飛ばした。
そのままバーのカウンターに突っ込み棚にぶつかると、衝撃で倒れて来た棚の下敷きになる。
そこへ日傘を持ったレミリアが、ゆっくりと歩いて来てカウンター席に座った。

「レミリア、お前……」
「勘違いしないでもらえる? 貴方を倒すのはこの私よ」

そう言ってレミリアは日傘を閉じる。
そして美鈴に日傘を渡すと、藍に不敵に笑いかけた。

「あら、私を無視しないでほしいわねぇ」

そんな三人の前に立ち塞がる永琳。
その表情は形勢が逆転して尚、余裕の笑みを崩さない。

「確かに大天才の私を、先に倒しておきたいのは分かるわ。だって消耗した貴方では
 この天才的頭脳に追い付く事など夢のまた夢だもの。いえ、普段の状態ですでに月とすっぽん。
 私と互角に渡り合うには数億年早い。でも例えそれが1%未満の可能性でも、勝率が高い方に賭けるのは当然の事。
 そういう意味では貴方の選択は正しいと言えるわ。ただ貴方が藍と戦う事はない。
 何故ならこの天才的頭脳による、知的戦術の前に貴方は敗れ去…」
「お前のお喋りに付き合っている暇はない。邪魔だ。『スピア・ザ・グングニル』」

するとレミリアはスピア・ザ・グングニルを手に取り、永琳目掛けて投げ付ける。

「ジンギスカーン!」

スピア・ザ・グングニルは永琳に突き刺さると、そのまま永琳ごと何処かへ飛んで行ってしまった。

「……じゃあ始めようかしら。私と貴方の戦いを」
「…………ああ」
「ただ貴方との戦いを、くだらぬ消耗戦にはしたくない。一気に決める、いいわね?」
「前座にはしないと言う訳か……いいだろう」

そう言うとレミリアと藍は、お互いに身構える。
睨み合い凄まじい緊張感を放つ二人。
その様子を、美鈴はじっと見守っている。
やがてレミリアは床を蹴り、勢いよく藍に向かって飛んで行く。
それに応えるように、藍は飛んで来るレミリア目掛けて爪を振るった。

「!!」

だがレミリアは爪が当たる直前で、頭を抱えしゃがみ込んだ体制になり藍の下を取る。
咄嗟に藍はもう片方の腕で、レミリアの頭に爪を突き立てた。
攻撃は見事に命中し、帽子を真っ赤に染め上げる。
しかしレミリアは怯む事無く、藍の腹に手を当て魔力を撃ち出した。

「『ミゼラブルフェイト』!」
「うぐっ……がぁっ!」

レミリアの放った魔力は、無数の鎖となり藍の体を貫く。
藍は大量の血を吐き出すと、その場に崩れ落ち動かなくなった。

「吸血鬼が頭を手で覆う。武器となる牙と手を前に出し構え、弱点の心臓を敵からもっとも遠ざける攻防一体の体制よ。
 そこに攻撃をするなんて、いつもの貴方ならしないミス。紫と揉めたか……あるいは不信感故か」

そう言ってレミリアは、血の付き穴の開いた帽子を渡そうとする。
だがその渡す相手がもういない事を思い出すと、帽子を丸めポケットに突っ込んだ。

「お嬢様……」
「…………気にするな。それより美鈴、お前は此処に残れ。ここから先は奴と私の戦い、手出しは無用だ」
「……………分かりました。この紅 美鈴、お嬢様の戦いに水を差す者がいないようきっちり見張っておきます!」
「……頼もしいな」

レミリアはくすりと笑うと、紫を目指して階段を上がって行く。
その後ろ姿を、美鈴は敬礼して見送った。

「お嬢様、どうかご無事で」

輝夜チーム 八意 永琳
紫チーム 八雲 藍
リタイア





藍が下に降りて数秒後、屋上で策を練る紫の元にも難敵が襲いかかる。

「随分考えを巡らせてるみたいだけど………私にはすべて筒抜けよ」
「あら、地底の妖怪」

突如何処からか現れたさとりは、塔屋の上にふわふわと着地すると紫を睨みつけた。
その瞳は強い憤りで殺気に満ちている。
しかし紫はそんなものには動じず、さとりの方に振り向きにやりと笑った。

「今日はペットは連れてないの? それとも愛想尽かされちゃったとか?」
「…………本当によくもやってくれたわね。貴方の遊びに付き合ったせいで、地霊殿は滅茶苦茶よ。
 もう何もかもが嫌になったわ。…………でもせめて貴方を倒しておかないと、私の気が治まらない」
「逆恨みね。戦いに参加するって名乗り出たのは貴方じゃない」
「そう、逆恨み。でも戦う理由なんて、今はどうでもいいでしょ? これは戦争、他の王を退けるまで終わらない。
 理由なんてあってもなくても戦う事になるのよ。……だから貴方はここで眠りなさい。『恐怖催眠術』」

するとその場で、さとりはくるくると回り出す。
同時に発生するレーザーの予告線。
だが紫は落ち着いた様子で、微動だにせずレーザーを待ち構えた。

「攻撃の仕組みが分かっていれば、恐れる事もないわ」

やがて放出されるレーザー攻撃。
それはフェンスを焼き切り、床のコンクリートを砕く。
しかし紫は一歩横にずれ、被弾を避け反撃に移る。
ところがさとりは紫が攻撃を仕掛けるより先に、その軌道からずれ回避に動いた。

「『光と闇の網目』!」

遅れて紫が弾幕を放つも、すでにそこにはさとりはいない。

「無駄よ。私は誰よりも早く、弾幕の回避に動く事が出来る。心が読める私に、貴方の攻撃は当たらないわ」

これにはどうしたものかと考える紫。
だがその考えさえ見透かされている事を思い出すと、紫はやり方を変えようと境界を開こうとした。
ところがそこへ下から飛んで来る矢。
矢は境界を開こうと振り上げた、紫の左腕に突き刺さった。

「ッ!! な、何!? 矢ぁ!?」

思わぬ攻撃に、紫は一瞬取り乱す。
しかしすぐに持ち直すと、再び境界を開こうとした。

「うぐっ!?」

ところが突然、腕に走った痛みに紫は顔を強張らせる。
何事かと、慌てて矢の刺さった左腕の袖を引き千切る紫。
すると紫の左腕には、紫色の斑点がびっしりと出来ていた。

「なあっ!?」

更にその斑点は全身へと広がって行く。
途端に目の前の景色が歪み、まともに立っていられなくなる。
そのまま紫はバランスを崩すと、フェンスのなくなった屋上から落下して行った。

「…………………………」

まさかあの紫が、こんなにもあっさりと死ぬだろうか。
案外上手く着地して、そのまま逃げ出そうとしてるかもしれない。
さとりは紫の生死を確める為に、階下の庭を覗き込んだ。
ところがそこに紫の姿はない。
同時に背後から聞こえて来る轟音。
さとりは紫の考えに気付き、慌ててその場から逃げ出そうとする。
だが動くには少しばかり遅すぎた。

「………が」

背後から猛スピードで襲って来た列車。
それはさとりを轢き殺すと、空中に開いた隙間の中に消えていく。
そこへ紫は、開けた隙間からひょっこりと顔を出す。
その表情は膝を突き、荒い呼吸を繰り返しながらも勝ち誇っていた。

「…はぁ……はぁ……『ぶらり廃駅下車の旅』……心が読めなきゃ貴方の実力は、この程度ね……ううっ!」

しかし体中に広がった斑点は、紫を確実に蝕んでいく。
間違いなく原因はあの矢、そして放ったのは永琳。
恐らく境界を弄ったところで、どうにかなるような毒は使ってこないだろう。
だがまだレミリアが残っている。
時間もさとりと戦っているうちに夜になった。
状況は最悪だが、ここで逃げる訳にはいかない。

「私は……勝つのよ……。勝って……私の力を……幻想郷中に知らしめるのよ……」

紫は日傘を杖代わりに立ち上がると、これからやって来る最後の敵を待ち構えた。

さとりチーム 古明地 さとり
リタイア

チームリーダーのリタイアにつき
さとりチーム 敗退





再び訪れた夜の闇。
夜空に浮かぶ月に照らされて、レミリアは紫の前に姿を現す。

「あら、頭から血が出てるわよ。そんな状態で大丈夫なの?」
「貴方こそ随分いいセンスの化粧じゃない。足も震えてるし医者に診てもらった方がいいわよ」

お互いダメージこそ負っているものの、相手にそんな様子は見せられない。
凄まじい気を互いに放ち、相手を威圧する二人。
その光景は、まさにこの戦いの最後を飾るに相応しい緊迫したものだった。

「………そろそろ終わりにしましょうか」
「そうね。幻想郷最強がどちらか、ここではっきりさせましょう」
「やはり最後の相手は貴方だったわね。私の見た運命通りよ」
「すべては予定調和。こうなる事は始めから決まっていたのよ」

そして走り出す二人。
お互いに最大の一撃を叩き込もうと、力を集め始める。
幻想郷最強を決めるカリスマ戦争。その最終決戦の火蓋が今、切って落とされた。

「あ! 宇宙飛行士がハヤシライス食べてる!」
「ふん、そんな手に引っ掛かるとぐあぁ!」

そして終わった。
決まり手は紫が密かに回収していた咲夜のナイフによる、隙間を使った後ろからの不意打ちだ。

「……ふっ、殺し合いに……正々堂々も卑怯も……ないわ……。
 こんな……状態で……吸血鬼と正面からやり合う馬鹿が……はぁ……はぁ……何処にいるのよ……」

お世辞にもカッコいい勝ち方とは言えない。
しかし勝利は勝利だ。
紫はその場に仰向けに倒れると、月を仰ぎ見ながら高らかに勝利宣言をする。

「勝ったッ!『嘲りの遊戯』完!」

レミリアチーム レミリア・スカーレット
リタイア

チームリーダーのリタイアにつき
レミリアチーム 敗退

よって紫チームの優勝決定

「ウボァー!」

その直後、紫は大量の血を全身から撒き散らして絶命した。



































こうして戦いは終わりを迎え、参加者達は幻想郷に帰って来る。
戦争は仮想空間での話、現実には何の影響もないのだ。
だから戦いが終われば皆元通りになる、筈だった。
ところが紫の考えとは裏腹に、幻想郷ではあちらこちらで問題が発生してしまう。





あれから妹紅は、慧音に一日中付き纏うようになった。
自分のいない間に、慧音が死んでしまうのではないかと恐れての行動だ。
だが慧音からしてみれば、一日中付き纏われては堪ったもんじゃない。
何とか止めてくれないかと話してはいるが、妹紅の不安を取り除けない限りは暫く続きそうだ。
妹紅がそんな事なので、輝夜は戦う相手がいなくなって退屈していた。
そんな時、やって来たのがフランだ。
フランは輝夜に負けた事で、輝夜を一方的にライバルにしてしまったらしい。
最初のうちは輝夜も戦う相手が出来たと、ノリノリで勝負していた。
しかし疲れ知らずのフランは、輝夜がバテようが何だろうが夜明けまで戦い続ける。
それが毎日続くものだから、輝夜はすっかりやつれてしまった。
そして、その戦場となる永遠亭も被害は避けられない。
毎日のように半壊しては、修理する有様だ。
これには永琳も鈴仙も、げっそりと痩せ細ってしまう。
そのせいで、てゐの様子がおかしい事には誰も気が付かなかった。





それを知ってか知らずか、レミリア達もフランを止めようと必死になっている。
何せフランが飛び出す度に、紅魔館は大きな穴が開く破目に遭っているのだ。
ある時はパチュリーに雨を降らせたが、雲を吹き飛ばされ失敗。
またある時は4人掛かりで止めようとしたが、あっさり返り討ちにされてしまった。
それだけ監禁生活の長かったフランにとっては、輝夜との勝負もとい虐めは楽しみなのだろう。
だがレミリアには、紅魔館の破壊以上にフランの無事が心配だった。
相手は戦争中に、一度フランを倒している。
もし本気を出されてフランに何かあったらと思うと、レミリアは昼もゆっくり眠れない日々を過ごしていた。
その裏で小悪魔は、レミリアに本性を知られたのではないかと冷や冷やしている。
まさか仮想空間とは思わずに、パチュリーの死に本性を曝け出してしまったのが運の尽き。
瓦礫に埋もれていたので何処まで気付いてるのか分からないのが、余計小悪魔を不安にさせていた。
最近では必死にレミリアに媚び、こっそり何処まで知られたのかを探っている。
それがパチュリーには従者を取られたみたいで、ちょっと寂しく感じている事は誰も知らない。





一方で妖怪の山は大パニックになっていた。
文の裏切り行為が天狗達に知れて、裁判が開かれる事になったのだ。
結果、判決は有罪。
文は山を追われ、はぐれ天狗となった。
さすがにこればかりは椛にも、どうする事も出来ない。
裏切り者を庇えば、自分も裏切り者になる。
天狗の結束は絶対だった。
しかしその数日後、文は寒空の下一人朽ち果てているのを発見される。
助けを求めようにも取材であちらこちらに嫌われていた為、最終的にのたれ死んでしまったのだ。
それから数日経ったある日、椛は忽然と姿を消す。
家にも手掛かりは残されておらず、行方不明として捜索が続けられていた。
行方不明と言えば、にとりもあれから姿を見ないという。
どうも家の中に籠っているようなのだが、何を作っているのかはよく分かっていない。
また早苗は、あれからずっと二柱に付きっきりだ。
何かおかしなスイッチが入ってしまったらしく、宴会の時も二柱に自分の作った料理しか食べさせようとしない。
更には何も言わずに出かけると、家中ぐちゃぐちゃにして探し回る事も。
仕舞いには里で貰ったお供え物を、誰から貰ったのかと問い詰めて来る事まであった。
これから先の信仰集めに支障が出る気しかしなく、二柱は困り果てているそうだ。





また地底も荒れに荒れていた。
パルスィはすっかり落ち込んでしまい、自棄酒ばかり飲んでいる。
勇儀が訳を聞いても、振られたと言うだけで話をしてくれない。
何とか力になれないかと考えているが、そもそも戦争中に振られたとはどういう事なのか。
疑問ばかり増えて行き、一向に解決する気配がない事に勇儀は頭を悩ませている。
地霊殿ではあれからさとりが、こいしと一緒にいるようになった。
久しぶりに構ってくれるようになった姉に、こいしは素直に喜びたい。
だが藍の言葉を思い出すと、このままじゃいけない気がして心から喜べなかった。
そして頻繁に外に出掛けてしまうさとりに、ペット達も困り果てている。
食事などは元々まかせっきりなので何とかなるだろう。
しかし館主がいない為に、いざという時の対応が十分に取れないのだ。
空は自分が陣地を守りきれなかったから、さとりが出て行ってしまうんだと塞ぎ込んでいる。
燐もあれ以来、どうも様子がおかしい。
すでにペット達は群れのリーダーを失い、統率の取れていない状態だった。
だがペット達の間には、さとりが帰って来てもどうしようもないという意見が増えて来ている。
何故ならもう、さとりにペット達の声は届かないからだ。





ならば優勝した紫のチームはと言うと、こちらも状況はよろしくない。
衣玖はあの経験がトラウマになり、猫科の動物を極端に怖がるようになってしまった。
そうとは知らず天子が反応を面白がって、猫を連れて脅かすようになったのが運の尽き。
度重なる悪戯にストレスで胃を痛めてしまい、天界の病院に入院してしまったのだ。
これにはさすがにやり過ぎたと、天子も深く反省する。
しかし天子といるとトラウマを思い出してしまうようになり、衣玖とは会えないようになってしまった。
一方で妖夢は、自分の不注意のせいで幽々子を守れなかったと責任を感じてしまう。
そしてこのままではいけないと、武者修行の旅に出かけてしまった。
最初はこれも妖夢の為と幽々子は笑って送り出す。
だがいざ妖夢がいなくなって見ると、毎朝幽霊の様子を確めるぐらいしかやる事がない事に気付いてしまった。
何かしようと思っても、お嬢様な事もあってどうしたらいいのか分からない。
大好きな食事も毎日好きなだけ食べてたら、すぐに食料が底を尽いてしまった。
やがて幽々子はする事もなく、やりたい事も出来ない状況に陥る。
するとただ一日中ぼーっとして過ごすようになってしまった。
こうして幻想郷に溢れ返る戦争の間接的な爪痕。
それは紫の身にも降りかかっていた。

「……………………」

紫の屋敷の中は今、殺風景となっている。
それと言うのも藍が怒って出て行ってしまったのだ。
何でも戦争中に仮想世界の仕組みを解いてしまったらしく、こっそり記録を残しておこうと式を仕掛けておいたらしい。
そして後から式の記録を見て大激怒。
幻想郷最強を決める戦いの結末が騙し討ちとはカリスマ戦争が聞いて呆れると、橙を連れて家出してしまったのだ。
おかげで境界の管理の仕事は全部自分でやらなければならず、ゆっくり睡眠も取れない日が続いている。
霊夢に相談してみても、自業自得だと言われる始末。
こんな筈じゃなかったのに。
幻想郷最強決定おめでとうって、皆にお祝いされて崇められる筈だったのに。
そんな事を思いながら、紫は人知れず涙を流した。

「…………………ぐすん」


  • てゐとお燐入れ替わったままなのかw
    早くえーりんに言って戻して貰えよwwww -- 名無しさん (2011-03-19 22:09:46)
  • 仮想空間内での出来事は現実に影響しないからてゐとお燐は入れ替わってるのはおかしい気がする…… -- 名無しさん (2011-03-20 02:55:05)
  • 美鈴wジャオオオ言うなw -- 名無しさん (2011-03-20 09:40:15)
  • 結局白い羽の付いた少女ってなんだったんだろうか -- 名無しさん (2011-03-21 07:52:07)
  • チーム的には負けたけど美鈴勝ち残ってね? -- 名無しさん (2011-03-21 09:25:27)
  • カリスマは知らないけど、一番カッコよかったのは小悪魔じゃないかな
    不利な状況からの逆転、一貫した忠誠心、本性ギャップ燃え。
    あと何気に唯一のリアル死亡者の射命丸w自業自得だけどww -- 名無しさん (2011-03-21 11:00:37)
  • 結局幻月姉さんは何がしたかったんだ
    面白そうだから火を点けただけかもしれないが -- 名無しさん (2011-03-22 04:58:58)
  • 第二次前編読んでるのに↑の※見るまで幻月姉さんだと気付かなかったw -- 名無しさん (2011-03-23 17:46:16)
  • 美鈴が残ったのはなんかの伏線だと思ったんだけどな
    まあとりあえず小悪魔かっこいいよ小悪魔 -- 名無しさん (2011-04-09 18:46:38)
  • 神奈子。酷い扱いだなww一人で15人は殺せたんじゃないのか? -- 名無しさん (2011-05-23 03:19:58)
  • というか神奈子チーム全体の扱いが酷い
    あややは自業自得だがその敵を打とうとした椛も倒され、諏訪子様はかませ犬化
    さらにその敵を打とうとした早苗も自滅
    最後は低級悪魔にやられるという神奈子様
    カッパは知らん -- 名無しさん (2011-05-23 07:42:08)
  • 諏訪子様はもっとできる子
    しかしみんな小悪魔すげぇと言ってるが俺のこいしちゃんもすげーぞ! -- 名無しさん (2011-06-04 09:42:30)
  • 天才なのにバカっぽくて間抜けなえーりんがかわいいですwww -- 名無しさん (2011-06-05 12:54:22)
  • もこたんもう少し暴れてもなあ‥‥‥‥ -- 名無しさん (2011-06-13 03:14:41)
  • ども~。天使伝説見ましたよ~^^
    成程ねって感じで見てました。これからもss作るのなら応援してます!! -- 名無しさん (2011-06-18 11:11:10)
  • してますじゃなくてしますだね。 -- 名無しさん (2011-06-18 11:11:52)
  • 信仰が足りないなら俺が信仰してやるぜ -- 名無しさん (2011-06-18 13:35:33)
  • 俺も信仰する。ガチバトルなら神奈子は強すぎる。  -- 名無しさん (2011-06-23 00:15:42)
  • 俺も信仰して神奈子様になでなでしてもらいたい
    そして諏訪子様と神奈子様と早苗さんと4人でご飯喰うんだい! -- 名無しさん (2011-06-23 23:47:54)
  • 一方、ゆかりんは一人でご飯を食べていた


    神奈子は強すぎるからこそ罠にはまったって感じがするな -- 名無しさん (2011-06-24 00:45:44)
  • 暇つぶしみたいな感じで? -- 名無しさん (2011-06-24 01:23:28)
  • 意外と神奈子好き多い件……… -- 名無しさん (2011-06-25 19:40:40)

  • ( 柱)<意外とは失礼な、次の御柱祭に強制参加させてやろうか!


    にしても、こういうみんな出るSSで霊夢や魔理沙がいぢめられないのは珍しいな
    特に魔理沙 -- 名無しさん (2011-06-25 21:16:31)
  • ↑俺は2つ上と同一人物。
    なんか陰に隠れてるって言うか………まあ謝る。
    それと、魔理沙はもう死んでいる。(廃獄ララバイ参照) -- 名無しさん (2011-06-26 02:53:03)

  • ララバイとは世界違うべ


    同じならお燐も文も死んでるから「嘲りの遊戯」に参戦できないし -- ( 柱) (2011-06-26 07:22:06)
  • あれは幻月姉さんが言ってた平行世界でしょ
    たぶん -- 名無しさん (2011-06-26 08:10:00)
  • というか文はほぼ毎回…


    風の循環 妖怪に襲われて死亡
    廃獄ララバイ お燐に食われて死亡
    厄神様の通り道 救世主様(笑)に斬られて死亡
    ヴワル魔法図書館 秋姉妹に挟まれて死亡
    少女が見た日本の原風景 交通事故で生死不明
    嘲りの遊戯(これ) 幽々子の死蝶で死亡
    いざ倒れ逝くその時まで 幻月姉さんに処分されて死亡 -- 名無しさん (2011-06-26 10:02:49)
  • ↑好きな娘ほど犯したくなるものだ
    この作者もそうなのだろう
    さすが幻想郷最速(寿命が)! -- 名無しさん (2011-06-26 10:33:47)
  • ↑文はネタなんじゃね? -- 名無しさん (2011-06-26 22:28:26)
  • でもさ、神奈子ってすごいよな。
    レミリアだとカリスマブレイクしてるけどさ。 -- 名無しさん (2011-07-01 16:39:03)
  • なあ皆。神奈子が信仰減ると弱体化するのは分かるが、
    諏訪子はどうなんだ? -- 名無しさん (2011-07-05 16:45:59)
  • 諏訪子もだろ
    つーことで信仰信仰っと -- 名無しさん (2011-07-05 20:57:03)
  • 輝夜が最強すぐる -- 名無しさん (2011-07-05 22:55:26)
  • ↑だよな。スケールが違いすぎるね。 -- 名無しさん (2011-07-06 00:13:01)
  • 輝夜>>>>>紫≧レミリア≧フラン=神奈子>諏訪子>>>その他
    この話の中ではこんな感じか -- 名無しさん (2011-07-06 06:57:58)
  • 永琳は本気出してないよね~^^
    ……本気出したら幻想郷最強じゃね? -- 名無しさん (2011-07-06 15:29:28)
  • ある意味厄介だな
    えーりんが強いのは確かだがこの話ではレミリアに不意打ちされて退場だからちょっとよくわからん
    ただ輝夜のあの攻撃受けたらえーりんも無事ではないはず -- 名無しさん (2011-07-06 23:31:50)
  • 永琳は策を巡らせるタイプだから
    本気出してないというより単に城攻めに向いてないだけかと
    いつも通り不死ならまた話も違ったんだろうが -- 名無しさん (2011-07-07 03:39:14)
  • でもさ、永琳>輝夜 は合ってるしな。多分それ以上の
    スケールの攻撃ができたはず。 -- 名無しさん (2011-07-07 14:00:33)
  • えーりんはむしろ自分の天才ぶりをアホのように
    主張したがったから負けた。ウダウダいわずに力攻めオンリーで
    行けばよかった、と思ってる。 -- 名無しさん (2011-07-08 10:06:12)
  • だよな。結局永琳は段違いの強さだな~。
    ……豊姫と永琳でも永琳勝つんじゃね?
    豊姫は紫の上位変換だしなぁ -- 名無しさん (2011-07-08 15:56:28)
  • 間違えた。上位互換だった -- 名無しさん (2011-07-08 15:59:26)
  • 永琳に互角に戦えるのは輝夜と全盛期の神奈子様ぐらいなんじゃないか? -- 名無しさん (2011-07-08 22:26:47)
  • 神奈子様は信仰次第で勝てるかも。輝夜は勝てないんじゃないか?
    互角ならあるかもしれないけど -- 名無しさん (2011-07-09 13:21:28)
  • ↑幻想郷最強って言ったら永琳か信仰max神奈子辺りじゃね?
    何が言いたいかというと同じ意見って事。 -- 名無しさん (2011-07-14 02:13:21)
  • 幻月はわざと妖怪たち同士で戦うよう仕向けて、後でシコリが残るのを見てニヤニヤしたかったんだろう。そういう悪魔っているし
    -- 名無しさん (2011-09-21 00:01:55)
  • 面白かった。神奈子チームの扱いの酷さには泣けた -- 名無しさん (2012-05-26 19:53:50)
  • 風チーム以上に分裂してる地霊チームへの言及が全く無い辺り
    地霊組についてはみんなそういう認識なんだという事はよく分かった -- 名無しさん (2012-06-05 03:37:25)
  • 幻月「馬鹿な奴らだ…」 -- 名無しさん (2012-06-30 23:42:19)
  • 小悪魔さんのジョブ:ギャンブラーと言わんばかりの小道具には惚れた -- 名無しさん (2014-07-02 01:00:18)
  • これはチーム戦じゃなく個人戦だったら美鈴が優勝…になるのか? -- 名無しさん (2014-08-03 00:43:42)
名前:
コメント:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2014年08月03日 00:43