※このSSには独自の設定やキャラの崩壊、グロテスクな表現が含まれています。そういった展開が苦手な方はご注意ください。



































ああ、忙しい忙しい。
まったく、司書も楽じゃないわぁ。
…………あん? 誰? 何か用?
私? 私の名前は…………って教えるかよ! ヴァーカ!!
私の本名を知っていいのは偉大なる魔女、パチュリー・ノーレッジ様だけよ!
そうねぇ、じゃあ今日はパチュリー様の素晴らしさについてたっぷり話しましょうか。
まず何時如何なる時でも冷静さを保っていられる強固な精神!
次に幻想郷最高レベルに違いない膨大な知識と、それを有効に扱える知能!
そしてそれらを安売りしない大物っぷり!
どこぞのお子ちゃま吸血鬼とは格が違…

「小悪魔~、ちょっとこっち来なさ~い」

ああ! パチュリー様が呼んでる!

「は~い、今行きますよ~」

私の生涯の9割の幸福はパチュリー様にお仕えしているこの時間に詰まっていると言っても過言ではない。
でももし『ありがとう、小悪魔』なんて言われた日には私は……。
やべっ、涎出て来た。

「何の御用でしょうか?」

あら、こりゃまた随分大きな魔法陣ですこと。
魔導書も幾つも開いてるし、余程の高等魔術の発動陣と見たわ。
さすがはパチュリー様。

「……魔導書が足りないのよ」
「魔導書が、ですか?」
「此処にはないみたいだから、きっと魔理沙が持って行った本の中にあるわ。返してもらって来て」

チッ! あのゴキブリ女か!
あいつパチュリー様に馴れ馴れしくしやがってムカつくのよねぇ……。
丁度いいわ。人間程度がパチュリー様に纏わりつくと、どうなるか教えてあげる。

「任せてください! 私がすぐに回収して来ます!」
「頼んだわよ」

ふふふ、ここで華麗に仕事をこなし念願のパチュリー様の『ありがとう』をいただくわよ!
あ~、興奮してきたー。
…………やべっ、また涎が。













よ~し、着いたわよ~。戦慄ゴキブリ館!
今にも蟲が飛び出して来そうな、文句なしのゴミ屋敷ね。
とりあえず火でも放っとこうか。
その方が世の為、人の為だろうし。
焼死したらラッキーぐらいの気持ちでね!

「うおい! 人ん家に何する気だ!」

チッ、見つかったか。
仕方ない。今日のところは紳士的に応対しますか。

「本日は貸し出した魔導書の回収に来ました。大人しく平和的に返却してください」
「平和的にって、人ん家に火を点けようとしてた奴が言うな。後、返却は私が死んだらな。
 もっともパチュリーがどうしてもって言いに来てくれたら私も考えなくも…」

様をつけろよ盗人野郎!!
OK。どうやら魔界から持って来ていた、リボルバーを使う時が来たようね。

「そうですか。平和的な解決は、お望みでないと。困りましたねぇ」
「い、いやぁ奇遇だなぁ。私も平和的な話し合いで解決したいと思ってたところだぜ」
「あはは~、そうですか? 魔理沙さんが話の通じる方でよかった~」
「あ、ああ。だ、だからこめかみの拳銃を下ろしてくれると助かるなぁ」

ふぅ、余計な手間かけさせやがって。
これだからゴキブリは。

「それじゃあ返却してください」
「…………え~と、なんて本だっけ?」
「『信仰による魔法と科学の発展』です」
「………ああ、ちょっと待っててくれ」

ああ~、時間かかりそう。
やっぱり火を点けた方がよかったかなぁ。
どうせ魔導書は燃えないし。
いっそ今からでも点けちゃおっか。
あ、戻って来た。

「悪い、アリスに貸してたわ」

おいィィィ!?
なんで借りた物を貸す!?
借りた物は返すのがマナーだろうがぁ!

「代わりにエビフライでなんとかならないか? 魅魔様へのお供え物でいっぱいあるんだ」

なる訳ないでしょ!
なんでエビフライなの!?
せめてマジックアイテムにしなさいよ!
そもそも供えたエビフライなんて食えるか!
油で酷い事になってるわ!

「頼むよ、10本で」
「ダメですよ。……分かりました。私が直接アリスさんに返してもらいます」

このままこいつと小競り合ってても埒が明かないわ。
それならアリスに話し付けた方が早く済むってもんよ。

「そうか。じゃあ私のサイン付き帽子を持って行くといい」

いや、いらないと思う。

「きっとツンデレなアリスの事だ。なんだかんだで気にいる筈さ」

いや、アリスツンデレじゃないから。
意外かもしれないけど、あんたになんか興味ないから。

「じゃあな、頑張れよ」

誰のせいだと思ってやがる…。





はぁ……。
まったくゴキブリのせいで面倒が増えたわ。
早く帰らないとパチュリー様が待ってるというのに。
幸いアリスの家は近場だから、まだマシだけど。

「ごめんくださ~い」
「はいはい………あら、パチュリーの付き人じゃない。何か用? 次のお茶会にはまだ早い筈だけど」
「魔理沙さんに借りた魔導書を返してもらいに来ました。あれはパチュリー様の物です」
「そんな事だろうと思ったわ」

思ってたなら最初から持って来なさいよ。
まったく気が利かない奴ねぇ。
これだから甘やかされて育った温室育ちは。
同じ都会派とは思えないわ。

「生憎だけど魔導書はないわ。にとりに貸してしまったもの」

馬鹿野郎ぉ! アリス! だからなんで借りた物を貸す!? ふざけるなあああ!!

「眠りネズミの付き人が三月ウサギの所からやって来た、次に向かうは帽子屋の許でしょう。
 返却は急ぎの用? ならにとりの所へ行ってみるといいわ」
「分かりました」

ああ~、なんか嫌な予感がするー。
明確に何とは言わないけど、もの凄く嫌な予感がするー。
あ、帽子屋といえば帽子もらってたんだ。
いらないだろうけど渡しとくか。

「あの、これ魔理沙さんからアリスさんへ」
「へぇ~、丁度よかったわ」

丁度よかった?
こんな帽子、もらっても喜ばないと思ってたのに。
あ、あれ?
受け取った途端に鋏でチョキチョキと…。

「黒い布が欲しかったところなのよ」

………………魔理沙、確かに気にいってはくれたみたいよ。

「そうね。貴方にはお詫びも兼ねて何か渡さないと」
「えー、いいですよー」
「遠慮しないで」

いや、遠慮じゃないから。
なんか碌でもない物を渡される気がするのよ。
こういう時の勘は大体当たるんだから。
………うわぁ、見るからに怪しいデッカイ袋。

「それ、何ですか?」
「庭に落ちてた桜の花びらよ」
「桜の花びら!?」
「ハードなら一個で1500+スペルカードボーナス回数×200、桜点が入るわ」

それを渡されて、どうしろって言うんだぁー!
点数が入る事を除けば、ただの庭掃除のゴミじゃない!
当て付け!? ゴキブリの帽子を持って来た私への当て付けなの!?

「………はぁ、ありがとうございます」
「もう一袋あるわよ」
「ええー!?」
「それじゃあ私は仕上げなきゃいけない物があるから」

な、何よこれ。
私が……私が何をしたって言うんだ。
………………しかも重いし。

「あ! そこの貴方! ちょっと助けて!」

そもそもなんで本を返してもらう筈が、こんな物を渡されてるのよ。
……何処かに捨てちゃおっかなぁ。

「ね、ねぇ! お願い! 助けてよ!」

でも近場に捨てるとマズいしなぁ。
だからって山に捨てると天狗が五月蝿いし。

「ねぇってば! 待って! 行かないで! 一人にしないで!」

はぁ、どうしようこれ。













…………結局、山まで持って来てしまった。
本当にどうしたらいいのよ、こんな物。
………まぁ、とりあえず魔導書を優先しましょ。
あんまりパチュリー様を待たせては悪いわ。

「すみませ~ん」
「ん? どちら様~?」

現れたわね、超妖怪弾頭。
アリスの話じゃ今、魔導書を持ってるのはこいつの筈よ。
でも嫌な予感しかしないのよねー。

「魔導書を返してほしいのですが」
「ああ、魔理沙とアリスの知り合いかい? 悪いねぇ、今はちょっとないんだ」

畜生おおおおぉぉぉぉぉ!!
どうせこんな展開じゃないかと、薄々感じてたわよ!
それで!? 次は何処に行けばいいの!?

「実は文が持ってっちゃってさぁ、なかなか返って来ないんだよ」

よりによって鴉天狗かい…。
見つけんの面倒臭そうね。
嫌になるわ。

「ところでさぁ、あの本を元に快適な布団を作ろうと思ってるんだ」

はぁ?
なんで布団?
何の本か分かってんの?

「それで中に信仰アイテムを詰めて癒し効果を狙ったんだ。でもどうも効き目が短くてねぇ」

へぇ、信仰アイテムにそんな使い道があったとはねぇ。
根本的に間違ってる気がしてならないけど、どうでもいいわ。
河童だし。

「なんかいい物ないかなぁ」

よし、売り捌いてしまえ。
どうせ捨て場所に困ってたところよ。

「桜の花びらなんてどうですか?」
「いいかもねぇ! やってみよう!」
「はぁ」
「という訳でこちらが詰めてみた物です」
「仕事速っ!」

なんか納得のいかないスピードで完成したけど、もうどうでもいいわ。
河童だし。

「それじゃあ早速………ウェェーイ!」
「………………」
「………………………」
「……どうですか?」
「うひょおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

え?

「んぎもっぢいいいいいいいいぃぃぃぃぃ!! これはああああああぁぁぁぁぁぁ!!
 布団界に革命をおおおおぉぉぉぉぉ!! 引き起こすよおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」

…………とりあえず落ち着こうか。

「お礼といっちゃなんだけどおおおおぉぉぉぉぉ!! そこの光る尻子玉持ってっていいよおおおおおおぉぉぉぉぉ!!
 あひいいいいいいいぃぃぃぃぃ!! 最高おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

……なんかまた変な物もらったわ。
私は本を返してほしいだけなんだけど。
あと、あんたはすぐに病院に行け。





天狗ー? 天狗は何処ー?
こういうのって探してる時に限って、姿を現さないものなのよねー。
普段はいなくていい時に出て来るくせに。
本当、空気読めないわよねぇ。
ん? ある意味読んでるのか? まぁいいや。
それにしても光る尻子玉って何なのよ。
なんで光ってんの。
訳分かんない。

「私、参上!」
「ついでに私も参上!」

あ、文だ。
……一緒にいるのは誰?

「何か光る物を見つけたのでつい!」
「同じく!」

よく分かんないけどラッキー。
早速、本を返してもらうわ。
で、一緒にいるのは誰?

「魔導書を返して」
「ふ~ん、にとりがねぇ。分かった、と言いたいところだけど……山の神社においてきちゃったのよ」

やっぱりねー。

「あはははは~、そうですか~」
「そうなのよ~、あはははは~」
「あはははは~」
「あはははは~」
「秋姉妹に挟まれて死ねえええぇぇぇー!!」
「えええええぇぇー!?」

運が悪かったな。
今の私は機嫌が悪い。
そしてそこに秋姉妹が微妙な間隔で立っている。
恨むなら己の不運と本の扱いの悪さを恨むんだな。

「うぎゃあああ!!」
「え!? な、何が起こったのーっ!? ねっ、姉さーん!!」
「私達はー! まんまとーっ! 利用されたのよーっ!!」
「し、しまった……秋姉妹にはまった! ああああ……頭が割れるぅ……頭が割れるよぉ……痛いいいいいぃぃぃぃ!!
 あああああああああああ!! 私が! 私が何をしたああああああぁぁぁー!!」

………………………汚ねぇ花火だ。

「あ、文ああああ!! だから『この取材が終わったら椛に告白するんだ』は危ないって言ったのに!」
「つーか、あんた誰だ!!」
「えっ」







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