冥界の庭を掃除していた庭師に、冥界なら涼しいだろうと涼みに来たが
冥界も梅雨でアテのハズレた博麗の巫女が尋ねた。

「あいかわらずバカみたいにだだっ広い庭ね。
 梅雨時でこうもジメジメした庭を延々と掃除していたら、そのうちあんたまでカビが生えちゃうんじゃないの?
 ところであんた、魔理沙見てない?最近、魔理沙と連絡がとれないのよ」

「あら、お褒めの言葉ありがとう。
 大丈夫。わたしは半分生きているし、全部死んでいる主ははじめっから腐っているのがわかりきってるから。
 魔理沙?さあ。たしかに最近見てないわね。
 どうせ、ジメジメした季節だけにキノコと戯れるので忙しいんでしょ。」

「それもそうね。」

 つまらないこと聞いてごめん。そう言って博麗の巫女は自分の神社へ帰っていった。





 図書館にいた動かない大図書館に、ヤボ用で紅魔館を訪れていた博麗の巫女が尋ねた。

「あいかわらず辛気臭いところに閉じこもってるのね。
 あんまり閉じこもってると太るわよ?
 ところであんた、魔理沙見てない?最近、魔理沙と連絡がとれないのよ」

「あら、お褒めの言葉ありがとう。
 大丈夫、本を扱うのは思った以上に重労働だから。
 魔理沙?さあ。たしかに最近見てないわね。
 どうせ、私から盗んだ本を夢中で読みふけっているんでしょ。」

「それもそうね。」

 つまらないこと聞いてごめん。そう言って博麗の巫女は壁を破って自分の神社へ帰っていった。





 人形劇の公演を終えたばかりの七色の魔法使いに、たまたまそばを通りかかった博麗の巫女が尋ねた。

「あら。公演お疲れ様。
 今日はカンカン照りでこんなに暑いっていうのに、思っていたよりずいぶん盛況みたいね。
 ところであんた、魔理沙見てない?最近、魔理沙と連絡がとれないのよ」

「あら、お褒めの言葉ありがとう。
 魔理沙?さあ。たしかに最近見てないわね。
 どうせ、自分で思いついたくだらない研究に没頭してるんでしょ。」

「それもそうね。」

 つまらないこと聞いてごめん。そう言って博麗の巫女は自分の神社へ帰っていった。





 収穫祭を最高にエンジョイしていた秋の神に、祭りのおこぼれの食料を貰いに来た博麗の巫女が尋ねた。

「うーん、あいかわらず芋くさい女ね。芋は美味しいからいいんだけど。
 あんまり毎年毎年秋を満喫しすぎると、そのうちあんたまで落ち葉みたいに枯れちゃうわよ。
 ところであんた、魔理沙見てない?最近、魔理沙と連絡がとれないのよ」

「あら、お褒めの言葉ありがとう。
 私は神であんたは人間。あんたの方が先に枯れるのは明白よ。
 魔理沙?さあ。たしかに最近見てないわね。
 どうせ、自慢の八卦炉の高火力で盛大な焚き火をするのに忙しいんでしょ。」

「それもそうね。」

 つまらないこと聞いてごめん。そう言って博麗の巫女は自分の神社へ帰っていった。





 山の上の神社の巫女に、様子をのぞきに来た博麗の巫女が尋ねた。

「こんな雪の多い冬でも、あいかわらず盛況でうらやましいこと。
 あんたんところのちゃちい分社、雪かきサボったら重みで潰れちゃったわよ。
 ついでにあんたの神社も潰れちゃえばいいのに。
 ところであんた、魔理沙見てない?最近、魔理沙と連絡がとれないのよ」

「あら、お褒めの言葉ありがとうございます。
 うちは潰れませんし潰れてもすぐ直しに来てくれる信者がいっぱいいますから大して問題ないんですよ。
 魔理沙さん?さあ。たしかに最近見てないですね。
 どうせ、温泉につかりながら核の力を奪って利用するばかげた計画でも練っているんでしょう。」

「それもそうね。」

 つまらないこと聞いてごめん。そう言って博麗の巫女は自分の神社へ帰っていった。





 幻想郷一面が桜色に染まる中、なお桜が咲いていない魔法の森の霧雨邸に
博麗の巫女が訪ねた。

「ちょっと魔理沙、ずいぶん顔を見てない気がするけど、どうかしたの?
 去年の花見で飲ませたお酒の代金、まだもらってないと思うんだけど。」

 返事しないなら勝手に入って持ってくわよ。そう言って博麗の巫女は魔理沙の家へ入っていった。 





 埃まみれの霧雨邸内部を訪ねた博麗の巫女が見たものは
壁に背中をもたせかけ、手足を投げ出して座り込んだ姿勢で動かなくなった一人の魔法使いだった。

「ずいぶん長いこと連絡がとれないと思ったら。
 あんた、いったいいつからこんなところでくさってたのよ?」

 顔はカラカラに乾いていたもののかろうじて原型はとどめていたが
手足は既に大部分が白骨化し、身につけていたものはスカートも帽子もエプロンもぼろぼろに風化していた。
口の周りには血を吐いたのか赤黒いものがこびりついており、ボロボロのエプロンにも同じような赤黒い跡が点々とついていた。
腹の真ん中付近のすこし左寄りのところが丸く抉れていて、そこから下と太もも、軽く開いた足の間の床にも染みができていた。
傍らには輝きと主を失った八卦炉と、傾き歪んだ金属製の大鍋が転がっている。

「ひょっとして、去年の夏頃からずっとここでこんなことしてたの?
 おおかた、実験にでも失敗したのかしらね。」

 恐らくは自分の思った通り、去年の春から夏頃に、実験に失敗してこの子は帰らぬ人となったのだろう。
最近顔を見てないね。そう言われながらもこの世を去ったことを誰にも気づかれることなく
誰ひとりとして訪れることのないこの静かな家で、一年近くもの時を一人きりで過ごしていたのだ。
そう考えると、久しぶりの再開に、つい他愛もない会話をするように彼女に訊いてみたくなってしまう。
最近どう。いままで何してたのよ。と。



 だがもちろん、今は亡きこの家の主からの返事はない。
生前あれだけやかましく活発だった彼女でも、死人に口なし、まさに聞くだけ無駄だということだ。



 つまらないこと聞いてごめんね。

 さようなら、魔理沙。

 かつての友への別れの一滴をその場に残し、博麗の巫女は自分の神社へ帰っていった。





  • 魔理沙ネコのように気紛れだからいなくなっても「まぁ魔理沙だし」って感じで気にとめなかったんだね
    てか霊夢さん、そのご遺体なんとかしてあげて
    放置っすか? -- 名無しさん (2010-05-07 22:05:19)
  • 霊夢何然り気無く図書館の壁破ってんだ…… -- 名無しさん (2010-05-07 22:22:37)
  • 別れの一滴、が涙を意味するなら、書かれてないだけで処理したか
    事実を受け入れたくなかったか、そういう感じにも受け取れる。 -- 名無しさん (2010-05-07 23:52:01)
  • 切ないけど、実際魔理沙の死に様ってこんな感じなんだろうなあ・・・ -- 名無しさん (2010-05-15 08:13:43)
  • なんだろうこの文章
    読んでてイライラする -- 名無しさん (2010-05-15 14:10:31)
  • 霊夢になんかあれば誰かしらが気付くだろうけど、魔理沙じゃこんなだろうね。 -- 名無しさん (2010-05-23 01:01:37)
  • 一部白骨化とはいえ、蛆とか腐敗臭、液で壮絶な状態になってると思うけどな -- 名無しさん (2010-05-23 19:19:22)
  • 一年も経ったら完全に白骨化してるでしょ
    これは大鍋でしていた実験が暴発して腹を吹き飛ばされたって事で良いのかな? -- 名無しさん (2010-09-04 20:08:36)
  • 魔理沙の死体どうするんだろう… -- 見た目は子供、頭脳はおっさん (2014-10-05 11:34:31)
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