61

「兎に角! この究極の薬の力で、ぎゃふんと言わせてやる!」

そう言うと、てゐは豪快に殴りかかって来た。
咄嗟にかわすエリーとくるみだったが、その凄まじい拳圧は壁にひびを入れる。
更にてゐは一気に加速し、飛んでいるくるみを素手で捕まえた。

「うぐっ………ぎ…ああああああああああ!!」
「く、くるみ!」

てゐが力を加えているのか、苦しそうに悲鳴を上げるくるみ。
するとてゐはエリーに対して、ある提案を持ちかけて来た。

「さて、このまま私が手を握ればどうなるか……分かるよね? でも私は他の連中と違って知的なんだ。
 だから貴方達にチャンスをあげる。一体誰に頼まれて此処に来た。正直に言えば二人とも見逃してあげてもいいよ」
「……え…」
「隠しても為にならないよ? 目的は幽香、さっきそう言ったじゃん。
 合成妖怪を連れ出して何か企んでるのは、一体何処のどいつだって訊いてるんだよ」
「………何を言ってるのか、よく分からないわ」
「……あ、そう」
「!! ぎゃあああああああああああ!!」
「くるみいぃぃ!!」

どうやらてゐは、裏に誰かいると思い込んでいるらしい。
勿論そんな者いないが、このままではくるみが殺されてしまう。
エリーは悩んだ挙句、ある方法に打って出た。

「………分かったわ、正直に言う」
「うんうん、それでいい。頭のいい奴は話が通じて助かるよ」
「……でも私達は直接本人には会ってないの。だから名前も特徴も分からないわ」
「うん? それじゃあ手紙か何かで?」
「………ええ、そうよ。手紙が送られて来て………私達は立場の弱い妖怪なの! だから脅されて仕方なく……」
「そっかぁ、同情するよ。私も昔はお師匠様に無理難題をねぇ………」

そのままてゐは愚痴をこぼし始める。
その隙にくるみの許へ急ぐエリー。そして、

「ていっ!」
「痛っ!」

思いっきりてゐの指に鎌を振り下ろした。
薬で強化されたてゐの指には、鎌ですら突き刺さらない。
だが痛みで手を開いた隙に、くるみを脱出させる事は出来た。

「くっ……騙したな!」
「嘘も方便よ!」
「ううう……嘘は私の十八番なのにぃ!」

そう言っててゐは地団太を踏み、床を大きく揺らす。
そして腕を振り上げると、エリー目掛けて振り下ろして来た。
それをギリギリでかわすエリー、しかし拳圧で吹き飛ばされてしまう。

「もらったぁ!」

そこへ飛んで来る、てゐの拳。
あわや絶体絶命と思った次の瞬間、突然てゐは動きを止める。

「し、しまった……薬の効果が…」

そのまま風船のように萎んでいき、元の姿に戻るてゐ。
するとその場に仰向けに倒れ、ガクガクと痙攣し出した。

「……あう……くしゅり…くしゅりが……」

どうやら薬が切れ、禁断症状が出始めたようだ。
最早、戦う力も残されていないだろう。
そう判断しエリーとくるみは、てゐを掴むと横穴に放り投げ途中下車させた。

「これで邪魔者はいなくなったし、残すは上層部だけね」
「あいつは確かに幽香ちゃんの事を知っていた。恐らくこの先で……」

上を見ても、まだまだ続く漆黒の闇。
この闇の向こうに幽香が待っているかもしれない。
二人は希望と不安を胸に、この足場が上層部へ辿り着くのを待った。

※サイコロを二回振り、出た数くるみのMGを減らす。






62

エリーは鎌を振り回しくるみは爪で斬り裂き、それぞれ赤子を潰していく。
その度に赤子達は断末魔の悲鳴を上げ、弾け飛んで死んでいった。

「……うぅ……頭がおかしくなりそう…」
「しっかりして、これも幽香ちゃんを助け出す為よ」

やがて思った以上にダメージを受け慌てたのか、レティは身震いをして喋り出す。

「痛い痛い! いいわ、分かったわよ! そこまでやるって言うなら、こっちにも考えがあるわ。
 一か八かだけど………う…うう………嫌ああああああああああああああああ!!」

そう言うとレティの体は変化し始めた。
赤子達は個々の形を失い混ざり出し、まるで巨大な雲のような肉塊になる。
肉塊には巨大な口と黒い触手がついており、その体は不気味に宙に浮き始めた。

「やっとやる気を出したのね」
「…………」
「……あら?」
「…………喋るのも面倒臭い」
「さっきより酷くなってる!?」

浮いた状態のままで何もして来ないレティ。
するとエリーは待ち切れずに鎌を投げ、レティに攻撃を仕掛けた。
ところが鎌は当たる直前で凍り付き、そのまま床に落ちる。

「……どういう事?」
「あいつの体から、もの凄い冷気が出てるみたい。あれじゃ弾幕も効かないわ」
「何? それじゃ倒せないって事!?」
「そうなるわ。でも扉ならどうにか出来るかも」

そう言ってくるみは扉の方を向くと、妖力を具現化して爆弾を作り出した。
しかし予想以上に時間がかかった為か、くるみの体は凍り付き上手く動けない。

「…ああぁ……どうしよう…」
「くるみ危ない!」

このままでは爆風から逃げ切れない、そう判断したエリーはくるみを抱え走り出した。
だが一歩遅く、爆発の熱風がエリーの背中を襲う。

「ううっ!」
「エリー!!」

しかしエリーはそのまま爆発で吹き飛ばした扉の方へ行き、くるみと共に部屋を出る。
そんな二人の前に姿を現したのは、まるで実験室のような部屋だった。
部屋中に怪しげな装置が並べられており、用途は分からないが普通の医療機器ではない事だけははっきり分かる。

「……一体……何なのよ、この屋敷は…」
「エリー大丈夫? あの換気口へはどの道戻れないし、少し此処で休んでいく?」
「平気よ、それより先へ進みましょ」

くるみの言う通り、あの換気口はもう使えない。
レティも追い掛けて来る様子はないので、此処に暫くいても仕方ないだろう。
だが何時、別の追手が来るかも分からない場所でゆっくりはしてられない。
とりあえず今は先へ進む事だけを考えよう、そう思いエリーは部屋を出て廊下を進み始めた。

※サイコロを四回振り、出た数エリーのMGを減らす。






63

「やるって言うなら受けて立つわよ!」

そう言って飛び出したのはエリー。
真っ直ぐルーミアの方へ向って行く。

「!!」

ところが突然辺りは暗闇に包まれてしまった。

「これってミスチーの…」
「あれとは違う。何故なら私の能力は目潰しではなく、正真正銘の闇だからな!」

突然エリー目掛けて伸びて来る大剣。
視界の利かないエリーに対し、何度も斬りかかって来る。

「こ、これじゃ攻撃出来ない!」
「ほう、よくかわすな。伊達に勝ち抜いて来た訳ではなさそうだ!」

一方でくるみからは球体の闇に包まれるエリーと、そこへ何度も大剣を突き刺すルーミアの姿が見えていた。

「エリーが危ない!」

咄嗟に手に妖力を集め、弾幕を放つくるみ。
ところが空中に二つの目が現れ、弾幕を打ち消しつつくるみをレーザーで攻撃して来た。

「うぐっ……きゃああ!!」

レーザーの光に怯み回避が遅れ、くるみの脚はレーザーを受け焼け爛れてしまう。

「くるみ!? 何があ……うぐえっ!」

更にその隙に、ルーミアはエリーの腹に大剣を突き刺した。

「………所詮はこんなものか……その実力では幽香を救う事など出来まい」

そう言うとルーミアは闇の中へと消えて行く。
そして闇が晴れると、そこにはもうルーミアの姿はなかった。

「……くるみ……大丈夫?」
「…うぅ……平気よ、吸血鬼の生命力ならこれくらい……」
「……私も見た目ほど酷くないわ………手加減されてたのね…」

改めて自分達の実力不足を思い知る二人。
二人には、ゆっくりと上昇する足場の上で傷が回復するのを待つしかなかった。

※サイコロを二回振り、出た数くるみのMGを減らす。






64

「兎に角! この究極の薬の力で、ぎゃふんと言わせてやる!」

そう言うと、てゐは豪快に殴りかかって来た。
しかしエリーは臆する事無く待ち構える。

「エリー!」
「幽香ちゃんを酷い目に遭わせてるような奴に、私は負けない!」

するとエリーの腕に無数の蔦が絡み付き始めた。
蔦はてゐの腕に匹敵する程の、巨大な拳をエリーの両腕に作り出す。
そして勢いよく向かって来たてゐの拳を、その手で受け止めた。

「なっ! 究極の薬で強化された私の一撃を止めた!?」

次いでもう片方の腕で殴りかかるてゐ。
だがそちらもエリーの片手が受け止める。

「うぐぐ……この私の最高傑作が…!」
「貴方が薬の力に頼るなら、私は幽香ちゃんの力を頼るわ!」

そのまま暫し睨み合いを続けるエリーとてゐ。
しかし全身を強化しているてゐに対し、エリーは腕の力だけ。
勢いに押され、徐々に壁際に追いやられていく。

「……どうやら……勝負あり、みたいだねぇ」
「くっ!」

さすがに、もうこれ以上は耐え切れない。
エリーが諦めかけたその時、

「サマーソルトキック!」
「あぶっ!」

スライディングで二人の間に入ったくるみがてゐを蹴り上げた。
顎を蹴られ怯んだてゐを、その隙にエリーは持ち上げる。

「行けえええぇぇぇ!!」

そして思いっきり、てゐを放り投げた。
床に叩きつけられて、ぐったりとするてゐ。
すると、てゐは風船のように萎んでいき元の姿に戻っていった。
更にその場に仰向けに倒れ、ガクガクと痙攣し出す。

「……あう……くしゅり…くしゅりが……」

どうやら薬が切れ、禁断症状が出始めたようだ。
最早、戦う力も残されていないだろう。
そう判断しエリーとくるみは、てゐを掴むと問い質し始める。

「どうして幽香ちゃんにあんな事したの!? 答えて!」
「……その前に薬打たせて……頭がグルグルする…」
「……………」
「…大丈夫、さっきの薬じゃないよ。あれは二発も連続で打てるもんじゃない」
「………いいわ」
「……ありがと」

そう言って、てゐは腕に注射を打つ。
すると少しの間呼吸が荒くなり、やがて落ち着いて来るとゆっくりと話し始めた。

「……ふぅ…楽になったよ。……それで幽香の事だったね。本当は嘘吐いて逃げたいところだけどさぁ
 私もここまで長生きしたのに、こんな事で死にたくないんだ。だから正直に話す、信じるかどうかは別だけどね」
「………それで幽香ちゃんに何をしたの?」
「まず先に話す事がある。貴方達は合成妖怪について何処まで知ってる?」
「…………何も知らないわ」
「……はぁ?」
「だから知らないのよ、私達は幽香ちゃんを助けに来ただけ」
「…………ああ、そうか。冷静に考えたら侵入者は皆が…………分かった、最初から話すよ。
 幽香とあと他に六体、この幻想郷には合成妖怪がいる。全員私のお師匠様が、妖怪を混ぜて作り出した者さ。
 その内、六体は此処にいる。会ったなら分かると思うけど、見た目は半分人型の怪物だよ。
 見た目だけじゃない。頭の中も御覧の有様だよ、皆おかしくなってる」
「レティは? あいつは見た目は兎も角、言動は比較的まともだったわ」
「材料の関係かもね。でも時々、人格を乗っ取られるって言ってた」
「………それで貴方の師匠は、どうして幽香ちゃんを…」
「幻想郷を支配する為だよ。その時にはもう、お師匠様は狂っていたんだ。でも今はもういないよ」
「いない?」
「そう、八体目の合成妖怪と一緒に消えたんだ。私達の誰も行方を知らない」
「……じゃあ、この屋敷は今誰が…」
「姫様だよ、姫様が皆を匿っている。他に何か聞きたい事があるなら、姫様に聞いたらいい。
 私は此処で降ろさせてもらうよ。最後に一つ言わせてもらうけど、合成妖怪の事は秘密にしておいてね。
 今の幻想郷には兵力や奴隷が欲しい奴なんて山ほどいる。幽香の為を思うなら、この事は内緒にした方がいいよ」

そう言うと、てゐは横穴に飛び込み途中下車する。

「幽香ちゃんが……合成妖怪……いろいろ聞き過ぎて気が振れそうだわ」
「……幽香ちゃんを助け出すには、その姫様と話してみるしかないって事ね」

上を見ても、まだまだ続く漆黒の闇。
この闇の向こうに幽香が待っているかもしれない。
二人は希望と不安を胸に、足場が上層部へ辿り着くのを待った。






65

エリーは鎌を投げくるみは弾幕を飛ばし、それぞれ赤子を潰していく。
その度に赤子達は断末魔の悲鳴を上げ、弾け飛んで死んでいった。

「……うぅ……頭がおかしくなりそう…」
「しっかりして、これも幽香ちゃんを助け出す為よ」

やがて思った以上にダメージを受け慌てたのか、レティは身震いをして喋り出す。

「痛い痛い! いいわ、分かったわよ! そこまでやるって言うなら、こっちにも考えがあるわ。
 一か八かだけど………う…うう………嫌ああああああああああああああああ!!」

そう言うとレティの体は変化し始めた。
赤子達は個々の形を失い混ざり出し、まるで巨大な雲のような肉塊になる。
肉塊には巨大な口と黒い触手がついており、その体は不気味に宙に浮き始めた。

「やっとやる気を出したのね」
「…………」
「……あら?」
「…………喋るのも面倒臭い」
「さっきより酷くなってる!?」

浮いた状態のままで何もして来ないレティ。
するとエリーは待ち切れずに鎌を投げ、レティに攻撃を仕掛けた。
ところが鎌は当たる直前で凍り付き、そのまま床に落ちる。

「……どういう事?」
「あいつの体から、もの凄い冷気が出てるみたい。あれじゃ弾幕も効かないわ」
「何? それじゃ倒せないって事!?」
「そうなるわ。でも扉ならどうにか出来るかも」

そう言ってくるみは扉の方を向くと、妖力を具現化して爆弾を作り出した。
そして爆発の衝撃波で扉を吹き飛ばして、エリーと共に部屋を出る。
そんな二人の前に姿を現したのは、まるで実験室のような部屋だった。
部屋中に怪しげな装置が並べられており、用途は分からないが普通の医療機器ではない事だけははっきり分かる。

「……一体何なのよ、この屋敷は…」
「兎に角、先へ進みましょ。あの換気口へは、どの道戻れないわ」

くるみの言う通り、あの換気口はもう使えない。
レティも追い掛けて来る様子はないが、此処に何時までもいても仕方ないだろう。
とりあえず今は先へ進む事だけを考えよう、そう思いエリーは部屋を出て廊下を進み始めた。

※サイコロを二回振り、出た数エリーのMGを減らす。






66

『怖れ慄くがいい! 絶望するがいい! 己の未熟さを呪い、浅ましく命乞いをするがいい!』

そう言うとルーミアの腕が伸び、一瞬でくるみの頭を掴む。
そのまま床に思いっきり叩き付け、くるみの全身にダメージを与えた。

「あ、ああ……」
「くるみ!」
『次は貴様だ!』
「!!」

次いでエリーを狙って伸びて来る腕。
エリーはギリギリのところで鎌を盾にし、攻撃を凌いだ。
しかしルーミアは刃先を掴むと、一気に跳んで距離を縮めて来る。

「……行けえええぇぇぇぇぇ!!」
『何!?』

ところがエリーは鎌の刃先を帯電させて、ルーミアに反撃を仕掛けた。

『ぐ、ぐあああああああああああああ!!』

電流はそのままルーミアの体を流れ出す。
ルーミアは慌てて鎌から手を離すが、電撃の影響で満足に動けないようだ。
そこへエリーの拳が飛んで来る。

「吹っ飛べ!」
『うぐおっ!』

エリーの拳は綺麗に決まり、ルーミアを殴り倒した。
するとルーミアの体から闇が流れ出し、元の姿に戻っていく。
そして大剣を使い起き上ると、ルーミアは二人の方を見て言葉を紡いだ。

「……見事だ。……あとは…お前達が正気を保ち続ける事が出来れば………その時、私も力を貸そう…」

そう言うとルーミアは闇の中へと消えて行く。
そして闇が晴れると、そこにはもうルーミアの姿はなかった。

「………力を貸す? どういう事?」
「……あいつは他にも、いろいろ知ってるみたいね。また会う事になるかも…」

謎多き存在、合成妖怪。
その全てを退けた二人だが、まだ先行きは暗い。
だがこの闇の向こうに幽香が待っているかもしれない。
二人は希望と不安を胸に、足場が上層部へ辿り着くのを待った。

※『闇符』を取得






67

「兎に角! この究極の薬の力で、ぎゃふんと言わせてやる!」

そう言うと、てゐは豪快に殴りかかって来た。
咄嗟にかわすエリーとくるみだったが、その凄まじい拳圧は壁にひびを入れる。
更にてゐは一気に加速し、飛んでいるくるみを素手で捕まえた。

「うぐっ………ぎ…ああああああああああ!!」
「く、くるみ!」

てゐが力を加えているのか、苦しそうに悲鳴を上げるくるみ。
するとてゐはエリーに対して、ある提案を持ちかけて来た。

「さて、このまま私が手を握ればどうなるか……分かるよね? でも私は他の連中と違って知的なんだ。
 だから貴方達にチャンスをあげる。一体誰に頼まれて此処に来た。正直に言えば二人とも見逃してあげてもいいよ」
「……え…」
「隠しても為にならないよ? 目的は幽香、さっきそう言ったじゃん。
 合成妖怪を連れ出して何か企んでるのは、一体何処のどいつだって訊いてるんだよ」
「………何を言ってるのか、よく分からないわ」
「……あ、そう」
「!! ぎゃあああああああああああ!!」
「くるみいぃぃ!!」

どうやらてゐは、裏に誰かいると思い込んでいるらしい。
勿論そんな者いないが、このままではくるみが殺されてしまう。
エリーは悩んだ挙句、正直に自分達の話をする事にした。

「………分かったわ、正直に言う」
「うんうん、それでいい。頭のいい奴は話が通じて助かるよ」
「……私達は幽香ちゃんの従者なの。だから主を助ける為に此処まで来ただけなのよ。お願い、くる…」
「ぎゃあああああああ!! 痛い! 骨が! 骨が折れちゃう!」
「く、くるみ! どうして…」
「うん? そんな見え透いた嘘で、私が騙されるとでも思ったの? あの幽香に従者がいるなんて聞いた事もないよ!」
「………ああぁ……」
「さぁ、もう一度だけ聞くよ。一体誰に頼まれた」

そのままくるみを掴んだ手を振り上げるてゐ。
今度こそ本当にくるみが危ない、そう感じたエリーは咄嗟に頭に浮かんだ名前を口走った。

「げ、幻月に言われて来ましたぁ!」
「………幻月……だって?」
「そ、そうなの! 私達に散々偉そうな事を言う、嫌な奴なの! でも私達より強いから、逆らえずに此処まで来たのよ!」
「うぅ……信じられないような話だけど、なんか真に迫るものがあるなぁ。……分かった、信じるよ」

そう言って、てゐはくるみを掴んでいた手を放す。
その瞬間、エリーは態度を変え思いっきり鎌を振り下ろした。

「ていっ!」
「痛っ!」

だが薬で強化されたてゐの体には、鎌ですら突き刺さらない。

「くっ……分かったよ、そんなに死にたいなら相手してやる!」

そう言っててゐは腕を振り上げると、エリー目掛けて振り下ろして来た。
それをギリギリでかわすエリー、しかし拳圧で吹き飛ばされてしまう。

「もらったぁ!」

そこへ飛んで来る、てゐの拳。
あわや絶体絶命と思った次の瞬間、突然てゐは動きを止める。

「し、しまった……薬の効果が…」

そのまま風船のように萎んでいき、元の姿に戻るてゐ。
するとその場に仰向けに倒れ、ガクガクと痙攣し出した。

「……あう……くしゅり…くしゅりが……」

どうやら薬が切れ、禁断症状が出始めたようだ。
最早、戦う力も残されていないだろう。
そう判断しエリーとくるみは、てゐを掴むと横穴に放り投げ途中下車させた。

「これで邪魔者はいなくなったし、残すは上層部だけね」
「あいつは確かに幽香ちゃんの事を知っていた。恐らくこの先で……」

上を見ても、まだまだ続く漆黒の闇。
この闇の向こうに幽香が待っているかもしれない。
二人は希望と不安を胸に、足場が上層部へ辿り着くのを待った。

※サイコロを四回振り、出た数くるみのMGを減らす。






68

「○▲□×◆▽●#◇▼%&△■!!!」

その瞬間、突然くるみは怪音波を発する。
慌てて耳を塞ぐエリー。

「な、何よくるみ! びっくりしたじゃない!」

しかしくるみが指差す方を見ると、レティが目を回して伸びていた。

「……どういう事?」
「あれだけ耳があったら、効くかなって思って」
「なるほど……でもやる前に一言、言ってよ」
「ごめん」

レティが倒れた事で、少しづつ部屋の気温も上がっていく。
やがて扉が開けられるようになると、二人は部屋を出る。
そんな二人の前に姿を現したのは、まるで実験室のような部屋だった。
部屋中に怪しげな装置が並べられており、用途は分からないが普通の医療機器ではない事だけははっきり分かる。

「……一体何なのよ、この屋敷は…」
「兎に角、先へ進みましょ。あの換気口へは、どの道戻れないわ」

くるみの言う通り、あの換気口はもう使えない。
レティも倒したので追い掛けて来る事はないだろうが、此処に何時までもいても仕方ないだろう。
とりあえず今は先へ進む事だけを考えよう、そう思いエリーは部屋を出て廊下を進み始めた。






69

『怖れ慄くがいい! 絶望するがいい! 己の未熟さを呪い、浅ましく命乞いをするがいい!』

そう言うとルーミアの腕が伸び、一瞬でくるみの頭を掴む。
そのまま床に思いっきり叩き付け、くるみの全身にダメージを与えた。

「あ、ああ……」
「くるみ!」
『次は貴様だ!』
「!!」

次いでエリーを狙って伸びて来る腕。
エリーはギリギリのところで鎌を盾にし、攻撃を凌いだ。
しかしルーミアは刃先を掴むと、一気に跳んで距離を縮めて来る。

「…くっ!」

このままでは引っ張られる、エリーは咄嗟に鎌を手放し回避に専念した。
だがルーミアは鎌を投げ捨て、逃げるエリーに向かって行く。

『馬鹿め! この私から逃げ切れると思ったか!』
「…あああ………ぎゃああああ!!」

そしてエリーの背中を鋭い爪で斬り付けた。
その場に倒れ、迫る恐怖に戦意を失うエリー。
そこへルーミアはじわじわと近寄っていく。

「……嫌……来ないで…」
『ククク…いいぞ、無様に泣き叫べ。そして己の無謀さを後悔しながら死んで……ぐっ! ぐああああああああ!』

すると突然ルーミアの体から闇が流れ出し、元の姿に戻っていく。
そして荒い呼吸を繰り返すと、ルーミアは二人の方を見て言葉を紡いだ。

「……結局は……その程度の力か………そんなものでは幽香を救う事など……到底叶わぬ夢物語よ…」

そう言うとルーミアは闇の中へと消えて行く。
そして闇が晴れると、そこにはもうルーミアの姿はなかった。

「……エリー……大丈夫?」
「…ええ……平気よ、背中は痛むけど時期に治るわ……」
「……私もなんとか………吸血鬼の生命力様様ね…」

改めて自分達の実力不足を思い知る二人。
二人には、ゆっくりと上昇する足場の上で傷が回復するのを待つしかなかった。

※サイコロを四回振り、出た数エリーのMGを減らす。






70

やがて足場は終点に辿り着く。
移動の間に戦闘のダメージから回復した二人は、勢いよく飛び出していった。
そこはまさに最初に見た和風家屋そのもの。
恐らくこの最上階に、幽香に繋がる者がいるのだろう。

「……エリー、階段があったわ」
「………いよいよね、心して行きましょ」

階段を昇り、二人は上の階層を進む。
その前に一番奥の大きな襖が立ち塞がった。
中からは妖怪や、ましてや普通の人間でもない異質な妖気が流れ出している。
この先に一体何がいるのか、戦慄する二人。

「………開けるわよ」

しかし此処まで来て、今更恐れる者など何もない。
力強く襖を開けて、二人は部屋の中に入っていった。
すると畳が敷かれた部屋の中にいたのは、一人の美しき女性。
他には誰の気配もしない。

「……あら? 貴方達は誰? お客さん?」

だが流れ出していた妖気は間違いなく、この女性のものだ。
恐らく彼女が永遠亭の総大将、それ程の妖力を目の前の女性は持っている。
その凄まじさに二人の頬を冷や汗が伝う。
しかしそんな事はお構いなしに、その女性はマイペースに話し始める。

「お客さんなら一声掛けてくれれば、出迎えに行ったのに。あ、お茶を出さなくちゃ。皆ー、お茶を出してー」
「!!」

その声に反応して、次々と現れる妖怪達。
中には此処に来るまでに倒した妖怪もおり、明らかに敵意を向けている。

「どうしたの? 皆、怖い顔して」
「…………」

しかし二人が驚いたのは、そんなものではない。
なんとその妖怪達の中には、幽香の姿もあったのだ。
腕は角質化し巨大な鰐のような腕になっており、以前の美しい白い腕の面影は何処にも見当たらない。
その姿はまさに、異形の者と呼ぶに相応しい姿だった。

「……どういう事………なんで、なんで幽香ちゃんがそこに……」
「…それにその腕、一体どうなってるの…」
「貴方達、幽香のお友達? それならいろいろと話したい事が…」

だが女性の言葉を最後まで聞かずに、エリーはその胸座を掴む。
途端に妖怪達はざわめき出した。

「どういう事!? 幽香ちゃんに何をしたの!? ちゃんと説明しないと承知しないわよ!」
「……分かってる。貴方達には話さなくちゃいけない事だもの」

そう言うと女性は妖怪達に合図を送る。
すると妖怪達は全員大人しくなった。
同時にエリーも女性から手を離す。
女性はそんなエリーに微笑みかけると、その場に正座し口を開いた。

「まずは自己紹介をさせてもらうわ。私は蓬莱山 輝夜、永遠亭の主よ」
「……………」
「……私はくるみ、そっちはエリーよ」

そう言ってエリーの方へ手を向けるくるみ。
口調こそ落ち着いているものの、その目はじっと輝夜を睨みつけていた。

「……それで幽香の事だけど彼女は私の従者、八意 永琳にあの姿にされたわ」
「なっ!」

途端にエリーは、再び輝夜の胸座を掴もうとする。
それをくるみは黙って止めると、輝夜の方へ振り返った。

「……まさか従者のした事だから自分は関係ない、なんて言うんじゃないでしょうね」
「そんなつもりはないわ。そもそも永琳がああなってしまったのも私のせい、責任は全て私にあるわ」
「………それで永琳って奴は何処にいるの? 今すぐ幽香ちゃんを元に戻させ…」
「いないわ」
「……なんですって?」
「永琳はいない、行方不明よ」
「…………」

暫くの間、くるみは黙りこくってしまう。
すると堪えかねたのか、エリーは畳を叩いて怒鳴り出した。

「貴方の従者の事なんてどうでもいいわ! それより元に戻せるんでしょうねぇ!」
「………無理よ、今までだっていろいろやって来た。でも永琳しか合成のメカニズムが分からないのよ」
「くっ!!」

その瞬間、エリーは輝夜の頬を引っ叩く。
だが輝夜は何も言わずに、ただ俯いていた。

「もういい、たくさんよ! 元に戻せないなら幽香ちゃんは私達が面倒を看るわ。帰りましょ、くるみ」
「!! ダメよ! それだけはダメ!」

ところが途端に輝夜は血相を変えて、幽香の許へ行こうとする二人の前に立ち塞がる。

「お願い、私はどうなってもいい。だから幽香は連れて行かないで……お願いよ…」

そして必死に頭を下げて、頼み込んで来た。

「……………」

※サイコロを一回振り、出た数の六倍エリーとくるみのMGを減らす。






71

あれから暫く歩き続けたエリーとくるみ。その前に巨大な縦穴が現れた。
縦穴は遥か上空まで機械の壁が続いていて、上がどうなっているのか分からない。
他に道はなく、行き止まりに着いてしまったのかと二人は落胆する。
するとエリーの視界に、ふとある物が飛び込んで来た。

「……あれ何かしら」
「え?」

それは床から飛び出した台のような物と、それについている様々な数字のボタン。
どの道他に方法はない、とエリーは思い切ってボタンを押してみる。すると、

「きゃあ!」
「な、何!?」

突然床が持ち上がり始めた。
そのまま床は上昇し、ゆっくりと上層階へ向かって行く。

「………よく分かんないけど、このまま上に行けるみたいね」
「……結果的には大成功よ! これで幽香ちゃんを探しにいけるわ」

迫り上がっていく床に想いを託して、のんびりと到着を待つ二人。
その目に縦穴に幾つも存在する横穴が映り込んでいく。
横穴はどれも大きく鉄で塗装されており、それが自分達が通って来た廊下と同じ物だとすぐに分かる。
そのうち上の和風家屋部分まで辿り着くのだろうか。
そんな事を二人が考えていると、突然横穴から何者かが飛び乗って来た。
その者は頭に大きな兎の耳をつけていて、動く足場に飛び乗った事からも妖怪だと思われる。
振り返った妖怪の目の下には大きな隈が出来ており、痩せ細った腕からも不健康そうな印象を受けた。

「……誰!?」
「そりゃこっちの台詞! なんで此処にいるの? 警備には皆があたってた筈だよ?」
「それなら倒して来たわ」
「倒したぁ!? ……なんて事を……もしこの事がお師匠様の耳に触れたら、何をされるやら…」
「………それで貴方は誰なの?」
「私は因幡 てゐ、永遠亭の現薬師だよ。どうせ目的は薬でしょ? 最近は金も無い癖に薬欲しさに来る輩が多くて困るよ」
「……悪いけど私達の目的は薬じゃないわ」
「へ? じゃあ不老不死の噂を聞き付けて?」
「初耳ね」
「じゃあ何が欲しいの? 金? それとも住居?」
「私達の願いは一つ、幽香ちゃんを助け出す事よ」
「………なんだって!?」

するとてゐは慌てて距離を取り、ポケットに手を突っ込んで身構える。

「薬目的だったら睡眠薬でも盛って新薬の実験体になってもらおうかと思ったけど、そういう事なら話は別さ。
 一体誰の差し金? 私達の秘密を暴いて、どうするつもり?」
「……秘密? ………ああ、そういう事。よく分かったわ」

それに応えるように、エリーとくるみも戦闘態勢を取った。
てゐはそんな二人を見ると、ポケットから注射器を取り出す。
その注射器には禍々しい色の液体が詰まっていた。

「皆を倒した侵入者を、私一人で止められるとは思えない。でもそれは素の戦闘力での話。
 これは私が様々な薬を精密なバランスで配合し、七日七晩煮込んだ特製強化剤!」
「煮込むんだ…」
「煮込むのね…」
「一度打てば、腕力脚力体力持久力全て数倍! これこそ私の最高傑作、デラックス・カオス・スペシャルだあぁぁー!」

そう言って、てゐは自分の腕に注射器を刺す。
そして中の液体を注入した途端、てゐの体はみるみるうちに筋骨隆々に変化した。

「…ふぅ~………さぁ侵入者、私の必殺の一撃に耐える事が出来るかな?」
「……うわぁ、その姿でウサ耳って…」
「……うわぁ、その姿でピンクのワンピースって…」
「……………そういう事、言わないでよ。……なんかやりにくいじゃん……」






72

やがて足場は終点に辿り着く。
移動の間に戦闘のダメージから回復した二人は、勢いよく飛び出していった。
そこはまさに最初に見た和風家屋そのもの。
恐らくこの最上階に、噂の姫がいるのだろう。

「……エリー、階段があったわ」
「………いよいよね、心して行きましょ」

階段を昇り、二人は上の階層を進む。
その前に一番奥の大きな襖が立ち塞がった。
中からは妖怪や、ましてや普通の人間でもない異質な妖気が流れ出している。
この先に永遠亭の総大将がいるのか、戦慄する二人。

「………開けるわよ」

しかし此処まで来て、今更恐れる者など何もない。
力強く襖を開けて、二人は部屋の中に入っていった。
すると畳が敷かれた部屋の中にいたのは、一人の美しき女性。
他には誰の気配もしない。

「……貴方が永遠亭の姫?」
「あら? 私を知ってるの? 貴方達は誰? お客さん?」

どうやら彼女が噂の姫らしい。確かにそれ程の妖力を目の前の女性は持っている。
その凄まじさに二人の頬を冷や汗が伝う。
しかしそんな事はお構いなしに、永遠亭の姫はマイペースに話し始める。

「お客さんなら一声掛けてくれれば、出迎えに行ったのに。あ、お茶を出さなくちゃ。皆ー、お茶を出してー」
「!!」

その声に反応して、次々と現れる妖怪達。
中には此処に来るまでに倒した妖怪もおり、明らかに敵意を向けている。
その妖怪達の中には、幽香の姿もあった。

「どうしたの? 皆、怖い顔して」
「此処に来るまでに、話は聞いてるわ。私達は幽香ちゃんを助けに来たの。いろいろと訊かせてもらうわ」
「……そう。貴方達には、いろいろ話さなくちゃいけないみたいね」

そう言うと、姫は妖怪達に合図を送る。
すると妖怪達は全員大人しくなった。
姫はエリーに微笑みかけると、その場に正座し口を開く。

「まずは自己紹介をさせてもらうわ。私は蓬莱山 輝夜、永遠亭の主よ」
「……私はエリー」
「私はくるみよ」
「……それで幽香の事だけど彼女は私の従者、八意 永琳にあの姿にされたわ」
「それは聞いてる」
「………それじゃあ永琳が行方不明って事は…」
「それも聞いてる。そんな事より幽香ちゃんは元に戻せるの?」
「……それは………」

途端に黙りこくってしまう輝夜。
それが何を意味するか、分からない程二人は鈍感じゃない。

「………戻せないのね」
「…ええ、今までだっていろいろやって来た。でも永琳しか合成のメカニズムが分からないのよ」

申し訳なさそうに輝夜は話す。
するとエリーは立ち上がり、幽香の許へ近寄っていった。

「………ごめんなさい、こんな事になってしまって」
「もういいわ。元に戻せないなら幽香ちゃんは私達が面倒を看る。帰りましょ、くるみ」
「!! ダメよ! それだけはダメ!」

ところが途端に輝夜は血相を変えて、二人の前に立ち塞がる。

「お願い、私はどうなってもいい。だから幽香は連れて行かないで……お願いよ…」

そして必死に頭を下げて、頼み込んで来た。

「……………」






73

あれから暫く歩き続けたエリーとくるみ。その前に巨大な縦穴が現れた。
縦穴は遥か上空まで機械の壁が続いていて、上がどうなっているのか分からない。
他に道はなく、行き止まりに着いてしまったのかと二人は落胆する。
するとエリーの視界に、ふとある物が飛び込んで来た。

「……あれ何かしら」
「え?」

それは床から飛び出した台のような物と、それについている様々な数字のボタン。
どの道他に方法はない、とエリーは思い切ってボタンを押してみる。すると、

「きゃあ!」
「な、何!?」

突然床が持ち上がり始めた。
そのまま床は上昇し、ゆっくりと上層階へ向かって行く。

「………よく分かんないけど、このまま上に行けるみたいね」
「……結果的には大成功よ! これで幽香ちゃんを探しにいけるわ」

迫り上がっていく床に想いを託して、のんびりと到着を待つ二人。
その目に縦穴に幾つも存在する横穴が映り込んでいく。
横穴はどれも大きく鉄で塗装されており、それが自分達が通って来た廊下と同じ物だとすぐに分かる。
そのうち上の和風家屋部分まで辿り着くのだろうか。
そんな事をエリーが考えていると、突然くるみが飛び掛かり押し倒して来た。

「な、何いきな…」

直後にエリーの脚と脚の間に、深々と突き刺さる大剣。
もしくるみが飛び掛かっていなかったらと思うと、背筋が急に寒くなる。
そこへ今度は剣の周りに闇が集まり出した。
エリーとくるみは急いで離れると、大剣の様子を注意深く窺う。
すると闇の中から一人の妖怪が現れた。

「今の一撃をかわすとは、なかなかやるではないか」

その妖怪は長い金髪を棚引かせて、大剣を引き抜く。
闇のように黒い服から覗かせる白い肌は、女性の二人からも色っぽく見えた。

「騒ぎを聞き付け来てみれば、これ程のやり手とは………やはりてゐが相手では力不足か」
「あ、貴方は何者!?」
「ふっ、私か? 私はルーミア、闇と邪より出でし暗黒を司る合成妖怪だ」
「合成……妖怪…?」
「なんだ。お前達、合成妖怪も知らずに永遠亭に来たのか。最近の賊は知識が足りないようだな」
「……うぎぎ…」

明らかに見下した態度を取るルーミアに、歯軋りを立てるエリー。
その様子を鼻で笑うと、ルーミアは大剣を鞘にしまい話を切り出した。

「いいだろう、お前達の力を認め教えてやる。合成妖怪とは一人の女、八意 永琳により侵略兵として生み出された。
 その方法は二体の妖怪を混ぜ合わせ、本来いてはならない筈の者を作り出す悪魔の手法だ。
 二体分の力を具えているのだから力は強い、だがそれを制御出来るだけの二体分の精神力が具わっていない。
 故に大抵の合成妖怪は精神力が弱まれば正気を失い、力に振り回され暴れ狂ってしまう。
 それを防ぐ為、八体いる合成妖怪の内六体を保護しているのが永遠亭なのだ」
「………ちょっと待って、話についていけないわ」
「理解出来ないなら無理にする必要もあるまい。狂気に不用意に触れれば持って行かれるぞ?」
「なら私から訊かせてもらうわ」

そう言ってくるみは一歩前に出る。
ルーミアはそれを、不敵な笑みを浮かべ眺めていた。

「まず永琳、そいつは此処にいるの?」
「いない、幻想郷の何処にもな」
「死んだの?」
「さあな」
「じゃあ八体の合成妖怪って言うのは?」
「水橋 パルスィ、古明地 さとり、ミスティア・ローレライ、レティ・ホワイトロック、東風谷 早苗、風見 幽香
 お前達が退けて来た相手だ。そして私、あとは最後の一体だがこいつは知らない。永琳と共に生まれてすぐ消えた」
「………やっぱり幽香ちゃんも……でもそれならレティは? あいつは見た目は兎も角、言動は比較的まともだったわ」
「私と奴は混ぜられた相手が違う。多少なら自分で制御出来る」
「さっき合成妖怪を保護してるって言ったわよね? 一体誰の意思? それに六体じゃ数が合わないわ」
「私は此処の住人ではない。言っただろう、騒ぎを聞き付け来た…と。合成妖怪を集めているのは姫君だ」
「姫君?」
「永遠亭の頭だ。幽香をどうにかしたいなら、奴と話をつける事だな」
「……じゃあ最後に、なんで私達を襲って来たの?」

その言葉を聞くや否やルーミアは大剣を抜き、くるみの目の前に翳す。

「簡単な理由だ。私を除く現存する合成妖怪は、全てお前達に倒された。なら私が出ぬ訳にはいかないだろう」
「……そんな理由で…」
「お前達にはくだらない理由でも、私には深い意味がある事だ。恨みはないが付き合ってもらうぞ」

ルーミアはそう言うと、大剣を構え襲って来た。






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