- 注意書き・
- 外の世界です
- オリキャラと結婚します
- 放り出された理由など知ったことか
- 基本的に魔理沙を虐めたいだけ
「……真夏の夜空を彩る光の芸術、花火。後継者不足が大きな問題となっている中、伝統を受け継ぐ女性職人の姿を追いました」
カメラが回る。
きっと緊張した面持ちだろう。
取材はたまにあったけれど、テレビが来たのは初めてだ。
印半纏の襟元を、きゅっと引き締める。
「こんばんは」
「こんばんは、よろしくお願いします」
妙に甘ったるい笑顔のリポーターの挨拶に、頭を下げた。
「花火職人の、……魔理沙さんです、今日は──」
普通の魔法使い、霧雨魔理沙はもういない。
外の世界に放り出されて少し経った頃だ。
自分も含めて売春婦かヤク中か犯罪者しか住んでいない、最低ランクの安アパートの一室。
客を取ったあとでぼろぼろに疲れ切った身体が、炸裂音を聞いて覚醒したとき。
窓の外に、花火が上がっていた。
熱と、光と、流れ星のような儚さと。失った魔法を、そこに重ねた。
気付けばすぐに、発射地点を探して駆け出していた。
その晩、親方に頭を下げて、頼み込んで、住み込みの弟子にしてもらった。
この十年、いろいろと苦労したけれど、職人としての腕も認めてもらえるようになった。
親方の息子と結婚した。子供も二人いる。
それで、たぶん、幸せなのだ。
ここしばらく、幻想郷のことを思い出すことはめっきり減っていた。
「──では、この花火、誰に一番見てもらいたいと思いますか?」
最後にあったのは、台本にない質問だった。
考えるよりも早かった。思わず口から漏れたのは、こんな言葉だった。
「……友人が、いました」
意思に反して、止まらない言葉。
「今は、すごく遠いところにいて……会えないんですけど。
でも、いつか見せられたら、いいなって……」
この十年、全然幸せなんかじゃなかった。
痛切な感情が、胸を突き刺す。
帰りたかった。
幻想郷に帰りたかった。
あの頃に、帰りたかった。
「会いたいです……会いたい、ぜ……霊夢……っ」
困惑した様子のスタッフがざわめきだすのも気にならなかった。
戻ることのない日々を思って、子供のように泣きじゃくった。
- いじめなのか感動なのかよくわからんのぜ・・・・ -- 名無しさん (2009-05-28 22:13:32)
- 外の世界に取り残される話しって好きだな -- 名無しさん (2009-08-12 01:44:00)
- その・・なんだ。普通に可哀想だ -- 名無しさん (2009-08-15 15:20:54)
- 普通の魔法使いではなくなったが
魔法使いではあると思うぜ
空にドンパチできるんだからその資格はある -- 名無しさん (2009-08-15 18:18:28)
- シンプルだけどこういうの好きだ -- 名無しさん (2010-06-19 14:44:51)
- とりあえず親方の息子が妬ましぃ -- 名無しさん (2010-06-19 15:43:42)
- 八卦炉は使わないんだな… -- 名無しさん (2010-06-19 20:47:50)
- 夏祭りって曲を思い出したよ… -- 天内 (2010-06-21 02:35:25)
- (;´д⊂) -- 名無しさん (2012-05-17 18:42:59)
- オススメは
「この青い空の下、君の隣に。」 -- 名無しさん (2019-06-09 22:57:58)
最終更新:2019年06月09日 22:57