…フワフワターァイム、フワフワターァイム

亜樹子「ちょ、ちょっとちょっと! 何か外まで音漏れてるんだけど何なのこの爆音!?」

翔太郎「…あー、亜樹子かぁ…? お前からも何か言ってやってくれ」

亜樹子「何かって」

翔太郎「フィリップにだ。フィリップに…」

亜樹子「またぁ? やれやれ、フィリップくんにも困ったもんだ! ちょっとー! フィリップくん! もう少し音抑え…」ガチャリ

フィリップ「あ~あ~神様お願い~二人~だ~けの~」

亜樹子「歌ってます…! って、そんなことより!」

ガチャリ

?「…あ、あの、すみません。ここって探偵事務所であってましたか…?」

亜樹子「うるさいってばー! おーい!」

フィリップ「~♪ 素晴らしい…放課後ティータイム」

フィリップ「ここまで人を魅了する曲を作るとは…ふふ、感慨深い」

亜樹子「だめ、完全に自分の世界の中…」

翔太郎「お前が2、3日留守にしてた間ずっとこうなんだよ」

亜樹子「フィリップくん…そっか、私がいない寂しさに耐え切れずに」

翔太郎「ははは、馬鹿言ってんなよな」

亜樹子「おい! 傷つくなぁ…まぁ、いいや。とりあえず音量下げよ…」ス

翔太郎「あ、まて! むりやり音量下げようとするとっ」

ピピッ

フィリップ「やめてくれぇっ!!」バッ

亜樹子「ちょっ!」

翔太郎「って、なるんだ。あいつああ見えて滅茶苦茶集中して聴いてんだよ…」

?「あのー…」

亜樹子「じゃあどうしろってのよ!」

翔太郎「…ったく。おら、フィリップ! そろそろいい加減に…」

照井「左」

亜樹子「!! りゅ、竜くん」

翔太郎「照井! お前いつの間に上がり込んで来たんだ」

照井「…さっきだ」

照井「それより、お前達に依頼人が来ているようだが」

翔太郎・亜樹子「依頼人?」

?「あ…や、やっと気づいてくれた」



Kの訪れ/ランキングブレイカー

翔太郎・亜樹子「放課後ティータイム!?」

照井「何だそれは?」

亜樹子「ほら、今フィリップくんが大音量で聴いてるじゃん」

照井「あれか…」

翔太郎「最近、風都中で流行ってるだろ? 噂で聞いた事ないか? 突如現れた天才女子高生バンド」

亜樹子「出す曲出す曲がほぼ毎回ランクインしてるの。ニュースとかでも聞いた事あると思うんだけど」

照井「知らないな。生憎、最近はテレビをゆっくり見ている暇がない」

?「あ、あの、続き話しても…」

亜樹子「あ、ごめんなさい! …ていうか、あなた! 放課後ティータイムの…秋山澪…だよね!?」

澪「あ、えっと…は フィリップ「何だって!?」

澪「ひっ!」

翔太郎「フィリップ!」

フィリップ「あなたが秋山澪! …ああ、確かに本物だ! 変装していて気づけなかったよ…! 感激だ。ようこそ鳴海探偵事務所へ」グッ

澪「え、え、えっと、えっと…」

亜樹子「はいはい、少し落ち着こうねー」グイッ

フィリップ「ああっ! せっかく本人が訪ねてくれたんだから色々と話を…」

翔太郎「まずは依頼内容を聞いてからにしろって。…話を遮って悪かった。それで?」

澪「あ、はい」

澪「…私たち、放課後ティータイムはひょんなことからデビューしました。ですけど知っての通り、なぜか風都中で出すCDがほとんどが売れちゃってて…おかしいですよね? プロ程の歌唱力も演奏もない私たちがですよ!?」

亜樹子「…え、それってダメなことなの?」

照井「続けてくれ」

澪「だ、だって…私たち、インディーズにしてもド素人ですよ…。それが最近の売り上げランキングを見るとプロを追い越してかなり上位の位置にいるんです! そんなこと…誰かが裏で何かをしていたりでもしてなきゃ絶対にありえません…そんなの私…私…」

フィリップ「いや、しかしあなたたちの曲はどれも全て名曲揃いだ。それにメンバーは皆、揃って美少女。一人一人の個性も豊かだし…僕はこのランキングの結果には納得がつけると思いますよ」

澪「び、美少女…」

亜樹子「…んまぁ、可愛いよね。私にはちょーっと及ばないけど」

フィリップ「中学生なアキちゃんは少し黙っていてもらえるかな?」

亜樹子「りゅ、竜く~ん!!」

照井「気にするな、所長。君は…美しい」

翔太郎「(若干タメがあった…)まぁ、メンバーの一人がこう言ってるんだ。一応調査はしてみようか」

澪「あ、ありがとうございますっ」

照井「ところで」

亜樹子「竜くん?」

照井「他のメンバーはこの件について何も言っていないのか?」

翔太郎「照井! お前勝手に人の依頼人に…」

澪「…何も言ってません。むしろ喜んでます」

翔太郎「まぁ、当然の反応だろうな」

フィリップ「ああ。もしかして…何か納得がいかない理由が他にあったりとか?」

澪「…私たち、バンドを組むときにみんなで約束したことがあるんです」

フィリップ「それは興味深い…続けて」

澪「みんなで武道館でライブをしようって。自分達の実力でいつか上まで登りつめて…」

亜樹子「はぁー、それはまた大きな夢ですこと」

翔太郎「ふっ、嫌いじゃないぜ。でっかい夢抱えてでっかいもんに挑むってのはな」

澪「でも…」

澪「こんなの…私たちの実力なんかじゃない」

亜樹子「でもCDはあなたたちが出したんでしょ?」

澪「…はい。ポニーキャニ○ンさんが全面的にバックアップして」

翔太郎「ていうことは、既にスカウトは来てたわけか。それならあんたたちの実力が」

澪「絶対にそんなことありえません。私たちはただの女子高生です」

澪「最近、事務所から武道館でのライブの話も上がってきてます…でもこのままじゃ、私たちダメなんじゃないかと思って…」

照井「それでここを尋ねた、と。複雑な話だな。左」

翔太郎「理由はどうでもいい。だが、俺たちを頼ってくれてんだ。期待には精一杯答えるさ。だから安心してくれ、澪さん」

澪「はいっ」

フィリップ「…僕には分からないよ。どうしてこんなにも素晴らしい曲が売れることに疑問を感じるのか…」

翔太郎「フィリップ」

フィリップ「…ああ、分かってる。依頼はしっかり達成するさ」


・・・

亜樹子「で、聞き込みに出たのはいいけど、当てなんてあるの? 翔太郎くん」

翔太郎「こういう流行みたいなのは若い奴に聞くのが一番なんだよ…おし、いた」

エリザベス「きゃははは! でねでねぇ~」

クイーン「マジなんだー? あ、でもー」

亜樹子「あいつらか…」

翔太郎「よう、お二人。今日も元気にギャルギャルしてんなぁ」

エリザベス「あ、翔ちゃんじゃん!」

クイーン「てか今のちょーおっさん臭かったんですけど」

翔太郎「やかましい! …そんなことより。お前ら、放課後ティータイム知ってるだろ?」

エリザベス・クイーン「お気に入りのウサちゃん抱いて~ぇ」

翔太郎「今夜もーおーやすみ…よし、知ってるな!」

亜樹子「うわぁ…」

クイーン「知ってるも何も、風都中で今大人気じゃん」

エリザベス「ウチらもよくカラオケで歌ってるよ~」

翔太郎「そうか、それでだな。放課後ティータイムっていつから流行りだしたか分かるか?」

エリザベス「えー? いつからだっけ?」

クイーン「最近は最近なんだけど…確かファーストシングルのふわふわ時間が出てすぐに流行り出してたよね」

エリザベス「あ、でもあたしの友達でCD出す前からあのバンドのこと気に入ってた子とか結構いたかも」

亜樹子「学生たちの間じゃ、前から知ってる人もいっぱいいたのかもね」

翔太郎「ああ。…んー……」

翔太郎(どうも事件性が感じられないというか…フィリップも言っていたが、確かに彼女たちの曲はどれも魅力的だ。おまけにメンバーもと来たもんだ。売れない理由が見当たらない…)

亜樹子「翔太郎くん? どうしたのボーっとして」

翔太郎「え? あ、いや…」

クイーン「私たちそろそろ行くね~」

エリザベス「ばいばーい♪」

翔太郎「ああ、時間取らせて悪かったな」

翔太郎「さーて…次はどこに当たるか―――」

「きゃー!!! 放課後ティータイムの律よー!!」

「わーわー!」「きゃー! 眩しいーっ」

翔太郎「何だ?」

亜樹子「あっちの方みたいだよ。行ってみよう!」

「律ー!」「りっちゃまー!!」

律「あははは、サインならそこに並んで~」キラーン

翔太郎「あれは!」

亜樹子「放課後ティータイムのメンバーの一人、田井中律ちゃんだね! たしかドラム担当だっけね」

翔太郎「んなことは知ってる! ちょうどいい時に現れてくれたな。よし、話聞きに行くぞ。亜樹子」

亜樹子「あいあいさー!」

「きゃーきゃー!」グイグイッ

翔太郎「はいはい、ちょっと通ります…っと。あんたが田井中律だな?」

律「あ、こらこら! ダメじゃんお兄さん! ちゃんと並んでくれなきゃ」

翔太郎「あ、ああ、悪い」ス

亜樹子「素直に並んでどうすんねん!?」スパーン

翔太郎「いってぇ!?」

律「?」

律「え? 急に人気が出て疑問に思わないのかって?」

律「いや、別にー。ていうか素直に喜ぶでしょ、普通は」

翔太郎「ま、まぁ…そうなんだが」

律「ていうか何でそんなことを…はっ、まさか! 人気が出すぎた私たちに、嫉妬したアーティストたちが蹴落とそうと何か…!」

律「…まぁ、そんな筈ないか」

翔太郎「…?」

亜樹子「でもすごいね。高校生のバンドでここまで有名になれるなんて」

律「うん! 私たちもビックリでさぁ…あはは、これなら武道館でライブも目じゃないね~。ていうか、もう事務所からそんな話が上がっちゃってたり」

亜樹子「そういえば澪ちゃんもそんなこと言ってたっけ…」

律「え、澪?」

翔太郎「こらっ、馬鹿! 不用意に依頼者の名前出してんじゃねぇ」

律「澪がどうしたの?」

翔太郎「いや、何でもないんだ。邪魔したな」

律「ま、待ってよ! お兄さんたち、結局何なんなのさ? 理由があってこんなこと聞いてきたんだろ?」

亜樹子「ほ、ほんとになんでもないのっ! じゃあねー!!」グッ、タタタ…

翔太郎「おい! 襟引っ張るなって! うおおっ」タタタ…

律「……」

梓「律せんぱーい」

「きゃー!Azunyanよー!」「ちっちゃーい!わああ~!」

梓「こんなところで何道草食ってるんですか。これから仕事だっていうのに」

律「あ、ああ…ちょっとなー」

梓「ほら、行きますよ?」

律「うん」

ズンズン♪ズチャズチャ♪

翔太郎「どこのレコード店でも放課後ティータイムのCDが置いてあるんだな」

亜樹子「こんなところに来て手がかりなんて見つかるの?」

翔太郎「ふっ、甘いな。亜樹子…手がかりってやつは思わぬところに潜んでいるもんなんだよ」

亜樹子「ふーん…にしても色んな歌手がいるもんだ…何々…うわっ、これ名前からしてやばそう!」

翔太郎「んー、どれどれ? DEATH DEVIL…」

亜樹子「ね?」

翔太郎「バカやってないでさっさと店員に訊きこむぞ」

亜樹子「思わぬところにって自分で言ったじゃん。…へー、結構前に解散しちゃったんだ。名前聞いてことなかったし、インディーズ止まりだったのかな。やっぱりプロになるのは大変なんだねー…うおっ、ボーカルの人…中々美人…」

・・・

真倉「ふんふーん♪ …あ!」シャカシャカ…パシッ

照井「勤務中に音楽を聴いているとはいい度胸だな」

真倉「か、課長!? いや…これはですねぇ…あはは」

キミヲミテルト~

照井「…ん? これは」

真倉「お、課長も知っていらしたんですかぁ! そう、放課後ティータイムのふわふわ時間ですよ~」

照井「ああ…」

刃野「まったく…最近、こいつはこればっかり聞いてんですわ。まぁ、いい曲だってのはわかる気もしますがねぇ」

照井(ここでも放課後ティータイムか)

照井「…どうやら俺は今まで世間への視野が狭すぎたようだな」

刃野・真倉「はい?」

照井「まぁ、好きな物に夢中になることは構わないが…仕事は仕事だ。真面目に頼む」

真倉「へへ…すんません。課長」

真倉「最近課長、随分丸くなりましたよねぇ」ヒソヒソ

刃野「いんやぁ、俺は分かっていたさ。あの人は良い人なんだって、な」ヒソヒソ

照井「…刃野刑事まで不真面目では困るぞ」

刃野「あー! いやぁ! あははは、すぐに真面目モードに切り替えますよっ!」

照井「…ところで真倉刑事」

真倉「は? なんでしょう?」

照井「俺もその放課後ティータイムとやらに興味がある。すまないがCDを貸してもらえないか?」

刃野・真倉(こいつは予想外…!)

・・・

亜樹子「今のところ手がかり掴めずだねー」

翔太郎「こんな依頼、前代未聞だからな。まぁ、なるようになるさ」

翔太郎「とりあえずこういう情報はウォッチャマン辺りに当たって…」

シュッ…ドォン!

翔太郎「危ねぇっ!」バッ

亜樹子「わきゃあ!?」

ドーパント「ちっ、はずしたか!」

亜樹子「どどどドーパントぉ!? 何でいきなり!」

翔太郎「そんなことどうでもいいっ。おい、フィリップ!」prrr

フィリップ『もしもし、翔太郎? どうしたんだい?』

翔太郎『変身だ。ドーパントに襲われてる!」

フィリップ『ドーパント? わかった』サイクロン!

シュィィン

翔太郎「いきなりなんだってんだ!」ジョーカー!

ドーパント「わあああぁ!!」ダダダ

翔太郎「変身!」

サイクロン!ジョーカー!

ダブル「はぁっ!!」ドン

ドーパント「! お前は…!」

ダブル「亜樹子ー! こっちはさっさとでかしちまうから、お前はさき行ってろ」

亜樹子「わ、わかった」タタタ

ダブル「おら、かかってきな! とおりゃっ!!」ガシガシ

ドーパント「っくぅ…」

ダブル「どんどん攻めるぜっ」ヒート! ヒート!ジョーカー!

ドーパント「くそぉっ!! なんだっての!」

ダブル(HJ)『翔太郎! 敵の能力が分からないうちに攻め込めこんでいくのは危険だ」

ダブル「いいや! このまま一気に叩いちまおう!」ゴオォ

ダブル「おおぉっ!」グッ

パシッ

ダブル「何!?」『ほら、言わんこっちゃない!』

ドーパント「この距離なら…お前はもう…私の物」シュゥゥ…

ダブル「なんだっ、奴の体から煙のような…」『ま、まさかこいつ…!』

『まずい翔太郎! この攻撃は危険だっ、避けろ!」

ダブル「!」

ドーパント「もう遅いっ!」グオォォオン

ダブル「うわあああぁぁああ!?」『翔太郎ぉ!』

ダブル「ああああああ!!」『くそっ!!」ドンッ

ドーパント「っ! …ふふ、もうお前は私の手の中も同然」

ダブル「はぁ、はぁ、はぁ……?」『大丈夫かい!?』

ダブル「あ、ああ…無事だ。ていうかなんともないぜ」『何だって…?』

ドーパント「ふふふ」

ダブル「野郎、しくじりやがったんだ! このままいくぜ、フィリップ!」メタルゥ! ヒート!メタルゥ!

ダブル『しくじった…? だが奴の様子からは…』「うおおぉぉりゃっ!!」ブンッ

ピタッ…

ダブル『…ど、どうしたんだ翔太郎? なぜ攻撃を止めたんだ?』「……!」

ドーパント「ふふふ…ふんっ!」ガンッ

ダブル「あぐっ…!」

ドーパント「おらおらおらぁっ!」ドカバキィッ

ダブル「うぐっ、ああぁあ!!」ズサー『翔太郎! 何をしているんだ!? 早く反撃を!』

ダブル「…できねぇ」『何…? 何を言ってるんだ!』

ドーパント「あっはははは!」ズン

ダブル「俺には…攻撃できない! あうっ」『なんだって!? …まさか、これが奴の」

ドーパント「あーあ、これで終わりぃ? 大口叩いておいて大したことない奴…それじゃあ」シュゥゥ…

ドーパント「お前もこのまま放課後ティータイムに…くっくっく」グオォォオン

ダブル「うわあぁあああ!!」『くそっ、このままでは…ん?』

ダブル(奴は今、放課後ティータイムと言った?)

ダブル「はぁ、はぁ…うぐっ…」

ドーパント「あっははは! この調子でもっとこのメモリの力を活用して…!」

?「やあぁっ!!」ザンッ

ドーパント「何!?」

アクセル「ふぅんっ! どうした? 左!」

ダブル『照井竜! こちらはおそらく奴の精神攻撃をうけた! 翔太郎が…』

アクセル「…とにかく、奴のメモリをブレイクしてしまえば問題ない!」アクセル!マキシマムドライブ!

アクセル「振り切るぜ! やああぁああああっっ!!!」シュッ…ズガァンッ!!

アクセル「…やったか!?」

ダブル「『うわあああぁああああああ!!?』」ドカーン

アクセル「何ぃ!? ど、どういうことだ!」

ダブル「…や…やめろ…てる…いぃ……このひとを…こうげき…するんじゃ、ねぇっ」フラフラ…ヒュゥン

翔太郎「 」バタリ

ドーパント「あっははは!! じゃあね!」タタタ

アクセル「ま、待てっ! …っく、左!」



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